| 【発明の名称】 |
焼結部材の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 義孝
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| 【要約】 |
【課題】破断分離の容易な焼結部材を製造する際の圧縮成形工程を制御の容易なものにする。
【解決手段】粉末材料を加圧して成形体を形成し、その成形体を焼結した後に予め定めた分離面で破断分離して複数の焼結部材を製造する焼結部材の製造方法であって、前記成形体のうち分離されるいずれかの部分を加圧成形するとともに、その加圧方向での表裏両面の少なくともいずれか一方の面側での圧縮密度を加圧方向での中央部での圧縮密度より高密度に設定し、ついで該いずれかの部分とこれに隣接する他の部分とを一体に最終密度まで加圧して成形し、かつ成形後に焼結し、さらに前記いずれかの部分と他の部分とをこれらの部分同士の境界位置で破断分離する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉末材料を加圧して成形体を形成し、その成形体を焼結した後に予め定めた分離面で破断分離して複数の焼結部材を製造する焼結部材の製造方法において、前記成形体のうち分離されるいずれかの部分を加圧成形するとともに、その加圧方向での表裏両面の少なくともいずれか一方の面側での圧縮密度を加圧方向での中央部での圧縮密度より高密度に設定し、ついで該いずれかの部分とこれに隣接する他の部分とを一体に最終密度まで加圧して成形し、かつ成形後に焼結し、さらに前記いずれかの部分と他の部分とをこれらの部分同士の境界位置で破断分離することを特徴とする焼結部材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、粉末材料を加圧成形して成形体(圧粉体)を形成し、その成形体を焼結する焼結部材の製造方法に関し、特に焼結後に分離予定面で焼結部材を破断分離することにより、複数の部材を同時に得る方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種の方法の一例が特開平6−218718号公報に記載されている。この公報に記載された方法では、一例として、互いに密着して摺動する二対パンチおよびダイによって形成されるキャビティ内に粉末材料を充填し、一方の一対のパンチによる加圧成形位置と他方の一対のパンチによる加圧成形位置との高さを異ならせ、これにより、破断分離が予定されている部分同士の間に段差を設ける。ついで加圧形成の進行に伴って各対のパンチの高さを揃えることにより、前記の段差の表面を粉末中に埋め込み、相互に分離される予定の部分同士の間に亀裂を形成する。 【0003】したがってこの方法では、破断を進行させるための亀裂を、成形体の製造工程で同時に生じさせておくことができ、また単一の焼結部材から複数部品を得るための破断分離をその亀裂に沿って生じさせることができるので、工程の簡素化を図ることができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述した従来の方法では、加圧成形の当初、二対のパンチによる成形位置を上下にずらし、それぞれのパンチによって同時に成形を進行させ、その後に、各対のパンチによる成形位置を上下方向で揃えるように移動させるから、複数対のパンチを個別にかつ同時に制御しなければならず、制御が複雑になる可能性が高い。また成形体の密度は、上下のパンチによる加圧の仕方やダイとの相対移動の状態などによって影響を受けるが、上記従来の方法では、一方の一対のパンチによる加圧の方向と他の一対のパンチによる加圧の方向とが相互に反対となっているので、成形体の密度が部分的に相違し、これが品質に影響する可能性があった。 【0005】この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、破断分離させて複数の製品とするための焼結部材を容易に製造することのできる方法を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、粉末材料を加圧して成形体を形成し、その成形体を焼結した後に予め定めた分離面で破断分離して複数の焼結部材を製造する焼結部材の製造方法において、前記成形体のうち分離されるいずれかの部分を加圧成形するとともに、その加圧方向での表裏両面の少なくともいずれか一方の面側での圧縮密度を加圧方向での中央部での圧縮密度より高密度に設定し、ついで該いずれかの部分とこれに隣接する他の部分とを一体に最終密度まで加圧して成形し、かつ成形後に焼結し、さらに前記いずれかの部分と他の部分とをこれらの部分同士の境界位置で破断分離することを特徴とする方法である。 