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【発明の名称】 土壌浄化装置
【発明者】 【氏名】竹村 守順
【氏名】石川 潤一郎
【課題】土壌浄化運転中の気液分離塔での貯留水の浄化と排出を容易となすとともに、活性炭塔における活性炭の破過時期の遅延調節を可能として、浄化コストの低減化、装置のコンパクト化並びに運転計画を含むメンテナンスの容易化を図ることができる土壌浄化装置の提供。

【解決手段】井戸1、気液分離塔2、活性炭塔3、真空ポンプ4を含んで構成され、井戸1から吸引した土壌ガスを気液分離塔2、活性炭塔3に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸1と気液分離塔2を連通するガス吸引管路に吸引ガス用閉止弁10a を介設する一方、気液分離塔2の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用閉止弁10c を介設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用閉止弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用閉止弁を介設したことを特徴とする土壌浄化装置。
【請求項2】 井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用閉止弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用閉止弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用閉止弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁を介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設けたことを特徴とする土壌浄化装置。
【請求項3】 井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、更に、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする土壌浄化装置。
【請求項4】 井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用開閉制御弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁と吸気用開閉制御弁とを直列に介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設け、また、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸気用開閉制御弁、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする土壌浄化装置。
【請求項5】 井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、また、気液分離塔の底部に該気液分離塔内の貯留水を排水する排水管路を連通して、この排水管路に排水用開閉制御弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用開閉制御弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁と吸気用開閉制御弁とを直列に介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設け、また、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸気用開閉制御弁、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁、排水用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする土壌浄化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌ガス吸引法と称されるガス浄化処理手段に基づいて土壌の浄化を行なう土壌浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土壌ガス吸引法(土壌ガス真空抽出法とも称される)とは、主として有機塩素系化合物(テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン)などの気化性物質により汚染された土壌から、それらが混合した空気(以下、土壌ガスと呼称する)を吸い出して土壌を浄化する方法である。従来の土壌ガス吸引法による土壌浄化手段について、図10及び図11にそれぞれ示される従来装置例の模式で示す構成図を参照して、以下、具体的に説明する。
