| 【発明の名称】 |
電動車両の制動制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久野 哲也
【氏名】寺澤 禎
【氏名】鈴木 良教
【氏名】大堀 治美
【氏名】浦馬場 真吾
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| 【要約】 |
【課題】電動車両の制動制御装置において、回生制動力の不足分を補償する液圧制動の変動に対して適切に対応し、ブレーキ操作時の違和感を緩和する。
【解決手段】回生制動トルク低減手段によって、車両の制動状態に応じてモータ制御手段(電動モータ11等)による回生制動トルクを低減する。そして、少くとも液圧制御手段(マスタシリンダ2、液圧制限切換装置20等)による液圧制御が開始後、液圧発生装置(マスタシリンダ2)の出力ブレーキ液圧とホイールシリンダ(51,52)に供給されているブレーキ液圧との差圧に応じて、回生制動トルク低減手段による回生制動トルクの低減特性を補正する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の車輪に連結する電動モータと、前記車両に搭載する電池と、該電池を電源として前記電動モータを回転駆動し前記車輪に駆動力を付与すると共に、前記電動モータの回生制動により前記車輪に制動力を付与するモータ制御手段と、前記車輪に装着したホイールシリンダに対しブレーキ操作部材の操作に応じて液圧発生装置を駆動してブレーキ液圧を供給する液圧制動により前記車輪に制動力を付与する液圧制御手段とを備えた電動車両の制動制御装置において、前記車両の制動状態を判定する制動状態判定手段と、該制動状態判定手段が判定した前記車両の制動状態に応じて前記モータ制御手段による回生制動トルクを低減する回生制動トルク低減手段と、少くとも前記液圧制御手段による液圧制御が開始後、前記液圧発生装置の出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出する差圧検出手段と、該差圧検出手段の検出結果に応じて前記回生制動トルク低減手段による回生制動トルクの低減特性を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする電動車両の制動制御装置。 【請求項2】 前記液圧発生装置がマスタシリンダであって、前記差圧検出手段が前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出するように構成したことを特徴とする請求項1記載の電動車両の制動制御装置。 【請求項3】 前記液圧発生装置がマスタシリンダと、該マスタシリンダとは独立して前記ブレーキ操作部材の操作に応じてパワー液圧を出力する補助液圧源を備え、前記液圧制御手段が前記ホイールシリンダに対し前記ブレーキ操作部材の操作に応じて前記補助液圧源を駆動してパワー液圧を供給して液圧制動を行なうと共に、前記差圧検出手段が前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出するように構成したことを特徴とする請求項1記載の電動車両の制動制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、回生制動と液圧制動を併用する電動車両の制動制御装置に関し、特に、回生制動の不足を液圧制動によって円滑に補うように制御する制動制御装置に係る。 【0002】 【従来の技術】近時、電動モータを駆動源とする電動車両においては、電動モータを発電機として機能させバッテリに充電させることによってエネルギーを回収し、電動モータ駆動時のエネルギーを増大する回生制動が行なわれている。この回生制動による制動力の付与には限界があるので、液圧制動で補う必要があり、例えば特開平5−161210号公報に記載の電動車両の制動装置のように、液圧制動と回生制動が併用される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−161210号公報に記載のような従来の電動車両の制動制御装置においては、通常、回生制動は所定のトルクマップあるいは液圧係数に基づいて設定されており、例えば低速域では回生制動力が不足するため液圧制動等の他の制動作動によって補償するように構成されていた。然し乍ら、補償に供する液圧制動の制動力が変化するため、補償分が過大となることもあり、その場合にはブレーキフィーリングが変化し、運転者に対し違和感を与えることになる。 