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【発明の名称】 パンチプレス機
【発明者】 【氏名】相澤 秀人

【要約】 【課題】加工中に工具の段取りが行えて、稼働率の向上が図れるようにする。また、一度に複数の工具交換を可能とし、交換回数の減少、加工効率の向上を図る。

【解決手段】プレス機本体2と、複数の工具マガジン3aを直線的に並べて配置した工具マガジン群3と、工具交換装置4とを備える。工具交換装置4は、プレス機本体2と工具マガジン群3との間に工具マガジン3aの並び方向に沿って移動可能に設けられ、プレス機本体2の工具交換位置と各工具マガジン3aの工具交換位置に停止可能なものである。パンチ工具5およびダイ工具6は、カートリッジ7,8に複数支持される。工具交換装置4および工具マガジン群3は、各々カートリッジ7,8ごと工具5,6を交換および収納する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プレス機本体と、複数の工具マガジンを固定配置した工具マガジン群と、前記プレス機本体と前記工具マガジン群との間に、固定配置された工具マガジン群に沿って移動可能に設けられ、プレス機本体の工具交換位置と各工具マガジンの工具交換位置に停止可能な工具交換装置とを備えたパンチプレス機。
【請求項2】 前記工具は、カートリッジに複数支持され、前記工具交換装置および工具マガジン群は、各々前記カートリッジごと工具を交換および収納する請求項1記載のパンチプレス機。
【請求項3】 前記工具交換装置は、カートリッジを保持するカートリッジホルダを少なくとも二つ有しており、工具マガジンからカートリッジを一つのカートリッジホルダに取り出し、他の一つのカートリッジホルダに、プレス機本体の工具交換位置に位置するカートリッジを取り出し、前記一つのカートリッジホルダに装着されているカートリッジをプレス機本体に供給する請求項2記載のパンチプレス機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プレス機本体に対して、工具マガジンに収納された工具を工具交換装置で交換使用して加工を行うパンチプレス機に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】パンチプレス機では、位置固定のパンチ位置でパンチ工具とダイ工具とによる打ち抜き加工を行うようにし、ワークを直交する2軸方向に送ってパンチ位置に位置決めする方式が一般的である。しかし、このように板材からなるワークを2軸方向に送るようにすると、機械設置スペースが大きくなり、またワークの前後,左右のいずれの送り時にもワークテーブル上面あるいはその上面に設けられたフリーベアリング等と擦れ合うことになるため、ワーク表面に擦り傷を発生し易い。
【0003】これを改善するため、ワークを一軸方向のみに移動させ、これと直交する方向の位置決めは工具の移動で行うようにしたものが提案されている。この種のパンチプレス機では、パンチ位置を移動させる必要から、工具の支持体として、従来の一般的なタレットは使用されず、例えば、パンチ工具およびダイ工具を、プレス機本体の後方に設置された多段の周回経路からなるタワー状の工具マガジンに多数収納しておき、工具交換装置で工具マガジンの任意の工具をパンチ位置に取り出すようにしている。
【0004】しかし、この種の周回経路状あるいはタワー状の工具マガジンは、多数の工具保持体が連なった連結体を移動させて工具交換を行うように構成されているため、一枚のワークの加工中においても、工具交換時に工具保持体が移動することになる。そのため、加工中に、工具マガジンに対する工具種類の交換や古い工具の新品工具への交換等の段取り替え作業を行うことができず、加工を止めて段取り替えをすることが必要となり、稼働率が低下する。
