| 【発明の名称】 |
ガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石渡 裕
【氏名】浜田 孝浩
【氏名】吉岡 洋明
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| 【要約】 |
【課題】粒子分散強化(ODS)合金製のガスタービン用燃焼器ライナにおいて、本来ODS合金が有している優れた高温強度を損なうことなく、かつ、歩留まりを向上させたガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属粉末とセラミック粉末とを機械的処理を施すことにより得られた複合粉末10を金属カプセル11内に真空封入した後、熱間押し出しを行い厚肉パイプ12を成形する。その後、厚肉パイプ12を塑性加工により拡径して拡径パイプ13を成形し、拡径パイプ13に熱処理を施すことにより長手方向および径方向に一体のライナを製造することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末とセラミック粉末とを機械的処理を施すことにより得られた原料粉末を金属カプセル内に真空封入した後、熱間押し出しを行い厚肉パイプを形成し、前記厚肉パイプを塑性加工により拡径して拡径パイプを成形した後、前記拡径パイプに熱処理を施すことにより長手方向および径方向に一体のライナを製造することを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項2】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原料粉末を構成する金属粉末として、Fe、NiまたはCoのいずれかを主成分として用いることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項3】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原材粉末を構成するセラミック粉末として、Y2O3またはAl2O3などの酸化物を用いることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項4】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原材粉末を製造する際の機械的処理として、機械的合金化法を用いることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項5】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、熱間押し出し後の厚肉パイプの径を、ライナの径の60%以下とすることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項6】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、厚肉パイプを塑性加工する際の加熱温度を、500℃以上、1000℃未満とすることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項7】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、拡径パイプに施す熱処理の温度を1000℃以上、1300℃未満とすることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項8】 請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、拡径パイプに施す熱処理の際、拡径パイプの周方向に温度勾配を与えることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項9】 請求項8記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、温度勾配を与える熱処理の方法として、拡径パイプの内周面と外周面との対向位置に各々ヒータを設置し、拡径パイプを軸心回りに回転させながら加熱処理することを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。 【請求項10】 金属マトリックス中にセラミック粒子を分散した粒子分散強化合金によって形成された円筒状のライナであって、長手方向および径方向に亙って全体が一体構成とされていることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナ。 【請求項11】 請求項10記載のガスタービン用燃焼器ライナにおいて、ライナの構成材料が周方向に長尺化させた結晶粒を有することを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナ。 