| 【発明の名称】 |
脱脂装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 祥二
【氏名】神澤 宏州
【氏名】村上 克己
|
| 【要約】 |
【課題】メインテナンスが容易で、脱脂ガスの排気を円滑に行える。
【解決手段】本発明の脱脂装置1は、成形体31に対し脱脂処理を施す脱脂炉2と、脱脂炉2の内部へ脱脂ガスを供給する脱脂ガス供給系6と、脱脂炉2内の脱脂ガスを排気する脱脂ガス排気系7とを備えている。脱脂ガス排気系7は、処理空間20に連通する管路71と、管路71の下端に位置する液溜り11と、管路71の途中に接続された傾斜管路72と、傾斜管路72の端部から分岐して形成された低温排気経路8および高温排気経路9と、両経路8、9の合流部73の下流側に接続された管路74と、管路74の途中に設置された燃焼装置10とを備えている。低温排気経路8には、管路81の途中にポンプ83、84が設置されている。これらのポンプ83、84は、その内部に脱脂ガス中に含まれる有機結合材の成分の堆積が生じないような構成のものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原料粉末と有機結合材とを含む成形体に対し脱脂処理を施す脱脂炉と、前記脱脂炉の内部へ脱脂ガスを供給する脱脂ガス供給系と、脱脂に供された脱脂ガスを前記脱脂炉外へ排気する脱脂ガス排気系とを有する脱脂装置であって、前記脱脂ガス排気系は、前記脱脂炉の内部を減圧する少なくとも1つのポンプと、該ポンプより下流側に設置された燃焼装置とを備え、前記ポンプは、そのポンプ室内に前記有機結合材の成分の堆積が生じないものであることを特徴とする脱脂炉。 【請求項2】 前記脱脂ガス排気系は、低温域で脱脂を行う際に使用される低温排気経路と、高温域で脱脂を行う際に使用される高温排気経路とを有し、前記低温排気経路の途中に前記ポンプが設置されている請求項1に記載の脱脂炉。 【請求項3】 前記燃焼装置は、前記低温排気経路と前記高温排気経路との合流部より下流側に設置されている請求項2に記載の脱脂炉。 【請求項4】 前記低温排気経路には、高真空ポンプと、その下流側に位置する低真空ポンプとが設置されており、これらの両ポンプが、前記有機結合材の成分の堆積が生じないものである請求項2または3に記載の脱脂炉。 【請求項5】 前記ポンプは、その作動中に、ポンプ室の温度が、脱脂ガス中に含まれる前記有機結合材の成分が液化しない程度の高温に保持されるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の脱脂炉。 【請求項6】 前記ポンプは、ドライポンプである請求項1ないし5のいずれかに記載の脱脂炉。 【請求項7】 前記脱脂ガス排気系の各部が50℃以上の温度に加熱されている請求項1ないし6のいずれかに記載の脱脂炉。 【請求項8】 前記脱脂ガス排気系の前記ポンプより上流側に、液溜りが設置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の脱脂炉。 【請求項9】 前記液溜りは、貯留された液を加熱し、気化させることができるヒータを備えている請求項8に記載の脱脂炉。 【請求項10】 前記成形体は、金属射出成形により得られた成形体である請求項1ないし9のいずれかに記載の脱脂炉。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原料粉末と有機結合材とを含む成形体に対し脱脂処理を施す脱脂炉に関する。 【0002】 【従来の技術】金属粉末の成形体を焼結して金属製品を製造するに際し、成形体の製造方法として、金属粉末と有機バインダーと混合、混練し、この混練物を用いて射出成形する金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding )法が知られている。 【0003】このMIM法により製造された成形体は、焼結に供する前に、脱脂装置を用いて脱脂処理(脱バインダー処理)が施される。 【0004】従来の脱脂装置は、成形体に対し高温環境下で脱脂を行う脱脂炉と、該脱脂炉の内部へ脱脂ガスを供給する脱脂ガス供給系と、脱脂に供された脱脂ガスを脱脂炉外へ排気する脱脂ガス排気系とで構成されており、脱脂ガス排気系には、脱脂炉内を減圧する真空ポンプが設置されている。 