| 【発明の名称】 |
熱間帯鋼圧延方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 茂
【氏名】比護 剛志
【氏名】濱渦 修一
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| 【要約】 |
【課題】熱間帯鋼圧延において、従来にない長手方向均一な材質のストリップを製造するため、仕上圧延機出側のストリップ温度の長手方向分布を均一にするための圧延方法を提供する。
【解決手段】仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を継続的に大きくし、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度を達成することを特徴とする熱間帯鋼圧延方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくし、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度とすることを特徴とする熱間帯鋼圧延方法。 【請求項2】 ストリップ先端の仕上圧延機最終スタンド出側速度を900m/分以上とする請求項1記載の熱間帯鋼圧延方法。 【請求項3】 仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度を達成し、かつ前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、予め設定した圧延速度パターンに従って、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくする圧延を実行すると共に、当該圧延実行中に仕上圧延機出側温度計によって仕上圧延機出側温度を計測し、該実測温度と、予め設定した仕上圧延機出側温度の目標値とを比較し、前記実測温度を前記目標値に近づけるように、前記圧延速度パターンの速度を修正して圧延速度制御を実施することを特徴とする熱間帯鋼圧延方法。 【請求項4】 仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度を達成し、かつ前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、予め設定した速度パターンに従って、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくする圧延を実行すると共に、当該圧延実行中に仕上圧延機出側温度計によって仕上圧延機出側温度を計測し、該実行温度と、予め設定した仕上圧延機出側温度の目標値とを比較し、前記実測温度を前記目標値に近づけるように、前記速度パターンに速度修正値を重畳して速度制御を実施し、当該ストリップの圧延終了後、前記速度パターンの速度修正実績値に基づいて、後続のストリップの速度パターンに対する速度修正値を演算し、この速度修正値を、予め前記設定計算時に決定される速度パターンに重畳して速度パターン設定値を算出し、該速度パターン設定値に基づいて圧延することを特徴とする熱間帯鋼圧延方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱間帯鋼圧延設備(ホットストリップミル)を用いた圧延方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱間帯鋼圧延に於いては、仕上圧延機によって所定の板厚にまで圧延されたストリップは、ダウンコイラのマンドレルに巻き取られるまでの間に、仕上圧延機とダウンコイラとの間に設けられたストリップ冷却ラインにより、所定の巻き取り温度にまで冷却される。このストリップ冷却ラインは、数百本の駆動式ローラテーブルからなるランアウトテーブルと、水スプレー式冷却装置または水ラミナー式冷却装置とから構成されている。このような設備を用いて熱間帯鋼を圧延する場合、特にストリップの先端がランアウトテーブル上を通過する時には、ローラテーブルから受ける衝撃的な力や空気抵抗によって、フライングと呼ばれる、ストリップ先端が上方に大きく跳ね上がる現象が発生することがある。このようなフライング現象は、コイラによる巻き取り作業時にストリップ先端が折れ込み状態となって品質不良を招いたり、コイラへの巻き取りそのものが不可能となってミスコイルと呼ばれる操業トラブルを引き起こしたりするため、厳に回避しなければならない現象である。