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【発明の名称】 両面研磨装置及びスラリー供給方法
【発明者】 【氏名】熊谷 功次郎

【要約】 【課題】上定盤及び下定盤の回転時にスラリーを下定盤全体に均等に行き渡るようにして、ワークの研磨精度の高精度化を図った両面研磨装置及びスラリー供給方法を提供する。

【解決手段】サンギア1と下定盤2とインターナルギア3と上定盤4と下定盤2にスラリーを供給するスラリー供給機構5とを具備する。具体的には、下定盤2の中心孔20を上定盤4の中心孔40よりも小さく設定して、下定盤2の研磨面21の内側にスラリー受け面22を形成している。そして、スラリー供給機構5を、上定盤4に取り付けられ且つスラリー受け面22に向くスラリー供給管50と、上定盤4の径方向に略等間隔で穿設された複数のスラリー供給孔51〜54と、チューブ56等を介してスラリーをスラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54に供給するスラリー供給源59とで構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サンギアと、上記サンギアの外側に同心上に配され且つワークの下面を研磨するための研磨面を有するドーナッツ状の下定盤と、上記下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアと、上記下定盤と対向するように配され且つ上記サンギアとインターナルギアとに噛合されたキャリアに保持された上記ワークの上面を研磨するための研磨面を有する上定盤と、上記下定盤に向けてスラリーを供給するスラリー供給機構とを具備する両面研磨装置において、上記下定盤の中心孔を上定盤の中心孔よりも小さく設定して、上記下定盤の研磨面の内側にスラリー受け面を形成し、上記スラリー供給機構を、上記上定盤の中心孔内に配され且つその下端開口が上記下定盤のスラリー受け面に向くスラリー供給管と、上記上定盤を上下方向に貫通し上記スラリー供給管と共に上定盤の径方向に略等間隔で配設された複数のスラリー供給孔と、これら複数のスラリー供給孔とスラリー供給管とにスラリーを供給するスラリー供給源とで構成した、ことを特徴とする両面研磨装置。
【請求項2】 サンギアと、上記サンギアの外側に同心上に配され且つワークの下面を研磨するための研磨面を有するドーナッツ状の下定盤と、上記下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアと、上記下定盤と対向するように配され且つ上記サンギアとインターナルギアとに噛合されたキャリアに保持された上記ワークの上面を研磨するための研磨面を有する上定盤と、上記下定盤に向けてスラリーを供給するスラリー供給機構とを具備する両面研磨装置において、上記スラリー供給機構を、上記上定盤を上下方向に貫通し上定盤の径方向に略等間隔で配設された複数のスラリー供給孔と、上記各スラリー供給孔と上定盤中心との距離に略反比例した流量のスラリーを各スラリー供給孔に供給するスラリー供給源とで構成した、ことを特徴とする両面研磨装置。
【請求項3】 研磨面を対向させて上定盤と下定盤とを互いに逆方向に回転させ、上記下定盤の内側に同心上に配されたサンギア及び上記下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアの少なくとも一方を回転させることで、ワークを保持し且つ上記サンギア及びインターナルギアに噛合されたキャリアを上記サンギア周りに公転させると共に当該公転方向と逆方向に自転させ、上記上定盤の径方向に略等間隔で穿設された複数のスラリー供給孔から上記下定盤の研磨面にスラリーを流出すると共に、上記複数のスラリー供給孔と同列上に位置した状態で上記上定盤の中心孔内に配されたスラリー供給管から、上記下定盤の中心孔を上記上定盤の中心孔よりも小さく設定して研磨面内側に形成したスラリー受け面にスラリーを流出させる、ことを特徴とするスラリー供給方法。
【請求項4】 請求項3に記載のスラリー供給方法において、上記下定盤を上記キャリアの公転方向と逆方向に回転させる、ことを特徴とするスラリー供給方法。
【請求項5】 研磨面を対向させて上定盤と下定盤とを互いに逆方向に回転させ、上記下定盤の内側に同心上に配されたサンギア及び上記下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアの少なくとも一方を回転させることで、ワークを保持し且つ上記サンギア及びインターナルギアに噛合されたキャリアを上記サンギア周りに公転させると共に当該公転方向と逆方向に自転させ、上記上定盤の径方向に略等間隔で穿設された複数のスラリー供給孔から、当該各スラリー供給孔と上定盤中心との距離に略反比例した流量のスラリーを上記下定盤の研磨面に流出する、ことを特徴とするスラリー供給方法。
