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【発明の名称】 シリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置
【発明者】 【氏名】菊池 俊雄

【氏名】北田 眞一郎

【氏名】平野 弘之

【氏名】稲田 英二

【氏名】麻生 剛

【氏名】井戸口 隆一

【氏名】金子 雄太郎

【要約】 【課題】従来から使用されているエンジン駆動式の補機を用い、エンジン停止中でも補機の作動を確保する。

【解決手段】シリーズ・ハイブリッド車にエンジン2により駆動される補機13〜16を備え、エンジン2による発電機1の駆動が不要な時にエンジン2への燃料供給を停止したまま発電機1によりエンジン2を駆動する。これにより、従来から使用されているエンジン駆動式の補機をそのまま用いることができ、エンジン停止中でもそれらの補機の作動を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行駆動源に電動モーターを用い、バッテリーの残容量が低下するとエンジンにより発電機を駆動して前記バッテリーおよび前記モーターに電力を供給するシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置において、前記エンジンにより駆動される補機を備え、前記エンジンによる前記発電機の駆動が不要な時に、前記エンジンへの燃料供給を停止したまま前記発電機により前記エンジンを駆動することを特徴とするシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置。
【請求項2】 請求項1に記載のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置において、前記エンジンのクランク軸とクランクプーリーとの間にクラッチを設け、前記エンジンによる前記発電機の駆動が不要な時は前記クラッチを釈放することを特徴とするシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置。
【請求項3】 請求項2に記載のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置において、前記エンジンにより駆動される負圧ポンプを備えることを特徴とするシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの項に記載のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置において、前記補機にはパワーステアリングポンプ、12V電源用発電機、空調装置用コンプレッサーが含まれることを特徴とするシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリーズ・ハイブリッド車の発電機を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走行駆動源に電動モーターを用い、バッテリーの残容量が低下するとエンジンにより発電機を駆動してバッテリーおよび電動モーターに電力を供給するシリーズ・ハイブリッド車が知られている。この種のシリーズ・ハイブリッド車においては、バッテリーの残容量を検出し、残容量が所定量以下に低下したらエンジンを駆動して発電を開始する。そして、バッテリーの残容量が所定量まで回復した時やバッテリーの温度が所定値以上になった時にエンジンの駆動を停止する。
【0003】このようなシリーズ・ハイブリッド車ではエンジンが常に作動しないため、従来エンジンの駆動力を利用していた補機、すなわちパワーステアリングポンプ、空調装置用コンプレッサー、ウオーターポンプおよびブレーキ倍力装置に負圧を供給する装置などは電動式となり、電動駆動装置を新たに設置する必要がある。また、エンジン駆動を利用した従来の12V電源用発電機は、主バッテリーの高電圧を12Vの低電圧に変換するコンバーターに置き換えて新たに設置する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような電動式ポンプやコンバーターは新たに開発する必要があり、生産台数が少ない現状ではこれらの部品が高価になり、シリーズ・ハイブリッド車がコストアップする。
【0005】さらに、シリーズ・ハイブリッド車では、電気自動車の装備品に加え、エンジン、燃料系統部品、排気系統部品などを新たに設置しなければならないので、装備品のレイアウトが難しくなる上に、電動式ポンプやコンバーターのような従来の装備品よりも大きなものや、負圧ポンプやウオーターポンプのようなエンジンが常に作動しないために新たに搭載しなければならないものもあり、装備品のレイアウトをさらに難しくしている。
