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油汚染土壌の修復方法及びその装置 - 特開平11−179336 | j-tokkyo
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【発明の名称】 油汚染土壌の修復方法及びその装置
【発明者】 【氏名】牛尾 亮三
【氏名】北川 明子
【課題】土壌パイル内での油分解微生物の活動を効率的に立ちあげ、油汚染土壌を従来に比べて短期間で効率良く修復処理する方法を提供する。

【解決手段】土壌パイル1からの油分及び土着微生物を含む浸出水を第一貯水槽4に貯溜し、微生物用栄養組成物を添加撹拌して油分解微生物を増殖させ、その第一貯水槽4内の浸出水を第二貯水槽6に移し、水又は油分含有水を加え撹拌して油分解微生物を更に増殖させた後、土壌パイル1に注水する操作を繰り返して、土壌パイル1中の汚染油分を微生物により分解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土壌パイルから油分及び土着微生物を含む浸出水を回収して第一貯水槽に貯溜し、第一貯水槽内の浸出水に微生物用栄養組成物を添加して撹拌することにより油分解微生物を増殖させ、その後第一貯水槽内の浸出水を第二貯水槽に移し、水又は油分含有水を加えて撹拌することにより油分解微生物を更に増殖させた後、前記土壌パイル中に第二貯水槽内の水を注水し、以上の操作を繰り返して土壌パイル中の汚染油分を微生物により分解することを特徴とする油汚染土壌の修復方法。
【請求項2】 油分解微生物を含む第二貯水槽内の浸出水中の微生物濃度が総好気性従属栄養細菌数で10の7乗個/ml以上10の9乗個/ml以下の範囲内に増加した後、土壌パイルに注水することを特徴とする、請求項1に記載の油汚染土壌の修復方法。
【請求項3】 土壌パイルからの浸出水を回収する浸出水回収設備と、該浸出水回収設備から供給された浸出水を貯溜するための、微生物用栄養組成物の投入口及び撹拌手段を備えた第一貯水槽と、該第一貯水槽から供給された浸出水を貯溜するための、水又は油分含有水の注入口及び撹拌手段を備えた第二貯水槽と、該第二貯水槽内の水を前記土壌パイル中に注水する注水設備とを備えたことを特徴とする油汚染土壌の修復装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原油、重油、軽油、灯油、ガソリン、その他の石油系炭化水素などの漏出により油汚染された土壌を、微生物分解活性による油分分解作用を利用して低コストで修復処理する方法、及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在社会問題となっている市街地での土壌汚染のなかでも、最近はガソリンや軽油の地下タンクの漏洩問題が深刻化しつつある。特に今後、不採算ガソリンスタンドの整理がなされていく過程で、これらの土地の石油系炭化水素で汚染された土壌を大量に修復処理しなくてはならない時代に入るといわれている。
【0003】このような油汚染土壌の修復処理技術の一つとして、焼却処理法がある。この方法は、油汚染された土壌を専用のキルンで焼却する方法であるが、現行規模の一機当たり一日100トン程度の処理能力では、能力的にみて将来の大量処理に対応できないばかりか、特に運用コストにおいて課題が多いとされている。
【0004】これに対して、微生物式の修復処理技術は特にコスト面で有利とされ、各種の方法が検討されている。この微生物式の修復法は、大別して3つの形態に分けることができる。その一つはランドファーミング法といわれる方法であり、広い敷地に汚染土壌を畑のように拡げ、散水と耕耘を繰り返しつつ、汚染油分が微生物によって自然に分解されるのを待つ方法であるが、国土の狭い日本では不向きな方法であるといえる。
【0005】微生物式修復法の二つ目は、土壌パイル法又はコンポスト法と呼ばれている方法である。この方法は、油汚染土壌で最大2m〜3m程度の高さの土壌パイルを作り、その内部に空気や微生物増殖用栄養を供給することにより、土壌中の好気性従属栄養細菌の活動を活性化させ、汚染油分を微生物分解活性により分解除去するものである。この方法は、前記ランドファーミング法と比べ、比較的狭い敷地で実施できる利点がある。
