| 【発明の名称】 |
回生制動力制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 喜代治
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| 【要約】 |
【課題】本発明は電気自動車用の回生制動力制御装置に関し、緊急時に速やかに大きな回生制動トルクを発生させる構成を安価に実現することを目的とする。
【解決手段】駆動輪FL,FRにモータ98を連結する。モータ98を回生電流分配スイッチ100を介して負荷抵抗102およびインバータ104に接続する。通常時はインバータ104とモータ98とを導通させ、バッテリ106の電力をモータ98に供給すると共に、モータ98が発生する回生電流をバッテリ106に回生させる。緊急時には、モータ98と負荷抵抗102とを導通させた上で、許容される回生電流の値を演算することなく、モータ98に最大回生トルクを発生させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動輪に連結されるモータを備え、車両の制動時に、前記モータに回生制動トルクを発生させると共に、その際に前記モータが発生する回生電流をバッテリに回生させる回生制動力制御装置において、回生制動トルクの許容値を演算する許容回生トルク演算手段と、車両の緊急状態を検出する緊急状態検出手段と、車両が緊急状態でない場合に、前記モータの発生する回生制動トルクを前記許容値以下にガードしながら前記モータから前記バッテリに回生電流を供給し、また、車両が緊急状態である場合に、前記モータに所定の回生制動トルクを発生させながら前記モータから負荷抵抗に回生電流を供給する回生電流分配手段と、を備えることを特徴とする回生制動力制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、回生制動力制御装置に係り、特に、電気自動車のブレーキ装置として好適な回生制動力制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、例えば実開昭58−183004号に開示される如く、電気自動車において回生制動力を発生するシステムが知られている。上記従来のシステムは駆動輪に連結されるモータを備えている。モータは、駆動輪に対して駆動トルクを付与すると共に、車両の制動が要求される際には、駆動輪の回転を制動する回生制動トルクを発生する。 【0003】モータは、回生制動トルクを発生する際に、その回生制動トルクの大きさに応じた回生電流を発生する。上記従来のシステムにおいて、モータから発せられる回生制動トルクはバッテリに回生される。このように、モータの発する回生電流をバッテリに回生させることによれば、エネルギを有効に利用することができる。 【0004】上記従来のシステムにおいて、モータに回生制動トルクを発生させる際には、バッテリの過充電等を防止するために、モータからバッテリに供給される回生電流を所定の許容値以下に制御する必要がある。上記従来のシステムは、モータから発せられる回生電流が所定の許容値を超える場合は、その超過分が負荷抵抗に供給される。上記の処理によれば、モータに充分に大きな回生制動トルクを発生させながら、バッテリの過充電等を防止することができる。 【0005】このため、上記従来のシステムにおいて回生制動を実行する際には、モータからバッテリに供給される回生電流を、バッテリの過充電を生じさせることのない許容値以下に制御することが必要である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、モータからバッテリに供給することのできる回生電流の許容値は、バッテリの充電状態や温度に応じて変化する。従って、モータから発せられる回生電流を、許容値と超過分とに分けてバッテリと負荷抵抗に分配するためには、個々の状況に応じて許容値を演算する必要がある。 【0007】ところで、車両が高速で障害物に接近しているような緊急時には、その緊急状態が検出された後、速やかに大きな回生制動トルクを発生させることが適切である。上記従来のシステムにおいて、緊急状態が検出された後、速やかに大きな回生制動トルクを発生させるためには、その状況に対応する許容値を高速で演算することが必要である。このため、上記従来のシステムは、演算速度の早い高価な演算装置を用いて構成することが必要であった。 【0008】本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、緊急状態が検出された際に適正なタイミングで大きな回生制動トルクを発生させることができ、かつ、安価に実現することのできる回生制動力制御装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1に記載する如く、駆動輪に連結されるモータを備え、車両の制動時に、前記モータに回生制動トルクを発生させると共に、その際に前記モータが発生する回生電流をバッテリに回生させる回生制動力制御装置において、 回生制動トルクの許容値を演算する許容回生トルク演算手段と、車両の緊急状態を検出する緊急状態検出手段と、車両が緊急状態でない場合に、前記モータの発生する回生制動トルクを前記許容値以下にガードしながら前記モータから前記バッテリに回生電流を供給し、また、車両が緊急状態である場合に、前記モータに所定の回生制動トルクを発生させながら前記モータから負荷抵抗に回生電流を供給する回生電流分配手段と、を備える回生制動力制御装置により達成される。 