| 【発明の名称】 |
防水シート及び防水シートの探傷方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 利一
【氏名】桑原 純
【氏名】青木 洋一
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| 【要約】 |
【課題】大きな傷はもちろんピンホール等の小さな傷に至るまでシートに生じた傷を容易かつ確実に検知することを可能ならしめる防水シートを提供する。
【解決手段】蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層2の上面に、合成樹脂組成物からなる表面層3を積層一体化する。蓄光剤としては、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤を用いるのが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなることを特徴とする防水シート。 【請求項2】 前記蓄光剤の配合量が、基層を構成する合成樹脂100重量部に対して5〜30重量部である請求項1に記載の防水シート。 【請求項3】 前記蓄光剤が、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤からなる請求項1または2に記載の防水シート。 【請求項4】 前記ストロンチウムアルミネート系蓄光剤が、Sr4 Al14O25:Eu,Dy及びSrAl2 O4 :Eu,Dyからなる群より選ばれる1種または2種の蓄光剤である請求項3に記載の防水シート。 【請求項5】 前記基層および表面層を構成する合成樹脂が、軟質塩化ビニル樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水シート。 【請求項6】 前記基層の厚さが0.4〜3.0mmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の防水シート。 【請求項7】 前記表面層の厚さが0.1〜0.9mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の防水シート。 【請求項8】 前記基層の下面に、白色等の淡色系合成樹脂シートが積層一体化されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の防水シート。 【請求項9】 蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、可視光または紫外光を所定時間照射した後、照射を停止し、かつ暗所状態にして防水シートからの残光を検出することを特徴とする防水シートの探傷方法。 【請求項10】 蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、紫外光を照射した状態で、防水シートからの残光を検出することを特徴とする防水シートの探傷方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば蓄熱槽、下水の集積処理層、汚泥の処理槽等のコンクリート躯体などの躯体面に防水目的で敷設施工される防水シートに関し、更に詳しくは施工中あるいは施工後のシートにおいてピンホール等の傷部の検知を容易かつ確実に実施しうる防水シート及びその探傷方法に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、蓄熱槽、下水の集積処理層等のコンクリート躯体面には、合成樹脂からなる防水シートを張設することが行われている。この防水シートの施工に際しては、シートによる防水を目的とするものであるがゆえに、シートに傷はもちろん僅かなピンホールも形成させてはならないのであるが、この施工工程においては、使用工具等の接触による傷の発生や、足場の搬入、組立て時の接触等による傷の発生が現実には起こりやすい。仮にピンホール等の僅かな傷であったとしても、例えば蓄熱槽や下水の集積処理層等においては貯留水によって大きな水圧がかかるために傷が拡がり漏水を生じてしまうこととなる。 【0003】そこで、施工中または施工後の防水シートの水密性を確認する必要がある。このような防水シートの水密性をチェックできるようにするために、従来より次のような防水シートが提案されている。 【0004】即ち、特公平5−68566号公報には、暗い或いは濃い色のベースシートの表面に明るい或いは淡い色の薄いシートを貼着して複合化した2層異色防水シートが提案されている。この防水シートを施工すれば、シートの傷が発生した箇所においてベースシートの暗い或いは濃い色が露出するから、その周囲の明るい或いは淡い色との差異を視認することが可能となり、これにより傷発生箇所を検出することができるというものである。 