【0006】本発明の目的は、従来から使用されているエンジン駆動式の補機を用い、エンジン停止中でも補機の作動を確保するようにしたシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、走行駆動源に電動モーターを用い、バッテリーの残容量が低下するとエンジンにより発電機を駆動してバッテリーおよびモーターに電力を供給するシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置に適用され、エンジンにより駆動される補機を備え、エンジンによる発電機の駆動が不要な時にエンジンへの燃料供給を停止したまま発電機によりエンジンを駆動する。
(2) 請求項2のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置は、エンジンのクランク軸とクランクプーリーとの間にクラッチを設け、エンジンによる発電機の駆動が不要な時はクラッチを釈放するようにしたものである。
(3) 請求項3のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置は、エンジンにより駆動される負圧ポンプを備える。
(4) 請求項4のシリーズ・ハイブリッド車の発電機制御装置は、補機にはパワーステアリングポンプ、12V電源用発電機、空調装置用コンプレッサーが含まれる。
【0008】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、シリーズ・ハイブリッド車にエンジンにより駆動される補機を備え、エンジンによる発電機の駆動が不要な時にエンジンへの燃料供給を停止したまま発電機によりエンジンを駆動するようにしたので、従来から使用されているエンジン駆動式の補機をそのまま用いることができ、電動式補機の開発費が不要となり、コストを低減できる。また、エンジン停止中でもそれらの補機の作動を確保することができる。さらに、小型で必要最小限の装備品でシリーズ・ハイブリッド車を構成でき、装備品のレイアウトが容易になる。
(2) 請求項2の発明によれば、エンジンのクランク軸とクランクプーリーとの間にクラッチを設け、エンジンによる発電機の駆動が不要な時はクラッチを釈放するようにしたので、発電機をエンジン駆動用モーターとして運転した時に、エンジンを駆動する動力が不要となり、発電機負荷が軽減されてバッテリーの電力消費を節約できる。
(3) 請求項3の発明によれば、エンジンにより駆動される負圧ポンプを備えるようにしたので、エンジンのクランク軸とクランクプーリーとの間にクラッチを設け、エンジンによる発電機の駆動が不要な時はクラッチを釈放してエンジンを停止しても、負圧ポンプが発電機により駆動され続け、ウオーターポンプやブレーキ倍力装置に対する負圧の供給を確保できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は一実施の形態の構成図であり、図2はエンジンの正面図である。図1において、発電機1はエンジン2により駆動され、駆動用モーター4の電源となる主バッテリー6を充電する。エンジン2は発電機1を駆動するためにのみ使用される。減速機3は駆動用モーター4の回転を減速し、ドライブシャフト8を介して車輪9に駆動力を伝達する。制御装置5は、ケーブル11a、11b、11cを介して発電機1、駆動用モーター4および主バッテリー6間の電力の流れを制御し、駆動用モーター4を駆動制御するとともに、発電機1により主バッテリー6の充電を行なう。負圧倍力装置7は、負圧ホース10を介してエンジン2の負圧を利用し、ブレーキペダルの踏力をアシストする装置である。
【0010】図2に示すように、エンジン2のクランクプーリー12は発電機1、12V電源用発電機13、空調装置用コンプレッサー14、パワーステアリングポンプ15およびウオーターポンプ16とベルトを介して接続され、エンジン2の駆動力によりそれらの装置を駆動する。
【0011】主バッテリー6の容量が十分ある時はバッテリー6から駆動用モーター4に電力を供給し、モーター4により減速機3およびドライブシャフト8を介してタイヤ9を駆動する。この時、制御装置5は、主バッテリー6の容量が十分あると判断すると、発電機1をエンジン駆動用モーターとして運転する。エンジン2には、図2に示すように、12V電源用発電機13や空調装置用コンプレッサー14などの上述した補機がマウントされており、発電機1をエンジン駆動用モーターとして運転することによってエンジン2が回り、補機が作動する。この時、エンジン2は発電機1の電動運転のみにより回転するため、エンジン2に燃料を供給する必要はない。
【0012】一般に、エンジンで補機を駆動する場合、12V電源用発電機、空調装置用コンプレッサー、パワーステアリングポンプ、ウオーターポンプは、エンジン回転が2000〜3000rpmで回っていれば補機性能が十分に満足される。したがって、この実施の形態では発電機1によりエンジン2を2000〜3000rpmで回すように制御する。