【0010】本発明において、車両が緊急状態でない場合は、回生制動トルクの応答性がさほど要求されない。この場合、回生制動トルクの許容値が演算されると共に、回生制動トルクがその許容値以下にガードされ、かつ、モータから発せられる回生電流の全てがバッテリに供給される。上記の処理によれば、車両の制動エネルギを有効に電力として回生することができる。 【0011】また、本発明において、車両が緊急状態である場合は、回生制動トルクに高い応答性が要求される。この場合、モータが、回生制動トルクの許容値が演算されるのを待つことなく所定の回生制動トルクを発生すると共に、モータから発せられる回生電流は負荷抵抗に供給される。上記の処理によれば、車両の緊急状態が検出された後、速やかに大きな回生制動トルクを発生させることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である回生制動力制御装置のシステム構成図を示す。本実施例の回生制動力制御装置は前輪駆動方式の電気自動車に搭載される装置である。本実施例のシステムは電子制御ユニット10(以下、ECU10と称す)を備えている。回生制動力制御装置は、ECU10により制御される。 【0013】本実施例のシステムはブレーキペダル11を備えている。ブレーキペダル11はブレーキブースタ12に連結されている。また、ブレーキブースタ12はマスタシリンダ13に固定されている。ブレーキブースタ12は、ブレーキペダル11に加えられたブレーキ踏力を増幅してマスタシリンダ13に伝達する。マスタシリンダ13は、その内部に、ブレーキ踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧PM/C を発生する。 【0014】マスタシリンダ13には、レギュレータ14が固定されている。マスタシリンダ13およびレギュレータ14の上部にはリザーバタンク16が配設されている。リザーバタンク16には、ブレーキフルードが貯留されている。本実施例の回生制動力制御装置は、ポンプ18を備えている。ポンプ18の吸入孔にはリザーバタンク16が連通している。ポンプ18は、リザーバタンク16に貯留されているブレーキフルードを汲み上げてその吐出孔から吐出する。ポンプ18の吐出孔には、逆止弁20を介してアキュムレータ22が連通している。アキュムレータ22は、ポンプ18から吐出される液圧をアキュムレータ圧PACC として蓄える。ポンプ18は、アキュムレータ圧PACC が上限値と下限値との間に維持されるように駆動される。 【0015】アキュムレータ22は、上述したレギュレータ14に連通している。また、レギュレータ14は、リザーバタンク16に連通している。レギュレータ14は、アキュムレータ22を高圧源とし、かつ、リザーバタンク16を低圧源として、マスタシリンダ圧PM/C と等しいレギュレータ圧PREを生成する。レギュレータ14には、レギュレータ圧通路24が連通している。レギュレータ圧通路24には、レギュレータ圧PREに応じた電気信号pREを出力する液圧センサ26が配設されている。出力信号pREはECU10に供給されている。ECU10は、出力信号pREに基づいてレギュレータ圧PREを検出する。また、レギュレータ圧通路24には、増圧用リニア制御弁28(以下、SLA28と称す)、および、逆止弁30が連通している。SLA28および逆止弁30には、制御液圧通路32が連通している。 【0016】SLA28は、レギュレータ圧通路24の液圧が制御液圧通路32の液圧に比して所定の開弁圧を超えて高圧である場合に開弁する制御弁である。SLA28は、その開弁圧を、ECU10から供給される駆動信号に応じてリニアに変化させる。一方、逆止弁30は、制御液圧通路32側からレギュレータ圧通路24側へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。 【0017】制御液圧通路32には、液圧センサ34が配設されている。液圧センサ34は、制御液圧通路32の内圧PR に応じた電気信号pRを出力する。出力信号pRはECU10に供給されている。ECU10は、出力信号pRに基づいて制御液圧通路32の内圧PR を検出する。制御液圧通路32は、減圧用リニア制御弁36(以下、SLR36と称す)、および、逆止弁38を介して補助リザーバ40に連通している。SLR36は、その内部に可変オリフィスを備える制御弁である。SLR36は、そのオリフィスの有効径を、ECU10から供給される駆動信号に応じてリニアに変化させる。一方、逆止弁38は、補助リザーバ40側から制御液圧通路32側へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。補助リザーバ40は、その内部に、所定量のブレーキフルードを貯留することができる。 【0018】制御液圧通路32には、保持ソレノイド42および逆止弁44を介してリア液圧通路46が連通している。