| 【発明の名称】 |
ストリップ圧延におけるクーラント液の噴射方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥野 真一
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| 【要約】 |
【課題】従来技術では解決しえなかった、コールドストリップの温度制御を容易に可能とするクーラント液の噴射方法を提案する。
【解決手段】本発明は、上下一対のワークロールを用いたストリップ圧延において、下側ワークロールへミル入り側からクーラント液を噴射するに当たり、下側ワークロールの冷却を目的とする第1のスプレーノズルと、被圧延材下面と下側ワークロールとのギャップ部の潤滑を目的とする第2のスプレーノズルを設け、第1のスプレーノズルは常時使用し、第2のスプレーノズルは高速圧延のときのみに使用する。さらに、第1のスプレーノズルによる下側ワークロールへのクーラント液噴射方向を、ロール軸に垂直な断面において、ロール表面への法線方向よりも下向きとなるように噴射する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下一対のワークロールを用いたストリップ圧延において、下側ワークロールへミル入り側からクーラント液を噴射するに当たり、下側ワークロールの冷却を目的とする第1のスプレーノズルと、被圧延材下面と下側ワークロールとのギャップ部の潤滑を目的とする第2のスプレーノズルを設け、第1のスプレーノズルは常時使用し、第2のスプレーノズルは高速圧延のときのみに使用することを特徴とする、ストリップ圧延におけるクーラント液の噴射方法。 【請求項2】 第1のスプレーノズルによる下側ワークロールへのクーラント液噴射方向を、ロール軸に垂直な断面において、ロール表面への法線方向よりも下向きとなるように噴射する請求項1に記載のクーラント液の噴射方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ストリップ圧延におけるクーラント液の噴射方法に関し、とくに圧延速度が変化しても、被圧延材の温度変動を少なくし、安定した温度制御を可能にするクーラント液の噴射方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ストリップ圧延においては、上下一対よりなるワークロールが複数段配列され、このワークロール間に送給された冷延素材が順次冷間圧延(温間圧延を含む)されてコールドストリップとなる。この圧延の際に、圧延時の潤滑性の維持とロール冷却を目的として、ワークロールあるいはワークロールと被圧延材とのギャップ部に向けてクーラント液が噴射される。 【0003】ところで、コールドストリップには、最近、表面性状や材料特性などの面で、従来よりもさらに高品質のものが求められるようになり、ストリップ圧延でも従来よりも一層高度な技術が求められるようになってきた。このような状況において、製品によっては、被圧延材の圧延温度管理も重要な指標の一つになってきている。 【0004】ところで、被圧延材の温度管理を行うには、ワークロールの温度を管理するのがもっとも一般的で効果的な方法である。そして従来から、被圧延材の温度制御が必要な製品の圧延においては、クーラント液が被圧延材に飛散して温度低下が生じないように、被圧延材の下面直近にクーラント液の飛散を防止するための遮蔽板を設け圧延していた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような遮蔽板を用いた対処方法では、圧延速度を大きくした場合に、被圧延材とワークロールとのギャップ部へのクーラント液の供給が不足するために潤滑不良を招き、一方、圧延速度が小さい場合には、被圧延材の過冷却が生じて温度制御ができないという問題を抱えていた。そこで、本発明は、ストリップ圧延において、従来技術では解決しえなかった上記問題点を解決することにあり、ワークロールの温度制御、あるいはコールドストリップの温度制御を容易に可能とするクーラント液の噴射方法を提案することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】発明者らは、とくに下側ワークロールの温度制御を効果的に行うため、クーラント液の噴射方法について鋭意検討し、スプレーノズルの配置とその使用方法を特定の条件に設定することにより上記目的が達成できることを知見し、本発明を完成するに到った。 【0007】すわわち、本発明は、上下一対のワークロールを用いたストリップ圧延において、下側ワークロールへミル入り側からクーラント液を噴射するに当たり、下側ワークロールの冷却を目的とする第1のスプレーノズルと、被圧延材下面と下側ワークロールとのギャップ部の潤滑を目的とする第2のスプレーノズルを設け、第1のスプレーノズルは常時使用し、第2のスプレーノズルは高速圧延のときのみに使用することを特徴とする、ストリップ圧延におけるクーラント液の噴射方法である。 【0008】ここで、第1のスプレーノズルによる下側ワークロールへのクーラント液噴射方向を、ロール軸に垂直な断面において、ロール表面への法線方向よりも下向きとなるように噴射することが有利である。 【0009】 【発明の実施の形態】次に、本発明の詳細を、図1を参照して説明する。図1において、被圧延材1がミルの右側から左側に送給され、上側ロール2と下側ロール3により圧延される。