| 【発明の名称】 |
中空軸を有する鍛造品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】広瀬 明次
【氏名】小沼 智
【氏名】田代 安宏
【氏名】武田 伸二
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、仕上げ鍛造の際に用いる上型の寿命を長くし、同時に仕上げ鍛造の際のストロークを短くでき、更に製造の一時的中断を減らすことができる、耳部をもつ鍛造品の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】第1荒地材製造工程において、軸部31とヨーク部32と浅孔33とを備えた第1荒地材3を得る際に、ヨーク部32の形状を製品形状にまで加工しておく。その後、第2荒地材製造工程において、後方押出により該軸部31を伸長して、深孔43を有する伸長軸部41を備えた第2荒地材4を得る。次いで、仕上鍛造工程において、深孔43の底部に達しない長さを有する仕上ポンチを該深孔43に挿入しつつ、ヨーク部42を仕上げ加工して、中空軸を有する鍛造品5を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸部と、該軸部の一端に設けられたヨーク部と、該ヨーク部の股部に軸方向に設けられる浅孔とを備えた第1荒地材を得る工程において、該ヨーク部の形成時に該ヨーク部の形状を仕上形状にまで加工する第1荒地材製造工程と、その後、該第1荒地材の該軸部を荒地下型に設けられた荒地凹部に挿入することにより該軸部の先端及び側外周を略拘束状態とし、該第1荒地材の該ヨーク部を非拘束状態とすると共に、該浅孔にポンチ型を軸方向に押入することにより、該浅孔を深く変形させ、同時に、該軸部の素材を該荒地凹部の開口方向に後方押出して、該軸部を伸長して、該第1荒地材の浅孔を有する軸部を深孔を有する伸長軸部とすることにより、深孔を有する伸長軸部を備えた第2荒地材を得る第2荒地材製造工程と、次いで、該第2荒地材の該伸長軸部を仕上下型に設けられた仕上凹部に挿入することにより該伸長軸部の先端及び側外周を略拘束状態とし、該伸長軸部の該深孔の内壁を略拘束状態とする断面形状を有し且つ該深孔の底部に達しない長さを有する仕上ポンチを該深孔に挿入しつつ、仕上上型及び仕上下型により該ヨーク部を仕上げ加工して、ヨーク部を有する鍛造品を得る仕上鍛造工程とを備えることを特徴とする中空軸を有する鍛造品の製造方法。 【請求項2】 上記第1荒地材製造工程と、上記第2荒地材製造工程と、仕上鍛造工程と、を備え、更に、該仕上鍛造工程の後に上記深孔を上記伸長軸部の端部において貫通させる軸孔貫通工程とを備えることを特徴とする中空軸を有する鍛造品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スリーブヨーク又はステアリングヨーク等の、二股U字状、二股V字状又はカップ状等のヨーク部と孔つき軸部とをもち、中空軸を有する鍛造品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】スリーブヨークを例にとって従来技術について以下で説明する。 (1)前方押し出し成形により軸部を伸長する鍛造方法従来、スリーブヨークを鍛造する工程においては、まず、丸棒材を鍛造して図10に示すような第1荒地材3を製造する。この第1荒地材3は、軸部31と、軸部31の一端部に設けられ二股U字状をなすヨーク部32と、ヨーク部32の股部に軸方向に形成された浅孔33とを備えている。 【0003】そして、次に、図11に示す工程でその第1荒地材3を鍛造して、図12に示すような第2荒地材4を得る。この工程においては、図11に示すように、熱間状態の第1荒地材3の軸部31を鍛造型のキャビティに挿入した状態でヨーク部を仕上成形すると共に、浅孔33内にポンチ型C3Pを押入し、これにより浅孔33を深く変形させると共に、軸部31を押入れ方向(図11の矢印方向)に伸長させる。