| 【発明の名称】 |
ステライトNo.6焼結材及びステライトNo.6複合焼結材 |
| 【発明者】 |
【氏名】出口 武司
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| 【要約】 |
【課題】耐摩耗性の向上、弁座面の耐エロージョン性の向上【解決手段】 ステライトNo.6粉末をメカニカルアロイング(MA)により混合粉砕し、放電プラズマ焼結機を用いて、加熱温度950〜1050°C、加熱時間3〜10分、成形圧力300〜1000kgf/cm2 の焼結条件で、放電プラズマ焼結(SPS焼結)を行い、リング状のステライトNo.6焼結材を作製した。そして、このリング状のステライトNo.6焼結材を弁体1に適宜の手段で固着し、ステライトNo.6焼結材によって弁体1の弁座面1aを構成した。
【解決手段】ステライトNo.6粉末をメカニカルアロイング(MA)により混合粉砕し、放電プラズマ焼結機を用いて、加熱温度950〜1050°C、加熱時間3〜10分、成形圧力300〜1000kgf/cm2 の焼結条件で、放電プラズマ焼結(SPS焼結)を行い、リング状のステライトNo.6焼結材を作製した。そして、このリング状のステライトNo.6焼結材を弁体1に適宜の手段で固着し、ステライトNo.6焼結材によって弁体1の弁座面1aを構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステライトNo.6粉末をメカニカルアロイングにより混合粉砕し、焼結成形したステライトNo.6焼結材。 【請求項2】 上記焼結成形が放電プラズマ焼結によりなされた請求項1記載のステライトNo.6焼結材。 【請求項3】 ステライトNo.6粉末にセラミックス粉末を所定量添加し、メカニカルアロイングにより混合粉砕し、焼結成形したステライトNo.6複合焼結材。 【請求項4】 上記セラミックスがWC又はCr3 C2 である請求項3記載のステライトNo.6複合焼結材。 【請求項5】 上記セラミックスの添加量が5体積%以上20体積%以下である請求項3又は4記載のステライトNo.6複合焼結材。 【請求項6】 上記焼結成形が放電プラズマ焼結によりなされた請求項3、4又は5記載のステライトNo.6複合焼結材。 【請求項7】 弁体および弁箱のうち少なくとも一方の弁座面を請求項1又は2記載のステライトNo.6焼結材で構成した弁構造。 【請求項8】 弁体および弁箱のうち少なくとも一方の弁座面を請求項3、4、5又は6記載のステライトNo.6複合焼結材で構成した弁構造。 【請求項9】 ステライトNo.6粉末をメカニカルアロイングにより混合粉砕し、放電プラズマ焼結によって焼結成形するステライトNo.6焼結材の製造方法。 【請求項10】 ステライトNo.6粉末にセラミックス粉末を所定量添加し、メカニカルアロイングにより混合粉砕し、放電プラズマ焼結によって焼結成形するステライトNo.6複合焼結材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗に優れたステライトNo.6焼結材及びステライトNo.6複合焼結材に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】ステライトは、コバルトCoにクロムCr、タングステンWを添加したCo基合金で、耐摩耗性に優れているため、例えば火力発電所設備や原子力プラントの配管系における弁の摺動部分の盛金に使用されている。盛金の材料としては、ステライトNo.6の溶接棒(ステライトNo.6粉末にバインダを混合して成形体をつくり、真空焼結処理によって焼結したもの)が使用され、ガス溶接、TIG溶接等によって弁座面などの摺動面に盛金して耐摩耗を向上させている。 【0003】しかしながら、従来のステライトNo.6の溶接肉盛材ではエロージョンによる弁座面の損傷が発生する場合があり、弁座部分からの液漏れの心配があった。 【0004】そこで、本発明は、従来のステライトNo.6の溶接肉盛材よりもさらに耐摩耗性を高めたステライトNo.6材を開発し、これを弁座面に適用することにより、耐エロージョン性を向上させ、弁座部分からの液漏れの心配を解消しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明はステライトNo.6粉末をメカニカルアロイングにより混合粉砕し、焼結成形したステライトNo.6焼結材を提供する。 【0006】ここで、「メカニカルアロイニング(以下「MA」と略記する。)」は、機械的合金法とも呼ばれ、溶解鋳造することなく、固相のまま金属を練り合わせて合金を作る、あるいは第2相を母相中に分散させる技術である。