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【発明の名称】 交直両用電気車制御装置
【発明者】 【氏名】佐藤 達弥

【要約】 【課題】交直両用主回路構成で、PWMコンバータからの直流電源を使用する場合に、各リアクトルをそれらに並列に接続された単位スイッチによって短絡することによってコンバータの制御安定性を高め、リアクトルに不要な発熱をおこさせない。

【解決手段】コンバータ装置6とインバータ装置10a,10bとの間に、リアクトル8a,8bと共にこれに並列に単位スイッチ14a,14bを設置し、交流直流回路切替器4が交流回路側に切替えられる時には単位スイッチをクローズさせてリアクトルを短絡することによって、コンバータ装置の出力側とインバータ装置の入力側との間のコンデンサ要素7,9a,9bの並列接続数を多くしてリップル電圧を小さくし、また全体のコンデンサ容量を大きくすることによってコンバータ装置の直流出力のリップル電流を減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 交流電力を直流電力に変換するコンバータ装置と、前記コンバータ装置の直流出力側にリアクトルを介して接続されたインバータ装置と、電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側又は前記インバータ装置の直流入力側のいずれか一方とを接続する交流直流回路切替手段と、前記リアクトルと並列に設置され、前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側とを接続する時にクローズして前記リアクトルを短絡し、前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記インバータ装置の直流入力側とを接続する時にオープンするリアクトル短絡スイッチ手段とを備えて成る交直両用電気車制御装置。
【請求項2】 前記コンバータ装置の直流出力側に並列に、複数の前記リアクトルそれぞれを介して複数の前記インバータ装置が接続され、前記リアクトル短絡スイッチ手段は、前記複数のリアクトルそれぞれと並列に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の交直両用電気車制御装置。
【請求項3】 前記コンバータ装置の直流出力側に単一のリアクトルを介して複数の前記インバータ装置が並列に接続され、前記リアクトル短絡スイッチ手段は、前記単一のリアクトルと並列に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の交直両用電気車制御装置。
【請求項4】 前記コンバータ装置と前記インバータ装置との間に設置された、それらの装置に存在するコンデンサ要素の電荷を放電させるためのコンデンサ放電回路と、前記リアクトル短絡スイッチ手段をクローズする直前に前記コンデンサ放電回路を作動させる制御手段とを備えて成る請求項1〜3のいずれかに記載の交直両用電気車制御装置。
【請求項5】 前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側とを接続したことを確認した後に前記リアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせる交直切替確認手段を備えて成る請求項1〜4のいずれかに記載の交直両用電気車制御装置。
【請求項6】 前記リアクトル短絡スイッチ手段のすべてがオープンしていなければ前記交流直回路切替手段が前記電力供給源と前記インバータ装置の直流入力側とを接続することを禁止する第1のインタロック手段を備えて成る請求項1〜5のいずれかに記載の交直両用電気車制御装置。
【請求項7】 前記リアクトル短絡スイッチ手段のすべてがクローズした後でなければ前記コンバータ装置およびインバータ装置の作動を禁止する第2のインタロック手段を備えて成る請求項1〜6のいずれかに記載の交直両用電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は交流架線、直流架線の架線条件に応じてインバータ装置に供給する直流電源系統を切替えて電気車駆動用の電動機に供給する交直両用電気車制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交直両用電気車制御装置として、従来、図8に示す構成のものが知られている。