【請求項12】 請求項10記載のガスタービン用燃焼器ライナにおいて、金属マトリックスは、Fe、NiまたはCoのいずれかを主成分とするものであり、セラミック粒子はY2O3またはAl2O3などの酸化物で、前記金属マトリックス中に5vol%以下(0を含まない)含有されていることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン発電プラント等に適用され、粒子分散強化合金を用いた部品であり、特に高温強度の改良を行ったガスタービン用燃焼器ライナとその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】発電用ガスタービンにおいては、効率向上のため燃焼ガス温度の高温化が図られている。高温化に伴い動翼、静翼、燃焼器等の高温部品においても耐熱性に優れた材料が要求されている。例えば、動翼や静翼については、Ni基超合金製の精密鋳造材が用いられ、近年では、一方向凝固材や単結晶材を用いて素材の耐熱温度を向上させるとともに、高温部品の表面や内部を空気や蒸気を用いて冷却することにより、部品の温度上昇を抑制している。 【0003】一方、燃焼器ライナは薄肉構造の円筒形状であるために、精密鋳造による製造や燃焼器ライナの内部を空気等により冷却することが難しい。そのため、燃焼器ライナの高温化には、素材の耐熱温度を向上させることが極めて有効である。 【0004】このような要求を満たす材料として、セラミック粒子により金属を強化させた粒子分散強化(ODS)合金が有望であると言われている。 【0005】ところで、Ni基超合金の強化因子は主として析出物であるγ′相であり、このγ′相が安定して存在できるのは1000℃以下のため、Ni基超合金の使用温度は1000℃以下に限定される。一方、ODS合金の強化因子は主として金属酸化物粒子(一般には酸化イットリウム、Y2O3)であり、マトリックス金属の融点近傍まで優れた強度を示す。 【0006】このような優れた強度を有するODS合金を用いることによって、ガスタービン用燃焼器を製造する方法が、特開平8−200681号公報に掲載されている。 【0007】図8は、上記公報に記載された従来技術の燃焼器ライナを示す構造である。 【0008】図8に示すように、ODS合金製のリング状素材1を長手方向に接合することにより、燃焼器ライナ2を製造している。 【0009】図9には、ODS合金製のリング状素材を長手方向に接合する方法として、拡散接合、電子ビーム(EB)溶接、TIG溶接およびろう付けの4種類の方法を用いて、リング状素材と接合部との引張強さを試験した結果を示すグラフである。 【0010】図9に示すように、拡散接合、電子ビーム(EB)溶接、TIG溶接およびろう付けの方法により形成された接合部(図8に示す接合部3)の強度は、リング状素材1の強度よりも、いずれも低下していることがわかる。 【0011】具体的には、電子ビーム(EB)溶接もしくはTIG溶接を施した場合には、接合部3の強度はリング状素材1の1/3以下まで強度が低下してしまう。強度低下の原因は、接合部3における強化因子である金属酸化物粒子とマトリックス金属とが遊離してしまうためである。 【0012】一方、拡散接合やろう付けを施した場合には、接合部3の強度はリング状素材1の1/2程度まで強度が低下してしまう。これは、電子ビーム(EB)溶接やTIG溶接のように酸化物粒子とマトリックス金属との遊離は生じないが、接合部3には酸化物粒子が存在していないためである。さらに、接合界面ではODS合金の合金元素とインサート材とが反応し、脆い金属間化合物を形成することがあるため、疲労強度や衝撃強度低下の原因となる。 【0013】また、ODS合金製のリング状素材1をリベットで締結する場合には、以下のような問題が生じる。 【0014】リベットにより締結を行ったリベット線上の部分が、リベット自体の素材を含んでしまうため、ODS合金の有効断面積が減少して強度が低下してしまう。また、締結部分の応力集中によりリベット穴からクラックが発生してしまうという問題もある。 【0015】ところで、上記公報には、ODS合金製のリング状素材1を接合して燃焼器ライナを製造する方法が記載されている。 【0016】具体的には、機械的合金化処理により製造した金属とセラミックスとの複合粉末を軟鋼製のカプセル内に真空封入した後、1050℃、1500kgf/cm2でHIP処理により焼結・固化すると同時に、厚肉パイプ形状のインゴットを製作する。そのインゴットを機械加工により輪切りにし数個に分割した後、各々をスピニング加工により薄肉円筒を製作し熱処理を施した後、周方向に接合して燃焼器ライナを製造している。 【0017】 【発明が解決しようとする課題】上述した方法により製造された燃焼器ライナは、製造コストの面で優れているが、数個の接合部を有するために、燃焼器ライナの高温強度が低下してしまうという問題が生じていた。 【0018】また、機械的合金化処理により製造した金属とセラミックスとの複合粉末は焼結性が著しく劣るため、HIP処理による焼結条件では緻密な焼結体を得ることができない。その結果、スピニング加工時に割れが発生し易く、歩留りが著しく低下してしまうという問題があった。