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【発明の名称】 板金マーキング方法
【発明者】 【氏名】田中 哲

【氏名】芦川 千賀雄

【要約】 【課題】本発明は、板金加工の後工程における作業性と品質を良くし、前工程おける工数の低減を図るための前工程での板金マーキング方法に関する。

【解決手段】板金の曲げ加工にあたって、ヤゲンの突当部を示す複数の目印穴10、12を、ヤゲンを突き当てる板金面に加工する。また、板金のカシメ加工にあたって、カシメ材13が取り付けられる板金面を示す目印穴7を、カシメ材13が取り付けられる板金面のカシメ用下穴4の周縁部6に加工する。また、板金の皿穴加工にあたって、皿穴18を加工する板金面を示す目印穴9を、皿穴18を加工する板金面の皿穴用下穴5の周縁部8に、加工する。さらに、板金の溶接加工にあたって、溶接する板金面を示す目印穴11を、溶接する板金面の溶接個所に加工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】板金の曲げ加工を行うにあたって、ヤゲンの突当部を示す複数の目印穴(10、12)を、曲げ部分の前記ヤゲンを突き当てる板金面に加工することを特徴とする板金マーキング方法。
【請求項2】板金のカシメ加工を行うにあたって、カシメ材(13)が取り付けられる板金面を示す目印穴(7)を、前記カシメ材が取り付けられる板金面のカシメ用下穴(4)の周縁部(6)に加工することを特徴とする板金マーキング方法。
【請求項3】板金の皿穴加工を行うにあたって、皿穴を加工する板金面を示す目印穴(9)を、皿穴を加工する板金面の皿穴用下穴(5)の周縁部(8)に加工することを特徴とする板金マーキング方法。
【請求項4】板金の溶接加工を行うにあたって、溶接する板金面を示す目印穴(11)を、溶接する板金面の溶接個所に加工することを特徴とする板金マーキング方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板金加工の前工程における工数の低減を図るためと、かつ、後工程における作業性と品質を良くするための前工程での板金マーキング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】板金の加工は、前工程と後工程とに分かれ、前工程として機械加工、例えばパンチプレス機による穴の打ち抜き加工やレーザ加工機による加工等がある。この前工程では、板金材料に各種の穴が打ち抜き加工され、所定の大きさに切断されて半加工品として形成される。
【0003】所定の大きさに切断された半加工品は、次に異なった種類の加工を施されるために後工程に回される。この後工程では、例えば曲げ加工、皿穴加工、カシメ加工、溶接加工等の種々の加工がある。このような後工程における加工は、種類も多く、それぞれの種類により段取りも異なり、また、手作業によるものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような板金の後工程における加工では、加工する面を判別することが重要である。例えば曲げ加工では曲げ方向を知ることであり、つまり半加工品の表裏を見分けて、誤りなく曲げ加工を行う必要がある。従来、そのために、作業の前に図面と半加工品とをいちいちチェックしなければならず、そのうえ、部品によっては、加工形状が複雑なもの、対象形状のものなどのように表裏が見分けにくいものがあり、加工する面を判別するのに手間がかかった。曲げ加工と同様に皿穴加工、カシメ加工、溶接加工においても表裏のチェックが面倒であり、加工する面を見誤りやすく、手間のかかるものであった。
【0005】そのために、マーキングとして塗料をペイントする方法等が用いられてきたが、ペイントした場合、最後にその塗料を落とす工程が必要となり、品質にも影響を及ぼし、やはり手間のかかる作業であった。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、板金加工の前工程おける工数の低減を図るためと、かつ、後工程における作業性と品質を良くするための前工程での板金マーキング方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の板金マーキング方法は、板金の曲げ加工を行うにあたって、ヤゲンの突当部を示す複数の目印穴を、ヤゲンを突き当てる板金面に加工することを特徴とする。また、板金のカシメ加工を行うにあたって、カシメ材が取り付けられる板金面を示す目印穴を、カシメ材が取り付けられる板金面のカシメ用下穴の周縁部に加工することを特徴とする。さらに板金の皿穴加工を行うにあたって、皿穴を加工する板金面を示す目印穴を、皿穴を加工する板金面の皿穴用下穴の周縁部に、加工することを特徴とする。板金の溶接加工を行うにあたって、溶接する板金面を示す目印穴を、溶接する板金面の溶接個所に加工することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】図1、図2は、本発明の実施例を示す斜視図である。図1は半加工品1の表面側を示しており、例えばパンチプレス機によって、板材2に加工穴3が加工され、さらにカシメ用下穴4と皿穴用下穴5が加工される。それとともにカシメ用下穴4の周縁部6に目印穴としてポンチ穴7が同じパンチプレス機によって加工され、また、皿穴用下穴5の周縁部8にも目印穴としてポンチ穴9が加工される。そのほかに、折り曲げ加工時における折り曲げ線に沿った位置に、目印穴として2個のポンチ穴10が加工される。さらに、溶接個所を示す目印穴として複数個(この場合は2個が適当である)のポンチ穴11も加工される。図2は、半加工部品1の裏面側を示しており、表面と同様に裏面側から折り曲げ加工する位置に、目印穴として複数個(個の場合も2個が適当)のポンチ穴12が加工される。上記のパンチプレス機によるポンチ穴の加工以外に、レーザ加工機による目印穴加工がある。穴の形状は、ポンチ穴と同様である。