【0006】また、三つ目の微生物式修復法はスラリー処理法であり、スラリー化させた流動状態の油汚染土壌に微生物を作用させる方法である。この方法は、微生物による汚染油分の分解スピードには優れるが、処理設備が大がかりになるという難点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した土壌パイル法による修復方法では、土壌パイルに対して空気を送り込んだり、栄養塩水や微生物製剤を供給し、必要に応じて土壌パイルの機械的切り返しを行いながら、微生物による汚染油分の分解を行い、土壌パイル下部からの浸出水は新しい水と加えて土壌パイルへ還流させている。しかしながら、この土壌パイル法には以下に述べるような問題が存在する。
【0008】まず、微生物の供給元として市販の微生物製剤を利用する場合、若しくは元々の汚染土壌に生息している土着微生物のみで分解を起こさせる場合のどちらであっても、油分の分解作用を持つ微生物が土壌パイルの隅々までの領域で増加し、全域での油分分解速度が有意な大きさになるまでにはある程度の長い期間を必要とするため、修復処理期間が極めて長くなるという欠点があった。
【0009】即ち、解放系である土壌パイルは当然に混合微生物系であり、その固有の土中環境に適した種類の数多くの細菌群が生息しているので、一時的な外部から栄養塩類等の物質補給の操作だけでは、必ずしも直ちに目的の油分解微生物が土壌パイル中の全領域で優占種として増えてくるわけではない。
【0010】微生物製剤を使う場合にも、例え微生物製剤を満遍なく土壌パイル中に植え付けたとしても、その植え付けられた外来の微生物は土壌中に元々生息する多くの土着微生物との間で生存競争を繰り広げながら、その後緩やかにその個体数が増えていくに過ぎない。従って、添加する微生物製剤の微生物濃度がいかに高くても、どの程度早く処理対象である土壌パイル中で増殖を開始するかは不確実であるうえ、環境への不適合から投入した微生物が死滅するケースさえ存在する。しかるに、あらゆる土壌に適合して、即座に馴化及び増殖していくような理想的な油汚染土壌修復用の微生物製剤は提供されていない現状である。
【0011】また、油汚染土壌の中で比較的分解されやすい油成分が微生物により分解され尽くされた後、微生物による分解対象がそれまでに十分分解されていなかった難分解油成分に及んでいくのであるが、この難分解油成分の分解速度が従来の土壌パイル法では極めて遅かった。
【0012】このような現状であるから、従来の土壌パイル法では、特に重質油などによる数%以上の汚染規模の油汚染土壌を修復する場合、微生物による効果的な油分解作用を土壌に根付かせるのに要する期間も含め、最低でも半年以上の極めて長い修復処理期間が必要とされていたのである。
【0013】この修復処理期間を短縮するため、酸素や栄養組成物の土壌パイルへの供給方式については種々の改良が加えられてきている。しかし、これらの改良方法によっても、修復処理の初動期における油分解微生物の土壌定着速度を高める点については未だ抜本的な改良にまでは至っていない。また、難分解油成分へ分解対象がシフトしていく過程で、微生物の菌種構成の変化速度を高めることも実現されていなかった。
【0014】本発明は、このような従来の事情に鑑み、土壌パイル内での油分解微生物の活動を効率的に立ちあげ、また難分解油成分の分解を促進して、油汚染土壌を従来に比べて短期間で効率良く修復処理することができる油汚染土壌の修復方法、及びそのための装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明が提供する油汚染土壌の修復方法は、土壌パイルから油分及び土着微生物を含む浸出水を回収して第一貯水槽に貯溜し、第一貯水槽内の浸出水に微生物用栄養組成物を添加して撹拌することにより油分解微生物を増殖させ、その後第一貯水槽内の浸出水を第二貯水槽に移し、水又は油分含有水を加えて撹拌することにより油分解微生物を更に増殖させた後、前記土壌パイル中に第二貯水槽内の水を注水し、以上の操作を繰り返して土壌パイル中の汚染油分を微生物により分解することを特徴とする。
