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【発明の名称】 回生電力吸収装置の電源装置
【発明者】 【氏名】吉川 春樹

【要約】 【課題】電気車が回生する電力を回生電力吸収装置に吸収する際の当該電気車の電圧が過大になるのを防止することにある。

【解決手段】電車線3から、これとは絶縁された所望電圧の電力を得る動作用電源回路20,または電力吸収装置主回路10の電力吸収用抵抗13に接続して、これとは絶縁して得られる所望電圧の電力をバッテリー31に蓄える構成の動作用電源回路30,または前記動作用電源回路20と動作用電源回路30とを並列にした構成の動作用電源回路60,のいずれかを電力吸収装置主回路10に付属させて回生電力吸収装置を構成することにより、当該回生電力吸収装置の設置場所を変電所2の近傍に限定せず、任意の場所に設置できるようにして、電力を回生する際の電気車電圧が高くなるのを回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】半導体スイッチ素子と抵抗器とを直列接続した直列回路の複数を相互に並列接続した構成の回生電力吸収装置を、電気車へ直流電力を供給する電車線と大地との間に接続し、前記電車線の電圧値に対応して前記各半導体スイッチ素子をオン・オフ動作させる構成の回生電力吸収装置において、前記回生電力吸収装置を制御する制御装置へ電力を供給する動作用電源回路は、当該回生電力吸収装置を接続している前記電車線から電力の供給を受けて所定の制御用電力を出力する制御電源を備え、この動作用電源回路を前記回生電力吸収装置に付属させることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項2】請求項1に記載の回生電力吸収装置の電源装置において、前記動作用電源回路は、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する絶縁型直流/直流変換器の入力側を前記電車線と大地との間に接続し、この絶縁型直流/直流変換器の出力側に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を備えることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項3】半導体スイッチ素子と抵抗器とを直列接続した直列回路の複数を相互に並列接続した構成の回生電力吸収装置を、電気車へ直流電力を供給する電車線と大地との間に接続し、前記電車線の電圧値に対応して前記各半導体スイッチ素子をオン・オフ動作させる構成の回生電力吸収装置において、前記回生電力吸収装置を制御する制御装置へ電力を供給する動作用電源回路は、当該回生電力吸収装置の電力吸収部分に接続してこの回生電力吸収装置が吸収する電力の一部を蓄えるバッテリーと、このバッテリーから電力の供給を受けて所定の制御用電力を出力する制御電源を備え、この動作用電源回路を前記回生電力吸収装置に付属させることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項4】請求項3に記載の回生電力吸収装置の電源装置において、前記動作用電源回路は、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する絶縁型直流/直流変換器の入力側を、少なくとも1つの前記直列回路を構成する前記抵抗器に接続し、この絶縁型直流/直流変換器の出力側にバッテリーを接続し、このバッテリーに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を備えることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項5】請求項3または請求項4に記載の回生電力吸収装置の電源装置のいずれかにおいて、前記動作用電源回路は、前記バッテリーの入力電圧を一定化する定電圧電源を、当該バッテリーの入力側に備えることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項6】請求項3乃至請求項5に記載の回生電力吸収装置の電源装置のいずれかにおいて、前記動作用電源回路は、前記バッテリーまたはこのバッテリーよりも末端側部分の電圧を検出する電圧検出回路と、この検出電圧が所定値以下になれば当該動作用電源回路を接続している部分の回生電力吸収装置を動作させる動作指令回路とを備えることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項7】半導体スイッチ素子と抵抗器とを直列接続した直列回路の複数を相互に並列接続した構成の回生電力吸収装置を