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【発明の名称】 交流電気車制御装置
【発明者】 【氏名】氏家 昭彦

【要約】 【課題】コンデンサを充電するための特別な機器を備えることなく、コンデンサの充電時に過大な充電電流が供給されることを防ぐ交流電気車制御装置を提供することを目的とする。

【解決手段】変圧器3の2次巻線に接続された接触器4と、この接触器4に接続され、変圧器3を介して供給される交流を直流に変換するコンバータ5と、このコンバータ5の出力端に接続されたコンデンサ6と、このコンデンサ6の両端に接続され、コンバータ5により変換された直流を交流に変換するインバータ7と、起動時に、接触器4を投入し、コンバータ5の整流素子51〜54により変圧器3を介して供給される交流を直流に整流してコンデンサ6を充電させ、コンデンサ6が所定値まで充電された際に、コンバータ5の自己消弧型素子57、58を点弧する制御装置23とを有してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変圧器の2次巻線に接続された接触器と、この接触器に接続され、複数の整流素子からなるブリッジ回路を構成し、各整流素子には逆並列に自己消弧型素子を接続してなり、前記変圧器を介して供給される交流を直流に変換するコンバータと、このコンバータの出力端に接続されたコンデンサと、このコンデンサの両端に接続され、前記コンバータにより変換された直流を交流に変換するインバータと、起動時に、前記接触器を投入し、前記整流素子により前記変圧器を介して供給される交流を直流に整流して前記コンデンサを充電させ、前記コンデンサが所定値まで充電された際に、前記自己消弧型素子を点弧する制御装置とを有する交流電気車制御装置。
【請求項2】 請求項1に記載の交流電気車制御装置において、前記制御装置は、前記コンバータに入力される交流電圧の位相がπ/2からπの間に前記接触器を投入することを特徴とする交流電気車制御装置。
【請求項3】 請求項1に記載の交流電気車制御装置において、前記制御装置は、前記コンバータに入力される交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス判定回路と、このゼロクロス判定回路により検出されたゼロクロス点から所定時素遅れて前記接触器を投入させるディレイ回路とを有する交流電気車制御装置。
【請求項4】 請求項1に記載の交流電気車制御装置において、前記制御装置は、前記自己消弧型素子を点弧させない時に到達する前記コンデンサの充電電圧の最大値が最小となるような前記コンバータに入力される交流電圧の位相で、前記接触器を投入することを特徴とする交流電気車制御装置。
【請求項5】 請求項1に記載の交流電気車制御装置において、前記制御装置は、前記コンデンサが所定値まで充電された際に、下アームを構成する前記自己消弧型素子を点弧することを特徴とする交流電気車制御装置。
【請求項6】 変圧器の2次巻線に接続された接触器と、この接触器に接続され、複数の整流素子からなるブリッジ回路を構成し、各整流素子には逆並列に自己消弧型素子を接続してなり、前記変圧器を介して供給される交流を直流に変換するコンバータと、このコンバータの出力端に接続されたコンデンサと、このコンデンサの両端に接続され、前記コンバータにより変換された直流を交流に変換するインバータと、起動時に、前記接触器を投入して、前記整流素子により前記変圧器を介して供給される交流を直流に整流して前記コンデンサを充電させる充電モードと、前記自己消弧型素子を点弧して前記コンデンサを放電させる放電モードとを繰り返す制御装置とを有する交流電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は交流電気車制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の交流電気車制御装置の構成図である。架線1よりパンタグラフ2を介して集電される交流電力は、変圧器3の2次巻線に接続された接触器4を介してコンバータ5に供給される。コンバータ5は交流電力を直流電力に変換し、コンデンサ6を介して接続されたインバータ7に直流電力を供給する。そしてインバータ7は直流電力を交流電力に変換し、誘導電動機8を駆動する。
【0003】ところで、このように構成された交流電気車制御装置において、起動時にはコンデンサ6を所望の電圧まで充電する必要がある。このコンデンサ6を充電する際に、過大な充電電流が供給されないように留意することが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで従来の交流電気車制御装置では、抵抗器9と充電接触器10の直列回路と、この直列回路を短絡する短絡接触器11とを並列に設けてなる補助回路をコンバータ5の入力側に備え、起動時には充電接触器10を投入して、パンタグラフ2、変圧器3、接触器4からの交流電力を、抵抗器9を介してコンバータ5に供給し、そしてコンデンサ6を充電することで、過大な充電電流が供給されることを防止している。そして、コンデンサ6が所望の電圧まで充電されると短絡接触器11を投入して直列回路を短絡している。
