| 【発明の名称】 |
チタンクラッド鋼板被覆構造物 |
| 【発明者】 |
【氏名】木下 和宏
【氏名】舘野 豊
【氏名】本間 宏二
【氏名】松岡 和巳
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| 【要約】 |
【課題】表面耐食のためにチタンクラッド鋼板で被覆を行なった構造物に、耐食性を損なうことなく突起状の構造物を接続してなる構造物を提供する。
【解決手段】チタンクラッド鋼板2で被覆した領域の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、該切除した領域において鋼製構造物1に接続するようにステンレス鋼製突起構造物3を配置し、該鋼製構造物とステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、鋼製構造物及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部8をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接6し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付け7してなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼製構造物の表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した構造物において、前記チタンクラッド鋼板で被覆した領域の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、該切除した領域において鋼製構造物に接続するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、該鋼製構造物とステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、鋼製構造物及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項2】 表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物において、鋼製構造物の表面の一部にベースプレートを溶接接続し、前記チタンクラッド鋼板被覆は前記ベースプレートの表面を被覆し、前記ベースプレートの表面上の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、前記切除した領域においては切除領域よりも小さな領域において前記ベースプレートに貫通する切除孔を設け、前記ベースプレートの前記切除孔に嵌合するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、前記ベースプレートと前記ステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、ベースプレート及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項3】 表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物において、鋼製構造物の表面の一部にベースプレートを溶接接続し、前記チタンクラッド鋼板被覆は前記ベースプレートの表面を被覆し、前記ベースプレートの表面上の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、該切除した領域においてベースプレートに接続するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、該ベースプレートとステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、ベースプレート及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項4】 銀ろう付けのかわりにペトロラタムペーストを塗布してなることを特徴とする請求項1乃至3記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項5】 ステンレス鋼製突起構造物を介して接続した別の構造物によってペトロラタムペースト塗布部を被覆してなることを特徴とする請求項4記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項6】 ステンレス鋼製突起構造物の鋼製構造物との接続側の端部近傍に肩部を設け、この肩部の平面がチタンクラッド鋼板の表面と同一の平面上にあるように構成してなることを特徴とする請求項1乃至5記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【請求項7】 