| 【発明の名称】 |
金属粉末の製造方法とこの方法により製造された金属粉末 |
| 【発明者】 |
【氏名】車 声雷
【氏名】桜井 修
【氏名】篠崎 和夫
【氏名】水谷 惟恭
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| 【要約】 |
【課題】銅、ニッケル、コバルト、鉄等の卑金属若しくはその合金から成る金属粉末を噴霧熱分解法で製造する方法を提供し、合わせて内部電極用ペーストに好適な卑金属若しくはその合金から成る金属粉末を提供すること。
【解決手段】噴霧熱分解法により卑金属粉末若しくはその合金粉末から成る金属粉末を製造する方法であって、1種または多種の卑金属塩が金属イオン合計で0.1モル/l〜5モル/l含有する原料溶液を噴霧して液滴とし、かつ、還元性ガスが1%〜35%含まれる流速1cm/sec 〜5cm/sec の不活性キャリアガスにより上記液滴を加熱された反応管内に搬入して卑金属粉末若しくはその合金粉末を製造することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】噴霧熱分解法により卑金属粉末若しくはその合金粉末から成る金属粉末を製造する方法において、1種または多種の卑金属塩が金属イオン合計で0.1モル/l〜5モル/l含有する原料溶液を噴霧して液滴とし、かつ、還元性ガスが1%〜35%含まれる流速1cm/sec 〜5cm/sec の不活性キャリアガスにより上記液滴を加熱された反応管内に搬入して卑金属粉末若しくはその合金粉末を製造することを特徴とする金属粉末の製造方法。 【請求項2】上記反応管がその長さ方向に亘り少なくとも2つの温度領域を有すると共に、液滴の乾燥を主目的とした第1番目の温度領域における温度が、100〜600℃に設定され、第2番目以降の温度領域における最高温度が、乾燥された上記液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くかつ金属若しくはその合金の融点よりも低い温度に設定されていることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。 【請求項3】結晶子径が500Å(オングストローム)以上でかつ酸素含有量が1%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法により製造された金属粉末。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、卑金属若しくはその合金から成る金属粉末の製造方法とこの方法により製造された金属粉末に係り、特に、積層セラミックコンデンサにおける内部電極用ペーストの構成材料として有用な金属粉末の製造方法とその金属粉末に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、電子部品の軽薄短小化が進み、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと略称する)に関しても小型化、高容量化の要求がますます高まりつつある。そして、MLCCの小型化と高容量化を図る最も効果的な手法は誘電体層と内部電極を薄くして多層化を図ることである。 【0003】ところで、この種のMLCCとしては、例えば、複数の誘電体層と内部電極が交互に積層されたコンデンサ本体と、このコンデンサ本体の外側に設けられその一方が奇数番目の内部電極群に接続され他方が偶数番目の内部電極群に接続された一対の外部電極とでその主要部が構成されるものが知られている。 【0004】そして、このMLCCは、従来、以下のようにして製造されている。 【0005】まず、粉末化されたチタン酸バリウム(BaTiO3 )、鉛を含むペロブスカイト型酸化物等の誘電体と、ポリビニルブチラール樹脂あるいはブチルメタクリレートやメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂から成る有機バインダーを含む誘電体シート(一般に、誘電体グリーンシートと称される)表面に内部電極用ペーストをスクリーン印刷法にて製膜しかつ乾燥させる。 【0006】次に、上記内部電極用ペーストが製膜された誘電体シートを所定の枚数重ね合せると共にこれ等を熱圧着させた後、この熱圧着体を目的の大きさに切断する。続いて、上記誘電体シート内の有機バインダーや内部電極用ペースト内の有機ビヒクル等のバーンアウト(完全燃焼)と内部電極及び誘電体の焼結を目的として1300℃程度の条件で上記熱圧着体を焼成する。 【0007】次に、この様にして得られた複数の誘電体層と内部電極が交互に積層されかつ焼成された積層体(コンデンサ本体)の両端を磨き、その一端側では奇数番目の内部電極群の端面をまた他端側では偶数番目の内部電極群の端面をそれぞれ露出させた後、その磨かれた両端面にMLCCと外部のデバイスを結合させるための一対の外部電極を取り付けて上記積層セラミックコンデンサ(MLCC)が完成されるものであった。 