【0005】しかしながら、電気車を制御するための様々な制御機器は、電気車の床下という限られたスペースに搭載しなければならないが、コンデンサ6を充電するための並列回路を備えると、その分、機器の重量・体積の増加を招くことになる。
【0006】そこで、本発明は、コンデンサを充電するための特別な機器を備えることなく、コンデンサの充電時に過大な充電電流が供給されることを防ぐ交流電気車制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、変圧器の2次巻線に接続された接触器と、この接触器に接続され、複数の整流素子からなるブリッジ回路を構成し、各整流素子には逆並列に自己消弧型素子を接続してなり、前記変圧器を介して供給される交流を直流に変換するコンバータと、このコンバータの出力端に接続されたコンデンサと、このコンデンサの両端に接続され、前記コンバータにより変換された直流を交流に変換するインバータと、起動時に、前記接触器を投入し、前記整流素子により前記変圧器を介して供給される交流を直流に整流して前記コンデンサを充電させ、前記コンデンサが所定値まで充電された際に、前記自己消弧型素子を点弧する制御装置とを有してなる。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記コンバータに入力される交流電圧の位相がπ/2からπの間に前記接触器を投入することを特徴としてなる。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記コンバータに入力される交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス判定回路と、このゼロクロス判定回路により検出されたゼロクロス点から所定時素遅れて前記接触器を投入させるディレイ回路とを有してなる。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記自己消弧型素子を点弧させない時に到達する前記コンデンサの充電電圧の最大値が最小となるような前記コンバータに入力される交流電圧の位相で、前記接触器を投入することを特徴としてなる。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記コンデンサが所定値まで充電された際に、下アームを構成する前記自己消弧型素子を点弧することを特徴としてなる。
【0012】請求項6に記載の発明は、変圧器の2次巻線に接続された接触器と、この接触器に接続され、複数の整流素子からなるブリッジ回路を構成し、各整流素子には逆並列に自己消弧型素子を接続してなり、前記変圧器を介して供給される交流を直流に変換するコンバータと、このコンバータの出力端に接続されたコンデンサと、このコンデンサの両端に接続され、前記コンバータにより変換された直流を交流に変換するインバータと、起動時に、前記接触器を投入して、前記整流素子により前記変圧器を介して供給される交流を直流に整流して前記コンデンサを充電させる充電モードと、前記自己消弧型素子を点弧して前記コンデンサを放電させる放電モードとを繰り返す制御装置とを有してなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す交流電気車制御装置の構成図、図2は、各種状態量のタイムチャートである。
【0014】架線1よりパンタグラフ2を介して集電される交流電力は、変圧器3の2次巻線に接続された接触器4を介してコンバータ5に供給される。ここで、31は変圧器3の漏れリアクタンスである。コンバータ5は交流電力を直流電力に変換し、コンデンサ6を介して接続されたインバータ7に直流電力を供給する。そしてインバータ7は直流電力を交流電力に変換し、誘導電動機8を駆動する。コンバータ5は、ダイオード51〜54のブリッジ回路にそれぞれ自己消弧型素子55〜58を逆並列に接続してなる。変圧器3の2次巻線側に発生する交流電圧Vs、コンデンサ6の端子間電圧Vdは、それぞれ電圧検出器20、21によって検出され、電流Isは電流検出器22によって検出され、制御装置23に入力される。そして、制御装置23は接触器4の投入、コンバータ5の制御を行う。