保持ソレノイド42は、常態で開弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁である。一方、逆止弁44は、リア液圧通路46側から制御液圧通路32側へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。 【0019】リア液圧通路46は、プロポーショニングバルブ48(以下、PV48と称す)を介して左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52に連通していると共に、減圧ソレノイド54を介してリザーバ通路56に連通している。PV48は、リア液圧通路46の液圧が所定値に満たない場合は、その液圧をホイルシリンダ50,52に直接供給し、リア液圧通路46の液圧が所定値を超える場合は、その液圧を所定の比率で減衰させてホイルシリンダ50,52に供給するバルブである。また、減圧ソレノイド54は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置の電磁弁である。リザーバ通路56は、上述したリザーバタンク16に連通している。 【0020】制御液圧通路32は、増圧カット弁58を介してフロント液圧通路60に連通している。増圧カット弁58は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置の電磁弁である。液圧通路60には、その内圧PF に応じた出力信号pFを出力する液圧センサ62が配設されている。出力信号pFはECU10に供給される。ECU10は、出力信号pFに基づいて液圧通路60の内圧PF を検出する。 【0021】液圧通路60は、保持ソレノイド64および逆止弁66を介してFL液圧通路68に連通していると共に、保持ソレノイド70および逆止弁72を介してFR液圧通路74に連通している。保持ソレノイド64,70は、共に、常態で開弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁である。一方、逆止弁66,72は、FL液圧通路68側から、または、FR液圧通路74側からフロント液圧通路60側へ向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。 【0022】FL液圧通路68およびFR液圧通路74は、それぞれ、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78に連通していると共に、減圧ソレノイド80,82を介してリザーバ通路56に連通している。減圧ソレノイド80,82は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置の電磁弁である。 【0023】マスタシリンダ13には、マスタ圧通路84が連通している。マスタ圧通路84には、マスタシリンダ圧PM/C に応じた電気信号pMCを出力する液圧センサ86が配設されている。出力信号pMCはECU10に供給されている。ECU10は、出力信号pMCに基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検出する。また、マスタ圧通路84には、マスタカット弁88,90を介して、それぞれ上述したFL液圧通路68およびFR液圧通路74が連通している。マスタカット弁88,90は、共に、常態で開弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁である。 【0024】マスタ圧通路84には、更に、ブレーキストロークシミュレータ92が連通している。ブレーキストロークシミュレータ92は、マスタカット弁88,90が閉弁状態とされた際に、マスタシリンダ13から流出するブレーキフルードを収納することで、適正なブレーキフィーリングを実現するための機構である。ブレーキストロークシミュレータ92には、リザーバ通路56が連通している。ブレーキストロークシミュレータ92の内部で漏出したブレーキフルードはリザーバ通路56を通ってリザーバタンク16に戻される。 【0025】図1に示す回生制動力制御装置は、システムが正常に機能している場合は、ブレーキ操作が実行された後にブレーキ液圧制御を実行する。ブレーキ液圧制御は、マスタカット弁88,90を閉弁状態(オン状態)とし、増圧カット弁58を開弁状態(オン状態)とし、かつ、SLA28およびSLR36を適当に制御することで実現される。 【0026】上記のブレーキ液圧制御によれば、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78を、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52と同様に、マスタシリンダ13から遮断して制御液圧通路32に連通させることができる。従って、ブレーキ液圧制御によれば、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C をレギュレータ14を液圧源として制御することができる。上述の如く、レギュレータ14は、マスタシリンダ圧PM/C と等しいレギュレータ圧PREを発生する。