トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工




【発明の名称】 板金溶接方法
【発明者】 【氏名】吉枝 幹夫

【要約】 【課題】板金をT字型、L字型、または十字型等に突き合わせた形態で溶接する際に、溶接部におけるビードの形成を抑制し、溶接歪の発生を抑制するとともに、簡易な構成を有する溶接機を実現できる板金溶接方法を提供する。

【解決手段】一方の板金41の端面を他方の板金40に接合する場合に、端面に少なくとも1つの突起42または切り欠きを設け、この突起42または切り欠きの周辺部を他方の板金40に当接させ、両板金41、40を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の板金の端面を他方の板金に接合する板金溶接方法において、該端面に少なくとも1つの突起または切り欠きを設け、該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、両板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする板金溶接方法。
【請求項2】 前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を一つの電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする請求項1記載の板金溶接方法。
【請求項3】 前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させ、前記それぞれ独立した電極のいずれか一方と前記もう一つの電極との間で、溶接線に沿って両電極を移動させながら、交互に抵抗溶接を行うことを特徴とする請求項1記載の板金溶接方法。
【請求項4】 前記一方の板金及び前記他方の板金をT字型またはL字型に突き合わせることを特徴とする請求項1乃至3記載の板金溶接方法。
【請求項5】 前記少なくとも1つの突起または切り欠きを有する2枚の板金を、前記他方の板金を挟んで相対向する位置に配置し、該2枚の板金の該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、該2枚の板金のそれぞれと前記他方の板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする請求項1記載の板金溶接方法。
【請求項6】 前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を電極で保持し、該電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で抵抗溶接を行うことを特徴とする請求項5記載の板金溶接方法。
【請求項7】 前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持し、該それぞれ独立した電極を溶接線に沿って移動させながら、該それぞれ独立した電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で交互に抵抗溶接を行うことを特徴とする請求項5記載の板金溶接方法。
【請求項8】 前記端面を有する2枚の板金と、前記他方の板金を十字型に突き合わせることを特徴とする請求項5乃至7記載の板金溶接方法。
【請求項9】 前記抵抗溶接を行うための電極を保持するホルダを溶接線方向に延設したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の板金溶接方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板金溶接方法に関し、特に、板金を突き合わせ溶接する際の抵抗溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の板金溶接方法が存在し、例えば、特開平4−52079号公報に記載の技術は、板金の溶接において、(1)連続突き合わせ溶接を行う場合に、溶接線に平行した板端を線状に過熱すること、(2)T継手を形成する場合に、溶接線の裏面及びこれと平行した板端を線状に過熱すること、及び(3)多列T継手を形成する場合に上記(2)項に加え、接線の中央部を線状に過熱することにより、波打ち歪及び角形歪を防止するものである。
【0003】また、特開平3−77779号公報に記載の技術は、コイル状の金属材料を継ぎ合わせるため、多電極連続アーク溶接を行うものであって、多電極を用いることによる磁気吹きの発生を複数のトーチに対するアース線を各々絶縁して設けることで抑制し、ビードの不良を防止するものである。
【0004】さらに、特開平1−233072号公報に記載の技術は、バット溶接で形成されるビードについて、(1)電極移動量に応じて加圧力を変化させると共に電流遮断のタイミングを制御し、(2)加圧終了と通電終了のタイミングを制御することにより、ビードの溶接欠陥に起因する割れによる歩留まり低下、及び熱影響部の傍の強度低下に起因するビード除去工程での溶接部の割れ、いわゆる二番割れによる歩留まりの低下を防止するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記各公報等に記載の従来技術では、いずれも溶接部にビードが形成されるという問題がある。ビードとは、溶接工程において、被溶接材や溶接電極の一部が溶融したものが、溶接箇所近傍に固着し、盛り上がったものであって、溶接部にビードが形成されることにより、例えば、図8に示すような板金81、82、83、84によって形成された格子状区画にビード85が形成され、 隙間を僅少に保った状態でユニット86を実装することが不可能になる。
