| 【発明の名称】 |
粉末冶金用混合粉末及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】香川 晶彦
【氏名】澤山 哲也
【氏名】赤城 宣明
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| 【要約】 |
【課題】混合段階において熱処理を行わなくとも物性改善成分粉末の偏析を防止でき、しかも混合粉末の流動性を損なうことのない粉末冶金用混合粉末の製造方法を提供し、更に、優れた流動性を有すると共に物性改善成分粉末が偏析することのない粉末冶金用混合粉末を提供する。
【解決手段】粉末冶金用鉄・鋼粉に合金化用金属粉末が混合された粉末冶金用混合粉末の製造方法において、上記粉末冶金用鉄・鋼粉の平均粒径をX、上記合金化用金属粉末の平均粒径をYとするとき、Y/Xの値が0.7から1.2となる様に前記粉末冶金用鉄・鋼粉と合金化用金属粉末を混合する。また粉末冶金用混合粉末は、上記粉末冶金用鉄・鋼粉の平均粒径を50〜150μmとし、上記合金化用金属粉末の平均粒径を、上記粉末冶金用鉄・鋼粉の平均粒径に対する比で0.7〜1.2とすればよい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉末冶金用鉄粉または鋼粉に合金化用金属粉末が混合された粉末冶金用混合粉末の製造方法であって、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径をX、上記合金化用金属粉末の平均粒径をYとするとき、Y/Xの値が0.7から1.2となる様に前記粉末冶金用鉄粉または鋼粉と合金化用金属粉末を混合することを特徴とする粉末冶金用合金粉末の製造方法。 【請求項2】 粉末冶金用鉄粉または鋼粉に合金化用金属粉末が混合された粉末冶金用混合粉末であって、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径が50〜150μmであり、上記合金化用金属粉末の平均粒径が、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径に対する比で0.7〜1.2であることを特徴とする粉末冶金用混合粉末。 【請求項3】 非金属粉末を含有する請求項2に記載の粉末冶金用混合粉末。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は粉末冶金用混合粉末及びその製造方法に関し、詳細には鉄粉や鋼粉等の金属粉末をベースとし、これに物性を改善するための合金化用合金粉末や、黒鉛等の非金属粉末を加えた粉末冶金用混合粉末であって、混合粉末の流動性を損なうことなく、物性改善成分の偏析が抑制された粉末冶金用混合粉末及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】粉末冶金においては、鉄粉や鋼粉を原料粉末とし、これに焼結体の物性(強度特性や加工性等)を改善することを目的として、銅,ニッケル,クロム,モリブデン,マンガンまたはそれらの合金からなる合金化用金属粉末を加えられており、また黒鉛,リン,硫黄等の非金属粉末が添加されることも多い(以下、上記合金化用金属粉末及び非金属粉末を総称して物性改善成分粉末ということがある)。更に、上記物性改善成分粉末に加えて、ステアリン酸亜鉛やエチレンビスステアリルアミド等の潤滑剤粉末が配合されることもある。 【0003】上記物性改善成分の添加量は少量でよいことから、物性改善成分粉末は全体的に均一に分散する様にできるだけ小さいものが用いられており、ベースとなる原料粉末と物性改善成分粉末の粒子サイズは大幅に異なっていることが一般的である。その為、原料粉末と物性改善成分粉末の従来の混合粉末では、混合した後に、成形までの取扱い過程中に物性改善成分粉末が偏析を起こし易く、焼結体の均質性が悪いという問題を有していた。特に、黒鉛やリン等の非金属粉末は、鉄粉や鋼粉等の原料粉末と粒子サイズが異なるだけではなく比重差も大きいので、その偏析の程度は大きかった。 【0004】上記物性改善成分粉末の偏析の防止手段としては、例えば特公平4−4362号公報に、鉄粉に合金微粉末を添加した後に熱処理を施すことにより上記合金微粉末を鉄粉に拡散付着させる方法が示されている。但し、この方法では粉末の混合段階で熱処理を必要とするので製造工程が複雑となる分、得られる粉末冶金用混合粉末が高価格とならざるを得なかった。 【0005】そこで特開平6−49503号には、液状脂肪酸等の有機バインダーを粉末冶金用鉄粉と混合することにより、偏析を防止した混合粉末が開示されている。