【0008】ここで、上記誘電体シート表面上に製膜される内部電極用ペーストとしては、従来、ターピネオール及びエチルセルロース等から成る有機ビヒクルと金属粉末を主成分とし、必要に応じて粘度調整用の希釈溶剤等を配合した組成物が適用されている。 【0009】そして、MLCCの内部電極に要求される上記金属粉末の性質として、セラミック誘電体と反応しないこと、粉末自体が溶融しないこと、焼結時のセラミック誘電体への拡散が少ないこと、及び、電気抵抗が小さいこと等が挙げられる。 【0010】この様な観点から内部電極用ペーストの金属粉末として、従来、Pd、Pt、Ag、Ag−Pd合金等の貴金属粉末が適用されていた。 【0011】しかし、最近のMLCCにおける誘電体層と内部電極の積層数が増えるに伴い電極部におけるコストの負担が高くなり、これに対応してMLCCの製造コストも割高となる弊害が顕著になってきた。 【0012】このため、MLCCにおける低コスト化の要求が高まり、従来広く利用されていたPd等貴金属の金属粉末に代わって、近年、低廉なNi、Cu等卑金属の金属粉末が利用されるようになってきた。 【0013】ところで、内部電極用ペーストの作成時に求められる卑金属粒子の性質としては、上述した内部電極に要求される金属粉末の性質に加えて、ペースト化したときの分散性が良いこと(すなわち、薄く、平滑な印刷膜が形成できること)、導体となるために脱バインダー焼成時の酸化が少ないこと、更にデラミネーション(Delamination,層間剥離現象)やクラック等を回避するために焼成時の収縮が小さいこと等が望まれている。 【0014】そして、この様な要望に応えるべく内部電極用ペーストに供される上記金属粉末は、現在、金属塩水溶液から還元法により製造されている。 【0015】しかし、近年の電子部品の高密度化や多機能化がますます進むにつれて、還元法により得られた従来の金属粉末では、粒子の凝集、不純物の存在、結晶性の悪さ、多成分化の難しさ等のために満足できない面を有しており、上記還元法に代わる新たな製造方法が望まれていた。 【0016】この様な技術的背景の下、金属粉末等の粒子の製造方法として噴霧熱分解法が注目されるに至った。 【0017】すなわち、この噴霧熱分解法は、原料溶液をノズルや超音波により霧化して微小な液滴にし、この液滴の溶媒を高温で蒸発させると共に、得られた固体粒子を高温で熱分解させて目的とする化合物の粒子を得る方法である。 【0018】そして、この噴霧熱分解法により製造された粒子は、粒径分布が狭く、凝集が少ないといった特徴を有している。更に、この方法に使用される製造装置の構造が比較的簡単でメンテナンスが容易であり、長時間連続運転が可能となる利点を有している。 【0019】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この様な利点を有している反面、噴霧熱分解法の問題点として、上記液滴を急速に蒸発させたり熱分解させた場合、生成される粒子が中空体となったり多孔体になってしまうことがあり、原料や金属の性質に合わせてその合成条件を精密に制御しなければならない問題点を有していた。 【0020】このため、この噴霧熱分解法を適用した金属粉末の合成例は非常に少なく、例えば、特公昭63−31522号公報、特開平6−235007号公報及び特開平8−170112号公報等に銀(Ag)、パラジウム(Pd)等の貴金属粉末の製造例がその実施例で報告されているに過ぎず、これ等公報に記載された条件で卑金属の粉末を製造しようとしても内部電極用ペーストにそのまま利用できる金属粉末を得ることは困難であった。 【0021】本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、銅、ニッケル、コバルト、鉄等の卑金属若しくはその合金から成る金属粉末を噴霧熱分解法で製造する方法を提供し、合わせて内部電極用ペーストに好適な卑金属若しくはその合金から成る金属粉末を提供することにある。 【0022】 【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係る発明は、噴霧熱分解法により卑金属粉末若しくはその合金粉末から成る金属粉末を製造する方法を前提とし、1種または多種の卑金属塩が金属イオン合計で0.1モル/l〜5モル/l含有する原料溶液を噴霧して液滴とし、かつ、還元性ガスが1%〜35%含まれる流速1cm/sec 〜5cm/sec の不活性キャリアガスにより上記液滴を加熱された反応管内に搬入して卑金属粉末若しくはその合金粉末を製造することを特徴とし、請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明に係る金属粉末の製造方法を前提とし、上記反応管がその長さ方向に亘り少なくとも2つの温度領域を有すると共に、液滴の乾燥を主目的とした第1番目の温度領域における温度が、100〜600℃に設定され、第2番目以降の温度領域における最高温度が、乾燥された上記液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くかつ金属若しくはその合金の融点よりも低い温度に設定されていることを特徴とするものである。 