この工程により、図12に示すような深孔43をもつ伸長軸部41を備えた第2荒地材4を得る。そしてその後、ヨーク部外周のバリを除去すると共に、上記深孔43を上気伸長軸部41の端部付近において貫通させることによりスリーブヨークを製造する。 【0004】しかし、この鍛造方法では、浅孔33内にポンチ型C3Pを押入し、軸部31を引張って伸長させる際に、鍛造条件によっては、引張り力により軸部31にくびれやちぎれが発生することがあった。そのため伸長軸部41の鍛流線も破断する問題があり、スリーブヨークの強度確保上不利であった。 【0005】更に、従来の鍛造方法では、ポンチ型C3Pを浅孔33内に挿入する際に、浅孔33、軸部31の芯ズレがあると、深穴成形時に偏肉が助長されると共に、ポンチ型C3Pに曲げの力がかかり、ポンチ型C3Pが折れるという問題があった。よってこの鍛造方法においては、伸長軸部41の偏肉及びポンチ型の折れを少なくしようとすると深孔43の深さに限界があり、伸長軸部41の長さが長くなると、図12に示すように深孔43の反対側にも逆孔44を設ける必要があった。 【0006】(2)後方押し出し成形により軸部を伸長する鍛造方法上記の問題を解決した鍛造方法として、特開平2−187230号公報に示すような鍛造方法がある。即ち、ポンチ型C3Pにより浅孔33を深く変形させると同時に軸部31を伸長させる工程において、図13に示すように、第1荒地材3のヨーク部32を非拘束状態とし、下型C3Lのキャビティ(凹部)により軸部31の端部31bを拘束状態として、ポンチ型C3Pを浅孔33内に押し入れると同時に、軸部31の素材を下型のキャビティの開口方向(ポンチ型C3Pの押入方向と反対の方向、図13の矢印方向)へ後方押出しする鍛造方法である。 【0007】本鍛造方法によれば、軸部31の素材は下型C3Lのキャビティの底部から開口に向かって押し出され、これにより軸部31の伸長が達成される。このため、本方法においては、伸長軸部41のちぎれ、偏肉の問題は発生しない。そして、浅孔33を深く変形させ軸部31を伸長した後、図14に示すように、第2荒地材4を仕上げ鍛造する点は、上記の前方押し出し成形による鍛造方法と同様である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】第2荒地材4を仕上げ鍛造する工程において使用する仕上上型は、図14に示すように、ヨーク部等を仕上げ成形する仕上上型C5Uと、深孔43の変形を防止し深孔43内を仕上げ成形する仕上ポンチ部C5Pとからなる。そして、通常、図14に示すように、仕上ポンチ部C5Pは仕上上型C5Uに固定され、挿入時は深孔43の底部に達している。 【0009】しかし、この仕上ポンチ部C5Pは、仕上げ鍛造時に、深孔43の底部からの反力である圧縮力や、深孔43の側部からの反力である曲げ力を受けることとなる。このため、仕上ポンチ部C4Pが仕上上型C5Uから突出している基部に応力が集中することとなり、仕上ポンチ部C5P及び仕上上型C5Uの寿命が短くなっている。 【0010】また、最近、伝達トルクの向上のために製品(スリーブヨーク)の伸長軸部41の長さが長くなってきており、その分、仕上ポンチ型C5Pの長さも長くなっている。このため、一層、曲げ・圧縮により仕上ポンチ型C5Pや仕上上型C5Uが受ける応力が大きくなっており、その結果、割れや折損が多くなっている。 【0011】更に、仕上ポンチ部C5Pの長さの長さが長いと、第2荒地材4の設置及び仕上鍛造後の仕上鍛造材5の取り出しをするための仕上ポンチ部C5Pと仕上下型C5L間の隙間が小さくなり、上記設置及び仕上鍛造材5の取り出しがしにくくなる。また一方で、仕上ポンチ部C5Pを仕上鍛造材5の深孔53から引き抜き、仕上鍛造材5と干渉しない十分な間隔を空けて持ち上げられるだけの、大きな隙間をつくることができるストロークの長い鍛造機(いわゆる、ロングストロークタイプのプレス)が必要とされることとなる。