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【発明の名称】 磁気浮上列車用超電導磁石装置
【発明者】 【氏名】沖 雅雄

【氏名】藤本 泰司

【氏名】狩野 誠治

【要約】 【課題】磁気浮上列車に用いられる車載の超電導磁石に対する地上側のコイルは、地上に点々と設置されているため、高速で走行すると地上側コイルから、かなり高い周波数の磁気変動を受ける。この磁気変動によって車載側の超電導コイルの構成部品である永久電流スイッチや冷媒供給配管、超電導コイルへの電流リードなどに振動が発生し、この振動が原因で熱を発生して、超電導コイルとしての性能が低下する。そこで、これらのものがこの磁気変動を受けないようにすることを目的とする。

【解決手段】永久電流スイッチ3やガス回収配管6、電流リード11の設置位置を超電導コイル1から離して冷媒貯蔵タンク10の中に設置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超電導線材を巻回してレーストラック形状に形成された超電導コイルと、上記超電導コイルを囲むように形成され上記超電導コイルを冷媒に浸漬して収納する環状の内槽容器と、上記内槽容器を真空雰囲気中に収納する外槽容器と、上記超電導コイルに流れるコイル電流を永久電流モードとするための永久電流スイッチと、上記外槽の上部に備えられ上記冷媒を貯蔵するタンクとを有する超電導磁石装置において、上記永久電流スイッチを上記タンクの内部に収納したことを特徴とする磁気浮上列車用超電導磁石装置。
【請求項2】 超電導コイルに外部から電流を供給するための電流リードが、タンクに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車用超電導磁石装置。
【請求項3】 内槽から冷媒ガスを回収する全ての冷媒ガス回収配管は、タンクと内槽を直接結ぶように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車用超電導磁石装置。
【請求項4】 外槽容器は台車枠の両側面に、タンクは前記台車枠に取付けられていることを特徴とする請求項2記載の磁気浮上列車用超電導磁石装置。
【請求項5】 外槽容器は台車枠の両側面に列車進行方向に平行に配置され、タンクは前記台車枠の上部に列車進行方向に直交して配置され、かつ、1つのタンクは前記両側面の外槽容器に収納された両方の超電導コイル各々の永久電流スイッチをともに収納した共用タンクとしたものであることを特徴とする請求項4に記載の磁気浮上列車用超電導磁石装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば磁気浮上車両等に搭載される超電導磁石装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は例えば特開平6−20831号公報に示される従来の浮上式鉄道車両の断面構成の概略を示す断面図である。図7において、12は超電導磁石装置であり、台車枠9の両側側面に固定されている。台車枠9の上には空気ばね19を介して車体13が搭載される。14は地上側に縦方向に設置された浮上案内コイル、15は地上側に縦方向に設置された推進コイルであり、それぞれ走行路の両側に走行路に沿って、等ピッチで敷設されている。図8は図7における超電導磁石装置12の構成の概略を示す側面図、図9は図8の断面A−A図である。
【0003】図8、図9において、1は超電導素線をレーストラック状(長円形状)に巻き回し、樹脂含浸してなる超電導コイル、2は非磁性体である例えばステンレス鋼からなり、内部に超電導コイル1を収納するとともに液体ヘリウムなどの冷媒が満たされている内槽容器である。3は超電導コイル1の電流を閉ループにするための永久電流スイッチであり、超電導素線を巻き回して構成される。永久電流スイッチ3は超電導コイル1や内槽容器2の近傍に設置されている。
【0004】4は内槽容器2を取り囲み外部から侵入する輻射熱を断熱するための輻射シールド板で、通常は液体窒素により冷却される。5は内槽容器2、輻射シールド板4等を外部と断熱状態に収納する真空を維持するための外槽容器(単に外槽とも言う)である。
【0005】超電導コイル1、内槽容器2、輻射シールド板4は断熱支持材7を介して外槽容器5に固定され、外槽容器5は固定ボルト8を介して、台車枠9に固定される。10は超電導コイルを冷却するための液体ヘリウムを貯蔵しておくタンクであり、外槽容器5の上部に設置され、ヘリウム配管20によって内槽2に接続されている。