ステンレス鋼製突起構造物がおねじを構成し、該おねじ部にステンレス鋼製ナットを接続することにより別の構造物を固定し、該ステンレス鋼製ナットを被覆するチタン製キャップを配置し、該キャップの内部を防食剤で充填してなることを特徴とする請求項1乃至6記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、チタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物に関するものであり、特に海洋構造物における脚柱のスプラッシュゾーン等をチタンクラッド鋼板で被覆した構造物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】チタンは耐食性に優れているため、化学プラントや航空機部品などに使用され、その用途は拡大しつつあるが、高価であることが実用上の制約となっている。これを解決する手段として、母材を鋼とし、表面をチタンとしたチタンクラッド鋼板が表面耐食用として近時使用されつつあり、海洋構造物における脚柱もその一例である。 【0003】海洋構造物における鋼製の脚柱を例にとると、脚柱の海上部分、海中部分はそれぞれ耐食処理がほどこされるが、スプラッシュゾーンといわれる海水で濡れていながら大気に曝される部分は通常の耐食処理では腐食を十分に防ぐことができない。そこで、脚柱のスプラッシュゾーンにおいて脚柱の四周を取り囲むようにチタンクラッド鋼板をもって被覆し、腐食を防止する手段がとられている。 【0004】チタンクラッド鋼板のチタン合せ材は、チタンが高価な金属であることもあって通常は厚みが薄い。そのため、船舶がこの海洋構造物表面のチタンクラッド鋼板に直接接触した場合に簡単にチタン合せ材が破損し、その部分から海水が浸入して内部の鋼製構造物の腐食が進行することとなる。これを防止するためには、海洋構造物の周囲に防舷材を設置することが有効である。防舷材を海洋構造物の周囲に固定するためには、海洋構造物に防舷材固定用突起を設置するのが一般的ある。 【0005】表面はチタンクラッド鋼板のチタン合せ材で覆われていても、チタンクラッド鋼板の端面の溶接部等において海水が内部に浸入すると鋼板の内部から腐食が進行するため、特にチタンクラッド鋼板端面の溶接には注意が必要で、例えば特開平5−185237号公報に示されるような溶接構造が必要である。そのため、チタンクラッド鋼板で被覆されたスプラッシュゾーンの領域は構造が単純化され、チタンクラッド鋼板の内部に海水が浸入するもととなりやすい突起構造物が設置されることはなかった。突起構造物とチタンクラッド鋼板との接合部を溶接によって被覆しようとすると、チタンと鉄との異種接合となり、溶接金属中に鉄が大量に溶け込み、鉄、チタンの金属間化合物やTiCあるいはTiN等の化合物が大量に生成され、これが溶接金属を脆化させるために溶接は不可能といってもよい。 【0006】従って従来はスプラッシュゾーンより上方のチタンクラッド鋼板で被覆されていない海上部に突起構造物を溶接し、この突起構造物から延長部をさらに接続してその延長部の先端に防舷材を固定する方法がとられていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このように、チタンクラッド鋼板で被覆された部分には突起構造物を設けず、チタンクラッド鋼板で被覆されていない部分に突起構造物を設けて更に延長部を設けて防舷材を敷設する方法においては、延長部が存在するために防舷材にかかる外力が大きなモーメントとして突起構造物に作用するため、海洋構造物及び突起構造物を強固かつ大型に設計する必要があった。本発明は、チタンクラッド鋼板で被覆された部位に突起構造物を設け、さらにこの突起構造物の近傍に腐食しやすい鋼製の部分が露出せず、海水が浸入せず、脆弱層が存在しない構造の海洋構造物を提供し、これにより上記問題点を解決することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、(1)表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物において、前記チタンクラッド鋼板で被覆した領域の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、該切除した領域において鋼製構造物に接続するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、該鋼製構造物とステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、鋼製構造物及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0009】(2)表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物において、