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【発明の名称】 集電舟装置
【発明者】 【氏名】成瀬 功

【氏名】四釜 敏男

【氏名】藤原 潤一

【要約】 【課題】高速運転時に発生する気流騒音の低減を図る。

【解決手段】パンタグラフを構成する上枠4aの上端部に、天井管6aの中間部を支持する。この天井管6aの周囲に中空の舟体9aを、この天井管6aに対する若干の昇降自在に弾性支持する。この様に弾性支持する為のリニアシャフト17、17及びばね11a、11a、並びに通電の為の導線12a、12aを、上記舟体9a内に設ける。高速運転時にも、天井管6a、リニアシャフト17、17、ばね11a、11a、導線12a、12aの周囲を空気が流れず、その分、気流騒音の低減を図れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パンタグラフの上端部に車両の幅方向に亙って結合固定される天井管と、この天井管の両端部近傍部分に、それぞれ上下方向に亙る変位自在に支持された複数本のリニアシャフトと、これら各リニアシャフトの上端部にその両端部を結合支持された状態で上記車両の幅方向に亙り配設された舟体と、この舟体の上面に支持された状態で架線の下縁と摺接する複数枚の摺り板と、上記天井管の両端部近傍部分と上記舟体の両端部近傍部分との間に設けられ、この舟体に上方に向く弾力を付与する複数のばねと、上記各摺り板が架線から受け入れた電気を流す為の導線とを備えた集電舟装置に於いて、上記舟体は中空箱状に形成されており、上記天井管は上記舟体の内部にこの舟体に対する上下方向に亙る変位を自在に支持されており、上記パンタグラフの上端部は上記舟体の下面に形成した通孔をこの舟体に対する変位を自在に挿通した状態でこの舟体内に挿入されており、上記複数のばねは、上記舟体の内部でこの舟体と上記天井管との間に設けられている事を特徴とする集電舟装置。
【請求項2】 パンタグラフの上端部に舟体が1個のみ設けられており、この1個の舟体の上面に複数枚の摺り板が、車両の進行方向に関して前後2列に亙って配置されている、請求項1に記載した集電舟装置。
【請求項3】 導線が舟体の内部に配設されている、請求項1〜2の何れかに記載した集電舟装置。
【請求項4】 舟体の上端部に、この舟体に対して着脱自在な摺り板取付板を装着しており、この摺り板取付板が、上記舟体の上面を構成する他、車両の進行方向に関して上記舟体の前後両面の少なくとも上部を覆っている、請求項1〜3の何れかに記載した集電舟装置。
【請求項5】 各リニアシャフトの上端部を支持する部材及び舟体の両端部近傍部分に、上記各リニアシャフトの上端部に上記舟体を結合する為の1対の結合ピンが挿通されており、上記舟体の上端部に摺り板取付板を装着した状態でこの摺り板取付板の一部が、上記各結合ピンの両端面に当接若しくは近接対向して、上記各リニアシャフトの上端部及び舟体の両端部近傍部分から上記各結合ピンが抜ける事を防止する、請求項4に記載した集電舟装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る集電舟装置は、架線から電力を取り入れる為、新幹線等、高速で運転する鉄道車両の屋根上に設置した状態で使用する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の屋根の上方にはパンタグラフを介して集電舟を支持し、架線から電力を取り入れる様にしている。即ち、上記集電舟の上面に支持した、燒結金属等の導電材製の摺り板を架線の下縁に向け弾性的に押し付け、この架線から車両に電気を取り入れる様にしている。この様なパンタグラフ及び集電舟装置のうち、新幹線等の高速車両に使用するものは、運転時に発生する気流騒音の低減を考慮して、在来線に使用していたものとは異なる構造のものを使用している。図9〜12は、この様な点を考慮した設計を行ない、従来から使用されている、高速車両用のパンタグラフ及び集電舟装置を示している。