逆に、HIP処理における焼結温度を上げることによって、緻密な焼結体を得ることができるが、同時に結晶粒が成長してしまい塑性加工時の変形抵抗が大きくなるので、やはり、スピニング加工により薄肉円筒を製作するためには、かなり大形の設備が必要になってしまう。 【0019】そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、本来ODS合金が有している優れた高温強度を損なわないように、接合部を無くして長手方向および径方向に一体のガスタービン用燃焼器ライナを提供することを目的とする。 【0020】また、焼結処理方法をHIP処理から熱間押し出しにすることにより、緻密な焼結体を得ることができ、また、その後の塑性加工および熱処理などの諸条件を設定することにより、歩留りを向上させることができるガスタービン用燃焼器ライナの製造方法を提供することを目的とする。 【0021】 【課題を解決するための手段】請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、金属粉末とセラミック粉末とを機械的処理を施すことにより得られた原料粉末を金属カプセル内に真空封入した後、熱間押し出しを行い厚肉パイプを形成し、前記厚肉パイプを塑性加工により拡径して拡径パイプを成形した後、前記拡径パイプに熱処理を施すことにより長手方向および径方向に一体のライナを製造することを特徴とする。 【0022】本発明において、熱間押出し法を用い、高い圧力と塑性流動を付与することにより、HIP処理に比べて低い温度でほぼ真密度の焼結体を製造することが可能である。その結果、結晶粒径が1μm程度の微細組織を有する緻密な厚肉パイプを製造することが可能である。 【0023】また、焼結温度を比較的低く設定できるため、焼結および固化過程における結晶粒の成長を防止して結晶粒を微細にすることが可能である。また、結晶粒が微細状態では超塑性現象を示すために、焼結処理後のスピニング加工等の塑性加工において、厚肉パイプの拡径を容易に行うことができる。 【0024】さらに、本発明において、得られた拡径パイプに高温強度の向上を目的とする熱処理を施すことにより、ライナの構成材料の結晶粒を周方向に長尺化することができ、高温強度に優れた燃焼器ライナを製造することが可能である。 【0025】請求項2記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原料粉末を構成する金属粉末として、Fe、NiまたはCoのいずれかを主成分として用いることを特徴とする。 【0026】本発明においては、燃焼器ライナを構成するマトリックス金属として、高温強度が要求される場合は、Co基を主成分とするODS合金、高温の耐酸化特性と低コスト化が要求される場合には、Fe基を主成分とするODS合金を用いることが望ましい。また、両者の中間的に高温強度と耐酸化特性の両者をある程度兼ね備えた特性が要求される場合には、Ni基を主成分とするODS合金を用いることが可能である。また、マトリックス金属の選定に際しては、機器の使用環境や要求特性を基準に選ぶことが有効である。 【0027】請求項3記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原材粉末を構成するセラミック粉末として、Y2O3またはAl2O3などの酸化物を用いることを特徴とする。 【0028】本発明において、Y2O3やAl2O3などの酸化物は、金属マトリックスに固溶しないために、溶融温度付近の温度で使用しても材料強度を維持することが可能であり、セラミック粉末としてY2O3やAl2O3などの酸化物を用いることが効果的である。 【0029】請求項4記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、原材粉末を製造する際の機械的処理として、機械的合金化法を用いることを特徴とする。 【0030】本発明においては、金属粉末とセラミック粉末とをアトライタという高エネルギー・ボールミルによる機械的合金化処理を施すことにより、セラミック粉末が金属粉末に、均一かつ微細に分散した原料粉末を製造することが可能である。 【0031】請求項5記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、熱間押し出し後の厚肉パイプの径を、ライナの径の60%以下とすることを特徴とする。 【0032】燃焼器ライナが十分な高温強度を有するためには、主応力となる周方向の結晶粒の長尺化が不可欠である。そのため、肉厚パイプを製造する熱間押出し時の加工率よりも、薄肉パイプを製造する拡径時の加工率を高くする必要がある。 【0033】本発明において、熱間押し出し後の厚肉パイプの径を、ライナの径の60%以下と規定した理由は、熱間押出し加工による肉厚パイプの径がライナの径に対して50%以上になると、拡径時の加工ひずみが不足し、この加工ひずみを駆動力とする結晶粒の長尺化が起こり難くなるためである。 【0034】請求項6記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、厚肉パイプを塑性加工する際の加熱温度を、500℃以上、1000℃未満とすることを特徴とする。 