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【発明の名称】 浮上性粒状担体を用いた汚染土壌と地下水の微生物学的浄化処理方法及び装置
【発明者】 【氏名】川畑 祐司
【課題】土壌中の汚染物質で汚染された領域内に汚染物質を分解する微生物を導入してこれを分解浄化する場合に、より効率良い汚染物質と微生物との接触機会を提供することで、より高い分解浄化効果が得られる土壌の浄化処理方法及びその装置を提供すること。

【解決手段】浮上性の粒状担体に有害物質を分解する微生物を固定し、この担体を水性媒体の付与によって適度な流動性を付与してある土壌中の処理領域内を浮上させ、微生物と有害物質との接触効率を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土壌中の有害物質による汚染領域を微生物学的に浄化する方法において、(a)前記有害物質を分解できる微生物を浮上性の粒状担体に固定する工程と、(b)前記汚染領域を含む処理領域に水性媒体を充填する工程と、(c)前記処理領域の下方部に前記微生物を固定した粒状担体を注入し、該粒状担体の該処理領域内の注入部から上方への浮上によって該粒状担体に固定した微生物で該処理領域内を連続的に浄化する工程とを有することを特徴とする土壌浄化処理方法。
【請求項2】 前記処理領域が地下水層を含む請求項1に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項3】 前記有害物質が有機化合物である請求項1または2に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項4】 前記有機化合物がフェノールである請求項3に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項5】 前記有害物質が有機塩素化合物である請求項3に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項6】 前記有機塩素化合物がトリクロロエチレンである請求項5に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項7】 前記微生物が野生株である請求項1〜6のいずれかに記載の土壌浄化処理方法。
【請求項8】 前記野生株がJ1株(FERM BP−5102)で請求項7に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項9】 前記微生物が野生株を変異させた変異株である請求項1〜6のいずれかに記載の土壌処理方法。
【請求項10】 前記変異株がJM1株(FERM BP−5352)である請求項9記載の処理方法。
【請求項11】 前記処理領域内での前記粒状担体の密度が、水の密度よりも小さい請求項10に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項12】 前記粒状担体の粒径が 0.01mm〜1mmである請求項10または11に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項13】 前記粒状担体が高分子化合物からなる請求項10〜12のいずれかに記載の土壌浄化処理方法。
【請求項14】 前記水性媒体が前記微生物による前記有害物質の分解活性を発現あるいは維持させる材料を含んでいる請求項1〜13のいずれかに記載の土壌浄化処理方法。
【請求項15】 前記処理領域に粒状担体を注入した後に気体を注入して、該粒状担体の浮力による移動を促進させる請求項1〜14のいずれかに記載の土壌浄化処理方法。
【請求項16】 前記気体が空気である請求項15に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項17】 前記処理対象領域を振動させて、前記粒状担体の浮力による移動を促進させる請求項1〜16のいずれかに記載の土壌浄化処理方法。
【請求項18】 前記処理領域を振動させるのに、バイブロを用いる請求項17に記載の土壌浄化処理方法。
【請求項19】 土壌中の有害物質による汚染領域を含む処理領域内に水性媒体を注入するための水性媒体供給手段と、前記処理領域内に浮上性粒状担体を注入するための粒状担体注入手段と、を備えていることを特徴とする微生物学的浄化用の処理装置。
【請求項20】 前記処理領域内に供給した粒状担体の浮力による移動を促進させる移動促進手段を更に備えた請求項19に記載の処理装置。
【請求項21】 前記処理領域の上部において、前記粒状担体を回収する粒状担体取出手段を更に備えた請求項19または20に記載の処理装置。
【請求項22】 前記回収した前記粒状担体を再び前記粒状担体注入手段に供給する粒状担体移動手段を更に備えた請求項19〜21のいずれかに記載の処理装置。
【請求項23】 前記処理対象領域内から、前記微生物によって処理された水性媒体を取り出す処理水取出手段を更に備えた請求項19〜22のいずれかに記載の処理装置。