【0004】そこで、本発明は、回生制動と液圧制動を併用する電動車両の制動制御装置において、回生制動力の不足分を補償する液圧制動の変動に対して適切に対応し、ブレーキ操作時の違和感を緩和することを課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するため、本発明は、車両の車輪に連結する電動モータと、前記車両に搭載する電池と、該電池を電源として前記電動モータを回転駆動し前記車輪に駆動力を付与すると共に、前記電動モータの回生制動により前記車輪に制動力を付与するモータ制御手段と、前記車輪に装着したホイールシリンダに対しブレーキ操作部材の操作に応じて液圧発生装置を駆動してブレーキ液圧を供給する液圧制動により前記車輪に制動力を付与する液圧制御手段とを備えた電動車両の制動制御装置において、前記車両の制動状態を判定する制動状態判定手段と、該制動状態判定手段が判定した前記車両の制動状態に応じて前記モータ制御手段による回生制動トルクを低減する回生制動トルク低減手段と、少くとも前記液圧制御手段による液圧制御が開始後、前記液圧発生装置の出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出する差圧検出手段と、該差圧検出手段の検出結果に応じて前記回生制動トルク低減手段による回生制動トルクの低減特性を補正する補正手段とを備えることとしたものである。 【0006】前記制動制御装置において、前記液圧発生装置はマスタシリンダで構成し、前記差圧検出手段が前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出するように構成するとよい。 【0007】また、前記制動制御装置において、前記液圧発生装置は、マスタシリンダと、該マスタシリンダとは独立して前記ブレーキ操作部材の操作に応じてパワー液圧を出力する補助液圧源を備えたものとし、前記液圧制御手段が前記ホイールシリンダに対し前記ブレーキ操作部材の操作に応じて前記補助液圧源を駆動してパワー液圧を供給して液圧制動を行なうと共に、前記差圧検出手段が前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧と前記ホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧を検出するように構成するとよい。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電動車両の制動制御装置を示すもので、回生制動を行なう電動モータ11と、液圧制動を行なう液圧制御装置を備え、後者は静的液圧出力手段たるマスタシリンダ2と、動的液圧出力手段たるレギュレータ3がブレーキペダル5の操作に応じて駆動されるように構成されている。図1において、車輪FRは運転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、車輪FR,FL,RR,RLにはホイールシリンダ51乃至54が装着されている。本実施形態では、前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された所謂前後配管方式のブレーキ液圧系が構成されている。 【0009】本実施形態の電動車両は、前方の車輪FR,FLが駆動輪で後方の車輪RR,RLが従動輪の所謂前輪駆動に係り、車輪FR,FLはトランスミッション12を介して駆動用の電動モータ11に接続されており、この電動モータ11は電子制御装置10によって駆動制御される。電子制御装置10は、電動モータ11を駆動制御するモータ制御手段たるモータ制御用のマイクロコンピュータ10aと、液圧制御手段たる液圧制御用のマイクロコンピュータ10bで構成されているが、これらの基本的な構成は例えば特開平7−336806号公報に記載のものと同様であるので説明を省略する。 【0010】電動モータ11は、固定子の3相の巻線に交流電力を印加することによって回転磁界を発生させ、永久磁石を有する回転子を回転駆動する誘導電動機で構成されている。従って、マイクロコンピュータ10aによって制御されるモータ駆動回路(図示せず)にはインバータ(図示せず)が設けられている。この電動モータ11によれば、車輪FR,FLが回転しているときに、その回転を止める方向の磁界を固定子によって発生させることによって、回転子に対し制動力を付与すると共に、固定子の巻線に発生する起電力をバッテリー13に回収することができる。これにより、回生制動が行なわれる。 