【請求項6】 請求項5に記載のスラリー供給方法において、上記下定盤を上記キャリアの公転方向と逆方向に回転させる、ことを特徴とするスラリー供給方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スラリーを供給しながら回転する上及び下定盤でワークの両面を研磨するための両面研磨装置及びスラリー供給方法に関し、特に、スラリーを下定盤の研磨面に供給する機構に特徴を有する両面研磨装置及びスラリー供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、従来例に係る両面研磨装置を示す断面図である。図8に示すように、両面研磨装置は、サンギア101とインターナルギア102とに噛合されたキャリア110をサンギア101の駆動回転によって、自公転させ、下定盤100と上定盤120とを互いに逆回転させることにより、ワークWの両面を同時に研磨する装置である。また、両面研磨装置には、ワークWの研磨効率を高めると共に研磨時に上及び下定盤100,120に生じる熱を冷却するためのスラリーを下定盤100側に供給するスラリー供給機構が設けられている。このスラリー供給機構は、スラリーをチューブ201を通じて上定盤120に穿設したスラリ−供給孔202に供給し、スラリ−供給孔202の下端開口から下定盤100側に流出する機構である。複数のスラリ−供給孔202の穿設位置は、下定盤100及び上定盤120が静止している状態で、スラリーがスラリ−供給孔202の下端開口から流出したときに、スラリーが下定盤100の研磨面に均等に行き渡るように設定している。例えば、図9に示すように、上定盤120の径方向に4つのスラリ−供給孔202を等間隔で穿設し、これら4つのスラリ−供給孔202を上定盤120の周方向に等間隔に穿設している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来の両面研磨装置では次のような問題があった。下定盤100及び上定盤120が静止している状態でスラリーが均等に下定盤100に行き渡るように、複数のスラリ−供給孔202の穿設位置を設定しているので、下定盤100及び上定盤120の回転時にスラリーの下定盤100への流出分布が偏ってしまう。すなわち、図10に示すように、各スラリ−供給孔202から下定盤100の研磨面上に流出されたスラリーSが下定盤100の遠心力によって下定盤100の径方向外側に移動させられる。このため、スラリ−供給孔202から流出されたスラリーSが下定盤100の研磨面上の内側部分100aに行き渡らない。この結果、内周部100aの熱が他の部分より上昇し、ワークWの研磨精度に悪影響を与えていた。
【0004】この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、上定盤及び下定盤の回転時にスラリーを下定盤全体に均等に行き渡るようにして、ワークの研磨精度の高精度化を図った両面研磨装置及びスラリー供給方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明は、サンギアと、サンギアの外側に同心上に配され且つワークの下面を研磨するための研磨面を有するドーナッツ状の下定盤と、下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアと、下定盤と対向するように配され且つサンギアとインターナルギアとに噛合されたキャリアに保持されたワークの上面を研磨するための研磨面を有する上定盤と、下定盤に向けてスラリーを供給するスラリー供給機構とを具備する両面研磨装置において、下定盤の中心孔を上定盤の中心孔よりも小さく設定して、下定盤の研磨面の内側にスラリー受け面を形成し、スラリー供給機構を、上定盤の中心孔内に配され且つその下端開口が下定盤のスラリー受け面に向くスラリー供給管と、上定盤を上下方向に貫通しスラリー供給管と共に上定盤の径方向に略等間隔で配設された複数のスラリー供給孔と、これら複数のスラリー供給孔とスラリー供給管とにスラリーを供給するスラリー供給源とで構成した。かかる構成により、上定盤と下定盤とを互いに逆方向に回転させると共に、サンギア及びインターナルギアの少なくとも一方を回転させると、キャリアがサンギアの周りで自転し、キャリアに保持されたワークの両面が上定盤及び下定盤の研磨面によって同時に研磨される。そして、スラリー供給機構のスラリー供給源から複数のスラリー供給孔とスラリー供給管とにスラリーを供給すると、スラリーが下定盤の遠心力でスラリー受け面から研磨面側に移動し、スラリーが下定盤の研磨面全体に均等に行き渡る。また、キャリアの自転方向が公転方向と逆方向になるように、サンギア及びインターナルギアの少なくとも一方の回転方向を設定することで、研磨面上のスラリーがキャリアの下側に取り込まれる。