従って、ブレーキ液圧制御の実行中は、SLA28およびSLR36を適当に制御することで、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を、マスタシリンダ圧PM/C と同等以下の任意の液圧に制御することができる。 【0027】本実施例のシステムにおいて、各車輪のホイルシリンダ50,52,76,78は、それらの内部に発生するホイルシリンダ圧PW/C に応じた制動トルクを発生する。以下、この制動力を液圧制動トルクと称す。従って、ブレーキ液圧制御によれば、各車輪において、ブレーキ操作量に対応する制動トルクに比して小さな任意の液圧制動トルクを発生させることができる。 【0028】図1に示すブレーキ装置は、ブレーキ液圧制御の実行を妨げる故障が発生した場合はブレーキ液圧制御の実行を禁止する。この場合、ブレーキ操作が開始された後に、マスタカット弁88,90が開弁状態(オフ状態)に維持されると共に、増圧カット弁58が閉弁状態(オフ状態)に維持される。マスタカット弁88,90および増圧カット弁58がオフ状態のまま維持されると、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78とマスタシリンダ13との導通が維持される。 【0029】この場合、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78には、マスタシリンダ圧PM/C が導かれる。従って、本実施例の回生制動力制御装置によれば、システムに故障が生じた場合でも、少なくとも左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78にブレーキ操作量に応じた液圧制動トルクを発生させることができる。 【0030】上述の如く、左右前輪FL,FRは電気自動車の駆動輪として用いられる。左右前輪FL,FRには、車軸94およびギヤ96を介してモータ98が連結されている。モータ98には、回生電流分配スイッチ100が接続されている。また、回生電流分配スイッチ100には負荷抵抗102およびインバータ104が接続されている。更に、インバータ104にはバッテリ106が接続されている。 【0031】回生電流分配スイッチ100は、ECU10に制御されることにより、モータ98を、選択的に負荷抵抗102またはインバータ104に導通させる。モータ98は、インバータ104から電力が供給されることにより駆動トルクを発生する。また、モータ98は、車軸94側からトルクが入力された場合に、そのトルクを電気エネルギに変換する可変容量の発電機として機能する。モータ98は、発電機として機能する際には、車軸94の回転を制動する回生制動トルクを発生する。この際モータ98は、回生制動トルクと車軸94の回転速度とに応じた回生電流を発生する。 【0032】モータ98は、ECU10によって制御される。ECU10は、車両において制動トルクが要求される場合は、要求される制動トルクに応じた回生制動トルクが生ずるようにモータ98を制御する。従って、モータ98は、ECU10の制御内容に応じた回生制動トルクおよび回生電流を発生する。モータ98から発せられる回生電流は回生電流分配スイッチ100に供給される。 【0033】回生電流分配スイッチ100が、モータ98と負荷抵抗102とを導通させている場合は、モータ98から発せられる回生電流を負荷抵抗102に供給することができる。また、回生電流分配スイッチ100が、モータ98とインバータ104と導通させている場合は、インバータ104からモータ98へ電力を供給することができると共に、モータ98から発せられる回生電流をインバータ104に供給することができる。 【0034】インバータ104は、ECU10によって制御される。ECU10は、車両において駆動トルクが要求されている場合は、要求される駆動トルクに応じた電力がモータ98に供給されるようにインバータ104を制御する。モータ98は、インバータ104から電力が供給されると、その電力に応じた駆動トルクを発生する。従って、モータ98は、ECU10の制御内容に応じた駆動トルクを発生する。 【0035】ECU10には、車速センサ108が接続されている。車速センサ108は、車軸94の回転速度に応じた周期で、すなわち、モータ98の回転速度に応じた周期でパルス信号を出力する。ECU10は、車速センサ108の出力信号に基づいてモータ98の回転速度を検出する。ECU10には、車載レーダ110が接続されている。車載レーダ110は、車両前方の障害物と車両との距離、および、それらの相対速度の情報を含む信号を出力する。ECU10は、車載レーダ110の出力信号に基づいて車両の緊急状態を検出する。本実施例において、ECU10は、車両がその前方の障害物に急接近している場合に、車両に緊急状態が生じていると判断する。 【0036】ECU10には、バッテリ電圧センサ112が接続されている。バッテリ電圧センサ112は、バッテリ106の端子間電圧VBAT (以下、バッテリ電圧VBAT と称す)に応じた電気信号を出力する。ECU10は、バッテリ電圧センサ112の出力信号に基づいてバッテリ電圧VBAT を検出する。