【0006】6は内槽容器2より蒸発した冷媒ガスを回収するガス回収配管であり、図10に示すように管の内部は、外部より内槽容器2に冷媒を供給するための注液管6a、タンク10から内槽容器2に冷媒を補給するための補給管6b、超電導コイル1に電流を供給するための超電導線6cが適当なピッチで設置された支持部材6dに固定される構造となっている。
【0007】11は外部より超電導コイル1に電流を供給するための電流リードであり、超電導コイル1、内槽容器2、輻射シールド板4等と同様に外槽容器5内に収納されている。電流リード11は図11に示すように、電流を供給する配管(導体)11aと真空を確保するための配管11bの2重管構成となっており、配管11aと11bの間には電気絶縁物11cが施工されている。超電導磁石装置12はこれら複数個の超電導コイル1、内槽容器2、永久電流スイッチ3及び1個のタンク10で構成される。
【0008】車両走行時には、超電導コイル1と浮上案内コイル14との間に車両を浮上させるための上下方向の浮上力および車両を軌道中心に保つための左右方向の案内力が働く。また、超電導コイル1と推進コイル15との間には車両を推進させるための前後方向の推進力が働く。これらの浮上力、案内力、推進力には車両が走行すれば地上コイル配置敷設ピッチにともなう磁場変動による脈動成分が加わり、車両が高速で走行中、地上コイルに対面した超電導磁石装置12の外槽容器5は速度に比例した高周波電磁外乱を受け振動する。そして、この電磁外乱及び、この電磁外乱によって生じる振動は、超電導磁石装置12のあらゆる部分に伝わる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の超電導磁石装置は以上のように構成されているので、車両走行中に地上コイルに対面した超電導磁石装置の外槽容器が高周波電磁外乱を受け振動し、外槽容器の内部に収納された永久電流スイッチも振動を受けるため永久電流スイッチの安定性が低下するという問題があった。
【0010】また、永久電流スイッチが超電導コイルの近傍に配置されているため、超電導コイルのつくる強磁界を受け、永久電流スイッチを構成している超電導素線の安定性が低下し、結果として永久電流スイッチの動作の安定性が低下するという問題点があった。
【0011】また、車両走行中に地上コイルに対面した超電導磁石装置の外槽容器が高周波電磁外乱を受け振動し、外槽容器の内部に収納されたガス回収配管も前記振動を受け、内部の注液管、補給管、超電導線、支持部材間でこすれが発生し、このときの機械摩擦発熱により冷媒の蒸発量が増大するという問題点があった。
【0012】また、外槽容器の内部に収納された電流リードも振動を受け、内部の2重配管と電気絶縁物間でこすれが発生し、このときの機械摩擦発熱により冷媒の蒸発量が増大するという問題点があった。
【0013】この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、永久電流スイッチの安定性が向上できる超電導磁石装置を得ることを目的とする。また、電流リードやガス回収配管の振動に起因するこすれ機械摩擦発熱を低減できる超電導磁石装置を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の超電導磁石装置は、超電導線材を巻回してレーストラック形状に形成された超電導コイルと、上記超電導コイルを囲むように形成され上記超電導コイルを冷媒に浸漬して収納する環状の内槽容器と、上記内槽容器を真空雰囲気中に収納する外槽容器と、上記超電導コイルに流れるコイル電流を永久電流モードとするための永久電流スイッチと、上記冷媒を貯蔵するタンクを上記外槽の上部に備えた超電導磁石装置において、上記永久電流スイッチを上記タンクの内部に収納したものである。
【0015】永久電流スイッチの設置位置を振動の小さいタンク部にしたことは、永久電流スイッチの受ける振動が従来の超電導磁石装置に比べて小さくなる作用がある。また、従来の超電導磁石装置に比べて、永久電流スイッチの位置が超電導コイルより離れた位置となるため、永久電流スイッチの受ける磁界強度が小さくなり動作が安定になる。
【0016】また、この発明は、超電導コイルに外部から電流を供給するための電流リードをタンクに設けたものである。
【0017】電流リードの設置位置を外槽の上部のタンク部にしたことは、電流リードが受ける電磁高周波振動を減少させる作用がある。
【0018】また、この発明は内槽から冷媒ガスを回収する全ての冷媒ガス回収配管が、タンクと内槽を直接結ぶように設けられているものである。