このため、汎用の鍛造機を用いることができなくなってしまう。また、第2荒地材4の深孔43内に挿入された仕上ポンチ部C5Pが長いため、仕上鍛造後に仕上ポンチ部C5Pが深孔53内に張りついてしまい、型抜きができずに製造作業の一時的中断(いわゆる「チョコ停」)が頻発することにもなる。 【0012】本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、その目的は、仕上げ鍛造の際に用いる上型の寿命を長くし、同時に仕上げ鍛造の際の必要ストロークを短くでき、更に製造の一時的中断を減らすことができる、中空軸を有する鍛造品の製造方法を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、中空軸を有する鍛造品の製造方法であって、以下のような工程を有することを特徴とするものである。まず、第1荒地材製造工程において、軸部と、該軸部の一端に設けられたヨーク部と、該ヨーク部の股部に軸方向に設けられる浅孔とを備えた第1荒地材を得る。この工程において、該ヨーク部の形成時に該ヨーク部の形状を製品形状にまで加工する。ここで、「軸方向」とは、軸部の長手方向のことである。「製品形状にまで加工する」とは、仕上工程で加工される角部のアールやフラッシュアール等を除いて概略、形状を仕上形状にまで加工することである。 【0014】その後、第2荒地材製造工程において、上記第1荒地材の該軸部を荒地下型に設けられた荒地凹部に挿入することにより該軸部の先端及び側外周を略拘束状態とし、該第1荒地材の該ヨーク部を非拘束状態とすると共に、該浅孔にポンチ型を軸方向に押入することにより、該浅孔を深く変形させ、同時に、該軸部の素材を該荒地凹部の開口方向に後方押出して、該軸部を伸長して、該第1荒地材の浅孔を有する軸部を深孔を有する伸長軸部とすることにより、深孔を有する伸長軸部を備えた第2荒地材を得る。 【0015】次いで、仕上鍛造工程において、該第2荒地材の該伸長軸部を仕上下型に設けられた仕上凹部に挿入することにより該伸長軸部の先端及び側外周を略拘束状態とし、該伸長軸部の該深孔の内壁を略拘束状態とする断面形状を有し且つ該深孔の底部に達しない長さを有する仕上ポンチを該深孔に挿入しつつ、仕上上型及び仕上下型により該ヨーク部を仕上げ加工して、中空軸を有する仕上鍛造品を得る。 【0016】また、請求項2記載の発明は、上記第1荒地材製造工程と、上記第2荒地材製造工程と、仕上鍛造工程と、を備え、更に、該仕上鍛造工程の後に上記深孔を上記伸長軸部の端部において貫通させる軸孔貫通工程とを備えることを特徴とする中空軸を有する鍛造品の製造方法である。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる鍛造品の製造方法をスリーブヨークに適用した一実施例について図1〜図9を参照して説明する。 (1)中間材の製造まず、図4に示す直径約60mm、長さ約80mmの丸棒材1を用い、その丸棒材1をすえこみ鍛造して図5に示す軸部21と大径頭部22とからなる中間材2を得る。この工程は、従来と同様、軸部前方押出成形であり、ヨーク部と軸部のボリューム配分を行うものである。尚、丸棒材1の材質は、例えば炭素鋼、合金鋼等である。しかし、本発明の加工対象の材質は適宜選択でき、鍛造可能なものであればよい。 【0018】(2)第1荒地材の製造次に、中間材2を熱間状態で荒地鍛造し、図6に示すような第1荒地材3を得る。第1荒地材3は、軸部31と、軸部31の端部31aに設けられ二股U字状をなす厚肉状のヨーク部32と、ヨーク部32の股部に軸方向に形成された浅孔33とを備えている。尚、第1荒地材3の浅孔33は、第2荒地材製造工程におけるポンチ型D3Pの挿入を案内する役目がある。また、この浅孔33の孔深さは、第2荒地材製造工程の後方押出しの際に下型D3Lの上面よりも深く成形するように設定する。 【0019】この工程においては、ヨーク部32の形成時にヨーク部32の形状を、角部のアールやフラッシュアール等を除いて概略、形状を仕上形状にまで加工しておく。