この交直両用電気車制御装置は、交流架線区間においては架線1から集電器2、交流遮断器3、交流直流回路切替器4を介して変圧器5にて降圧し、サイリスタ又はダイオードによって構成される整流装置25に交流電力を入力して直流電力に変換し、並設されている複数台の可変電圧可変周波数(VVVF)インバータ装置10a,10bそれぞれに出力し、これらのインバータ装置10a,10bで直流電力を三相交流電力に変換して電気車駆動用の電動機11a〜11dに供給する。また直流架線区間においては、架線1から集電器2、交流遮断器3、交流直流回路切替器4、直流接触器12を介して直流電力をインバータ装置10a,10bに入力し、その直流電力を三相交流電力に変換して電動機11a〜11dに供給する。
【0003】そして整流装置25とインバータ装置10a,10bとの間にはリアクトル8a,8bが接続されている。このリアクトル8a,8bは、交流架線区間においては整流装置25から出力される直流電力を平滑化する働きをし、また直流架線区間では各インバータ装置10a,10bの入力側に配置されているコンデンサ9a,9bとそれらのリアクトル8a,8bとによってインバータ装置10a,10bのスイッチング動作により発生する高調波成分を除去するフィルタの働きをするものである。
【0004】このような従来の交直両用電気車制御装置では、サイリスタ又はダイオードによって構成される整流装置25が架線側の力率を低下させてしまい、また高調波も多く含む問題点があった。そこで現在では、交流電力を直流電力に変換する変換装置として自己消弧可能な要素を用い、力率制御が可能なPWMコンバータ装置が採用されるようになっている。
【0005】図9はPWMコンバータ装置6を採用した従来の交直両用電気車制御装置の回路構成を示していて、整流装置25に代えてその場所にPWMコンバータ装置6を搭載している。このPWMコンバータ装置6を採用した交直両用電気車制御装置でも、コンバータ装置6と並設されたインバータ装置10a,10bとの間にはリアクトル8a,8bを接続している。しかしながら、これらのリアクトル8a,8bが存在することにより、通常は電圧源として用いられるPWMコンバータ装置6が電流源になってしまい、PWMコンバータ装置6の制御が整流装置25を採用した従来のものとは異なったものとなる。
【0006】またPWMコンバータ装置6から出力される直流電圧は、PWMコンバータ装置6のスイッチング動作によって発生する高周波のリップル分を含んでいるが、このリップル分を低減させるには主回路上に配置されるコンデンサ要素を利用する。
【0007】リップル電圧ΔV、リップル電流ΔIは次の数1、数2式によって表わされる。
【0008】
【数1】

ここで、PL:負荷電力、Vd:直流電圧、Cd:コンデンサ容量、ω:電源周波数である。
【0009】
【数2】

ここで、Cs:コンデンサ1S分の容量、P:コンデンサの並列接続数、ω′:2π×2×電源周波数である。
【0010】これらの数1、数2式に示されるように、リップル電圧ΔVはコンデンサの容量が大きいほど小さくなり、またリップル電流ΔIはコンデンサの並列接続数が多いほど小さくなる。
【0011】通常、このコンデンサ要素はPWMコンバータ装置6とVVVFインバータ装置10a,10bに配置され、十分な容量を確保しているが、リアクトル8a,8bが挿入されることによりVVVFインバータ装置10a,10b側のコンデンサ9a,9bが切り離された形となる。このため、リップル電圧を低減させるためにはPWMコンバータ装置6側のコンデンサ7の容量を大きくしなければならない。
【0012】なぜならば、このコンデンサ7の容量が十分でないと、上述したようにPWMコンバータ装置6から出力される直流電圧のリップル分が大きくなり、PWMコンバータ装置6−インバータ装置10a,10b間の直達ノイズが増大し、またPWMコンバータ装置6の入力側の交流電源波形が歪んでしまい、架線1側への高調波を増大させてしまうからである。また挿入されたリアクトル8a,8bについても、そこを流れるリップル電流が大きくなると発熱が大きくなり、熱、容量の大きなリアクトルや冷却するための設備が必要となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来のPWMコンバータ装置とVVVFインバータ装置とを備えた交直両用電気車制御装置では、コンバータ装置とインバータ装置との間に挿入されているリアクトルがコンバータ装置側のコンデンサとインバータ装置側のコンデンサとを切り離された形にするため、リップル電圧を低減させるためにはPWMコンバータ装置側のコンデンサ7の容量を大きくする必要があり、またリアクトルそのものに熱容量の大きなものを採用し、あるいは冷却設備を必要とする問題点があった。