、電気車へ直流電力を供給する電車線と大地との間に接続し、前記電車線の電圧値に対応して前記各半導体スイッチ素子をオン・オフ動作させる構成の回生電力吸収装置において、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する第1絶縁型直流/直流変換器の入力側を前記電車線と大地との間に接続し、この第1絶縁型直流/直流変換器の出力側に平滑コンデンサを接続し、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する第2絶縁型直流/直流変換器の入力側を、少なくとも1つの前記直列回路を構成する前記抵抗器に接続し、この第2絶縁型直流/直流変換器の出力側は前記平滑コンデンサに接続し、この平滑コンデンサに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を接続する構成の動作用電源回路を、前記回生電力吸収装置に付属させることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【請求項8】請求項1乃至請求項7に記載の回生電力吸収装置の電源装置のいずれかにおいて、前記動作用電源回路は、前記回生電力吸収装置の運転に必要な補機の電源を備えることを特徴とする回生電力吸収装置の電源装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、直流電気車が電力回生運転を行う際に発生する回生電力を吸収する回生電力吸収装置の電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】変電所は商用交流電力を直流電力に変換して電車線に送り出し、直流電気車はこの直流電力を、電車線からパンタグラフなどの集電装置を使って車内に取り込んで電動機を回転させて走行する。この直流電力はレールを介して大地へ放流するのが通常である。前記の変電所は線路に沿って設置されるが、その線路を走る電気車の走行量によって変電所の容量や設置間隔が異なる。電気車が加速する場合は、変電所から電車線を介して大電流が電気車に流れ込むから、このときの電車線のインピーダンス電圧降下は大である。例えば、公称電圧がDC1500V の電気車の場合は、2つの変電所の中間点を走行中の電気車が加速する際の電車線インピーダンス電圧降下値が150Vであるならば、変電所の出力電圧をDC1,650Vにしなければならない。変電所出力電圧が低いと、電気車入力電圧も低下して電気車の不足電圧継電器が動作して運転不能になる恐れがある。
【0003】ところで、走行中の電気車を減速させるには、従来は車輪とブレーキシューとを摩擦させる機械式ブレーキが多用されていたが、この機械式ブレーキは電気車の運動エネルギーを、再利用が困難な熱エネルギーに変換することで減速する方式であるから、運動エネルギーは無駄に捨てられていた。また機械式ブレーキは保守・点検に手間がかかるし、連続使用で高温になると制動力が低下するし、制動力が大きすぎて車輪がロックされると、逆に制動距離が長くなってしまうなど、各種の不具合がある。
【0004】そこで近年では、電気車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電源側へ戻すことにより、当該電気車の速度を低下させる回生制動が多用されるようになってきた。回生制動により減速中の電気車が回生した電力は他の電気車の加速に利用できるので、従来は無駄に捨てていたエネルギーを有効利用できる効果が得られる。しかし加速中の電気車がいなければエネルギーの行き先が無くなって電力を回生する効果が得られず、従って減速もできなくなってしまう。そこでこのような場合に備えて回生電力吸収装置を電車線に接続する。
【0005】図8は回生電力吸収装置の従来例を示した回路図である。図8において、変電所2は直流電気車を走らせるために、商用交流電力を例えばDC1,650Vに変換して電車線3へ供給する。図示していない電気車は、電車線3からパンタグラフなどの集電装置で車内に取り込んだ直流電力で走行する。一方、回生電力吸収装置は動作用電源回路4と制御電源5および抵抗器と半導体スイッチ素子との直列接続回路でなる電力吸収装置主回路10とで構成している。図8の従来例回路では、3組の抵抗11,12,13と、これらに別個に直列接続する半導体スイッチ素子としてのゲートターンオフサイリスタ(以下ではGTOと略記する)14,15,16で3組の直列回路を形成し、これら各直列回路を相互に並列接続することで電力吸収装置主回路10を構成するのであるが、この電力吸収装置主回路10を電車線3と大地との間に接続する。