【0016】また、本発明による油汚染土壌の修復装置は、土壌パイルからの浸出水を回収する浸出水回収設備と、該浸出水回収設備から供給された浸出水を貯溜するための、微生物用栄養組成物の投入口及び撹拌手段を備えた第一貯水槽と、該第一貯水槽から供給された浸出水を貯溜するための、水又は油分含有水の注入口及び撹拌手段を備えた第二貯水槽と、該第二貯水槽内の水を前記土壌パイル中に注水する注水設備とを備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、土壌パイル内での油分解微生物の活動を、今までになく効率的に立ち上げることを主眼としている。即ち、本発明では、処理対象である油汚染土壌に住む土着微生物を土壌パイルからの浸出水と共に取り出し、その中から目的の油分解作用を有する微生物を土壌パイルとは別に設けた貯水槽内で短期間のうちに増殖させた後、再び土壌パイル内に戻すのである。
【0018】処理対象である個々の油汚染土壌には、それぞれの固有の土中環境に応じて、その環境になじみやすい土着種といえる微生物群が定着している。従って、それらの土着微生物の中の油分解作用を持つものは、微生物製剤の形で添加される外来の微生物に比べて、処理すべき油汚染土壌への環境適応性に優れている。このため、上記のごとく土着微生物を培養増殖して土壌パイル内に戻す本発明では、土壌パイル内で油分解微生物の活動を短期間で効率的に立ち上げることができるのである。
【0019】次に、図1に基づいて本発明を詳しく説明する。汚染現場から掘り出した油汚染土壌を積み上げて土壌パイル1を作り、その下に敷いた防水シート2やピット3などの浸出水回収設備により、土壌パイル1からの浸出水を集めて回収する。この浸出水には、その土壌由来の多種の土着微生物が含まれると共に、土壌中の汚染物質である石油系炭化水素の中でも分子量が比較的低く、水に溶けやすい油成分が多く含まれている。尚、これらの低分子量の油成分は、一般に微生物にとって比較的利用しやすいものである。
【0020】ピット3に回収された浸出水は、送水ポンプ5aにより第一貯水槽4に供給される。第一貯水槽4では、浸出水に対して微生物増殖に必要な窒素源などの栄養組成物を投入口4aから添加し、撹拌機4bなどの撹拌手段により栄養組成物や酸素が行き渡るように撹拌する。第一貯水槽4にはセンサー4cを設置して、浸出水の溶存酸素濃度とpHを監視し、必要に応じてそれらを調整することが好ましい。尚、撹拌手段としては、撹拌機4bの他に、エアレーションを用いるか又は併用してもよい。
【0021】第一貯水槽4内の浸出水に土着微生物が増殖するのに十分な炭素源が与えられていない場合には、その増殖を補助する目的で、限定された量の任意の炭化水素成分を人為的に第一貯水槽4に添加することができる。この場合、一時的に汚染の度合を大きくするようにみえるが、第一貯水槽4の容量は通常1000リットル以下と小さいから、後述する第二貯水槽6を含めた貯水槽全体の液量に比べて炭化水素成分の添加量は極めて少ないうえ、添加された炭化水素成分も後段の第二貯水槽6で分解が更に進むため、土壌パイル1へ送水される際にはほぼ分解し尽くされているので何ら影響はない。
【0022】第一貯水槽4で増殖する微生物種については、サンプリングしてその性状を遂次チェックすることが好ましい。土壌パイル1中の油分を分解する能力がある微生物種が第一貯水槽4に所定濃度以上に増殖した段階で、第一貯水槽4内の浸出水を送水ポンプ5bにより第二貯水槽6に送る。第一貯水槽4から第二貯水槽6に浸出水を移すときの微生物濃度は、第一及び第二貯水槽4、6の容量その他の条件により任意に定めることができるが、一般的には総好気性従属栄養細菌数で10の7乗個/ml以上であることが望ましい。
【0023】次に、第二貯水槽6においては、注入口6aから水又は油含有水を加え、撹拌機6bにより更に撹拌を続ける。ここで油含有水とは、土壌パイル1からの浸出水のほか、油汚染土壌を掘り出したときの汲み上げ水、掘り出した油汚染土壌を洗浄した洗浄水なども利用でき、若しくは別途炭化水素成分を添加した水であっても良い。尚、撹拌方法としては、通常の撹拌機6bの他にも、エアレーションポンプ6cによるエアレーションを用いるか又は併用することができる。