【0006】また、請求項2の発明は、サンギアと、サンギアの外側に同心上に配され且つワークの下面を研磨するための研磨面を有するドーナッツ状の下定盤と、下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアと、下定盤と対向するように配され且つサンギアとインターナルギアとに噛合されたキャリアに保持されたワークの上面を研磨するための研磨面を有する上定盤と、下定盤に向けてスラリーを供給するスラリー供給機構とを具備する両面研磨装置において、スラリー供給機構を、上記上定盤を上下方向に貫通し上定盤の径方向に略等間隔で配設された複数のスラリー供給孔と、各スラリー供給孔と上定盤中心との距離に略反比例した流量のスラリーを各スラリー供給孔に供給するスラリー供給源とで構成した。かかる構成により、スラリーが上定盤の径方向に配設された複数のスラリー供給孔から、下定盤に流出される。すると、下定盤の回転に基づく遠心力の作用により下定盤に流出されたスラリーが下定盤の径方向外側に移動する。このとき、各スラリー供給孔と上定盤中心との距離に略反比例した流量のスラリーが下定盤に流出され続けるので、下定盤の研磨面の内周部から外周部に向かって多量のスラリーが移動し、スラリーが当該研磨面に均等に行き渡ることとなる。
【0007】ところで、スラリーを下定盤の径方向に均等に行き渡らせる方法は発明として成立すると考えられる。そこで、請求項3の発明は、研磨面を対向させて上定盤と下定盤とを互いに逆方向に回転させ、下定盤の内側に同心上に配されたサンギア及び下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアの少なくとも一方を回転させることで、ワークを保持し且つサンギア及びインターナルギアに噛合されたキャリアをサンギア周りに公転させると共に当該公転方向と逆方向に自転させ、上定盤の径方向に略等間隔で穿設された複数のスラリー供給孔から下定盤の研磨面にスラリーを流出すると共に、複数のスラリー供給孔と同列上に位置した状態で上定盤の中心孔内に配されたスラリー供給管から、下定盤の中心孔を上定盤の中心孔よりも小さく設定して研磨面内側に形成したスラリー受け面にスラリーを流出させる構成とした。なお、スラリーのキャリアの下側への取り込みは、キャリアの公転速度と下定盤の公転速度との差が大きいほど効率的に行われると解される。そこで、請求項4の発明は、請求項3に記載のスラリー供給方法において、下定盤をキャリアの公転方向と逆方向に回転させる構成とした。
【0008】また、請求項5の発明は、研磨面を対向させて上定盤と下定盤とを互いに逆方向に回転させ、下定盤の内側に同心上に配されたサンギア及び下定盤の外側に同心上に配されたインターナルギアの少なくとも一方を回転させることで、ワークを保持し且つ上記サンギア及びインターナルギアに噛合されたキャリアをサンギア周りに公転させると共に当該公転方向と逆方向に自転させ、上定盤の径方向に略等間隔で穿設された複数のスラリー供給孔から、当該各スラリー供給孔と上定盤中心との距離に略反比例した流量のスラリーを下定盤の研磨面に流出する構成とした。さらに、請求項6の発明は、請求項5に記載のスラリー供給方法において、下定盤をキャリアの公転方向と逆方向に回転させる構成とした。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)図1は、この発明の第1の実施形態に係る両面研磨装置を示す部分断面図である。図1に示すように、この両面研磨装置は、サンギア1と下定盤2とインターナルギア3と上定盤4とスラリー供給機構5とを具備している。
【0010】サンギア1は回転軸10の上端部に固着されており、このサンギア1の上には縦溝11aを有したドライバ11が取り付けられ、図示しないモータで回転軸10を回転させることで、サンギア1とドライバ11とが一体に回転する。
【0011】下定盤2は、サンギア1の外側に同心上に配され、図示しないモータで回転される台座29の上に載置固定されたドーナッツ状の盤体である。この下定盤2の中心孔20の径は後述する上定盤4の中心孔40よりも小さく設定され、上定盤4の幅と略同一の幅の研磨面21の内側に、スラリー受け面22が形成されている。
【0012】インターナルギア3は、このような下定盤2の外側に同心上に配されており、図示しないモータにより回転されている。
【0013】一方、上定盤4はその研磨面41が下定盤2の研磨面21と対向するように配され、吊り板42の下側に取り付けられている。吊り板42は、シリンダ43のピストンロッド43aの先端部にベアリング44を介して回転自在に連結さている。これにより、シリンダ43によって上定盤4を下降させ、ドライバ11の縦溝11aと上定盤4に固着されたフック45とを係合させて、回転軸10を回転させると、上定盤4がサンギア1と同方向に回転する。