【0003】土壌ガスは、図10に矢示線で表されるように、ガス吸引井戸1から気液分離塔2、活性炭塔3を通じて真空ポンプ4に吸引され、該真空ポンプ4の排気口より大気に放出される。土壌ガスと共に吸引された水滴等水分は気液分離塔2でガスと分離され、また土壌ガスに含まれる気化性物質は活性炭塔3内に充填された活性炭5を通過する際にこの活性炭5に吸着される。
【0004】従って、真空ポンプ4の排気口から放出されるガスは気化性物質が除去された清浄なガスとして大気に拡散されることになる。なお、図10では実線によって簡略示しているが、図内の矢示線の通りガスが流れるように、各機器間はホース、金属管、樹脂管等の配管材で連結されている。気液分離塔2には、塔内に溜まる水の量を監視するための水位計6、所定の水位になると自動的に作動する液面レベルセンサ等の水位検出器7、塔内に溜まった水を排水するための排水口9、塔内の真空度を表示する真空計8が設置されるのが普通である。水位検出器7は、安全の見地から設けたものであり、通常はその液面スイッチが作動すると真空ポンプ4が自動的に停止するように制御回路が組み込まれる。なお、図中10aは吸引ガス遮断用閉止弁、10b は排水用閉止弁である。
【0005】一方、図11に示される今一つの従来例では、ガス吸引井戸1から引かれた土壌ガスは、気液分離塔2を通じて真空ポンプ4に吸引され、該真空ポンプ4の排気口から排出された土壌ガスは活性炭塔3を通じて大気に放出されるようになっている。本例においても、各機器の配列に関して異なっていること以外は、気化性物質が活性炭5に吸着され、清浄なガスとして大気に放出させる点では図9図示例と何ら変わることはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述する構成の土壌浄化装置により成される土壌の浄化は、短くても半年、長ければ数年という長い年月をかけて行なわれるのが一般的であり、かつ、土壌浄化それ自体が非生産的作業であるため、土壌浄化装置には何よりも人手と費用を要しないことが求められる。しかしながら前記従来技術によると、自然の土壌を対象にすること、及び事前に汚染状態を正確に把握するのが難しいこと、などが原因で惹き起こされる下記のような事態に的確に対処することができなくて、思いがけない人手及び費用を費やすことが屡々生じた。
【0007】■ 水捌けの悪い土壌が対象となる場合、雨天が続くと土壌中に堆水層が形成され、ガス吸引井戸1から土壌ガスと共に多量の水が吸引されて、気液分離塔2が短期間に水位検出器7の作動レベルに達する満杯状態になる。従って、その都度運転を中止して気液分離塔2内の貯留水を排水する必要に迫られ、排水作業に追われることになる。
■ 汚染土壌から吸引されるガス濃度、即ち空気に含まれる汚染物質の濃度は通常数十 ppmから数百 ppmであるが、事前調査の結果からは予想もしない数千 ppmに達する高濃度の土壌ガスが吸引されることも珍しくない。このような場合、活性炭塔3内の活性炭5が短期間で破過(吸着量が限界を超す状態)し、予期しない活性炭5の交換作業に追われることになる。
■のような状況が生じた場合、単に排水作業に追われるだけでなく、気液分離塔2内に溜まった水の処理事態も問題になってくる。即ち、土壌の汚染物質が水溶性のものであれば、水自体もこの汚染物質により汚染されるため、水についても浄化しなければ放流できない。従来、気液分離塔2より回収した水は浄水装置を持った他の施設に持ち込み処理・処分するのが一般的であったが、■のような状況が生じた場合には、この処理・処分に要する労力や運搬車の手配、輸送、処理・処分費の諸費用が莫大なものになる。
【0008】上記の■、■の問題は、気液分離塔2の容量を大きくし、また、活性炭塔3の容量も大きくすれば解決し、■の問題に対しては別途に浄水装置を装備するなどが考えられるが、土壌浄化装置に求められる第3、第4の重要な要素は「取扱い易さ」並びに「狭小地に設置可能な装置の小型化」であることは言うまでもなく、従って、かかる観点から上述のような解決策は別の不都合な問題を生むこととなって抜本的な解決手段とはならないものである。