【0014】本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、交流架線区間でコンバータ装置からの直流電源を使用する場合には、各リアクトルをそれと並列に設置されたスイッチ手段によって短絡することにより、コンバータ装置の制御安定性を高め、またリアクトルの発熱を抑えることができ、設備の小形、軽量化が図れる交直両用電気車制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の交直両用電気車制御装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ装置と、前記コンバータ装置の直流出力側にリアクトルを介して接続されたインバータ装置と、電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側又は前記インバータ装置の直流入力側のいずれか一方とを接続する交流直流回路切替手段と、前記リアクトルと並列に設置され、前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側とを接続する時にクローズして前記リアクトルを短絡し、前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記インバータ装置の直流入力側とを接続する時にオープンするリアクトル短絡スイッチ手段とを備えたものである。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の交直両用電気車制御装置において、前記コンバータ装置の直流出力側に並列に、複数の前記リアクトルそれぞれを介して複数の前記インバータ装置が接続され、前記リアクトル短絡スイッチ手段が前記複数のリアクトルそれぞれと並列に設置されていることを特徴とするものである。
【0017】請求項3の発明は、請求項1の交直両用電気車制御装置において、前記コンバータ装置の直流出力側に単一のリアクトルを介して複数の前記インバータ装置が並列に接続され、前記リアクトル短絡スイッチ手段が前記単一のリアクトルと並列に設置されていることを特徴とするものである。
【0018】請求項1〜3の発明の交直両用電気車制御装置では、コンバータ装置とインバータ装置との間に、リアクトルと共にこれに並列にリアクトル短絡スイッチ手段を設置し、交流直流回路切替手段が電力供給源とコンバータ装置の交流入力側とを接続する時にはこのリアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡することによって、コンバータ装置の直流出力側とインバータ装置の直流入力側との間のコンデンサ要素の並列接続数を多くしてリップル電圧を小さくし、また全体のコンデンサ容量を大きくすることによってコンバータ装置の直流出力のリップル電流を減少させ、コンバータ装置の制御安定性を高め、またリアクトルの発熱を抑える。
【0019】請求項4の発明は、請求項1〜3の交直両用電気車制御装置において、さらに、前記コンバータ装置と前記インバータ装置との間に設置された、それらの装置に存在するコンデンサ要素の電荷を放電させるためのコンデンサ放電回路と、前記リアクトル短絡スイッチ手段をクローズする直前に前記コンデンサ放電回路を作動させる制御手段とを備えたものである。
【0020】請求項4の発明の交直両用電気車制御装置では、交流直流回路切替手段が電力供給源とコンバータ装置の交流入力側とを接続する場合に、リアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡させる直前に、制御手段によってコンデンサ放電回路を作動させてコンバータ装置とインバータ装置との間に存在するコンデンサ要素の電荷を放電させる。これによって、コンバータ装置の直流出力側のコンデンサ要素とインバータ装置の直流入力側のコンデンサ要素との間の電位差を消滅させ、リアクトル短絡スイッチ手段によりリアクトルを短絡させた時に電荷の移動でリアクトル短絡スイッチ手段の接点に電流が流れて溶着を起こすのを防止する。これによってリアクトル短絡スイッチ手段に電流投入能力のないスイッチ手段を選定でき、小型軽量化を可能とする。
