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【発明の名称】 土壌汚染物質の除去方法
【発明者】 【氏名】平山 利晶
【氏名】古川 正修
【氏名】山内 仁
【課題】吸水渠を構成する複数の水平井戸を所定の間隔に設け、かつ水平井戸の不飽和帯における重力水の吸引力を高めて土壌汚染物による地下水の汚染を確実に防止するようにした土壌汚染物質の除去方法を提供する【解決手段】 不飽和帯2に存在する汚染帯25の下方に所定の間隔Wをあけて複数の水平井戸孔101を掘削して暗渠1を構築する。次いで、地表GLから汚染帯25を経て地中に浸透して汚染物質を溶解する重力水40を前記各水平井戸に形成されたスクリーンSから強制的に集水する。さらに、集水された重力水40を排出する。また、水平井戸10に重力水40を集水するには水平井戸10の内部に空気を吸引して水平井戸孔101の周辺の地層31を乾燥させ、この部分に毛管現象を生じさせる。

【解決手段】不飽和帯2に存在する汚染帯25の下方に所定の間隔Wをあけて複数の水平井戸孔101を掘削して暗渠1を構築する。次いで、地表GLから汚染帯25を経て地中に浸透して汚染物質を溶解する重力水40を前記各水平井戸に形成されたスクリーンSから強制的に集水する。さらに、集水された重力水40を排出する。また、水平井戸10に重力水40を集水するには水平井戸10の内部に空気を吸引して水平井戸孔101の周辺の地層31を乾燥させ、この部分に毛管現象を生じさせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不飽和帯に存在する汚染帯の下方に所定の間隔をあけて複数の水平井戸孔を掘削して暗渠を構築する工程と、地表から汚染帯に浸透して汚染物質が溶解した重力水を前記各水平井戸に形成されたスクリーンから強制的に集水する工程と、前記集水された重力水を排出する工程とを含み、前記汚染物質の溶解した重力水が帯水層に移動するのを防止することを特徴とする土壌汚染物質の除去方法。
【請求項2】 前記水平井戸内に強制的に重力水を集水する工程は、水平井戸の内部に空気を吸引して水平井戸孔の周辺の地層を乾燥させて乾燥ゾーンを形成し、該乾燥ゾーンに生じる毛管現象により前記重力水を井戸孔の内部に吸引することを特徴とする土壌汚染物質の除去方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土壌汚染物質の除去方法に関し、更に詳細に言えば地下水面より上の地層である不飽和帯に存在する硝酸性窒素、あるいはカドミウム、砒素、銅、六化クロム、水銀のような重金属等の低揮発性物質の除去方法であり、かかる土壌汚染物質を溶解した雨水などが移動または降下浸透して帯水層に到達する前に強制的に回収して、土壌汚染物質の浄化を可能にした暗渠排水による土壌汚染物質の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、暗渠による排水には図6及び図7に示すような構造の暗渠が用いられている。該暗渠1は図7に示すように地表GLから地下水位WLとほぼ同一の深さDに開削して、所定の間隔Wを隔てて複数の吸水渠3を配設して地表GLから流下する重力水を吸水するようになっている。そして、前記複数の吸水渠3は吸水渠3よりも深く掘削された集水渠4に接続していて、前記吸水渠3から前記重力水を集水する。さらに、前記集水渠4は水甲5を通じて集水渠4よりも一層深く掘削された排水路6に通じていて、前記集水路から前記重力水を排水するようにしている。
【0003】ところで、上記のような暗渠1の掘削は開削により行われているため、暗渠を掘削するのは大規模な工事を要するためコストアップとなり、しかも、長時間を必要とした。そこで、近時、開削することなしに水平井戸を掘削することによって、安価で短時間に暗渠を掘削することが行われるようになってきた。
【0004】すなわち、図2に示すような暗渠を構成する水平井戸10を掘削するには、図4に例示するように所定の距離Lを隔てて両端に小ピットを穿設して一方を貫入坑12とし、他方を到達坑13とする。地上に配置されたパワーユニットトラック7を駆動してドリルユニット14で案内しながらロッド8の先端のドリルヘッド9に設けた掘削工具15を回転させ、貫入坑12から所定の角度αで斜めに掘進する。その際、滑材として清水などを掘削工具15の先端からジェット噴射させて土壌を切り崩しながら水平井戸孔101を掘進する。なお、ドリルヘッド9には発信器が設けられていて、この発信器から発射される信号電波を地上においてフローケータ16で検知してドリルヘッド9の掘進位置を確認する。