【0005】また、特開平6−280499号公報には、表層の少なくとも一部に光の反射体または蛍光体を含むシグナル層の上面に、不透水性シートを積層した防水シートが提案されている。この防水シートを施工すれば、シートの傷が発生した箇所においてシグナル層の表層の反射体または蛍光体が露出することとなるから、これにサーチライトの光を照射すれば、シグナル層が光を反射し或いは蛍光を発するので、これを視認することにより傷発生箇所を検出することができるというものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では、次のような問題があった。即ち、前者の2層異色防水シートでは、蓄熱槽等の暗所においてはこのような色の差、即ちベースシートの暗い或いは濃い色を視認することは困難であり、特にピンホール等の小さな傷を発見することは到底不可能である。更に、表層の明るい或いは淡い色の薄いシートに汚れが付着した場合には、その汚れと傷との区別がつかなくなるという問題もあった。また、シートの表層の色が限定されてしまうから、意匠上の制約を大きく受けるという難点もあった。 【0007】一方、後者のシグナル層を有する防水シートでは、サーチライト等の光を照射し、その照射時のシグナル層からの反射光または蛍光を視認するのであるが、この反射光、蛍光の発生は、ともに光の照射に対して極めて短時間に起こる現象であり、少なくとも人間の目の視認レベルでは光の照射に対して実質的に同時に起こるものである。即ち、この反射光、蛍光の視認はサーチライト等の光が照射されている状態でしか行うことができない。サーチライト等のような極めて明るい条件のもとで、このような反射光や蛍光を視認するのはかなり困難であるし、特にピンホール等の小さな傷からの反射光や蛍光を視認することは到底不可能である。また、サーチライト等のような極めて明るい条件のもとで防水シートの全面をくまなく調べることになると目の疲労も著しくなるから、大きな傷からの反射光や蛍光であっても見落とす確率が高くなるという難点もある。 【0008】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、大きな傷はもちろんピンホール等の小さな傷に至るまでシートに生じた傷部を容易かつ確実に検知することを可能ならしめる防水シート及びその探傷方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究の結果、防水シートを、裏側の層に蓄光剤を含有せしめた2層構造とすることにより、上記所望の防水シートとなることを見出すに至り、この発明を完成したものである。 【0010】即ち、この発明に係る防水シートは、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなることを特徴とするものである。 【0011】施工時などに防水シートに傷が入った場合には、当該傷の発生箇所で蓄光剤を含有する基層が表出することとなる。ここで、防水シートに蛍光灯やブラックライト(紫外光が主)等の光を所定時間照射した後、その光の照射を止めれば、表出した基層から、即ち傷の発生箇所から残光が発せられるので、これにより傷の発生の有無はもちろん傷の発生位置も正確に知ることができる。この時、光の照射を停止した後に、即ち蓄光のための照射光の影響の全くない環境下で防水シートから発せられる残光の視認を行いうるから、僅かな残光でも見逃すことがない、即ちピンホール等の僅かな傷でも発見し得る。特に光の照射を停止してなおかつ暗所状態にして残光の視認動作を行えば、ピンホールなどの僅かな傷をも容易かつ確実に検出することができる。更に、この蓄光剤から発せられる残光は、残光時間が長いので、蓄光のための光の照射を停止した後、時間的な余裕をもって防水シートから発せられる残光の視認動作を丁寧に行い得るから、僅かな残光でも確実に視認できる。このように照射光の影響の全くない環境下で視認でき、かつ残光時間が長く視認を丁寧に行うことができるから、ピンホール等の僅かな傷をも容易かつ確実に検出することができる。加えて、防水シートの色彩や色柄は任意に設定できるから意匠上の制約を生じることもないし、残光を視認するものであるから防水シート表面に汚れが生じていても何ら問題なく傷の検出が可能である。 【0012】上記蓄光剤の配合量は、基層を構成する合成樹脂100重量部に対して5〜30重量部とするのが好ましく、これにより防水シートの機械的物性に影響を与えることなく、視認するのにより十分な残光が得られる。 【0013】また、蓄光剤は、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤からなるのが好ましい。ストロンチウムアルミネート系蓄光剤は、より残光輝度が大きく、より残光時間も長いので小さな傷でも一層確実に検出され得る。