【0008】次に、カシメ用下穴4とポンチ穴7、および皿穴用下穴5とポンチ穴9との関係を図3を用いて説明する。ポンチ穴7は、板材2のカシメ材13が取り付けられる面に、かつ、カシメ用下穴4の周縁部6に1個加工される。この場合のポンチ穴7の位置の制限は、図5に示されるカシメ材13のフランジ部17の外形よりも内側にあることである。皿穴用下穴5とポンチ穴7との関係も同様である。
【0009】図4は、板金加工の前工程を終えた半加工品1を後工程で加工を完了した完成品14を表面側から見た斜視図である。この場合、前工程において加工された表面側の2個のポンチ穴10によって折り曲げ位置が示され、この2個のポンチ穴10を結んで形成される仮想線にベンダー等のヤゲンを突き当て、折り曲げ加工される。また、裏面側も表面側と同様に、前工程で加工された2個のポンチ穴10を結ぶ仮想線にベンダー等のヤゲンを突き当て、折り曲げ加工される。
【0010】また、前工程で加工されたカシメ用下穴4には、カシメ材13が取り付けられる面を示すポンチ穴7のある面側から、即ち、表面側からカシメ材13が圧入されている。カシメ材13は、図5に示すように、カシメ支柱であって、円柱状のねじ部15と円柱状の圧入部16および六角柱状のフランジ部17とからなり、フランジ部17の上面が板材2の表面とほぼ面が同じになるように圧入される。
【0011】さらに、前工程で加工された皿穴用下穴5は、皿穴18が加工される面を示すポンチ穴9のある面側から、即ち表面側から皿穴加工される。
【0012】図1に示すように、この皿穴用下穴5の近くには、溶接個所を示すポンチ穴11が所定間隔で2個あけられているが、その寸法は溶接部品19の幅と同じになっている。したがって、2個のポンチ穴11に溶接部品19の角を合わせれば、溶接位置の設定が完了し、溶接加工することができる。
【0013】次に工程について説明する。まず、前工程として、パンチプレス機を用いて板金材料から半加工品1を1つのユニット単位として多数個取りを考慮し、はじめに加工穴3を連続的に加工する。その後、金型を代えてカシメ用下穴4、皿穴用下穴5を順次加工し、さらにポンチ穴7、ポンチ穴9、ポンチ穴10、ポンチ穴11を順次加工する。そして、板金材料から図1のような半加工品1として所定の寸法の外形に多数個打ち抜いて、半加工品1として後工程に送る。なお、各穴加工の順序は上記に限定されるものではなく、通常のNC機のプログラムとして、FD、HD、CD−ROM等の記録媒体に記録される。
【0014】後工程では、まず、折り曲げ加工を行うときは、図1の板材2の表面に2個のポンチ穴10があることを確認して、この2個のポンチ穴10によって形成される仮想線にベンダーの曲げ金型のヤゲンがかかるようにセットして曲げ加工を行う。この方法によると、ポンチ穴10は、曲げ加工によって板材2のヤゲン突当部20の屈曲部のなかに埋もれるようになるため、ほとんど目立たなくなる。図2の板材2の裏面にある2個のポンチ穴12の場合も同様である。カシメ加工を行うときは、カシメ用下穴4の周縁部6にあるポンチ穴7を確認して、このポンチ穴7のある面側からカシメ材13を圧入し、取り付ける。したがって、ポンチ穴7は、カシメ材13のフランジ部17によって覆われ、表面に見えることはない。また、皿穴加工を行うときは、皿穴用下穴5の周縁部8にあるポンチ穴9を確認して、このポンチ穴9のある面側からドリルによって皿穴を加工する。ポンチ穴9は皿穴用下穴5の周縁部8にあるため、つまり皿穴の最大外径より内側にあるため、ポンチ穴9は、ドリルによって削られ消滅する。さらに、溶接加工を行うときは、ポンチ穴11を確認して、溶接部品19をこの溶接部品19の角を目安にしてポンチ穴11が隠れるように位置決めし、仮止めの後に溶接する。したがって、ポンチ穴11は全く見えなくなる。
【0015】
【発明の効果】本発明による板金マーキング方法によれば、曲げ加工の場合は、ポンチ穴により半加工品の曲げ加工箇所を見分けて、誤りなく曲げ加工を行うことができるうえに、ポンチ穴がヤゲン突当部に埋もれる状態になるので、完成品においてはほとんど目立たない。カシメ加工の場合においても、ポンチ穴によって、カシメ材の取り付け面のチェックが容易であり、誤りなくカシメ加工を行うことができるうえに、ポンチ穴はカシメ材によって覆われてしまうため、完成品においては全く表面には表れない。皿穴加工の場合においても、ポンチ穴によって皿穴の加工する面のチェックが容易であり、誤りなく皿穴加工を行うことができるうえに、ポンチ穴は皿穴加工時に削られて消えてしまうので、完成品においては全く表面には表れない。溶接加工の場合においても、ポンチ穴によって溶接個所のチェックが容易であり、誤りなく溶接加工を行うことができるうえに、ポンチ穴は溶接部品によって覆われてしまうので、表面上目立たない。すなわち、本発明の板金マーキング方法によれば、後工程における作業性の向上はもとより、製品の品質をも高めている。また、前工程での板金マーキングをポンチ穴加工によって実現したことにより、前工程おいてもマーキングに要する工数が大幅に低減される。
【出願人】 【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月3日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−28516
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−193234