【0006】前述したように、電気車が減速する際に回生する電力が、他の電気車で消費されなければ、電車線3の電圧を上昇させる。そこでこの電圧上昇を検出してGTO14,15,16のいずれか、または全部をオン・オフ動作させる。その結果、抵抗11,12,13のいずれか、または全部に電流が流れて減速中の電気車が発生する回生電力を消費するので、前記電気車を確実に減速させることができる。ここでGTO14,15,16をオン・オフ動作させる際のオン時間とオフ時間との比率を調節することで、抵抗11,12,13が消費する電力を自由に変化させることができる。電力吸収装置主回路10にこのような動作をさせるには制御電源5が必要であり、動作用電源回路4が制御電源5へ所要の電力を供給する。
【0007】ところで変電所2には、当該変電所2を運転するために各種の制御回路と、この制御回路へ電力を供給するために各種の電源回路を備えている。そこで電力吸収装置主回路10を作動させるための動作用電源回路4も前記変電所2の内部に設置することが多い。従って、回生電力吸収装置を変電所2の内部または変電所2の近傍に設置するのが一般的であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】直流電気車の公称電圧はDC1500V であることが多い。よって以下ではDC1500Vの直流電気車を例にして説明する。変電所2は線路に沿って所定の間隔で設置されているが、電気車の受電電圧が最低になるのは、2つの変電所2の中間点を加速しながら走行するときである。電気車が加速する際には大電流が必要であり、この電流で電車線3には電車線インピーダンス電圧降下を生じる。このときの電気車の受電電圧が公称電圧と同じ値のDC1,500Vであり、電車線インピーダンス電圧降下値が150Vであるならば、変電所2の出力電圧は前述したようにDC1,650Vか、これよりも高い値にしなければならない。
【0009】一方、変電所2に設置する回生電力吸収装置の動作開始電圧はこの変電所2の出力電圧よりも高い値,例えばDC1,750Vに設定する必要がある。走行中の電気車が2つの変電所2の中間点で減速を開始したときに、電気車から回生電力吸収装置へ流れる回生電流の大きさが、加速時に当該電気車へ流入する電流と同じ値と仮定すると、この回生電流による電車線インピーダンス電圧降下値は前述と同様に150Vであるから、減速を開始した電気車の電圧がDC1,900V(これは回生電力吸収装置の動作開始電圧値と電車線インピーダンス電圧降下値との和である)まで上昇しなければ回生電力吸収装置が作動を開始しないことを意味する。一方、この電気車に搭載している過電圧継電器の設定電圧は一般にDC1,900V程度である(この値を高くすると搭載している半導体素子に悪影響を生じる)から、回生電流の大きさによっては当該過電圧継電器が動作し、電力の回生による減速ができなくなる恐れを生じる。
【0010】そこでこのような不具合の発生を回避するためには、電車線インピーダンス電圧降下値を小さくしなければならない。そのためには電車線を太くする、変電所の設置間隔を短縮するなどの処置が必要になるが、これには多大な時間と費用が必要な工事となり、簡単に解決することはできない不具合がある。そこでこの発明の目的は、電気車が回生する電力を回生電力吸収装置に吸収する際の当該電気車の電圧が過大になるのを防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、この発明の回生電力吸収装置の電源装置は、半導体スイッチ素子と抵抗器とを直列接続した直列回路の複数を相互に並列接続した構成の回生電力吸収装置を、電気車へ直流電力を供給する電車線と大地との間に接続し、前記電車線の電圧値に対応して前記各半導体スイッチ素子をオン・オフ動作させる構成の回生電力吸収装置において、請求項1に記載の電源装置では、回生電力吸収装置の制御装置へ電力を供給する動作用電源回路は、当該回生電力吸収装置を接続している前記電車線から電力の供給を受けて所定の制御用電力を出力する制御電源を備える構成とし、この動作用電源回路を当該回生電力吸収装置に付属させる。
【0012】請求項2に記載の電源装置では、請求項1に記載の動作用電源回路を、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する絶縁型直流/直流変換器の入力側を前記電車線と大地との間に接続し、この絶縁型直流/直流変換器の出力側に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を接続する構成とする。
【0013】請求項3に記載の電源装置では、回生電力吸収装置の制御装置へ電力を供給する動作用電源回路は、当該回生電力吸収装置の電力吸収部分に接続してこの回生電力吸収装置が吸収する電力の一部を蓄えるバッテリーと、このバッテリーから電力の供給を受けて所定の制御用電力を出力する制御電源を備える構成とし、この動作用電源回路を当該回生電力吸収装置に付属させる。