【0024】この第二貯水槽6では、引き続きおこる旺盛な微生物による油分解作用を受けて、供給初期の油分濃度が次第に減少してくる。約2日程度の期間の後、第二貯水槽6中の油分解微生物濃度が極大に達し、油分濃度が所定の値以下に下がった時点で、第二貯水槽6内の水を送水ポンプ5cにより送水管7を通して土壌パイル1へ送水し、第二貯水槽6内で増殖した油分解微生物を土壌パイル1に戻して移植する。この時の第二貯水槽6内の微生物濃度は、土壌パイル1中での油分解微生物の活動を効率的に立ち上げるため、総好気性従属栄養細菌数で10の7乗個/ml以上であることが好ましい。しかし、細菌数が多すぎると土壌パイルへの注水地点近くでの透水性低下が懸念されるため、10の9乗個/ml以下であることとが望ましい。
【0025】また、第二貯水槽6内の水中には、土着微生物が第二貯水槽6で増殖する過程で分泌した生物系界面活性剤(バイオサーファクタント)も高濃度で蓄えられるので、このバイオサーファクタントを増殖した油分解微生物と共に土壌パイル1中に送り込むことになる。従って、バイオサーファクタントの働きによって、修復処理開始後の早い段階から、土壌パイル1中での微生物と油分との接触効率が向上する。その結果、本発明では、油分解微生物の初期大量添加が可能になるだけでなく、油分と微生物の接触効率の早期向上が得られるので、微生物製剤等の投入に比べて、より迅速な油分解作用が期待できる。
【0026】第一貯水槽4から第二貯水槽6への送水頻度、及び第二貯水槽6から土壌パイル1への送水頻度と送水量は、各貯水槽4、6内での油分解微生物の増殖状況によって任意に設定することができる。第一貯水槽4から第二貯水槽6に送水する際には、第一貯水槽4内の全量を一度に移すことはせず、一部を第一貯水槽4に残すことにより、第一貯水槽4における油分解微生物の菌種構成と勢いを維持することが容易となる。ただし、第二貯水槽6から土壌パイル1には、槽内水の全量を注水してもかまわない。
【0027】第二貯水槽6から土壌パイル1に注水する際には、油分解微生物の濃度を過度に希釈しない程度に、第二貯水槽6に水を合流させても良い。また、使用する第二貯水槽6の容量の規模が小さく、且つ土壌パイル1からの水分の揮発速度が大きいため、土壌パイル1の乾燥を防ぐのに十分な注水量を一度に得ることが難しいような場合には、別の送水設備から土壌パイル1への送水を併用することもできる。
【0028】尚、第二貯水槽6には、増殖した微生物に由来する蛋白分などが沈澱し、槽底部に溜まってくるので、定期的に底部排出口6dから抜き取ることが好ましい。また、寒冷地などの低温環境下においては、微生物の一定の増殖速度を維持できるように、第一貯水槽4と第二貯水槽6にヒーターなどの水温を一定に保つ設備を設けることもできる。土壌パイル1への注水は部分的に偏らないように注意を払う必要があるが、粘土質を多く含むような土壌の場合には、注水する水中の微生物による閉塞が起きないように、注水管7の出水孔の数を出来るだけ多くしておくことが望ましい。
【0029】本発明においても、通常の土壌パイル法と同様に、微生物の活動を助けるために、土壌パイル1中に空気を供給することが好ましい。例えば、送風機8を用いて、土壌パイル1の下部に挿入した送風管8aを通して空気を送り込み、土壌パイル1の上部に挿入した排気管8bから回収することが好ましい。また、土壌パイル1の表面には、乾燥防止のため及び外気からの保温のために、覆い9を施すことが望ましい。
【0030】本発明では、以上のような操作を繰り返し実施することよにり、土壌パイル1中に土着種である増殖期の油分解微生物を繰り返し注入して、土壌中における油分解の初動速度の向上を図ることができる。その結果、従来の土壌パイル法に比べて遥かに短い期間で油汚染土壌の修復を行うことができるのである。