【0014】スラリー供給機構5は、スラリーを下定盤2側に供給する機構であり、上定盤4の径方向に一列状に設けられたスラリー供給管50及び4つのスラリー供給孔51〜54と、スラリー供給源59とを有している。スラリー供給管50は、上定盤4の中心孔40内に配され、その下端開口50aが下定盤2のスラリー受け面22の真上に位置するように、上定盤4に固定された取付金具55に取り付けられている。スラリー供給孔51〜54は、上定盤4を上下方向に貫通しており、各スラリー供給孔51〜54の間隔は略等しく設定されている。上記した一列状のスラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54は、図2に示すように、上定盤4の周方向に45゜間隔で8組設けられており、スラリーを下定盤2の全面にまんべんなく流出するようになっている。図1において、スラリー供給源59は、上記スラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54にスラリーを供給する機器であり、スラリー供給管50,スラリー供給孔51〜54に至る流通経路を介してスラリーを送り出す。具体的には、スラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54のそれぞれにチューブ56が取り付けられ、各チューブ56の上端開口が吊り板42の外周面に取り付けられたリング状の樋57の下面開口に連結されている。そして、流通管58がスラリー供給源59から樋57の上方まで延出され、この樋57にコック58aが取り付けられている。これにより、スラリーをスラリー供給源59から流通管58に送り出すと共に、コック58aを開くことで、スラリーが樋57に供給される。そして、スラリーがチューブ56を通ってスラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54に至り、スラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54の下端開口から下定盤2に向かって流出する。
【0015】次に、この実施形態の両面研磨装置が示す動作について説明する。なお、この動作は、請求項3及び請求項4の発明に係るスラリー供給方法を具体的に実行するものである。図3は、研磨動作を示すための両面研磨装置の部分断面図である。図3に示すように、保持孔60にワークWを収納したキャリア6をサンギア1とインターナルギア3に噛合させた後、シリンダ43により上定盤4を下降させ、ドライバ11の縦溝11aにフック45を係合させた状態で、サンギア1と下定盤2とを逆方向に回転させることで、キャリア6がサンギア1の周りを自公転し、ワークWの両面が互いに逆回転する下定盤2と上定盤4とによって同時に研磨される。このとき、サンギア1とインターナルギア3との回転速度比を調整して、図4に示すように、キャリア6の自転方向Bと公転方向Cとが逆になるようにすると共に、キャリア6の公転方向Cと下定盤2の回転方向Dとが逆になるようにしておく。
【0016】上記動作と並行して、図3に示すスラリー供給機構5のスラリー供給源59を作動させ、上定盤4に設けられたスラリー供給管50及びスラリー供給孔51〜54から下定盤2に向けてスラリーを流出することで、ワークWを研磨する。このとき、図4に示すように、キャリア6の公転方向Cがその自転方向B及び下定盤2の回転方向Dと逆向きであるので、スラリー供給管50,スラリー供給孔51〜54から流出したスラリーがワークWの下面と研磨面21との間に取り込まれ、ワークWがこのスラリーによって効率的に研磨されることとなる。ところで、ワークWの研磨に寄与する下定盤2の面は、全てのワークWが接触する研磨面21である。したがって、研磨時に生ずる熱がこの研磨面21の径方向で偏ると、ワークWの研磨精度が劣化することとなる。図8に示した従来の両面研磨装置では、この研磨面21にのみスラリーを供給していたため、下定盤2の遠心力によって研磨面21の内側部分のスラリーが外側に移動して、研磨面21の内側部分の熱が高くなっていた。しかし、この実施形態の両面研磨装置では、スラリー供給孔51〜54から研磨面21にスラリーを流出する他に、スラリー供給管50からもスラリーを流出するので、研磨面21の熱が径方向において略均等になる。すなわち、図5に示すように、スラリー供給管50の下端開口50aが下定盤2のスラリー受け面22の真上に位置しているので、スラリー供給管50からのスラリーは、スラリー受け面22に流出し続けることとなる。したがって、スラリー供給孔51〜54から下定盤2の研磨面21上に流出されたスラリーSは、下定盤2の遠心力によって、下定盤2の外方に移動し、研磨面21の内側部分21aより外側の部分を冷却し続けることとなる。そして、スラリー供給管50からスラリー受け面22上に流出されたスラリーSは下定盤2の遠心力によって 内側部分21aを冷却しながら下定盤2の外方に移動することとなる。この結果、下定盤2の研磨面21全体がスラリー供給管50,スラリー供給孔51〜54からのスラリーSによって冷却され続けることとなり、研磨面21全体の温度が略均等になる。