【請求項24】 前記粒状担体に前記有害物質の分解作用を有する微生物が固定されている請求項19〜23のいずれかに記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土壌中の有害物質で汚染された領域を微生物を用いて浄化する方法及び該方法に用いる浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】分析技術の進歩と化学物質の毒性評価基準が確立されてくるにつれて、かつて大量に使用された化学物質の貯蔵装置等の破損事故などによる漏洩と、人為的な廃棄による環境汚染が世界中で問題となってきている。なかでも、ガソリンなどの有機化合物、PCBやトリクロロエチレンなどの有機塩素化合物による土壌や地下水の汚染は顕著であり、汚染井戸水の利用を通した生態系への障害が強く懸念されている。さらに今後の調査により汚染箇所は飛躍的に増大し、将来における環境規制物質の増加により有害物質の種類もますます増えるものと考えられ、汚染された環境を浄化修復するための技術についての開発が求められている。
【0003】有害物質で汚染された土壌や地下水を浄化する方法としては、物理化学的方法と微生物学的方法に大別できる。物理化学的方法では有害物質や汚染現場の性状によりいろいろな方法から選択されるが、汚染土壌を掘り起こして加熱あるいは焼却処理する方法、汚染土壌から真空抽出する方法、汚染地下水を汲み上げて曝気あるいは吸着処理する方法、などが挙げられる。加熱や焼却する処理法では土壌から有害物質をほぼ完全にを取り除くことが可能であるが、土壌掘削が必要であることから建造物下の浄化処理は困難である。また、掘削した大量の土壌を浄化処理現場まで輸送する必要がある場合が多いので、浄化処理に要する費用が膨大となる。
【0004】真空抽出法は揮発性の有害物質に対する安価で簡便な浄化方法である。また土壌のみならず、地下水からも有害物質を吸引抽出することができるので、汚染土壌と地下水の有効な浄化手法であるといえる。しかし、数ppm以下の揮発性物質では除去効率が低く、トリクロロエチレンなどの有害物質について環境基準値以下にまで浄化処理するには年単位の時間が必要である。
【0005】更に、地下水を汲み上げて処理する揚水曝気法は真空抽出法と同様に有効な浄化方法であるが、高濃度汚染に対しては大きな曝気塔や吸着槽を設置するため多額の設備投資が必要である。また浄化に伴って汚染濃度が低下しても初期の設備をそのまま稼働するため、維持経費が膨大となる。
【0006】一方、微生物を用いる微生物学的な方法は物理化学的な方法と比較して経済的かつ環境調和型の浄化方法として近年注目されている。特に汚染現場における原位置で微生物学的浄化を行う場合には、汚染土壌や地下水に元来生息している土着の分解微生物を利用する方法と分解能力を有する微生物を外部から接種する方法に分けられる。いずれにおいても、分解活性の高い微生物を利用することにより有害物質を短時間で分解浄化できる。さらに分解微生物や分解活性を高める栄養素などを直接土壌や地下水に注入して浄化を行うこともできるので、汚染土壌を掘削することなく建造物下の浄化を行うことも可能である。
【0007】従来の微生物学的浄化では、微生物を増殖生残させ分解活性を高めるための栄養素、酸素、インデューサー、あるいはその他の化学物質を微生物とともに、あるいは単独で土壌や地下水に添加する方法が採られてきた。この方法では、微生物の分解活性を最大限に増大させるとともに、有害物質と微生物を効率良く接触させることにより効果的な浄化処理が達成される。実験室における小規模実験では微生物の分解活性の高低が浄化効率を大きく支配するが、実際の汚染現場のように大きな規模における微生物を用いた浄化では、有害物質や微生物の拡散が遅いため通常は浄化速度が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】汚染された土壌や地下水を原位置において微生物学的に浄化するには、分解微生物を活性化し、微生物と有害物質を接触させることが好ましい。しかし、極めて高濃度の分解微生物を大量に汚染現場へ投入しても、有害物質をほぼ完全に分解除去することは困難である(A.G. Duba et. al, Environ. Sci. Technol., 1996, 30, 1982-1989)。この場合、微生物の分解活性は極めて高いので、有害物質と微生物が十分に接触していないことが原因と考えられる。そして、本発明者らの検討によれば、微生物学的浄化を最大効率で行うには、有害物質あるいは分解微生物の移動を促進させて接触効率を上げ、分解速度が低下しないように工夫する必要があるとの結論を得た。従来の微生物学的な原位置浄化においては、有害物質を物理的手法により移動させて接触効率を向上させる方法が提案されている。例えば米国特許(USP)第5347070号には、汚染土壌に複数の電極を差し込み、土壌に電流を流して温度を上昇させ、有害物質を移動させる方法が述べられている。また、米国特許(USP)第5340570号には、土壌に電場を印加し、生じた電気浸透流により有害物質を移動させる方法が述べられている。しかし、費用や投入エネルギーに対する効果は比較的小さく、さらに低費用・低エネルギーで接触効率を増大させる微生物学的処理方法が望まれる。