【0031】その実施の際に、土壌パイル1中の易分解性油成分、例えば、n−アルカン成分などが殆ど分解され尽くした後に、比較的難分解性の油成分が残存する場合もありうる。そのような場合には、最初から難分解油成分についても分解可能な微生物を増殖させるように、最初に第一貯水槽4に加える栄養組成物と共に、少量の最適な炭化水素成分を調整して添加する。または、易分解油成分が分解された後で、同様に難分解油成分を分解する微生物に対応する栄養組成物を調整して、第一貯水槽4に添加しても良い。このようにして、修復の比較的初期の段階から、第一貯水槽4に加える栄養組成物や炭素源の種類を調整することにより、土着微生物の中で各種の難分解性油成分の分解能を持つ微生物種の成育を、人為的に優先させることが可能である。
【0032】ところで、土壌パイル1の作製のため油汚染土壌を汚染現場から掘り出す際、帯水層近くまで掘り進む場合には、掘り出しと同時に地下水を地上に汲み上げる必要がある。この汲み上げ水には油分が混ざっているので、油水分離器で処理するのが通常であるが、油分を分離した後の水にも比較的低分子の炭化水素系成分が存在するため、そのまま放流することはできない。本発明では、このような炭化水素で汚染された汲み上げ水についても、土壌パイル1からの浸出水と同様に第一貯水槽4又は第二貯水槽6に供給し、それらの油分を微生物の餌として分解処理することができる。
【0033】また、油汚染土壌の油含有量が一般に土壌パイルでの微生物処理能力を越える10重量%以上である場合には、予め界面活性剤等を含む水により洗浄処理し、油含有量を例えば5重量%程度以下に低下させた後、土壌パイル法による修復を行うのが通常である。この場合、油汚染土壌を洗浄した洗浄水は、油分を含むのでそのまま放流せず、本発明における浸出水又は油含有水として第一貯水槽4又は第二貯水槽6に導入すれば、これらの貯水槽4、6と土壌パイル1の両方の場所で、含まれる油分の分解処理を行うことができる。
【0034】尚、汚染土壌の水洗浄処理時に添加した非イオン系などの界面活性剤は、第二貯水槽6内で油成分が分解された後に水中でその一部はフリーとなるため、それが第二貯水槽6からの注水により再び土壌パイル1に戻されて、微生物と油分との接触機会を増進させて、油分解を補助する役割を果す。
【0035】本発明は土着微生物を活用するが、たまたま利用できる微生物製剤と修復対象土壌との相性がいい場合には、本発明に微生物製剤の利用を組み合わせることも可能である。その場合、第一貯水槽もしくは第二貯水槽において微生物製剤に由来する微生物を増殖させることで、消費する微生物製剤量の大幅な節約が可能となり、コスト面で大きなメリットとなる。
【0036】尚、本発明における油汚染土壌の修復において、修復対象の汚染物質は特に制限されるものではない。修復対象となる油汚染物質を例示すると、石油系炭化水素として、ガソリン、軽油、灯油、重油、原油、機械油、潤滑油、防腐油などがあり、それらの成分としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ケトンなどがあるが、その他にも、塩素系炭化水素類、例えばペンタクロロフェノールなども含まれる。
【0037】
【実施例】軽油が平均で20000mg/kg含まれている油汚染土壌を掘り出し、ビニールシートを敷いた地面の上に高さ約100cmに積み上げて、重さ2トンの土壌パイルを形成した。このように形成した2つの土壌パイルの一方には、図1に示す本発明の修復方法による実験装置を設置した。他方の土壌パイルには、従来の土壌パイル法に従った比較実験を行うため、単に還流水配管のみを備えた実験装置を設置した。それぞれの油汚染土壌について、以下のごとく修復操作を実施したが、両実験共に修復期間中は送風機により空気を一定量でそれぞれの土壌パイル中に供給し続けた。
【0038】本発明の修復方法においては、最初に土壌パイル1に散水し、土壌パイル1の下部からの浸出水をピット3に回収した。ピット3に集めた浸出水の上澄み液200リットルを、容量300リットルの第一貯水槽4に入れ、窒素源を含む微生物培地と、予め汚染源に最も多く含まれる種類の油から分画操作等により分子量約200以上を対象に抽出した飽和炭化水素成分約200g、及び同じく分子量約200以上を対象に抽出した比較的に水溶性の乏しいものも含めた芳香族成分約100gを添加して、pHを7.2に調整した。その後、第一貯水槽4に設置した撹拌機4bにより撹拌を続け、撹拌中は第一貯水槽4内の浸出水の温度を土壌パイル1内部の温度と同じ20℃に保持した。