具体的には、空気中あるいは非酸化性雰囲気中で高速回転ボールミル(アトラクター)により強度の塑性加工を粉体そのものに加え、金属粉末と金属粉末(あるいは酸化物粉末)とを練り合わせて有効な混合状態を達成するものである。MAによって粉末粒子がボール間でミクロな変形を受けて薄片化し、また新生表面の生成が進む。この清浄な新生表面は活性で凝着しやすく、薄片化した粒子が互いに凝着し、さらに変形を受けて微細化してゆく。このように、MAによって粉末粒子の凝着と微細化が起こるため、次の段階での焼結成形をより低い温度で、より低い圧力で行うことができ、また焼結体のミクロ組織を緻密で均一なものとすることができる。メカニカルアロイングにより混合粉砕したステライトNo.6粉末を焼結成形するための手段として、放電プラズマ焼結法を採用することができる。 【0007】ここで、「放電プラズマ焼結(以下「SPS」と略記する。)」は、圧粉体粒子間隙に直接パルス状の電気エネルギーを投入し、火花放電により瞬時に発生する高温プラズマ(放電プラズマ)の高エネルギーを熱拡散・電界拡散などへ効果的に応用することで、低温から2000°C以上の超高温領域においてこれまでの焼結法に比べ200〜500°Cほど低い温度域で、昇温・保持時間を含め、概ね5〜20分程度の短時間で焼結、あるいは焼結接合を可能にする材料合成加工技術である。SPS法は、熱効率に優れ、放電点の分散による均熱加熱で均質・高品位の焼結体を容易に得ることができる。また、粒成長の少ない焼結微細組織の制御が容易であるばかりでなく、これまでの焼結法では難しかった、ジルコニア、アルミナなどのセラミックス系複合材料、金属系複合材料の焼結を容易に行うことができる。 【0008】また、本発明は、ステライトNo.6粉末にセラミックス粉末を所定量添加し、メカニカルアロイングにより混合粉砕し、焼結成形したステライトNo.6複合焼結材を提供する。セラミックスの種類は特に限定されないが、WC又はCr3 C2 が好適であり、その添加量は5体積%以上20体積%以下、好ましくは10体積%以上20体積%以下、特に10体積%が好適であることが実験により確認されている。 【0009】ステライトNo.6粉末とセラミックス粉末の混合物を焼結成形するための手段として、上述した放電プラズマ焼結法を採用することができる。 【0010】本発明のステライトNo.6焼結材またはステライトNo.6複合焼結材を用いて、弁体および弁箱のうち少なくとも一方の弁座面を構成することにより、エロージョンによる弁座面の損傷を抑制し、弁座部分からの液漏れの心配を解消することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。 【0012】ステライトNo.6粉末をメカニカルアロイング(MA)により混合粉砕し、図3に概念的に示す放電プラズマ焼結機を用いて、加熱温度950〜1050°C、加熱時間3〜10分、成形圧力300〜1000kgf/cm2 の焼結条件で、放電プラズマ焼結(SPS焼結)を行い、径が異なる2種類のリング状のステライトNo.6焼結材(以下「SPS焼結材」という。)を作製した。そして、これらリング状のSPS焼結材を、それぞれ図1に示す弁体1、図2に示す弁箱2に適宜の手段で固着し、SPS焼結材によって弁体1の弁座面1a、弁箱2の弁座面2aを構成した。尚、この実施形態では、図3に示す成形型として、焼結材に余分な部位が生じないよう、ニアネットシェイプ部材のSPS焼結が可能な黒鉛型を使用している。 【0013】また、24時間メカニカルアロイング(MA)したステライトNo.6粉末にセラミックス粉末を所定量添加し、メカニカルアロイング(MA)により混合粉砕し、図3に概念的に示す放電プラズマ焼結機を用いて、加熱温度950〜1050°C、加熱時間3〜10分、成形圧力300〜1000kgf/cm2 の焼結条件で、放電プラズマ焼結(SPS焼結)を行い、径が異なる2種類のリング状のステライトNo.6複合焼結材(以下「SPS複合焼結材」という。)を作製した。そして、これらリング状のSPS複合焼結材を、それぞれ図1に示す弁体1、図2に示す弁箱2に適宜の手段で固着し、SPS複合焼結材によって弁体1の弁座面1a、弁箱2の弁座面2aを構成した。 【0014】 【実施例】[実施例1]ステライトNo.6粉末を24時間MAし、加熱温度1050°C、加熱時間5min、成形圧力500kgf/cm2 の焼結条件でSPS焼結を行い、SPS焼結材を作製した。 [実施例2]24時間MAしたステライトNo.6粉末にセラミックス粉末を所定量添加し、24時間MAによりステライト・セラミックス混合粉末を作製した。そして、加熱温度1050°C、加熱時間5min、成形圧力500kgf/cm2 の焼結条件でSPS焼結を行い、SPS複合焼結材を作製した。SPS複合焼結材は、セラミックスの種類および添加量を変えて種々作製した。