【0035】本発明において、熱処理による結晶粒の長尺化は、拡径時の塑性加工により導入されたひずみ量に依存する。拡径時の予熱温度が高いと付与した加工ひずみが解放されてしまい、熱処理を施しても十分な結晶粒の長尺化が阻害されてしまうう。そのため、加熱温度を1000℃未満とした。逆に予熱温度が500℃以下の場合には加工性が著しく低下し、極度の歩留り低下を招いてしまう。従って、本発明においては、厚肉パイプを塑性加工する際の加熱温度を、500℃以上、1000℃未満と規定することにより結晶粒の長尺化を図ることが可能である。 【0036】請求項7記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、拡径パイプに施す熱処理の温度を1000℃以上、1300℃未満とすることを特徴とする。 【0037】本発明において、塑性ひずみを付与したライナ用素材の長尺結晶化を図るためには、熱処理が不可欠である。熱処理温度が1000℃以下の場合には、結晶粒の成長がほとんど起こらず、高温における引張強度は著しく低い。逆に熱処理温度が高すぎると、Y2O3やAl2O3などの酸化物分散粒子が凝集して強度が低下する傾向を示し、さらに高温になると部分溶融を生じたり、ボイドの形成が起こり強度が急激に低下してしまう。 【0038】また、熱処理温度の適正範囲は、使用するマトリックス金属により大きく左右されるが、請求項2に示した合金であるFe、NiおよびCoを用いる場合には、熱処理温度範囲を1000℃〜1300℃とすることが好ましい。 【0039】請求項8記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項1記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、拡径パイプに施す熱処理の際、拡径パイプの周方向に温度勾配を与えることを特徴とする。 【0040】本発明において、熱処理による結晶粒の長尺化を行う際、ただ単に加熱を施すだけでなく、結晶粒を成長させる方向に温度勾配を持たせることにより、効果的に結晶粒の長尺化を促進することが可能である。 【0041】請求項9記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法は、請求項8記載のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、温度勾配を与える熱処理の方法として、拡径パイプの内周面と外周面との対向位置に各々ヒータを設置し、拡径パイプを軸心回りに回転させながら加熱処理することを特徴とする。 【0042】本発明において、温度勾配を持たせた燃焼器ライナの熱処理方法として、ライナの外側と内側にヒーターを設置し、ライナを回転させることにより温度勾配を形成させることが可能である。この方法により、優れた高温強度を有するライナ材を製造することが可能である。また、この方法によれば、長尺物でも容易に熱処理をすることが可能である。 【0043】請求項10記載のガスタービン用燃焼器ライナは、金属マトリックス中にセラミック粒子を分散した粒子分散強化合金によって形成された円筒状のライナであって、長手方向および径方向に亙って全体が一体構成とされていることを特徴とする。 【0044】本発明において、燃焼器ライナが一体に構成されることにより、強度低下の原因となる溶接部や接合部を無くし、十分な高温強度を得ることが可能である。 【0045】請求項11記載のガスタービン用燃焼器ライナは、請求項10記載のガスタービン用燃焼器ライナにおいて、ライナの構成材料が周方向に長尺化させた結晶粒を有することを特徴とする。 【0046】燃焼器ライナは表裏面の温度差による熱応力が主因となり、周方向に大きな応力が発生するため、結晶成長方向は周方向とすることが重要である。従って、本発明において、燃焼器ライナの長手方向に加工を施すのではなく、周方向に長尺化した結晶粒を形成させ、高温での引張り強度を向上させることが可能である。 【0047】請求項12記載のガスタービン用燃焼器ライナは、請求項10記載のガスタービン用燃焼器ライナにおいて、金属マトリックスは、Fe、NiまたはCoのいずれかを主成分とするものであり、セラミック粒子はY2O3またはAl2O3などの酸化物で、前記金属マトリックス中に5vol%以下(0を含まない)含有されていることを特徴とする。 【0048】本発明において、Y2O3またはAl2O3などの酸化物を金属マトリックス中に5vol%以下を含有させ、かつ均等に分散させることにより、十分な高温強度を得ることが可能である。 【0049】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方法について実施形態により説明する。 【0050】第1実施形態(図1)本実施形態においては、図1を参照して本発明についてのガスタービン用燃焼器ライナの製造工程の概略を説明する。 【0051】図1は、燃焼器ライナの製造工程の概略を示す図である。 【0052】まず、機械的合金化処理により金属とセラミックスとの複合粉末10を製造する。