【0006】そして、これを可能とするためには、ビード85を除去する必要があるため、工程が増加し、生産性が低下する。また、従来技術における第2の問題点として、板金の溶接形態が、一文字あるいはT字型に突き合わせた溶接に限定されることが挙げられる。
【0007】例えば、特開平1−233072号公報に記載の技術では、板金を一文字に溶接する場合に限定され、特開平3−77779号公報に記載の技術では、多電極連続アーク溶接において、金属コイルの先端と後端を一文字に突き合わせた形態に限定され、特開平4−52079号公報に記載の技術では、板金をT字型に突き合わせ溶接する形態に限定される。
【0008】さらに、従来技術における第3の問題点として、歪みを抑制するため、溶接機の機構が複雑になることが挙げられる。例えば、特開平4−52079号公報に記載の技術では、板金をT字型に突き合わせ溶接する際に、溶接線やこれに平行な板端などを加熱するため、各々TIGトーチを備える必要があり、さらにこれらの動作を制御する機構が追加されるため溶接機の機構が複雑になる。
【0009】また、特開平3−77779号公報に記載の技術では、板金を機械的に矯正して歪を抑制し、特開平4−52079号公報に記載の技術では、熱的に矯正して歪を抑制するものであるが、いずれも溶接機の機構が複雑になるという問題がある。
【0010】そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、板金をT字型、L字型、または十字型等に突き合わせた形態で溶接する際に、溶接部におけるビードの形成を抑制し、溶接歪の発生を抑制するとともに、簡易な構成を有する溶接機を実現できる板金溶接方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、板金溶接方法であって、一方の板金の端面を他方の板金に接合する板金溶接方法において、該端面に少なくとも1つの突起または切り欠きを設け、該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、両板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0012】請求項2記載の発明は、前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を一つの電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0013】請求項3記載の発明は、前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させ、前記それぞれ独立した電極のいずれか一方と前記もう一つの電極との間で、溶接線に沿って両電極を移動させながら、交互に抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0014】請求項4記載の発明は、前記一方の板金及び前記他方の板金をT字型またはL字型に突き合わせることを特徴とする。
【0015】請求項5記載の発明は、前記少なくとも1つの突起または切り欠きを有する2枚の板金を、前記他方の板金を挟んで相対向する位置に配置し、該2枚の板金の該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、該2枚の板金のそれぞれと前記他方の板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0016】請求項6記載の発明は、前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を電極で保持し、該電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0017】請求項7記載の発明は、前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持し、該それぞれ独立した電極を溶接線に沿って移動させながら、該それぞれ独立した電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で交互に抵抗溶接を行うことを特徴とする。
【0018】請求項8記載の発明は、前記端面を有する2枚の板金と、前記他方の板金を十字型に突き合わせることを特徴とする。請求項9記載の発明は、前記抵抗溶接を行うための電極を保持するためのホルダを溶接線方向に延設したことを特徴とする。
【0019】そして、請求項1記載の発明によれば、一方の板金の端面を他方の板金に接合する板金溶接方法において、該端面に少なくとも1つの突起または切り欠きを設け、該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、両板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うため、通電によって溶融した板金の溶融部が表面張力の作用により突き合わせ面の隙間に入り込み、前記他方の板金としての被溶接部材の板厚方向にはみ出すことがなく、ビードの形成を最小限に抑制できる。また、上記抵抗溶接の手順によれば、電極によって、被溶接部分の挟持、付勢及び通電を行うことができるため、溶接機の動作機構を簡素にすることができる。さらに、抵抗溶接を行うことにより、過熱部が被溶接部近傍に限定されるため、歪の発生を抑制することもできる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を一つの電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させながら抵抗溶接を行うため、前記一方の板金の前記端面において、溶接電流の流れ易い板厚方向に偏重した部分のみ溶融され、他方の側に突出したビードは形成され難くなり、ビード除去工程が不要となる。
