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【発明の名称】 消しゴム
【発明者】 【氏名】金 東照
【課題】高級塩化ビニル系消しゴムと同等以上の消字性を保有し、且つ塩化ビニル系消しゴムの持つ安全性、公害環境問題や可塑剤の移行性の問題が解消された、安全性の高い消しゴムとする。

【解決手段】ポリオレフィン系エラストマーと、ゴム的性質を有する素材と、充填剤と、可塑剤とより少なくともなる消しゴムであって、可塑剤を全体の15〜35重量%含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリオレフィン系エラストマーと、ゴム的性質を有する素材と、充填剤と、可塑剤とより少なくともなる消しゴムであって、可塑剤を全体の15〜35重量%含有する消しゴム。
【請求項2】 ゴム的性質を有する素材として、NBRを使用することを特徴とする請求項1記載の消しゴム。
【請求項3】 可塑剤として、パラフィンオイルを使用することを特徴とする請求項1または2記載の消しゴム。
【請求項4】 充填剤として、炭酸カルシウムを使用することを特徴とする請求項1記載の消しゴム。
【請求項5】 オレフィン系エラストマーを30〜40重量%、ゴム的性質を有する素材を10〜20重量%、可塑剤を15〜35重量%、充填剤を15〜25重量%含有してなる消しゴム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消しゴムに関し、特に安全性、公害問題、環境問題等が十分考慮された消字性の高い消しゴムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から使用されている消しゴムとしては、塩化ビニル−フタル酸系可塑剤−充填剤を主原料とした「塩化ビニル系」消しゴムや、エラストマー系プラスチック−鉱物油系可塑剤−充填剤を主原料とした「エラストマー系」消しゴムや、天然ゴムまたは合成ゴムを加硫して作る「天然ゴム系」消しゴムが知られている。この中で、「天然ゴム系」消しゴムは、耐久性に問題があるため、殆ど使用されなくなっている。
【0003】現在「塩化ビニル系」消しゴムが、消字性の点で抜群に優れているため主流となっているが、主原料である塩化ビニル及びフタル酸系可塑剤による環境汚染問題や移行性の問題があり、他の系の消しゴムの開発が急がれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら現在までに開発されている「エラストマー系」消しゴムは環境問題には対応できるものの、消字性においては明らかに「塩化ビニル系」消しゴムに劣るので、あまり普及されていないのが現状である。エラストマー系樹脂を利用した消しゴムの開発は、昭和46年頃から始まっており、その後新しく開発されたエラストマー系樹脂を利用して多くの発明がなされている。そして、エラストマー系樹脂として、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−ポリスチレン(SBS)、アタクティックポリプロピレン(APP)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、スチレン−イソプレン−ポリスチレン(SIS)、エチレンスチレンブチレン−ポリスチレン(SEBS)、オレフィン系エラストマー(TPE)などが使用されている。また、充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ケイ石、クレイ、タルク、ガラス粉などが使用され、可塑剤(または液体成分)として動物性脂肪、ロウ、鉱物油、ポリブデンなどが使用されている。
【0005】しかしいずれの場合でも従来のエラストマー系消しゴムは、高級塩化ビニル系消しゴムに比べて、消字性が劣っており、塩化ビニル系消しゴムにとって替わることができないのが現状である。本発明者は、この原因を追求し研究を重ねた結果、高級塩化ビニル系消しゴムと同等以上の消字性に優れた消しゴムを発明するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】「エラストマー系」消しゴムが「塩化ビニル系」消しゴムに比べて消字性が劣る原因を追求した結果、高級塩化ビニル系消しゴムと同等の性能を得る条件として以下の点が挙げられることが分かった。
1.硬度が低いこと高級塩化ビニル系消しゴムの主原料の配分は、塩化ビニル樹脂30重量%、可塑剤50重量%、充填剤20重量%程度であり、可塑剤の割合が高く、これが硬度を低くして消字性を良好にしていると考えられる。高級塩化ビニル系消しゴムの硬度(JISA)は15〜35程度であるのに対して、エラストマー系消しゴムでは硬度を明記した文献は少ないが、市販品も含めて55〜85程度で、大部分のものが60〜80であると推察される(例えば、特開昭52−30528号公報、特開平1−209198号公報、特開平1−204797号公報参照)。
2.消しカスの切れが良く、且つカスはある程度まとまること高級塩化ビニル系消しゴムでは、消しカスのきれがよく、消しカスはばらばらにならないが、エラストマー系消しゴムでは、消しカスのきれは良いが、細かくなって逸散しやすい。
3.消字率JIS S−6004に規定された試験方法で測定した場合、高級塩化ビニル系消しゴムでは90〜95%となるが、エラストマー系消しゴムでは80〜85%位となり明らかに高級塩化ビニル系消しゴムに比べて劣る。これは紙の繊維内に入り込んだ鉛筆の微紛にまで消しゴムが到達できないためと考えられる。
【0007】以上のことを総合して次の結論を得た。
1.エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー(TPE)が好適である。オレフィン系エラストマー以外の他の系のエラストマーでは軟らかいものを作ることが困難である。