【0009】このような観点からは、土壌や地下水に注入した微生物あるいは微生物粒状担体の移動性を促進することが考えられる。なぜならば、土壌や地下水に存在する有害物質の移動が困難であっても、微生物あるいは微生物粒状担体の移動性が増大すれば、浄化効率は改善されるからである。また、地下水流のような有害物質の移動がある場合には、浄化処理はさらに効果的となる。微生物そのものの移動促進は生物学的な研究課題であり、より微小な分解微生物、鞭毛をもつ微生物や非粘着性の微生物などの開発が必要となる。
【0010】本発明の目的は、土壌中の汚染物質で汚染された領域内に汚染物質を分解する微生物を導入してこれを分解浄化する場合に、より効率良い汚染物質と微生物との接触機会を提供することで、より高い分解浄化効果が得られる土壌の浄化処理方法及びその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の土壌浄化処理方法は、土壌中の有害物質による汚染領域を微生物学的に浄化する方法において、(a)前記有害物質を分解できる微生物を浮上性の粒状担体に固定する工程と、(b)前記汚染領域を含む処理領域に水性媒体を充填する工程と、(c)前記処理領域の下方部に前記微生物を固定した粒状担体を注入し、該粒状担体の該処理領域内の注入部から上方への浮上によって該粒状担体に固定した微生物で該処理領域内を連続的に浄化する工程とを有することを特徴とする。
【0012】上記の土壌浄化処理方法に好適に使用し得る本発明の生物学的土壌浄化処理装置は、土壌中の有害物質による汚染領域を含む処理領域内に水性媒体を注入するための水性媒体供給手段と、前記処理領域内に浮上性粒状担体を注入するための粒状担体注入手段と、を備えていることを特徴とする。
【0013】本発明においては、汚染物質を分解する微生物を固定する粒状担体として浮上性の粒状担体を用い、かつ土壌中の処理領域内に水性媒体を充填して適度な流動性を確保することで、微生物が固定された粒状担体を処理領域内をその浮力によって移動させて、汚染物質と微生物とのより多くの接触機会を確保し、汚染物質の分解効率の向上が可能となる。
【0014】なお、微生物を固定した粒状担体についてはいくつか先行例がある。特開平8−89989号公報では浮上性の粒状担体に微生物を固定し、これを排水処理装置の下部から入れ、粒状担体の浮上性を利用して装置上方向への移動性を促進している。この方法では粒状担体の移動により微生物がはじめに装置内の嫌気ゾーンに接触し、ついで好気ゾーンに接触するようになっている。すなわち、微生物の環境変化をもたらすために粒状担体に移動性を付与したものであって、微生物粒状担体の移動性を利用した汚染現場の原位置における浄化処理は目的とされていない。また、特開平8−197081号公報や特開平8−224588号公報では比重が0.8〜1.0の粒状担体に微生物を固定して汚水の生物処理を行う方法が示されている。これらの方法は、微生物粒状担体の浮遊性を利用して汚水の流れ方向に粒状担体が流失しないようにするものや、処理水と粒状担体の分離回収性を向上させたものである。従って、土壌中での粒状担体の浮遊性を利用した浄化処理の効率化は意図されていない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。まず、有害物質は雨水などにより徐々に地表から地下へと浸透して行くため、非帯水層の有害物質は時間をかけてゆっくりと土壌内を拡散する。ついで帯水層まで到達した有害物質は地下水流れの影響を直接受け、特に可溶性の有害物質では地下水とともに移動する。地下水の移動速度は数cm/day〜数m/dayと幅広いが、非帯水層の有害物質と異なり帯水層の有害物質は経時的に確実に拡散していく。このようにして汚染された土壌や地下水に分解微生物や活性増大のための栄養素などを添加することにより浄化処理は行われる。いま、10ppmのトリクロロエチレンで汚染された地下水中(土壌粒子はないと仮定する)に、5×108CFU/mlの分解微生物が存在するとする。これは2000flの水中におよそ2flの体積をもつ1個の分解微生物と9×109個のトリクロロエチレン分子があることに相当する。微生物周囲のトリクロロエチレンは速やかに微生物に取り込まれ、分解浄化される。しかし、土壌粒により地下水の連続性が遮断されるため、土壌内での微生物やトリクロロエチレンの拡散は極めて遅くなる。これにより、遠方にある有害物質は微生物と接触できないため分解効率が低下する。一方、微生物あるいは微生物を担持する担体やトリクロロエチレンの移動拡散を促進できる条件下では、微生物は常に有害物質と接触できるので分解速度は低下せず浄化効率を向上できる。