【0021】請求項5の発明は、請求項1〜4の交直両用電気車制御装置において、前記交流直流回路切替手段が前記電力供給源と前記コンバータ装置の交流入力側とを接続したことを確認した後に前記リアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせる交直切替確認手段を備えたものである。
【0022】請求項5の発明の交直両用電気車制御装置では、交流直流回路切替手段が電力供給源とコンバータ装置の交流入力側とを接続する場合に、交直切替確認手段によって交流直流回路切替手段が交流入力側に確実に切り替わったことを確認してからリアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡させる。これによって、交流直流回路切替手段がまだ電力供給源とインバータ装置の直流入力側とを接続している間にリアクトルを短絡することがないようにする。
【0023】請求項6の発明は、請求項1〜5の交直両用電気車制御装置において、前記リアクトル短絡スイッチ手段のすべてがオープンしていなければ前記交流直回路切替手段が前記電力供給源と前記インバータ装置の直流入力側とを接続することを禁止する第1のインタロック手段を備えたものである。
【0024】請求項6の発明の交直両用電気車制御装置では、交流架線区間から直流架線区間に進入する際にはリアクトル短絡スイッチ手段を開放する操作を行うが、リアクトル短絡スイッチ手段が開放する前に電力供給源とインバータ装置の直流入力側とを接続してしまうと、直流架線からリアクトルを介さずにインバータ装置に突入電流が流れ込み、インバータ装置に過電圧が加わる。そこで、第1のインタロック手段によってリアクトル短絡スイッチ手段のすべてがオープンしていなければ前記交流直回路切替手段が電力供給源とインバータ装置の直流入力側とを接続するのを禁止することにより、直流架線からリアクトルを介さずにインバータ装置に突入電流が流れ込み、インバータ装置に過電圧が加わるのを予防してインバータ装置を保護する。
【0025】請求項7の発明は、請求項1〜6の交直両用電気車制御装置において、前記リアクトル短絡スイッチ手段のすべてがクローズした後でなければ前記コンバータ装置およびインバータ装置の作動を禁止する第2のインタロック手段を備えたものであり、リアクトル短絡スイッチ手段がすべてクローズしていない状態でコンバータ装置及びインバータ装置が作動することがないようにし、リップル分除去の動作を確実にする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の回路図であり、第1の実施の形態の交直両用電気車制御装置は、図9に示した従来例と同一の回路要素を備え、かつ、第1の実施の形態の特徴として、リアクトル8a,8bそれぞれに並列に単位スイッチ14a,14bそれぞれを接続し、これらの単位スイッチ14a,14bを交流直流回路切替器4,13の切替動作と連動してオープン/クローズ動作するようにしている。なお、従来例と共通する回路要素については同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0027】第1の実施の形態の交直両用電気車制御装置では、交流架線区間に進入してVVVFインバータ装置10a,10bの直流電力としてPWMコンバータ装置6の出力を用いる場合には、交流直流回路切替器4,13を交流回路側に切替えると共に、単位スイッチ14a,14bをクローズしてリアクトル8a,8bを短絡させ、逆に直流架線区間に進入する場合には、交流直流回路切替器4,13を直流回路側に切替えると共に、単位スイッチ14a,14bをオープンさせ、リアクトル8a,8bとコンデンサ9a,9bとによって従来通りのフィルタ回路を構成させる。
【0028】これによって交流架線区間では、PWMコンバータ装置6とインバータ装置10a,10bとの間にリアクトル要素が介在しない状態となり、コンバータ装置6側のコンデンサ7とインバータ装置10a,10bのコンデンサ9a,9bとがリアクトルによって分断されることなく並列接続された状態となり、PWMコンバータ装置6のスイッチング動作によって発生するリップル分を低減させるのに十分なコンデンサ容量を得ることができ、PWMコンバータ装置6の制御安定性を保つことができる。