【0014】請求項4に記載の電源装置では、請求項3に記載の動作用電源回路を、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する絶縁型直流/直流変換器の入力側を、少なくとも1つの前記直列回路を構成する前記抵抗器に接続し、この絶縁型直流/直流変換器の出力側にバッテリーを接続し、このバッテリーに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を接続する構成とする。
【0015】請求項5に記載の電源装置では、請求項3または請求項4のいずれかに記載の動作用電源回路に、前記バッテリーの入力電圧を一定化する定電圧電源を、当該バッテリーの入力側に付加する構成とする。請求項6に記載の電源装置では、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の動作用電源回路に、前記バッテリーまたはこのバッテリーよりも末端側のいずれかの電圧を検出する電圧検出回路と、この検出電圧が所定値以下になれば当該動作用電源回路を接続している部分の回生電力吸収装置を動作させる動作指令回路とを付加する構成とする。
【0016】請求項7に記載の電源装置では、回生電力吸収装置の制御装置へ電力を供給する動作用電源回路は、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する第1絶縁型直流/直流変換器の入力側を前記電車線と大地との間に接続し、この第1絶縁型直流/直流変換器の出力側に平滑コンデンサを接続し、入力直流電圧をこれとは絶縁された所望の直流電圧に変換する第2絶縁型直流/直流変換器の入力側を、少なくとも1つの前記直列回路を構成する前記抵抗器に接続し、この第2絶縁型直流/直流変換器の出力側は前記平滑コンデンサに接続し、この平滑コンデンサに前記回生電力吸収装置制御用電力を出力する制御電源を備える構成とし、この動作用電源回路を当該回生電力吸収装置に付属させる。
【0017】請求項8に記載の電源装置では、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の動作用電源回路に、前記回生電力吸収装置の運転に必要な補機の電源を付加した構成とする。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例を表した回路図であって、請求項1に対応する。ここで図1に図示の電車線3、制御電源5、電力吸収装置主回路10とこれを構成する抵抗11,12,13およびGTO14,15,16の名称・用途・機能は図8で既述の従来例回路と同じであるから、これらの説明は省略する。
【0019】図1の第1実施例回路は、制御電源5と絶縁型直流/直流変換器21とを備えた動作用電源回路20が、所要の電力を電車線3から取り入れる構成になっている。この動作用電源回路20は電力吸収装置主回路10に付属しているから、回生電力吸収装置の設置場所を変電所2の内部やその近傍に限定する必要は無い。従って2つの変電所2の間の最適地点(例えば中間点)に当該回生電力吸収装置を設置すれば、電気車電圧を高くせずに電力回生による減速が可能になる。
【0020】図2は本発明の第2実施例を表した回路図であって、図1に図示の動作用電源回路の構成を表しており、請求項2に対応する。すなわち絶縁型直流/直流変換器21はスイッチング素子22,変圧器23,ダイオード24,および平滑コンデンサ25で構成しており、スイッチング素子22のオン・オフ動作により電車線3からの直流とは絶縁された所望電圧の平滑された直流電力が得られる。なお、変電所2と電車線3は図8の従来例回路で既述しているので、これらの説明は省略する。
【0021】図3は本発明の第3実施例を表した回路図であって、請求項3または請求項4に対応する。ここで図3に図示の電車線3、制御電源5、電力吸収装置主回路10とこれを構成する抵抗11,12,13およびGTO14,15,16の名称・用途・機能は図8で既述の従来例回路と同じであるから、これらの説明は省略する。
【0022】この第3実施例回路では、動作用電源回路30は制御電源5,変圧器23,ダイオード24,バッテリー31で構成しており、変圧器23の一次巻線を電力吸収装置主回路10を構成している任意の抵抗(図3では抵抗13)の両端に並列に接続する。但し前記変圧器23の一次巻線を並列に接続する抵抗は複数であっても差し支え無いし、抵抗の両端に並列接続せずに、抵抗の一部分に並列接続しても差し支え無いのは勿論である。回生電力吸収装置が動作中(但しGTO16が動作して抵抗13に電流が流れていることが条件である)ならば、GTO16がオン・オフ動作しているから変圧器23の二次巻線に電圧が誘起され、これがダイオード24を介してバッテリー31に直流電力として蓄えられる。制御電源5はこのバッテリー31から電力の供給を受ける。