【0005】この発明は、上記課題を解消するものであり、加工中に工具の段取りが行えて、稼働率の向上が図れるパンチプレス機を提供することを目的とする。この発明の他の目的は、一度に複数の工具交換を可能とし、交換回数の減少、加工効率の向上を図ることである。この発明のさらに他の目的は、工具交換時間の短縮を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のパンチプレス機は、プレス機本体と、複数の工具マガジンを固定配置した工具マガジン群と、工具交換装置とを備えたものである。複数の工具マガジンは、直線的に並べて配置しても、他の種々の配列としても良い。工具交換装置は、前記プレス機本体と前記工具マガジン群との間に、固定配置された工具マガジン群に沿って移動可能に設けられ、プレス機本体の工具交換位置と各工具マガジンの工具交換位置に停止可能なものである。この構成によると、工具交換装置は、工具マガジン群の任意の工具マガジンの工具交換位置で工具を受取り、プレス機本体の工具交換位置にその工具を渡す。また、この逆の動作を行う。このようにして、工具交換装置で工具マガジンから任意に取り出された工具によりパンチ加工が行われる。この場合に、工具交換装置が移動し、工具マガジンは移動しないため、他の工具マガジンでの段取りが可能となり、工具交換を行いながら加工する場合も、加工中に段取りを行うことができる。また、工具交換装置は、工具マガジン群に沿って移動するため、工具マガジンに対する工具の交換が容易であり、工具交換装置の配置の邪魔となることなく、工具マガジン群の外側に、例えば、人による段取りの作業場所を形成することができる。特に、工具マガジンを直線的に並べた場合は、工具交換装置の構成を一層簡単なものとでき、また工具マガジン群の各工具マガジンの外側に、人などによる段取り用の作業場所を得ることが一層容易となり、これによっても段取り替えが容易になる。工具マガジンは、一つの工具を個別に収納するものであっても、複数の工具をその保持体等と共に収納するものであっても良い。
【0007】上記構成において、前記工具は、保持体であるカートリッジに複数支持され、工具交換装置および工具マガジン群は、各々カートリッジごと工具を交換および収納するものとしても良い。このように、カートリッジで複数の工具を支持し、カートリッジごと交換するようにすることにより、一度に複数の工具交換が可能となる。そのため、工具交換の回数を減らすことができ、特に、一枚のワークの加工中における工具交換を不要とし、あるいは減らすことができ、これにより加工の効率化が図れる。また、この構成において、前記工具交換装置は、カートリッジを保持するカートリッジホルダを少なくとも二つ有しており、工具マガジンからカートリッジを一つのカートリッジホルダに取り出し、他の一つのカートリッジホルダに、プレス機本体の工具交換位置に位置するカートリッジを取り出し、前記一つのカートリッジホルダに装着されているカートリッジをプレス機本体に供給するものとしても良い。このように、工具交換装置にカートリッジホルダを少なくとも二つ設け、上記の取り出しおよび供給動作を行わせることで、工具交換装置の少ない移動量で工具交換が行え、1個のカートリッジホルダで工具交換を行う場合に比べて、交換時間が短縮される。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図面と共に説明する。まず、全体の概略を説明する。このパンチプレス機1は、プレス機本体2と、工具マガジン群3と、工具交換装置4とで構成される。パンチ工具5およびダイ工具6は、各々複数ずつ上下のカートリッジ7,8に設置され、これらカートリッジ7,8ごと、プレス機本体2と工具マガジン群3の間で工具交換装置4により交換される。プレス機本体2は、フレーム9の両側に延びるワークテーブル10上で板材のワークWをワーク移動手段11により一軸方向(横方向X)に移動させ、これと直交する方向(前後方向Y)に、パンチ工具5およびダイ工具6をカートリッジ移動手段12により移動させて位置決めし、可動のプレスヘッド13によりパンチ工具5を昇降させてパンチ加工を行うものである。カートリッジ移動手段12は工具移動手段となるものである。工具マガジン群3は、個々のカートリッジ7,8を収納する工具マガジン3aを固定配置したものであり、ワークテーブル10と平行に、かつワークテーブル10と略同じ長さ範囲にわたり、一列に直線状に設けられている。また、工具マガジン群3は、支持脚15(図2(B))で所定の高さに設置されている。工具交換装置4は、台車19にカートリッジ7,8を載せてカートリッジ7,8ごと工具交換を行うものであり、台車19は、ワークテーブル10と工具マガジン群3との間に設置されたレール20上を走行する。