【0011】図1において、マスタシリンダ2の圧力室は低圧リザーバ4に接続されており、マスタシリンダ2の圧力室と車両前方のホイールシリンダ51,52の各々を接続する前輪側の主液圧路8には、回生制動に対し液圧制動の追加及び切換を行なう液圧制限切換装置20が介装されている。一方、レギュレータ3と車両後方のホイールシリンダ53,54の各々を接続する後輪側の主液圧路9には液圧制限切換装置30が介装されているが、後述するように液圧制限切換装置20とは若干構成が異なる。 【0012】レギュレータ3には補助液圧源40が接続されており、これらはマスタシリンダ2と共に低圧リザーバ4に接続されている。補助液圧源40は、液圧ポンプ41及びアキュムレータ44を有する。液圧ポンプ41は電動モータ42によって駆動され、低圧リザーバ4のブレーキ液を昇圧して出力し、このブレーキ液が逆止弁43を介してアキュムレータ44に供給され、蓄圧される。 【0013】電動モータ42は、アキュムレータ44内の液圧が所定の下限値を下回ることに応答して駆動され、またアキュムレータ44内の液圧が所定の上限値を上回ることに応答して停止する。而して、アキュムレータ44から所謂パワー液圧が適宜レギュレータ3に供給される。レギュレータ3は、補助液圧源40の出力液圧を入力し、マスタシリンダ2の出力液圧をパイロット圧として、これに比例したレギュレータ液圧(マスタシリンダ液圧と略等しい値)に調圧するもので、その基本的構成は周知であるので、説明は省略する。尚、レギュレータ液圧の一部はマスタシリンダ2の倍力駆動に供される。 【0014】液圧制限切換装置20は、図1に示すように、第1のリリーフバルブ21、電磁開閉弁22、プロポーショニングバルブ23及び第2のリリーフバルブ26が並列に接続され、更に、第2のリリーフバルブ26に直列に電磁開閉弁27が配設されている。第1のリリーフバルブ21は、マスタシリンダ2の出力液圧が所定圧力Pcに達するまでは主液圧路8の連通を制限し所定圧力Pc以上となったときに主液圧路8を連通するものである。また、第2のリリーフバルブ26は、所定圧力Pcより低圧の所定圧力Pbにマスタシリンダ2の出力液圧が達するまでは主液圧路8の連通を制限し、所定圧力Pb以上となったときに主液圧路8を連通するものである。 【0015】電磁開閉弁22は、電子制御装置10によって駆動制御され、最大回生制動力に応じて開閉する電磁弁で、電磁開閉弁27も電子制御装置10によって駆動制御され、最大回生制動トルクに応じて開閉する電磁弁であるが、特に車両の速度又は車両の最大回生制動トルクに応じて開閉する電磁弁である。そして、プロポーショニングバルブ23は、ブレーキペダル5の操作に応じたマスタシリンダ2の出力液圧を所定の関係に制御してホイールシリンダ51,52に供給する液圧制御弁で、従来から前後制動力配分制御用として用いられているプロポーショニングバルブと実質的に同一の構成であるが、後述するように折点の液圧が低く抑えられている。尚、第1のリリーフバルブ21(電磁開閉弁22)の上流側及び下流側には、夫々圧力センサ24,25が配設されている。 【0016】一方、後輪側の液圧制限切換装置30は、リリーフバルブ31、電磁開閉弁32及びプロポーショニングバルブ33が並列に接続されたもので、上記の第2のリリーフバルブ26及び電磁開閉弁27に相当するものが設けられていないが、これらを設けることとしてもよい。リリーフバルブ31は、マスタシリンダ液圧が所定圧力Pcに達するまでは主液圧路9の連通を制限し所定圧力Pc以上となったときに主液圧路9を連通するものである。また、電磁開閉弁32は、電磁開閉弁22と同様に回生制動トルクに応じて主液圧路9を開閉するもので、プロポーショニングバルブ33はプロポーショニングバルブ23と同様の機能を有する。 【0017】上記の液圧制限切換装置20を構成する第1のリリーフバルブ21、電磁開閉弁22及びプロポーショニングバルブ23は図6に示す特性を有する。即ち、プロポーショニングバルブ23の特性は、制動操作の初期にはブレーキペダル5の操作に応じてマスタシリンダ液圧が増圧し、このマスタシリンダ液圧に比例してホイールシリンダ液圧が増圧するが、所定圧力Paに達すると略一定となり、マスタシリンダ液圧が増大してもホイールシリンダ液圧は微増するのみとなる。上記所定圧力Paは、ホイールシリンダ51等にブレーキ液が充填され、ブレーキパッド(図示せず)がロータ(図示せず)に当接する程度の低い値に設定されている。