即ち、従来はこの工程において軸部の浅孔あけとヨーク部の荒成形を行っていたものであるが、本実施例においては、従来と同様の浅孔33あけと、ヨーク部32の概略仕上形状にまで成形を行うものである。 【0020】この工程で、ヨーク部32の形状を、概略、形状を仕上形状にまで加工しているため、後述する仕上鍛造工程においては、第2荒地材を大きく変形させることなく仕上げ加工をすることができる。ここで、本実施例では、軸部31の他端部31bの端面からヨーク部32の中間位置までの寸法L1は125.6mm前後(124mm〜127mm)であり、ヨーク部32の幅寸法L2は76mm前後(74mm〜78mm)である。 【0021】(3)第2ヨーク荒地材の製造(第2荒地材製造工程) 次に、第2荒地材製造工程では、図1及び2に示すように、第1荒地材3の軸部31を下型D3LのキャビティD3L1内に挿入して、粗形材3の軸部31の端部31bの端面を下型D3Lの底型面D3Laに接触させて拘束する。この時、軸部31の側外周面31dは下型D3Lの側型面D3Lbに所定のクリアランスを介して対面している。 【0022】そして、第1荒地材3のヨーク部32は、図1に示すように、いずれの型面にも接触しておらず非拘束状態である。この工程における下型D3Lが、特許請求の範囲記載の「荒地下型」に相当するものであり、キャビティD3L1が、「荒地凹部」に相当するものである。 【0023】その状態で、プレス装置を作動させて、熱間状態の第1荒地材3の浅孔33内に、ポンチ型D3Pを浅孔33の深さ方向に強制的に押入する。この結果、浅孔33を囲む軸部31の側外周面31dが押し出され、下型D3Lの側型面D3Lbに圧接すると共に、浅孔33が深く変形される。 【0024】更に、ポンチ型D3Pを囲む軸部31の素材がキャビティD3L1内でポンチ型D3Pの押入方向と反対の方向、つまり図2に示す矢印方向へ後方押出される。この場合、軸部31の他端部31bの端面が下型D3Lの底型面D3Laに拘束されているので、ポンチ型D3Pの押し込み量は、軸部31がポンチ型D3Pの押入方向と反対の方向へ後方押出される後方押出量にほぼ相当する。この工程におけるポンチ型D3Pが、特許請求の範囲記載の「ポンチ型」に相当する。 【0025】その結果、図2に示すように、軸部31は長さ方向に伸長してポンチ型D3Pの外面を外側から囲むようになり、この結果図7に示すような深孔43をもつ伸長軸部41を備えた第2荒地材4が得られる。尚、図7に示す第2荒地材4において、伸長軸部41の端部41bの端面とヨーク部42の中間位置までの寸法L4は145.1mm前後(144mm〜147mm)であり、ヨーク部42の幅寸法L5は76mm前後(74mm〜78mm)である。 【0026】この工程では、第1荒地材3のヨーク部32を非拘束状態としつつポンチ型D3Pを浅孔33内に押入して、軸部31の素材を後方押出しする方式を採用しているため、軸部31には引張り力が作用せず、従って、伸長軸部41を形成する際にくびれやちぎれが発生することを回避できる。更に、伸長軸部41の鍛流線は、軸方向に一様に流れるため製品強度も向上する。 【0027】またこの工程では、ポンチ型D3Pを浅孔33内に押入して軸部31の素材を後方押出しする際に、ヨーク部32を非拘束状態とする方式を採用しているために、後方押出し部分は後方へ逃げることができ、後方押出し現象を効果的に行うことができる。従って、後方押出しの際にポンチ型D3Pに過剰な荷重が作用することを回避でき、後方押出しの際のポンチ型D3Pの偏心を軽減又は回避できる。このため、第2荒地材4の伸長軸部41の偏肉の抑制に有利である。 【0028】尚、図9にポンチ型D3Pの側面図を示す。図9に示すようにポンチ型D3Pはつば部D3P1と大径部D3P2と円錐部D3P3と棒部D3P4とで形成されている。棒部D3P4の先端部には、棒部D3P4の胴部D3P4aの端部から突出した膨出部D3P4bが形成されている。