【0019】外槽内に設置され内槽同士を結ぶガス回収配管がないので、ガス回収配管が電磁高周波振動を受けなくなり、発熱が減少する。
【0020】また、この発明は、タンクを台車枠に取付けたものである。
【0021】タンク部を台車枠に取付けることは、車両走行中のタンク振動が小さくなると同時に内部に収納されているものの受ける電磁高周波振動を小さくする作用がある。
【0022】また、この発明は、外槽容器を台車枠の両側面に列車進行方向に平行に、タンクを台車枠の上部に列車進行方向に直交して配置し、かつ、1つのタンクは前記両側面の外槽容器に収納された超電導コイルの永久電流スイッチをともに収納したものである。
【0023】台車枠に進行方向に対して直交する向きにタンクを設置することは、列車の加速減速時、或は列車が勾配にあるときにタンク内の冷媒の液面の傾きによる収納物の液面からの露出を減らす作用がある。また、左右の超電導磁石装置のタンクを兼ねることはタンクのしめる空間を小さくする作用がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。図1はこの発明の超電導磁石の要部を示す側面図である。図において、5は外槽容器であり内部に超電導コイル1、内槽容器2、輻射シールド板4等が内部に収納されている点については従来の装置と同様である。従来の図8で内槽2の内側に設置されていた永久電流スイッチ3はタンク10の内部へと、設置場所を変更し、これにともなってガス回収配管6、電流リード11がタンク10の中に設置されている。タンク10は従来の図7、8と同様に外槽容器5の上に設置されている。図示説明の都合上、タンク10の内部の点線で示すべきものも実線で示している。
【0025】図1に示す超電導磁石装置では、永久電流スイッチ3、ガス回収配管6の内槽間を接続するため永久電流スイッチ3同士を接続していた部分、及び電流リード11の設置位置を、車両走行中の地上コイル14からの高周波電磁外乱を受け振動的に最も厳しい条件下の外槽容器5から、地上コイル14からは距離が離れていて、電磁外乱が小さく、振動の小さいタンク10の中に移設したので、車両走行中永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11の受ける振動が低減できる。、このため永久電流スイッチ3の安定性が向上できる。また、ガス回収配管6、電流リード11の振動によるこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量増大を低減することが可能である。
【0026】また、永久電流スイッチ3と超電導コイル1間の距離が、従来の装置に比べて大きくなっているため、永久電流スイッチ3の受ける磁界強度は従来に比べて小さく、永久電流スイッチ3の安定性が向上する。
【0027】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形態2を示す斜視図である。タンク10が超電導磁石装置本体の外槽容器5より分離され台車枠9に取付けられている。台車枠9上であればどこでも良いのだが一例を図3に示す。図3は台車枠9へのタンク配置例を示す斜視図である。タンク10が台車枠9の超電導磁石装置が設置されている側梁9bに固定座16を介して支持固定されている。さらに、このタンク10の内部に永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11が収納されている。
【0028】図3に示す超電導磁石装置では、タンク10が台車枠9の超電導磁石装置が設置されている側梁9b上に取付けられているため、側梁9bの剛性をタンク部10の振動低減に利用でき、タンク10の内部に収納されている永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11の受ける振動が低減できる。このため、永久電流スイッチ3の安定性向上が図れるとともに永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11の振動によるこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量増大を低減することが可能である。
【0029】実施の形態3.図4はこの発明の実施の形態3を示す斜視図である。内部に永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11が収納されたタンク10が、台車枠9の左右の梁を結ぶ横梁9a上に、車両の進行方向に対して横長に設置されている。