【0005】また、脱脂に供された脱脂ガス中には、ワックスのような有機バインダー成分が含まれていることから、真空ポンプで吸引した脱脂ガスをそのまま大気中へ放出すると、環境に悪影響を及ぼす。そのため、脱脂ガス排気系には、脱脂ガス中の有機バインダー成分を捕捉するトラップが設けられている。このトラップは、脱脂ガスを冷媒管により冷却し、脱脂ガス中の有機バインダー成分を凝集、固化させて除去する構造のもの等がある。 【0006】しかしながら、このような構成では、脱脂ガス排気系の性能低下を生じないように、トラップやその周辺箇所等から、固化した有機バインダー成分を取り除く清掃作業が必要であり、このようなメインテナンスに多大な労力を必要とするとともに、この作業のために脱脂装置の連続運転ができず、生産性が低いという欠点がある。 【0007】また、トラップの除去能にも限界があるため、除去しきれなかった有機バインダー成分が真空ポンプ内に付着し、真空ポンプの性能低下を生じたり、場合によっては、真空ポンプが運転不能となったりすることがある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、メインテナンスが容易であり、また、脱脂ガスの排気を円滑に行うことができる脱脂装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。 【0010】(1) 原料粉末と有機結合材とを含む成形体に対し脱脂処理を施す脱脂炉と、前記脱脂炉の内部へ脱脂ガスを供給する脱脂ガス供給系と、脱脂に供された脱脂ガスを前記脱脂炉外へ排気する脱脂ガス排気系とを有する脱脂装置であって、前記脱脂ガス排気系は、前記脱脂炉の内部を減圧する少なくとも1つのポンプと、該ポンプより下流側に設置された燃焼装置とを備え、前記ポンプは、そのポンプ室内に前記有機結合材の成分の堆積が生じないものであることを特徴とする脱脂炉。 【0011】(2) 前記脱脂ガス排気系は、低温域で脱脂を行う際に使用される低温排気経路と、高温域で脱脂を行う際に使用される高温排気経路とを有し、前記低温排気経路の途中に前記ポンプが設置されている上記(1)に記載の脱脂炉。 【0012】(3) 前記燃焼装置は、前記低温排気経路と前記高温排気経路との合流部より下流側に設置されている上記(2)に記載の脱脂炉。 【0013】(4) 前記低温排気経路には、高真空ポンプと、その下流側に位置する低真空ポンプとが設置されており、これらの両ポンプが、前記有機結合材の成分の堆積が生じないものである上記(2)または(3)に記載の脱脂炉。 【0014】(5) 前記ポンプは、その作動中に、ポンプ室の温度が、脱脂ガス中に含まれる前記有機結合材の成分が液化しない程度の高温に保持されるものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の脱脂炉。 【0015】(6) 前記ポンプは、ドライポンプである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の脱脂炉。 【0016】(7) 前記脱脂ガス排気系の各部が50℃以上の温度に加熱されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の脱脂炉。 【0017】(8) 前記脱脂ガス排気系の前記ポンプより上流側に、液溜りが設置されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の脱脂炉。 【0018】(9) 前記液溜りは、貯留された液を加熱し、気化させることができるヒータを備えている上記(8)に記載の脱脂炉。 【0019】(10) 前記成形体は、金属射出成形により得られた成形体である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の脱脂炉。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の脱脂装置を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。 