| 【発明の名称】 |
ハイブリット車両の発電機制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】安部 孝昭
|
| 【要約】 |
【課題】電池の劣化や温度上昇による電池出力低下を防ぐハイブリット車両の発電機制御装置を提供すること。
【解決手段】2次電池31を電源とするモーター10を具備した車両走行装置と、エンジン20を駆動源とする発電機21を具備したエンジン駆動発電機23と、エンジン20により発電機21を駆動してその発電電力を2次電池31及びモーター10に提供するハイブリット車両において、2次電池31の単電池の電圧・温度計測装置34と、電流・電圧計測装置33及び冷却空気温度計測装置35で計測された値を取り込み、冷却ファン37に作動信号を送る電池コントローラー32と、電池コントローラー32で演算された値を受け取り、発電機コントローラー24へ指令を送り、発電機21を作動させる車両コントローラー41を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2次電池を電源とする走行用電動機を具備した車両走行装置と、エンジンを駆動源とする発電機を具備した発電装置と、そのエンジンにより前記発電機を駆動してその発電電力を前記2次電池及び走行用電動機に供給するハイブリット車両において、前記2次電池の温度を検出する手段と、その検出された電池温度から2次電池の温度上昇率を算出する手段と、その2次電池の温度上昇率から発電機の起動を制御する装置を備えたことを特徴とするハイブリット車両の発電機制御装置。 【請求項2】 2次電池を電源とする走行用電動機を具備した車両走行装置と、燃料電池と、当該燃料電池の発電電力を前記2次電池に供給する手段とを有するハイブリット車両において、前記2次電池の温度を検出する手段と、その検出された電池温度から2次電池の温度上昇率を算出する手段と、備え、算出した温度上昇率に基づいて前記燃料電池から前記2次電池への充電量を制御することを特徴とするハイブリット車両の発電機制御装置。 【請求項3】 電池の冷却空気温度を検出する検出手段と、前記発電機を起動する放電深度を前記検出手段が検出した温度に基づいて演算する手段と、を備え、当該手段の演算した放電深度に基づいて発電機を制御することを特徴とする請求項1または2記載のハイブリット車両の発電機制御装置。 【請求項4】 前記2次電池の温度上昇率の算出方法は、電池のみの電力を走行用電動機に供給する走行モードの前後の温度差をとることを特徴とする請求項1ないし3記載のハイブリット車両の発電機制御装置。 【請求項5】 電池温度計測位置として最も温度が上がる単電池を計測することを特徴とする請求項1ないし3記載のハイブリット車両の発電機制御装置。 【請求項6】 2次電池にリチウムイオン電池を使用することを特徴とする請求項1ないし5記載のハイブリット車両の発電機制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、ハイブリット車両の発電機制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来のハイブリット車両の発電機制御装置としては、特開平6−197406号公報や特開平8−61193号公報に見られるようなものが開発されている。両者とも発電機の作動開始ポイントを制御する発明である。前者は、車両の操縦者や走行環境によって発電機の作動開始ポイントを制御することにより、操縦者や走行環境に左右されず安定的に2次電池を充電可能にすることを目的としている。後者は、2次電池の最大使用可能出力がモーターの最大出力以下になった時に発電機を起動させ、車両が常に最大出力を出せるようにしたものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前者のような従来の2次電池の制御方法をハイブリット電気自動車用電池へ適用するにあっては、電池の温度上昇によって放電ができなくなってしまう、あるいは、充電ができなくなってしまうといった問題点が予測される。また、後者の技術にあっては、電池の温度管理がなされていないため、電池の劣化をまねいたり、温度上昇のため電池の出力を低下せざるを得ないといった問題点が発生すると考えられる。 【0004】この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その構成を電池の温度変化から演算された放電深度で発電機を作動させることにより、電池の温度上昇を抑えることができ、電池の劣化や温度上昇による電池出力低下を防ぐ効果が得られる。また、電池冷却システムの小容量化を図ることができる。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記問題点を解決するための手段として、請求項1記載のハイブリット車両の発電機制御装置では、2次電池を電源とする走行用電動機を具備した車両走行装置と、エンジンを駆動源とする発電機を具備した発電装置と、そのエンジンにより前記発電機を駆動してその発電電力を前記2次電池及び走行用電動機に供給するハイブリット車両において、前記2次電池の温度を検出する手段と、その検出された電池温度から2次電池の温度上昇率を算出する手段と、その2次電池の温度上昇率から発電機の起動を制御する装置を備えた構成とした。また、請求項2記載のハイブリット車両の発電機制御装置は、2次電池を電源とする走行用電動機を具備した車両走行装置と、燃料電池と、当該燃料電池の発電電力を前記2次電池に供給する手段とを有するハイブリット車両において、前記2次電池の温度を検出する手段と、その検出された電池温度から2次電池の温度上昇率を算出する手段と、備え、算出した温度上昇率に基づいて前記燃料電池から前記2次電池への充電量を制御することを特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のハイブリット車両の発電機制御装置において、電池の冷却空気温度を検出する検出手段と、前記発電機を起動する放電深度を前記検出手段が検出した温度に基づいて演算する手段と、を備え、当該手段の演算した放電深度に基づいて発電機を制御するよう構成した。