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【発明の名称】 汚染土壌の浄化方法及び装置
【発明者】 【氏名】三宅 崇史
【氏名】長野 早実
【氏名】栄藤 徹
【氏名】上島 直幸
【課題】汚染土壌中の有機溶剤を効率的に除去することを課題とする。

【解決手段】汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管1と、この吸引管1にドレントラップ5を介して接続された吸引ブロア6と、この吸引ブロア6の吐出側に接続され、有機溶剤を吸着・捕捉する吸着塔8とを具備することを特徴とする汚染土壌の浄化装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5mm間隔で吸引管を敷設し、この吸引管を介して汚染土壌中の有機溶媒を吸引回収し、同有機溶剤を吸着塔に導入して吸着剤により吸着・捕捉することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】 前記吸引管を2〜2.5m間隔で敷設してなることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】 汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管と、この吸引管にドレントラップを介して接続された吸引ブロアと、この吸引ブロアの吐出側に接続され、有機溶剤を吸着・捕捉する吸着塔とを具備することを特徴とする汚染土壌の浄化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は汚染土壌の浄化方法及び装置に関し、特に発ガン性のあるテトラクロルエチレン、トリクロルエチレン、ベンゼンなど(以下、有機溶剤)により汚染された土壌から有機溶剤を除去する汚染土壌の浄化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、汚染土壌中の有機溶剤は、搬出・廃棄したり、上層に新鮮な客土を入れて有機溶剤が気相に放散されることを防止したりすることが一般で、基本的な土壌浄化技術は模索の段階と言える。このため、土壌中の有機溶剤が雨水などにより土中に拡散浸透して地下水を汚染したり、生態に経口飲用されてガス誘発の危険性が指摘され、根本的な除去対策が切望されてきた。従来、土壌中にガスを注入または吸引して有機溶剤を脱着除去することは言われてきたが、最適な操作条件等は把握されていない。
【0003】実験室での測定でも、1000時間浄化率が30%であったり、96%であったするため、最適な浄化条件の探索が効率・能率を大きく支配し、重要な技術項目となってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5mm間隔で吸引管を敷設し、この吸引管を介して汚染土壌中の有機溶媒を吸引回収し、同有機溶剤を吸着塔に導入して吸着剤により吸着・捕捉することにより、汚染土壌中の有機溶剤を効率的に除去しうる汚染土壌の浄化方法を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管と、この吸引管にドレントラップを介して接続された吸引ブロアと、この吸引ブロアの吐出側に接続され、有機溶剤を吸着・捕捉する吸着塔とを具備した構成とすることにより、汚染土壌中の有機溶剤を効率的に除去しうる汚染土壌の浄化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明は、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5mm間隔で吸引管を敷設し、この吸引管を介して汚染土壌中の有機溶媒を吸引回収し、同有機溶剤を吸着塔に導入して吸着剤により吸着・捕捉することを特徴とする汚染土壌の浄化方法である。
【0007】第1の発明において、前記吸引管は2〜2.5m間隔で敷設することが好ましい。本願第2の発明は、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管と、この吸引管にドレントラップを介して接続された吸引ブロアと、この吸引ブロアの吐出側に接続され、有機溶剤を吸着・捕捉する吸着塔とを具備することを特徴とする汚染土壌の浄化装置である。
【0008】以下に、本発明についてさらに具体的に説明する。土壌中の有機溶媒を最も効率的に除去・浄化することは、本来修復措置であり建屋の建設計画等の点から安価にかつ早く、確実にしかも二次公害の恐れなく処理することが要求される。このためには、最も合理的なガス吸引条件の設定が大切で、吸引管の配置仕様、吸引条件の設定が上記要求を大きく支配することが確認されている。対象土壌は一般に砂浜等のような均質土砂ではないので、土壌層内のガス拡散、脱着溶剤条件に合致した仕様選定の重要さが増してくる。
【0009】本発明者らは、多数の基礎実験と種々のモデルによる確認試験における操作条件変化テストにより、吸引管内圧−(マイナス)100mm水柱で土壌層の垂直・水平方向に3〜3.5mまで吸引・拡散効果があることを見出だした。また、土壌層を移動する水分の挙動を加味して吸引管は堆積層200〜250mmの位置に敷設するのが妥当であることも把握した。このことは、多段に管を配置する際の二段目にの配置については堆積層の少なくとも3.2m以下の層に敷設する必要も確認している。