かつこの蓄光剤は水分や防水シートに含有されることもあるPd系安定剤とも反応しないから、残光特性も安定しているという利点も得られる。 【0014】ストロンチウムアルミネート系蓄光剤は、Sr4 Al14O25:Eu,Dy及びSrAl2 O4 :Eu,Dyからなる群より選ばれる1種または2種の蓄光剤であるのが好ましい。これらの蓄光剤は、人間の眼の視感度に合致して一番明るく見える青緑色〜黄緑色を呈する上に、その残光輝度も極めて大きいから、視認性に極めて優れたものとなる。 【0015】また、基層および表面層を構成する合成樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂からなるもが好ましく、この構成により防水シートに求められる施工性、耐久性、難燃性を十分に具備したものとなし得る。 【0016】また、基層の厚さは0.4〜3.0mmとするのが好ましく、これにより一層低コストにて十分な残光輝度が確保され得る。 【0017】また、表面層の厚さは0.1〜0.9mmとするのが好ましく、これにより小さな傷でもより確実に検出され得る。 【0018】更に、基層の下面に、白色等の淡色系合成樹脂シートが積層一体化されているのが好ましい。残光輝度が下地(防水シートを敷設する施工面)の色に影響されることが確実に防止され、もって十分な残光輝度が確保され得る。 【0019】また、この発明の防水シートの探傷方法は、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、可視光または紫外光を所定時間照射した後、照射を停止し、かつ暗所状態にして防水シートからの残光を検出することを特徴とするものである。シートに傷が生じていれば、その箇所において蓄光剤を含有する基層が露出しているから、光照射で蓄光剤に蓄えられたエネルギーが残光として発せられ、これにより傷の検知を行うことができる。しかも暗所状態にして残光の検出を行うので、僅かな残光でも見逃すことがなく、従ってピンホール等の小さな傷でも容易にかつ確実に発見することができる。 【0020】また、この発明の別の防水シートの探傷方法は、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、紫外光を照射した状態で、防水シートからの残光を検出することを特徴とするものである。シートに傷が生じていれば、その箇所において蓄光剤を含有する基層が露出しているから、紫外光照射により蓄光剤に蓄えられたエネルギーが残光として発せられ、これにより傷の検知を行うことができる。かつ紫外光であるので僅かに青白く照らされる程度であるから、この照射状態で残光の検出を行うことができ、このように照射しつつ検出を行えるから、探傷に要する時間の短縮化を図ることができる。 【0021】 【発明の実施の形態】この発明の防水シート(1)は、図1に示すように、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層(2)の上面に、合成樹脂組成物からなる表面層(3)が積層一体化されたものである。この防水シート(1)における表面層(3)の表面側が施工時において防水シートの表面を形成する。 【0022】例えば、施工時などに防水シートに傷が入った場合には、図2に示すように、当該傷の発生箇所(Y)で蓄光剤を含有する基層(2)が表出することとなる。ここで、防水シート(1)に蛍光灯やブラックライト等の光を所定時間照射した後、その光の照射を止めれば、この傷の発生箇所である表出した基層から、残光が発せられるので、これにより傷の発生の有無はもちろん傷の発生位置も正確に知ることができるものである。また、ブラックライト等の紫外光を照射する場合には、光照射しつつ発せられる残光の視認を行い、これにより傷の検出を行うことができる。 【0023】この発明において、前記基層(2)を構成する合成樹脂組成物には、蓄光剤を含有させる必要がある。なお、蓄光剤とは、太陽光や電灯などの光を受けた際に、その光の照射を止めた後でも自ら発光しつづける機能を有する化合物のことである。 【0024】前記蓄光剤としては、特に限定されるものではないが、例えば硫化亜鉛系蓄光剤、カルシウムアルミネート系蓄光剤、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤等が挙げられる。 【0025】上記硫化亜鉛系蓄光剤は、残光輝度はある程度得られるものの、カルシウムアルミネート系蓄光剤、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤と比較すると残光時間が相対的に短い。また、硫化亜鉛系は成形加工時に分解しやすいので、成形加工性に若干劣る。更に、防水シート中に含有される水分やPd系安定剤(添加剤)と反応しやすく、この場合には残光特性が低下することとなる。 