【0029】なお、この第1の実施の形態においては、PWMコンバータ装置6の出力側にはそのスイッチング動作により前述の数2式に示した高周波のリップル分を含んだ電流が流れるため、単位スイッチ14a,14bの接触子部の温度が上昇する。そこで高周波電流に対応した接触子温度が上昇しても溶着を起こさない単位スイッチを選定する。
【0030】また単位スイッチ14a,14bとして主接点を複数個有する単一の単位スイッチを採用し、図2に示すようにその主接点それぞれを単位スイッチ14a,14bとしてリアクトル8a,8bそれぞれに並列に接続することにより、複数のリアクトル8a,8bを単一の単位スイッチの複数個の主接点の開閉動作によって同時に短絡することができ、これによって用いる単位スイッチの個数を削減することができる。
【0031】次に、本発明の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。図1及び図2に示した第1の実施の形態及びその変形例の場合、単位スイッチ14a,14bを投入した際に、PWMコンバータ装置6に設置されているコンデンサ7とVVVFインバータ装置10a,10bに設置されているコンデンサ9a,9bとの間に電位差があれば、電位の高い方から低い方へ電流が流れ込んでしまい、単位スイッチ14a,14bの接点が溶着してしまう恐れがある。そこで単位スイッチ14a,14bを投入する前にコンデンサ7、コンデンサ9a,9bに蓄積されている電荷を放電させ、これらのコンデンサ間の電位差をなくしてから単位スイッチ14a,14bを投入することによって電荷の移動による電流で単位スイッチ14a,14bの接点溶着を予防することができる。
【0032】第2の実施の形態はこのような考察の上に発明されたもので、各リアクトル8aとコンデンサ9aとの間、リアクトル8bとコンデンサ9bとの間にダイオード21a,21bを接続し、またコンバータ装置6の出力+側にもダイオード22を接続し、これらのダイオード21a,21b,22をコンデンサ放電用スイッチング素子23と接続し、このコンデンサ放電用スイッチング素子23とコンバータ装置6の出力−側との間に放電用抵抗器24を接続してコンデンサ放電回路を構成し、さらにリアクトル短絡用単位スイッチ14a,14bのオープン/クローズ動作をコンデンサ放電用スイッチング素子23のオン/オフ制御と連動させる制御部25を設置したことを特徴とする。なお、第1の実施の形態と共通する回路要素については同一の符号を付して示し、その詳しい説明は省略する。
【0033】この第2の実施の形態では、交流架線区間に進入する際には、交流直流回路切替器4,13を交流回路側に切替えるが、これと連動して制御部25がまずコンデンサ放電回路のコンデンサ放電用スイッチング素子23を導通させる。これによってコンバータ装置6側のコンデンサ7に蓄積されている電荷も、インバータ装置10a,10bそれぞれのコンデンサ9a,9bに蓄積されている電荷もダイオード21a,21b,22を通じてコンデンサ放電用スイッチング素子23に流れ、さらに放電用抵抗器24に流れ込んで消費され、すべてのコンデンサ7,9a,9bの電荷が放電される。制御部25はコンデンサ放電用スイッチング素子23を導通させてコンデンサ7,9a,9bの電荷を放電させた後、単位スイッチ14a,14bをクローズしてリアクトル8a,8bを短絡させる。
【0034】こうして、単位スイッチ14a,14bをクローズしてリアクトル8a,8bを短絡させる際に、その直前にコンデンサ放電回路を動作させて各コンデンサ7,9a,9bに蓄積されている電荷を放電用抵抗器24によって放電させることによって各コンデンサ7,9a,9b間の電位差をなくすことにより、単位スイッチ14a,14bをクローズさせる時に電流を投入することがなくなる。この結果、電流投入能力のない単位スイッチを選定することができ、回路の小形、軽量化が図れることになる。
【0035】次に、本発明の第3の実施の形態を図4に基づいて説明する。第3の実施の形態の特徴は、単一のリアクトル8とこれに並列に接続された単一の単位スイッチ14との一端を、コンバータ装置6の直流出力と直流回路の直流接触器12の出力との接続点に接続し、リアクトル8と単位スイッチ14との他端を複数台のVVVFインバータ装置10a,10bの共通の直流入力点に接続した点にある。なお、第1の実施の形態と共通するその他の回路要素については同一の符号を付して示し、その詳しい説明は省略する。
【0036】この回路構成によって、リアクトル8と単位スイッチ14が共に1つずつに削減することができ、回路コストの低減が図れる。