【0023】また、請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の製造方法により製造された金属粉末を前提とし、結晶子径が500Å(オングストローム)以上でかつ酸素含有量が1%以下であることを特徴とするものである。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0025】図1は、本発明に係る金属粉末の製造方法に適用される噴霧熱分解製造装置の概略構成を示す説明図である。 【0026】すなわち、この噴霧熱分解製造装置1は、ミスト発生部(超音波噴霧器、二流体ノズル、静電噴霧器等)10と、不活性キャリアガス混合・供給系11と、反応管12と、この反応管12の長さ方向に亘り配置された第1番目の加熱炉13並びに第2番目の加熱炉14と、これ等加熱炉の温度制御・記録系(図示せず)と、金属粉末材料の回収部(サイクロン、フィルタ、静電集塵器等)16と、排気ガス処理部17とでその主要部が構成されている。 【0027】以下、Ni(NO3 )2 ・6H2Oの水溶液よりNi(ニッケル)粒子を合成する場合を例に挙げて金属Ni粒子の生成機構を説明する。 【0028】まず、ミスト発生部10によって発生した液滴、すなわちNi(NO3 )2 ・6H2Oの水溶液が還元性ガスを含んだ不活性キャリアガスによって反応管12内に導入されると、第1番目の加熱炉13近傍に位置する反応管12内において乾燥してNi(NO3 )2 水和物の固体粒子を作る。更に加熱されると温度の上昇に伴いNi(NO3 )2 はその結晶水に溶けて粒子は液滴状になり、次いでより高温下で中空体のNiOに分解され、かつ、400℃ぐらいの温度条件下において雰囲気中の還元性ガスによりNiOはNiに還元される。 【0029】次に、上記反応管12のより高温領域に搬入されると、各粒子中においてNiの焼結が進み、中実で単結晶に近い球状のNi粒子が形成される。 【0030】ところで、これ等一連のプロセスでは生成される金属粒子の構造や結晶性は、液滴/粒子の加熱状況(加熱温度、加熱時間、加熱速度等)に影響される。 【0031】そして、この噴霧熱分解法により中実で単結晶に近い球状のNi粒子等卑金属若しくはその合金粒子を合成するためには、各液滴/粒子が加熱される温度やその昇温速度を精密に制御することを要する。また、この噴霧熱分解法において生成される金属粒子の粒径は上記液滴の金属イオン濃度に大きく依存する。すなわち、金属イオン濃度が小さいと微細な金属粉が生成され、製造された金属粉の発火の危険性や回収が困難となる問題を生ずる。反対に金属イオン濃度が高過ぎると生成された金属粉の粒子径が大きくなり、粉末が反応管中に落下して回収困難となる問題を生ずる。このため、原料溶液中の金属イオン濃度を0.1モル/l〜5モル/lの範囲内に設定することを要する(請求項1)。 【0032】また、液滴/粒子の上記昇温速度は、反応管の温度プロファイル及び不活性キャリアガスの流速により決定される。そして、不活性キャリアガスの流速が速過ぎると合成された粒子の加熱速度が速くなり、その分、加熱時間が短くなることから原料の不完全反応により純度が低くなり、かつ、急激な溶媒の蒸発により中空体や不規則な粒子が生成される問題を生ずる。反対に不活性キャリアガスの流速が遅過ぎるとミスト(霧)の供給量は小さくなり粒子を回収することが困難となる。そこで、液滴/粒子の加熱領域における滞留時間を測定して不活性キャリアガスの流速条件を検討した結果、不活性キャリアガスの流速については1cm/sec 〜5cm/sec の範囲内に設定する必要があることを確認できた。すなわち、上記流速が5cm/sec を越えると熱分解反応が不十分となり、かつ、金属粒子内の焼結も不十分となるため不純物を多く含んだ中空の粉末が合成されてしまう。反対に、上記流速が1cm/sec 未満であると金属粉末の生産性が低下してしまい実用困難となる。従って、不活性キャリアガスの流速は1cm/sec 〜5cm/sec の範囲内に設定されることを要する(請求項1)。 【0033】次に、液滴/粒子の加熱領域での不活性キャリアガスの流速を1cm/sec 〜5cm/sec の範囲内に設定した場合、上記反応管の温度プロファイルは反応管内での液滴から金属粉末の生成が可能な条件なら基本的に任意であるが、より特性の優れた卑金属若しくはその合金粉末を得るには少なくとも2つの温度領域を備えていることが好ましい。すなわち、上記反応管を1つだけの温度領域で構成した場合、単一の温度領域内で液滴の乾燥、再溶解、酸化物の生成、還元反応等が同時多発的に起こるため、粒子内部に残存した水分が急激に膨張して粒子を破裂させたり、未反応物が残存し易くなることがある。この様な場合、反応管に少なくとも2つの温度領域を設けて第1番目と第2番目の温度域に分け、液滴の乾燥プロセスと粉末の生成プロセスを分離させることにより回避することが可能となる。 