而して、プロポーショニングバルブ23は、ブレーキ操作の初期にブレーキ液をホイールシリンダに充填する機能、第1のリリーフバルブ21が作動するまで液圧を遮断する機能、及びホイールシリンダ51等からマスタシリンダ2にブレーキ液を戻す機能を有する。 【0018】第1のリリーフバルブ21の特性は、図6に二点鎖線で示すように、マスタシリンダ液圧が所定圧力Pcに達するまでは閉状態にあり、所定圧力Pcを超えると開弁し、この後はマスタシリンダ液圧増加に比例したホイールシリンダ液圧増加となる。また、第2のリリーフバルブ26の特性は、実線で示すように、マスタシリンダ液圧が所定圧力Pb(Pb<Pc)に達するまでは閉状態にあり、所定圧力Pbを超えると開弁し、この後はマスタシリンダ液圧増加に比例したホイールシリンダ液圧増加となる。尚、電磁開閉弁27は第2のリリーフバルブ26の作動を制御する弁であるが、電磁開閉弁22は、その開位置で、図6に破線で示すようにマスタシリンダ液圧に一致したホイールシリンダ液圧の特性を有する。換言すれば、図6において電磁開閉弁22の特性を示す破線と、第1のリリーフバルブ21又は第2のリリーフバルブ26及びプロポーショニングバルブ23の特性を示す実線との間に囲まれた領域が減圧領域であり、液圧制動に代わって回生制動が行なわれる範囲である。 【0019】図1に示すように、ブレーキペダル5には、これが踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ6が設けられており、圧力センサ24,25と同様に電子制御装置10に接続されている。また、トランスミッション12のシフト位置が検出され電子制御装置10に検出信号が供給される。更に、車輪FR,FL,RR,RLには車輪速度センサ91乃至94が配設され、これらが電子制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置10に供給されるように構成されている。 【0020】更に、液圧制限切換装置20とホイールシリンダ51,52の間の主液圧路8には、サブシリンダ70が介装されている。また、主液圧路9からは副液圧路9aが分岐し、これにサブシリンダ70が接続されている。サブシリンダ70は、シリンダ71内にピストン72が摺動自在に収容され、このピストン72を介してシリンダ71内の両側に第1の圧力室74と第2の圧力室75が郭成されている。第2の圧力室75内には圧縮スプリング73が収容されており、第1及び第2の圧力室74,75に液圧が付与されていないときには第2の圧力室75が最大容量(従って、第1の圧力室74が最小容量)となるように、圧縮スプリング73によってピストン72が図1の左方に付勢されている。 【0021】そして、第1の圧力室74に接続される副液圧路9aには電磁開閉弁61が介装されており、この電磁開閉弁61に対して並列に逆止弁62が接続されている。電磁開閉弁61は2ポート2位置の常閉の電磁弁であり、非作動時は閉成されており、作動時の開位置では第1の圧力室74が副液圧路9aを介してレギュレータ3に連通する。従って、サブシリンダ70においては、電磁開閉弁61が開位置にあれば、第1の圧力室74にレギュレータ液圧(マスタシリンダ液圧と略等しい)が付与され、第2の圧力室75にはホイールシリンダ液圧が付与されるが、両圧力室はピストン72によって液圧的に分離されている。そして、第1及び第2の圧力室74,75内に液圧が付与されていないときには、ピストン72は図1に示すように第1の圧力室74の容量が最小となる位置にある。 【0022】電磁開閉弁61が開位置とされ、電磁開閉弁61を介して第1の圧力室74にレギュレータ液圧が付与されると、ピストン72が第2の圧力室75を縮小する方向に駆動されるので、主液圧路8を介してホイールシリンダ51,52に第2の圧力室75内のブレーキ液が吐出され増圧される。このときホイールシリンダ51,52に吐出されるブレーキ液の量は第2の圧力室75の最大容量が限度であるので、ホイールシリンダ51,52に対し過剰にブレーキ液が供給されることはない。尚、サブシリンダ70を設けることなく、電磁開閉弁61が開位置のときには、レギュレータ液圧を直接ホイールシリンダ51,52に付与することとしてもよい。 【0023】更に、詳細な図示は省略したが、本実施形態においては図1に一点鎖線で示すように、サブシリンダ70とホイールシリンダ51,52との間、及び液圧制限切換装置30とホイールシリンダ53,54との間に複数の電磁弁で構成したモジュレータMDが介装されており、各電磁弁が電子制御装置10によって制御されるように構成されている。