【0009】本発明は、このような問題点の解消を図るために成されたものであり、従って本発明の目的は、土壌浄化運転中の気液分離塔での貯留水の浄化と排出を容易ならしめるとともに、活性炭塔における活性炭の破過時期の遅延調節を可能として、浄化コストの低減化、装置のコンパクト化並びに運転計画を含むメンテナンスの容易化を図ることができる土壌浄化装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため以下に述べる構成としたものである。即ち、本発明のうち請求項1の発明は、井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用閉止弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用閉止弁を介設したことを特徴とする。
【0011】このように構成してなる本発明は、土壌浄化運転中に気液分離塔内の貯留水量が多くなると、真空ポンプを停止して土壌浄化運転を中断した後、吸引ガス用閉止弁を閉じ、曝気用閉止弁を開かせて、真空ポンプを再運転することにより、貯留水を曝気して清浄な水にする曝気運転が可能である。この曝気運転によって貯留水が浄化されると、真空ポンプを停止して気液分離塔から清浄な貯留水を回収させて普通の汚水溝等に放流した後、再び土壌浄化運転を行なわせることができる。これによって、貯留水浄化装置が別途必要なく、また、他の貯留水浄化装置に持ち込む必要もなくなる。
【0012】また、本発明のうち請求項2の発明は、井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用閉止弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用閉止弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用閉止弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁を介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設けたことを特徴とする。
【0013】このように構成することにより、貯留水を曝気するのに最適な沸騰状態を維持し得る特徴が請求項1の発明に加えられる。即ち、ガス吸引通路に設けた調整弁の弁開度を調整することによって、吸気管路における大気の吸入量を加減でき、その結果、必要以上の沸騰が生じる現象に伴い活性炭塔の活性炭が湿潤するのを未然に防ぐことができ、また、活性炭塔に送る土壌ガスのガス濃度を調節して活性炭の破過を遅らせることもできる。
【0014】また、本発明のうち請求項3の発明は、井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、更に、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする。
【0015】このように構成することにより、土壌浄化運転の途中で曝気運転を行なわせる必要が生じた場合、この曝気運転を人手を全く要せずに自動的に行なうことが可能となり、省力化並びに運転合理化が果たされる。
【0016】また、本発明のうち請求項4の発明は、井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用開閉制御弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁と吸気用開閉制御弁とを直列に介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設け、また、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸気用開閉制御弁、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする。
【0017】このように構成することにより、土壌浄化運転の途中で曝気運転を行なわせる必要が生じた場合、この曝気運転を曝気に必要な適度な沸騰状態に保持しながら人手を全く要せずに自動的に行なうことが可能となり、省力化並びに運転合理化が果たされる。