【0016】まず、本発明で利用し得る有害物質を分解する微生物材料としては、例えば、種々の分解活性が確認されている、サッカロミセス(Saccharomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、ミクロコッカス(Micrococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ロイコノストア(Leuconostoa)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、アルスロバクター(Arthrobacter)、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、ナイセリア(Neisseria)、エシェリシア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia)、アクロモバクター(Achromobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、アセトバクター(Acetobacter)、モラクセルラ(Moraxella)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロバクター(Nitrobacter)、チオバチルス(Thiobacillus)、グルコノバクター(Gluconobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、キサントモナス(Xanthomonas)及びビブリオ(Vibrio)等の各属に属する微生物を挙げることができる。微生物は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。粒状担体に固定する分解微生物は汚染土壌に元来生息する土着の微生物でもよいし、分解能力をもつ外来の微生物、例えば自然界から単離した微生物でもかまわない。また、人為的な変異を施した微生物や遺伝子組み替えを行った微生物も利用できる。
【0017】好ましい微生物としては、後述する実施例で用いられているJ1株及びJM1株を挙げることができる。これらの菌株はいずれも通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、茨城県つくば市東1丁目3番(郵便番号305)に寄託されており、受託番号(BP:ブダペスト条約下での国際寄託)及び寄託日は以下のとおりである。
J1株:FERM BP−5102:平成6年5月25日JM1株:FERM BP−5352:平成7年1月10日なお、J1株及びJM1株は、寄託当初、コリネバクテリウム属に属しているものとして、識別のための表示をそれぞれ「Corynebacteriumsp. J1」及び「Corynebacterium sp. JM1」としたものであったが、その後の検討によりコリネバクテリウム属に属さないものと認められたため、識別の表示を「J1株」及び「JM1株」と変更したものである。また、JM1株は、芳香族化合物や塩素化エチレン化合物を、誘導物質を用いることで分解できるJ1株を、変異源を用いた変異操作によって変異させて取得した、誘導物質を用いることなく有機化合物を分解することができる変異株である。
【0018】本発明において土壌中に導入される水性媒体は、土壌中の有害物質で汚染された領域を含む分解処理領域内における土壌の適度な流動性を確保して、浮上性粒状担体をその浮力によって効果的に移動(浮上)させるために用いられるものであり、水を主体として構成される。所定の効果が得られる範囲内で、水単独で構成された水性媒体や、所望に応じて微生物の増殖に必要な増殖機能材料、微生物による分解活性を安定に発現させる活性維持機能材料などを水に溶解または混合してなる水性媒体を用いることができる。
【0019】増殖機能材料とは微生物の栄養素であり、これにより微生物は土壌や地下水中で増殖生残し、土壌や地下水中の有害物質を分解する。例えば、ブイヨン培地、M9培地、L培地、Malt Extract、MY培地、硝化菌選択培地などが有用である。微生物から産生される分解酵素が構成的に発現される場合は、活性維持機能材料をとくに必要としないが、酵素活性が特定のインデューサーにより発現される場合はインデューサーが活性維持機能材料として必要である。メタン資化菌ではメタン、芳香属資化菌ではトルエンやフェノール、クレゾールなど、また硝化菌ではアンモニウム塩などがインデューサーとなる。また、分解酵素の活性を発現維持させるためのエネルギー源やミネラルなども活性維持機能材料として要求される。
【0020】土壌内へ導入される水性媒体の組成及び導入量は、浮上性粒状担体の浮上と、粒状担体に付着あるいは固定される微生物の有害物質の分解作用が効果的に得られるように設定されるが、処理領域内にある土壌の微生物の増殖や活性化に関係する水分含量や栄養価を予め測定し、その測定値を考慮して選択するのが望ましい。例えば、処理領域が地下水層である場合には、土壌内への水分の充填という点よりも、微生物の栄養素等の栄養素の補給という点を重視して水性媒体の組成を選択する。
【0021】また、土壌内へ導入される水性媒体の導入量は、処理領域内にある土壌体積、土壌の空隙率、及び土壌の水分含量から、土壌を飽和含水土壌とするのに必要な水性媒体量を算出し、それ以上の水性媒体で土壌空隙を充填するようにすればよい。
