| 【発明の名称】 |
制動用真直ばね線材 |
| 【発明者】 |
【氏名】原田 秀則
【氏名】岡田 洋一
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| 【要約】 |
【課題】安定したばね性と表面滑り性を有するとともに、優れた耐磨耗性とそりのない真直性を備えた制動用ばね線材を提供する。
【解決手段】ばね性を有する金属心線2の外周に固形潤滑剤4を添加した樹脂層3を被覆して潤滑剤添加樹脂被覆ばね線材5を形成し、この潤滑剤添加樹脂被覆ばね線材5に直線矯正加工を施し、制動用真直ばね線材1とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ばね性を有する金属心線外周に、固形潤滑剤を分散添加した樹脂を被覆し、前記樹脂被覆したばね線材に直線矯正を施したことを特徴とする制動用真直ばね線材。 【請求項2】 前記樹脂がナイロン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の制動用真直ばね線材。 【請求項3】 前記固形潤滑剤が二硫化モリブデンであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の制動用真直ばね線材。 【請求項4】 真直度が曲率半径で300mm以上であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の制動用真直ばね線材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子部品あるいは光学部品等の制動用ばね材、例えば音響記録デスクの制動用ばね材として用いられる制動用真直ばね線材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】制動用ばね材は、例えば音響機器のコンパクトデスクの回転を安定化するための制動用材のひとつとして使用される。図4はコンパクトデスクの回転部の概略説明図で、図に沿いその機能を説明する。コンパクトデスク20はモータ21の回転シャフト22を軸にして回転するが、コンパクトデスク20の回転を安定した速度で維持するには、モータ21の回転トルクにバランスさせるため回転シャフト22に常に一定の負荷を加えておくことが必要である。近時、この回転シャフト22の負荷手段として、ばね性を有する金属線材が用いられるようになった。制動用ばね線材Wは、回転シャフト22の側面を常に一定の力で押圧しながら回転シャフト22を円滑に回転させるよう配置される。このため、制動用ばね線材Wには、回転シャフト22を常に一定の力で押圧するための安定したばね性と回転シャフト22を円滑に回転させるための良好な表面滑り性を有することが必須要件であり、更に回転シャフト22との長時間の摺動に耐える耐磨耗性が求められる。 【0003】従来、かかる制動用ばね線材Wとして、ピアノ線、高炭素鋼線或いはステンレス線などのばね性を有する金属裸線材がそのまま使用されていたが、表面滑り性に難点があった。そこで本発明者らは、図5に図示する如く、前記ばね性を有する金属心線31の外周に滑性に優れるふっ素系樹脂層32を被覆して線材表面の滑り性を高めた樹脂被覆制動用ばね線材33を提案し実用に供した。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の樹脂被覆した制動用ばね線材33は、安定したばね性と表面滑り性を有するものであったが、次のような問題点があった。その1は、樹脂被覆ばね線材33がモータの回転シャフトとの長時間にわたる接触摺動により樹脂被覆層32が磨耗し遂には金属心線31が露出し、回転シャフト22を押圧する力がほとんどなくなり制動力が失われてしまうことであった。また、その2は、金属心線31には製造工程で蓄積された加工歪みが内在しているため、図2(b)に示すように、樹脂被覆ばね線材33を所要長に切断したときに線材33に円弧状のそりを生じ、しかもこの円弧状のそりの高さhにはばらつきがあった。このため、所要長に切断した樹脂被覆ばね線材33を制動用線材として機器に組み込んだ際に、線材33のそり高さhのばらつきにより、機器毎に回転シャフトの押圧力にばらつきを生じ、所望の負荷力を安定して得られないという不具合が発生していた。 【0005】そこで本発明の目的は、安定したばね性と表面滑り性を有するとともに、優れた耐磨耗性とそりのない真直性を備えた制動用ばね線材を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の制動用真直ばね線材は、金属ばね心線外周に固形潤滑剤を分散添加した樹脂を被覆し、この樹脂被覆した金属ばね線材に直線矯正を施したことを構成上の特徴とするものである。 【0007】 【作用】本発明の制動用真直ばね線材では、金属ばね心線外周に固形潤滑剤を分散添加した樹脂被覆層を設けているので、この潤滑剤添加樹脂被覆層により線材の動摩擦係数が低減し、結果として樹脂被覆層は長時間にわたる回転シャフトとの接触摺動によっても磨耗することが少なくなり安定した制動力を長時間維持することができるようになる。また、樹脂被覆ばね線材には直線矯正加工が施されているので、金属ばね心線の内部に蓄積された加工歪みは除去され、図2(a)に図示するように、そりのない真直性に優れた樹脂被覆ばね線材が形成される。