【0015】制御装置23は、電圧検出器20によって検出された交流電圧Vsを入力し、交流電圧Vsの値に応じて接触器4を投入する投入指令Kを出力する。接触器4はこの投入指令Kを受けて投入される。すると、ダイオード51→コンデンサ6→ダイオード54の経路で電流Isが流れ、コンデンサ6の充電が行われる。制御装置23は、電圧検出器21によって検出されたコンデンサ6の端子間電圧Vdを入力し、端子間電圧Vdが所定値に達したところで自己消弧型素子57、58を点弧するスイッチング指令Swを出力する。自己消弧型素子57、58はこのスイッチング指令Swを受けて点弧される。すると、ダイオード51→コンデンサ6→ダイオード54の経路で流れていた電流Isは、ダイオード51から自己消弧型素子57に転流し、ダイオード54を経て変圧器3の2次巻線側に戻る。この時、コンデンサ6の充電は行われない。交流電圧Vsの極性はやがて反転し、電流Isの値も減少し始め、電流検出器22によって検出された電流Isがゼロになったとき制御装置23は自己消弧型素子57、58を消弧するスイッチング指令Swを出力する。自己消弧型素子57、58はこのスイッチング指令Swを受けて消弧される。その後は、通常の誘導電動機8を駆動するための制御をコンバータ5、インバータ7にて行えばよい。
【0016】このようにコンデンサ6の充電を要する起動時に、接触器4、コンバータ5を制御装置23により制御することで、コンデンサ6の過充電を防ぐことができる。なお、自己消弧型素子57、58の消弧を電流Isがゼロになったときに行うように制御しているが、コンデンサ6の充電電圧を増加させても問題ないレベルに電流Isが低減していれば、電流Isがゼロになっていなくても自己消弧型素子57、58を消弧させてもよい。
【0017】次に、制御装置23による接触器4の投入タイミングについて説明する。図3は、接触器4の投入タイミングの相違による各種状態量のタイムチャートである。図3の(i )は接触器4を交流電圧Vsの立上がりから投入した場合で、電流Is、端子間電圧Vdは実線に示すように推移する。一方(ii)は接触器4を交流電圧Vsの位相がπ/2からπの間で投入した場合で、電流Is、端子間電圧Vdは点線に示すように推移する。(i )では端子間電圧Vdが所定値まで到達するのは早いが、電流Isが高くなってしまう。これに対して(ii)では電流Isを低くおさえることができる。したがって、接触器4の投入タイミングは(i)より(ii)のほうが、コンデンサ6への過電流を防ぐことができる。
【0018】図4は、制御装置23の接触器4の投入制御部の構成図である。電圧検出器20によって検出された交流電圧Vsは、ゼロクロス判定回路231に入力され、ゼロとなる地点が検出され、ディレイ回路232にて、交流電圧Vsのゼロクロス点から所定の時素遅れて接触器4の投入指令Kが出力される。この投入指令Kを受けて、接触器4は投入されるのだが、接触器4の投入に要する時間誤差は数msが望ましい。このように制御することで、交流電圧Vsの立上がりから接触器4を投入することを防ぎ、コンデンサ6への過電流を防ぐことができる。また、具体的には、漏れリアクタンス31のインダクタンスをLとすると、【0019】
【数1】Vs−Vd=L・(dIs/dt)
C・(dVd/dt)=Isで表され、端子間電圧Vdの最大値Vdmax (自己消弧型素子57、58の点弧を行わない場合)が最小となるような位相θで接触器4を投入するように制御装置23が制御すれば良い。
【0020】図5は、本発明の他の実施の形態を説明する図で、交流電気車制御装置の要部構成図である。本実施の形態では、交流電圧Vsの値に応じて接触器4が投入されると、ダイオード51→コンデンサ6→ダイオード54の経路Aで電流が流れ、コンデンサ6の充電が行われる。ここで、自己消弧型素子56、57を点弧させると、自己消弧型素子57→コンデンサ6→自己消弧型素子56の経路Bで、コンデンサ6の放電が行われる。また自己消弧型素子56、57を消弧させると、経路Aで電流が流れてコンデンサ6の充電が再開する。このように自己消弧型素子56、57の制御を行って、コンデンサ6の充電・放電を繰り返すことで、コンデンサ6の過充電、過電流を防ぐことができる。
【0021】なお、各実施の形態では、交流電圧Vsが正の極性のときに接触器4を投入してコンデンサ6の充電を行う場合を説明したが、負の極性のときに接触器4を投入する場合は、コンデンサ6の充電電流の経路が変わるため、充電を終えるために点弧される自己消弧型素子をその都度変えて同様の制御を行えばよい。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コンデンサを充電するための特別な機器を備えることなく、コンデンサの充電時に過大な充電電流が供給されることを防ぐ交流電気車制御装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成9年(1997)9月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】外川 英明
【公開番号】 特開平11−98610
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−256300