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【発明の名称】 動力出力装置
【発明者】 【氏名】山中 章弘

【氏名】佐々木 正一

【氏名】小谷 武史

【要約】 【課題】回生電力を有効に消費できる動力出力装置を提供する。

【解決手段】動力出力装置において、駆動軸に結合した電動機を備え、駆動軸の回転エネルギを電力として回生可能な構成とする。一方、電動機およびその駆動回路等、動力出力装置の高温部には、電気的に駆動可能な冷却手段を設ける。該冷却手段の駆動は、リレーのオン・オフにより制御される。この動力出力装置を車両に搭載した場合、該車両の制動中は電動機により電力を回生することができる。回生された電力は、通常バッテリの充電に使用されるが、バッテリが満充電の場合等には冷却手段の駆動に使用される。高温部は過熱状態にならないよう通常走行中に冷却されているが、回生電力を利用した冷却を行うことによりさらに温度を下げることができる。電動機等は温度が低い程、運転効率が向上するため、上記冷却により動力出力装置全体の効率が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動軸の回転動力と電力とを相互に変換可能な電動機を有する動力出力装置であって、前記電動機に電気的に接続されるとともに、該動力出力装置の高温部を冷却するための冷却手段と、前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力の少なくとも一部を用いて、前記冷却手段を運転する制御手段とを備える動力出力装置。
【請求項2】 請求項1の動力出力装置であって、該動力出力装置の高温部に備えられた二以上の冷却手段と、前記冷却手段に対応して設けられ、前記高温部の温度を検出する二以上の温度検出手段とを有し、前記制御手段はさらに、前記各冷却手段ごとに、前記温度検出手段により検出された前記各高温部の温度に応じた所定の作動状態で、該冷却手段を運転する手段である動力出力装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2の動力出力装置であって、さらに前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力により充電され、電力を蓄積可能な蓄電手段と、該蓄電手段の充電状態を検出するための検出手段とを有し、前記制御手段は、さらに該検出手段により検出された充電状態が所定状態である場合に、前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力を用いて、前記冷却手段を運転する手段である動力出力装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも電動機を有する動力出力装置に関し、詳しくは該電動機により回生電力を得ることができる動力出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】駆動軸から動力を出力することができる動力出力装置には、従来より、原動機を用いるもの、電動機を用いるもの、および原動機と電動機を組み合わせて用いるもの(以下、ハイブリッド式動力出力装置という)等がある。電動機を用いる動力出力装置、およびハイブリッド式動力出力装置では、発電機として機能しうる電動機を用いることにより、駆動軸から動力を出力するだけでなく、駆動軸の回転動力を電力として回生することができるものもある。このような動力出力装置が車両に搭載された場合、該車両は制動時に車両の走行に伴う運動エネルギを電力として回生しバッテリに蓄えることができるため、省エネルギ性に優れたものとなる。この際、駆動軸の回転動力を電力として回生している間は、駆動軸の回転に負荷を与えることになるため、上記電力の回生により車両に制動力を与えることもできる。
【0003】一方、上記バッテリが満充電に近い状態である場合は、回生電力を蓄えておくことができないため、車両の制動時にはその運動エネルギを何らかの形で消費する必要が生じる。通常の車両と同様、ブレーキの摩擦により熱として消費することも考えられる。ハイブリッド式動力出力装置については、車両の制動時に原動機の出力軸に結合された電動機に電力を供給し、原動機をモータリングすることによって上記運動エネルギを消費する動力出力装置が、本出願人により提案されている(特開平4―322105)。この動力出力装置では、上記運動エネルギが原動機のモータリングにより熱に変換されるため、原動機が暖機されていない場合には、有効なエネルギの消費方法である。
【0004】また、はずみ車を別途設け、上記運動エネルギをはずみ車の回転エネルギとして蓄える方法も提案されている(特開昭60−170428)。これは、省エネルギの観点から有効な方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、原動機をモータリングすることによって上記運動エネルギを消費する方法は、原動機が十分暖機した状態においては、運動エネルギを有効に活用しているものとはいえなかった。また、はずみ車にエネルギを蓄える方法は、はずみ車を別途設ける必要があるため、動力出力装置の構成を複雑にし、その重量が増大する等の問題もあった。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ、少なくとも電動機を有する動力出力装置において、該電動機により回生された電力を有効に活用できる動力出力装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の第1の動力出力装置は、駆動軸の回転動力と電力とを相互に変換可能な電動機を有する動力出力装置であって、前記電動機に電気的に接続されるとともに、該動力出力装置の高温部を冷却するための冷却手段と、前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力の少なくとも一部を用いて、前記冷却手段を運転する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0008】かかる構成からなる動力出力装置であれば、電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた回生電力の少なくとも一部を用いて、冷却手段を運転することができる。