鋼製構造物の表面の一部にベースプレートを溶接接続し、前記チタンクラッド鋼板被覆は前記ベースプレートの表面を被覆し、前記ベースプレートの表面上の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、前記切除した領域においては切除領域よりも小さな領域において前記ベースプレートに貫通する切除孔を設け、前記ベースプレートの前記切除孔に嵌合するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、前記ベースプレートと前記ステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、ベースプレート及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0010】(3)表面の全部又は一部をチタンクラッド鋼板で被覆した鋼製構造物において、鋼製構造物の表面の一部にベースプレートを溶接接続し、前記チタンクラッド鋼板被覆は前記ベースプレートの表面を被覆し、前記ベースプレートの表面上の一部に前記チタンクラッド鋼板を切除した領域を設け、該切除した領域においてベースプレートに接続するようにステンレス鋼製突起構造物を配置し、該ベースプレートとステンレス鋼製突起構造物とを溶接接合し、さらに切除したチタンクラッド鋼板の切除端面におけるチタンクラッド鋼板の鋼製母材、ベースプレート及びステンレス鋼製突起構造物との3者で形成される切り欠き部をチタンクラッド鋼板のチタン合せ材に接触しないように肉盛溶接し、さらにチタンクラッド鋼板のチタン合せ材と鋼母材との異種接合部及びステンレス鋼製突起構造物と前記肉盛溶接部との接合境界を含んで前記肉盛溶接部を覆うように銀ろう付けしてなることを特徴とするチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0011】(4)銀ろう付けのかわりにペトロラタムペースト(JIS Z1903)を塗布してなることを特徴とする前記(1)乃至(3)記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0012】(5)ステンレス鋼製突起構造物を介して接続した別の構造物によってペトロラタムペースト塗布部を被覆してなることを特徴とする前記(4)記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0013】(6)ステンレス鋼製突起構造物の鋼製構造物との接続側の端部近傍に肩部を設け、この肩部の平面がチタンクラッド鋼板の表面と同一の平面上にあるように構成してなることを特徴とする前記(1)乃至(5)記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。 【0014】(7)ステンレス鋼製突起構造物がおねじを構成し、該おねじ部にステンレス鋼製ナットを接続することにより別の構造物を固定し、該ステンレス鋼製ナットを被覆するチタン製キャップを配置し、該キャップの内部を防食剤で充填してなることを特徴とする前記(1)乃至(6)記載のチタンクラッド鋼板被覆構造物。である。 【0015】 【発明の実施の形態】チタンは、チタン類似の金属とは溶接接続できるが、チタンと鋼のような異種金属同士の溶接は前述したとおり溶接金属を脆化させるため、チタン薄板を直接鋼製構造物の表面の被覆のために用いることができない。そこで、腐食雰囲気で使用される構造物については、その表面被覆にチタンクラッド鋼板が用いられている。チタンクラッド鋼板に使用するチタン合せ材はJISに規定されている1種〜3種いずれでもよい。チタンクラッド鋼板の母材は鋼であり、鋼製構造物の表面にチタンクラッド鋼板を被覆接合するに際しては、構造物とチタンクラッド鋼板の母材とを溶接接続することが可能である。これにより異種金属同士の溶接が回避できる。構造物とチタンクラッド鋼板母材との溶接部、チタンクラッド鋼板母材同士の溶接部は、腐食防止のためチタンで被覆する必要があり、溶接金属を脆化させずかつ海水の浸入を防ぐには例えば特開平5−185237号公報記載の方法が採用される。 【0016】鋼製構造物に突起状に設置される構造物(以下、突起構造物)は、鋼表面にチタン被覆が防食に必要なほど過酷な環境に曝されるため、鋼が表面に露出する構造を採用することはできない。また、この突起には防舷材の設置等が行われるため、チタンクラッド鋼板で被覆しても簡単にチタン被覆が損耗してしまい長期間の耐食性を維持できない。さらに、この突起は鋼製構造物との間が溶接接続によって強固に接合される必要があり、チタンあるいはチタン合金を用いることは異種接合の必要が生じるため用いることができない。このような制約から、この突起はステンレス鋼で製造することとした。これにより耐食性及び構造物との強固な接続とを可能とした。ステンレス鋼としてはSUS304、SUS316L等を用いることが可能である。 