【0022】微生物が固定される粒状担体としては、水性媒体が注入された土壌中の処理領域内での浮力による浮上性が得られるように、水よりも密度の小さなものを用いるのが好ましい。また、粒状担体の形状としては、取扱性、処理装置への適用性、更には、土壌中での移動性を考慮して選択でき、例えば、真球状、楕円球状、多面体状等が望ましい。また、土壌内での担体の移動性を阻害しない範囲で担体表面に適当な凹凸があってもかまわない。このような凹凸はむしろ水性媒体と担体との接触面積を増大させ、浄化効果を向上させることができる。
【0023】いずれにしても、粒状担体としては、微生物の快適な棲息空間を与えるとともに、これにより他の微生物や微小生物による捕食を妨害したり、あるいは微生物の地下水への拡散消失を防ぐ機能を有するものが利用される。
【0024】粒状担体としては、これまで医薬品工業や食品工業あるいは廃水処理システムなどのバイオリアクターで利用されている多くの微生物固定用の粒状担体を用いることができる。例えば、多孔質ガラス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイトなどの粒子状粒状担体、デンプン、寒天、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチンなどのゲル状粒状担体、セルロース、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ウレタンポリマーなどの高分子樹脂やイオン交換樹脂などである。さらに、天然あるいは合成の高分子化合物、例えばセルロースを主成分とする綿、麻、パルプ材、あるいは天然物を変性した高分子アセテート、ポリエステル、ポリウレタンなども有効である。水性媒体よりも密度が小さな材料はそのまま粒状担体として用いることができ、密度が大きな材料は多孔質化あるいは中空化してみかけの密度を小さくして利用することができる。すなわち、粒状担体の密度を調整することで、浮上速度を制御して、処理領域の状況に応じてより効果的な浄化処理を行うことができる。実用上の観点からは、粒状担体としては、その密度(みかけの密度も含む)が水の密度よりも小さいものが好適に利用できる。このように、用いる粒状担体の密度は水の密度よりも小さいことが必要であるが、水の密度に近い場合は十分な浮上効果が得られない場合があるので適当な密度差を取ることが好ましい。また、上記のように中空化処理によって極めてみかけの密度が小さな担体も作製することは可能であるが、担体内の空隙が大きくなるため、この空隙が水性媒体で満たされ、結果的には浮上効果が得られない恐れもある。従って、好ましい担体の密度としては0.01〜0.8g/cm3、より望ましくは0.05〜0.5g/cm3の粒状担体を用いて浄化するのがよい。
【0025】粒状担体への微生物の固定は、土壌への導入前に行っても良いし、粒状担体のみを土壌中に導入して土壌中で微生物を固定しても良い。浄化に十分な微生物量をより確実に得るためには、土壌への投入前に分解用の微生物を担体に固定するのが好ましい。
【0026】水性媒体を注入した土壌中の処理領域に粒状担体を注入すると、粒状担体の浮力により上方向の力が生じる。粒状担体の粒径は土壌空隙の平均径よりも小さい方がよく、粒状担体のハンドリングや粒状担体への微生物の固定化率を考慮すると0.01mm〜1mm程度が望ましい。粒状担体の粒径が土壌空隙よりも十分小さい場合、粒状担体の浮力により徐々に上方へ移動しながら有害物質は微生物と接触し分解される。一方、多くの場合、粒状担体の粒径は土壌空隙よりも大きいので、土壌のフィルター効果により粒状担体が浮上することは困難となる。このような場合は、粒状担体の浮上を促進させる手段を採ることが好ましい。
【0027】例えば、粒状担体を注入した後に気体を注入すると、気体の浮力と土壌粒子を剪断する力により粒状担体を浮上させる空隙をつくることができる。注入する気体としては空気のほかに酸素、二酸化炭素、窒素、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、一酸化炭素、メタン、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化イオウ、などを空気と混合したものを用いることができる。
【0028】また、粒状担体を注入した後に汚染された土壌や地下水領域を機械的に振動させる方法も有効である。高出力のバイブロなどを用いれば、水性媒体で満たされた土壌を振動させて粒状担体が浮上するのに必要な間隙を確保することができる。さらに、水性媒体にドデシル硫酸ナトリウムやトリトン−Xのような界面活性剤を溶解すると、土壌粒子と微生物粒状担体との接触摩擦を低減して粒状担体の浮上性を高めることもできる。
【0029】粒状担体は浮力により上昇しながら土壌や地下水を浄化し、地表付近まで浮上して回収される。この微生物粒状担体は、そのまま再度注入処理に利用してもよいし、また微生物の分解活性を賦活化した後で注入してもよい。また、水性媒体から有害物質の分解除去が終了すれば、水性媒体を浄水として取り出して処理することができる。