この複合粉末10は、粒径が10〜200nmの範囲であるセラミック粒子を金属マトリックス中に均一に分散させ、その粉末粒径は100〜500μmの球状粉末である。 【0053】その後、図1(a)に示すように、複合粉末をステンレスなどの金属製のカプセル11内に真空封入する。そして、金属製カプセル11を1100℃で予熱し、熱間押出し加工により図1(b)に示すように、製品長さに近い厚肉パイプ12を製造する。 【0054】その後、スピニング加工により、図1(c)に示すように、周方向にひずみを与えながら拡径し、拡径パイプ13を製造する。 【0055】そして、図1(d)に示すように、拡径パイプ13を真空炉14の中で加熱し、再結晶させて結晶粒を粗大化することにより、長手方向および径方向に亙って全体が一体構成とされたライナ15を製造する。 【0056】第2実施形態(図2)本実施形態においては、マトリックス金属を変化させた際の高温強度と耐酸化性を示したものである。 【0057】実施例1マトリックス金属としてCoを用い、20wt%のCrを添加した。酸化物粒子として1wt%のY2O3を添加して、第1実施形態の方法を用いて燃焼器ライナを製造した。 【0058】得られたCo基ODS合金からなるライナについて、引張強度および耐酸化性試験を行った。耐酸化性試験は、1000℃、1000サイクル、1000時間における酸化による増量を示したものである。 【0059】実施例2マトリックス金属としてFeを用い、20wt%のCrを添加した。酸化物粒子として1wt%のY2O3を添加して、第1実施形態の方法を用いて燃焼器ライナを製造した。 【0060】得られたFe基ODS合金からなるライナ材について、引張強度および耐酸化性試験を行った。試験条件は、実施例1と同様である。 【0061】実施例3マトリックス金属としてNiを用い、20wt%のCrを添加した。酸化物粒子として1wt%のY2O3を添加して、第1実施形態の方法を用いて燃焼器ライナを製造した。 【0062】得られたNi基ODS合金からなるライナ材について、引張強度および耐酸化性試験を行った。試験条件は、実施例1と同様である。 【0063】図2から明らかなように、高温強度的には、実施例1におけるCo基ODS合金が適しており、耐酸化特性的には、実施例2におけるFe基ODS合金が適していることがわかる。また、両者の中間的に強度と耐酸化特性を兼備えた合金として、実施例3におけるNi基ODS合金が適している。マトリックス金属の選定に際しては、機器の使用環境や要求特性を規準に選ぶことが有効である。 【0064】第3実施形態(図3)本実施形態においては、熱間押出し時の加工率と引張り強さの関係を説明する。燃焼器ライナ素材としては、第2実施形態における実施例3の20wt%Cr−1wt%Y2O3−Ni合金を用いた。 【0065】上記合金を1100℃で熱間押出し後、950℃でスピニング加工により拡径し、その後1200℃で熱処理を施したライナ材について、1000℃にて周方向の引張強さを測定した。その際、最終径に対する押出し時の径を種々変えて成形して測定を行った結果を図3に示す。図3においては、横軸には加工率を40%、50%、60%、80%および100%と変化させた値を示し、縦軸には引張強さ(MPa)を示している。すなわち、加工率が100%の時はスピニング加工を施さず、押出し加工のみで最終径まで成形した場合であり、加工率が50%の時は押出し加工で最終径の1/2まで加工し、他の50%はスピニング加工で拡径したことを示している。 【0066】図3に示すように、押出し加工では強度が要求される周方向の加工ひずみが付与されないため、100%材の強度は熱処理後でも低い。押出し時の加工率を徐々に低下させ、拡径時の加工率を上昇させるのに従い引張強さは上昇し、押出し加工率60%で100MPa以上の引張強さが得られる。さらに、押出し加工率が50%を下回ると引張強さは飽和する傾向を示している。従って、押出し時の加工率は60%以下、特に50%以下が好ましい。 【0067】第4実施形態(図4)本実施形態においては、塑性加工時の温度と引張り強さとの関係を説明する。燃焼器ライナ素材としては、第2実施形態における実施例3の20wt%Cr−1wt%Y2O3−Ni合金を用いた。 【0068】上記合金に、1100℃で加工率50%まで熱間押出し後、塑性加工温度を500℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃および1200℃と変化させて、スピニング加工により所定形状まで拡径した。その後1200℃で熱処理を施した燃焼器ライナを製造した。得られたライナ材について、1000℃において周方向の引張強さを測定し、その結果を図4に示す。図4には、横軸にスピニング加工時の温度、縦軸に引張強さ(MPa)を示している。 【0069】図4に示すように、塑性加工温度の上昇とともに、熱処理後の引張強さは低下する傾向を示す。これは、熱処理による結晶粒の長尺化は拡径時の塑性加工により導入されたひずみ量に依存するためであり、塑性加工時の温度が高いと付与したひずみが解放されてしまうためである。また逆に、温度が低すぎると変形抵抗が増大して材料の組成によっては塑性加工中に割れが発生してしまう。