【0021】請求項3記載の発明によれば、前記一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持するとともに、前記他方の板金の前記一方の板金が存在する側の面とは反対の面にもう一つの電極を押圧させ、前記それぞれ独立した電極のいずれか一方と前記もう一つの電極との間で、溶接線に沿って両電極を移動させながら、交互に抵抗溶接を行うため、前記それぞれ独立した電極の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることが可能である。
【0022】請求項4記載の発明によれば、2枚の板金をT字型またはL字型に突き合わせる場合にも、上記請求項1乃至3に記載の作用を得ることができる。
【0023】請求項5記載の発明によれば、前記少なくとも1つの突起または切り欠きを有する2枚の板金を、前記他方の板金を挟んで相対向する位置に配置し、該2枚の板金の該突起または該切り欠きの周辺部を前記他方の板金に当接させ、該2枚の板金のそれぞれと前記他方の板金を互いに近接する方向に付勢させながら抵抗溶接を行うため、1枚の板金を挟んで2枚の板金を同時に溶接する場合にも、通電によって溶融した板金の溶融部が表面張力の作用により突き合わせ面の隙間に入り込みビードの形成を最小限に抑制できる。
【0024】請求項6記載の発明によれば、前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面のいずれか一方を電極で保持し、該電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で抵抗溶接を行うため、前記いずれか一方の板金の前記端面において、溶接電流の流れ易い板厚方向に偏重した部分のみ溶融されるため、他方の側に突出したビードは形成され難くなり、ビード除去工程が不要となる。
【0025】請求項7記載の発明によれば、前記端面を有する2枚の板金のいずれか一方の板金の前記端面を跨ぐ両側面をそれぞれ独立した電極で保持し、該それぞれ独立した電極を溶接線に沿って移動させながら、該それぞれ独立した電極と、前記他方の板金を挟んで反対側に配置したもう一つの電極との間で交互に抵抗溶接を行うため、前記それぞれ独立した電極の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることが可能である。
【0026】請求項8記載の発明によれば、1枚の板金を挟んで2枚の板金を突き合わせ溶接する場合にも、上記請求項5乃至7に記載の作用を得ることができる。
【0027】請求項9記載の発明によれば、前記抵抗溶接を行うための電極を保持するためのホルダを溶接線方向に延設したため、溶接線近傍の空間が狭小な場合にも、電極を溶接線方向に容易に移動させることができ、箱形の格子状区画等を容易に形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる板金溶接方法の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかる板金溶接方法の第1実施例を示す図であって、本実施例では、軟鋼板等の板金がT字型に突き合わせ溶接される。
【0029】溶接機1は、溶接電流を供給するための溶接変圧器10と、溶接部を保持した後、加圧しながら通電する電極12a、12b、12vと、これらの電極を保持するホルダ13a、13b、13vと、前記加圧力を発生させる加圧シリンダ15h、15vと、この加圧力を前記ホルダ13a、13b、13vと、電極12a、12b、12vを通じて溶接部に伝達するガイド14a、14b、14vと、前記溶接電流、加圧力及び加圧動作を制御する制御部11により構成される。また、溶接変圧器10と電極12aまたは電極12bとを接続する回路には、各々開閉スイッチ16a、16bが設けられる。
【0030】次に、図4を参照しながら、本実施例における板金と電極部について詳細に説明する。板金40上に立設される板金41の端面には、例えば、1カ所の抵抗溶接部につき2カ所の突起42を設け、この突起42を板金40の表面に密着させた状態で、板金41は電極12a、12bによって挟持される。この際、公知の技術を併用して、該突起42とは別の突起43を設け、また、板金40の対面には突起43と嵌合可能な穴44を設けることにより、板金40と板金41との位置寸法精度を向上させることができる。
【0031】一方、板金41が立設される板金40の反対面には、電極12vが板金41と対峙するように配置される。