【0005】水平井戸10の掘進が終了したら、図5に示すように前記ロッド8の先端には掘削工具15に代えてリーマ17を取り付ける。さらに前記リーマ17に続いて多数の孔18をあけてスクリーンSを構成した筒状の井戸材料19をジョイント21を介して取り付けて、滑材である清水などをジェット噴射させながら前記リーマ17を回転させ、図5に矢印Bで示すように水平井戸孔101の掘削方向とは反対方向に移動させることにより水平井戸孔101を拡径する。これと同時に、井戸材料19を狭い水平井戸孔101に強制的に引き込むことによって水平井戸10を形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の暗渠を構成する水平井戸10の掘削方法によれば、安価にかつ短時間に水平井戸を掘削することが可能になったが、井戸材料19を狭い井戸孔内に強制的に引き込むから、水平井戸孔101の壁面が圧縮されて透水性や通気性がきわめて悪くなり、垂直井戸に比して単位スクリーン長当たりの吸水量が少なくなるという問題があった。
【0007】そして、土壌汚染物質が硝酸塩や重金属等の低揮発性物質である場合には、該土壌汚染物質は汚染帯25(図1)に停滞しているが、一旦降雨や降雪があるとこの低揮発性汚染物質は雨水や雪解け水などに溶け出して図7に示すように重力水40として徐々に帯水層20へ向けて降下浸透する。従来の暗渠では前記重力水の全てを捕捉することができず、その結果、帯水層20への土壌汚染物質の浸入を招来し、土壌汚染や地下水汚染の広がりを阻止するのは困難であった。
【0008】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、暗渠を構成する複数の水平井戸を所定の間隔に設け、かつ暗渠の重力水吸引力を高めて土壌汚染物質による土壌の広範な汚染を確実に防止するようにした土壌汚染物質の除去方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は土壌汚染物質の除去方法であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明の土壌汚染物質の除去方法はは、不飽和帯に存在する汚染帯の下方に所定の間隔をあけて複数の水平井戸孔を掘削して暗渠を構築する工程と、地表から汚染帯に浸透して汚染物質を溶解した重力水を前記各水平井戸に形成されたスクリーンから強制的に集水する工程と、前記集水された重力水を排出する工程とを含み、前記汚染物質の溶解した重力水が帯水層に到達するのを防止することを特徴とする(請求項1)。
【0010】本発明において、前記暗渠1を構成する複数の水平井戸孔101の間隔は前記汚染物質を溶解して降下浸透する雨水などを確実に捕捉するに十分な距離であり、当該地層の透水性などの土質条件に応じて設定される。また、前記重力水は、降雪や降雨により地中に浸透する天水、河川水や湖沼水である地表水を含むものとする。
【0011】また、前記土壌汚染物質を溶解する重力水を水平井戸に形成されたスクリーンから強制的に集水するには、ファンやブロア、コンプレッサなどにより井戸孔内の空気を減圧して暗渠周辺の地層を乾燥させ、重力水を強制的に集水するのが好ましい。
【0012】さらに、集水された動力水を排出するには、地上設置型の自給式ポンプ(真空ポンプ)や水中ポンプなどを使用することが好ましい。
【0013】また、土壌汚染物質の除去方法は、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。すなわち、前記水平井戸内に強制的に重力水を集水する工程は、水平井戸の内部に空気を吸引して水平井戸孔の周辺の地層を乾燥させて乾燥ゾーンを形成し、該乾燥ゾーンに生じる毛管現象により前記重力水を井戸孔の内部に吸引することを特徴とする(請求項2)。
【0014】本発明において、前記井戸孔の周囲の地層を乾燥状態にするには、ファンやブロア、コンプレッサなどで井戸内の空気を減圧して吸引して真空乾燥させたり、あるいは水平井戸孔101内に風速を大にして空気を送ったり、熱風を送るなど適宜の有効な手段を講ずることができる。
【0015】本発明に係る土壌汚染物質の除去方法によれば、地表から浸透する過程の重力水は水平井戸孔に強制的に集水される。そのため、地上から汚染帯を経て地中に浸透する重力水に溶融した汚染物質は重力水と一緒に水平井戸内に集められて排出されることになり、帯水層に流下して地下水を汚染するようなことが防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の土壌汚染物質の除去方法を図に示される実施形態について更に詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。図1には本発明の一実施形態に係る土壌汚染物質の除去方法に用いられる暗渠を含む地層の断面と、暗渠を構成する水平井戸が降下浸透する重力水を吸引する時の状態を示す。また、図2は図1のII−II線における暗渠を構成する水平井戸の断面、図3は井戸周辺の空気の吸引過程を示す水平井戸の部分断面を示す。図4、図5は水平井戸の掘削状態の説明図である。