【0003】先ず、図9〜10に示したパンタグラフ1に就いて説明する。このパンタグラフ1は、鉄道車両の屋根上に固定する台枠2を備える。この台枠2の上面で車両の進行方向(図9、12の左右方向、図10〜11の表裏方向)に離隔した2個所位置には、それぞれ下枠3、3の下端部を枢支し、これら各下枠3、3の上端部に、それぞれ上枠4、4の下端部を枢支している。これら各下枠3、3と上枠4、4とには、図示しないばねにより、上記各上枠4、4の上端部を上方に押圧する弾力を付与し、次述する集電舟装置5の上面に支持した摺り板10、10の上面を、架線の下縁に向け弾性的に押圧自在としている。
【0004】上述の様なパンタグラフ1の上端部には、図11〜12に略示する様な集電舟装置5を支持している。この集電舟装置5を上記パンタグラフ1の上端部に支持する為、上記各上枠4、4の上端部には天井管6を、車両の幅方向(図9、12の表裏方向、図10〜11の左右方向)に亙って支持している。従来構造の場合には、上記天井管6の両端部近傍部分に1対の支持板7、7を、車両の進行方向に亙って設けている。そして、これら両支持板7、7の両端部上面にそれぞれリニアシャフト8、8を、上下方向に亙る変位自在に支持している。そして、車両の進行方向に離隔してそれぞれ上記車両の幅方向に亙り配設した1対の舟体9、9の両端部を、それぞれ上記各リニアシャフト8、8の上端部に結合支持している。そして、これら両舟体9、9の上面にそれぞれ摺り板10、10を支持固定し、これら各摺り板10、10を、架線の下縁と摺接自在としている。又、上記天井管6の両端部に設けた各支持板7、7の両端部上面と上記各舟体9、9の両端部下面との間には、それぞればね11、11を設けて、上記各舟体9、9に上方に向く弾力を付与している。更に、上記各舟体9、9と前記各上枠4、4との間には、上記各摺り板10、10が架線から受け入れた電気を流す為の導線12、12を配設している。
【0005】鉄道車両の運行時には、前述の様なパンタグラフ1の上端部に支持した、上述の様な集電舟装置5を構成する上記各摺り板10、10の上面を、上記パンタグラフ1に組み込んだばねと上記集電舟装置5に組み込んだばね11、11との弾力により、架線の下縁に押圧する。この架線の上下位置は微妙に変化するので、上記鉄道車両の走行に伴って上記各舟体9、9が上下移動し、上記各摺り板10、10の上面と上記架線の下縁との当接圧の変動を抑える。尚、この際、上記架線の大きなうねり(ピッチの大きな上下方向の変位)に対しては、上記パンタグラフ1を構成する下枠3、3及び上枠4、4が変位する事により、上記集電舟装置5全体を上下させて、上記各摺り板10、10を架線に追従させる。これに対して小さなうねり(ピッチの小さな上下方向の変位)に対しては、上記各舟体9、9が前記天井管6及び支持板7、7に対して昇降する事により、上記各摺り板10、10を架線に追従させる。尚、上記各舟体9、9及び摺り板10、10を車両の進行方向に関して2列に配置している理由は、これら摺り板10、10の上面と架線の下縁との接触面積を確保し、大きな電力の取り入れを可能にする為である。又、前記天井管6の両端から車両の幅方向両側下方に延びた丸棒状の枠棒13、13は、ポイントの通過時等、架線の位置が車両の中心から大きくずれて舟体9の上方から外れる傾向になった場合に、この架線をこの舟体9の上方にすくい上げる役目を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され作用する従来の集電舟装置5の場合、高速走行時に発生する気流騒音の低減が必ずしも十分とは言えない。即ち、図11〜12に示した従来の集電舟装置5の場合、天井管と舟体とリニアシャフトとばねとの4個の部品が、それぞれ外部に露出しており、走行時にはこれら各部品の後方でカルマン渦が発生し、このカルマン渦に基づく気流騒音が発生する。