上述の動力出力装置では、例えば電動機が高温部となるが、一般に電動機はその温度が低い程、運転効率が向上する。従って、上記動力出力装置により冷却手段が運転されれば電動機の温度が低下し、動力出力装置全体の運転効率が向上する。かかる動力出力装置に用いられる電動機は、駆動軸の回転動力と電力とを相互に変換可能であればよく、例えば直流電動機や同期電動機、誘導電動機など種々のものが挙げられる。
【0009】動力出力装置の高温部は、電動機の他、電動機の駆動回路等、冷却することにより効率が向上するものであればよい。また、温度の低下とともに単純に効率が向上するという特性を備えるものの他、所定の温度で効率が極大となる特性を備えるものであってもよい。さらに、効率以外の種々の条件により、所定の温度以下に保持することが望ましいものであってもよい。これら高温部は、一カ所である必要はなく複数存在してもよいし、動力出力装置全体を高温部として扱ってもよい。
【0010】前記動力出力装置においては、該動力出力装置の高温部に備えられた二以上の冷却手段と、前記冷却手段に対応して設けられ、前記高温部の温度を検出する二以上の温度検出手段とを有し、前記制御手段はさらに、前記各冷却手段ごとに、前記温度検出手段により検出された前記各高温部の温度に応じた所定の作動状態で、該冷却手段を運転する手段であるものとすることが好ましい。
【0011】かかる構成をとる動力出力装置であれば、二以上の冷却手段について、高温部の温度に応じて、冷却手段ごとに所定の作動状態で運転することができる。前述の通り、高温部には、温度と効率の関係について種々の特性を有するものが含まれているため、かかる構成をとれば、より動力出力装置の全体効率が高くなるように冷却を行うことができる。
【0012】なお、所定の作動状態には、温度に応じて連続的または段階的に変化する作動状態の他、温度に応じてオンまたはオフの状態となるものも含んでいる。また、二以上の冷却手段は、複数の高温部についてそれぞれ設けられているものであってもよいし、一つの高温部の複数箇所に設けられているものであってもよい。
【0013】また、前記の動力出力装置において、さらに前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力により充電され、電力を蓄積可能な蓄電手段と、該蓄電手段の充電状態を検出するための検出手段とを有し、前記制御手段は、さらに該検出手段により検出された充電状態が所定状態である場合に、前記電動機により駆動軸の回転動力を変換して得られた電力を用いて、前記冷却手段を運転する手段であるものとすることも望ましい。
【0014】この動力出力装置によれば、蓄電手段の充電状態が所定状態である場合に、冷却手段を運転することができる。従って、蓄電手段の充電状態に応じて、前記得られた電力を冷却手段の運転とその他の用途とに使い分けることができるため、該電力のより有効な活用が可能となる。
【0015】ここで、蓄電手段の充電状態は、充電容量として表される物理量の他、例えば、満充電に対する割合等の相対的な量としてもよい。また、所定状態とは、ある一充電状態の他、一定の範囲をもった充電状態であってもよい。これらの所定状態は、満充電の状態を含まない状態であっても構わない。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。はじめに、実施例の構成について図1および図2を用いて説明する。図1は本実施例の動力出力装置を搭載した車両の概略構成を示す説明図、図2は本実施例の動力出力装置の冷却系統の概略構成を示す説明図である。
【0017】まず、図1により、本実施例の動力出力装置を搭載した車両の全体構成について説明する。このハイブリッド車両の構成は大きくは、駆動力を発生する動力系統と、その制御系統および冷却系統と、プラネタリギヤ120等を介して駆動源からの駆動力を駆動輪116、118に伝達する動力伝達系統と、運転操作部等からなっている。また、上記、動力系統はエンジン150を含む系統とモータMG1,MG2を含む系統とからなっており、制御系統は、エンジン150の運転を主に制御するための電子制御ユニット(以下、EFIECUと呼ぶ)170と、モータMG1,MG2の運転を主に制御する制御ユニット190と、EFIECU170および制御ユニット190に必要な信号を検出し入出力する種々のセンサ部とからなっている。なお、EFIECU170および制御ユニット190の内部構成は図示していないが、これらはそれぞれ内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成されている。
【0018】以下、上記各系統を構成する要素について動力系統から順を追って説明する。エンジン150は、吸入口200から吸入した空気と燃料噴射弁151から噴射されたガソリンとの混合気を燃焼室152に吸入し、この混合気の爆発により押し下げられるピストン154の運動をクランクシャフト156の回転運動に変換する。この爆発は、イグナイタ158からディストリビュータ160を介して導かれた高電圧によって点火プラグ162が形成した電気火花によって混合気が点火され燃焼することで生じる。燃焼により生じた排気は、排気口202を通って大気中に排出される。