【0021】図1は、本発明の脱脂装置の構成を模式的に示す図である。 【0022】まず、本発明の脱脂装置の構成を説明する前に、脱脂に供される成形体について説明する。 【0023】脱脂に供される成形体31は、金属、非金属またはそれらを混合した原料粉末を用い、例えば圧縮成形(圧粉成形)、押出成形、射出成形等により成形されたものが挙げられるが、特に、金属粉末射出成形法(MIM法)で成形されたものであるのが好ましい。この金属粉末射出成形法は、複雑で微細な形状の金属焼結品を高い寸法精度で製造することができる利点を有する。以下、その製造工程を順次説明する。 【0024】まず、原料粉末である金属粉末と有機結合材(有機バインダー)とを用意し、これらを混練機により混練し、混練物(コンパウンド)を得る。 【0025】金属粉末の金属としては、特に限定されず、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、タングステン、チタン、モリブデン、バナジウム等、全ての金属元素またはその合金が挙げられる。また、組成の異なる2種以上の金属粉末を混合して(混合粉)用いることもできる。 【0026】金属粉末の製造方法も特に限定されず、例えばアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法により製造されたものを用いることができる。 【0027】このような金属粉末の平均粒径は、特に限定されないが、通常、0.2〜200μm 程度が好ましく、1〜50μm 程度がより好ましい。 【0028】一方、有機結合材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。 【0029】また、さらに可塑剤が添加されていてもよい。この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。 【0030】脱脂前の成形体中の金属粉末の含有量は、特に限定されないが、50〜97wt%程度であるのが好ましく、65〜93wt%程度であるのがより好ましい。 【0031】なお、前記混練に際しては、前記金属粉末、結合材、可塑剤の他に、例えば、潤滑剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じ添加することができる。 【0032】次に、前記で得られた混練物または該混練物より造粒されたペレットを用いて、射出成形機により射出成形し、所望の形状の成形体を製造する。この場合、成形金型の選択により、複雑で微細な形状の成形体をも容易に製造することができる。 【0033】射出成形の成形条件としては、用いる金属粉末の粒径、結合材の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、材料温度が好ましくは80〜220℃程度、射出圧力が好ましくは20〜170kgf/cm2 程度とされる。 【0034】なお、上記では、原料粉末として金属粉末を用いたMIM法について説明したが、本発明において、原料粉末は、例えば、各種セラミックス、サーメットのような金属化合物の粉末であってもよい。さらには、これらと前記金属粉末とを混合したものでもよい。 【0035】図1に示すように、本発明の脱脂装置1は、成形体31に対し脱脂処理を施す脱脂炉2と、脱脂炉2の内部へ脱脂ガスを供給する脱脂ガス供給系6と、脱脂炉2内の脱脂ガスを排気する脱脂ガス排気系7とを備えている。 【0036】脱脂炉2は、その内部にほぼ密閉状態を保持し得る処理空間20を有している。この処理空間20には、成形体31を載置する載置台3が設置されている。 【0037】また、脱脂炉2には、処理空間20内を加熱するヒータ4と、処理空間20の雰囲気を撹拌する撹拌装置5とが設置されている。 【0038】撹拌装置5は、モータ51と、該モータ51により回転される撹拌羽根52とで構成され、撹拌羽根52は、処理空間20内に位置している。この撹拌装置5の作動により、処理空間20内の脱脂ガスの組成(濃度)および温度分布が均一となり、成形体31は、より均一にかつ効率良く脱脂がなされ、膨れ、変形、割れ等の欠陥の発生防止に寄与する。 