ECU10には、バッテリ電流センサ114が接続されている。バッテリ電流センサ114は、バッテリ106に流入する電流IBAT (以下、バッテリ電流IBAT と称す)に応じた電気信号を出力する。ECU10は、バッテリ電流センサ114の出力信号に基づいてバッテリ電圧VBAT を検出する。 【0037】ECU10には、バッテリ温度センサ116が接続されている。バッテリ温度センサ116は、バッテリ106の温度TBAT (以下、バッテリ温度TBAT と称す)に応じた電気信号を出力する。ECU10は、バッテリ温度センサ116の出力信号に基づいてバッテリ温度TBAT を検出する。ECU10には、モータ温度センサ118が接続されている。モータ温度センサ118は、モータ98の温度TMTR (以下、モータ温度TMTR と称す)に応じた電気信号を出力する。ECU10は、モータ温度センサ118の出力信号に基づいてモータ温度TMTR を検出する。 【0038】ECU10には、インバータ温度センサ120が接続されている。インバータ温度センサ120は、インバータ104の温度TINV (以下、インバータ温度TINV と称す)に応じた電気信号を出力する。ECU10は、インバータ温度センサ120の出力信号に基づいてインバータ温度TINV を検出する。以下、図2および図3を参照して、本実施例の回生制動力制御装置の動作について説明する。 【0039】図2は、モータ98の回転速度NMTR (すなわち車速)と回生制動トルクとの関係を示す。図2において、破線■は、モータ98が発生することのできる最大の回生制動トルクT(以下、最大回生トルクTMAX と称す)の変化を示す。また、図2において一点鎖線■は、インバータ104に過電流を流通させることなくモータ98に発生させ得る回生制動トルクTの変化の一例を示す。更に、図2中実線■は、バッテリ106の過充電を生じさせることなるモータ98に発生させ得る回生制動トルクTの変化の一例を示す。 【0040】モータ98は、その回転速度NMTR と回生制動トルクTとの乗算値に応じた回生エネルギを発生する。従って、車両の制動時に、制動エネルギを効率良く電気エネルギに変換して回生させるためには、回生制動トルクTが最大となるようにモータ98を制御することが望ましい。しかしながら、モータ98から発せられる回生電流は、システムにダメージを与えることのない値に抑制する必要がある。従って、回生制動トルクTは、図2中に一点鎖線■で示す回生制動トルクTや、図2中に実線■で示す回生制動トルクTを超える値に設定するべきではない。このため、ECU10は、回生電流をバッテリ106に回生させる場合には、システムにダメージを与えることなく発生させ得る回生制動トルクTの上限値(以下、許容回生トルクT0 と称す)を演算し、モータ98にその許容回生トルクT0 を発生させる。上記の処理によれば、システムにダメージを与えない範囲で、制動エネルギを最も効率良く電気エネルギとして回生することができる。 【0041】ところで、許容回生トルクT0 は、インバータ104に流通させ得る電流の値(以下、インバータ許容値と称す)や、バッテリ106に供給し得る電流値の値(以下、バッテリ許容値と称す)、更には、モータ98が加熱することなく発生し得る電流の値(以下、モータ許容値と称す)等に応じて決定される。一方、インバータ許容値、バッテリ許容値およびモータ許容値等は、インバータ温度TINV 、バッテリの充電状態およびモータ温度TMTR 等に応じて変化する。従って、許容回生トルクT0 は、車両において制動トルクが要求される毎に個々の状況に応じて演算することが必要である。 【0042】本実施例のシステムにおいて、車両が緊急状態であることが検出された場合は、大きな制動トルクを発生させることが望ましい。この点、緊急状態が検出された場合には、その後速やかに、運転者のブレーキ操作量に応じた液圧制動トルクに加えて、大きな回生制動トルクを発生させることが適切である。従って、このような状況下では、許容回生トルクT0 の演算が終了するのを待つことなく、回生制動トルクTが発生できることが望ましい。 【0043】本実施例の回生制動力制御装置は、上記の要求を充たすべく、車両の緊急状態が検出された場合には、回生電流分配スイッチ100を介してモータ98と負荷抵抗104とを導通状態とし、モータ98で発生される回生電流を負荷抵抗104で消費させる点に特徴を有している。上記の処理によれば、緊急状態が生じた後にモータ98に速やかに大きな回生制動トルクを発生させることができると共に、その際にインバータ104に過電流が流通するのを防止し、かつ、バッテリ106が過充電されるのを防止することができる。 【0044】図3は、上記の機能を実現すべくECU10が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、所定時間毎に起動される定時割り込みルーチンである。図3に示すルーチンが起動されると、先ずステップ122の処理が実行される。ステップ122では、車両の緊急状態が検出されたか否かが判別される。本ステップ122では、車両と前方障害物との距離が所定距離以下であり、かつ、両者の接近速度が所定速度を超えている場合に緊急状態であると判別される。