時速200〜300km/hで走行する高速車両の場合には、これら各部品が発生する気流騒音が合わさって環境基準を上回る可能性があり、鉄道車両の高速運転を阻害する原因となっている。本発明の集電舟装置は、この様な事情に鑑みて、後方で発生するカルマン渦並びにカルマン渦に基づく気流騒音を低減し、鉄道車両の高速運転の可能性を高めるべく発明したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の集電舟装置は、前述した従来の集電舟装置と同様に、パンタグラフの上端部に車両の幅方向に亙って結合固定される天井管と、この天井管の両端部近傍部分に、それぞれ上下方向に亙る変位自在に支持された複数本のリニアシャフトと、これら各リニアシャフトの上端部にその両端部を結合支持された状態で上記車両の幅方向に亙り配設された舟体と、この舟体の上面に支持された状態で架線の下縁と摺接する複数枚の摺り板と、上記天井管の両端部近傍部分と上記舟体の両端部近傍部分との間に設けられ、この舟体に上方に向く弾力を付与する複数のばねと、上記各摺り板が架線から受け入れた電気を流す為の導線とを備える。
【0008】特に、本発明の集電舟装置に於いては、上記舟体は中空箱状に形成されており、上記天井管は上記舟体の内部にこの舟体に対する上下方向に亙る変位を自在に支持されている。又、上記パンタグラフの上端部は上記舟体の下面に形成した通孔をこの舟体に対する変位を自在に挿通した状態でこの舟体内に挿入されている。更に、上記複数のばねは、上記舟体の内部でこの舟体と上記天井管との間に設けられている。
【0009】
【作用】上述の様に構成する本発明の集電舟装置によれば、天井管とリニアシャフトとばねとが気流騒音の原因とはならない。即ち、これら3個の部材は中空箱状の舟体に内装されて外部に露出していないので、車両の走行時にもこれら3個の部材の周囲に空気の流れが起きず、これら3個の部材の後方にカルマン渦が発生する事もない。この様に走行時に気流騒音の原因となる部材の数が減少する分、走行時に発生する気流騒音のレベルを低下させて、鉄道車両の高速運転の可能性を高める事ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1〜5は、請求項1〜5の要件を総て備えた、本発明の集電舟装置の実施の形態の1例を、図6〜8は本発明の集電舟装置を支持するパンタグラフの1例を、それぞれ示している。本発明の集電舟装置5aは、天井管6aを備え、この天井管6aに対して舟体9aを、上下方向に亙る若干の変位自在に、弾性的に支持している。上記天井管6aは、金属製で長矩形の本体14の両端部にホルダ片15、15を結合固定して成り、図6〜8に示したパンタグラフ1aの上端部に、車両の幅方向に亙って結合固定される。この様な天井管6aに対して上記舟体9aを支持する為、上記各ホルダ片15、15には、それぞれ1対ずつ、合計4個のリニアブッシュ16、16を嵌合固定し、これら各リニアブッシュ16、16の内側に、それぞれリニアシャフト17、17を摺動自在に挿通している。これら各リニアシャフト17、17の上端部は、それぞれがT字形に形成された上側支持ブラケット18、18と、それぞれが倒立T字形に形成された下側支持ブラケット19、19との間に、上下方向に掛け渡した状態で支持している。上記各上側、下側両支持ブラケット18、19同士は、それぞれ1対ずつのリニアシャフト17、17を掛け渡した状態で、結合ねじ25、25により互いに結合固定している。この状態で上記各リニアブッシュ16、16は、上記各上側、下側両支持ブラケット18、19により上下両側から挟まれた位置に存在し、上記各リニアシャフト17、17の周囲に、若干(例えば中立位置を中心として±7.5mm、合計15mm程度)の上下移動自在に支持される。