【0009】プレス機本体2のフレーム9は、図2(C)に示すように、側面形状がロ字状に設けられて前後に延びる形状をしており、上フレーム部9aと、下フレーム部9bと、前後端のコラム部9c,9dとで構成される。上下のフレーム部9a,9b間の開口部分21の前部に対応してワークテーブル10が配置され、前記開口部分21の後部に対応して工具交換装置4が設けられる。また、フレーム9の上フレーム部9aに、前記カートリッジ移動手段12と、プレスヘッド13を前後に移動させるプレスヘッド移動手段22とが設置されている。
【0010】つぎに、各部の詳細を説明する。ワーク移動手段11(図1)は、ワークテーブル10上のワークWの前縁を把持する複数のワークホルダ16を有し、これらワークホルダ16を取付けたスライド部材(図示せず)を、サーボモータおよび送りねじからなる送り機構(図示せず)で横方向Xに進退させるものである。前記送り機構およびスライド部材は、ワークテーブル10の前縁に沿って設けたカバー17内に収納されている。ワークテーブル10は、横方向Xに長く延びる矩形のものであり、図2(B),(C)のようにフレーム9の両側面から突出するブラケット14により支持されると共に、床面に接地する支持脚(図示せず)で両端が支持されている。ワークテーブル10の上面には、ワークWの移動時に転がり接触で支持可能なように、前後方向Yに延びる多数の回転自在なローラ(図示せず)を全体に分布して配置すると共に、それらローラ間にブラシ(図示せず)を配置し、ワークWが送り時に裏面に擦り傷を生じることを防止している。
【0011】上側のカートリッジ7は、図4(A),(B)に各種の具体例を示すように、前後(Y方向)に長い矩形に形成されたものであり、各種のパンチ工具5が、前後方向Yに並んで複数列(この例では3列)に設置されている。各パンチ工具5は、カートリッジ7に設けられたガイド孔に昇降自在に設置され、かつばね部材等の上昇復帰手段(図示せず)により、上昇端に保持されている。同図中に各パンチ工具 に付した符号B,C,…は、工具種類を示す。このうち、符号1/Tで示すパンチ工具5は、工具中心回りに回転角度を可変とした回転割出工具である。図1の下側のカートリッジ8は、上側のカートリッジ7と対として設けられるものであり、上側カートリッジ7の各パンチ工具5と対応して、複数のダイ工具6が各々設置される。
【0012】プレスヘッド13(図1)は、カートリッジ移動手段12で前後に位置決めされる上側カートリッジ7の任意のパンチ工具5をパンチ駆動するものであり、プレスヘッド移動手段22により全体が前後方向Yに移動可能なように、上フレーム部9aに設置されている。また、プレスヘッド13は、図5に模式図で示すように、パンチ駆動部23と、ラムセレクタ24とを備え、上カートリッジ7の任意の列のパンチ工具5を駆動可能とされている。パンチ駆動部23は、パンチ駆動源となるサーボモータ25の駆動により、偏心カムからなるクランク式の回転・直線往復動の運動変換機構26を介して、ラム27をストローク速度可変に昇降駆動するものである。
【0013】ラムセレクタ24は、図6に一例を示すように、個々の列のパンチ工具5に係合する複数本(図示の例では3本)の個別ラム28を、可動のラム選択部材29を介して、上方の1本のラム27で駆動するものである。ラム選択部材29は、個別ラム28の頭部が進入可能な開口29aを種々設けたものであり、希望の個別ラム28に開口29aを対応させられるように、選択駆動源31の駆動で進退移動または回転移動可能とされている。このラム選択部材29の開口29aに対応しない個別ラム28のみが、ラム27の駆動で下方に駆動され、その個別ラム28に対応するパンチ工具5がパンチ駆動される。
