| 【発明の名称】 |
スローアウェイ式切削工具 |
| 【発明者】 |
【氏名】長島 由光
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 工具本体の先端部にスリット状に設けた中空部のチップ座にスローアウェイチップを挟持し、締め付け部材で固定するスローアウェイ式切削工具において、該工具本体のチップ座側面部には該締め付け部材の頭部円錐面に対応する部分に工具本体後端方向に偏心した円錐受け面を設け、他のチップ座側面部には、該締め付け部材の円筒部受け穴及びその側壁と該側壁に連なり締め付け部材の雄ねじ部に対応する雌ねじ部を設け、該スローアウェイチップの固定を該チップ座側面部による押圧と、該締め付け部材の円筒部によるスローアウェイチップのピン穴側面から工具本体の後端側への押圧とによって行い、かつ、該円筒部受け穴の側壁を取付基準面としたことを特徴とするスローアウェイ式切削工具。 【請求項2】 請求項1記載のスローアウェイ式切削工具において、該円筒部受け穴の深さを刃径の2〜30%としたことを特徴とするスローアウェイ式切削工具。 【請求項3】 請求項1乃至2記載のスローアウェイ式切削工具において、該円筒部受け穴を軸方向に長い長穴としたことを特徴とするスローアウェイ式切削工具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明はスローアウェイ式切削工具に関し、特に小径の工具においても高精度の取付が可能で剛性の高いスローアウェイチップの固定機構の改善に関する。 【0002】 【従来の技術】スローアウェイ式切削工具において、スローアウェイチップの固定機構は十分な剛性と精度を高めるために重要な要素の一つである。特に、金型等の仕上げ加工に用いられる比較的小径のボールエンドミルなどでは、スローアウェイチップの固定機構を設けるスペースが限られているので、しっかりした固定機構を設けることが難しく、また剛性も不足するため従来より様々な工夫がなされている。一般的には、工具本体1のスローアウェイチップ座底面とスローアウェイチップ2の端面とを係合する形状とし、スローアウェイチップ交換時の取付精度を保つようにしている(以下、これを従来品1という。)。これを改良したものとして、特開平8−252714号公報(以下、従来品2という。)にある様に、工具本体のチップ座底面を円弧状凹部とし、スローアウェイチップ底面をそれと同一またはやや大きな曲率半径の円弧状凸部とすることにより、スローアウェイチップ取付時にチップ中心線と工具本体中心線とが自動的に一致させて取付精度を高めた工具がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】これらのスローアウェイチップの固定機構を説明するためその断面図を、従来品1は図1に、従来品2は図2に示す。従来品1、2とも、ねじ8の位置がねじの円錐状頭部3と工具本体に設けられた受け面4の接触、および締め付け部材の雄ねじ部5とそれに対応する雌ねじ部6の接触によって決定されるため、スローアウェイチップの取付精度の維持が難しい。即ち、前記雄ねじ部と雌ねじ部のクリアランスのため、工具使用中にかかる荷重によって締め付け部材がわずかながらも移動し、スローアウェイチップの取付精度に悪影響を及ぼすのである。特に、ボールエンドミルなどで3次元曲面加工を行うケースでは、工具の軸方向と径方向の荷重はもとより、傾斜切削、スパイラル切削等様々に組み合わさり、且つ、軸方向の荷重は工具本体の基端方向のみならず先端方向への荷重も起こり、しかも荷重の大きさ、方向は絶えず変化し続けるため、締め付け部材のねじ山部における工具先端側の拘束だけでは不十分であった。 【0004】 【本発明の目的】上記に鑑み本発明はなされたものである。本発明は工具使用中に作用する荷重に対してもスローアウェイチップの位置が狂わない強固な固定機構を有するスローアウェイ式切削工具を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】そのため本発明は、工具本体の先端部にスリット状に設けた中空部のチップ座7にスローアウェイチップ2を挟持し、締め付け部材で固定するスローアウェイ式切削工具において、工具本体1のチップ座側面部7aには締め付け部材8の頭部円錐面3に対応する部分に工具本体後端方向に偏心した円錐受け面を設け、他のチップ座側面部7bには、円筒部受け穴7及びその側壁9aを設け、該スローアウェイチップ2の固定を該チップ座側面部7a、7bによる押圧と、該締め付け部材の円筒部10による、スローアウェイチップのピン穴11の内壁面からホルダ本体の後端側への押圧とによって行い、かつ、該円筒部受け穴の側壁9aを取付基準面としたスローアウェイ式切削工具であり、更に好ましくは、該円筒部受け穴9の深さを刃径の2〜30%とし、また、該円筒部受け穴9を軸方向に長い長穴とする。尚、該円錐受け面の偏心は軸線が雌ねじ部の軸線に対し平行にずれた場合だけでなく雌ねじ部の軸線と角度をなす場合も含む。 【0006】 【作用】スローアウエィチップの固定は以下のように行う。図3に工具本体の正面図、図4はそれに用いるスローアウエイチップの正面図、図5に締め付け部材、図6に本発明スローアウエイチップ固定状態の要部断面図を示す。これらの図より、工具本体1のスリット状のチップ座に、スローアウェイチップ2を挿入して締め付け部材8を締め付けていくと、円錐状受け面4は工具基端側(チップ座底面12方向)へΔtだけ偏心しているので、締め付け部材の頭部3は円錐状受け面4に押圧される。この時、締め付け部材8はわずかにたわむので、締め付け部材の円筒部下端10bは円筒部受け穴先端側側壁9aによって押圧される。締め付け部材円筒部上端10aはスローアウエイチップ2を押圧しチップ座底面12に押しつけると同時に、チップ座側面7a、7bがスローアウエイチップ2を挟持するためチップは強固に固定される。