これによれば、アンチスキッド制御だけでなく、レギュレータ3の出力液圧をモジュレータMDによって制御することより、トラクション制御、前後制動力配分制御、制動操舵制御等を行なうことができる。 【0024】上記のように構成された制動制御装置においては、電動モータ42によって液圧ポンプ41が駆動され、アキュムレータ44にパワー液圧が蓄圧されている。各電磁弁が図1に示す状態にあるときにブレーキペダル5が踏み込まれると、マスタシリンダ2からマスタシリンダ液圧が出力されると共に、レギュレータ3からレギュレータ液圧が出力される。そして、電子制御装置10により制動制御の一連の処理が行なわれ、車両が走行中、図2、図3及び図5のフローチャート等に対応したプログラムが実行される。 【0025】図2において、先ずステップ101にてイグニッションスイッチ(図示せず)がオンと判定されると、ステップ102に進みイニシャルチェックが行なわれる。具体的には、電動モータ11の状態、トランスミッション12の状態及びバッテリー13の状態の検出結果に基づき回生制動を行なう条件を充足しているか否かが判定される。例えば、極低速走行時、バッテリー満充電時、故障時及びニュートラルシフト位置にある時には、回生制動を行なう条件を充足していないと判定され、適宜警報が行なわれる。 【0026】開始条件を充足していればステップ103に進み、高速時の液圧制御を行なう条件を充足しているか否かが判定され、充足しておればステップ104乃至106に進み、別途サブルーチン(図示せず)に従って車両の高速走行時に特有の回生制動制御及び液圧制御、並びに後述する回生トルク補償制御が行なわれ、充足していなければステップ107に進む。ステップ107においては、低速時の液圧制御を行なう条件を充足しているか否かが判定され、充足しておればステップ108乃至110に進み、別途サブルーチン(図示せず)に従って車両の低速走行時に特有の回生制動制御及び液圧制御、並びに回生トルク補償制御が行なわれ、充足していなければそのままステップ111に進む。而して、ステップ111にてイグニッションスイッチ(図示せず)がオフと判定されるまで、ステップ103に戻り上記の制御が繰り返される。 【0027】図3は、図2のステップ104,108で実行される回生制動制御の処理を示すもので、先ずステップ201にてブレーキスイッチ6がオンか否かが判定される。ブレーキスイッチ6がオンであればステップ202に進みトランスミッション12のシフト位置が判定され、ドライブ位置(D)又はモータブレーキ位置(B)であればステップ203に進む。ステップ201,202においてNOと判定されたときにはそのままメインルーチンに戻る。尚、モータブレーキ位置(B)は電動自動車特有のシフト位置で、この位置ではブレーキ操作は行なわれないがエンジンブレーキと同様の状態となる。 【0028】本実施形態では、電動モータ11の回転数(車両の速度に対応)に応じて所定の回生制動トルクを発生するように、モータ回転数とマスタシリンダ液圧とを対応させた回生制動トルクマップ(図示せず)がメモリに格納されている。また、ブレーキ液圧に対して回生制動トルクを係数化したブレーキ係数(例えば、回生制動トルク120N・mをブレーキ係数1.0とする)が、例えば図4に示すように設定され、メモリに格納されている。 【0029】そして、ステップ203において、そのときのマスタシリンダ液圧から求めたモータ回転数に対応するトルクと、マスタシリンダ液圧から求めたブレーキ係数に対応するトルクとが比較される。前者のトルクのほうが後者のトルクより大であれば、ステップ204に進みブレーキ係数が選択され、ステップ205において回生制動トルク低減マップ演算が行なわれる。回生制動トルク低減マップは、低速で回生制動トルクを強制的に低減するもので、マスタシリンダ液圧に応じて、回生制動トルクの低減を開始するモータ回転数が設定される。而して、この回生制動トルク低減マップに基づいて設定されたモータ回転数で、ステップ206において回生制動トルク低減が開始される。 【0030】一方、ブレーキ係数に対応するトルクのほうがマスタシリンダ液圧から求めたモータ回転数に対応するトルクより大であれば、ステップ207に進み回生制動トルクマップが選択され、ステップ208において回生制動トルク低減マップ演算が行なわれる。そして、ステップ209において、回生制動トルク低減マップに基づき、マスタシリンダ液圧に応じたモータ回転数(車両の速度)で、回生制動トルク低減が開始される。