【0030】図4に示す超電導磁石装置では、タンク10が台車枠9の左右の梁を結ぶ横梁9a上に横長に設置されているため、横梁9aの剛性をタンク部10の振動低減に利用できる。また、同時にタンク10の内部に収納されている永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11の受ける振動が低減できる。このため、永久電流スイッチ3の安定性向上が図れるとともに永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11の振動によるこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量増大を低減することが可能である。
【0031】また、図5に示すように、タンク10を横置きすることにより(図5(A))、同一量の冷媒がタンク10の内部に入っている場合の車両進行方向の勾配区間に車両が停止時や、車両の加減速時の冷媒の液面高さの変化が従来の場合(図5(B))に比べて小さくなる。このため、冷媒量が少ない場合の勾配区間車両停止時や加減速時においても、タンク10が横置きされている場合、タンク10の底部に設置されている永久電流スイッチ3が冷媒に浸漬されない状態が発生しない。磁気浮上車両は、カーブ地点では適度なバンク(横傾斜)が付けられ、カーブによる遠心力があっても、見かけの重力の方向は常に車両の床に垂直になっているので、タンクが横長方向に設置されていても、遠心力で冷媒が片側に寄ってしまう恐れは少い。
【0032】実施の形態4.図6はこの発明の実施の形態4を示す超電導磁石装置の斜視図である。図において18は、台車枠9の両端に設置されている2台の超電導磁石装置1に対して、共用化した構成の共用タンクである。さらに、この共用タンク18の内部には、台車枠の左右の超電導磁石12のための永久電流スイッチ3、ガス回収配管6、電流リード11が一緒に収納されている。
【0033】図6に示す超電導磁石装置では、永久電流スイッチ3の安定性向上やガス回収配管6、電流リード11の振動に起因するこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量増大の低減が可能となることは言うまでもなく、2台の超電導磁石装置本体12に対して1台の共用タンク18としているので、システム構成が簡単化されるとともにシステムの重量軽減が可能となる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、この発明の超電導磁石装置では、永久電流スイッチの設置位置を、車両走行中の地上コイルからの高周波電磁外乱を受けにくいタンク部にしたので、永久電流スイッチの受ける電磁外乱と振動とが従来の超電導磁石装置に比べて小さくなる。さらに、永久電流スイッチの位置が超電導コイルより離れた位置となるため、受ける磁界強度が小さくなる。このため、永久電流スイッチの安定性を向上させることが可能となる。
【0035】また、この発明は、超電導コイルに外部から電流を供給するための電流リードをタンクに設けたので、電流リードが外部から受ける高周波電磁外乱が小さくなり、電流リード内部のこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量の増大を低減することが可能となる。
【0036】また、この発明は、内槽同士を接続するガス回収配管がタンク内に設けられているので、外部から受ける高周波電磁外乱が小さくなり、配管内部のこすれ摩擦発熱による冷媒の蒸発量の増大を低減することが可能となる。
【0037】また、この発明は、永久電流スイッチを収納したタンク部を台車枠の真上部に配置したので、永久電流スイッチが地上コイルから受ける高周波電磁外乱が更に低くなり、永久電流スイッチの動作を更に安定にすることができる。
【0038】また、この発明は、永久電流スイッチを収納したタンク部を台車枠の上部に列車進行方向に直交して配置したので、列車が勾配部にあるとき、あるいは列車の加減速時にも永久電流スイッチが冷媒から露出することがなく、安定した動作が期待できるという効果がある。また、1つのタンクに両側面の外槽容器に収納された超電導コイルの永久電流スイッチをともに収納したので、装置が小型化できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
【公開番号】 特開平11−98614
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−258640