【0019】エンジン150の運転は、EFIECU170により制御されている。EFIECU170が行うエンジン150の制御としては、エンジン150の回転数に応じた点火プラグ162の点火時期制御や、吸入空気量に応じた燃料噴射量制御等がある。エンジン150の制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。例えばクランクシャフト156の回転数と回転角度を検出するためにディストリビュータ160に設けられた回転数センサ176及び回転角度センサ178などである。なお、EFIECU170には、この他、例えばイグニッションキーの状態STを検出するスタータスイッチ179なども接続されているが、その他のセンサ,スイッチなどの図示は省略した。
【0020】同じく動力系統を構成するモータMG1、MG2について説明する。これらは、後述するプラネタリギヤ120を介してエンジン150と機械的に結合されているものである。モータMG1は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータ133とを備える。ステータ133は、無方向性電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース119に固定されている。このモータMG1は、ロータ132に備えられた永久磁石による磁界とステータ133に備えられた三相コイルによって形成される磁界との相互作用によりロータ132を回転駆動する電動機として動作し、場合によってはこれらの相互作用によりステータ133に備えられた三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。
【0021】モータMG2も、モータMG1と同様に同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ142と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータ143とを備える。モータMG2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース119に固定されている。このモータMG2もモータMG1と同様に、電動機あるいは発電機として動作する。
【0022】これらのモータMG1,MG2は、駆動回路191、192を介してバッテリ194および制御ユニット190に電気的に接続されている。駆動回路191、192は、スイッチングを行うトランジスタを複数内蔵し、トランジスタインバータを構成している。制御ユニット190には、この他各種のセンサおよびスイッチが電気的に接続されている。制御ユニット190に接続されているセンサおよびスイッチとしては、アクセルペダルポジションセンサ164a、ブレーキペダルポジションセンサ165a、シフトポジションセンサ184、バッテリ194の残容量検出器199などがある。
【0023】モータMG1,MG2の制御を含むハイブリッド車両の運転状態の制御を可能とするために、この制御ユニット190には運転操作部からの種々の信号やバッテリ194の残容量等が入力され、また、エンジン150を制御するEFIECU170との間で種々の情報を、通信によってやりとりしている。運転操作部からの種々の信号として、具体的には、アクセルペダルポジションセンサ164aからのアクセルペダルポジション(アクセルペダルの踏込量)AP、ブレーキペダルポジションセンサ165aからのブレーキペダルポジション(ブレーキペダルの踏込量)BP、シフトポジションセンサ184からのシフトポジションSPがある。また、バッテリ194の残容量は残容量検出器199で検出される。なお、残容量検出器199は、バッテリ194の電解液の比重またはバッテリ194の全体の重量を測定して残容量を検出するものや、充電・放電の電流値と時間を演算して残容量を検出するものや、バッテリ194の端子間を瞬間的にショートさせて電流を流し内部抵抗を測ることにより残容量を検出するものなどが知られている。
【0024】トランジスタインバータ191、192を用いたモータMG1,MG2の制御方法は周知の技術である。つまり、制御ユニット190からトランジスタインバータ191、192へ制御信号を出力して、トランジスタインバータ191、192に内蔵される各トランジスタをスイッチングし、モータMG1,MG2の三相コイルに流れる電流をPWM制御によって擬似的な正弦波にすると、モータMG1のステータ133に備えられた三相コイルおよびモータMG2のステータ143に備えられた三相コイルのそれぞれに回転磁界が形成される。この回転磁界と、ロータ132、142外周面に貼り付けられた複数個の永久磁石による磁界との相互作用によって、ロータ132、142は回転する。
【0025】駆動源からの駆動力を駆動輪116、118に伝達する動力伝達系統の構成は次の通りである。エンジン150の動力を伝達するためのクランクシャフト156およびプラネタリキャリア軸127と、モータMG1,モータMG2の回転を伝達する回転軸125、126とは、後述するプラネタリギヤ120を介して駆動軸112および動力伝達ギヤ111に機械的に結合されている。また、この駆動軸112および動力伝達ギヤ111はディファレンシャルギヤ114を介して左右の駆動輪116、118に結合されている。