【0026】これに対し、カルシウムアルミネート系蓄光剤およびストロンチウムアルミネート系蓄光剤は、残光輝度が大きくかつ残光時間も長い上に、成形加工時にも分解することがないし、防水シート中に含有される水分やPd系安定剤とも反応しないので、本発明における蓄光剤としてより好適である。中でも、残光輝度が大きくかつ残光時間も長いストロンチウムアルミネート系蓄光剤が好適に用いられる。 【0027】上記硫化亜鉛系蓄光剤としては、例えばZnS:Cu(発光色:黄緑色)、ZnS:Cu,Co(発光色:黄緑色)、CaS:Eu,Tm(発光色:赤色)などが挙げられる。 【0028】上記カルシウムアルミネート系蓄光剤としては、例えばCaAl2 O4 :Eu,Nd(発光色:紫青色)等が挙げられる。 【0029】上記ストロンチウムアルミネート系蓄光剤としては、特に限定されないものの、Sr4 Al14O25:Eu,Dy(発光色:青緑色)、SrAl2 O4 :Eu,Dy(発光色:黄緑色)、SrAl2 O4 :Eu(発光色:黄緑色)が好適に用いられる。 【0030】中でも、残光輝度が極めて大きく、しかも発光スペクトルのピーク波長が490〜530nm近辺であり人間の眼の視感度に合致して一番明るく見える青緑色〜黄緑色を呈して、その視認性に優れることから、Sr4 Al14O25:Eu,Dy、SrAl2 O4 :Eu,Dyが特に好適である。なお、この2つの蓄光剤は、前記SrAl2 O4 :Euと比較しておおよそ10倍の残光輝度を示す。 【0031】なお、上記ストロンチウムアルミネート系蓄光剤は、例えば次のようにして製造できる。即ち、高純度のアルミナに炭酸ストロンチウムを配合し、これに付活剤としてユーロピウムを、さらに付活助剤としてデスプロシウムを添加して、還元性雰囲気において1300℃で3時間焼成することで得られる。これを粉砕、分級することで所望の粒径のものを得ることができる。なお、この発明で使用される蓄光剤は、上記製造方法で得られるものに特に限定されるものではない。 【0032】この発明において、蓄光剤の配合量は、基層(2)を構成する合成樹脂100重量部に対して5〜30重量部とするのが好ましい。5重量部未満では、視認するのに十分な残光が得られなくなるので好ましくないし、一方30重量部を超えると防水シートの機械的物性が低下するので好ましくない。中でも、10〜25重量部とするのがより好ましい。 【0033】また、蓄光剤の粒径は、1〜10μmとするのが好ましい。1μm未満では均一分散が困難となるので好ましくないし、一方10μmを超えると防水シートの物性に悪影響を及ぼす傾向にあるので好ましくない。 【0034】この発明において、基層(2)を構成する合成樹脂および表面層(3)を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンが好適に用いられる。中でも、施工性、耐久性、難燃性、製造加工性に優れることから、軟質塩化ビニル樹脂が特に好適である。 【0035】また、基層(2)を構成する樹脂組成物および表面層(3)を構成する樹脂組成物には、防水シート(1)に塑性を与え十分な柔軟性を付与する観点から、可塑剤を配合するのが好ましい。この可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えばDOP(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)に代表される側鎖アルコール系フタル酸エステルや直鎖アルコール系フタル酸エステルなどを挙げることができる。また、可塑剤を配合する場合、可塑剤の配合量は、合成樹脂100重量部に対して30〜90重量部とするのが好ましい。30重量部未満では可塑剤の効果が十分に得られないので好ましくないし、一方90重量部を超えると加工性が低下するので好ましくない。 【0036】更に、基層(2)を構成する樹脂組成物および表面層(3)を構成する樹脂組成物には、防水シートの諸性質の向上を目的として各種添加剤を配合してもよい。主な添加剤としては、安定剤が挙げられる。この安定剤としては、例えばジブチル錫マレートなどの有機錫マレートや、有機酸バリウム塩、有機酸亜鉛塩等が挙げられる。また、これらの添加剤の他に、酸化防止剤、加工助剤、着色剤等を適宜配合し得る。 【0037】この発明において、基層(2)の厚さは0.4〜3.0mmとするのが好ましい。0.4mm未満では残光輝度が不十分となり視認性が低下するので好ましくないし、一方3.0mmを超えると防水シートの施工性が低下するし、またコスト高となるので好ましくない。中でも、基層(2)の厚さは1.0〜2.0mmとするのが一層好ましい。 【0038】また、表面層(3)の厚さは0.1〜0.9mmとするのが好ましい。0.1mm未満では耐傷性、遮光性が低下するので好ましくないし、一方0.9mmを超えると傷が小さなものであるとそれが基層(2)にまで到達せず、従って基層(2)が露出しないから、ピンホール等の僅かな傷は発見することができなくなるので、好ましくない。