【0034】そして、液滴の乾燥を主目的とした第1番目の温度領域における温度については100〜600℃に設定し、また、第2番目以降の温度領域における最高温度については乾燥された上記液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くかつ金属若しくはその合金の融点よりも低い温度に設定することにより、特性の優れた卑金属若しくはその合金粉末を得ることが可能となる(請求項2)。 【0035】すなわち、第1番目の温度領域が100℃未満であると液滴の乾燥が不十分となり、第2番目以降の温度領域において残存した水分により粒子が破裂し、形状がばらついて粒度分布が大きくなってしまう。また、第1番目の温度領域が600℃を越えると、瞬間的に液滴が破裂して形状がばらつき、同様に粒度分布が大きくなる。従って、第1番目の温度領域における温度については100〜600℃に設定することが好ましい。 【0036】他方、第2番目以降の温度領域における最高温度が、乾燥された液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くない場合、製造された金属粉末中に酸化物が残存することがある。また、上記最高温度が目的とする金属若しくはその合金の融点よりも高い場合、製造された粉末が溶融化し、粉末同士の合体により粒度分布が広がりかつ形状が歪になることがあり、更に金属の蒸発も起こってその収量が激減することがある。従って、第2番目以降の温度領域における最高温度については乾燥された上記液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くかつ金属若しくはその合金の融点よりも低い温度に設定することが好ましい。 【0037】尚、不活性キャリアガスについては、上述したNi(NO3 )2 ・6H2O水溶液からNi(ニッケル)粒子が合成されるメカニズムより考えて、不活性キャリアガス内に還元性ガスが含まれてないと金属粉末を得ることが困難となる。そして、還元性ガスと酸化性ガスが共存すると爆発等の危険があるため、還元性ガス−不活性キャリアガスの混合系を適用する必要がある(請求項1)。上記不活性キャリアガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が例示され、還元性ガスとしては、水素、アンモニア、一酸化炭素等が例示される。また、爆発等の危険性を考慮した場合、上記還元性ガスについては反応管中で酸化物を金属に還元可能な最低量で使用することが望ましい。そして、各種実験の結果、不活性キャリアガス中に含ませる還元性ガスの割合は、1%〜35%(体積%である、以下同様)必要であることが確認されている(請求項1)。すなわち、1%未満であると酸化物が粉末中に残存し易く、また、35%を越えると爆発の危険性が高くなるためである。 【0038】次に、本発明において対象となる卑金属としては、銅、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン等が例示され、また、これ等1種または多種の卑金属塩としては、これ等卑金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、金属アルコラート等が挙げられ、また、これ等原料溶液の溶剤としては、水、アルコール、アセトン、エーテル等が例示される。 【0039】そして、請求項1及び請求項2記載の発明に係る製造方法により得られた卑金属若しくはその合金から成る金属粉末は球状で結晶性に優れるため、MLCCにおける内部電極用ペーストの構成材料として好適である。特に、その結晶子径が500Å(オングストローム)以上でかつ酸素含有量が1%以下の金属粉末(請求項3)が内部電極用ペーストの構成材料に適している。 【0040】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 【0041】[実施例1]第1番目の加熱炉13が400℃、第2番目の加熱炉14が1200℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を用い、1.0モル/lの硝酸ニッケル水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を、水素と窒素の比率が1対5でそのガス流速が2.0cm/sec のキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平均粒径が約1.3μmの純粋な真球状ニッケル粒子を合成した。 【0042】そして、合成されたニッケル粒子を超ミクロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子の内部構造を観察した結果、上記ニッケル粒子は中実体になっていた。 【0043】また、ニッケル粒子の(220)面におけるX線回折線の幅の広がりより半値幅法で結晶子径を求めた結果、600Å(オングストローム)であった。