【0026】ここで、プラネタリギヤ120の構成と併せてクランクシャフト156、プラネタリキャリア軸127、モータMG1の回転軸125、MG2の回転軸126の結合について説明する。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121、リングギヤ122なる同軸の2つのギヤと、サンギヤ121とリングギヤ122との間に配置されサンギヤ121の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ123の3つから構成される。サンギヤ121はプラネタリキャリア軸127に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸125を介してモータMG1のロータ132に結合され、リングギヤ122はリングギヤ軸126を介してモータMG2のロータ142に結合されている。また、プラネタリピニオンギヤ123は、その回転軸を軸支するプラネタリキャリア124を介してプラネタリキャリア軸127に結合され、プラネタリキャリア軸127はクランクシャフト156に結合されている。機構学上周知のことであるが、プラネタリギヤ120は上述のサンギヤ軸125、リングギヤ軸126およびクランクシャフト156の3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力される動力が決定されるという性質を有している。
【0027】リングギヤ122には、動力の取り出し用の動力取出ギヤ128が、リングギヤ122とモータMG1との間の位置で結合されている。この動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129により駆動軸112および動力伝達ギヤ111に接続されており、動力取出ギヤ128と駆動軸112および動力伝達ギヤ111との間で動力の伝達がなされる。上述の構成およびプラネタリギヤ120の性質に基づいて、ハイブリッド車両はモータMG2のみを駆動源として走行することもできるし、エンジン150とモータMG2の双方を駆動源として走行することもできる。具体的には、ハイブリッド車輌は減速時または降坂時等のエンジン動力を必要としないとき、および初期加速時には、エンジン150の運転を停止し、モータMG2のみで走行する。通常走行時には、エンジン150を主駆動源としつつ、モータMG2の動力も用いて走行する。エンジン150とモータMG2の双方を駆動源として走行する場合には、必要なトルクおよびモータMG2で発生し得るトルクに応じて、エンジン150を効率のよい運転ポイントで運転できるため、エンジン150のみを駆動源とする車両に比べて省資源性および排気浄化性に優れている。一方、クランクシャフト156の回転を、プラネタリキャリア軸127およびサンギヤ軸125を介してモータMG1に伝達することができるため、エンジン150の運転によりモータMG1で発電しつつ走行することも可能である。
【0028】エンジン150、モータMG1およびその駆動回路191、モータMG2およびその駆動回路192等からなる動力系統を冷却する冷却系統について図2に基づいて説明する。本実施例では、冷却系統は全て冷却水を用いたいわゆる水冷式を適用しているが、エンジン150の冷却系統とモータMG1、MG2およびその駆動回路の冷却系統とは独立なものとして構成されている。
【0029】エンジン150の冷却系統は、エンジン150のみを駆動源とする従来車両で採用されているものと基本的には同じ構成である。エンジン150とラジエータ250がホース254で接続されており、冷却水はウォーターポンプ260によりこの中を循環する。冷却水は、エンジン150に設けられたウォータージャケット173でエンジン150の熱を吸収し、ラジエータ250で放熱することにより、エンジン150を冷却する。ラジエータ250には、冷却水の放熱を助けるべく、冷却ファン252が設けられている。冷却ファン252は、エンジン150のクランクシャフト156の回転をベルトで伝達することにより駆動される。冷却ファン252をバッテリ194を介して、モータMG1、MG2と接続し、バッテリ194またはモータMG1、MG2で回生される電力により駆動されるようにしてもよい。制御ユニット190は、ウォータージャケット173内に設けられた水温センサ174により、冷却水の温度を検出することで、エンジン150の冷却状態を感知している。
【0030】一方、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192の冷却系統は、次の構成をとっている。図2に示す通り、モータMG1、MG2には、ケース119の外周を囲むようにウォータージャケット258、259が設けられている。駆動回路191、192はそれぞれトランジスタインバータを構成する素子が取り付けられている基板Bdを介して、内部を冷却水が通過しているヒートシンク256に接触している。ウォータージャケット258、259およびヒートシンク256は、上記エンジン150のラジエータ250とは別個のラジエータ251と、それぞれホース255で接続されており、冷却水はウォーターポンプ261によりこの中を循環する。かかる構成により、駆動回路191、192で発生した熱は、ヒートシンク256内部を通過する冷却水に吸収され、モータMG1、MG2で発生した熱は、ウォータージャケット258、259の内部を通過する冷却水に吸収される。冷却水は、これらの熱をラジエータ251で放熱する。ラジエータ251には、冷却水の放熱を助けるべく、冷却ファン253が設けられている。この冷却ファン253は、モータMG1、MG2と駆動回路191、192、バッテリ194、リレー257を介して電気的に接続されており、バッテリ194の電力またはモータMG1、MG2で回生される電力を使用して駆動される。冷却ファン253の駆動は制御ユニット190からの制御信号に従いリレー257を開閉することにより行う。
【0031】駆動回路191、192には同じ基板上に隣接して、温度センサ191t、192tが設けられている。また、モータMG1、MG2には各モータのステータ133、143に巻回されているコイル部に温度センサ133t、143tが設けられている。制御ユニット190は、これらの温度センサにより検出される温度により、駆動回路191、192およびモータMG1、MG2の冷却状態を感知している。