【0014】図7(A)に示すように、カートリッジ移動手段12は、上カートリッジ移動手段12Aおよび下カートリッジ移動手段12Bにより構成される。上カートリッジ7および下カートリッジ8は、各々上下のフレーム部9a,9b(図1)に、左右一対の上カートリッジレール30および下カートリッジレール31により前後方向Yに進退自在に設置される。上カートリッジ移動手段12Aおよび下カートリッジ移動手段12Bは、このように設置された上カートリッジ7および下カートリッジ8を、これらに連結手段(図示せず)で係脱自在に連結される上カートリッジドライブ部材32Aおよび下カートリッジドライブ部材32Bにより進退させるものである。上カートリッジドライブ部材32Aおよび下カートリッジドライブ部材32Bは、各々モータ33およびボールねじ34からなる駆動装置35により、各々上カートリッジレール30および下カートリッジレール31上を進退させられる。カートリッジ移動手段12による上下のカートリッジ7,8の後方の移動端(図7(B)に示す位置)は、工具交換装置4に対応するカートリッジ交換位置Pとなる。このカートリッジ交換位置Pは、換言すれば、プレス本体2における工具交換位置となる。
【0015】図8に示すように、工具マガジン群3の各工具マガジン3aは、上下のカートリッジ7,8を各々左右一対の上レール36および下レール37に出し入れ自在に載せて収納するものであり、隣合う工具マガジン3aのレール36,37は、共通のレール支持枠38に設けられている。各工具マガジン3aの工具交換装置4側の入口部が、マガジン側の工具交換位置Qとなる。
【0016】工具交換装置4は、レール20上を工具マガジン3aの並び方向に沿って走行自在な台車19に、上下のカートリッジ7,8を進退自在に載せる支持レール39,40を設けたものであり、この台車19と、各工具マガジン3aに設けられて台車19上のカートリッジ7,8を工具マガジン3aに出し入れするマガジン部出し入れ機構41とで構成される。マガジン部出し入れ機構41は、各工具マガジン3aに設ける代わりに、台車19に設けても良い。
【0017】図12に示すように、カートリッジ7,8にパンチ工具5,ダイ工具6として回転割出工具を使用する場合は、カートリッジ移動手段12のカートリッジドライブ部材32A,32Bに、モータの駆動をカップリング82に伝える工具割出回転装置81を設けておく。一方、カートリッジ7,8には、カップリング82に係脱自在に連結されるカップリング83と、このカップリング83の回転を伝えてパンチ工具5,ダイ工具6を回転させる回転伝達機構84をカートリッジ7,8に設けておき、工具交換時に、カップリング82,83を連結して必要時に工具割出回転装置81の駆動により回転させる。
【0018】図3は、この構成のパンチプレス機1を設置したパンチ加工ラインのレイアウト図である。パンチプレス機1は、2台が横並びになって自動倉庫42に向き合って設置されている。自動倉庫42は、素材ワークおよび製品ワークを格納するラック43と、このラック43に沿って走行するスタッカクレーン44とで構成される。各パンチプレス機1のワークテーブル10の一側部の前方には、素材台車46がスタッカクレーン44との間で素材ワークを搬送可能に設置される。また各パンチプレス機1のワークテーブル10の一側延長位置には、製品ワークを搬出するアンローダ47が設置され、アンローダ47の前方に、アンローダ47とスタッカクレーン44との間で製品ワークを搬送する製品台車48が設置されている。パンチプレス機1の後方に離れて、工具ストッカ49および段取りステーション50が設置され、有軌道の無人搬送台車51により、各パンチプレス機1の工具マガジン3における一端の工具マガジン3aからなる工具外部交換ステーション52と前記段取りステーション50との間でパンチ工具5およびダイ工具6を、カートリッジ7,8ごと搬送して入れ替え可能とされている。