また、膨出部D3P4bは第2荒地材鍛造時における第2荒地材への張り付き及び焼き付きを防止するため、棒部D3P4より外径を小さく設定している。 【0029】(4)仕上鍛造工程上記のような第2荒地材製造工程を終了後、図3に示すような仕上鍛造工程を行う。仕上鍛造工程では、図3に示すように、仕上下型D5LのキャビティD5L1内に第2荒地材4の伸長軸部41を挿入し、その端部41bを仕上下型D5Lの底型面D5Lbで拘束する。そして、その状態で、仕上上型D5Uを仕上下型D5Lに近づけて、第2荒地材4のヨーク部42を、ヨーク上型面D5Ua及びヨーク下型面D5Laで拘束すると共に、深孔53内に仕上ポンチ型D5Pを挿入する。その際、仕上ポンチ型D5Pの先端D5Paは、深孔53の底部に達していないものである。 【0030】本工程により、第2荒地材4のヨーク部42及び伸長軸部41を仕上鍛造し、以てヨーク部42及び伸長軸部41の寸法を所定値に調整して、ヨーク部52及び伸長伸部51の仕上鍛造材5に成形する。即ち、本工程においてはコイニングによるヨーク部成形と軸部のサイジングを行うものである。本工程が特許請求の範囲記載の「仕上鍛造工程」に相当するものである。そして、この工程における仕上下型D5Lが、特許請求の範囲記載の「仕上下型」に相当するものであり、キャビティD5L1が「仕上凹部」に相当するものである。また、仕上鍛造上型D5Uが「仕上上型」に、仕上ポンチ型D5Pが「仕上ポンチ」に、それぞれ相当するものである。 【0031】本実施例の鍛造工程においては、第1荒地材3のヨーク部を形成した製造工程で、ヨーク部の形状はほぼ仕上状態にまで成形されている。このため、本仕上げ工程においては、角部のアールやフラッシュアール等の仕上げ加工のみ行えばよく、仕上げ加工において第2荒地材4は大きく変形加工されることがない。よって、仕上げ加工の際に、第2荒地材4の深孔53の先端近辺にまで加工による変形が及ぶことがなく、仕上ポンチ型D5Pで深孔53の内面を先端(底部)まで拘束する必要がないものである。このような理由から、仕上ポンチ型D5Pは、その先端が深孔53の底部に達していなくとも、その目的を十分達成するものである。 【0032】本工程においては、仕上ポンチ型D5Pの先端D5Paは、深孔53の底部に達していないものであるため、仕上ポンチ型D5Pは、型打ちの際に底部からの反力を直接受けず、先端からの圧縮力を受けることがない。また、先端が深孔53の底部に達している場合に比べてその長さが短いため、曲げ応力や押し込みの際の圧縮応力もより受けにくいものである。更に、深孔53内に押し入れられる仕上ポンチ型D5Pの長さが短いため、仕上ポンチ型D5Pが深孔53に張りついてしまう可能性も解消することができる。 【0033】尚、仕上ポンチ型D4Pの長さは、本実施例においては、孔深さから25mm短い長さとしたが、仕上ポンチ型D5Pの長さは、深孔53の底部に達していない程度であればよく、深孔53内の変形を防止することができるものであれば更に短いものであってもよい。また、製品の形状が加工の難しいものであれば、本工程においてもある程度の変形加工を施すものとして、仕上ポンチ型D4Pの長さを、深孔43の底部に近づけることで解決できる。 【0034】(5)その後の加工工程仕上げ工程を経た後、図3に示す仕上鍛造材5の伸長軸部51の端部51bに、軸孔が深孔53と連通させて形成される。そして、図8に示すように、その後機械加工によりスプラインが深孔63の周縁部に形成され、ヨーク部62及び伸長軸部61を有する成形品6となる。 【0035】(6)本実施例の鍛造工程の効果以上説明したように本実施例の鍛造方法では、第2荒地材4の深孔43内に押入する際に先端が深孔43の底部に達しない仕上ポンチ型D5Pを採用しているため、従来のように仕上ポンチ型D5Pには先端から強い圧縮力が作用することがない。また、仕上ポンチ型D5Pの長さが短いため、深孔43に押し入れる際に仕上ポンチ型D5Pに作用する圧縮力、曲げ力等を低くすることができる。