【0039】ヒータ4は、マイクロコンピュータのような制御手段(図示せず)によりその作動が制御され、処理空間20内の温度制御、特に後述するような昇温パターンの制御がなされる。 【0040】この脱脂炉2には、脱脂ガス(キャリアガス)を処理空間20へ供給する脱脂ガス供給系6と、処理空間20内で脱脂に供された脱脂ガスを脱脂炉2外へ排気する脱脂ガス排気系7と接続されている。 【0041】脱脂ガス供給系6は、異なる3種の脱脂ガスA、B、Cをそれぞれ供給する管路61、62、63と、管路61、62、63の下流端に設置された選択バルブ64と、選択バルブ64と処理空間20内とを接続する管路65と、管路65の途中に設置された流量調節バルブ66とで構成されている。 【0042】このうち、選択バルブ64は、管路61、62、63のうちの任意の1または2以上と、管路65との接続を選択するバルブである。脱脂ガスA、B、Cのうちの1種を単独で、あるいは2種以上を所定の組み合わせで混合して供給することができる。 【0043】また、流量調節バルブ66は、管路65を流れる脱脂ガスの流量を調節するバルブである。 【0044】選択バルブ64および流量調節バルブ66は、それぞれ、電磁バルブで構成され、これらのバルブの作動、すなわち、選択バルブ64による選択および流量調節バルブ66の開度は、前記制御手段により制御される。 【0045】脱脂ガス排気系7は、処理空間20に連通する管路71と、管路71の下端に設置された液溜り11と、管路71の途中に接続された傾斜管路72と、傾斜管路72の下流端(図中右端)からそれぞれ分岐して形成された低温排気経路8および高温排気経路9と、両経路8、9の合流部73より下流側に接続された管路74と、管路74の途中に設置された燃焼装置10とを備えている。 【0046】高温排気経路9は、一端が傾斜管路72、他端が合流部73にそれぞれ接続された管路91を有し、該管路91の傾斜管路72側近傍には、管路91内の流路を開閉し得るバルブ92が設置されている。このバルブ92は、電磁バルブで構成されている。 【0047】低温排気経路8は、一端が傾斜管路72、他端が合流部73にそれぞれ接続された管路81を有し、該管路81の途中には、上流側(傾斜管路72側)から順に、バルブ82、ポンプ83、ポンプ84が設置されている。バルブ82は、管路91内の流路を開閉し得るものであり、電磁バルブで構成されている。 【0048】低温排気経路8の上流側に設置されたポンプ83は、高真空ポンプであり、その流入口側の圧力が例えば、1×10-2〜1×10-4 torr 程度、流出口側の圧力が例えば1×10-1〜1×102 torr 程度とされる。なお、これらの圧力は、ポンプ83の構成に応じて変動可能であり、例えば、上記例示の圧力よりも低い圧力であってもよい。 【0049】また、低温排気経路8のポンプ83より下流側に設置されたポンプ84は、低真空ポンプであり、その流入口側の圧力が例えば、1×10-2〜1×101 torr程度、流出口側の圧力が例えば1×102 torr 〜大気圧程度とされる。 【0050】脱脂ガスの排気中において、ポンプ83の内部(ポンプ室)およびポンプ84の内部(ポンプ室)は、ポンプの作動により発生する熱等により、高温状態が保持される。この温度は、ポンプを通過する脱脂ガス中に含まれる有機結合材の成分(分解ガス)が液化しない程度の温度であり、例えば、50〜200℃程度である。これにより、ポンプ83、84の内部に有機結合材の成分の堆積が生じず、よって、ポンプ83、84は、性能低下等を生じず、円滑な作動が安定的に維持されるとともに、ポンプ室内等に堆積、固化した有機成分を取り除くための清掃作業等が不要であり、メインテナンスが容易であるという利点がある。 【0051】このようなポンプ83、84としては、例えばメカニカルブースターポンプ((MBP)を用いることができる。特に、ポンプ84については、一対のまゆ型断面のローターを有するドライポンプを用いるのが好適である。このドライポンプは、内部潤滑油を必要とせず、前述したような高温を保持することができるため、有機成分の堆積防止に特に有効だからである。 