【0019】上記構成の動作を説明する。図1において、パンチプレス機1のワークテーブル10上のワークWは、ワーク移動手段11で横方向Xに移動させられ、またプレス機本体2内のカートリッジ7,8がカートリッジ移動手段12で前後方向Yに移動させられる。これにより、カートリッジ7,8の任意のパンチ工具5およびダイ工具6がワークWに対して位置決めされる。プレスヘッド移動手段22は、カートリッジ7における加工に使用するパンチ工具5と対応する前後方向Yの位置にラム27が対応するように、プレスヘッド13を移動させる。また、プレスヘッド13のラムセレクタ24により、カートリッジ7の希望の列のパンチ工具5が選択される。この状態で、プレスヘッド13を駆動し、希望のパンチ工具5を駆動してパンチ加工を行う。
【0020】工具マガジン群3に準備される各カートリッジ7,8には、種々異なる種類のパンチ工具5およびダイ工具6が設置してあり、ワークWを加工する形状等に応じて、プレス機本体2と工具マガジン群3との間でカートリッジ7,8の交換を行う。このカートリッジ交換は、次のように行う。図7(A)に示すように、プレス機本体内でレール30,31に設置されている上下のカートリッジ7,8は、カートリッジ移動手段12のカートリッジドライブ部材32A,32Bにより、レール30,31の延長位置であるカートリッジ交換位置Pまで押し出す。このとき、カートリッジ交換位置Pには、工具交換装置4の台車19を待機させておき、前記の押し出し動作で、台車19の上下の支持レール39,40上に上下のカートリッジ7,8を載せる(図7(B))。
【0021】このようにカートリッジ7,8を搭載した台車19は、図8に示す所定の空となっている工具マガジン3aと対応する位置まで移動させて停止し、その工具マガジン3aに設けられたマガジン部出し入れ手段41により、台車19上のカートリッジ7,8を工具マガジン3a内に引き込む。空になった台車19は、選択すべきカートリッジ7,8の収納された工具マガジン3aと対応する位置まで移動させ、その工具マガジン3aに設けられたマガジン部出し入れ機構41により、カートリッジ7,8を台車19に載せる。この台車19を、プレス機本体2の工具交換位置P(図7)まで走行させ、カートリッジ移動手段12のカートリッジドライブ部材32A,32Bにその連結手段(図示せず)で連結し、カートリッジドライブ部材32A,32Bの移動によりプレス機本体2内に引き込む。引き込まれたカートリッジ7,8は、前記のようにカートリッジ移動手段12により、工具選択のために任意位置に進退させられる。このようにしてカートリッジ7,8ごと、工具交換が行われる。
【0022】このパンチプレス機1によると、このように複数の工具マガジン3aを直線的に並べた工具マガジン群3を設け、工具交換装置4の移動により工具交換を行えるようにしたため、加工中や工具交換動作中にも他の工具マガジン3aでの段取りが可能となる。そのため、稼働率の向上が図れる。すなわち、工具交換に際して、工具交換装置4の台車19が移動し、工具マガジン3aは移動しないため、他の工具マガジン3aでの段取りが可能となり、工具交換を行いながら加工する場合も、加工中に段取りを行うことができる。また、工具交換装置4の台車19は、工具マガジン3aの配列方向に沿って移動するため、工具マガジン3aのカートリッジ7,8に対する工具5,6の段取り替えが容易であり、工具交換装置4の配置の邪魔となることなく、工具マガジン群3の外側に、例えば、人による段取りの作業領域Rを取ることができる。このため、段取り替えが容易に行える。なお、工具マガジン群3の各工具マガジン3aは、図2(A)および図14(A)〜(D)に鎖線で示すように、上カートリッジ7および下カートリッジ8を、各々工具マガジン3aから後方へ引出し可能としておくことが好ましい。これにより、図14(A),(B)に側面図および平面図で示すように、下カートジッジ8の保守を行うときも、上カートリッジ7が邪魔となることなく、下カートリッジ8に対するダイ工具6の保守作業が行える。また、上下のカートリッジ7,8が大きくて、後方からでは図14(E),(F)のようにカートリッジ7,8の前部まで作業者の手が届かない場合でも、同図(B),(D)に示すように、上側または下側のカートリッジ7,8を引出し状態とすることで、作業者がその引き出されたカートリッジ7,8の側方に廻り込むことができ、カートリッジ7,8の前部まで作業者の手が届き保守作業が容易に行える。