本ステップ122で、緊急状態が生じていないと判別される場合は、次にステップ124の処理が実行される。 【0045】ステップ124では、回生電流分配スイッチ100が、モータ98とインバータ104とを導通させる状態に制御される。本ステップ124の処理が実行されると、バッテリ106からモータ98に電力を供給でき、かつ、モータ98からバッテリ106に回生電流を回生させ得る状態が形成される。ステップ126では、運転者によって車両のアクセルがオン状態とされているか否かが判別される。その結果、アクセルがオン状態であると判別される場合は、運転者が制動トルクを要求する意図がないと判断できる。この場合、次にステップ128の処理が実行される。一方、アクセルがオン状態でないと判別される場合は、運転者が制動トルクを要求する可能性があると判断できる。この場合、次にステップ130の処理が実行される。 【0046】ステップ128では、■SLA28をオフ状態とする処理、すなわち、レギュレータ圧PREが制御液圧通路32に伝達されるのをSLA28が抑制しない状態を実現する処理、■マスタカット弁88,90をオフ状態(開弁状態)とする処理、および、■増圧カット弁58をオフ状態(閉弁状態)とする処理が実行される。上記の処理が実行されると、回生制動力制御装置は、図1に示す状態となる。本ステップ128の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。 【0047】ステップ130では、最大回生トルクTMAX が演算される。最大回生トルクTMAX は、モータ98が発生することのできる最も大きな回生トルクである。ECU10は、上記図2中に破線■で示すTMAX とNMTR との関係をマップとして記憶している。本ステップ130では、そのマップを参照して、回転数NMTR に基づいて最大回生トルクTMAX が演算される。 【0048】ステップ132では、許容回生トルクT0 が演算される。上述の如く、本実施例のシステムにおいて回生電流をバッテリ106に回生させる場合は、回生電流をシステムにダメージを与えない値にガードする必要がある。許容回生トルクT0 は、上記の要求を充たす回生電流の上限値に対応する回生トルクTである。本ステップ132において、許容回生トルクT0 は、バッテリ電圧VBAT 、バッテリ電流IBAT 、バッテリ温度TBAT 、モータ温度TMTR およびインバータ温度TINV に基づいて演算される。 【0049】ステップ134では、ブレーキ操作が実行されているか否かが判別される。その結果、ブレーキ操作が実行されていないと判別される場合は、回生制動トルクを発生させることなく、速やかに今回の処理が終了される。尚、この場合、SLA28はオフ状態(開弁状態)に維持される。一方、ブレーキ操作が実行されていると判別される場合は、次にステップ136の処理が実行される。 【0050】ステップ136では、マスタカット弁88,90をオン状態(閉弁状態)とし、かつ、増圧カット弁58をオン状態(開弁状態)とする処理が実行される。本ステップ136の処理が実行されると、ブレーキ制御の実行が可能となる。ステップ138では、マスタシリンダ圧PM/C に応じた回生制動トルクTを発生させるための処理、すなわち、液圧通路32にマスタシリンダ圧PM/C が供給された場合に発生する液圧制動トルクと同等の回生制動トルクTが発生するようにモータ98を制御する処理が実行される。尚、本ステップ138の処理によって発生される回生制動トルクTは、許容回生トルクT0 以下の値にガードされる。 【0051】ステップ140では、SLAの開弁圧P0 が演算される。開弁圧P0 は、許容回生トルクT0 に対応する液圧である。より具体的には、開弁圧P0 は、許容回生トルクT0 と等しい液圧制動トルクを発生させるために、液圧通路32に供給すべき液圧である。ステップ142では、上記ステップ140で演算された開弁圧P0 に基づいてSLA28が駆動される。本ステップ140の処理が実行された後、ブレーキ操作が開始されると、液圧通路32には、レギュレータ圧PREに比して開弁圧P0だけ小さな液圧が供給される。本ステップ142の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。 【0052】上記の処理によれば、マスタシリンダ圧PM/C が、許容回生トルクT0 に対応する液圧に比して低圧である場合は、液圧制動トルクが発生せず、マスタシリンダ圧PM/C に応じた回生制動トルクTのみが発生する。この場合、制動エネルギを効率良く電気エネルギとして回生しつつ、良好なブレーキフィーリングを得ることができる。 【0053】また、マスタシリンダ圧PM/C が許容回生トルクT0 に対応する液圧に比して高圧である場合は、許容回生トルクT0 に対応する回生制動トルクTと、液圧“PRE−P0 ”に対応する液圧制動トルクとが発生する。この場合、システムにダメージを与えない範囲で効率よく制動エネルギを電気エネルギとして回生しつつ、良好なブレーキフィーリングを得ることができる。 【0054】図3に示すルーチンにおいて、上記ステップ122で、車両の緊急状態が発生したと判別された場合は、次にステップ144の処理が実行される。