【0007】したがってこの発明の方法では、先に予備圧縮された部分における一方の面側の密度が中央部での密度より高くなっているから、前記他の部分と共に最終密度まで加圧した場合、これらの部分の境界位置においては、予備圧縮で密度の低かった中央部分で材料粉末の密着の度合いが高く、これに対して加圧方向での少なくとも一方の面側の部分の密度が高かった部分では、材料粉末の密着の度合いが低くなる。すなわちこの密着度合いの低い部分がいわゆる破断誘起部となり、ここから亀裂が発生かつ進行し、焼結部材を複数部分に容易に破断分離させることができる。そしてこの発明の方法では、複数対のパンチを異なる方向に同時に制御する必要がないので、加圧成形を容易におこなうことができる。 【0008】 【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいてより具体的に説明する。図1はこの発明の方法における圧縮成形工程を説明するための図であって、先ず成形型について説明すると、この成形型は、得るべき成形体の輪郭形状のキャビティを有するダイ1と、二対のパンチ2,3,4,5とを備えている。これらの各下パンチ2,3同士および上パンチ4,5同士は、互いに密着して摺動し、かつダイ1におけるキャビティに密着嵌合する形状に構成されている。また各対のパンチ2,3,4,5は、ダイ1に対して相対的に上下動可能に構成されている。さらに図に示す例では、二つに破断分離できる成形体を得るように構成されており、したがって各対のパンチ2,3,4,5はそれぞれ破断分離される部分の形状に対応した形状に構成されている。 【0009】この発明の方法では、破断分離される部分のいずれかを先ず予備圧縮成形し、ついで全体を圧縮成形する。したがって先ず、図1の(A)に示すように、一方の下パンチ2をダイ1に対して下降させ、かつ他方の下パンチ3の上面をダイ1の上面に一致する位置まで上昇させておく。このようにしてダイ1と一方の下パンチ2とによって形成される第1キャビティ6の内部に予め決めた量の材料粉末7を充填する。これは、通常おこなわれているように、ダイ1の上面に図示しないシューを移動させ、さらにそのシューをキャビティの上方から退避させて材料粉末を摺り切ることによりおこなえばよい。 【0010】ついで図1の(B)に示すように、上パンチ4を下降させて予備圧縮成形をおこなう。その場合、上パンチ4の下降に併せて下パンチ2を上昇させて上下両方向から加圧する。そのように材料粉末7を加圧することによって、圧縮密度が厚さ方向の中央部では低く、図1の上下両面側では高い予備圧縮体8を得ることができる。その場合、図1での上下両面側を限界予備圧縮密度以上に圧縮し、これに対して厚さ方向での中央部分は、限界予備圧縮密度未満に圧縮する。ここで限界予備圧縮密度とは、破断予定面での破断あるいは亀裂の発生し易さに基づいて決められる密度であり、詳細は後述する。また、この工程は予備圧縮工程であり、予備成形体8の圧縮密度は最終的に得る密度より低密度とする。 【0011】つぎに図1の(C)に示すように、上パンチ4,5を上昇させてキャビティを開くとともに、他方の下パンチ3を下降させてダイ1および各下パンチ2,3によってキャビティを形成する。このキャビティの一部には、既に予備圧縮された予備成形体8が配置されており、したがって実質的には、ダイ1および各下パンチ2,3ならびに予備成形体8によって第2キャビティ9が形成される。この第2キャビティ9に従前と同様にして材料粉末7を充填する。 【0012】この状態から図1の(D)に示すように、各上パンチ4,5を下降させ、かつ各下パンチ2,3を上昇させて予備成形体8および充填された材料粉末7を同時に同圧で加圧圧縮する。そして図1の(E)に示すように、最終密度まで加圧圧縮する。 