このために、塑性加工温度としては1000℃以下500℃以上が好ましい。 【0070】第5実施形態(図5)本実施形態においては、熱処理温度と引張り強さの関係を説明する。燃焼器ライナ素材としては、第2実施形態における実施例3の20wt%Cr−1wt%Y2O3−Ni合金を用いた。 【0071】上記合金に、1100℃で加工率50%まで熱間押出し後、900℃でスピニング加工により所定形状まで拡径し、その後、熱処理温度を800℃、1000℃、1100℃、1200℃および1300℃と変化させて、熱処理を施したライナを製造した。そして、1000℃における周方向の引張強さを測定し、その結果を図5に示す。図5において、横軸は熱処理温度、縦軸には引張強さ(MPa)を示している。 【0072】図5に示すように、熱処理後の引張強さは熱処理温度に大きく依存し、熱処理温度が1000℃以下の場合は高温の引張強度は著しく低く、逆に熱処理温度が高すぎると強度が低下する傾向を示す。そこで、結晶粒の長尺化の熱処理温度として、1000℃〜1300℃の範囲が適正である。 【0073】第6実施形態(図6〜7)本実施形態においては、均一温度場もしくは温度勾配下で熱処理をした場合の引張り強さとの関係を説明する。 【0074】実施例4燃焼器ライナ素材としては、第2実施形態における実施例3の20wt%Cr−1wt%Y2O3−Ni合金を用いた。 【0075】上記合金に、1100℃で加工率50%まで熱間押出し後、900℃でスピニング加工により所定形状まで拡径し、その後、熱処理温度を800℃、1000℃、1100℃、1200℃および1300℃と変化させ、かつ均一温度場で熱処理を施したライナ材を製造した。そして、1000℃における周方向の引張強さを測定し、その結果を図6に示す。図6において、横軸に熱処理温度、縦軸には引張り強さを示している。 【0076】実施例5本実施例では、実施例4と同様に、燃焼器ライナ素材として第2実施形態における実施例3の20wt%Cr−1wt%Y2O3−Ni合金を用いた。 【0077】上記合金に、1100℃で加工率50%まで熱間押出し後、900℃でスピニング加工により所定形状まで拡径し、その後熱処理温度を1100℃、1200℃および1300℃と変化させ、かつ温度勾配下で熱処理を施したライナ材を製造した。そして、1000℃における周方向の引張強さを測定し、その結果を同様に図6に示す。 【0078】図6に示すように、均一温度場で熱処理を施した実施例4に比べて温度勾配下で熱処理を施した実施例5の方が引張り強度が高い。これは、温度勾配下の方が結晶粒の長尺化が起こり易いことに起因しており、このような条件で熱処理を施すことにより高温強度をさらに向上できる。なお温度勾配を設ける方法を、第7実施形態において説明する。 【0079】第7実施形態(図7)本実施形態においては、熱処理に際して温度勾配を設けるための熱処理炉の構造を、模式的に図7に示したものである。 【0080】塑性加工により拡径した拡径パイプ15の内側に、拡径パイプ15の中心軸に対して偏心した位置に内側ヒーター16を設置し、この内側ヒーター16に対向する位置に外側ヒーター17を設置する。内側ヒーター16と外側ヒーター17とは、不活性ガスでシールドされた容器内(図示しない)に設置されている。この内側ヒーター16と外側ヒーター17とに電流を流すことにより、その間に位置する拡径パイプ15を加熱する。 【0081】また、拡径パイプ15は回転用ローラ18の上に設置されており、この回転ローラ18を回転させることにより拡径パイプ15を回転させる。 【0082】図7に示す構造によれば、拡径パイプ15の周方向に温度勾配を形成させることができ、ライナの周方向に優れた高温強度を有する燃焼器ライナを製造することが可能である。なお、適正な温度勾配を設けるためには、回転用ローラ18の回転数を変えることで制御することが可能であるが、マトリックス金属の組成により適正な温度勾配を設けることが重要である。 【0083】以上の方法により、ODS合金製のガスタービン用燃焼器ライナを製造すれば、ライナの内面を空気等により冷却する必要が無くなる。その結果、冷却用空気の導入による燃焼ガス温度の低下や、NOxの発生を抑制することができる。 【0084】また、燃焼器ライナが長手方向および径方向に亙って一体構成とされているため、燃焼器ライナの長寿命化に加え、信頼性を著しく向上させることができる。 【0085】 【発明の効果】以上で説明したように、本発明によるガスタービン用燃焼器ライナの製造方法によれば、高温強度に優れ、かつ歩留まりを向上させた粒子分散強化合金製のガスタービン用燃焼器ライナを得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月4日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−80811 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−239737 |
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