フライング現象は圧延速度が高くなると発生頻度が著しく高くなることが明らかになっているので、通常の圧延操業では、ランアウトテーブル上をストリップ先端が走行する時の速度は600〜800m/分以下としている。このような速度でストリップ全体を圧延した場合、圧延時間が長くなるため、ストリップ後端については製品としての材質を確保するために必要な仕上圧延機出側温度を確保することが困難となる上、熱間帯鋼圧延設備1ラインあたりの生産性も著しく低下することになる。以上のような問題を回避するため、従来の熱間帯鋼圧延においては、図7に示すようにフライングをおこさない限界速度、すなわちスレッディング速度と呼ばれる600〜800m/分以下の低速度でストリップ先端部を圧延し、ストリップ先端部がコイラに巻き付き、仕上圧延機とコイラ間で張力を付与できる状態になった後に、1200〜1500m/分前後の最高速度まで急速に加速し、ストリップの大部分を、該最高速度で圧延する操業が行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の熱間帯鋼圧延方法による場合、圧延が終了したストリップの長さがランアウトテーブルの長さ以上になるまでは加速することは不可能であり、先端部200m前後のストリップは低速度で圧延する他はなく、本来さらに高速圧延が可能な圧延機の能力を十分に活用することなく生産性の低い操業形態となる。 【0004】また、ストリップ先端部がコイラに巻き付いた後、生産性を上げる目的で、最高圧延速度まで急加速をする、例えば図7に示すような速度パターンで圧延する従来法の場合、図8に示すように仕上圧延機出側温度が長手方向に不均一となり、製品としての材質の均一性が望めないばかりか、仕上圧延機出側温度をストリップ全長にわたって目標値以上にするため、スラブの加熱温度を必要以上に高く設定せざるを得なくなり、加熱に要する燃料費の観点からも非効率的な圧延となっている。 【0005】上記したような従来の圧延速度パターンに対しても、仕上圧延機出側温度を長手方向にできる限り均一にするため、仕上圧延機間において圧延中のストリップに冷却水を噴射する方法が知られている。しかしながら、この方法の場合、当然のことながら、ストリップ表面近傍を急速に冷却することになるので、板厚方向の温度分布は、仕上圧延機間で冷却水を使用しない場合に比べてかなり異なり、これに伴って仕上圧延における温度・歪み履歴の板厚方向分布は長手方向に異なることになり、材質の長手方向均一性を保証することは不可能となる。またこの方法では、上記の加熱の燃料費の無駄を改善することもできない。 【0006】ところで、従来のスレッディング速度に関する上述の問題を解決するため、圧延材を粗バー段階で接合して圧延する連続圧延法が実用化されているが、この方法による場合でも、すべての圧延材を接合することは不可能であるためスレッディング速度に関する問題は残る上、接合した場合でも先行材の後端と後行材の先端は同じ速度で圧延せざるを得ないので、特別な冷却装置や加熱装置を使用しない限り長手方向の温度差の問題は解決できない。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記したような従来法の問題点を解決するため、本願第一の発明では、仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくし、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度とする熱間帯鋼圧延方法を特徴としており、第二の発明では、上記第一の発明においてストリップ先端の仕上圧延機最終スタンド出側速度が900m/分以上となる圧延条件を適用する。 【0008】また、本願第三の発明では、仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度を達成し、かつ前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、予め設定した速度パターンに従って、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくする圧延を実行すると共に、当該圧延実行中に仕上圧延機出側温度計によって仕上圧延機出側温度を計測し、該実測温度と、予め設定した仕上圧延機出側温度の目標値とを比較し、前記実測温度を前記目標値に近づけるように、前記速度パターンの速度を修正して速度制御を実施する熱間帯鋼圧延方法を特徴としている。 