【0017】このように、この実施形態の両面研磨装置によれば、ワークWの研磨に寄与する研磨面21全体をスラリー供給管50,スラリー供給孔51〜54から流出したスラリーSによって常に冷却し続けるので、研磨面21の温度分布に偏りが生ぜず、この結果、ワークWを高精度に研磨することができる。
【0018】(第2の実施形態)図6は、この発明の第2の実施形態にかかる両面研磨装置を示す部分断面図である。なお、図1から図5に示した部材と同一部材については同一符号を付して説明する。この実施形態は、スラリー供給機構5のスラリー供給管50や下定盤2のスラリー受け面22を特設せず、スラリー供給孔51〜54から流出するスラリーの単位時間当たりの流量を異ならせることで、下定盤2の研磨面21の温度を均等にする構造とした点が、上記第1の実施形態と異なる。
【0019】具体的には、下定盤2において、その中心孔20が上定盤4の中心孔40と同じ大きさに設定されている。また、スラリー供給機構5′において、樋57の下側に取り付けられた接続管57aに、スラリー供給孔51〜54にそれぞれ連結された4本のチューブ56が連結されている。そして、4本のチューブ56にそれぞれ流量調整バルブ56a〜56dが介設されている。流量調整バルブ56a〜56dは、スラリー供給孔51〜54から流出されるスラリーの流量が上定盤4の中心からの距離に略反比例するように、調整されている。すなわち、下定盤2上のスラリーが下定盤2の中心からの距離に比例する遠心力を受けることに対応させている。
【0020】次に、この実施形態の両面研磨装置が示す動作について説明する。なお、この動作は、請求項5及び請求項6の発明に係るスラリー供給方法を具体的に実行するものである。図7は、スラリーが下定盤2の研磨面21上を流れる状態を示す部分断面図である。図7に示すように、スラリー供給孔51から最も多量のスラリーSがスラリー供給孔51真下の領域21bに流出される。そして、このスラリーSが流出される位置の遠心力は最も小さい。このため、スラリー供給孔51から流出されたスラリーSの一部が下定盤2の中心孔20側に向かい、中心孔20から落下し又は弱い遠心力によって引き戻される。したがって、領域21bはスラリー供給孔51から流出された多量の流量のスラリーSによって冷却されることとなる。また、スラリー供給孔52から領域21cに流出されると、領域21cはスラリー供給孔52から流出された流量のスラリーSと領域21b側から流れてくるスラリーSとによって冷却されることとなり、スラリー供給孔53からの領域21dに流出されると、領域21dはスラリー供給孔53から流出された流量のスラリーSと領域21c及び21b側から流れてくるスラリーSとによって冷却されることとなり、スラリー供給孔54から領域21eに流出されると、領域21eはスラリー供給孔54から流出された流量のスラリーSと領域21d,21c,21b側から流れてくるスラリーSとによって冷却されることとなる。この結果、領域21b〜21e上を流れるスラリーSの流量がほぼ等しくなり、領域21b〜21eの温度が略均等になる。
【0021】このように、この実施形態の名称によれば、下定盤2の径方向に渡って略等しい流量のスラリーを流すことができるので、下定盤2の温度均等性をさらに向上させることができる。その他の構成,作用効果は上記第1の実施形態と同様であるので、その記載は省略する。
【0022】なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、上定盤4に4つのスラリー供給孔51〜54を穿設したが、2つ又は3つ、さらに5つ以上のスラリー供給孔を穿設することを除外することを意味するものではない。また、上記実施形態では、キャリア6の公転方向Cと下定盤2の回転方向Dとを逆にしたが、同方向であっても、キャリア6と下定盤2とに速度差が生じればよい。
【0023】
【発明の効果】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この発明によれば、スラリーが下定盤の研磨面の径方向に均等に行き渡るので、当該面の径方向の温度が略均等になり、この結果、ワークの高精度な研磨が可能となるという優れた効果がある。また、下定盤の回転方向をキャリアの公転方向と逆方向にすることで、スラリーのキャリアの下側への取り込みを確実に行うことができ、スラリーを介したワークの研磨を確実に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000107745
【氏名又は名称】スピードファム株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 孝和
【公開番号】 特開平11−262862
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−88016