なお、下カートリッジ8のみを上カートリッジ7よりも後方へ引出し可能としておいても良く、これによっても、上カートリッジ7が作業の邪魔となることなく、下カートリッジ8に対するダイ工具6の保守作業が行えるという利点が得られる。上カートリッジ7は、引出し不能であっても、大きさによっては、上方から作業者による保守が行える。また、工具5,6はカートリッジ7,8に複数支持され、カートリッジ7,8ごと交換されるため、一度に複数の工具交換が可能となる。そのため、工具交換の回数を減らすことができ、特に、一枚のワークWの加工中における工具交換を不要とし、あるいは減らすことができ、これにより加工の効率化が図れる。この場合に、パンチ位置の位置決めのためのカートリッジ移動手段12の移動を利用し、その移動端で工具交換装置4によるカートリッジ7,8の交換を行うようにしたため、交換動作のためのカートリッジの特別な駆動装置が不要となり、あるいは必要であっても簡易な装置で済み、機械全体の構成が簡単になる。また、このパンチプレス機1は、ワークWを一軸方向(横方向X)のみに移動させるので、直交2軸方向に移動させるものに比べて、ワークテーブル10の設置スペースが小さくて済む。しかも、工具マガジン群3および工具交換装置4の台車移動領域はワークテーブル10と平行して位置しているので、局部的に大きく突出する部分がなく、実質的な設置スペースが小さくて済む。特に、この例のように、工具マガジン群3が、ワークテーブル10と略同じ長さ範囲に設置してあると、図2(A)に鎖線で示すように、工具マガジン群3とワークテーブル10とが略矩形の床面スペースSに面積効率良く納まり、実質的な設置スペースが広がることなく、多くの工具4,5を工具マガジン群3に収納することができる。
【0023】図9,図10は、この発明にかかる他の実施形態を示す。この実施形態は、前記実施形態において、工具交換装置4の構成を次のように変えたものであり、他の構成は前記実施形態と同じである。この実施形態では、工具交換装置4の台車19に2個のカートリッジホルダ60,60が横並びに設けられる。各カートリッジホルダ60は、上カートリッジ7および下カートリッジ8を、プレス機本体2(図1)内のカートリッジ移動手段12によるカートリッジ移動方向と同じ方向(Y方向)に出し入れ自在に保持するものであり、その載置用の棚あるいはガイドレール(図示せず)を有している。これら各カートリッジホルダ60は、走行車輪61を有していて、台車19上に台車走行方向と直交する方向に設けられたレール62から、各工具マガジン3aに設けられたレール63に乗り移って走行自在とされる。すなわち、カートリッジホルダ60の移動方向と、カートリッジホルダ60に対するカートリッジ7,8の出し入れ方向とは同じとなる。
【0024】台車19は、溝形のガイド部材64に設けられたレール20に走行自在に設置され、無端の駆動用チェーン65およびその駆動モータ(図示せず)からなる駆動装置により走行させられる。台車19の上面には、カートリッジホルダ60を位置決めする固定のストッパ66および上下に出没するホルダロック部材67が設けられ、走行中のカートリッジホルダ60の安定が図られている。ホルダロック部材67は、常時はロック状態を保ち、各工具マガジン3aの位置に設けられたエアシリンダからなるホルダロック解除装置68により、ロック解除可能とされている。
【0025】各工具マガジン3a内には、カートリッジホルダ出し入れ装置69が各々設けられている。このカートリッジホルダ出し入れ装置69は、カートリッジホルダ60の下面に突出した被係合片70に係合する係合部材71をガイド部材72に沿って進退可能に設置すると共に、この係合部材71を進退駆動する無端のホルダ移動用チェーン73を設けたものである。各ホルダ移動用チェーン73は、台車19の走行経路に沿って設けられた動力駆動シャフト74に各々電磁クラッチ75を介して連結されたスプロケット76に掛装されている。動力駆動シャフト74は、駆動源に連結されていて回転駆動される。したがって、電磁クラッチ75の入切の切換により、任意の工具マガジン3aにおけるホルダ移動用チェーン73の駆動が可能となる。