【0013】このようにして圧縮成形をおこなった場合、予備成形体8における加圧方向での中央部では予備圧縮密度が低くなっており、これがいわゆる本圧縮成形の際に後続の材料粉末7と共に最終密度まで加圧圧縮されるから、この部分での材料粉末同士の密着度合いが高くなる。これに対して予備圧縮工程で限界予備圧縮密度以上に加圧圧縮されている上下両面側の部分では、予備成形体8と後続の材料粉末7との密着度合いが相対的に低くなる。したがって図1に破線で示すように、下パンチ2,3同士の摺動面および上パンチ4,5同士の摺動面の延長位置、すなわち予備成形体8と後続の材料粉末7による圧縮成形部分との境界面が破断予定面10となり、最終的に得られた成形体11における破断予定面10の加圧方向での上下両端部(図1の(E)に実線で示す位置)に破断誘起部(易破断部)が形成される。 【0014】上記のいわゆる本圧縮成形をおこなって得られた成形体11に焼結処理を施す。焼結処理することにより得られた焼結部材には、上記の破断誘起部がほぼそのまま維持される。したがってその破断予定面10に沿って剪断荷重を加え、あるいは楔などによって破断力を与えると、破断予定面10の上端部(成形体11の表面側)から亀裂が進行し、破断予定面10で二部材に破断分離される。特にこの発明に係る上記の方法で圧縮成形した場合、破断を生じさせる亀裂を成形体に設けておくのではなく、破断予定面10に沿って粉末同士の密着度合いの低い部分を形成しておくので、成形体11を複数に分離させるための破断を従来に比べて容易におこなうことができる。 【0015】なお、焼結後でかつ破断分離前に、もしくは破断分離の後に、焼結部材に強度向上のための鍛造処理あるいは熱処理を施してもよい。さらにこれらの強度向上のための処理に加えて、疲労強度の向上のために焼結部材にショットピーニング処理を施してもよい。 【0016】ここでこの発明の方法をエンジン用コネクティングロッドの製造に適用した例を説明する。図2はコネクティングロッド20の平面図であり、図3はその III−III 線に沿う断面図である。コネクティングロッド20の一方の端部には、クランクシャフト(図示せず)に連結するための大端部21が形成されている。この大端部21は、組付けのために分割構造とされており、大端部21のうちコネクティングロッド20の長手方向での半分の部分が、キャップ部22とされて本体部23から分離され、図示しないボルトで本体部23に締結されるようになっている。 【0017】このコネクティングロッド20をこの発明の方法で製造する場合、上記のキャップ部22を前述した予備成形体8として先ず圧縮成形し、ついでそのキャップ部22のための予備成形体と合わせて全体を圧縮成形する。そして得られた成形体に焼結処理を施す。その結果、図3に示すように、キャップ部22に相当する部分と本体部23に相当する部分との間に破断予定面10が形成され、その破断予定面10の上下両面側、すなわち境界上端部10aと境界下端部10bとに境界線が生じる。これは、キャップ部22に相当する部分の予備圧縮成形の際に、上下両面側の圧縮密度を限界予備圧縮密度以上としたことにより、本体部23に相当する部分と合わせて本圧縮成形した際に材料粉末の密着度合いが低くなることにより生じたものである。なお、この境界線ははっきりとは目視できない場合もあり、要は、材料粉末の圧着の生じていない箇所もしくは圧着の程度が低い箇所として生じている。 【0018】これに対して破断予定面10の厚さ方向での中央部、すなわち境界中央部10cでは予備成形体8と後続の材料粉末とが圧着していることにより、上記のような境界線は生じていない。したがってキャップ部22に相当する部分と本体部23に相当する部分とは一体化している。しかしながら、焼結処理の後に、両者の部分を分離するように破断荷重を掛ければ、上述した境界線あるいは破断予定面10に沿って亀裂が発生かつ伝播し、キャップ部22に相当する部分と本体部23に相当する部分とを破断分離させることができる。なお、この場合においても、前述した強度向上のための熱処理や鍛造処理あるいは疲労強度向上のためのショットピーニング処理などを適宜におこなうことは任意である。 【0019】ここで限界予備圧縮密度について説明する。限界予備圧縮密度は、要は、上述した破断予定面10に沿う破断が発生するに充分な材料粉末同士の密着度合いを生じさせる予備圧縮密度であり、一例として実験的に求められる。