【0011】一方、上記舟体9aは、全体をアルミニウム合金等の軽金属により一体成形して成り、底板部20と、車両の進行方向に関して前後両側縁から上方に折れ曲がった1対の側板部21、21とを備え、全体の形状を、上方が開口した船形としている。この様な舟体9aの長さ方向両端部には、枠棒13、13の基端部をねじ止め固定している。又、上記底板部20の中央部には、上記パンタグラフ1aの上端部を挿通する為の中央透孔22を、両端寄り部分で上記各ホルダ片15、15及び上記各下側支持ブラケット19、19の下方位置には端部透孔23、23を、それぞれ形成している。尚、図示の例では、これら端部通孔23、23の下方を、膨出部36、36により塞いでいる。そして、上記各側板部21、21の一部で上記各端部透孔23、23の上方位置には、互いに整合する円形の挿通孔24、24を形成している。そして、これら各挿通孔24、24に挿通した結合ピン26、26を上記各上側支持ブラケット18、18に、スリーブ27、27を介して挿通している。従って、構成各部材を組み立てた状態で上記各リニアシャフト17、17は、上記舟体9aに結合固定された状態となる。そして、前記天井管6aは上記舟体9aの内側に、若干の上下移動自在に収納支持される。
【0012】又、上記舟体9aの上方開口部には摺り板取付板28を、この舟体9aの両端部及び中間部2個所位置、合計4個所位置を下方から挿通した結合ねじ29、29により結合している。尚、これら各結合ねじ29、29の上端部を螺合させる為、上記摺り板取付板28の下面4個所位置には、ナット片(図示せず)を固着している。又、上記摺り板取付板28の前後両側縁部には、それぞれ下方に向け直角に折れ曲がった折り曲げ部30、30を形成している。これら両折り曲げ部30、30は、上記各結合ねじ29、29により上記摺り板取付板28を上記舟体9aの上端開口部に結合固定した状態で、この舟体9aの前後両側面の上部を覆う。又、前記各結合ピン26、26の前後両端部を支持する為、上記舟体9aを構成する前記両側板部21、21の両端部近傍に形成した前記挿通孔24、24の外側面側開口は、上記両折り曲げ部30、30により塞がれる。従って、上記各挿通孔24、24にそれぞれの前後両端部を嵌合した上記各結合ピン26、26が、上記各挿通孔24、24から抜け出る事はない。
【0013】又、上記摺り板取付板28の上面には、2組の摺り板10a、10aを固定している。これら各摺り板10a、10aは、それぞれ中央部2枚ずつの主摺り板31、31と両端部2枚ずつの補助摺り板32、32とを、車両の幅方向に亙り直列に配置したもので、上記摺り板取付板28を上記舟体9aに結合固定するのに先立って、この摺り板取付板28の上面にねじ止め固定している。
【0014】又、前記1対のホルダ片15、15の外半部(車両の幅方向外側半部)の上面と上記摺り板取付板28の両端部下面との間には、それぞれ2個ずつ、合計4個のばね11a、11aを設けている。これら各ばね11a、11aは、圧縮コイルばねの周囲を、ゴム等の弾性材製のベローズにより覆ったもので、上記両ホルダ片15、15を固定した前記天井管6aに対して、上記摺り板取付板28を固定した上記舟体9aを上方に押し上げる方向の弾力を有する。
【0015】更に、上記舟体9aを構成する前記底板部20の上面の中間部2個所位置と、前記天井管6aの下面の中間部2個所位置との間にはそれぞれ、シャント或はコーベルと呼ばれる、導線12a、12aを設けている。即ち、銅等の導電性の良好な金属線により造った導線12a、12aの両端部に固着した、やはり導電性の良好な金属板により造った端子金具33、33を、それぞれ上記底板部20の上面及び天井管6aの下面の中間部2個所位置ずつに、ねじ止め固定している。上記両導線12a、12aは、相対変位する上記舟体9aと天井管6aとの間で電気を流す事により、上記舟体9aに上記摺り板取付板28を介して支持固定した前記各摺り板10a、10aが架線から受け入れた電気を、上記天井管6aを支持したパンタグラフ1a(図6〜8)側に設けた別の導線に効率良く流せる様にしている。