【0009】さらに、本願第四の発明では、仕上圧延機及びコイラと、前記仕上圧延機と前記コイラとの間にストリップ冷却ラインを有し、さらに前記ストリップ冷却ライン上に、ストリップの先端を挟持してストリップに張力を付与しつつ前記仕上圧延機側から前記コイラ側へと移動可能なストリップ先端拘束装置を有する熱間帯鋼圧延設備を用いて行う圧延方法であって、ストリップ後端部近傍において所望の最高圧延速度を達成し、かつ前記仕上圧延機出側のストリップ温度が長手方向に均一になるように、予め設定した圧延速度パターンに従って、ストリップ先端からストリップ後端に向けて圧延速度を漸次大きくする圧延を実行すると共に、当該圧延実行中に仕上圧延機出側温度計によって仕上圧延機出側温度を計測し、該実測温度と、予め設定した仕上圧延機出側温度の目標値とを比較し、前記実測温度を前記目標値に近づけるように、前記圧延速度パターンに速度修正値を重畳して速度制御を実施し、当該ストリップの圧延終了後、前記速度パターンの速度修正実績値に基づいて、後続のストリップの圧延速度パターンに対する速度修正値を演算し、この速度修正値を、予め前記設定計算時に決定される速度パターンに重畳して速度パターン設定値を算出し、該速度パターン設定値に基づいて圧延する熱間帯鋼圧延方法を特徴としている。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。図3には、本発明の前提となる熱間帯鋼圧延設備で、仕上圧延機1の最終スタンドと、ダウンコイラ2と、これらの間に延設されたストリップ冷却ライン3とを示している。図3の例では、ストリップ冷却ライン3は通板方向について適当な間隔を開けて列設された上下に対をなす多数のピンチロール4及び冷却水噴射装置5からなっている。これらのピンチロール4と冷却水噴射装置5とは、通板方向に交互に配置されている。 【0011】ピンチロール4は、上下のロール対からなり、各ロールがそれぞれ上下に接離移動可能に支持されている。各ピンチロール4は、仕上圧延機1から送出されるストリップ6の上下両面を所定の押出力をもって挟み込むと共に、各々が駆動力を与えられ、かつ回転速度が自由に制御されるようになっている。そして冷却水噴射装置5は、ピンチロール4と同様に、上下に対をなす冷却水噴射装置からなり、各冷却水噴射装置5が、ストリップ6の上下両面に接離移動可能に支持されている。この冷却水噴射装置5のストリップ6との対向面には、複数の冷却水ノズルが設けられており、ストリップ6の上下各面に冷却水を吹きかけることができるようになっている。 【0012】ストリップ冷却ライン3には、ガイドレール7が通板方向に沿って延設されている。このガイドレール7には、仕上圧延機1から送出されるストリップ6の先端を把持した状態で走行するストリップ先端拘束装置8が載置されている。ストリップ先端拘束装置8は、上下のガイドレール7によって上下方向に拘束された状態で通板方向に走行する。台車走行のための駆動方法は、例えば、ガイドレールと平行に延設されたラックギアに噛合するビニオンギアを台車上の駆動装置によって駆動する方式を採用する。 【0013】次に、図3に示す設備の作動要領について説明する。ストリップ6の先端が仕上圧延機1から送出される以前の状態においては、図3に示したように、すべてのピンチロール4並びにすべての冷却水噴射装置5が互いに上下に離間した位置に移動して待機している。そしてストリップ先端拘束装置8は、仕上圧延機1の最終スタンドの出口の直近にて、仕上圧延機1からのストリップ6の送出速度よりもやや高い周速度で把持ロール10を回転させた状態で待機している。 【0014】ストリップ6の先端が仕上圧延機1から出ると、ストリップ先端拘束装置8は把持ロール10間にストリップ6の先端を直ちに把持する。それとほぼ同時か、或いはむしろ幾分早めに、ストリップ先端拘束装置8はダウンコイラ2へ向かって加速を開始し、短時間で仕上圧延機1の圧延速度に周期して走行するようになる。 【0015】一方、上下両方向に待避していたピンチロール4並びに冷却水噴射装置5の各対は、ストリップ先端拘束装置8の通過につれて順にストリップ6の上下各面に接近するように移動する。そしてピンチロール4は、ストリップ6の上下各面に接触してストリップ6の張力を常時所定範囲に維持するように、その回転速度が制御される。また冷却水噴射装置5からは、ストリップ6の上下各面に向けて冷却水が吹きかけられる。このようにして、ストリップ6は、先端部も含めて常時適切な張力が付与された状態でストリップ冷却ライン上を搬送されるので、従来技術で問題となるフライング現象は皆無となる。このため、従来技術において、特に薄手材の圧延時に、フライングを生じないストリップ先端部の圧延速度の上限値として重要な意味を持っていたスレッディング速度は、その意義を消失する。 