図4はそのための試験片30を示しており、これは、図5に示すようにして製造する。先ず、矩形平板状の試験片30の約半分に相当する部分31を、製品製造のために使用される材料粉末と同一の材料粉末を使用して予備成形する。この工程を図5の(A)および(B)に示してあり、これは、ダイ32と二対の上下パンチ33,34,35,36のうち一方の一対のパンチ33,35とによって前述した例と同様にしておこなうことができる。 【0020】つぎに他方の下パンチ34を引き下げ、その上側のキャビティに材料粉末37を所定量充填し(図5の(C))、さらに予備成形体38をダイ32の中央部にまで引き下げるとともに、これら予備成形体38および充填した材料粉末37を上下のパンチ32,33,34,35によって加圧圧縮する(図5の(D))。そして最終的には、全体が一枚の平板状となるように最終密度まで加圧圧縮する(図5の(E))。 【0021】このようにして得た成形体39には、予備圧縮成形した部分とそれ以外の部分との境界が存在し、その境界上端部と境界下端部とでは、材料粉末同士の密着度合いが弱く、あるいは圧着していないことにより、前述した境界線が生じる。その境界線の明瞭度すなわち材料粉末の密着の程度は、予備圧縮時の密度によって異なる。 【0022】このようにして得た成形体39の抗折試験をおこなう。図6に抗折試験の実施状況を模式的に示してある。成形体39を二点支持し、その中央部に荷重を掛けて破断を生じさせる。そしてその破断面の位置や破断の形態などを観察あるいは計測し、前記の予備成形をおこなった部分と他の部分との境界に沿った破断か否かなどを判定する。その破断の状態は、予備圧縮密度によって相違するから、その判定結果を予備圧縮密度との関係で整理し、境界面で破断が発生し始める予備圧縮密度を限界予備圧縮密度として定義する。したがってこの限界予備圧縮密度は、材料粉末ごとに固有の値となり、目的により選定された混合粉末材料ごとに試験をおこない、実用の際には事前に求めた限界予備圧縮密度となるように予備圧縮をおこなう。 【0023】なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであり、材料粉末の圧縮は上下のパンチによって上下両方から同時に加圧する以外に、上下いずれか一方のパンチを固定した状態で他方のパンチによって加圧した後に、前記他方のパンチを固定した状態で前記一方のパンチによって加圧してもよい。また、限界予備圧縮密度以上の予備圧縮は、圧縮方向での上下両側に生じさせる以外に、上下いずれか一方のみを限界予備圧縮密度以上に予備圧縮し、したがって前述した境界線を上下いずれか一方にのみ生じさせるようにしてもよい。そして、この発明は、単一の成形体もしくは焼結体から二つの部材を得る場合に限られず、三つ以上の部材を得る場合にも実施することができる。したがってこの発明はコネクティングロッド以外の焼結部材を製造する場合に適用することができる。さらに上記の限界予備圧縮密度を求める方法は、一例に過ぎないのであり、この発明では他の方法によって限界予備圧縮密度を求めてもよい。 【0024】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明の方法によれば、製品の一部に相当する部分の予備圧縮とその予備圧縮部分を含む全体の圧縮成形とをおこない、かつ予備圧縮の際の圧縮密度を、加圧方向での少なくとも一方の面側で高くしたから、最終的に得られる成形体に、破断の生じやすい境界部分を形成することができる。したがって成形体もしくは焼結体の破断分離を容易におこなうことができる。また圧縮成形は、複数対のパンチを用いるものの、各対のパンチを通常の圧縮成形と同様に制御すればよいので、成形工程を容易なものとすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 丈夫
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| 【公開番号】 |
特開平11−80805 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−251401 |
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