中でも、表面層(3)の厚さは0.1〜0.5mmとするのが一層好ましい。 【0039】そして、防水シート(1)全体の厚さとしては、通常0.5〜4.0mmであるが、中でも0.8〜3.0mmとするのが好ましく、特に1.0〜2.0mmとするのがより好ましい。 【0040】前記基層(2)の下面に、更に樹脂シートを積層する構成としてもよい。特に、基層(2)の厚さが比較的小さい場合には光が基層(2)を透過して下地(防水シートを敷設する施工面)にまで光が到達することとなるが、この場合に下地が黒系色であると残光輝度が低下しやすいので、このような場合には、図3に示すように、基層(2)の下面に、白色等の淡色系合成樹脂からなる下地層(4)を積層一体化するのが好ましい。この下地層(4)を構成する樹脂としては、特に限定されないが、前記同様に軟質塩化ビニル樹脂を用いるのが好ましい。 【0041】この発明の防水シート(1)を得るに際し、基層(2)と表面層(3)の積層一体化方法は、特に限定されるものではなく、例えばラミネート法、プレス法等の通常適用される積層方法を用いれば良い。 【0042】また、基層(2)と表面層(3)とは全面が相互に一体化されているのが好ましいが、部分的に一体化されているのでも良い。 【0043】この発明の防水シート(1)に、ピンホール等の小さな傷も含めて傷の有無およびその位置を調べる、即ち探傷する際に用いる光源としては、特に限定されないが、例えば蛍光灯、白熱電灯等の可視光源、ブラックライト等の紫外光源等が挙げられる。 【0044】前者の可視光源を使用する場合には、防水シート(1)に対してその光を所定時間照射する。その後、照射を止めて、防水シート(1)から残光が発生していないかどうか調べる。残光が確認される部位が傷のある箇所である。この時、光の照射を停止してなおかつ暗所状態にして残光の視認動作を行えば、ピンホール等の僅かな傷をも見逃すことなく確実に検出することができる。可視光源を使用する場合には、可視光源として一般的な蛍光灯や白熱電灯等を利用できるので、傷検知を簡便に行える利点がある。これらの中でもより大きな残光輝度を得ることができる蛍光灯を用いるのが好ましい。これは、白熱電灯よりも蛍光灯の方が、蓄光剤がよりよく励起される紫外線を多く含むことによる。なお、探傷に際し、所定時間照射した後、照射を停止した状態ではじめて残光の視認作業を開始できるので、所定時間照射中は視認作業を行うことができない。 【0045】一方、後者の紫外光源を使用する場合には、防水シート(1)に対して光を照射しつつ残光の視認を行うことができる利点がある。紫外光源であるがゆえに可視光線がほとんどなく、従ってせいぜい僅かに青白く照らされる程度であり、よって照射状態で残光の視認を実施することができるのである。つまり、作業時間(探傷時間)の短縮化を図ることができる。ただし、紫外光を利用するものであるから、安全上の対策を適宜講じなければならない不便さがある。もっとも、照射状態で残光の視認を行わなければならないものではなく、照射を停止してから残光の視認動作を行うものとしてもよいことは言うまでもない。 【0046】なお、この発明において、残光の検出に際しては、目視以外の手段、例えば光検出器などを用いるものとしても良い。ただ、目視による検出の方が極めて簡便かつ迅速に行い得ることから、目視により残光を検出(視認)するのがより望ましい。 【0047】 【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明する。 【0048】<実施例1>ZEST 1300Z(新第一塩ビ社製、平均重合度1300の塩化ビニル樹脂)100重量部と、Sr4 Al14O25:Eu,Dyからなる蓄光剤(根本特殊化学株式会社製、商品名:ルミノーバ)15重量部とを配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドして基層用組成物を得た。 【0049】この基層用組成物と、ZEST 1300Zからなる表面層用組成物とをラミネート法により2層に積層し、厚さ0.8mmのシートに成形した。 【0050】<実施例2>ZEST 1300Zを100重量部と、可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート、積水化学社製)60重量部と、安定剤としてRC−40F(ジブチル錫マレート、三共有機合成社製)1.5重量部とを配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドして表面層用組成物を得た。