【0052】燃焼装置10は、排気された脱脂ガス中の有機成分を燃焼させることができる装置であって、例えば、燃焼室内にガス、灯油等を燃料とするバーナーを備えた構成のもの、通電により発熱する発熱体を備えたもの等が挙げられる。燃焼装置10における燃焼温度は、例えば700〜1200℃程度とされる。 【0053】脱脂ガス排気系7の各部、すなわち例えば管路71、72、81、92、74等の途中には、それらを加熱するヒータ14が設置されている。脱脂工程中は、これらのヒータ14により加熱されて、好ましくは脱脂ガス排気系7のほぼ全体に渡り、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは95℃以上の温度が保たれる。なお、ヒータ13、14へ通電するための電源は、図中省略されている。 【0054】このように、脱脂ガス排気系7の各部が所定の温度に保たれているため、各管路内等に、脱脂ガス中に含まれる有機結合材の成分が付着、堆積することが防止され、前記ポンプ83、84と同様に、メインテナンスが容易となる。 【0055】傾斜管路72は、その傾斜下端側が管路71の途中に接続されており、仮に傾斜管路72等の内部で有機成分が液化した場合でも、その液が重力の作用により傾斜管路72に沿って流下し、液溜り11に導入されるようになっている。 【0056】液溜り11は、脱脂ガス中に含まれる有機成分等が液化した場合、その液を貯留するタンク(ドレーン)12と、タンク12内の液を加熱するヒータ13とを備えている。前記有機成分の液化は、例えば管路の温度が一時的に低下した場合に生じることがある。タンク12内に貯留された液は、ヒータ13により加熱されて気化し、傾斜管路72、低温排気経路8または高温排気経路9、管路74を経て燃焼装置10で燃焼され、排気される。 【0057】このような液溜り11を設けたことにより、脱脂ガス排気系7内で有機成分の液化が生じた場合でも、それを除去し、さらに、気化させて再び排気することができるという利点がある。 【0058】このような脱脂装置1において、バルブ82、92、ポンプ83、93、ヒータ13、14および燃焼装置10の作動は、前記制御手段により制御される。 【0059】なお、本発明の脱脂装置1は、ポンプ83、84のいずれか一方のみが設置されているものでも、また、さらに1つ以上の同様のポンプが設置されているものでもよい。また、ポンプの種類も、前述したものに限定されず、処理空間20の必要とされる圧力等の諸条件に応じ、適宜選択して使用することができる。 【0060】次に、脱脂装置1を用いた脱脂方法の一例について説明する。 【0061】<1> 成形体31を脱脂炉2の載置台3上に所定の配置で載置し、次いで、脱脂炉2を密閉し、脱脂ガス供給系6により、選択バルブ64で選択された所定の脱脂ガスを処理空間20内へ供給、充填する。 【0062】なお、脱脂ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガス、空気、炭酸ガス、水素ガス、アンモニア分解ガスが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。成形体31の変質防止にとっては、窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガスが好ましく、製造コストの低減にとっては、空気が好ましい。 【0063】<2> 脱脂炉2内への脱脂ガスの供給を停止後、ヒータ4を作動して、炉内温度を例えば50〜70℃程度まで昇温するとともに、脱脂ガス排気系7の各ヒータ13、14を作動して、80℃以上の温度まで加熱する(前工程)。 【0064】<3> 以上のような工程が終了したら、低温脱脂処理(第1の工程)を行う。 【0065】撹拌装置5を作動して脱脂炉2内を撹拌しつつ、ヒータ4を間欠的に作動させ、全体として成形体31の加熱温度(炉内温度)を上昇傾向とする。すなわち、図2に示すように、ヒータ4を所定時間(例えば1〜60分)作動させ、炉内温度を経時的に上昇させ(=第1のパターン)、次いでヒータ4の出力を停止または減少させて所定時間(例えば1〜120分)炉内温度を一定に保ち(=第2のパターン)、以下、この第1のパターンと第2のパターンとを交互に繰り返し行う。