請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記載のハイブリット車両の発電機制御装置において、前記2次電池の温度上昇率の算出方法は、電池のみの電力を走行用電動機に供給する走行モードの前後の温度差をとることとした。請求項5記載の発明は、請求項1ないし3記載のハイブリット車両の発電機制御装置において、電池温度計測位置として最も温度が上がる単電池を計測することを特徴とする。 【0006】請求項6記載の発明は、請求項1ないし5記載のハイブリット車両の発電機制御装置において、2次電池にリチウムイオン電池を使用することを特徴とする。 【0007】 【発明の実施の形態】 以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明実施の形態1にかかるハイブリット車両、特にシリーズハイブリット車両の発電機制御装置の構成を示すブロック図である。この図に示される車両は、駆動源としてモーター10を、モーター10の電力源として2次電池31をそれぞれ備えている。2次電池31は充放電可能な電池であり、その放電電力は、インバーター11を介してモーター10に供給される。モーター10は例えば3相交流モーターであり、インバーター11は、2次電池31から供給される直流電力を3相交流電力に変換してモーター10に供給する。モーター10はディファレンシャルギア13を介して駆動輪14に連結されている。 【0008】このように、図1に示される車両は、2次電池31の電力によって駆動される。さらに、この図においては、エンジン20及び発電機21から構成されるエンジン駆動発電機23が示されている。エンジン20の出力軸は発電機21に直接または間接的に連結されており、従って、エンジン20が回転すると発電機21から発電出力が得られる。発電機21は、例えば3相交流発電機であり、コンバーター22を介して、2次電池31に供給されるか、あるいは、インバーター11を介してモーター10に供給される。従って、エンジン20が回転し発電機21から発電出力が得られている状態では、この発電電力がコンバーター22によって整流され、2次電池31に供給されたり、モーター10に供給されたりすることになる。 2次電池31は電池ケース36に収納されている。電池冷却ファン37によって冷却空気が2次電池31へ導かれる。 【0009】モーターコントローラー12は、インバーター11とモーター10の制御を行うコントローラーである。発電機コントローラー24は、コンバーター22、発電機21及びエンジン20の制御を行うコントローラーである。電池コントローラー32は、2次電池31の中の単電池の電圧・温度計測装置34と、電流・電圧計測装置33及び冷却空気温度計測装置35で計測された値を取り込み、電池冷却ファン37に作動信号を送っている。車両コントローラー41は電池コントローラー32で演算された充電開始のDOD*(作用のところで説明する)を受け取り、発電機コントローラー24へ指令を送り、発電機21を作動させる。 【0010】次に、作用を説明する。充放電可能な二次電池は化学反応を伴うため、ジュール発熱とその化学反応熱の和が充放電時に内部発熱となる。図2は、横軸に充放電電力を縦軸に発熱量Qをプロットした図である。図2においてライン1は充電時の反応熱が吸熱反応となる電池の発熱量を示したもので、ライン2は充電時の反応熱が発熱反応となる電池の発熱量を示したものである。 【0011】実施の形態1は充電時の反応熱が吸熱反応となる2次電池(例えば、リチウムイオン電池等)についての場合である。ハイブリット車両において放電電力は走行条件により0〜70kwと、充電電力は発電機の能力により0〜20kwとなる。よく使われる条件として放電条件は20kw、発電機で2次電池を充電する電力は発電機を回すエンジン音のため10kwがよく使用される。具体的にリチウムイオン電池で説明すると、重量の点から10kwhrの容量の2次電池を積むのがハイブリット車両に最適である。図3にこの時の発熱量をプロットする。20kw放電時が1600w、10kw充電時が150wの発熱量となる。このハイブリット車両で走行を行うと、図4に示すような結果となる。領域aでは2次電池のみで走行を続けるため、電池の温度は上昇していく。この走行モードを電池出力モードとする。領域bでは2次電池と発電機の出力による走行であり、発電機の出力以下の走行条件では、2次電池は充電されていることになるため、冷却能力が電池の発熱より上回るので温度は下がっていく。この走行モードを電池+発電機出力モードとする。領域cは領域aと同様に2次電池のみの出力で走行する領域である。領域dは領域bと同様に2次電池と発電機の出力で走行する領域である。以降、領域aと領域bの繰り返しである。この時、図5に示すように2次電池のみで走行する走行条件が厳しいと温度上昇速度が大きくなってしまい、電池の発熱に対して冷却能力が追いつかず、電池の使用上限温度に達してしまうおそれがある。2次電池の冷却能力を極力上げ、最大電力を放電する時の内部発熱を放熱できる冷却能力が望まれるが、ハイブリット車両などでは限界があり、実現できたとしても重量が大幅に増大し実現が困難である。冷却空気の温度が下がると、電池の表面温度との差が大きくなって性客性能が上がるために、冷却空気の温度によって温度上昇率と発電機を作動させるDODの関係が変化する。さらに、電池の耐熱温度が一定であることから、電池モード走行初期の電池温度TB0によって電池モード走行を終了するまでの許容電池温度上昇が変化する。