【0016】ところで、本発明では、ストリップ先端部も含めて、圧延機動力の観点から圧延可能な最高圧延速度近傍で圧延することが可能となる。ただし、一本のストリップを長手方向に圧延速度一定で圧延すると、ストリップ先端部に比べてストリップ後端部の加熱炉抽出後の経過時間が長くなるので、ストリップ後端部の仕上圧延機出側温度が先端部に比べて低下することになる。そこでこの先端部と後端部の温度偏差を解消し、長手方向に均一な圧延温度を実現することを目的に圧延速度を選択する。 【0017】図1には、本発明の圧延方法による圧延速度パターンの実施例を示している。本発明では、ストリップ後端部近傍で所望の最高圧延速度を実現することを前提とし、この後端部近傍の仕上圧延機出側温度が所定の温度になるように、素材の加熱温度が調整される。そしてストリップの後端部以外の仕上圧延機出側が後端部と同じ目標温度になるようにそれぞれの部分の圧延速度が予め計算され、この圧延速度パターンに基づいて圧延が実行される。この結果、図2に示すように、ストリップの仕上圧延機出側温度は、特別な冷却装置や加熱装置を用いることなく長手方向に均一に保持することが可能となり、従来にない均一な材質のストリップを製造することが可能となる。 【0018】図4には、本発明の圧延方法を実行するための操業条件の決定方法の一例を示す。まず材質作り込みの観点から目標とする圧延温度を決定する。ここで言う圧延温度とは仕上圧延機出側温度を必須要件とし、必要に応じて仕上各スタンドにおける圧延温度や粗圧延温度が指定される。次に圧延機のモータ容量及び圧延荷重限界を含む圧延設備能力及び仕上圧延機後面の冷却設備能力を考慮して、与えられた材質のストリップを上記圧延温度で圧延する場合の最高圧延速度を、圧延荷重計算、圧延トルク計算やストリップ冷却計算等を通じて決定する。ここで、圧延設備能力は、特に板厚の薄いストリップを圧延する場合の決定因子となり、冷却設備能力は、特に板厚の厚いストリップを圧延する場合に、圧延速度の決定因子となる。次のステップでは、加熱炉抽出からストリップ後端部近傍を圧延するまでの経過時間を仮定した上で、ストリップ後端部を既に決定した最高圧延速度で圧延し、目標とする圧延温度を達成するための素材加熱温度を決める。上記加熱温度に基づいて仕上圧延機出側温度がストリップの長手方向に一定となるようにストリップ先端部から後端部までの圧延速度パターンを決定する。圧延素材である鋼片温度の長手方向分布は加熱炉抽出時点では通常ほぼ均一であるから、一般に同じ圧延速度で圧延した場合、ストリップ先端部近傍の方が経過時間が短くなり仕上圧延機出側温度が高くなるため、上記手続きで計算される圧延速度パターンはストリップ先端部近傍が最も圧延速度が小さく、ストリップ長手方向に継続的に圧延速度が大きくなるようなパターンとなる。以上のようにしてストリップ長手方向の温度分布パターンが決定されれば、ストリップ後端部近傍を圧延するまでの圧延経過時間を正確に算定できるので、この圧延経過時間に加熱温度を決定する時に仮定した経過時間と有意な差が認められる場合は、所望の圧延温度と最高圧延速度を達成するための加熱温度と圧延速度パターンを再計算し、解が収束するまでこの手続きを繰り返す。 【0019】なお以上のような手続きは、圧延設定計算時に毎回実施する必要はなく、圧延製造範囲となる材質・寸法のストリップを対象としてオフラインで予め計算しておき、圧延実行時には、このオフライン計算の結果をテーブル化しておいて操業してもよい。また以上のような加熱炉抽出温度をベースとする圧延速度パターン設定を圧延の中間段階である粗バー段階の温度実測値に基づいて仕上圧延開始前に再計算し修正することも好ましい実施形態である。 【0020】特に、このような圧延方法をストリップ先端の圧延速度が900m/分以上となる圧延条件に適用することは従来法ではフライングの問題により物理的に不可能であったが、本発明によればフライングの問題もなく、高い生産性で従来にない均一な材質の製品を生産することが可能となる。なお上記実施例では、ストリップ冷却ラインは、上下方向に接離移動可能なピンチロールと冷却水噴射装置とから構成されていたが、これらは、冷却後の平坦度を改善したり、冷却ライン長を短縮したりする副次的な効果を狙ったものであり、本発明の構成としては、従来技術のランアウトテーブルにストリップ先端拘束装置を組み合わせたものでもよい。 【0021】またストリップの最後端部の圧延時には、コイラにおける巻き取り作業時に品質トラブルや設備トラブルを生じることのない圧延速度を選択する必要のある場合がある。