これにより、炉内温度は、段階的に上昇して行く。 【0066】一方、脱脂ガス排気系7を作動させ、図2に示すように、脱脂炉2の処理空間20の雰囲気を減圧状態とする。すなわち、流量調節バルブ66およびバルブ92を閉、バルブ82を開とし、ポンプ83、84および燃焼装置10を作動して、脱脂炉2内の脱脂ガスを、管路71、傾斜管路72、低温排気経路8、管路74および燃焼装置10を経由して排気する。この場合、脱脂炉2内の圧力は、例えば1×10-3〜1×102 torrの範囲内で、任意に設定することができる。 【0067】脱脂炉2から流出する脱脂ガス中には、成形体31から離脱した有機結合材の成分(分解ガス)が含まれているが、この成分は、燃焼装置10において燃焼され、大気中に放出される。 【0068】また、脱脂ガスが通過する排気経路は、ヒータ14の作動等により高温に保たれているため、有機結合材の成分が凝集、固化(堆積)して排気経路内に付着することはない。特に、ポンプ83および84が前述した構成のものであるため、そのポンプ室等に有機結合材の成分が凝集、固化して堆積することがなく、よって、脱脂ガスの排気を円滑かつ安定的に行うことができる。 【0069】なお、この低温脱脂処理工程においては、流量調節バルブ66の開度を調整して、脱脂ガス供給系6から少量の脱脂ガスを供給しつつ、前述したような脱脂処理および排気処理を行うこともできる。この場合には、成形体31より発生した分解ガスを効率よく、脱脂炉2外に排出することができる。 【0070】また、前記ではポンプ83、84を連続運転しているが、ポンプ83、84を間欠的に運転し、脱脂炉2内の圧力を所定の周期で増減させることもできる。 【0071】本工程における炉内温度(加熱温度)の上限は、特に限定されないが、好ましくは350℃程度、より好ましくは300℃程度とすることができる。 【0072】以上のような構成とすることで、より短い脱脂時間で、均一かつ良好に成形体の脱脂を行うことができ、膨れ、変形、割れ等の欠陥の発生を防止することができる。 【0073】なお、この低温脱脂工程においては、脱脂ガス供給系6より少量の脱脂ガスを供給しつつ脱脂を行ってもよい。 【0074】<4> 前記低温脱脂工程の後、高温脱脂処理(第2の工程)を行う。 【0075】撹拌装置5を作動して脱脂炉2内を撹拌しつつ、ヒータ4を作動させ、成形体31の加熱温度(炉内温度)を高温に保持するとともに、脱脂ガス供給系6を作動して処理空間20内へ選択バルブ64で選択された脱脂ガスを供給する。 【0076】またこのとき、脱脂ガス排気系7より、脱脂炉2への脱脂ガスの供給量とほぼ同量の脱脂ガスを脱脂炉2外へ排気する。すなわち、バルブ82を閉、バルブ92を開とし、処理空間20と大気圧との差により、脱脂炉2内の脱脂ガスを、管路71、傾斜管路72、高温排気経路9、管路74および燃焼装置10を経由して排気する。 【0077】脱脂炉2から流出する脱脂ガス中に含まれている有機結合材の成分(分解ガス)は、前記と同様に、燃焼装置10において燃焼され、大気中に放出される。 【0078】また、脱脂ガスが通過する排気経路は、ヒータ14の作動等により高温に保たれているため、有機結合材の成分が凝集、固化して排気経路内に付着することはなく、よって、脱脂ガスの排気を円滑かつ安定的に行うことができる。 【0079】なお、このような高温脱脂処理では、流量調節バルブ66の開度を比較的大きく設定して、処理空間20内への脱脂ガスの供給量(流量)を十分に確保する。具体的には、脱脂ガスの供給量は、脱脂炉2の処理空間20の容量が2〜8m3の場合、好ましくは80〜450リットル/分程度、より好ましくは130〜380リットル/分程度とすることができる。この好適な供給量は、脱脂炉2の容量等の諸条件に応じて増減する。 【0080】本工程における脱脂ガスの種類、組成は、前記第1の工程において使用した脱脂ガスと同一でも異なっていてもよいが、同種のもの、すなわち、同一組成またはガスの主成分が共通するものが好ましい。 【0081】本工程における炉内温度(処理温度)は、前記第1の工程のそれより高温域とされ、その最高温度は、好ましくは800℃程度、より好ましくは630℃程度とすることができる。