また、上記ニッケル粒子の化学分析から酸素含有量は1%以下であった。 【0044】また、図3は、TG−DTAによる空気雰囲気中における実施例1のニッケル粒子と市販試料(市販のNi粉末)の酸化挙動を示したグラフ図である。そして、このグラフ図から、市販試料は酸化の開始と終了の温度がいずれも低いが、実施例1に係るニッケル粒子においてはその酸化による重量増加は緩やかで、かつ、酸化開始と終了の温度も高いことから酸化され難いことが確認される。 【0045】従って、市販試料のNi粉末に較べて実施例1に係るニッケル粒子はその耐酸化性に優れていることが分かる。 【0046】そして、実際に実施例1に係るニッケル粒子を適用して内部電極用ペーストを調製し、かつ、この内部電極用ペーストを用いてMLCCを製造したところ、デラミネーションやクラック等の構造欠陥が少なくかつ電気特性等にも優れたMLCCが得られた。 【0047】[実施例2]第1番目の加熱炉13が300℃、第2番目の加熱炉14が700℃、第3番目の加熱炉15が1200℃に設定された図2の噴霧熱分解製造装置1を用い、0.8モル/lの硝酸ニッケル水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を、水素と窒素の比率が1対5でそのガス流速が2.7cm/sec のキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平均粒径が約1.1μm、粒径分布が狭い純粋な真球状ニッケル粒子を合成した。 【0048】そして、得られたニッケル粒子について実施例1と同様の方法によりその結晶子径と酸素含有量を測定したところ、結晶子径は700Å(オングストローム)、酸素含有量は1%以下であった。 【0049】また、実施例1と同様、得られたニッケル粒子を適用してMLCCを製造したところ構造欠陥が少なくかつ電気特性等にも優れたMLCCが得られた。 【0050】[実施例3]実施例1と同一の噴霧熱分解製造装置1を用い、0.5モル/lの硝酸ニッケル水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を、実施例1と同一条件のキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平均粒径が約0.8μmで球状のニッケル粒子を合成した。 【0051】そして、得られたニッケル粒子について実施例1と同様の方法によりその結晶子径と酸素含有量を測定したところ、結晶子径は600Å(オングストローム)、酸素含有量は1%以下であった。 【0052】また、実施例1と同様、得られたニッケル粒子を適用してMLCCを製造したところ構造欠陥が少なくかつ電気特性等にも優れたMLCCが得られた。 【0053】[実施例4]実施例1と同一の噴霧熱分解製造装置1を用い、0.5モル/lの硝酸ニッケル水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を、水素と窒素の比率が1対5でそのガス流速が1.0cm/sec のキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平均粒径が約0.6μmで粒径分布が狭い単分散真球状のニッケル粒子を合成した。 【0054】そして、得られたニッケル粒子について実施例1と同様の方法によりその結晶子径と酸素含有量を測定したところ、結晶子径は650Å(オングストローム)、酸素含有量は1%以下であった。 【0055】また、実施例1と同様、得られたニッケル粒子を適用してMLCCを製造したところ構造欠陥が少なくかつ電気特性等にも優れたMLCCが得られた。 【0056】[実施例5]第1番目の加熱炉13が500℃、第2番目の加熱炉14が1000℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を用い、0.5モル/lの硝酸ニッケル水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を、水素と窒素の比率が1対5でそのガス流速が2.0cm/sec のキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平均粒径が約1.0μmで球状のニッケル粒子を合成した。 【0057】そして、得られたニッケル粒子について実施例1と同様の方法によりその結晶子径と酸素含有量を測定したところ、結晶子径は520Å(オングストローム)、酸素含有量は1%以下であった。 【0058】また、実施例1と同様、得られたニッケル粒子を適用してMLCCを製造したところ構造欠陥が少なくかつ電気特性等にも優れたMLCCが得られた。 【0059】[比較例1]キャリアガスのガス流速のみが6.0cm/sec に設定されている点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子を合成したところ、平均粒径が約1.8μmのニッケル粒子が得られた。 