【0017】鋼製構造物においてステンレス鋼製突起構造物が接続されるべき部位の表面は、その部分だけ表面を被覆するチタンクラッド鋼板が切除される。チタンクラッド鋼板を予めその形状に切除して用いてもいいし、複数のチタンクラッド鋼板を組み合わせて表面を被覆するに際し、ステンレス鋼製突起構造物が接続されるべき部位だけチタンクラッド鋼板を配置しないことで対応することもできる。 【0018】図1に示す本発明の第一の実施態様においては、ステンレス鋼製突起構造物3は鋼製構造物1に溶接部5において直接溶接接続される。チタンクラッド鋼板の切除部分はステンレス鋼製突起構造物の断面よりやや大きくしておき、切除したチタンクラッド鋼の切除端面、鋼製構造物及びステンレス鋼製突起構造物との3者の間に切り欠き部8が形成される。この切り欠き部を埋めるように溶接部6が形成される。溶接部6は、チタンクラッド鋼板の切除端面においては、チタンクラッド鋼板の母材21 部のみと接合され、チタン合せ材22部とは接合されない。チタンと鉄の異種金属同士の溶接接合を防ぐことにより溶接金属の脆化を防止するためである。この溶接部6の形成により、チタンクラッド鋼板の切除部端面においてチタンクラッド鋼板と鋼製構造物との接合が行われる。溶接部5及び溶接部6の形成については、ステンレス溶接材料D316L、Y316L等を用い、被覆アーク溶接法、TIG溶接法等の溶接法が採用できる。 【0019】溶接部6は軟鋼で希釈されたステンレス鋼で形成されておりその表面は耐食性を有しない。従って、チタンあるいはステンレス鋼と同等の耐食性を有する被覆が必要となる。本実施態様においては銀ろう付けによる被覆7が用いられる。銀ろう付けは、溶材としてAgまたはAg−Cu−Zn−Sn−Cd系ろうが用いられ、トーチろう付けまたは抵抗ろう付けの方法で被覆が行われる。銀ろう付けは溶融温度1100℃以下で行われるため、被溶接物は溶融せず、従ってチタンと鉄の異種金属が接しているものの溶接部の脆化の問題は発生しない。また、この銀ろう付け部は表面を被覆することを目的としており何ら構造的強度を担っていないので、ろう付け接合において十分な接合強度を確保することができる。 【0020】図2に示す本発明の第2の実施態様においては、ステンレス鋼製突起構造物3の接続にベースプレート4を用いる。鋼製構造物1は、例えば海洋構造物の橋脚であれば橋脚としての強度を確保するべく板厚等が選択されるが、ステンレス鋼製突起構造物にかかる外力によって発生するモーメントを支えるに十分な強度を有していない場合がある。このような場合、前記モーメントを支えるのに十分な厚みを有するベースプレート4を配置し、ステンレス鋼製突起構造物3はこのベースプレートと溶接接合し、鋼製構造物との間はベースプレートの端部に設けた溶接部11で接合することにより、鋼製構造物にかかる局部的モーメントを軽減することができる。 【0021】この場合、平板のベースプレートにステンレス鋼製突起構造物を載置してコーナー部をすみ肉溶接で接続してもいいし、図2に示すようにベースプレートに貫通孔を設け、この貫通孔にステンレス鋼製突起構造物を貫通させた上で両者を溶接接続してもいい。後者においてはベースプレートに開先9を設けることにより、図1の溶接部5のようなビードの盛りが切り欠き部8の中に形成されないので、溶接部6及び銀ろう付け部7の形成に悪影響を及ぼさないという効果を有する。また、溶接部10を形成することにより、ベースプレートとステンレス鋼製突起構造物との接合強度をさらに向上させることができる。 【0022】ベースプレートの設置により、鋼製構造物の上に段差が生じる。チタンクラッド鋼板は、鋼製構造物とベースプレートを共に覆い、海水の浸入を防ぐ構造が必要である。図2に示すように、段差部のチタンクラッド鋼板の間にチタン板12を架け渡し、チタン板12とチタンクラッド鋼板のチタン合せ材22とをTIG溶接法で接合することによって所要のチタン被覆を実現することができる。 【0023】溶接部6の被覆は、銀ろう付けのかわりにペトロラタムペースト(JIS Z1903)を塗布することで行なうこともできる。ペトロラタムペーストは原油から減圧蒸留により分離された石油ワックスの一種であるペトロラタムを主成分として腐食抑制剤等を添加したペースト状の物質であり、そのはっ水性により水の侵入を防止し、かつ酸素の透過を抑制することにより防食機能を発揮する。塗布は、作業者が適量を塗布部分に手で塗り付ける方法で施工可能である。防舷材などの構造物を接続するにあたり、当該構造物でペトロラタムペースト塗布部を覆うように配置すれば、ペトロラタムペースト部の耐久性を向上することができる。 【0024】ステンレス鋼製構造物をボルト状とし、これにステンレス鋼製ナットを介して硬質ゴム製防舷材を接続する場合、ステンレス鋼製ナットの腐食が進展することがある。このようなナットの腐食を防止するためには、ナット部をチタン製のキャップで覆い、その中をペトロラタムペースト等の防食剤で充填することが有効である。 