【0018】また、本発明のうち請求項5の発明は、井戸、気液分離塔、活性炭塔、真空ポンプを含んで構成され、井戸から吸引した土壌ガスを気液分離塔、活性炭塔に順に通して浄化する土壌浄化装置において、井戸と気液分離塔を連通するガス吸引管路に吸引ガス用開閉制御弁を介設する一方、気液分離塔の底部に大気を吸入する吸気管路を連通して、この吸気管路に曝気用開閉制御弁を介設し、また、気液分離塔の底部に該気液分離塔内の貯留水を排水する排水管路を連通して、この排水管路に排水用開閉制御弁を介設し、更に、吸引ガスの流れを基準に前記吸引ガス用開閉制御弁よりも下流側で、かつ、真空ポンプに対しサクション側となるガス吸引通路に、圧力調整弁、流量調整弁等の調整弁と吸気用開閉制御弁とを直列に介してこのガス吸引通路と大気とを連通する吸気管路を設け、また、気液分離塔に前記最高貯留水位以下の所定水位を検出する水位検出器を設けるとともに、この水位検出器の検出信号により、吸気用開閉制御弁、吸引ガス用開閉制御弁、曝気用開閉制御弁、排水用開閉制御弁及び真空ポンプを所定の順序及びタイミングで作動させる制御手段を設けたことを特徴とする。
【0019】このように構成することにより、土壌浄化運転、曝気運転、貯留水排水、土壌浄化再運転の自動繰り返し運転が可能であり、完全自動化の実現による高効率土壌浄化運転が図れるとともに、省力化並びに運転合理化が果たされる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を、図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る土壌浄化装置を模式的に示す構成図である。この実施の形態における構成の概要は図11に示される従来例のものに類似していて、対応する各部材には同一の参照符号を付して、ここでは重複を避けて説明を省略し、本発明の特徴とされる構成の点について以下説明する。
【0021】本実施形態は、図1から明らかにように、気液分離塔2の底部と所定個所の大気とを、曝気用閉止弁10c を介して備える吸気管路によって連通した点に特徴が存するものである。前記吸気管路の上端部である大気吸引口には、大気中に浮遊するゴミを気液分離塔2内に引込まさないようにするために、フィルタ12bが設けられている。また大気吸引口は、曝気用閉止弁10c を開かせたときにこの吸気管路を通じて貯留水が気液分離塔2より塔外に流出しないよう、気液分離塔2における最高貯留水位より高い位置に開口されている。
【0022】以上のように構成された本実施形態は、本来の運転である土壌ガス吸引による土壌浄化運転に加えて、気液分離塔2に溜まった貯留水を曝気して清浄な水にする曝気運転が可能である。この曝気運転について説明すると、気液分離塔2内の貯留水が最高(許容)貯留水位近くなれば、真空ポンプ4を停止して土壌ガスの吸引運転を中断する。次いで、ガス吸引井戸1に連通する吸引ガス用閉止弁10a を全閉にするとともに、曝気用閉止弁10c を全開にさせて気液分離塔2の底と大気を連通状態にする。
【0023】この状態で真空ポンプ4を再び運転状態にすると、気液分離塔2内が負圧になるため、大気がフィルタ12b を通じて気液分離塔2の底から該塔内に流入する。真空ポンプ4の運転を再開して気液分離塔2内の負圧が順次大きくなるに従い気液分離塔2内に流入する大気の量が多くなり、貯留水と大気が活発に衝突する現象が起こって遂には貯留水が沸騰状態になる。
【0024】このように沸騰状態になると、水に含まれる気化性物質は気化して水と分離することは「曝気による水の浄化」として広く知られるところである。上述する状態で気化した気化性物質は、気液分離塔2内に導入された大気と共に真空ポンプ4により吸引されて、活性炭5に吸着される。
【0025】上記曝気運転により貯留水が一定の水準(通常は水質汚濁防止法により定められた排水基準値以下である)に浄化されたら、真空ポンプ4を停止した後、排水用閉止弁10b を全開にして気液分離塔2から貯留水を回収し、最寄りの汚水溝等に放流する。尚、貯留水が一定の水準に浄化されたか否かの判定は、貯留水をサンプリングして適当な分析機器で汚染物質の濃度を検出することにより行なえばよいが、曝気運転の度にこのようなことをするのは非常に手間がかかることになる。従って、第1回目の曝気運転時に前述の方法等により曝気時間と貯留水の浄化度に関するデータを採取し、その後は前記データを基にして決定した曝気時間だけ曝気運転すればよい。
【0026】以上のように構成された第1の実施の形態によれば、気液分離塔2内の貯留水をそのままの状態で曝気して浄化することが可能であるため、以下に述べるような効果がある。(A) 貯留水を回収して浄水装置を備える他の施設にこれを持ち込み処理・処分する必要がなくなるため、浄化のための手間と費用とが削減できる。(B) 別途浄水装置を設けたりする必要がないため、設備費が安価に収まり、また、装置の設置スペースも従来通りに狭小に収めることが可能である。