【0016】上述の様に構成する本発明の集電舟装置5aは、例えば図6〜8に示す様なパンタグラフ1aの上端部に支持する。このパンタグラフ1aは、台枠2aに車両の幅方向に亙って設けた揺動支持軸34の中間部に、1本の下枠3aの基端部を固定し、この下枠3aの先端部に上枠4aの基端部を結合している。そして、この上枠4aの先端部に、上記集電舟装置5aを構成する天井管6aの中間部を結合している。そして、上記揺動支持軸34と上記台枠2aとの間に設けたばね35により、上記下枠3aと上枠4aとを、図6に鎖線で示した状態から同図に実線で示した状態にまで起立させる方向の弾力を付与している。尚、上記下枠3aの先端部と上記上枠4aとの連結部、並びにこの上枠4aと上記天井管6aとの連結部には、適宜のリンク機構を設けて、上記下枠3a及び上枠4aの起倒に拘らず、上記集電舟装置5aの姿勢が変化しない様にしている。尚、上記パンタグラフ1aは、前述した従来のパンタグラフ1(図9〜10)に比べて気流騒音を低く抑えられる構造であるが、上記パンタグラフ1aの構造及び作用は、本発明の要旨ではないので、詳しい説明は省略する。
【0017】前述の様に構成し、上述の様なパンタグラフ1aの上端部に支持する本発明の集電舟装置5aを備えた車両の運行時には、上記パンタグラフ1aを図6に実線で示した状態に起立させ、集電舟装置5aの上面に設置した摺り板10a、10aの上面と架線の下縁とを摺接させる。この様にして架線から摺り板10a、10aに取り入れた電気は、前記摺り板取付板28、舟体9a、導線12a、12aを介して上記天井管6aに送られる。車両の走行時には、架線の微小うねりに伴って上記舟体9aと天井管6aとの上下位置関係が変化する。これら舟体9aと天井管6aとは、可撓性を有する上記導線12a、12aにより電気的に接続されているので、上述の様に舟体9aと天井管6aとの上下位置関係が変化した場合にも、これら舟体9aと天井管6aとの間での通電は確実に行なわれる。逆に言えば、これら舟体9aと天井管6aとの間での通電を確実に行なわせる為に、これら舟体9aと天井管6aとの相対変位の円滑性が損なわれる事はない。
【0018】特に、本発明の集電舟装置5aによれば、高速走行時にも気流騒音を低く抑える事ができる。即ち、前述した従来構造の場合には、それぞれが気流騒音の原因となっていた、天井管6aとリニアシャフト17、17とばね11a、11aとが気流騒音の原因とはならない。何となれば、これら3個の部材6a、17、11aは、何れも中空箱状の舟体9aとこの舟体9aの上方開口部を塞ぐ摺り板取付板28とにより囲まれた空間内に収納されて外部に露出していない。従って、車両の走行時にも上記3個の部材6a、17、11aの周囲に空気の流れが起きず、これら3個の部材6a、17、11aの後方にカルマン渦が発生する事もない。この様に走行時に気流騒音の原因となる部材の数が減少する分、走行時に発生する気流騒音のレベルを低下させて、鉄道車両の高速運転の可能性を高める事ができる。更に、図示の例では、請求項2〜5に対応する、次の■〜■の構成を採用する事により、次述する様な有用な作用・効果を付け加える事ができる。
【0019】■ パンタグラフ1aの上端部に舟体9aを1個のみ設け、この1個の舟体9aの上面に2組の摺り板10a、10aを、車両の進行方向に関して前後2列に配置している。前述した様に、架線と摺り板10a、10aとの摺接面積を広くして架線から取り入れる電力量を確保する為には、摺り板10a、10aを車両の進行方向に関して前後2列に配置する必要がある。この為に、前述の図9〜12に示した従来構造の場合には、舟体9、9を車両の進行方向に関して前後2列に、互いに離隔した状態で配置し、これら各舟体9、9の上面にそれぞれ摺り板10、10を固定していた。この為、上記各舟体9、9部分でそれぞれ気流騒音が発生し、集電舟装置5全体としての気流騒音を大きくしていた。これに対して図示の例の場合には、前記天井管6aとリニアシャフト17、17とばね11a、11aとを舟体9aに内装するだけでなく、この舟体9aの数も1個のみとした為、高速走行時に発生する気流騒音をより一層低減できる。尚、この様に舟体の数を減らす事は、天井管6aとリニアシャフト17、17とばね11a、11aとを舟体9aに内装する事とは別に行なっても、或る程度の気流騒音低減効果を得られる。但し、これら3個の部材6a、17、11aを舟体9aに内装する事と同時に実施する事が、大きな気流騒音低減効果を得る為には好ましい。