【0032】なお、本実施例では、エンジン150の冷却系統とモータMG1、MG2およびその駆動回路191、192の冷却系統を別個独立の系統として構成したが、両者に共通のラジエータを設けること等により、これらを一つの系統で構成するものとしてもよいし、モータMG1、MG2等の各部分ごとに冷却系統を構成するものとしてもよい。また、冷却水を用いる代わりに、各発熱部に冷却ファンを設ける等していわゆる空冷式の冷却系統を構成するものとしてもよい。
【0033】(2)一般的動作次に、本実施例のハイブリッド車両の一般的な動作について説明する。前述した通り、以上の構成を有するハイブリッド車輌は通常走行時には、エンジン150を主駆動源としつつ、モータMG2の動力も用いて走行する。この際、モータMG2を駆動するための電力は、主にクランクシャフト156の回転をプラネタリキャリア軸127およびサンギヤ軸125を介してモータMG1に伝達し、モータMG1で発電することにより供給している。即ち、エンジン150の動力をトルク変換して駆動軸112から出力していることになる。
【0034】その動作原理は、次の通りである。エンジン150の動力はプラネタリギヤ120でモータMG1に伝達される動力と、リングギヤ軸126に伝達される動力とに分配される。モータMG1に伝達された動力は、モータMG1が発電機として機能することにより、電力に変換される。この電力をモータMG2に供給し、モータMG2を駆動することによって、リングギヤ軸126に動力を付加する。この結果、駆動軸112からは、エンジン150から出力され、リングギヤ軸126に分配された動力とモータMG2によりリングギヤ軸に付加された動力の双方からなる動力が出力されるのである。
【0035】このハイブリッド車両が制動するときには、駆動輪116、118の回転がディファレンシャルギヤ114、動力伝達ギヤ111、駆動軸112およびチェーンベルト129を介してリングギヤ126に伝達されるため、モータMG2を発電機として機能させることにより車両の運動エネルギを電力に変換し、バッテリ194に充電しておくことができる。このとき、車両はモータMG2での発電負荷によって制動することができる。かかる制動は、モータMG1を用いて行ってもよい。
【0036】上述した通り、本実施例のハイブリッド車両の走行中においては、モータMG1、MG2はそれぞれ発電機または電動機として機能している。この際、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192には、それぞれ生じるトルクに応じた電流が流れ発熱する。
【0037】これらの各部で生じた熱は図2に示した冷却系統で冷却される。一般に、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192は温度が低いほど効率が上がる特性を有している。しかし、これらを冷却するためには、冷却ファン253およびウォーターポンプ261を駆動する必要があり、そのために電力を消費することになる。従って、本実施例のハイブリッド車両は、冷却することによる効率の向上と、冷却するために必要なエネルギとの収支を考慮しつつ、全体として効率がよくなるように冷却ファン253およびウォーターポンプ261を運転する。冷却系統の運転は、連続的に運転される場合もあれば、断続的に運転される場合もある。
【0038】一方、エンジン150は内燃機関であるため、非常に高温となる。従って、エンジン150各部の焼き付き等を防止するためには、その冷却系統は常に運転しておくことが望ましい。本実施例では、このような観点からエンジン150の冷却系統を上記モータMG1、MG2等の冷却系統とは別個のものとし、またエンジン150のクランクシャフト156の回転を伝達することにより冷却ファン252およびウォーターポンプ260を駆動する構成をとっている。
【0039】(3)回生電力使用制御上述した「(2)一般的動作」では、本実施例の構成をとるハイブリッド車両における動力出力原理および冷却系統の運転について説明した。次に、本実施例の特徴的な部分である回生電力使用制御ルーチンについて図3を用いて説明する。本ルーチンは、車両が制動中である場合等、モータMG1またはモータMG2で回生される電力を車両の駆動に使用しない場合に、その回生された電力を有効に活用することを目的とするルーチンである。制動中とは、車両が減速している場合のみならず、降坂時に車両の加速を抑制するように制動力をかけている場合も含まれる。回生電力使用制御ルーチンは、制御ユニット190が、エンジン150等の動力系統の運転制御を行う際に、所定時期に周期的に実行されるものである。
【0040】回生電力使用制御ルーチンが実行されると、制御ユニット190は、電力を回生しているか否かを判断する(ステップS100)。電力の回生は、モータMG1、MG2のいずれで行われていてもよい。電力の回生をしていない場合には、制御ユニットは、何も処理を行わずに回生電力使用制御ルーチンを一旦終了する。
【0041】電力の回生が行われている場合には、次のステップに進み、回生電力をバッテリ194に充電するか否かの判断として、バッテリ194の残容量SOCが所定の残容量S1よりも大きいか否かを判断する(ステップS105)。フローチャートには図示していないが、このステップに先立ち制御ユニット190は、バッテリ194の残容量検出器199により検出されるバッテリ残容量SOCを読み込んでいる。
【0042】なお、所定の残容量S1は、ハイブリッド車両の走行に支障を生じないバッテリ194の充電状態に基づいて定められる所定の容量である。S1の値は、一定の値であってもよいし、ハイブリッド車両の走行状態や搭載される電気装備品の運転状態に応じて変化するものとしてもよい。例えば、空調機器が作動している場合には、非作動時に比べてS1の値を高くする等の設定が考えられる。