一方、ZEST 1300Zを100重量部と、可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート、積水化学社製)60重量部と、安定剤としてRC−40F(ジブチル錫マレート、三共有機合成社製)1.5重量部と、Sr4 Al14O25:Eu,Dyからなる蓄光剤(根本特殊化学株式会社製、商品名:ルミノーバ)15重量部とを配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドして基層用組成物を得た。 【0051】上記表面層用組成物と、基層用組成物とをラミネート法により2層に積層し、厚さ1.5mmのシートに成形した。 【0052】<実施例3〜8>表面層用組成物および基層用組成物における配合比率を表1に示す割合とした以外は、実施例2と同様にして所定厚さの防水シートを得た。 【0053】 【表1】
【0054】<実施例9〜10>蓄光剤として、SrAl2 O4 :Eu,Dyを使用した以外は、実施例2と同様にして所定厚さの防水シートを得た。 【0055】<実施例11>蓄光剤として、SrAl2 O4 :Euを使用した以外は、実施例2と同様にして防水シートを得た。 【0056】<実施例12>蓄光剤として、CaAl2 O4 :Eu,Ndを使用した以外は、実施例2と同様にして防水シートを得た。 【0057】 【表2】
【0058】上記のようにして作製した各防水シートに対し、下記の大小2種類の傷を付与した後、下記2種類の探傷方法をそれぞれ適用し、各傷を発見できるかどうかを下記判定基準に基づき評価した。その結果を表1、2に示す。 【0059】<ピンホール状の小さい傷>直径1.5mmの釘により、防水シートに、ピンホール状の小さい傷を形成させた。 【0060】<比較的大きい傷>鋼板ばさみにより、防水シートに、比較的大きい傷を形成させた。 【0061】<可視光照射を利用する探傷方法>一般の蛍光灯の光を、防水シートに10分間照射した後、消灯し、かつ暗所状態にして目視により防水シートからの残光の有無およびその位置を調べ、これにより探傷を行う。 【0062】<紫外光照射を利用する探傷方法>ブラックライト(ブラックライトブルー蛍光灯、松下電器産業株式会社製)からの光(主に紫外光)を、防水シートに照射しつつ、即ち照射状態で、目視により防水シートからの残光の有無およびその位置を調べ、これにより探傷を行う。 【0063】<比較例1>表面層用組成物として、実施例2における表面層用組成物に更に白色顔料(酸化チタン)を添加配合したものを用い、一方基層用組成物として、実施例2の基層用組成物における蓄光剤に代えて茶色顔料(MICROLITH Brown5R−K:日本チバガイギー社製)を添加配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして表面層(0.5mm)が白色、基層(1.0mm)が茶色である2層異色防水シートを得た。 【0064】この2層異色防水シートに、前記同様の大小2種類の傷を付与した後、通常の蛍光灯下の明るさにおいて、目視により、各傷を発見できるかどうかを調べたが、汚れと傷との区別がつかないために、探傷手段としては適さないものであった。また、暗所では当然ながら調べることができない。 【0065】<比較例2>実施例2と同様の表面層用組成物を用いて表層シートを作製した。一方、同じく実施例2と同様の表面層用組成物を用いて基層シートを作製し、これの表層に光の反射体となるアルミニウム箔を接着剤などで付着させて分散した。上記表層シートと基層シートとを反射体を介装する態様で積層一体化して、反射体を含むシグナル層を有する防水シートを得た。 【0066】この防水シートに、前記同様の大小2種類の傷を付与した後、防水シートにサーチライトを照射した状態時において、目視により、各傷を発見できるかどうかを下記判定基準に基づき評価した。その結果を表3に示す。 【0067】 【表3】
【0068】<判定基準>下記の5段階評価とし、「3」以上の評価を合格とした。 【0069】 「5」…極めて容易に、かつ確実に傷を発見できる「4」…容易に、かつ確実に傷を発見できる「3」…時間をかけて丹念に判定光(残光または反射光)を観察すれば、確実に傷を発見できる「2」…丹念に観察しても判定光(残光または反射光)を認識し難く、傷を確実に発見するのは困難である「1」…丹念に観察しても判定光(残光または反射光)は発見できず、傷を発見することができない。 【0070】表1、2から明らかなように、この発明の実施例1〜12の防水シートは、大きい傷はもちろんピンホールのような小さな傷でも確実に発見することができた。特に、実施例1〜6、9、10においては小さな傷でも極めて容易に発見することができた。 【0071】これに対し、比較例1の防水シートでは、汚れと傷との区別がつかず、探傷手段としては適していない。また、比較例2の防水シートでは、小さな傷を発見することができなかった。 