2.ゴム的性質を有する素材を使用する。かかる素材を使用することによって、軟らかいにもかかわらず、消しカスの切れがよくなり、消字性が向上する。
3.可塑剤(または液体成分)を多量に使用する。本発明の特徴の1つである「軟らかくて且つ消しカスがまとまる」という性質を引き出すのに、可塑剤または液体成分を多量に使用することが効果的である。従来のエラストマー系消しゴムでは液体成分についてあまり配慮されておらず、過去の実施例でも可塑材の重量%は殆ど0〜10%程度で重要な構成要素として考えられていない。その理由は多くしようすると経時変化により液体成分が表面に滲出してベタベタしたり、消しカスの切れが悪くなって消しゴムとして成立しないと考えられるためだが、吸油率の高い充填剤を使用することによって、液体成分を多く含有させ、表面に滲出させないで使用できる。本発明では可塑剤を15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%使用して、対候性良く、良好な消しゴムが得られた。
【0008】以上のことから、本発明の消しゴムは、ポリオレフィン系エラストマーと、ゴム的性質を有する素材と、充填剤と、可塑剤とより少なくともなり、可塑剤を全体の15〜35重量%含有することを要旨とする。オレフィン系エラストマーとして具体的には、サーモラン(三菱化学製)、ミラストマ(三井石油化学製)、住友TPE(住友化学製)などが挙げられる。オレフィン系エラストマーの使用重量%は30〜40%が良く、好ましくは32〜38%が良い。あまり多くなりすぎると消しカスのきれが悪くなり、少ないと硬くなり消しカスがまとまりにくい。
【0009】また、ゴム的性質を有する素材として、具体的にはNBR(ニトリルブタジエンゴム)が好適である。また、使用重量%は10〜20%が適当である。可塑剤として具体的には、パラフィンオイル等の鉱物油が好適である。充填剤としては、炭酸カルシウムが、ソフトタッチとなり好適である。ケイ石、アルミナ類は硬くなる。炭酸カルシウムの中でも、吸油率の高いものが望ましい。使用重量%は、15〜25%が適当である。また、上記の他に、適宜、酸化チタン等の着色剤を添加することも可能である。
【0010】
【実施例】
【0011】
【表1】(実施例1)
TPE(PP−EPDM系) 35重量%NBR 15 〃炭酸カルシウム 30 〃パラフィンオイル 20 〃【0012】TPEとNBRを加圧ニーダーで160℃で1時間混練し、この中に炭酸カルシウムとパラフィンオイルを投入して更に1時間混練する。出来上がった混合物をペレット化し、これを押出機によって押出成形を行い、冷却後、適当に切断してブロック状の消しゴムが得られた。出来上がったブロック状消しゴムは、その硬度(JISA)が30であった。消字性は良好で消しカスの切れも良く、よくまとまった。消字率(JIS S−6004の試験による)は95%であった。このときに同時にテストした市販の高級塩化ビニル系消しゴムの硬度は25、消字率は95%であった。
【0013】
【表2】(実施例2)
TPE 32重量%NBR 13 〃炭酸カルシウム 30 〃パラフィンオイル 25 〃【0014】実施例1と同様な方法でブロック状消しゴムを得た。出来上がったものは、硬度(JISA)が25で、消字性良好で消しカスも良くまとまり、消字率(JIS S−6004の試験による)は97%であった。
【0015】
【表3】(比較例1)
TPE 40重量%炭酸カルシウム 50 〃パラフィンオイル 10 〃【0016】TPEを加圧ニーダーで160℃で1時間混練し、この中に炭酸カルシウムとパラフィンオイルを投入して更に1時間混練する。出来上がった混合物をペレット化し、これを押出機によって押出成形を行い、冷却後、適当に切断してブロック状の消しゴムが得られた。出来上がったブロック状消しゴムは、硬度(JISA)が60で、消去時の感触は硬く、消しカスの切れは少し劣っていた。消字率(JIS S−6004の試験による)は85%であった。
【0017】
【表4】(比較例2)
TPE 20重量%SBS 20 〃ポリエチレン 10 〃炭酸カルシウム 40 〃パラフィンオイル 10 〃【0018】TPE、SBS及びポリエチレンを加圧ニーダーで160℃で1時間混練し、この中に炭酸カルシウムとパラフィンオイルを投入して更に1時間混練する。出来上がった混合物をペレット化し、これを押出機によって押出成形を行い、冷却後、適当に切断してブロック状の消しゴムが得られた。出来上がったブロック状消しゴムは、硬度(JISA)が80で、消去時の感触は非常に硬かった。消しカスの切れは良いが、細かく逸散する状態となった。消字率(JIS S−6004の試験による)は75%であった。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ポリオレフィン系エラストマーと、ゴム的性質を有する素材と、充填剤と、可塑剤とより少なくともなり、可塑剤を全体の15〜35重量%含有する消しゴムとすることで、市販の高級塩化ビニル系消しゴムと同等以上の消字性を保有し、且つ塩化ビニル系消しゴムの持つ安全性、公害環境問題や可塑剤の移行性の問題が解消された、安全性の高い消しゴムを得ることができる。また、エラストマー系消しゴムの持つ「折れにくさ」を兼ね備えた理想的な消しゴムとすることができる。
【出願人】 【識別番号】000156134
【氏名又は名称】株式会社壽
【出願日】 平成10年(1998)5月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 元 (外3名)
【公開番号】 特開平11−334288
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平10−144902