【0020】■ 前記各導線12a、12aを舟体9aの内部に配設している。パンタグラフ1aと摺り板10a、10aを支持固定した舟体9aとの間には、摺り板10a、10aにより取り入れた電気をパンタグラフ1a側に設けた別の導線に円滑に流しつつ、上記パンタグラフ1aの上端部に設けた天井管6aと舟体9aとの相対変位を許容する為に、上記各導線12a、12aを設ける必要がある。この為に、前述の図9〜12に示した従来構造の場合には、舟体9、9とパンタグラフ1を構成する上枠4、4との間に導線12、12を設けていた。この為、高速走行時にはこれら各導線12、12部分でそれぞれ気流騒音が発生し、集電舟装置5全体としての気流騒音を大きくしていた。これに対して図示の例の場合には、前記天井管6aとリニアシャフト17、17とばね11a、11aとを舟体9aに内装するだけでなく、上記各導線12a、12aを舟体9aの内部に配設している為、高速走行時に発生する気流騒音をより一層低減できる。
【0021】■ 上記舟体9aの上端部に前記摺り板取付板28を装着固定し、この摺り板取付板28により上記舟体9aの上面を構成する他、この摺り板取付板28に形成した折り曲げ部30、30により、車両の進行方向に関して上記舟体9aの前後両面の上部を覆っている。車両の走行時には、上記各摺り板10a、10aの上面と架線の下縁との摺接に基づいて火花が発生する。この様にして発生した高温の火花が、アルミニウム合金製の舟体9aに触れると、この舟体9aの寿命が損なわれる。図11〜12に示した従来構造の場合には、この様な事に対しての対策が行なわれていなかった為、舟体9の交換頻度が多くなる事が避けられない。これに対して図示の例の場合には、上記各折り曲げ部30、30により、最も火花がかかり易い、車両の進行方向に関して上記舟体9aの前後両面の上部を覆っている為、上記舟体9aが火花により傷む事を防止し、この舟体9aの交換頻度を低く抑える事ができる。尚、上述の様に舟体9aの前後両面の上部を覆う事は、天井管6aとリニアシャフト17、17とばね11a、11aとを舟体9aに内装する事とは別に行なっても、舟体の寿命延長を図れる。
【0022】■ 前記各リニアシャフト17、17の上端部を支持する上側支持ブラケット18、18及び上記舟体9aを構成する前記各側板部21、21の両端部近傍部分に1対の結合ピン26、26を挿通し、上記舟体9aの上端部に上記摺り板取付板28を装着した状態で前記各折り曲げ部30、30が、上記各結合ピン26、26の両端面に当接若しくは近接対向して、上記上側支持ブラケット18、18及び上記各側板部21、21から上記各結合ピン26、26が抜ける事を防止している。上述の様な構成を採用する事により、前記天井管6aと舟体9aとを、上下方向に亙る相対変位自在に組み合わせたり、前記摺り板10a、10aを交換する為に分解する作業を容易に行なえる。
【0023】
【発明の効果】本発明の集電舟装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、後方で発生するカルマン渦並びにカルマン渦に基づく気流騒音を低減し、鉄道車両の高速運転の可能性を高める事ができる。
【出願人】 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】390014775
【氏名又は名称】株式会社工進精工所
【出願日】 平成9年(1997)8月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
【公開番号】 特開平11−69502
【公開日】 平成11年(1999)3月9日
【出願番号】 特願平9−224616