この際、締め付け部材の円筒部下端10bと円筒部受け穴先端側側壁9aの間の押圧によって締め付け部材8の位置は締め付け部材の雄ねじ部5のねじ山や工具本体の雌ねじ部6のねじ山の加工精度に依存せず、締め付け部材円筒部上端10aのスローアウエイチップ2に対する押圧力が安定する。従って、チップ座側面7a、7bのスローアウエイチップ2への押圧力とのバランスはねじ山の加工精度と関係なく設計通りとなる。しかも、締め付け部材円筒部下端10bは工具先端側のみならず、締め付け部材の軸方向から見たときに工具外周側も拘束するので、あらゆる方向からの荷重に対しても強固にスローアウエイチップを固定できるのである。 【0007】また、円筒部受け穴9の深さは刃径の2〜30%、さらに好ましくは10〜20%とするのが良い。これが浅すぎると締め付け部材8を螺入する過程で円筒部下端10bと円筒部受け穴先端側側壁9aが接触してからの螺入可能量が短く円筒部受け穴9は円筒部下端10bを十分な力で押圧できず、反対に深すぎると、雌ねじ部6の長さが十分にとれずスローアウエイチップの取付強度が不足するからである。円筒部受け穴先端側側壁9aは工具のチップ座側面7bに対し垂直である必要はなく、例えば傾斜させて締め付け部材8の少ない螺入によって強い押圧力が得られるようにすることもできる。 【0008】また、円筒部受け穴9を軸方向に長い長穴とすれば、円筒部下端10bと円筒部受け穴後端側側壁9bとのクリアランスが確保でき、円筒部受け穴先端側側壁9aを確実に押圧できるし、締め付け部材8の螺入も容易となる。該クリアランスは円筒部受け穴先端側側壁9aの確実な押圧のためには△t以内で十分であるが、螺入を容易にするために△tより大きくてもよい。但し、大きすぎると工具の剛性に影響するので△tの5倍以内にとどめるべきである。スローアウエイチップのピン穴11と締め付け部材8の円筒部10のクリアランスが3μm〜13μmの場合、円錐面の偏心量△tの値は20〜100μm、より好ましくは30〜50μmが良い。この値が小さすぎるとスローアウェイチップへの押圧が不足となり、大きすぎると締め付け部材及び工具本体への負荷が過大となり、使用中に破損する場合もある。また、ピン穴11と円筒部10のクリアランスが大きくなれば、その分、雄ねじ部5と円錐状受け面4の位置は工具本体後端方向(チップ座底面12方向)へ変えなければならない。円筒部受け穴9の形状は図7に示した長穴状に限らず、締め付け部材円筒部下端10bを工具先端側および工具外周側を拘束する形状であれば良い。本発明はスローアウェイチップを正確に位置させるために、図8に示すようにチップ座底面にすり割り溝13を設けた形状と組み合わせれば更に効果的である。これは、スローアウェイチップの厚みとチップ座の溝幅との許容公差によって生じるクリアランスにより、チップを固定した時に生じるチップ座底面付近のチップとチップ座側面間のスキ間をなくすことができ、より安定したスローアウェイチップの固定が実現する。以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。 【0009】 【実施例】図3は刃径D=10mmのボールエンドミルに適用した例を示す。工具本体1の先端にはスリット状に形成されたチップ座7があり、このチップ座7にスローアウエイチップ2を挿入し、締め付け部材8によりスローアウエイチップ2を着脱自在に固定する。締め付け部材8は、円錐状頭部3と円筒部10の円周振れ公差が10μm以下であり、円筒部の径公差も10μm以下の高精度に管理し製作した。図6にスローアウエイチップ取付持の断面図を示す。締め付け部材8を締め込むと円錐状頭部3に対し円錐受け面4が、締め付け部材円筒部下端10bに対し円筒部受け穴9が対応し、円錐状受け面4の工具本体後端方向への偏心量Δt(本実施例では40μmに設定)によってスローアウエイチップ2のピン穴11を円筒部10で押しつける力を働かせると共に、チップ座側面7a、7bにスローアウエイチップ2を押圧する力が働きチップを固定する。この時、円筒部下端10bを円筒部受け穴9の円筒部受け穴先端側側壁9aで受け、円筒部下端10bと円筒部受け穴9の間は略1/2円に亘り隙間のない状態となる。このため、締め付け部材は工具先端側及び工具外周側で拘束されるので、あらゆる方向からの荷重に対してもスローアウエイチップを強固にチップ座底面に押圧し続ける。尚このとき、円筒部受け穴9の円筒部受け穴後端側側壁9bにおけるクリアランスは0.1mmとしたので締め付け部材の螺入において引っかかるなどの不都合はなかった。 【0010】本発明はボールエンドミルに関して説明してきたが、スクエアやラジアスタイプのエンドミル、ドリルなど様々な形に応用可能である。例えば、他の実施例として、スローアウエイチップ底面を凸Vとしたボールエンドミルの平面図を図9に、これに用いるスローアウエイチップの平面図を図10に示す。また、スクエアエンドミルに適用した場合の平面図を図11に、この場合に使用するスローアウエイチップの平面図を図12に示す。 【0011】 【発明の効果】本発明によれば、工具使用中の様々な方向、大きさの荷重に対しても締め付け部材の位置が動きにくく、スローアウエイチップを安定して押圧し続けるため、チップの取付精度を高精度に保つことが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000233066 【氏名又は名称】日立ツール株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)10月29日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−239911 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−308001 |
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