【0010】以上より、土壌堆積層の水平方向には少なくとも3m間隔で配管を敷設し、第二段はそれより少なくとも3m上層には位置した吸引(動力効率を加味した最も好ましい配置は水平・垂直とも2.0〜2.5m間隔で吸引管を配置)が適切で、システムは図1に基づくものが妥当との結論を得た。
【0011】また、土壌層に敷設する吸引配管は、ドレンの展開、砂粒・砂礫の吸引防止、土壌層の移動(層の締まり)等による管強度の最適化等から、管は2インチ程度の鉄または塩ビ管に15〜20mmの吸引口を100〜200mm間隔で設けた管の周囲にサランネット、不織布等のフィルタを巻いたものが適していることを把握した。また、活性炭塔は高賦活気相用に作られたミクロポア炭とし、ガス流れは下降流とした。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に使用される汚染土壌の浄化装置を図1を参照して説明する。但し、汚染土壌は汚染発生地または安全な広場に移送して堆積し、浄化することを前提に説明する。
【0013】図中の符番1は、汚染土壌2の堆積層内の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管である。前記堆積層は防水シート3により覆われ、雨水,砂塵の飛散を防止するようになっている。前記吸引管1にはそれぞれ吸引ガス調節弁4が介装されている。前記吸引管1には、ドレントラップ5を介して吸引ブロア6が接続されている。この吸引ブロア6には、流量・圧力指示器7を介して活性炭が充填された吸着塔8が接続されている。
【0014】前記ドレントラップ5には、吸引管1より吸引ガスが導かれ、ドレンを分離しコック9を経て排出した後、吸引ブロア6、流量・圧力指示器7を経て吸着塔8に送り、塔内に充填された活性炭により有機溶剤を吸着・捕捉し、大気へ拡散させることなく浄化するようになっている。前記吸着塔8には、吸着状況を知る手だてとして温度計10を備えている。ガス流れは土壌層では中から外へ、吸着塔では上から下方流とした。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。但し、図1の基本フローシートに準じて説明する。吸着塔条件は、塔内径:300mmφ、吸着剤(気相用・高賦活ヤシ・活性炭):1000mmH、量:約70Lとした。
【0016】土壌層:縦15m、横20m、層高1.5m、量450m3 の堆積層、汚染成分・量:成分PCE、濃度最大2.1ppm、量約1.53kg、吸引管:塩ビ50mmφ、2m間隔水平一段,両サイドから挿入吸引口:20mmφ、100mm間隔、不織布10mm厚さフィルタ巻付け、吸引条件:吸引圧力(吸引管内)50〜100mm負圧、吸引ガス量60m/H、評価:約150Hr毎に吸引ガス中のPCE濃度測定と、浄化中の土壌を採取して土中PCE濃度をECD−ガスクメマトグラフにて測定した。
【0017】上記条件で試験したところ、吸引ガス中のPCE濃度変化は図2に示すようになった。図2より、初期には高い濃度のPCE吸引ガスの処理が見られ、土壌中のPCEが取り除かれていることが分かる。その後、PCE濃度は低下し、1370Hr以降は検知管での正確な測定は困難になったが、下記表1に示すように、土壌中のPCEは低下を続け、約1900Hr後には規制値を下回り安全に廃棄できる汚染濃度になったことが確認された(ECD−ガスクメマトグラフの測定による)。
【0018】しかも、試験期間中の吸着塔出口PCE濃度はいずれも検出されず、活性炭により吸引ガス中のPCE濃度が捕捉され、システムが計画通り機能したことを確認した。一方、試計算では、吸引ガス圧、ガス量、活性炭の操作条件等がコスト面からベスト条件にあることも確認した。
【0019】
【表1】

【0020】以上に示したように、PCEに汚染した土壌の浄化方法として、堆積層に挿入した吸引口付きガス吸引管による堆積層内ガスを吸引し、土壌から脱着されたPCEガスを活性炭によって捕捉することにより、環境へのインパクトが無く合理的に処理できることを確認した。また、実証試験により2000時間以内で土壌中のPCEが環境庁の規制レベルを満足し、安全に廃棄できる状態に到達することを確認した。
【0021】特に、ここで強調したい点は、本来廃棄物処理等は生産性のない厄介物処理であり極力安価で早く、当然安全に処理することが好ましく、そのために常に技術の限界にチャレンジした取り組みが必要とされる。従って、吸引配管の敷設間隔、吸引条件等の最適化のための使用条件を把握・提案できたことである。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5mm間隔で吸引管を敷設し、この吸引管を介して汚染土壌中の有機溶媒を吸引回収し、同有機溶剤を吸着塔に導入して吸着剤により吸着・捕捉することにより、汚染土壌中の有機溶剤を効率的に除去しうる汚染土壌の浄化方法を提供できる。
【0023】また、本発明は、汚染土壌の堆積層の垂直及び水平方向に少なくとも3〜3.5m間隔で敷設された複数の吸引管と、この吸引管にドレントラップを介して接続された吸引ブロアと、この吸引ブロアの吐出側に接続され、有機溶剤を吸着・捕捉する吸着塔とを具備した構成とすることにより、汚染土壌中の有機溶剤を効率的に除去しうる汚染土壌の浄化装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開平11−156339
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−328662