しかしながら上記公報に開示された有機バインダーは、例えば黒鉛粉末等のように非常に微細で比重の軽い物性改善成分に対しては十分な偏析防止効果を持つが、鉄・鋼粉末と合金粉末との接着力はそれほど強くないのでそれらに対する偏析防止効果が不十分であり、所望の偏析防止効果を得るためには大量のバインダーを配合しなければならなかった。その結果、偏析の防止は可能であっても混合粉末の流動性が損なわれることから、収納容器からの排出性に乏しく、また金型への充填性が悪い等の問題が指摘されていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着目してなされたものであって、混合段階において熱処理を行わなくとも物性改善成分粉末の偏析を防止でき、しかも混合粉末の流動性を損なうことのない粉末冶金用混合粉末の製造方法を提供し、更に、優れた流動性を有すると共に物性改善成分粉末が偏析することのない粉末冶金用混合粉末を提供しようとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発明とは、粉末冶金用鉄粉または鋼粉に合金化用金属粉末が混合された粉末冶金用混合粉末の製造方法であって、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径をX、上記合金化用金属粉末の平均粒径をYとするとき、Y/Xの値が0.7から1.2となる様に前記粉末冶金用鉄粉または鋼粉と合金化用金属粉末を混合することを要旨とするものである。 【0008】また本発明の粉末冶金用混合粉末とは、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径が50〜150μmであり、上記合金化用金属粉末の平均粒径が、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径に対する比で0.7〜1.2であることを要旨とするものであり、更に非金属粉末を含有しても良い。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明者らは前述のような従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、粉末冶金用鉄粉または鋼粉に合金化用金属粉末を混合して粉末冶金用混合粉末を製造するにあたり、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径と上記合金化用金属粉末の平均粒径の関係を特定の条件範囲に制御すれば、合金化用金属粉末の偏析防止用バインダーを添加しなくとも、合金化用金属粉末の偏析を防止できることを見出し、その結果、混合粉末の流動性の劣化を招くことなく、合金化用金属粉末の偏析を防止できることを突きとめ、本発明に想到した。 【0010】本発明における特定の条件範囲とは、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径をX、上記合金化用金属粉末の平均粒径をYとするとき、Y/Xの値で0.7から1.2までの範囲である。上記Y/Xの値が0.7未満になると偏析が生じやすくなると共に、流動性が低下し、またその値が1.2を超えると焼結体に欠陥を生ずる等の問題が発生する。 【0011】また上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径を50〜150μmとし、合金化用金属粉末の平均粒径を、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径に対する比で0.7〜1.2とすることにより、混合粉末の偏析を防止することができ、しかも次のような特徴を有する粉末冶金用混合粉末を得ることができる。 【0012】■混合粉末の流動性が非常に良好であることから、容器からの排出性および金型への充填性に優れている。さらにスプリングフィーダー等に混合粉末を搬送する際においても搬送性が非常に良好である。 【0013】■成形時において混合粉末の金型充填性が非常に良好であることから、均一な密度を有する成形体を得ることができ、しかも連続成形時の成形体の重量変動を小さくすることが可能となる。 【0014】■比較的大きな合金化用金属粉末を用いることから、混合粉末取扱い時の発塵を抑制することが可能である。 【0015】尚、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径は、小さ過ぎると粉体の流動性が劣化するので50μm以上が望ましく、また大き過ぎると焼結体表面に欠陥が生じたり、金型の狭い部分への充填が不十分となり易いので150μm以下が望ましい。 