このような影響を考慮して、電池温度TB0によって変化する係数kを設定する。実験の結果、電池温度TB0と係数kとの関係は図12に示すような関係となっている。したがって、発電機を作動させるDOD*は、図7により求められるDOD0 と図12より求められる係数kから(DOD0 ×k)で求めることができる。 【0012】しかし、図6に示すように、2次電池のみの出力によって走行する時間を短くする、つまり、放電深度を浅くすると、電池の最大温度上昇を抑えることができることが、電池の発熱量測定実験結果と電池周りの冷却シュミレーション結果よりわかった。すなわち、電池温度上昇が一定となるような温度上昇率と、2次電池のみの出力で走行する時の放電深度の関係を求めると、図7に示すようになる。 【0013】図8、9、10に制御のフローチャートを示す。図8において、ステップS11で車両のキーがONされ、フローチャートが開始される。ステップS12において、前回の使用条件が残っていれば記憶装置からロードされる。ステップS13では車両の走行モードを判別し、走行モードが電池出力モードならば、ステップS141の電池出力モードヘ進む。走行モードが電池+発電機出力モードならば、ステップS142の電池+発電機出力モードヘ進む。電池出力モードとは、2次電池の出力のみで車両走行を行うモードであり、電池+発電機出力モードとは、2次電池の充電を中心に考えた走行モードであり、発電機の出力を中心に走行するモードである。この走行モードを図11に基づいて説明する。 【0014】図11は、停止、加速走行、定速走行、減速走行、停止を行ったときの2次電池の充放電状態を示した図であり、停止時はエンジン音や発電機の効率を考慮した出力で、2次電池は充電されている。加速走行時は(発電機の最大出力+電池出力)を必要とするため、2次電池は(車両出力−発電機の最大出力)で放電されることになる。定速走行時は車両出力は発電機の出力で足り、発電機の余裕の出力は2次電池へ充電されることになる。減速走行時にはモーターからの回生電力を2次電池へ戻すことになり、2次電池は充電されることになる。ライン1は2次電池の充電量を示しており、時間がたつにつれ充電量が増えていく。このように電池+発電機出力モードでは、発電機の出力に余裕がある時に電池を充電する制御を行っていくモードである。 【0015】図9に、電池出力モードのフローチャートを示す。ステップS21でフローが開始される。ステップS22で走行モードの判定を行う。走行モードが電池出力モード初期であれば、ステップS221で電池温度TB0 を計測し、TB0 をT1 に計測時刻をt1 に代入する。走行モードが電池出力モード途中であれば、ステップS222で前回の走行条件の初期温度をT1に計測時刻をt1 に代入する。ステップS23では、ユーザーによる車両停止、つまり、キーオフが行われたかを判断するステップである。キーがオフされると、ステップS231でその時点での走行条件を記録しステップS232で終了する。記録される走行条件は電池出力モード途中とする。ステップS24では、電池温度TBを計測し、TBをT2 に代入する。また、その時刻をt2 とする。ステップS25で温度上昇率を演算する。ステップS26で図7より、電池出力モードから電池+発電機出力モードヘ移行する2次電池の放電深度DOD*を求める。ステップS27では、電池放電深度がDOD*以上となったら、ステップS28で電池+発電機出力モードヘ移行しステップS29で図8のステップS13に戻る。電池放電深度がDOD*以下ならば、ステップS24へ移り、電池放電深度がDOD*以上となるまで繰り返す。 【0016】図10に、電池+発電機出力モードのフローチャートを示す。ステップS32では、ユーザーによる車両停止、つまり、キーオフが行われたかを判断するステップである。キーがオフされると、ステップS321でその時点での走行条件を記録し、ステップS322で終了する。ステップS33では、図11で説明したように、2次電池の充電量が2次電池の放電深度DOD1 より小さくなったら、ステップS34で電池出力モードへ移行しステップS35で図8のステップS13に戻る。2次電池の充電量が2次電池の放電深度DOD1 より小さくなければステップS32へ戻る。 【0017】発明の実施の形態2は、エンジン駆動の発電機による発電を燃料電池により行う。図13は本発明実施の形態2にかかるハイブリット車両、特にシリーズハイブリット車両の発電機制御装置の構成を示すブロック図である。燃料電池51によって発電された直流電源はDC/DCコンバーター52によって電圧を変圧され、2次電池31に供給されるか、あるいは、インバーター11を介してモーター10に供給される。従って、燃料電池51から発電出力が得られている状態では、この発電電力がDC/DCコンバーター52によって変圧され、2次電池31に供給されたり、モーター10に供給されたりすることになる。燃料電池51とDC/DCコンバーター52は燃料電池コントローラー53によって制御される。制御の流れは、実施の形態1と同じである。 【0018】 【発明の効果】 以上説明してきたように、この発明によれば、その構成を2次電池の温度変化から演算された放電深度で、発電機を作動させることにより、2次電池の温度上昇を抑えることができ、電池の劣化や温度上昇による電池出力低下を防ぐ効果が得られる。また、電池冷却システムの小容量化をはかることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月18日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平11−18203 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月22日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−161208 |
|