【0030】土壌や地下水内の有害物質をさらに効率よく分解するには、有害物質や酸素の濃度、分解微生物を固定した粒状担体の濃度、あるいは粒状担体の浮上速度を計測して気体の注入量や注入時間、振動出力や振動時間あるいはこれらの時間間隔を制御することが望まれる。これらの濃度を計測する位置は、水性媒体を満たす前の非帯水層や地下水層、水性媒体を満たした後の浄化領域、あるいは地表面付近が挙げられる。また、有害物質や分解の中間生成物の濃度が最低になるように粒状担体の浮上性を制御するとよい。有害物質や分解生成物が揮発性の場合、これらの濃度はガスクロマトグラフィーや検知管で測定できる。また、これらが不揮発性あるいは難揮発性の場合は、土壌をサンプリングして前処理し、液体クロマトグラフィーや吸光光度計などで測定することができる。酸素は揮発性有害物質と同様にガスクロマトグラフィーや検知管あるいは酸素センサーで測定できる。分解微生物数はサンプリングした粒状担体を前処理し、プレートカウントあるいはフローサイトメーターなどにより計数することができる。粒状担体の浮上速度は、適時に深さ方向に土壌をサンプリングして土壌内の粒状担体数から求めることができるが、色素を固定した粒状担体などを微生物粒状担体と混合してトレーサーとして用いる方が簡便である。
【0031】本発明による浄化処理装置の一例を図1に示す。図1における土壌は非帯水層1、不透水層2、及び汚染領域3からなっている。非帯水層1の下部で不透水層2の上部に地下水層があってもかまわない。まず、汚染領域3を取り囲むように遮水壁4を矢板や土壌固化材料でつくる。次に、水性媒体を貯留しているタンク5からポンプ6により遮水壁で取り囲んだ領域を水性媒体で満たす。さらに分解微生物を固定した粒状担体を含む浄化材料を貯留しているタンク7からポンプ8により注入管9を通して汚染領域の下部に注入する。注入管には先端あるいは側方に圧入のための開口部をもつ単管が利用できる。また、注入深さをかえて繰り返し注入作業を行いたい場合、ゴムスリーブ10をもつマンシェット管11とパッカー12をもつスリーブパイプ13を組み合わせる方法が有用である。つまり、スリーブパイプ13を上下方向に移動させて所定の位置で上下のパッカー12を膨張させる。上下のパッカーではさまれた部分にスリーブパイプ13を通して浄化材料を圧送し、ゴムスリーブ10を通して土壌中に圧入する。
【0032】土壌空隙が十分に大きい場合は、注入した微生物粒状担体は浮力により上昇しながら汚染領域を分解浄化する。土壌空隙が小さい場合は、空気を貯留しているタンク14からポンプ15により粒状担体注入領域より下の位置から空気を圧入する。これにより、粒状担体の上方への移動を促進することができる。地表付近まで浮上した微生物粒状担体はポンプ16により回収され、そのままあるいは活性を賦活化した後にタンク7へと返送される。
【0033】本発明における浄化処理装置を構成する各部は、通常使用されている部材や装置から構成することができる。
【0034】
【実施例】以下に、実施例をもって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。なお「%」は「重量%」である。
実施例1(浮上性粒状担体への分解微生物J1株の固定とフェノール分解)
(1)はじめに、M9培地に0.1%酵母エキスを加えた寒天平板培地にJ1株を塗布し、コロニーを作成した。容積10リットルの培養槽に0.1%酵母エキスを含むM9培地を8リットル入れ、さらに粒径0.1mm、密度0.1g/cm3の多孔質セルロース粒状担体(ビスコパール、レンゴー製)8gを混合した。この中に増殖したJ1コロニーを接種し、15℃で空気を通気しながら撹拌して約2日間微生物を増殖させた。セルロース粒状担体を一部取り出し、これを新しいM9培地に入れて強く撹拌振盪して付着した微生物を剥離し、プレートカウント法により固定された微生物数を求めた。この結果、粒状担体1cm3当たりにおよそ5×109個のJ1株が固定されていることがわかった。
M9培地組成(培地1リットル中):Na2HPO4:6.2gKH2PO4:3.0gNaCl:0.5gNH4Cl:1.0g(pH7.0)
(2)内径32cm、高さ30cmの円柱型ステンレスポットに含水比5%の砂利を充填した。このとき充填した砂利の重量は43kg、目測による平均空隙径は0.7mmであった。また、このステンレスポットの中心下部より微生物を固定した粒状担体を注入するための注入管(直径1cm)を取り付けた。この砂利中のフェノール濃度が砂利層の水に対して10ppmとなるようにフェノールで汚染させて試験に供した。このステンレスポットに1.2%リン酸水素2ナトリウム、0.6%リン酸2水素カリウム、0.4%塩化アンモニウム、及び0.1%塩化ナトリウムを溶解したイオン交換水6.8リットル(以下、緩衝溶液)を入れた。次に、J1株を固定した粒状担体8gを前記の緩衝溶液0.7リットルと混合し、これを注入管よりステンレスポットの下部から注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法(JISK012−1993、28.1)に従い測定した。その結果、フェノール濃度は1.3ppmであり、計算値1.4ppmとほぼ一致した。