【0032】次に、上記構成を有する溶接機1による板金溶接方法について説明する。図1及び図4に示すように、端面に突起42を設けた板金41は、突起が設けられた端面を上側にして電極12a、12bで挟持される。次に、突起43と穴44が嵌合するよう板金40を位置決めし、板金41が立設される板金40の反対面に電極12vを接触させる。この際、電極12vは、板金40を挟んで板金41に相対向する位置に配置される。ガイド14v、ホルダ13vを通じて加圧シリンダからの加圧力を電極12vに加え、板金41の突起42と板金40が密着していることを確認した上で溶接変圧器10で発生させた電流を電極12a及び12b→板金41→突起42→板金40→電極12vと流す。通電による抵抗発熱の結果として生じる突起42の溶融と浸透と共に加圧された電極12vは下方へ移動し、板金40と板金41の接合が完了する。突起42、43の間隔に合わせて板金40と41とを溶接線方向に移動させ、本実施例では、前記動作をさらに2回繰り返すことにより溶接が完了する。これによって、突起42の溶融分は該突起42の両側の空間に浸透するため、ビードの形成が抑制される。
【0033】抵抗溶接の原理から、被加熱溶融範囲は一定の電流密度が生じる部分に限定されることと、適度な間隔を設けてこの動作を繰り返すことで、溶接による被加熱部分が溶融部近傍に限定されることから、特開平4−52079号公報に示される手段等を用いることなく、波打ち歪及び角変形歪の発生を抑制する効果が得られる。これは、従来から行われている抵抗溶接(いわゆるスポット溶接)の結果から明らかである。
【0034】また、溶接箇所ごとに電極12a及び12bで電流を遮断する電極を交互に変更すれば板金41は千鳥状に板厚方向に偏芯して抵抗溶接が行われるため、電極12a側及び12b側の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることができる。
【0035】板金41の電極12b側へのビード形成を特に抑制したい場合には、開閉スイッチ16bを開いた状態のまま通電を行う。これによって、電流が電極12a側に流れるため、溶接電流の流れ易い電極12a側の板厚方向に偏重した部分のみ溶融され、他方の側に突出したビードは形成され難くなる。
【0036】また、開閉スイッチ16a、16bを交互に開閉させ、溶接動作を繰り返せば、板金41の板厚方向の両側で交互にビードの形成が抑制されることから、電極12a、12bの両方向の外力に対する抗力のばらつきを抑制できるため、両方向に均等な強度、すなわち安定した溶接強度を確保できる。
【0037】次に、本発明にかかる板金溶接方法の第2実施例として、軟鋼板等の板金をL字型に突き合わせ溶接する場合について、図2及び図5を参照しながら説明する。尚、本実施例において、上記第1実施例と同一の構成要素については同一の参照番号を付して詳細説明を省略する。
【0038】本実施例では、板金50と板金51をL字型に突き合わせ溶接する。板金50上に立設される板金51の端面には、1カ所の抵抗溶接部につき2カ所の突起52が設けられ、この突起52を板金50に密着させた状態で、板金51は電極12a、12bによって挟持される。また、突起52とは別の突起53を設け、板金50の対面には突起53と嵌合できる切り欠き54を設けることにより、板金50と板金51との位置寸法精度を向上させることができる。
【0039】一方、板金51が立設される板金50の反対面には、電極12vが板金51と対峙するように設けられる。
【0040】次に、上記構成を有する溶接機1による板金溶接方法について説明する。端面に突起52を設けた板金51は、突起が設けられた端面を上側にして電極12a、12bで挟持され、突起53と切り欠き54が嵌合するように板金50を位置決めし、板金50の縁部50aに電極12vを接触させる。
【0041】そして、ガイド14v、ホルダ13vを通じて加圧シリンダからの加圧力を電極12vに加え、板金51の突起52と板金50が密着していることを確認した上で溶接変圧器10で発生させた電流を電極12a及び12b→板金51→突起52→板金50→電極12vと流す。すると、通電による抵抗発熱の結果として生じる突起52の溶融と浸透と共に加圧された電極12vは下方へ移動し、板金50と板金51の接合が完了する。
【0042】次に、突起52、53の間隔に合わせ板金50、51とを溶接線方向に移動させ、前記動作を繰り返し行い、全ての溶接が完了する。これによって、突起52の溶融分は該突起52の両側の空間に浸透するため、ビード形成が抑制されるとともに、上記第1実施例の場合と同様、波打ち歪及び角変形歪の発生を抑制する効果が得られる。
【0043】また、第1実施例の場合と同様、溶接箇所ごとに電極12a、12bで電流を遮断する電極を交互に変更することにより、電極12a側及び12b側の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることができ、板金51の電極12b側へのビード形成を特に抑制したい場合には、開閉スイッチ16bを開いた状態のまま通電を行うこともできる。
【0044】さらに、開閉スイッチ16a、16bを交互に開閉させ、溶接動作を繰り返すことにより、板金51の板厚方向の両側で交互にビードの形成が抑制され、両方向に均等な強度、すなわち安定した溶接強度を確保することも可能である。
【0045】次に、本発明にかかる板金溶接方法の第3実施例として、軟鋼板等の板金を十字型に突き合わせ溶接する場合について、図3及び図6を参照しながら説明する。尚、本実施例においても、上記第1実施例または第2実施例と同一の構成要素については同一の参照番号を付して詳細説明を省略する。
【0046】本実施例では、板金60と板金61a、61bを十字型に突き合わせ溶接する。板金60上に立設される板金61a、61bの端面には、1カ所の抵抗溶接部につき2カ所の突起62が設けられ、この突起62を板金60に密着させた状態で、板金61aは電極12a、12bによって、板金61bは電極31a、31bによって、それぞれ挟持される。