【0026】図10と共に、カートリッジ交換動作を説明する。同図(A)に示すように、台車19は、片方のカートリッジホルダ60に新規カートリッジ7,8を搭載しておき、空の方のカートリッジホルダ60がプレス機本体2のカートリッジ移動手段12に対応する位置(工具交換位置P)で停止させる。この状態で、カートリッジ移動手段12の駆動により、プレス機本体2からカートリッジ7,8を空のカートリッジホルダ60に挿入する。ついで、台車19をX方向に移動させ、新規カートリッジ7,8の搭載されたカートリッジホルダ60を工具交換位置Pに位置させ(同図(B))、プレス機本体2のカートリッジ移動手段12でカートリッジホルダ60のカートリッジ7,8をプレス機本体2内に装填する(同図(C))。不要のカートリッジ7を搭載した台車19は、工具マガジン群3の空の工具マガジン3aに対応する位置まで走行させ(同図(D))、カートリッジホルダ60ごとカートリッジ7,8を工具マガジン3aに返却する。この後、新規カートリッジ7,8を準備するため、希望の工具マガジン3aまで台車19を走行させ、そこに収納されているカートリッジ7,8を、カートリッジホルダ60ごと台車19に搭載する(同図(E))。このように、台車19に2台のカートリッジホルダ60を搭載可能とすることにより、台車19の少ない移動でカートリッジ7,8の交換を行え、工具交換,カートリッジ交換の短縮が図れる。なお、この実施形態において、台車19に設置される2つのカートリッジホルダ60は、台車19に固定的に設けられたものとし、工具マガジン3aにカートリッジ7,8のみを収納するようにしても良い。これによっても、工具交換時間,カートリッジ交換時間の短縮が図れる。
【0027】なお、前記各実施形態において、図1のワークテーブル10の上面には、図11に示すように、ワーク移動方向に回動駆動されるワーク載置用の無端ベルト77を設け、ワーク移動手段11(図1)によるワーク送りに合わせて無端ベルト77を回動させるようにしても良い。これにより、ワークWの送り時にワークWの裏面が擦れることが無くなり、ワーク裏面の傷つき防止が一層確実となる。また、前記各実施形態において、ワーク移動手段は、図13に示すように、ワークWの移動方向端をワークホルダ78で把持し、ワークホルダ78の取付けられた移動体79をワークテーブル10の前後のレール80に沿って進退させるようにしても良い。
【0028】なお、前記実施形態では、工具マガジン群3は、工具マガジン3aを一列の直線状に配置したが、例えば図15(A)に示すように円弧状に配置したものであっても、また同図(B)に示すようにL字状に配置したものであっても良い。その場合、工具交換装置4も、その台車19等を工具マガジン3aの配置に沿って移動させるようにする。さらに、工具マガジン群3は、同図(C)に示すように上下方向にも並べ、上下左右に工具マガジン3aを並ぶ自動倉庫状としても良い。この場合は、工具交換装置4は、各工具マガジン3aに対応して移動する台車19に相当する手段を、工具マガジン3aの配置に沿って上下左右に移動するものとする。
【0029】
【発明の効果】この発明のパンチプレス機は、複数の工具マガジンを固定配置した工具マガジン群を設け、工具交換装置を工具マガジン群に沿って移動させるようにしたため、工具マガジンを移動させずに工具交換が行える。そのため、加工中や工具交換動作中にも他の工具マガジンでの段取りが可能となり、稼働率が向上する。また、カートリッジで工具を複数支持し、工具交換装置および工具マガジン群が、各々カートリッジごと工具を交換および収納するものとした場合は、一度に複数の工具交換が可能となり、工具交換回数が減らせる。特に、一枚のワークの加工中の工具交換回数を減らすことができるため、加工の効率を向上させることができる。さらに、工具交換装置を、カートリッジホルダを少なくとも二つ有するものとした場合は、工具交換装置の少ない移動量で工具交換が可能となり、交換時間が短縮される。
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
【公開番号】 特開平11−5132
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−158642