【0017】図1において地表GLの下方の不飽和帯2には硝酸性窒素や重金属などの低揮発性の土壌汚染物質が土壌に含まれている汚染帯25が存在する。この汚染帯25の下方に所定の深さDaと間隔Wをもち、図4及び図5に示すように掘削された複数の水平井戸10a、10bを掘削して暗渠1を構築する。前記水平井戸10a、10bは地上に開口する一対の開口部23、24を有するとともに、水平井戸孔101に井戸材料19を挿通する。
【0018】なお、図1においては2本の水平井戸10a、10bのみを示してあるが、汚染帯25の広さや土質に応じて3本以上の水平井戸を、適宜掘削することができることは言うまでもない。さらに、暗渠1の下方には不透水層29の上方に帯水層20が位置する。
【0019】前記一方の開口部23には地上にブロア(図示せず)が配置されている。該ブロアの吐出側から水平井戸孔101に圧縮空気を高速で送り込むようにしてある。また、前記他方の開口部24側には、地上設置型の自給式ポンプ(図示せず)が設置され、水平井戸内に集水された動力水を排出するようになっている。
【0020】ブロアを駆動して、図3に示すように開口部24側から水平井戸孔101の内部に空気を高速で流すことにより井戸内部の空気は減圧され、井戸周辺の地層の空気Aを水平井戸10のスクリーンSの多数の孔18から吸引する。この空気の流れによって水平井戸10の周辺の地層は真空乾燥される。このため、乾燥された地層は土粒子同士の間には微小なスキマが生じた状態となる。
【0021】図1に示すように、上記の水平井戸10の周辺の地層は等水圧線35aで囲まれ、かつ水平井戸10a、10bを直接囲む乾燥ゾーン31となる。さらに、前記乾燥ゾーン31の周囲には等水圧線35bに囲まれた半乾燥ゾーン32が形成される。そして、前記半乾燥ゾーン32の周囲を囲む等水圧線35cに囲まれる湿潤ゾーン33が形成される。等水圧線35は水平井戸10(10a、10b)の中心に向けて水圧は次第に低くなっていく。
【0022】かくして、降雨や降雪により地表GLから地中に浸透した重力水40は、図1に示すように不飽和帯2内を重力により自然流下する。乾燥ゾーン31では前述したように図示しない土粒子相互の間には微小なスキマを生じているので、毛管現象が生じて水分量の相違によって重力水40は水平井戸10a、10bのスクリーンSを構成する多数の孔18から水平井戸孔101内に強制的に吸引される。なお、隣接する水平井戸とは所定の間隔Wに設定してあり、水平井戸に吸引されないで帯水層20に浸透するような重力水41aの移動または降下浸透が生じることはない。
【0023】次いで、図示しない地上設置型の自給式ポンプや水中ポンプを作動させて重力水40を排出する。その後、動力水に溶解している硝酸性窒素や重金属を動力水から分離処理して土壌の浄化を行う。
【0024】さらに、図1の右側に位置する水平井戸10bのように下部にトレイ36を設置すると、水平井戸10の上方から降下する重力水40を受けて下流に流すことによって水平井戸10で吸収できなかった重力水40がさらに降下して帯水帯20に浸透して土壌を広く汚染するようなことは防止される。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の土壌汚染物質の除去方法によれば、不飽和帯に存在する汚染帯の下方に所定の間隔をあけて水平井戸を配置し、地表から汚染帯を経て地中に浸透して汚染物質を溶解する重力水を水平井戸に形成されたスクリーンから強制的に集水するので、前記水平井戸に前記重力水を確実に捕捉することができ、帯水層への前記重力水が移動するのを防止することによって、土壌汚染を効果的に阻止することが可能になる。
【0026】しかも、前記井戸内の空気を移動させて井戸周辺の地層を乾燥させることにより、毛管現象により重力水を強制的に井戸孔内に吸引するので、帯水層への前記の汚染物質を溶解した重力水の移動がより確実に防止される。
【0027】さらに、水平井戸の下部にトレイを設置すると、前記重力水を井戸内に捕捉することができない事態が生じても、前記トレイが前記汚染物質を溶解する重力水を受けて、これを排出することができるから、汚染物質の帯水層への浸透による汚染の広がりをなお一層確実に阻止することができる。
【出願人】 【識別番号】390023249
【氏名又は名称】国際航業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開平11−169836
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−363969