【0027】図2には、本発明の第2の実施の形態に係る土壌浄化装置の構成が模式で示される。図1図示の第1実施形態においては、真空ポンプ4の時間当たりガス吸引量が曝気に必要な吸引量よりも遙かに多い場合、前述の曝気運転を実施すると、大量の大気がフィルタ12b を通じて気液分離塔2内に流入し、貯留水が必要以上に沸騰状態となって、その飛沫が真空ポンプ4により吸引されて活性炭が湿潤したり、気液分離塔2が振動を起こすなどの不具合が生じ、真空ポンプ4の能力を低下させる等別途対策が必要となる問題がある。
【0028】そこで、本第2実施形態はこのような問題点を解消する目的で、前記第1実施形態の構成に加えて、吸引ガス用閉止弁10a と気液分離塔2のガス流入口を結ぶガス吸引管路に対して、調整弁11を介してこのガス吸引管路と大気とを連通する吸気管路を設けた構成を特徴としている。即ち、この調整弁11の開度を徐々に大きくしてゆくと、調整弁11を介し流入する大気の量が次第に増加してその分だけフィルタ12b から流入する大気の量が減少する。従って、調整弁11の開度調整により、貯留水を曝気するのに必要かつ最適な沸騰状態に調節することができ、上述した不具合も解消する。
【0029】なお、調整弁11は、絞り弁の如き全閉から全開までガスの通過面積が漸次大きくなる構造の弁を総称したものであり、絞り弁の場合は、流量調整弁として汎用されるニードル弁、ストップ弁と通称される玉形弁などを用いればよい。また、調整弁11は運転態様からみると結果的に気液分離塔2内の真空圧力を調整する機能を果たしているところから、機能面から言うと圧力調整弁ともいえる。従って、弁を弁構造の点ではなくより上位の概念である機能面から表現すれば、絞り弁に限定しなくとも圧力調整弁を用いれば良い。
【0030】更に調整弁11は気液分離塔2内の圧力を調整するものであるから、弁設置個所は図2に図示の場所によらずとも、吸引ガス用閉止弁10a から気液分離塔2に対する後続装置(真空ポンプや活性炭塔)間の適当な個所で良く、即ち、吸引ガスの流れを基準に、吸引ガス用閉止弁10a よりも下流側で、かつ、真空ポンプ4に対しサクション側となるガス吸引通路であれば何処でも良い。なお、図2中の12a は、大気と共にゴミを気液分離塔2内に引込まないように設けたフィルタである。
【0031】以上のように構成された第2実施形態によれば、前記第1実施形態における効果に加え、以下の効果が奏される。(C) 真空ポンプ4の時間当たりガス吸引量が曝気に必要な吸引量よりも遙かに多くても、気液分離塔2内の貯留水を曝気するのに必要で適度な沸騰状態にすることができる。(d) 通常の土壌ガス吸引時に調整弁11を開ければ、吸引された土壌ガスに調整弁11を通じて流入する大気が混じり、結果的に後続の活性炭塔3を通過するガス濃度が低下することになる。また、調整弁11の開度調整により上記ガス濃度は任意に変えられるので、「発明が解決しようとする課題」の欄で述べた■のような事態が生じた場合には調整弁11を操作して、適当なインターバルで活性炭5が破過するようなガス濃度にして安定的な運転を続けさせることができる。
【0032】図3には、本発明の第3の実施の形態に係る土壌浄化装置の構成が模式図で示され、また図4には、図3図示の土壌浄化装置における制御装置15a の作動態様が流れ図で示される。図3において、気液分離塔2には該塔内の貯留水の水面が所定のレベルに達すると作動して電気信号を発する水位検出器7が設けられる。また、気液分離塔2の入口側の吸気管路には前記吸引ガス用閉止弁10a に替えて電磁開閉弁等からなる吸引ガス用開閉制御弁13b が設けられ、更に、気液分離塔2の底部に連通する吸気管路には前記曝気用閉止弁10c に替えて電磁開閉弁等からなる曝気用開閉制御弁13c が設けられている。その他の構造に関しては、図1に示す第1実施形態と同様である。また、本実施の形態は、図6に示す制御を自動的に行なう制御手段としての制御装置15a が設けられている。
【0033】通常の土壌ガス吸引運転においては、図示するように吸引ガス用開閉制御弁13b は“開”、曝気用開閉制御弁13c は“閉”の状態にあり、排水用閉止弁10b は“閉”の状態にある。図4を併せ参照して、水位検出器7が当初設定した所定水面位置を検出すると、この電気信号に基づいて真空ポンプ4が停止する。真空ポンプ4が停止すると、吸引ガス用開閉制御弁13b は“閉”、曝気用開閉制御弁13c は“開”に切り替わる。
【0034】このように2つの開閉制御弁13b,13c が切り替わると、次に真空ポンプ4が起動する。また、制御装置15a にはタイマ14a が組み込まれており、真空ポンプ4が一定時間作動すると停止する。なお、前記タイマ14a の設定時間は予め実験等により確認された貯留水の浄化に必要な時間である。