【0047】また、突起62とは別の突起63a、63bを、板金61a、61bに交互に設け、板金60の対面には突起63a、63bと嵌合できる穴64を設けることにより、板金60と板金61a、61bとの位置寸法精度を向上させることができる。
【0048】次に、上記構成を有する溶接機1による板金溶接方法について説明する。端面に突起62を設けた板金61aは、突起62が設けられた端面を上側にして電極12a、12bで挟持され、突起63aと穴64が嵌合するよう板金60が位置決めされる。
【0049】また、端面に突起62を設けた板金61bは、突起62が設けられた端面を下側にして電極31a、31bで挟持され、突起63bと穴64が嵌合するよう位置決めされる。
【0050】そして、ガイド14a、14b、33a、33bを通じて加圧シリンダからの加圧力を各電極12a、12b、31a、31bに加え、板金61a、61bの突起62と板金60が密着していることを確認した上で溶接変圧器10で発生させた電流を電極12a及び12b→板金61a、61b→突起62→板金60→電極31a、31bと流す。すると、通電による抵抗発熱の結果生じる突起62の溶融と浸透と共に加圧された板金61bは電極31a、31bとともに下方へ移動し、板金60と板金61a、61bの接合が完了する。
【0051】次に、突起62、63の間隔に合わせ板金60と板金61a、61bを溶接線方向に移動させ、前記動作を繰り返し行い、全ての溶接が完了する。これによって、突起62の溶融分は該突起62の両側の空間に浸透するため、ビードの形成が抑制されるとともに、上記実施例の場合と同様、波打ち歪及び角変形歪の発生を抑制することができる。
【0052】尚、本実施例においても、上記実施例の場合と同様、溶接箇所ごとに電極12a、12bで電流を遮断する電極を交互に変更することにより、電極12a側及び12b側の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることができ、板金61の電極12b側へのビード形成を特に抑制したい場合には、開閉スイッチ16bを開いた状態のまま通電を行うこともできる。
【0053】さらに、開閉スイッチ16a、16bを交互に開閉させ、溶接動作を繰り返すことにより、板金61の板厚方向の両側で交互にビードの形成が抑制され、両方向に均等な強度、すなわち安定した溶接強度を確保することもできる。
【0054】図7は、上記第1実施例に示した板金溶接方法を、図8に示した従来例の場合と同様に、板金73乃至76によって箱形の格子状区画を形成するために使用した場合を示している。図示されているように、電極71a、71b、72を保持するホルダを溶接線方向に延長することにより、箱形の格子状区画を容易に形成することができる。
【0055】また、上記第1、第2、第3のいずれの実施例においても、被溶接部材として軟鋼板の他に、ステンレス鋼板やアルミ板などを用いることも可能である。さらに、突起の替わりに切り欠きを設けた場合でも、切り欠き周辺部の溶融金属が表面張力の作用によって浸透するため、同様のビード形成に対する抑制効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、通電によって溶融した板金の溶融部が表面張力の作用により突き合わせ面の隙間に入り込むため、前記他方の板金としての被溶接部材の板厚方向にはみ出すことがなく、ビードの形成を最小限に抑制できるとともに、溶接機の動作機構を簡素にすることが可能で、歪の発生を抑制することのできる板金溶接方法を提供することができる。
【0057】請求項2記載の発明によれば、前記一方の板金の前記端面において、溶接電流の流れ易い板厚方向に偏重した部分のみ溶融されるため、他方の側に突出したビードは形成され難くなり、ビード除去工程が不要な板金溶接方法を提供することができる。
【0058】請求項3記載の発明によれば、前記それぞれ独立した電極の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることが可能な板金溶接方法を提供することができる。
【0059】請求項4記載の発明によれば、2枚の板金をT字型またはL字型に突き合わせる場合にも、上記請求項1乃至3に記載の効果を奏することができる。
【0060】請求項5記載の発明によれば、1枚の板金を挟んで2枚の板金を同時に溶接する場合にも、ビードの形成を最小限に抑制できる板金溶接方法を提供することができる。
【0061】請求項6記載の発明によれば、前記いずれか一方の板金の前記端面において、溶接電流の流れ易い板厚方向に偏重した部分のみ溶融されるため、他方の側に突出したビードは形成され難くなり、ビード除去工程が不要な板金溶接方法を提供することができる。
【0062】請求項7記載の発明によれば、前記それぞれ独立した電極の両方向からの外力に対して均等な強度を得ることが可能な板金溶接方法を提供することができる。
【0063】請求項8記載の発明によれば、1枚の板金を挟んで2枚の板金を突き合わせ溶接する場合にも、上記請求項1乃至3に記載の効果を奏することができる。
【0064】請求項9記載の発明によれば、溶接線近傍の空間が狭小な場合にも、電極を溶接線方向に容易に移動させることができるため、箱形の格子状区画等を容易に形成することができる板金溶接方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000232047
【氏名又は名称】日本電気エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
【公開番号】 特開平11−147178
【公開日】 平成11年(1999)6月2日
【出願番号】 特願平9−323987