【0023】図4は本発明の第4実施例を表した回路図であって請求項5に対応するが、この第4実施例回路は、図3で既述の第3実施例回路に定電圧電源41を付加した構成であり、これ以外は全て同じであるから、同じ部分の説明は省略する。電車線3の電圧は大幅に変動するので、バッテリー31の充電電圧も変動する。この充電電圧の変動幅が許容値を越えると、当該バッテリー31に悪影響があり、寿命を短くするので、ダイオード24とバッテリー31との間に定電圧電源41を挿入する。
【0024】図5は本発明の第5実施例を表した回路図であって請求項6に対応するが、この第5実施例回路は、図3で既述の第3実施例回路に電圧検出回路51と動作指令回路52を付加した構成であり、これ以外は全て同じであるから、同じ部分の説明は省略する。この第5実施例回路では回生電力吸収装置が動作して抵抗13に電流が流れているときにのみバッテリー31に電力を蓄えることができる。従って回生電力吸収装置の不動作時間が長くなればバッテリー31は消耗してその電圧が低下する。電圧検出回路51は、バッテリー電圧が規定値以下に低下したことを検出して動作指令回路52を作動させるから、電力吸収装置主回路10のうちで変圧器23の一次巻線が接続されている部分のGTO(図5ではGTO16)にオン・オフ動作指令を送る。すなわち電車線3の電圧が高くなくても電力吸収装置主回路10の一部分を作動させることにより、バッテリー31を充電して電圧が低下するのを防ぐ。
【0025】図6は本発明の第6実施例を表した回路図であって請求項7に対応するが、この第6実施例回路は、図2で既述の第2実施例回路と、図3で既述の第3実施例回路とを並列した構成であって、両者を並列する方法の一例を表している。すなわち変圧器61は2つの一次巻線を備えており、一方の一次巻線は抵抗13の両端に接続し、他方の一次巻線はスイッチング素子22と直列になって電車線3と大地との間に挿入される。このような構成により、GTO16がオン・オフ動作しているとき、すなわち回生電力吸収装置が動作しているときはそのエネルギーを平滑コンデンサ25へ送り込むが、回生電力吸収装置が不動作のときはスイッチング素子22をオン・オフ動作させることで、電車線3からの電力を平滑コンデンサ25へ送り込む。
【0026】図7は本発明の第7実施例を表した回路図であって請求項8に対応するが、この第7実施例回路は、図4で既述の第4実施例回路に補機電源71を付加した構成であって、これ以外は図4と全く同じである。よって同じ部分の説明は省略する。回生電力吸収装置を適切に制御するには制御電源5を備える必要があるのは勿論であるが、当該回生電力吸収装置を運転するにあたっては、例えば冷却用ファンなどの補機72も運転しなければならない。そこでこの第7実施例回路では、動作用電源回路70に補機72の運転に使用する補機電源71を備えるものである。
【0027】
【発明の効果】従来の回生電力吸収装置は、その制御用電力を変電所から受電する構成が多かったので、回生電力吸収装置の設置場所は変電所の内部かその近傍に限定されていた。しかし回生電力吸収装置を変電所の近傍に設置すると、電力回生運転する際の電気車電圧が高くなって過電圧トリップする恐れがあった。これに対して本発明は、回生電力吸収装置の動作用電源回路を電車線から直接取り入れる回路構成、あるいは回生電力吸収装置が吸収する電力を利用する回路構成にしているので、動作用電源回路と電力吸収装置主回路とを一体にして回生電力吸収装置を構成することが可能になった。それ故、回生電力吸収装置の設置場所を自由に選定できるので、電力回生運転する際に電気車電圧の上昇を最高に抑制できる地点、例えば2つの変電所の中間地点でも設置が可能になる。その結果、電気車が電力回生運転を行う場合でも電車線を太くする必要が無く、あるいは変電所の設置間隔を短縮する必要が無くなるので、余分な工事とそれに伴う時間と費用を節約できる効果が得られる。
【0028】更に回生電力吸収装置が吸収する電力を利用する回路構成の動作用電源回路では、熱として捨ててしまうエネルギーを動作用電源回路で再利用するので、省エネルギー効果が得られるし、回生電力吸収装置の運転費用を削減できる効果も得られる。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】篠部 正治
【公開番号】 特開平11−98606
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−253047