而して、マスタシリンダ液圧が高いときにはモータ回転数が高い領域(高車速)から回生制動トルクの低減が行なわれ、マスタシリンダ液圧が低いときにはモータ回転数が低い領域(低車速)から回生制動トルクの低減が行なわれる。 【0031】次に、図2のステップ106,110で実行される回生トルク補償制御の処理に関し図5を参照して説明する。先ず、ステップ301において、圧力センサ24の検出出力であるマスタシリンダ液圧Pmが電子制御装置10のメモリに記憶される。同様に、ステップ302にて圧力センサ25の検出出力であるホイールシリンダ液圧Pwが電子制御装置10のメモリに記憶される。次に、ステップ303において、回生制動トルク低減マップ演算が行なわれる。この回生制動トルク低減マップは、前述のように低速で回生制動トルクを強制的に低減する回生制動トルク低減制御に供するもので、例えばマスタシリンダ液圧Pmに応じて、回生制動トルク低減制御を開始するモータ回転数(車両の速度)が設定されると共に、低減される回生制動トルクの値がトルクマップ値Tmとして設定される。 【0032】そして、ステップ304に進み、少くとも回生制動トルク低減制御を開始した時以降のマスタシリンダ液圧Pmとホイールシリンダ液圧Pwの差圧Pd(Pd=Pm−Pw)が演算される。この差圧Pdに基づき、ステップ305において、差圧補正値Tcが、例えばTc(Nm)=Pd(Mpa) ・120(Nm)/2(Mpa) として求められる(括弧内は単位を表し、Nmはニュートン・メートル、Mpa はメガパスカルを表す)。尚、差圧PdがPd≧2(Mpa) であるときには、差圧Pdとして2(Mpa) が設定される。即ち、差圧Pdは2(Mpa) が上限とされる。 【0033】続いてステップ306において、トルクマップ値Tmと差圧補正値Tcとが比較される。トルクマップ値Tmが差圧補正値Tcより大であれば、ステップ307に進み、小さい方の差圧補正値Tcが選択され、トルクマップ値Tmが差圧補正値Tc以下であれば、ステップ308に進み、小さい方のトルクマップ値Tmが選択される。そして、ステップ309にて、回生制動トルク低減制御も含め、別途サブルーチン(図示せず)に基づいて回生制動トルク制御が行なわれる。 【0034】図7は本実施形態における回生制動トルク低減制御の制御状況を示すもので、例えばマスタシリンダ液圧の値に応じて回生制動トルク低減マップ(図示せず)からモータ回転数が選択され、そのモータ回転数に達した時に(例えばa点で)回生制動トルクの低減が開始する。図7において斜線で示した領域は、回生制動トルク低減制御時の液圧制動と回生制動の合成制動トルクを示すものである。これにより、図7に突出した斜線部として表れているように、過剰な制動トルクが加えられるので、ブレーキ操作時のフィーリングを損なうことになる。そこで、本実施形態ではマスタシリンダ液圧Pmとホイールシリンダ液圧Pwの差圧Pdに基づき差圧補正値Tcが求められ、この差圧補正値Tcに応じて図7の最下段に示すように制御され、回生制動トルクの低減特性が補正される。而して、回生制動と液圧制動の合成制動トルクの変動を抑え、車両が停止するまで安定した制動力を付与することができる。 【0035】 【発明の効果】本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明の電動車両の制動制御装置は、制動状態判定手段が判定した車両の制動状態に応じてモータ制御手段による回生制動トルクを回生制動トルク低減手段によって低減し、少くとも液圧制御手段による液圧制御が開始後、液圧発生装置の出力ブレーキ液圧とホイールシリンダに供給されているブレーキ液圧との差圧に応じて、回生制動トルク低減手段による回生制動トルクの低減特性を補正するように構成されているので、回生制動力の不足分を補償する液圧制動の変動に対して適切に対応することができ、ブレーキ操作時の違和感を緩和することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000011 【氏名又は名称】アイシン精機株式会社 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】池田 一眞
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| 【公開番号】 |
特開平11−98609 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−270412 |
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