そのような場合には、巻き取り作業の観点から最後端部近傍については、例外的に減速することになり、最高圧延速度はストリップ後端部の直前において達成されることになる。なお、このような場合、ストリップ最尾端については、圧延速度が低下するので、圧延温度は、他の加熱あるいは保温手段を併用しない限り低くなるが、この場合の圧延速度の減速は、ストリップ尾端が仕上圧延機を通過する直前に実施すればよく、この温度不均一部分の長さは、従来法の先端部近傍の不均一部分に比べてはるかに短くすることが可能である上、尾端部近傍の圧延速度は従来法のスレッディング速度に比べれば一般に高く設定することが可能であるので、このような場合でも、従来法に比べて仕上圧延機出側温度の均一性については大幅に改善される。 【0022】図5には、本発明請求項3の好ましい実施形態を示す。上記した手続きに従って決定された圧延速度パターンに従って圧延を実行し、圧延中の仕上圧延機出側温度を測定する。当該圧延速度パターン設定時に設定した仕上圧延機出側温度の目標値と実測値との差異を演算し、この差異を零にすることを目標として圧延速度の修正量を演算し、この演算結果に基づいて圧延速度を修正する。このような圧延方法によって、目標とする仕上圧延機出側温度をより正確に達成することが可能となる。なお、図5のような制御を実施するサイクルタイムはできる限り短い周期とすることが望ましいが、仕上圧延機出側でストリップの温度を測定し圧延速度修正を実施した結果が仕上圧延機出側温度計で観察されるまでには時間遅れがあるので、この時間遅れを考慮してサイクルタイムを設定することが好ましい。 【0023】図6には、本発明請求項4の好ましい実施形態を示す。図5のような仕上圧延機出側温度計測値を用いた圧延速度のフィードバック制御を実施し、1本のストリップの圧延終了後、予め設定していた圧延速度パターンの設定値と実績値とを比較し、温度計測値に基づく圧延速度修正量の長手方向変化の実績値を算出する。次に上記圧延速度修正量の長手方向変化の実績値を基に、これから圧延する予定のストリップに対して圧延速度パターンの修正値を決定する。この修正値の決定に際しては、分析対象となっているストリップの圧延条件とこれから圧延しようとするストリップの圧延条件との差異を考慮することは言うまでもないが、最も簡単な方法としては、温度計測誤差等の外乱の影響を除去する目的で、速度修正量実績値に1以下の学習係数を掛けて次の圧延速度パターン修正量を算出することも好ましい実施形態である。また、この修正値を反映する“これから圧延するストリップ”の選定基準としては、これらの演算と速度設定が間に合い、しかも最も早いタイミングに圧延されるストリップを選定してもよいし、鋼種や板厚等の圧延条件毎に速度修正量を学習し、次回同条件区分のストリップを圧延する際に当該圧延条件区分の最新の学習結果を反映する方法を採用してもよい。以上のようにして圧延速度に予め速度修正値を反映することによって、図5の方法で実施する圧延中の速度修正量が次第に小さくなり、より精度の高い仕上圧延機出側温度制御が可能となる。 【0024】 【発明の効果】本発明の熱間帯鋼圧延方法を採用することにより、長手方向に均一な温度条件下で仕上圧延が可能となり、その結果、従来法では実現し得ない均一材質の製品を製造することが可能となる。さらに、従来法におけるスレッディング速度限界が撤廃されるので、上記のような高品質薄板を、従来にない高い生産性で製造することができる。 【0025】また、余分な冷却工程なしに長手方向に圧延温度が均一化するため、余分な加熱エネルギーを消費することなく圧延が可能となり、加熱炉の燃料コストも大幅に低減できる。その上、従来法に比べて、仕上圧延中の加速率が大幅に小さくなるので、加速に要する余分なモータ電流が大幅に低減することになり、同じモータ容量で操業可能な最高圧延速度を高くすることが可能となる。さらにモータを更新したり、全く新しい圧延ラインを建設したりする場合には、より小さなモータ容量で十分となり、設備費を低減することも可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月7日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−28505 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−181503 |
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