【0035】以上のように構成された第3の実施形態では、土壌ガス吸引運転中に気液分離塔2内の貯留水が予め設定されたレベルに達すると真空ポンプ4が停止するとともに、各開閉制御弁13b,13c を第1実施形態について述べた曝気運転ができる状態に切り替えた後真空ポンプ4を再起動し、その状態で貯留水の浄化に必要な時間だけ運転(曝気運転)を行なった上で真空ポンプ4を停止する。なお、2つの開閉制御弁13b,13c としては、電磁開閉弁が一般的であるが、その他に空圧式、電磁/空圧式、電磁/油圧式などの各種制御弁が適用される。
【0036】以上のように構成された第3実施形態によれば、気液分離塔2内の貯留水のレベルが所定のレベルに達すると曝気運転が自動的に行なわれ、従って、人間による貯留水のレベルの監視及び曝気運転作業が不要になり、自動運転の実現による省力化が図れる。
【0037】図5には、本発明の第4の実施の形態に係る土壌浄化装置の構成が模式図で示され、また、図6には、図5図示の土壌浄化装置における制御装置15b の作動態様が流れ図で示される。図5において、本実施形態は基本的構成において第2の実施の形態に類似している。気液分離塔2には該塔内の貯留水の水面が所定のレベルに達すると作動して電気信号を発する水位検出器7が設けられており、一方、調整弁11を備える吸気管路には、電磁開閉弁等からなる吸気用開閉制御弁13a が前記調整弁11に直列に介して設けられている。また、前記ガス吸引管路の吸引ガス用閉止弁10a に替えて電磁開閉弁等からなる吸引ガス用開閉制御弁13b が設けられている。更に、前記吸気管路の曝気用閉止弁10c に替えて電磁開閉弁等からなる曝気用開閉制御弁13c が設けられている。その他、図6に示されるように運転制御を自動的に行なわせるための制御装置15b が付設されている。
【0038】通常の土壌ガス吸引運転においては、図示するように吸気用開閉制御弁13aは“閉”、吸引ガス用開閉制御弁13b は“開”、曝気用開閉制御弁13c は“閉”の状態にあり、排水用閉止弁10b は“閉”の状態にある。また、調整弁11の開度は曝気運転に適した開度に予め調整されている。図6を併せ参照して、水位検出器7が当初設定した所定水面位置を検出すると、この電気信号に基づいて真空ポンプ4が停止する。真空ポンプ4が停止すると、吸気用開閉制御弁13a は“開”、吸引ガス用開閉制御弁13b は“閉”、曝気用開閉制御弁13c は“開”に切り替わる。
【0039】3つの開閉制御弁13a,13b,13c が上記のように切り替わると、次に真空ポンプ4が起動する。また、制御装置15b にはタイマ14a が組込まれており、真空ポンプ4が一定時間作動すると停止する。なお、前記タイマ14a の設定時間は予め実験等により確認された貯留水の浄化に必要な時間である。
【0040】以上のように構成される第4の実施の形態では、土壌ガス吸引運転中に気液分離塔2内の貯留水が予め設定されたレベルに達すると、真空ポンプ4を停止すると共に、各開閉制御弁13a,13b,13c を第2実施形態について述べた曝気運転ができる状態に切り替えた後、真空ポンプ4を再起動し、その状態で貯留水の浄化に必要な時間だけ運転(曝気運転)を行なった上で真空ポンプ4を停止する。従って、この実施の形態によれば、第3実施形態と同じく、気液分離塔2内の貯留水のレベルが所定レベルに達すると曝気運転が自動的に行なわれるため、人間による貯留水のレベルの監視及び曝気運転作業が不要になり、自動運転の実現による省力化が図れる。
【0041】図7には、本発明の第5の実施の形態に係る土壌浄化装置の構成が模式図で示され、また、図8には、図7図示の土壌浄化装置における制御装置の作動態様が流れ図で示される。図7において、本実施形態は基本的構成において第4の実施の形態に類似していて、電磁開閉弁などからなる排水用開閉制御弁13d を排水用閉止弁10b に替えてこの部に設けたものであり、排水用開閉制御弁13d は通常の土壌ガス吸引運転時には図示するように“閉”の状態にある。
【0042】このような構成になる第5の実施の形態の運転制御について図8を併せ参照して以下説明する。制御装置15b は、第4の実施の形態のものと同様であり、この実施形態の制御は制御装置15b の最終作動である真空ポンプ4停止の状態になると、次に排水用開閉制御弁13d を“開”に切り替える。また、第5の実施の形態の制御回路にはタイマ14b が組込まれていて、排水用開閉制御弁13dが“開”の状態になったときその状態を一定時間保持するように計時作動するものである。