使用したセラミックスはCr3 C2 、WC、TiC、TiN、ZrO2 であり、それぞれを単独でステライトNo.6粉末に混合した。 [比較例1]MAを施していないステライトNo.6粉末を用いて、加熱温度1050°C、加熱時間5min、成形圧力500kgf/cm2 の焼結条件でSPS焼結を行い、SPS焼結材(MAなし)を作製した。 [比較例2]市販のステライトNo.6溶接棒を用いて、バルブ材(2.25Cr-1Mo鋼)にTIG溶接による1層肉盛をした肉盛材(TIG溶接肉盛材)を作製した。 [評価] (1)常温HV硬さの測定実施例1のSPS焼結材、実施例2のSPS複合焼結材、比較例2のTIG溶接肉盛材について常温HV硬さを測定した。その結果を図5にまとめて示す。 【0015】実施例1のSPS焼結材(図5に「ステライト単体」と示している。)のHV硬さは平均557であり、比較例2のTIG溶接肉盛材(HV硬さの平均434)と比較して、高い値を示した。実施例2のSPS複合焼結材のHV硬さはさらに高い値を示し、Cr3 C2 添加材とWC添加材では、添加量の増大に伴ってHV硬さが大きくなった。一方、TiC添加材とTiN添加材では、30vol%で最大硬さを示した後、40、50vol%では逆に硬さが低下した。 【0016】(2)キャビテーション・エロージョン試験実施例1のSPS焼結材、実施例2のSPS複合焼結材、比較例1のSPS焼結材(MAなし)、比較例2のTIG溶接肉盛材について、キャビテーション・エロージョン試験を行った。試験は、図4に概念的に示す試験機を用いて、各試験片の体積減量を測定することにより行った。そして、試験片の体積減量で耐キャビテーション・エロージョン性を評価した。 【0017】試験片の体積減量は、比較例2のTIG溶接肉盛材が最も大きく、比較例1のSPS焼結材(MAなし)、実施例1のSPS焼結材、実施例2のSPS複合焼結材の順で小さくなった。ただ、実施例2のSPS複合焼結材のうち、TiC添加材、TiN添加材、ZrO2 添加材については、体積減量の顕著な減少効果は認められなかった。 【0018】実施例2のCr3 C2 添加材、WC添加材について、添加量と体積減量との関係を図6および図7に示す。Cr3 C2 添加材では10vol%以上20vol%以下の添加量、WC添加材では5vol%以上20vol%以下の添加量で体積減量の減少傾向が顕著であった。特に、双方とも10vol%の添加量で体積減量が最も小さく、最適な複合材となっている。 【0019】図8は、キャビテーション・エロージョン試験の結果をまとめたものである。実施例2のSPS複合焼結材は、最適複合材としてのCr3 C2 10vol%添加材、WC10vol%添加材の結果を示した。体積減量はWC10vol%添加材が最も小さく、Cr3 C2 10vol%添加材と実施例1のSPS焼結材がほぼ同程度になっている。これら実施例の焼結材と比較して、比較例1のSPS焼結材(MAなし)および比較例2のTIG溶接肉盛材は体積減量が大きく、特にTIG溶接肉盛材ではその傾向が顕著である。 【0020】下記表1に、常温HV硬さ、体積減量の測定結果をまとめて示す。 【0021】 【表1】
【0022】以上の試験結果より、実施例1のSPS焼結材、実施例2のCr3 C2 添加材、WC添加材は良好な耐キャビテーション・エロージョン性を有することが理解できる。特に、WC10vol%添加材の場合、TIG溶接肉盛材に対して、約1/9の体積減量であり、Cr3 C2 10vol%添加材の場合、TIG溶接肉盛材に対して、約1/5の体積減量であり、非常に良好な耐キャビテーション・エロージョン性を示す。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のステライトNo.6焼結材、ステライトNo.6複合焼結材は、従来のステライトNo.6溶接肉盛材に比べて、高い耐摩耗性を有し、良好な耐キャビテーション・エロージョン性を示す。したがって、本発明のステライトNo.6焼結材又はステライトNo.6複合焼結材を用いて、弁体および弁箱のうち少なくとも一方の弁座面を構成することにより、エロージョンによる弁座面の損傷を防止し、弁座部分からの液漏れの心配を解消することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000156938 【氏名又は名称】関西電力株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−286701 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−91829 |
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