【0013】次に、主バッテリー6が所定量まで放電されると、制御装置5は、発電機1によるエンジン2の駆動を終了するとともに、エンジン2に燃料を供給して始動する。そして、エンジン2により発電機1を駆動して発電を行なう。この時、補機はエンジン2が回ることにより正常に作動する。
【0014】図3は発電機制御のフローチャートである。制御装置5はこの発電機制御を繰り返し実行する。ステップ1において、主バッテリー6の残容量を検出する。この残容量の検出方法は、例えば放電電圧と放電電流に基づいて残容量を検出する方法などすでに公知の方法がある。続くステップ2で、残容量が所定量K1以上かどうかを確認する。残容量が所定量K1以上で、残容量が十分にある場合はステップ3へ進み、エンジン2への燃料供給を停止し、続くステップ4で発電機1をエンジン駆動用モーターとして駆動する。これにより、エンジン2に連れ回る補機が作動し、補機性能が確保される。
【0015】一方、バッテリー6の残容量が所定量K1より少ない場合はステップ5へ進み、エンジン2へ燃料を供給してエンジン2を始動し、続くステップ6で発電機1により発電を行なって主バッテリー6を充電する。
【0016】−発明の一実施の形態の変形例−図4は一実施の形態の変形例の構成図であり、図5は変形例のエンジンの正面図である。なお、図1、図2に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。この変形例では、エンジン2のクランク軸とクランクプーリー12との間に電磁クラッチ17を設け、制御装置5によりケーブル11dを介してオン、オフする。
【0017】主バッテリー6の容量が十分ある時は、電磁クラッチ17を切り、エンジン2のクランクと発電機1を切り離した状態で発電機1を補機駆動用モーターとして運転する。補機と発電機1は図4に示すようにクランクプーリー12とベルトを介してつながっており、発電機1が回転すると補機が作動する。
【0018】電磁クラッチ17を設けることにより、発電機1を補機駆動用モーターとして駆動した時に、エンジン2を駆動する動力が不要となり、発電機負荷が軽減されて主バッテリー6の電力消費を節約できる。
【0019】ただし、エンジン2が回らないのでエンジン2には負圧が発生しない。そこで、エンジン2により駆動される負圧ポンプ18を設け、クランクプーリー12およびベルトを介してエンジン2に連れ回るようにする。負圧ポンプ18は通常、エンジン2により駆動され負圧を発生する。一方、エンジン2の停止中には、負圧ポンプ18が発電機1により駆動される。これにより、エンジン2による発電機1の駆動が不要な時はクラッチ17を釈放してエンジン2を停止しても、負圧ポンプ18が発電機1により駆動され続け、ウオーターポンプやブレーキ倍力装置に対する負圧の供給を確保できる。また、この負圧ポンプ18は常に作動するため、電動式に比べて小さくできる。また、機械式であるため、電動式に比べ耐震性や耐熱性が高く、エンジン2にマウントしても問題はない。
【0020】主バッテリー6が所定量まで放電されると、制御装置5は電磁クラッチ17を接続し、発電機1をエンジン駆動用モーターとして運転するとともに、エンジン2に燃料を供給して始動する。始動後、エンジン2により発電機1を駆動して発電を行なう。この時も、補機はエンジン2により駆動されて正常に作動する。
【0021】図6は発電機制御のフローチャートである。なお、図3と同様な処理を行なうステップに対しては同一のステップ番号を付して説明する。制御装置5はこの発電機制御を繰り返し実行する。ステップ1において、主バッテリー6の残容量を検出する。続くステップ2で、残容量が所定量K1以上かどうかを確認する。残容量が所定量K1以上で、残容量が十分にある場合はステップ3へ進み、エンジン2への燃料供給を停止し、続くステップ10で電磁クラッチ17を切る。さらにステップ4で、発電機1をエンジン駆動用モーターとして駆動する。これにより、エンジン2に連れ回る補機が作動し、補機性能が確保される上に、発電機1の負荷がエンジン駆動分だけ軽減される。
【0022】一方、バッテリー6の残容量が所定量K1より少ない場合はステップ11へ進み、電磁クラッチ17を接続する。続くステップ5で、エンジン2へ燃料を供給してエンジン2を始動し、さらにステップ6で発電機1により発電を行なって主バッテリー6を充電する。
【0023】以上の一実施の形態の構成において、駆動用モーター4が電動モーターを、主バッテリー6がバッテリーを、エンジン2がエンジンを、12V電源用発電機13、空調装置用コンプレッサー14、パワーステアリングポンプ15、ウオーターポンプ16および負圧ポンプ18が補機を、電磁クラッチ17がクラッチをそれぞれ構成する。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開平11−27803
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−179950