【0035】(3)粒状担体は砂利の空隙を通過・上昇しながらステンレスポット内のフェノールを分解する。粒状担体を注入して2時間後、粒状担体の一部分がステンレスポットの表面に浮上してきたところでポット中心部分の含水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は0.6ppmであり、浮上性粒状担体を用いることにより注入領域の上部においてもフェノールを効率よく分解できることがわかった。
【0036】比較例1(非浮上性粒状担体への分解微生物J1株の固定とフェノール分解)
(1)実施例1(1)と同様にして、粒状担体にJ1株を固定した。用いた粒状担体は粒径0.18mm、密度1.03g/cm3(マイクロキャリア、旭化成製)80gである。実施例1(1)と同様に固定された微生物数を求めたところ、粒状担体1cm3当たりにおよそ4×109個のJ1株が固定されていることがわかった。
【0037】(2)実施例1(2)と同様にして、フェノールで汚染させた砂利層を作製し、これに6.8リットルの緩衝溶液を入れた。J1株を固定した粒状担体80gを緩衝溶液0.7リットルと混合し、これを注入管よりステンレスポットの下部から注入した。注入直後のポット中心部分の含水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は砂利層の水に対して1.2ppmであり、計算値1.4ppmとほぼ一致した。
【0038】(3)粒状担体を注入して2時間後、ポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は1.2ppmであり、非浮上性粒状担体を用いると注入領域の上部においてフェノールを分解できないことがわかった。
【0039】実施例2(浮上性粒状担体への分解微生物JM1株の固定とトリクロロエチレン分解)
(1)はじめに、M9培地に0.1%酵母エキスを加えた寒天平板培地にJM1株を塗布し、コロニーを作成した。容積10リットルの培養槽に0.1%酵母エキスを含むM9培地を8リットルを入れ、さらに粒径0.1mm、密度0.1g/cm3の多孔質セルロース粒状担体(ビスコパール、レンゴー製)8gを混合した。この中に増殖したJM1コロニーを接種し、15℃で空気を通気しながら撹拌して約2日間微生物を増殖させた。セルロース粒状担体を一部取り出し、これを新しいM9培地に入れて強く撹拌振盪して付着した微生物を剥離し、プレートカウント法により固定された微生物数を求めた。この結果、粒状担体1cm3当たりにおよそ5×109個のJM1株が固定されていることがわかった。
【0040】(2)内径32cm、高さ30cmの円柱型ステンレスポットに含水比5%の砂利を充填した。このとき充填した砂利の重量は43kg、目測による平均空隙径は0.7mmであった。また、このステンレスポットの中心下部より微生物を固定した粒状担体を注入するための注入管(直径1cm)を取り付けた。この砂利中のトリクロロエチレン濃度が砂利層の水に対して50ppmとなるようにトリクロロエチレンで汚染させて試験に供した。このステンレスポットに緩衝溶液6.8リットルを入れ、ついでJM1株を固定した粒状担体8gを緩衝溶液0.7リットルと混合したものを注入管よりステンレスポットの下部から注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、トリクロロエチレン濃度を n-ヘキサンを用いた溶媒抽出法により測定した。その結果、トリクロロエチレン濃度は3.5ppmであり、トリクロロエチレンがポットから揮散しないと仮定したときの計算値7ppmのおよそ半分となった。これより約半量のトリクロロエチレンが注入操作によりポットから散逸すると考えられた。
【0041】(3)粒状担体は砂利の空隙を通過・上昇しながらステンレスポット内のトリクロロエチレンを分解する。粒状担体を注入して 2 時間後、粒状担体の一部分がステンレスポットの表面に浮上してきたところでポット中心部分の水をサンプリングし、トリクロロエチレン濃度を n-ヘキサンを用いた溶媒抽出法により測定した。その結果、トリクロロエチレン濃度は1.8ppmであり、浮上性粒状担体を用いることにより注入領域の上部においても効率よくトリクロロエチレンを分解できることがわかった。
【0042】比較例2(非浮上性粒状担体への分解微生物JM1株の固定とトリクロロエチレン分解)
(1)実施例2(1)と同様にして、粒状担体にJM1株を固定した。用いた粒状担体は粒径0.18mm、密度1.03g/cm3(マイクロキャリア、旭化成製)80gである。実施例2(1)と同様に固定された微生物数を求めたところ、粒状担体1g当たりにおよそ4×109個のJM1株が固定されていることがわかった。