ステップ144では、■レギュレータ圧PREが制御液圧通路32に伝達されるのをSLA28が抑制しない状態を実現する処理、■マスタカット弁88,90をオフ状態(開弁状態)とする処理、および、■増圧カット弁58をオフ状態(閉弁状態)とする処理が実行される。本ステップ128の処理が実行されると、回生制動力制御装置は、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52にレギュレータ圧PREに応じたホイルシリンダ圧PW/C を発生させ、かつ、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78にマスタシリンダ圧PM/C と等しいホイルシリンダ圧PW/C を発生させ得る状態となる。 【0055】ステップ146では、回生電流分配スイッチ100が、モータ98と負荷抵抗102とを導通させる状態に制御される。本ステップ146の処理が実行されると、モータ98が発生する回生電流が、負荷抵抗102に供給される状態が形成される。ステップ148では、最大回生トルクTMAX 、すなわち、モータ98が発生し得る最大の回生トルクTが演算される。 【0056】ステップ150では、最大回生トルクTMAX が発生するようにモータ98を制御する処理が実行される。本ステップ150の処理が実行されると、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78には、速やかに最大回生トルクTMAX が発生する。この際、モータ98から流出する回生電流が負荷抵抗102で消費されるため、インバータ104に過電流が流通することがないと共に、バッテリ106が過充電されることがない。 【0057】上記の処理によれば、車両の緊急状態が認識された場合は、回生トルクの許容値の演算や回生トルクをその許容値以下にガードする処理等を行うことなく速やかに、システムにダメージを与えることなく最大回生トルクTMAX を発生させることができる。また、上記の処理によれば、この際に、ブレーキ操作量に応じた液圧制動トルクを発生し得る状態を速やかに形成することができる。従って、本実施例の回生制動力制御装置によれば、車両に緊急状態が生じた場合に、速やかに大きな制動力を発生させることができる。 【0058】上述の如く、本実施例の回生制動力制御装置は、演算速度の早い演算装置を用いることなく、緊急状態が生じた後に速やかに大きな制動力を発生させる機能を実現することができる。従って、本実施例の構成によれば、安価に、安全性に富む回生制動力制御装置を実現することができる。尚、上記の実施例においては、ECU10が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記請求項1記載の「許容回生トルク演算手段」が、上記ステップ122の処理を実行することにより前記請求項1記載の「緊急状態検出手段」が、上記ステップ124、138、146〜150の処理を実行することにより前記請求項1記載の「回生電流分配手段」が、それぞれ実現されている。 【0059】ところで、上記の実施例においては、車両と前方障害物との距離および相対速度に基づいて緊急状態を認識することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転者によってブレーキペダル11が高速で踏み込まれた際に緊急状態を認識することとしてもよい。また、上記の実施例においては、緊急状態が認識された際に、最大回生トルクと共に運転者のブレーキ操作量に応じた液圧制動トルクとを発生させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図1に示すシステム構成において、アキュムレータ22とレギュレータ通路24とを開閉弁を介して接続し、緊急状態が認識された際に、開閉弁を開弁状態として、回生制動と無関係に決定されるブレーキ操作量に比して大きな液圧制動トルクを発生させることとしてもよい。 【0060】また、上記の実施例においては、緊急状態が認識された場合であっても、運転者によってブレーキペダル11が踏み込まれている場合に限り液圧制動トルクを発生させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、緊急状態が認識された場合は、常に、回生制動と無関係に決定される所定の液圧制動トルクを発生させることとしてもよい。 【0061】 【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、高価な演算装置を用いることなく、車両の緊急状態が検出された後に速やかに大きな回生制動トルクを発生させ得る回生制動力制御装置を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 忠彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−69504 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−215014 |
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