【0037】次に、本発明の第4の実施の形態を図5に基づいて説明する。第4の実施の形態の特徴は、図1に示した第1の実施の形態の交直両用電気車制御装置において、さらに交流直流回路切替器4,13の切替動作と連動してリアクトル短絡スイッチ手段としての単位スイッチ14a,14bをオープン/クローズ動作制御する制御回路31を備えた点にある。
【0038】この制御回路31は、運転台に設置される交流直流回路切替スイッチ32と、この切替動作によって励磁/非励磁の切替が行われる直流側切替コイル33aと交流側切替コイル33b、交流側切替コイル33bの励磁によってクローズする交流側補助接点33c、この交流側補助接点33cがクローズした時に励磁される単位スイッチ励磁コイル34a,34bで構成され、この単位スイッチ励磁コイル34a,34bの励磁/非励磁の切替によって単位スイッチ14a,14bそれぞれがクローズ/オープン動作する設定である。
【0039】なお、第1の実施の形態と共通するその他の回路要素については同一の符号を付して示し、その詳しい説明は省略する。
【0040】次に、上記の構成の交直両用電気車制御装置の動作について説明する。交流架線区間に進入する際には、制御回路31における交流直流回路切替スイッチ32を運転台にて交流側に切替える操作をする。これによって交流側切替コイル33bが励磁され、これによって交流直流回路切替器4,13がいずれも交流側に切替えられる。また交流側切替コイル33bが励磁すると、交流側補助接点33cがクローズして単位スイッチ励磁コイル34a,34bを励磁し、これによって単位スイッチ14a,14bがクローズ動作してリアクトル8a,8bを短絡する。
【0041】この結果、主回路が交流側に確実に切り替わったことを条件にして単位スイッチ14a,14bがクローズしてリアクトル8a,8bを短絡するようになり、直流架線区間で直流回路が選択されている状態でリアクトル8a,8bを短絡する事態を確実に予防することができる。
【0042】次に、本発明の第5の実施の形態を図6に基づいて説明する。交流架線区間から直流架線区間に進入する際に単位スイッチ14a,14bの開放操作を行うが、単位スイッチ14a,14bを開放する前に直流接触器12を投入してしまうと直流架線からリアクトル8a,8bを介さずに突入電流がインバータ装置10a,10bに流れ込んでしまって、インバータ装置10a,10bに過電圧が加わることになる。
【0043】これを防止するために、第5の実施の形態の交直両用電気車制御装置では、インタロック回路41を設けることによって単位スイッチ14a,14bを確実にオープンさせた後でなければ直流接触器12が投入できないようにしている。このインタロック回路41は、VVVFインバータ装置10a,10bそれぞれが作動している時に閉じる直流接触器投入指令リレー接点42a,42bと、単位スイッチ14a,14bそれぞれがオープン状態でクローズし、逆に単位スイッチ14a,14bそれぞれがクローズ状態でオープンする単位スイッチ補助接点43a,43bと、直流接触器励磁コイル44の直列回路で構成されている。
【0044】なお、図1に示した第1の実施の形態と共通するその他の回路要素については同一の符号を付して示し、その詳しい説明を省略する。
【0045】次に、第5の実施の形態の交直両用電気車制御装置の動作について説明する。交流架線区間では単位スイッチ14a,14bがクローズしているので、インタロック回路41における単位スイッチ補助接点43a,43bはいずれもオープンしていて直流接触器励磁コイル44は非励磁状態であり、直流接触器12も開放されている。
【0046】いま交流架線区間から直流架線区間に進入する際に、単位スイッチ14a,14bを開放する操作を行うが、インバータ装置10a,10bが作動していて、かつ単位スイッチ14a,14bがオープンされたことが条件で、インタロック回路41は閉路して直流接触器励磁コイル44を励磁し、直流接触器12をクローズする。
【0047】この結果、単位スイッチ14a,14bを確実にオープンさせた後でなければ直流接触器12が投入できないことになり、直流架線からリアクトル8a,8bを介さずに突入電流がインバータ装置10a,10bに流れ込んでインバータ装置10a,10bに過電圧が加わる事態を予防することができ、回路保護が図れる。
【0048】次に、本発明の第6の実施の形態を図7に基づいて説明する。第6の実施の形態の特徴は、交流区間動作許可インタロック回路51を備え、単位スイッチ14a,14bのすべてがクローズしてリアクトル8a,8bがすべて短絡した状態にならなければPWMコンバータ装置6とVVVFインバータ装置10a,10bを動作させないようにした点にある。