【0043】(2)実施例2(2)と同様にして、トリクロロエチレンで汚染させた砂利層を作製し、これに6.8リットルの緩衝溶液を入れた。JM1株を固定した粒状担体80gを緩衝溶液0.7リットルと混合し、これを注入管よりステンレスポットの下部から注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、トリクロロエチレン濃度を n-ヘキサンを用いた溶媒抽出法により測定したところ、トリクロロエチレン濃度は3.3ppmであった。
【0044】(3)粒状担体を注入して2時間後、ポット中心部分の含水をサンプリングし、トリクロロエチレン濃度を n-ヘキサンを用いた溶媒抽出法に従い測定した。その結果、トリクロロエチレン濃度は3.1ppmであり、非浮上性粒状担体を用いると注入領域の上部においてトリクロロエチレンを分解できないことがわかった。
【0045】実施例3(浮上性粒状担体と空気注入を併用したフェノール分解)
(1)実施例1(1)と同様にして、粒径0.1mm、密度0.1g/cm3の多孔質セルロース粒状担体(ビスコパール、レンゴー製)8 g にJ1株を固定した。
【0046】(2)内径32cm、高さ30cmの円柱型ステンレスポットに含水比10%の砂を充填した。このときの砂の重量は35kg、目測による平均空隙径は0.1mmであった。また、このステンレスポットの中心下部より微生物を固定した粒状担体を注入するための注入管(直径1cm)を取り付けた。この砂中のフェノール濃度が砂層の水に対して10ppmとなるようにフェノールで汚染させて試験に供した。このステンレスポットに緩衝溶液8.9リットルを入れ、ついでJ1株を固定した粒状担体8gを緩衝溶液0.7リットルと混合したものを注入管よりステンレスポットの下部から注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は1.9ppmであり、計算値2.0ppmとほぼ一致した。
【0047】(3)砂の空隙径は粒状担体とほぼ同じなので、砂のフィルター効果により粒状担体は浮上できない。そこで、粒状担体注入後に注入管から空気を注入して、粒状担体の浮上性を促進した。空気の注入は1時間に1回、流量100ml/分で5分間行い、粒状担体を注入して10時間後、粒状担体の一部分がステンレスポットの表面に浮上してきたところでポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は0.2ppmであり、浮上性粒状担体と空気注入を併用することにより注入領域の上部においてもフェノールを効率よく分解できることがわかった。
【0048】実施例4(浮上性粒状担体と土壌振動を併用したフェノール分解)
(1)実施例1(1)と同様にして、粒径0.1mm、密度0.1g/cm3の多孔質セルロース粒状担体(ビスコパール、レンゴー製)8gにJ1株を固定した。
【0049】(2)実施例3(2)と同様に、フェノールで汚染させた砂層を作製し、緩衝溶液及び粒状担体を注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定したところ、フェノール濃度は砂層の水に対して1.8ppmであり、計算値2.0ppmとほぼ一致した。
【0050】(3)砂の空隙径は粒状担体とほぼ同じなので、砂のフィルター効果により粒状担体は浮上できない。そこで、粒状担体注入後に土壌を振動させて、粒状担体の浮上性を促進した。土壌振動にはバイブロ(100W)を用い、1時間に1回、10分間行った。粒状担体を注入して8時間後、粒状担体の一部分がステンレスポットの表面に浮上してきたところでポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は0.4ppmであり、浮上性粒状担体と土壌振動を併用することにより注入領域の上部においてもフェノールを効率よく分解できることがわかった。
【0051】比較例3(浮上性粒状担体を利用したフェノール分解)
(1)実施例3(1)と同様にして、粒径0.1mm、密度0.1g/cm3の多孔質セルロース粒状担体(ビスコパール、レンゴー製)8gにJ1株を固定した。
【0052】(2)実施例3(2)と同様にして、フェノールで汚染させた砂層を作製し、これに緩衝溶液及び粒状担体を注入した。注入直後のポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定したところ、フェノール濃度は砂層の水に対して1.8ppmであり、計算値2.0ppmとほぼ一致した。
【0053】(3)粒状担体を注入して10時間後、ポット中心部分の水をサンプリングし、フェノール濃度をJIS法に従い測定した。その結果、フェノール濃度は1.7ppmであり、空気注入あるいは土壌振動を併用しないと注入領域の上部におけるフェノールを分解できないことがわかった。
【0054】
【発明の効果】本発明によって、汚染された土壌と地下水の効率的な微生物学的浄化が可能となった。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】若林 忠 (外4名)
【公開番号】 特開平11−179337
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−358095