【0025】ステンレス鋼製突起構造物の形状は、図3に示すようにずん胴でもいいが、図1、図2に示すように鋼製構造物との接続側の端部近傍に肩部を設け、この肩部の平面がチタンクラッド鋼板の表面と同一の平面上にあるように構成してもいい。肩部の平面を設けることにより、ステンレス鋼製突起構造物の突起部にそって溶接金属を肉盛りし、その上をろう付けする作業の作業性を向上し、確実な施工を容易にする。 【0026】 【実施例】 (実施例1)12mmの板厚の一般構造用鋼材を用いて四角柱の形状に海洋構造物の脚柱を構成し、この脚柱のスプラッシュゾーンに該当する部分の四周をチタンクラッド鋼板で被覆した。チタンクラッド鋼板2は、チタン合せ材22の厚みが1.0mm、母材21を含めた全体厚みが5mmであった。このチタンクラッド鋼板の被覆部の一部に、防舷材を取り付けるためのステンレス鋼製のボルト様突起物3を接続した。接続部断面は図2に示した通りである。ステンレス鋼材質としてはSUS316Lを用いた。突起物は長さが120mm、基部の幅は60mm、ボルト部の直径は40mmとした。突起物には肩部を設け、チタンクラッド鋼板の表面と肩部の平面とが同一平面を構成するようにした。ベースプレートとして厚み25mmの一般構造用鋼材を用い、ベースプレートに貫通孔及び上下面に開先を設けてステンレス鋼製ボルト様突起物を嵌合して接続した。接続にはスタッドと母材間にアークを発生させるフィリップス式アークスタッド溶接法を採用し、ステンレス鋼製突起構造物を接続したベースプレートの四周を溶接部として鋼製構造物に溶接した。 【0027】鋼製構造物1の表面及びベースプレート4の表面にチタンクラッド鋼板2を接合した。鋼製構造物上のチタンクラッド鋼板とベースプレート上のチタンクラッド鋼板との段差部分には、チタン薄板12を架橋し、チタン薄板とチタンクラッド鋼板のチタン合せ材とを溶材を使用しないTIG溶接法で溶接接合し、密閉構造を実現した。 【0028】ベースプレート上のチタンクラッド鋼板の切除部の端面はステンレス鋼製突起構造物との間に幅7mmの切り欠き部8を構成するように配置した。この切り欠き部をステンレス溶接材料Y316Lを溶材としてTIG溶接法で肉盛6を行なった。肉盛高さは4mmとし、チタンクラッド鋼板のチタン合せ材と母材との間の異材溶接が発生しないようにした。この肉盛溶接部の表面を被覆するように銀ろう付け7を行なった。銀ろう付けはAg−Cu−Zn−Sn−Cd系ろう材を用い、トーチろう付けの方法で行なった。その結果、チタンクラッド鋼板のチタン合せ材からステンレス鋼製突起構造物の間が銀ろうで密封され、内部の溶接部への海水浸入を防止することができた。 【0029】(実施例2)図5に示す海洋構造物の橋脚のスプラッシュゾーンをチタンクラッド鋼板で被覆する構造物において、図6に示すようにスプラッシュゾーン内に防舷材の取り付けを行った。防舷材を取り付けるためのステンレス鋼製突起構造物の詳細構造を図4に示す。ステンレス鋼製突起構造物を取り付ける主要な構成は実施例1と同一であり、銀ろう付けのみをペトロラタムペースト塗布13に置換した。ペトロラタムペースト塗布は適量を手にとり塗布部分に手で塗り付ける方法で行なった。ボルト状ステンレス鋼製突起構造物3にステンレス鋼製ナット14を介して防舷材15を固定した。ペトロラタムペースト塗布部13は、密閉性は銀ろう付け同様十分であり、内部への海水浸入を防止することができた。また、塗布部13を防舷材15で保護する配置としているので塗布部の耐久性はさらに向上し、銀ろう付け同様十分な耐久性が得られた。 【0030】防舷材15は硬質ゴムで製造した。ステンレス鋼製ナット14の腐食を防止するため、ナット14とステンレス鋼製突起構造物3を覆うようにチタン製キャップ16を設置し、キャップの内部17にペトロラタムペーストを充填した。これにより、ステンレス鋼で製造されたナット14の腐食を防止することができた。 【0031】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、チタンクラッド鋼板で被覆された鋼製構造物の表面に簡単に施工でき、かつコンパクトなステンレス鋼製の突起構造物により、耐食性を確保した上で、防舷材の設置が容易になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社 【識別番号】000233701 【氏名又は名称】日鐵溶接工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】岸田 正行 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−5162 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−156822 |
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