従って、制動用線材として機器に組み込んだ際にも、回転シャフトを押圧する力は全ての機器で一定し、安定した制動機能を発揮し品質の安定化を図ることができる。 【0008】また、上記制動用真直ばね線材において、被覆層を形成する樹脂にはナイロン樹脂を用いることが望ましい。これはナイロン樹脂が樹脂単体でも滑り性、耐磨耗性に優れていることによる。また、押出成形加工の容易さからナイロン6或いはナイロン6−6等のナイロン樹脂が挙げられる。 【0009】また、上記制動用真直ばね線材において、樹脂被覆層に添加する固形潤滑剤は二硫化モリブデンが望ましい。これは二硫化モリブデンが潤滑剤としての特性に優れているうえ、樹脂特にナイロン樹脂中への均一分散性に優れ、また潤滑剤として添加した場合にも樹脂の押出成形性を損なうことがないことによる。 【0010】また、上記制動用真直ばね線材において、制動用真直ばね線材の真直度は曲率半径で300mm以上であることが望ましい。曲率半径300mm未満の真直度の制動用真直ばね線材では、所要長に切断した際に生ずる制動用真直ばね線材のそりの解消が不十分であることによる。 【0011】 【実施例】以下、本発明の実施例を図1により更に詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。 【0012】図1は、本発明の制動用真直ばね線材の断面図である。制動用真直ばね線材1は、ばね性を有する金属心線2の外周に固形潤滑剤4を添加した樹脂層3を被覆した樹脂被覆金属ばね線材5に直線矯正加工を施して形成される。 【0013】制動用真直ばね線材1の直線矯正加工は、図3に示すような通常の機械式矯正機10に潤滑剤添加樹脂被覆ばね線材5を通して行われる。矯正機10は、線材5の通過方向に直列に配置した円筒かご形の矯正ヘッド11aおよび11bのそれぞれの中に複数個のダイス12がダイス中心をそれぞれずらすようにしてベアリング13を介して支持棒14の間に回転可能に保持配列され、矯正ヘッド11aおよび11bを線材5の通過方向に直列に配置し、互いに反対方向に回転するよう構成されて成る。線材5は、互いに反対方向に回転する矯正ヘッド11aおよび11b内の複数個のダイス12を通過することにより直線矯正され、制動用真直ばね線材1が形成される。 【0014】制動用真直ばね線材1の製造例を次に記す。金属ばね心線2には外径0.18mmのSUS304ステンレス線を用い、この金属ばね心線2の外周に潤滑剤4として二硫化モリブデンを4.5wt%添加したナイロン6樹脂を0.12mmの厚さに押出成形して樹脂被覆層3を形成し潤滑剤添加樹脂被覆ばね線材5を得た。次に、この潤滑剤添加樹脂被覆ばね線材5に上記の直線矯正機10により直線矯正加工を施し、曲率半径4000mmの真直度を有する制動用真直ばね線材1を得た。この制動用真直ばね線材1を制動用材長の11.4mmに切断したところ、図2(a)に図示するように、そりの発生は見られなかった。なお、本製造例では金属ばね心線2に丸線を用いているが、金属ばね心線2に平角線を用いてもよいことは勿論である。 【0015】上記製造例の制動用真直ばね線材1について、動摩擦係数、初期制動力および長期制動力の各性能の評価結果を次に記す。なお比較のため、従来例として上記製造例の制動用真直ばね線材1と同一の材質構造の金属ばね心線の外周に四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体樹脂を0.22mmの厚さに被覆した樹脂被覆金属ばね線材について各性能の評価結果を併記する。 【0016】 【表1】
(注)初期制動力の測定方法:線材長11.4mmに切断した製造例および従 来例試料を、線材の中央部のたわみを0.65mmに設定してコンパク トデスクの回転軸に押しつけたときの押圧力を測定し、これを初期制動 力とした。なお、試料数は製造例、従来例とも20本とした。 長期制動力試験方法:上記初期制動力試験の状態に保った試料に対しコ ンパクトデスクの回転軸を所定回転数で5000時間連続回転させた後 、回転軸に対する押圧力を測定し、評価した。 【0017】上記表1の性能評価結果から明らかなように、本発明の制動用真直ばね線材1は初期制動力のばらつきが少なく、動摩擦係数が減少し、長時間の連続摺動によっても制動力に低下を生じないことがわかる。 【0018】 【発明の効果】本発明の制動用真直ばね線材は、線材表面の摩擦係数が減少して線材の滑り性が向上したことにより、長時間の連続摺動によっても線材表面の磨耗が少なくなり、長期間にわたり制動力に低下をもたらすことなく安定して使用することができる。また、本発明の制動用真直ばね線材は、真直性に優れるので制動材としてばらつきのない安定した制動力が得られる。この結果、本制動用真直ばね線材を使用する機器の品質水準、生産性の向上を図ることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003414 【氏名又は名称】東京特殊電線株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月31日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−285759 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−105738 |
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