このため、仕上げ上型D5Uから仕上ポンチ型D5Pが突出している部分(仕上上型D5U、仕上ポンチ型D5Pそれぞれの部分)に作用する応力等も低くすることができる。 【0036】よって、仕上ポンチ型D5Pの折れや仕上上型D5Uの割れを低減することができ、仕上ポンチ型D5P及び仕上上型D5Uの寿命を長くすることができる。具体的には、従来2000回の製造で仕上ポンチ型D5P及び仕上上型D5Uを交換していたものが、6000回以上使用できるようになった。 【0037】また、仕上ポンチ型D5Pが短いことから、型打ち荷重が小さく且つ接触面積も小さくなるため、深孔53に押し込んだ仕上ポンチD5Pが深孔53部分が張りつくことがなくなる。よって、仕上ポンチD5Pに深孔53部分が張りつくことによる作業の一時的中断(いわゆる「チョコ停」)を解消することができる。 【0038】更に、本実施例の鍛造方法では、仕上ポンチ型D5Pが短いため、仕上ポンチ型D5Pに邪魔されることなく、容易に第2荒地材4を仕上下型D5LのキャビティD5L1に設置することができ、加工後も容易に取り出すことができる。即ち、本実施例のような鍛造工程においては、ワーク(製造物)は後工程になるほど長く(高く)なるものである。よって、最終工程(仕上鍛造工程)においてワークと向かい合う仕上ポンチ型の長さを短くし、両者の隙間を大きくすることで、より大きなワークを設置・取り出しすることができるようになり、鍛造工程全体の製造可能範囲(ワークのサイズ)を広げることができるものである。 【0039】更に、鍛造工程においては軸部及び伸長軸部の孔は貫通しておらず、鍛造工程の後に伸長軸部の深孔を貫通させることとしているため、後方押し出し成形による軸部の伸長が可能となっている。よって、軸部の伸長に際して後方押し出し成形を行うことにより、くびれやちぎれが生ずることなく軸部の伸長が可能である。尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。上記した実施例ではスリーブヨークに適用した場合であるが、これに限らずステアリングヨーク等の中空軸を有する鍛造品の製造に適用してもよいことは勿論である。 【0040】 【発明の効果】本発明に係る中空軸を有する鍛造品の製造方法によれば、予めヨーク部の形状を仕上形状にまで加工しておき、仕上鍛造工程においては、深孔の底部にまで達しない仕上ポンチを用いるため、仕上ポンチに強い圧縮力、曲げ力が作用せず、仕上ポンチ及び仕上上型の寿命を長くすることができる。また、仕上ポンチが短いことから、深孔に押し込んだ仕上ポンチに深孔の部分が張りつくことがなく、作業の一時的中断(いわゆるチョコ停)を解消することができる。 【0041】そして、仕上ポンチが短いため、容易に第2荒地材を仕上下型の仕上凹部に設置することができ、加工後も容易に取り出すことができる。また、仕上ポンチが短いため、鍛造機における第2荒地材の仕上金型への設置及び仕上鍛造後の仕上鍛造品の取り出しに必要なストロークを短くすることができ、従来汎用の鍛造機では製造が困難であった伸長軸部の長い鍛造品も、汎用の鍛造機で製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000116655 【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月11日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小島 清路
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| 【公開番号】 |
特開平11−5137 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−171054 |
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