【0043】バッテリ194の残容量SOCが上記所定の値S1以下である場合には、制御ユニット190は、バッテリ194の充電を優先すべきと判断して、その処理を実行する(ステップS125)。SOCがS1よりも大きい場合には、バッテリ194の充電を行う必要がないため、制御ユニット190は、次のステップに進み、温度センサによって検出された高温部の温度Tを所定の温度Tuと比較する(ステップS110)。本実施例の場合は、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192が高温部であり、温度センサ133t、143t、191t、192tはこれら一つ一つに備えられている。従って、本実施例では、これらの温度センサから検出される温度の内、最も高い温度をステップS110の温度Tとしている。
【0044】温度Tは冷却ファン等の運転を行うか否かの判断基準となるものであればよく、上述の各温度センサにより検出される温度の平均値としてもよいし、最低値としてもよい。また、温度センサをいずれか一カ所にのみ備え、該温度センサにより検出される温度としてもよい。
【0045】一方、上述の所定の温度Tuも冷却ファン等の運転を行うか否かの判断基準となる温度である。前述の通り、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192は基本的に温度が低い程、効率が高くなる特性を備えている。図4にこの特性を概念的なグラフとして示す。かかる特性に鑑み、本実施例では温度Tuを摂氏0度としている。このように冷却する程、効率が高くなる特性を備える高温部については、ステップS110における温度比較を行うことなく、後述する冷却ファン253の駆動をするものとしてもよい。
【0046】制御ユニット190は、上記温度Tが所定の温度Tuよりも大きい場合には、高温部の冷却をすべきと判断し、モータMG1またはMG2で回生された回生電力を用いて冷却ファン253を駆動する(ステップS115)。具体的には、制御ユニットはリレー257を閉にする信号を出力し、冷却ファン253に電圧が印加されるようにする。一方、冷却ファン253が既に駆動している場合には、その増速をする(ステップS115)。冷却ファン253の増速は、上記回生電力を用いることにより、冷却ファン253の駆動部に供給される電力を増大すればよい。具体的には、トランジスタを用いたスイッチング回路を冷却ファン253の駆動部に設け、そのトランジスタがオンとなる時間的割合を増大する方法が挙げられる。また、冷却ファン253への電力供給部に出力電圧が大小異なるトランスとリレーを設け、供給電圧が増大するようにリレーを切り替えるものとしてもよい。さらに、冷却ファン253の駆動部に使用されるモータのコイル巻き線の両端から電圧を印加する回路と途中から電圧を印加する回路とを設け、両者をリレーで切り替えることにより、コイルの巻き数を変化させる方法も考えられる。
【0047】一方、温度Tが所定の温度Tu以下である場合には、制御ユニット190は、高温部の冷却は不要と判断して、回生電力を用いてエンジン150を負荷としてモータMG1またはモータMG2を回転する(ステップS120)。ここで、回転するのは、車両に搭載されている2つのモータMG1、MG2のうち、電力を回生していない方のモータである。以上の処理を実行した後、制御ユニット190は、回生電力使用制御ルーチンを一旦終了する。
【0048】前述の通り、本実施例のハイブリッド車両は、ここで説明している回生電力使用制御ルーチン以外の制御ルーチンにおいて、冷却ファン253およびウォーターポンプ261の運転を行っている。この運転は、冷却に必要なエネルギと冷却に基づく効率向上との収支を考慮したものである。これに対し、ステップS115は、バッテリ194に充電する必要のない、いわば余剰の回生電力を用いて冷却ファン253を駆動するものであるため、かかる収支を考慮することなく効率向上を図ることができる点で相違する。
【0049】本実施例の動力出力装置によれば、回生電力を有効に活用でき、動力出力装置の運転効率を向上することができる。即ち、従来はバッテリ194に充電することができない回生電力は、エンジン150を負荷としてモータMG1等を駆動することにより熱に代えて消費していたが、本実施例では、バッテリ194に充電する必要のない回生電力は、冷却ファン253を駆動することにより消費される。冷却ファン253の駆動により、ラジエータ251での放熱が促進され、冷却系統の冷却能力が向上するため、モータMG1等の温度が低下する。図4に概念的なグラフで示す通り、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192は温度が低くなる程、効率が向上する特性を有しているため、本実施例の動力出力装置は、全体として運転効率を向上することができる。
【0050】本実施例では、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192動力出力装置の高温部としており、これらの温度と効率は図4に示す特性を有しているが、他の特性を有しているものを高温部としてもよい。例えば、図5に示すように温度の上昇に伴い効率も向上するが、何らかの理由で所定の温度Tb以上では使用できないものを含めてもよいし、図6のように所定の温度Tcで最も効率が高くなる特性を示すものを含めてもよい。このような特性を有するものを高温部とする場合には、回生電力使用制御ルーチンのステップS110における所定の温度Tuは、それぞれ図5のTbまたは図6のTcとなる。図5のような特性を備えるものとしては、例えば、バッテリ194が挙げられる。
【0051】なお、上記実施例においては、ステップS115で冷却ファン253を駆動または増速するものとしているが、その運転を高温部の温度に応じて連続的または段階的に変化するように制御するものとしてもよい。