【0039】24時間経過後、油分解微生物を含む第一貯水槽4の浸出水中の微生物濃度が総好気性従属栄養細菌数にして10の7乗個/ml以上にまで増えたため、この時点で第一貯水槽4内の浸出水の9割を容量2000リットルの第二貯水槽6に移した。第二貯水槽6においては、油汚染土壌を掘り出した際に回収した油分を含む汲み上げ水1000リットル及び新規水320リットルをそれぞれ加え、第二貯水槽6中の水量を合計1500リットルとした。
【0040】その後、第一貯水槽4には土壌パイル1からの浸出水を追加し、再び同様の培地と油分を添加して撹拌を継続した。一方、第二貯水槽6では、浸出水の温度を20℃に保持しながら、エアレーションと共に撹拌機6bによる撹拌を続けた。2日経過後、第二貯水槽6内の油分含有濃度が100mg/l以下になり、微生物濃度が総好気性従属栄養細菌数にして10の7乗個/ml以上にまで増えたため、第二貯水槽6内の水の全量を土壌パイル1に送水した。
【0041】以降、同様の操作を平均約2日のサイクルで繰り返し、土壌パイル1への注水と、常時の空気注入を共に継続した。尚、数日おきに土壌パイル1の中心部数カ所の土を採取し、その中の微生物濃度を計測した。その結果、修復操作開始時には土壌中の平均微生物濃度(好気性従属栄養細菌数)が10の5乗CFU/g台であったが、操作開始後3サイクルを経た10日目には既に10の7乗CFU/gを越えていた。このため、その時点以降の浸出水には、揮発分に相当する量の新規水を加えたうえで、炭化水素等の炭素源を新たには加えずに、窒素源入り培地成分のみを添加して調整し、第二貯水槽6の容量で1サイクル量にあたる都合1500リットルをやはり同じ約2日の期間内に土壌パイル1に注水した。そして、操作開始後80日目に土壌パイル中の油分含有量の測定を行った結果、その平均油分含有量は500mg/kgにまで低下していた。
【0042】一方、従来の土壌パイル法に従った比較実験においては、上記本発明例の修復方法で採用した注水タイミングに合わせて、本発明例と同量の窒素源入り培地組成に調整した水を注入した。注入後に土壌パイルから浸出した水は回収し、揮発分に相当する量の新規水を加えたうえで、同様に培地組成に調整し、本発明例での注入タイミングに合わせて再び土壌パイルへ還流させた。
【0043】このようにして、80日後に再び土壌パイル中の油分含有量の測定を行った結果、比較実験のの土壌パイル中の平均油分含有量は2000mg/kgであり、上記本発明例に比較して極めて大きな残量であった。また、微生物分析の結果では、土壌パイル中の平均微生物濃度(好気性従属栄養細菌数)が10の7乗CFU/gを越えたのは20サイクルを経た40日目であって、上記本発明例に比べて30日も遅かった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、処理対象である油汚染土壌に住む土着微生物を土壌パイルの浸出水と共に採取し、その中の油分解作用を有する微生物を2段の貯水槽内で短期間のうちに増殖させた後に、元の土壌パイル内に注入することによって、土壌パイル内での油分解微生物の活動を今までになく効率的に立ち上げさせ、油汚染土壌の修復期間を従来に比べて飛躍的に短縮することができる。
【0045】また、貯水槽中での微生物活動により発生した生物系界面活性剤(バイオサーファクタント)についても、油分解微生物と共に土壌パイル中に導入することができるので、土壌パイル中での油分と微生物との接触効率が向上して油分解速度が更に高められ、修復期間をより一層短縮することができる。更に、汚染物質中に難分解油成分が存在する場合にも、使用する栄養組成物の調整などにより難分解油成分を分解する微生物を貯水槽内で増殖させることで、難分解油成分の分解を修復初期から促進することができる。
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒
【公開番号】 特開平11−179336
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−348852