【0072】 【発明の効果】以上のように、この発明の防水シートにおいては、施工時等にシートに傷が入った場合には、当該傷の発生箇所で蓄光剤を含有する基層が表出するから、この防水シートに蛍光灯や紫外灯などの光を所定時間照射した後、光の照射を止めれば、表出した基層から、即ち傷の生じた箇所から残光を視認することができるので、これにより傷を検出することができる。光の照射を停止した後に残光の視認を行うことができるので、僅かな残光でも見逃すことなく発見できる、即ち僅かな傷でも確実に発見することができる。特に、照射停止後に暗所状態にして残光の視認を行えば、ピンホール等の僅かな傷をも容易にかつ確実に検出することができる。更に、この蓄光剤から発せられる残光は、残光時間が長く、時間的な余裕をもって残光の視認を丁寧に行うことができる。このように照射光の影響の全くない環境下で視認でき、かつ視認を丁寧に行うことができるから、ピンホールなどの僅かな傷をも容易に確実に検出できる。加えて、防水シートの色彩や色柄は任意に設定できるから意匠上の制約を生じることがないし、残光を視認するものであるから防水シート表面に汚れが生じていても何ら支障なく傷の検出を行うことができる。 【0073】蓄光剤の配合量が、基層を構成する合成樹脂100重量部に対して5〜30重量部である場合には、シートの機械的物性に影響を与えることなく、十分な残光を得ることができる。 【0074】蓄光剤が、ストロンチウムアルミネート系蓄光剤からなる場合には、残光輝度がより大きくかつ残光時間もより長いので、小さな傷でも一層確実に検出することができる。また、この蓄光剤は水分等と反応しないから残光特性が極めて安定しているという利点もある。 【0075】上記ストロンチウムアルミネート系蓄光剤が、Sr4 Al14O25:Eu,Dy及びSrAl2 O4 :Eu,Dyからなる群より選ばれる1種または2種の蓄光剤である場合には、人間の眼の視感度に合致して一番明るく見える青緑色〜黄緑色を呈する上に、残光輝度も極めて大きいから、小さな傷でもより一層確実に検出することができる。 【0076】基層および表面層を構成する合成樹脂が、軟質塩化ビニル樹脂からなる場合には、防水シートとして、施工性、耐久性、難燃性を十分に具備したものが得られる。 【0077】基層の厚さが0.4〜3.0mmである場合には、一層低コストにて十分な残光輝度を得ることができる。 【0078】表面層の厚さが0.1〜0.9mmである場合には、ピンホール等の小さな傷でもより確実に検出することができる。 【0079】基層の下面に、白色等の淡色系合成樹脂シートが積層一体化されている場合には、残光輝度が下地(防水シートを敷設する施工面)の色に影響されることを確実に防止できるから、より一層容易に傷を検出することができる。 【0080】また、この発明の防水シートの探傷方法は、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、可視光または紫外光を所定時間照射した後、照射を停止し、かつ暗所状態にして防水シートからの残光を検出するものであり、シートに傷が生じていれば、その箇所において蓄光剤を含有する基層が露出するから、光照射により蓄光剤に蓄えられたエネルギーが残光として発せられ、これを検出することで傷の検知を行うことができる。しかも暗所状態にして残光の検出を行うから、僅かな残光でも見逃すことがなく、従ってピンホール等の小さな傷でも極めて容易にかつ確実に発見することができる。 【0081】また、この発明の別の防水シートの探傷方法は、蓄光剤を含有する合成樹脂組成物からなる基層と、該基層の上面に積層一体化された合成樹脂組成物からなる表面層とからなる防水シートに、紫外光を照射した状態で、防水シートからの残光を検出するものであり、シートに傷が生じていれば、前記同様にその傷の箇所から紫外光照射により蓄光剤に蓄えられたエネルギーが残光として発せられるから、これを検出することにより傷の検知を行うことができる。かつ紫外光であるので僅かに青白く照らされる程度であるから、この照射状態で残光の検出を行うことができ、このように照射しつつ検出を行うことができるから、即ち蓄光のための光照射と残光の検出とを同時並行して実施できるから、探傷に要する時間の短縮化を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000223414 【氏名又は名称】筒中プラスチック工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】清水 久義 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−309801 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−120228 |
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