【0052】上記実施例における回生電力使用制御ルーチンが車両の制動時に実行されると、車両の運動エネルギを変換して得られた回生電力を冷却ファン253の駆動等で消費するため、車両には制動力が加えられる。しかし、冷却ファン253の駆動(ステップS115)において消費する電力が比較的小さい場合には、車両に十分な制動力が加えられない場合も考えられる。このような場合に備えて、ステップS115を実行した後に、さらに余っている回生電力を消費する処理を付加するものとしてもよい。具体的には、ステップ120と同じ処理を実行してエンジン150をモータリングしてもよいし、空調機器等の電気装備を運転するものとしてもよい。また、フライホイールを回す等して、電力以外の形態でエネルギの蓄積を図るものとしてもよい。
【0053】また、上記実施例では、バッテリ194への充電を優先的に実行し、余った電力で冷却ファン253の駆動等を実行するものとしているが、これらの優先順序は逆であっても構わないし、高温部の温度に応じて、優先順序が変わる構成としてもよい。例えば、図5に示すように、高温部が所定の温度Tb以下での使用に制限される特性を備える場合、その温度TがTbに非常に近い場合には冷却ファン253の駆動を優先するものとし、温度TがTbに対し余裕のある温度である場合にはバッテリ194の充電を優先するものとする構成が考えられる。
【0054】第1実施例は、冷却ファン253が一つの場合における実施例である。次に冷却ファンが複数存在する場合の実施例を第2実施例として示す。第2実施例の動力出力装置を搭載した車両の構成は、冷却系統を除き第1実施例(図1)と同じである。第2実施例の冷却系統は、バッテリ194およびモータMG1、MG2の回生電力を用いて駆動することができる冷却ファンを複数備える点で第1実施例の冷却系統と相違する。具体的には、図2においてエンジン150の冷却系統に備えられた冷却ファン252を、電気的に駆動可能なものとし、バッテリ194と電気的に接続した構成となっている。その他、バッテリ194自身を冷却する冷却ファンを設けたり、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192にそれぞれ冷却ファンを設けたりしてもよい。
【0055】第2実施例の回生電力使用制御ルーチンが実行されると、制御ユニット190は、電力を回生しているか否かを判断する(ステップS150)。電力の回生は、モータMG1、MG2のいずれで行われていてもよい。電力の回生をしていない場合には、制御ユニットは、何も処理を行わずに回生電力使用制御ルーチンを一旦終了する。
【0056】電力の回生が行われている場合には、次のステップに進み、回生電力をバッテリ194に充電するか否かの判断として、バッテリ194の残容量SOCが所定の残容量S1よりも大きいか否かを判断する(ステップS155)。バッテリ194の残容量SOCが上記所定の値S1以下である場合にはバッテリ194の充電を行う(ステップS185)。ここまでの処理内容は、第1実施例と同じであり(図3ステップS100およびS105)、所定の残容量S1の定め方も第1実施例と同じである。
【0057】SOCがS1よりも大きい場合には次のステップに進み、温度センサによって検出された第1の高温部の温度T1を所定の温度Tu1と比較する(ステップS160)。ここで第1の高温部とは、複数の高温部のうち、冷却の優先順位がもっとも高い高温部をいう。本実施例においては、モータMG1、MG2およびその駆動回路191、192からなる高温部とエンジン150という高温部の2つの高温部を有しており、効率向上のためには前者の冷却を優先すべきであるため、前者を第1の高温部としている。所定の温度Tu1は第1実施例と同様、高温部の温度特性を考慮して設定されている。
【0058】制御ユニット190は、上記温度T1が所定の温度Tu1よりも大きい場合には、第1の高温部の冷却をすべきと判断して、モータMG1またはMG2で回生された回生電力を用いて第1高温部に設けられた冷却ファン253を駆動する(ステップS165)。また、冷却ファン253が既に駆動している場合には、上記電力を供給することにより、その増速をする(ステップS165)。一方、温度T1が所定の温度Tu1以下である場合には、制御ユニット190は、第1の高温部の冷却は不要と判断して、冷却ファン253を駆動する上記ステップ(S165)をスキップする。
【0059】制御ユニット190は、温度センサによって検出された第2の高温部の温度T2を所定の温度Tu2と比較する(ステップS170)。本実施例では、第2の高温部はエンジン150であり、温度T2は水温センサ174により検出される温度である。また、所定の温度Tu2は、焼き付け等を起こすことなくエンジン150を運転できる温度の上限値より若干低い温度としている。エンジン150は温度が高い方が効率的な運転が可能であり、図5に示した温度特性を有しているため、上記方法により所定の温度Tu2を設定したのである。
【0060】温度T2が所定の温度Tu2よりも大きい場合には、制御ユニット190は、第2高温部の冷却が必要と判断し、回線電力を用いて冷却ファン252を駆動する(ステップS175)。また、既に冷却ファン252が駆動している場合には、回生電力を供給することにより、その増速をする(ステップS175)。ただし、第1の高温部の冷却ファン253を駆動しているので(ステップ165)、その後さらに余った回生電力の範囲で冷却ファン252を駆動することになる。
【0061】一方、温度T2が所定の温度Tu2以下である場合には、回生電力を用いてエンジン150を負荷としてモータMG1またはモータMG2を回転する(ステップS180)。ここで、回転するのは、車両に搭載されている2つのモータMG1、MG2のうち、電力を回生していない方のモータである。以上の処理を実行した後、制御ユニット190は、回生電力使用制御ルーチンを一旦終了する。
【0062】本実施例によれば、動力出力装置に温度特性の異なる複数の高温部が存在している場合に、各高温部の温度特性に応じて回生電力を有効に活用でき、動力出力装置の運転効率を向上することができる。