この場合、図2に示すように、本工程における炉内温度は、第1の工程の終了時から経時的に上昇し、次いで高温状態(最高温度)を一定時間保持するようなパターンとされるのが好ましい。 【0082】本工程では、空気や不活性ガス(非酸化性ガス)等よりなる脱脂ガスを炉内に流すので、これらの気体を媒介とした熱伝達がなされ、脱脂炉2内の温度分布が安定する。そのため、成形体31は、均一かつ効率的に脱脂がなされるとともに、脱脂炉2内の昇温速度が大幅に速くなり、脱脂時間が大幅に短縮される。 【0083】また、脱脂時間が短縮されることで、脱脂ガスの消費量が低減される。特に、アルゴンガスのような高価な脱脂ガスの消費量が減ることは、製造コストの低減にとって有利である。 【0084】<5> 前記高温脱脂工程の後、冷却工程(第3の工程)を行う。 【0085】本工程では、ヒータ4の作動を停止するかまたはパワーダウンして、炉内温度を下げ、成形体31を例えば常温まで冷却する。 【0086】このとき、流量調節バルブ66の開度を小さく設定して、少量の脱脂ガスを処理空間20内へ供給するのが好ましい。これにより、成形体31の冷却効率が向上し、品質の向上および処理時間の短縮が図れる。 【0087】この場合の脱脂ガスの供給量は、前記第2の工程における脱脂ガスの供給量の0.05〜0.7倍程度であるのが好ましく、0.1〜0.5倍程度であるのがより好ましい。具体的には、脱脂ガスの供給量は、前記と同様の脱脂炉2の容量に対し、好ましくは4〜310リットル/分程度、より好ましくは15〜170リットル/分程度とすることができる。 【0088】なお、本工程で用いられる脱脂ガスは、前記第2の工程において使用した脱脂ガスと同種のものが好ましい。 【0089】また、本工程では、脱脂ガス排気系7は、ヒータ14および燃焼装置10を作動状態とし、バルブ82を閉、バルブ92を開とし、脱脂炉2内の脱脂ガスを、管路71、傾斜管路72、高温排気経路9、管路74および燃焼装置10を経由して排気する。この際、液溜り11に溜った液体成分は、ヒーター13で加熱されて気化され、管路72、91、74、燃焼装置10を通り、大気へ放出される。このときも前記第1、第2の工程と同様の効果が得られる。 【0090】<6> 以上のようにして得られた脱脂済の成形体31(脱脂体)は、例えば焼結炉(図示せず)で焼成して焼結され、金属焼結体となる。 【0091】この場合、焼結条件は、特に限定されず、例えば温度1000〜1400℃程度で15〜30時間程度とされる。また、焼結雰囲気は、例えば、5×10-2 torr 以下(特に、1×10-2〜1×10-6 torr )の減圧(真空)下、または窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスとされる。 【0092】なお、焼結炉は、別途用意されたものでもよいが、本発明の脱脂装置1における脱脂炉2を焼結炉として兼用することもできる。この場合には、脱脂済の脱脂体を脱脂炉2から焼結炉へ移送する作業が省略されるので、生産性の向上に寄与する。 【0093】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、脱脂ガス排気系より有機成分を除去する作業等が不要となるかまたは減少するので、装置のメインテナンスが容易であるとともに、脱脂ガスの排気を円滑に行うことができる。 【0094】特に、低温排気経路と高温排気経路とを設けた場合には、脱脂効率が向上し、脱脂体の品質の向上および脱脂時間の短縮が図れる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】594017374 【氏名又は名称】株式会社インジェックス 【識別番号】000219750 【氏名又は名称】東海高熱工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 喜三郎 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−43704 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−197393 |
|