そして下側ロールには、噴射方向が異なる第1のスプレーノズルと第2のスプレーノズルからなる1対のスプレーノズルが配置される。 【0010】第1のスプレーノズル4は、下側ワークロール3のみに噴射し、ロールの冷却を主目的とするものである。このため、第1のスプレーノズル4のスプレーの噴射方向は、被圧延材への飛散を防止する上から、ロール軸垂直断面において、ロール表面への法線方向よりも下向き(ノズル先端と下側ワークロールの中心とを結ぶ線よりも下向き)となるように噴射するのが望ましい。なお、ここにいう噴射方向は、広がりをもつクーラントスプレー7の全域でこの条件が満たされることを意味する。すなわち、クーラントスプレー7の上縁が前記条件を満たすように噴射すれば、クーラントスプレーの全域で、この条件が達成されることになる。噴射方向が上記条件を満たすように噴射すれば、第1のスプレーノズル4から噴射されたクーラントスプレー7は、下側ワークロールに衝突したあと反射クーラントスプレー8となって下方に反射し、被圧延材側に飛散することはない。 【0011】一方、第2のスプレーノズル5は、潤滑を主目的として、被圧延材下面と下側ワークロールとのギャップ部に向けてクーラントスプレーを噴射するために設けたものである。このとき、第2のスプレーノズル5と上記第1のスプレーノズル4とは、それぞれのノズルから噴射されるスプレーが互いに衝突して干渉し合わないような位置に配置する必要がある。 【0012】このような第1および第2のスプレーノズルの配置において、圧延時には、第1のスプレーノズルは常時使用し、第2のスプレーノズルは高速圧延のときのみ使用する。図1に示すように、第1のスプレーノズルには、クーラントタンクからクーラント液が常時供給される。一方、第2のスプレーノズルには、遮断弁9が接続され、圧延速度が小さいときには遮断弁9を閉とし、圧延速度が大きいときには遮断弁9を開として、圧延速度が大きい場合だけクーラント液が供給される。 【0013】第1のスプレーノズルは常時使用するが、第2のスプレーノズルは高速圧延のときのみに使用する理由は以下のとおりである。すなわち、高速圧延のときには、圧延性確保のために十分な潤滑が必要であり、被圧延材と下ロールとのギャップ部へのクーラントスプレーが不可欠である。このとき、ギャップ部へのクーラント液の供給により液冷が発生するが、単位時間当たりの被圧延材の通過量が多い。このため、被圧延材の温度低下量は小さく、被圧延材の温度制御範囲を十分に確保することができる。一方、低速圧延のときには、単位時間あたりの被圧延材の通過量が少なく、クーラント液による液冷部の通過時間は長くなるので、高速圧延のときと同じようにクーラント液を供給すると、被圧延材の温度低下量が大きくなり、温度制御範囲が著しく狭められことになる。そこで、この場合には、ギャップ部へのクーラントスプレーを停止し、第1のスプレーノズルのみを使用することにより、被圧延材の温度制御範囲を確保することができる。このとき、ギャップ部での潤滑は、第1のスプレーノズルにより下ロールへ噴射されたクーラント液が、低速での潤滑には十分な程度に付着しているので、圧延性に問題はない。 【0014】さて、被圧延材の温度は、圧延時の加工発熱による温度上昇と、クーラント液冷却による温度低下の収支によって変動する。そして、加工発熱量は圧下量に依存し、圧下率が一定ならば加工発熱量も一定である。したがって、被圧延材の温度制御を行うためには、上述した各ノズルの使用条件の下で、圧延時の圧下率に応じてノズルに供給するクーラント液量を調整して行えばよい。 【0015】なお、上側ロールへのクーラント液の噴射については、上側ロールの冷却に十分なクーラント液をロールに一定量噴射し、ストリップ上には常に一定量のクーラント液溜まりが発生しているようにする。 【0016】 【実施例】図1に示す下側ロールに付属するスプレーノズルと、上側ロールに付属する1個のスプレーノズルとを、それぞれ各スタンドに備えた4スタンドの冷間圧延機を用いて、圧下率70%、仕上げ板厚0.5mmの条件でコールドストリップに圧延した。ここに、圧延速度は200mpm の低速の場合と、500mpm の高速でストリップを圧延し、低速の場合には第1のスプレーノズルのみを使用して流量300l/min でクーラント液を噴射し、高速の場合には第1のスプレーノズルと第2のスプレーノズルの両方を併用し、前者の流量 500 l/min、後者の流量 500 l/minでクーラント液を噴射した。また、クーラント液としては5%エマルジョン液を用いた。その結果、接触式板温計で測定した被圧延材の温度は、目標温度±20℃の温度範囲に収まり、従来の技術水準であった目標温度±40℃より遙かに向上し、所定の板温制御が可能となった。 【0017】 【発明の効果】本発明によれば、圧延速度を変化させた場合でも、クーラント液による過冷却や圧延性(潤滑状態)の低下を防止でき、被圧延材の温度圧延性を損なうことなく制御できるようになり、品質の安定したストリップを製造することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−5105 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−155220 |
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