【0049】交流区間動作許可インタロック回路51は、単位スイッチ14a,14bそれぞれがクローズ状態の時にクローズし、オープン状態の時にオープンする単位スイッチ補助接点52a,52bを備え、これらがすべてクローズした時にコンバータ装置6とインバータ装置10a,10bに動作許可指令53を出力する構成である。
【0050】次に、第6の実施の形態の交直両用電気車制御装置の動作について説明する。直流架線区間では単位スイッチ14a,14bはすべてオープンであり、インタロック回路51もオープンしている。そして直流架線区間から交流架線区間に進入する際には、単位スイッチ14a,14bのすべてをクローズ操作するが、これに連動してインタロック回路51の単位スイッチ補助接点52a,52bがすべてクローズし、交流架線区間動作許可指令53をコンバータ装置6とすべてのインバータ装置10a,10bに出力してこれらの動作を許可する。
【0051】これによって第6の実施の形態では交流架線区間進入時に、リアクトル8a,8bが挿入された状態でコンバータ装置とインバータ装置が動作することを確実に防止することができる。
【0052】なお、上記の第1〜第6の実施の形態それぞれではインバータ装置を2台としたが、これに限定されず、さらに多くのインバータ装置を備えたものにあっても適用することができる。
【0053】
【発明の効果】以上のように請求項1〜3の発明によれば、コンバータ装置とインバータ装置との間に、リアクトルと共にこれに並列にリアクトル短絡スイッチ手段を設置し、交流直流回路切替手段が交流回路側に切替えられる時にはリアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡するようにしたので、コンバータ装置の出力側とインバータ装置の入力側との間のコンデンサ要素の並列接続数を多くしてリップル電圧を小さくし、また全体のコンデンサ容量を大きくすることによってコンバータ装置の直流出力のリップル電流を減少させ、コンバータ装置の制御安定性を高め、またリアクトルの発熱を抑えることができる。
【0054】請求項4の発明によれば、直流架線区間から交流架線区間に進入する際に、リアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡させる直前に、コンデンサ放電回路を作動させてコンバータ装置とインバータ装置との間に存在するコンデンサ要素の電荷を放電させるようにしたので、コンバータ装置の出力側のコンデンサ要素とインバータ装置の入力側のコンデンサ要素との間の電位差を消滅させ、リアクトル短絡スイッチ手段によりリアクトルを短絡させた時に電荷の移動でリアクトル短絡スイッチ手段の接点に電流が流れて溶着を起こすのを防止することができ、リアクトル短絡スイッチ手段に電流投入能力のないスイッチ手段を選定でき、小型軽量化が図れる。
【0055】請求項5の発明によれば、直流架線区間から交流架線区間に進入する際に、交流直流回路切替手段が交流回路側に確実に切り替わったことを確認してからリアクトル短絡スイッチ手段をクローズさせてリアクトルを短絡させるようにしたので、交流直流回路切替手段がまだ直流回路側にある間にリアクトルを短絡させることがなく、回路動作の信頼性を高めることができる。
【0056】請求項6の発明によれば、交流架線区間から直流架線区間に進入する際に、インタロック手段によってリアクトル短絡スイッチ手段のすべてがオープンしていなければ交流直回路切替手段の直流回路側への切替えを禁止するようにしたので、直流架線からリアクトルを介さずにインバータ装置に突入電流が流れ込み、インバータ装置に過電圧が加わるのを予防してインバータ装置を保護することができる。
【0057】請求項7の発明によれば、リアクトル短絡スイッチ手段のすべてがクローズした後でなければコンバータ装置およびインバータ装置の作動を禁止するインタロック手段を備えたので、リアクトル短絡スイッチ手段がすべてクローズしていない状態でコンバータ装置及びインバータ装置が作動することがなく、リップル分除去動作が確実に行える。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外3名)
【公開番号】 特開平11−113102
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−270044