【0063】本実施例では、モータMG1、MG2およびその駆動回路191,192を一つの高温部としているが、これらを別々の高温部としてそれぞれ冷却ファンを設けるものとしてもよい。これらの高温部は、図4に示す温度特性を有している点では共通しているが、定格または使用頻度等の相違により温度上昇の程度が異なる可能性があり、結果として冷却の優先順位が異なる場合があるからである。このような場合に、本実施例の回生電力使用制御ルーチンによれば、冷却の優先順位の高い高温部から順に回生エネルギを割り当てることによって、有効に回生エネルギを活用することができる。
【0064】なお、本実施例においては、高温部について冷却の優先順位を割り当てる考え方をとっており、モータMG1等を第1の高温部とし、普段はその冷却を優先しているが、この優先順位は各高温部の温度やバッテリ充電量に応じて変更するものとしてもよい。例えば、上述の実施例において、第2の高温部であるエンジン150の温度が高くなり、焼き付け等を起こすおそれがある場合等には、モータMG1等を冷却するか否かの判断(ステップS160)に先立ち、エンジン150を冷却するか否かの判断(ステップS170に相当する判断)を行うものとしてもよい。
【0065】また、高温部に冷却の優先順位を設けることなく、全ての冷却ファンを駆動するものとしてもよい。例えば、冷却ファンの駆動に用いることができる回生電力量を各高温部の温度等に基づいて、各高温部に配分し、それぞれの冷却ファンを駆動するものとしてもよい。
【0066】以上の実施例を適用するハイブリッド車両も種々の構成が可能である。図1ではエンジン150およびモータMG2の駆動力をプラネタリギヤ120を介して駆動輪116、118に伝達するハイブリッド車両の構成を示したが、エンジン150、モータMG1,MG2についてプラネタリギヤ120を介した接続は図8および図9に示す種々の形態としてもよい。例えば、図1に示した構成では、リングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1とモータMG2との間から取り出したが、図8に変形例として示した構成のように、リングギヤ軸126を延出して動力を取り出すものとしてもよい。また、図9に変形例として示した構成のように、エンジン150側からプラネタリギヤ120,モータMG2,モータMG1の順になるよう配置してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空でなくてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必要がある。この構成では、リングギヤ軸126Bに出力された動力をエンジン150とモータMG2との間から取り出すことができる。さらに、図示しないが、図9においてモータMG2とモータMG1を入れ替えた構成とすることも可能である。
【0067】以上は、プラネタリギヤ120を用いた変形例であるが、図10に示すように、プラネタリギヤ120を用いない構成をとってもよい。図10に示す構成では、図1におけるモータMG1およびプラネタリギヤ120に代えて、ロータ(インナロータ)234およびステータ(アウタロータ)232の双方が同じ軸中心に相対的に回転可能であり電磁継手として作用し得るクラッチモータMG3を用いている。クラッチモータMG3のアウタロータ232はエンジン150のクランクシャフト156に機械的に結合され、クラッチモータMG3のインナロータ234およびモータMG2のロータ142は駆動軸112Aに結合されている。モータMG2のステータ143はケース119に固定されている。
【0068】この構成では、プラネタリギヤ120に代えて、クラッチモータMG3によりエネルギの分配を行う。クラッチモータMG3に入出力される電気的なエネルギにより、インナロータ234とアウタロータ232の相対的な回転を制御し、エンジン150の動力を駆動軸112Aに伝達することができる。また、モータMG2のロータ142が駆動軸112Aに取り付けられているため、モータMG2を駆動源とすることもできる。さらに、エンジン150の動力によりモータMG3で発電することもできる。このような構成のハイブリッド車両でも、クラッチモータMG3またはモータMG2により電力を回生することができるため、本発明を適用することができる。
【0069】さらに、ハイブリッド車両は図11に示すような、いわゆるシリーズ式の構成であっても構わない。シリーズ式のハイブリッド車両では、エンジン150の出力軸は発電機Gに機械的に結合されている。駆動輪116、118には、モータMG4が動力伝達ギヤ111等を介して結合されているが、エンジン150は結合されてはいない。
【0070】上述の構成をとるため、シリーズ式のハイブリッド車両では、エンジン150の動力は駆動輪116、118に伝達されることはなく発電機Gの運転に使われ、車両はバッテリ194の電力によりモータMG4を動かすことにより駆動される。発電負荷は発電機Gに生じる起電力に比例する。シリーズ式のハイブリッド車両は、必要に応じて発電機Gで発電を行うため、通常余剰の電力は生じないが、車両の制動時にはモータMG4により電力を回生することができるため、該回生電力を利用して本発明を有効に適用することができる。
【0071】以上、本発明の実施例およびその変形例について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、さらに種々の変形が可能である。例えば、エンジン150を搭載せず、駆動軸に結合されたモータと該モータと電力をやりとりするためのバッテリからなる電動式動力出力装置にも適用可能である。また、冷却ファン等を用いた冷却手段の他、ペルチェ効果を利用して直接電気的に冷却する手段等にしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】下出 隆史 (外2名)
【公開番号】 特開平11−69510
【公開日】 平成11年(1999)3月9日
【出願番号】 特願平9−225876