【0060】そして、合成されたニッケル粒子を超ミクロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子の内部構造を観察したところ、ほとんどの粒子が中空体になっていた。また、このニッケル粒子の化学分析から酸素含有量は1%を超えていることが確認された。そして、得られたニッケル粒子を適用してMLCCを製造したところ、実施例に較べて良好なMLCCは得られなかった。 【0061】[比較例2]第1番目の加熱炉13が200℃、第2番目の加熱炉14が400℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子を合成したところ、酸素含有量が1%以上の中空ニッケル粒子が得られた。 【0062】そして、このニッケル粒子の表面には多くの凹凸が現れ、かつ、その結晶子径は300Å(オングストローム)であった。このため、このニッケル粒子を適用して製造したMLCCは実施例に較べて特性が劣るものであった。 【0063】[比較例3]水素ガスを流さずそのガス流速が2.0cm/sec の窒素のキャリアガスを適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子の合成を試みたところ、平均粒径が約1.8μmの中空のNiO粒子が得られるに過ぎなかった。 【0064】[比較例4]水素と窒素から成るキャリアガスのガス流速が4.8cm/sec に設定され、かつ、第1番目の加熱炉13が200℃、第2番目の加熱炉14が400℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子の合成を試みたところ、表面に多くの凹凸がある中空粒子が得られた。 【0065】そして、得られた中空粒子のX線回折によりこの粒子はNiとNiOの混合物であった。 【0066】[比較例5]水素ガスを流さずそのガス流速が6.0cm/sec の窒素のキャリアガスを適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子の合成を試みたところ、平均粒径が約1.9μmで表面が非常に粗い中空のNiO粒子が得られるに過ぎなかった。 【0067】[比較例6]水素ガスを流さずそのガス流速が2.0cm/sec の窒素のキャリアガスを適用し、かつ、第1番目の加熱炉13が200℃、第2番目の加熱炉14が400℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子の合成を試みたところ、表面に多くの凹凸がある中空のNiO粒子が得られるに過ぎなかった。 【0068】[比較例7]水素ガスを流さずそのガス流速が5.0cm/sec の窒素のキャリアガスを適用し、かつ、第1番目の加熱炉13が200℃、第2番目の加熱炉14が400℃に設定された図1の噴霧熱分解製造装置1を適用している点を除き実施例1と略同一の条件で噴霧熱分解法によりニッケル粒子の合成を試みたところ、表面に多くの凹凸がある中空のNiO粒子が得られるに過ぎなかった。 【0069】 【発明の効果】請求項1記載の発明に係る金属粉末の製造方法によれば、1種または多種の卑金属塩が金属イオン合計で0.1モル/l〜5モル/l含有する原料溶液を噴霧して液滴とし、かつ、還元性ガスが1%〜35%含まれる流速1cm/sec 〜5cm/sec の不活性キャリアガスにより上記液滴を加熱された反応管内に搬入して卑金属粉末若しくはその合金粉末を製造しており、請求項2記載の発明に係る金属粉末の製造方法によれば、上記反応管がその長さ方向に亘り少なくとも2つの温度領域を有すると共に、液滴の乾燥を主目的とした第1番目の温度領域における温度が、100〜600℃に設定され、第2番目以降の温度領域における最高温度が、乾燥された上記液滴を金属若しくはその合金まで熱分解あるいは還元させる温度より100℃以上高くかつ金属若しくはその合金の融点よりも低い温度に設定されているため、中実で単結晶に近い球状の卑金属粉末若しくはその合金粉末を製造できる効果を有している。 【0070】また、請求項3記載の発明に係る金属粉末によれば、結晶子径が500Å(オングストローム)以上でかつ酸素含有量が1%以下であることから、内部電極用ペーストの構成材料に適用した場合、良好なMLCCを製造できる効果を有している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183303 【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】上田 章三
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| 【公開番号】 |
特開平11−80818 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−259262 |
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