【0043】タイマ14b で上記の状態が一定時間保持されたなら、次に排水用開閉制御弁13d が“閉”の状態に切り替わり、その後に吸気用開閉制御弁13a が“閉”、吸引ガス用開閉制御弁13b が“開”、曝気用開閉制御弁13c が“閉”の状態に切り替わる。更に、それら3つの開閉制御弁13a,13b,13c が上記のように切り替わると、真空ポンプ4が起動し、新たに水位検出器7が当初設定した所定水面位置を検出するまで運転が続けられる。なお、タイマ14b の保持時間は気液分離塔2内の貯留水が全量排水されるに要する時間である。
【0044】以上のように構成された第5の実施形態では、前記第4の実施形態の機能に加えて、曝気運転により浄化された貯留水が気液分離塔2から自動的に排水された後、各開閉制御弁13a,13b,13c,13d が図7に示される通常の土壌ガス吸引運転時の状態に切り替わり再運転されることになる。また、上記運転状態を続けるうちに気液分離塔2内の貯留水が再度満杯(水位検出器7の検出水位)になれば、同じように真空ポンプ4の停止→曝気運転→排水→再運転(土壌ガス吸引運転)が繰り返される。
【0045】従って、この第5の実施形態によれば、気液分離塔2内の貯留水が満杯になることによる一連の作業が全て自動化されるため完全に省力化される。また、作業が全て自動化されることから、一連の作業が間断なく実施されて土壌浄化作業の効率が上がる。
【0046】なお、水位検出器7を貯留水の上限レベルと下限レベルとの両レベルを検出できる形式(2接点形等)のものにすれば、図8におけるタイマ14b は不要になる。即ち、図8に記載の「液面レベルセンサ7設定水面位置検出」の動作stepは「液面レベルセンサ7上限レベル設定水面位置検出」に置き換えられ、「タイマ14b 」の動作stepは「液面レベルセンサ7下限レベル設定水面位置検出」に置き換えられる。また、図示しないが通常は排水用開閉制御弁13d の出口ポートにはゴムホース等を連結して、気液分離塔2内の貯留水が排水溝等に導かれるようにするのが望ましい。
【0047】以上述べた第1乃至第5の実施形態では、大気吸引口が、曝気用閉止弁10cを開かせたときにこの吸気管路を通じて貯留水が気液分離塔2より塔外に流出しないように、気液分離塔2における最高貯留水位より高い位置に開口された構成例をそれぞれ示しているが、図9に示される第6の実施形態は、曝気用閉止弁10c を介して備える吸気管路を気液分離塔2よりも低い位置において開口し、かつ、大気の流入は許容するが気液分離塔2からの貯留水流出は阻止するような向きにした逆止弁15を前記吸気管路中に介設した構成を特徴とする。
【0048】このような構成の実施形態によれば、気液分離塔2の最高貯留水位よりも低い位置から大気を吸引させるようにしても何ら問題なく正常な土壌浄化運転を行なわせることが可能であって、従ってこのような構成もまた、本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。請求項1の発明によれば、吸気管路と曝気用閉止弁とからなる簡単な構造を追加するだけで、気液分離塔内の貯留水を曝気運転により浄水することが可能となり、浄水装置を持つ他の設備に貯留水を持ち込み処理・処分する必要がなくなり、浄化のための手間、費用が削減できる。また、別途浄水装置を設ける必要がなくて装置コストの低減及び設置スペースの狭小化が図れる。
【0050】請求項2の発明によれば、気液分離塔に関連させて真空圧力を調整する機能を備えさせたので、請求項1の発明の基本効果に加えて次の効果が奏される。即ち、気液分離塔内の貯留水を曝気するのに必要な適度な沸騰状態を保つことができ、安定運転が持続でき、また、活性炭塔における活性炭の湿潤防止、破過に至るまでのインターバル調整が行なえる。
【0051】請求項3の発明によれば、必要時に行なわせる曝気運転の自動化が可能となるので、省力化が一段と図れる効果が請求項1の発明の基本効果に加えて奏される。
【0052】請求項4の発明によれば、曝気に必要な適度な沸騰状態に保持しながら人手を全く要せずに曝気運転を自動的に行なうことが可能となり、請求項3の発明以上により一層の省力化並びに運転合理化が果たされる。
【0053】請求項5の発明によれば、土壌浄化運転、曝気運転、貯留水排水、土壌浄化再運転の自動繰り返し運転が可能であり、請求項1の発明の基本効果に加えて、完全自動化の実現による高効率の土壌浄化運転が図れるとともに、省力化並びに運転合理化のより一層の推進が果たされる。
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成9年(1997)10月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
【公開番号】 特開平11−114546
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−281970