【0016】また本発明では、黒鉛,リン,硫黄等の非金属粉末を添加してもよく、これらの非金属粉末も、合金化用金属粉末と同様、その平均粒径を、上記粉末冶金用鉄粉または鋼粉の平均粒径に対する比で0.7〜1.2とすることが望ましいが、非金属粉末は比重が小さいので、スチレン−ブタジエンラバー等の結合剤を少量添加することにより流動性を低下させることなく非金属粉末の偏析を防止してもよい。 【0017】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。 【0018】 【実施例】ベース金属粉末として、平均粒径70μmの鉄粉(神戸製鋼所製「アトメル300M」)を用い、上記鉄粉:100重量部に対して、表1に示す各種の粒径を有する銅粉:2重量部、平均粒径10μmの黒鉛粉末:0.7重量部、および潤滑剤としてステアリン酸亜鉛:0.5重量部を混合したものを用い、図1に示す方法により、羽根付きミキサーによって高速撹拌して各特性測定用の試料(No.1〜5)とした。 【0019】またNo.6〜8では上記混合粉末に黒鉛偏析防止用のバインダー(スチレン−ブタジエンラバー):0.1重量部を加え、またNo.7,8では合金粉末偏析防止用の液状脂肪酸エステル:0.05重量部を添加した。 【0020】上記試料No.1〜10を用いて、流動度計により流動度を測定すると共に、以下の方法により流出性,充填性,搬送時の成分偏析度,連続成形時の成形体重量変動を測定した。 【0021】まず、流出性の測定には図2に示す様な流出性評価試験機を用いて、2kgの粉末を充填し10分間保持した後に粉体が流出する最小の穴径により評価した。尚、図2において、1は粉末充填シリンダ、2はシャッタ、3は穴径変更板、3aは穴を夫々示す。 【0022】また充填性は、図3に示す様な金型充填性評価装置を用い、粉末供給箱の移動速度が100mm/secの場合におけるスリット幅2mmのキャビティーへの充填率を測定して評価した。尚、図3において、4は粉末供給箱(80×80×70t)、5はキャビティー容器(80×60×55t)、6はエアシリンダを夫々示す。 【0023】粉体の搬送時の成分偏析度は図4に示す装置(スプリングフィーダー)を用い、500kgの混合粉末を強制的に連続搬送した時の搬送終期の粉末の成分分析値と配合量との差によって評価した。尚、図4において7は粉体ホッパー、8はモーター、9は上記モーター8に連動されたスプリングを内装した粉体搬送管であり、上記モーター8が回転することにより粉体搬送路内のスプリングが回転し、粉体ホッパー内の混合粉末が上方に送給される粉体搬送路が内部に形成されている。連続成形時の成形体重量変動の測定には、プレス成形装置により直径30mm高さ20mmの成形体を連続成形し、一定個数毎に重量を測定して評価した。 【0024】 【表1】
【0025】No.3,4は本発明の実施例であり、流動性(流動度,流出性,充填性)に優れ、かつ搬送時成分偏析度及び成形体重量変動幅の結果から、偏析が生じていないことが分かる。 【0026】No.1,2は、Y/Xの値が0.7未満である場合の比較例であり、流動性に乏しく、偏析が生じていることが分かる。No.5はY/Xの値が1.2以上である場合の比較例であり、流動性及び偏析の点では問題はなかったが、焼結体に欠陥を生じており、強度が低いものであった。 【0027】No.6は黒鉛偏析防止用のバインダーを有する実施例であり、No.3,4同様、流動性は良好であり、偏析も生じていなかった。No.7,8は合金粉末偏析防止用の液状脂肪酸エステルを含有する従来例及び比較例であり、流動性に乏しく、成形体重量変動幅が大きかった。 【0028】 【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、混合段階において熱処理を必要とすることなく偏析を防止でき、しかも混合粉末の流動性を損なうことのない粉末冶金用混合粉末の製造方法と、物性改善成分が偏析することなく高い流動性を有する混合粉末が提供できることとなった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月5日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−80802 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−241072 |
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