トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染物質の原位置浄化システム
【発明者】 【氏名】峠 和男
【氏名】漆原 知則
【氏名】誓山 真
【課題】さまざまな汚染物質で汚染された汚染土壌を掘削除去することなく汚染物質だけを原位置で除去する。

【解決手段】本発明の原位置浄化システムは、通気通水孔1が形成された吸引管2を汚染物質3が分布する汚染土壌4内に埋設するとともに該吸引管の端部近傍に吸引手段としての真空ポンプ5を気液分離タンク6を介して接続するとともに、該真空ポンプの下流側に汚染物質除去手段としての活性炭槽7を接続し、一方、吸引管2の内部には内管8を配置してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気通水孔が形成された吸引管を汚染物質が分布する汚染土壌内に埋設するとともに該吸引管の端部近傍に所定の吸引手段及び汚染物質除去手段を接続し、前記吸引管の内部には所定の内管を配置してなることを特徴とする汚染物質の原位置浄化システム。
【請求項2】 前記内管の外面若しくは前記吸引管の内面にそれらの材軸に沿った溝を形成した請求項1記載の汚染物質の原位置浄化システム。
【請求項3】 前記内管を複数配置した請求項1記載の汚染物質の原位置浄化システム。
【請求項4】 前記内管を中空管として該中空管の一端に給気口を形成し所定の気体供給手段を接続するとともに、前記中空管の他端に吐出口を形成して前記吸引管の内部空間に連通させ、前記気体供給手段から供給された気体を前記中空管内を通って前記吐出口から吐出させ、さらに前記中空管と前記吸引管との隙間を通って前記吸引手段に吸引させるように構成した請求項1記載の汚染物質の原位置浄化システム。
【請求項5】 前記気体を加熱空気とした請求項4記載の汚染物質の原位置浄化システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤に含まれているさまざまな汚染物質を汚染土壌から原位置にて分離除去する汚染物質の原位置浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】工場廃水、工場廃棄物などによって汚染された土壌には、有機塩素溶剤などの汚染物質が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると、当該土壌内に含まれた汚染物質が地下水や生物サイクルを介して環境に拡散する危険性がある。
【0003】また、燃料油や機械油で汚染された土壌についても、そのまま放置すれば、油分の臭いが周囲に拡散して周辺住民の生活に支障を来すとともに、雨水によって地下水に浸透した場合には、地下水系の水質を汚濁させる原因となる。
【0004】そのため、こういった汚染物質で汚染された土壌は、掘削除去して溶媒洗浄や加熱除去といった浄化処理を施し、しかる後に管理型あるいは遮断型の処分地に廃棄処分する一方、掘削された孔内には通常の土を客土して原状復帰するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる方法では、掘削の際に汚染土を攪乱して二次汚染を招くという問題や、汚染土を大量に搬出、運搬しなければならないという問題、あるいは既存建築物の近接部や直下では掘削除去自体が困難になるという問題が生じていた。
【0006】また、最近では、環境保護の観点から廃棄物処分場の確保がかなり困難な状況になってきており、廃棄処分すべき処分場が見当たらないという問題や、浸出水に含まれる油分の処理設備が整っていない場合には油汚染土の受入れがそもそも困難であるという問題、あるいは、油含有量が一定量を越える場合には、焼却が必要となるが、その焼却土はやはり管理型処分場で廃棄処分しなければならないという問題を生じていた。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、さまざまな汚染物質で汚染された汚染土壌を掘削除去することなく汚染物質だけを原位置で除去することが可能な汚染物質の原位置浄化システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムは請求項1に記載したように、通気通水孔が形成された吸引管を汚染物質が分布する汚染土壌内に埋設するとともに該吸引管の端部近傍に所定の吸引手段及び汚染物質除去手段を接続し、前記吸引管の内部には所定の内管を配置してなるものである。
【0009】また、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムは、前記内管の外面若しくは前記吸引管の内面にそれらの材軸に沿った溝を形成したものである。
【0010】また、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムは、前記内管を複数配置したものである。
【0011】また、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムは、前記内管を中空管として該中空管の一端に給気口を形成し所定の気体供給手段を接続するとともに、前記中空管の他端に吐出口を形成して前記吸引管の内部空間に連通させ、前記気体供給手段から供給された気体を前記中空管内を通って前記吐出口から吐出させ、さらに前記中空管と前記吸引管との隙間を通って前記吸引手段に吸引させるように構成したものである。
【0012】また、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムは、前記気体を加熱空気としたものである。
【0013】本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムにおいては、吸引手段を作動させて汚染土壌内に埋設された吸引管の内部を吸引する。すると、吸引管内とその周辺地盤との間に差圧が生じて該周辺地盤に含まれるガス状や液状の汚染物質が通気通水孔を介して吸引管の内部に吸引される。そして、ガス状の汚染物質については、吸引手段が作り出す気体の流れに搬送されてそのまま吸引管内を移動し、やがて吸引手段まで達して汚染物質除去手段にて除去される。
【0014】一方、液状の汚染物質については、液滴となって吸引管の内部に配置した内管の外面あるいは吸引管の内面に付着する。そして、かかる液滴は、吸引手段が作り出す吸引管内の気体の流れに押される格好で内管の外面あるいは吸引管の内面を伝いながら吸引管内の気体の流れ方向に沿って移動し、やがて吸引手段まで達して汚染物質除去手段にて除去される。
【0015】すなわち、汚染土壌内の汚染物質は、まずは、吸引手段の作用で生じている差圧によって吸引管内に流入し、その後は、やはり吸引手段の作用で生じている吸引管内の流れにそのまま搬送される形で、あるいは内管の外面若しくは吸引管の内面を伝う形で吸引手段まで導かれ、速やかに回収される。
【0016】ここで、汚染土壌内の汚染物質を吸引手段まで導けるかどうかは、吸引管の内外で差圧を発生させることができるかどうか、並びに吸引管の内部に気体の流れを発生させることができるかどうかに依存し、吸引管を例えば鉛直方向に配置した場合における吸引管の深さとは無関係である。これは、従来の真空吸引工法が要するに大気圧を利用して汚染土壌内の汚染物質を地上まで上昇させることを原理とするため、せいぜい6m程度の深さからしか汚染物質を回収できないことと大きく相違する。
【0017】吸引手段としては、まずは真空ポンプを挙げることができるが、上述した差圧と気体の流れの両方を満足できる限り、いかなる手段で構成してもよい。例えば、真空ポンプに代えて排気ファンを使用することができる。
【0018】対象とする汚染物質は任意であるが、ガス状の汚染物質としては揮発性油、トリクロロエタンのような有機塩素系物質が該当し、液状の汚染物質としては、カドミウム、シアン等が溶けた溶液、油等が該当する。
【0019】汚染物質除去手段は、環境に放出あるいは放流する前に汚染物質を除去することを目的としたものであり、ガス状の汚染物質であれば、例えば活性炭槽を使用することができる。
【0020】吸引管やその内部に配置する内管としては、汚染物質が流入し、かつ該汚染物質の液滴が、吸引手段が作り出す気体の流れ方向に沿って吸引管の内面や内管の外面を伝っていくことができるのであればどのような構成でもよいが、前記内管の外面若しくは前記吸引管の内面にそれらの材軸に沿った溝を形成したならば、液滴がその溝内に入り込んで落下しにくくなるので、該液滴に気体の流れが作用したとき、液滴は、その溝をガイドとしてスムーズに吸引手段まで搬送される。
【0021】また、内管を複数配置しておけば、内管の表面積が全体として増加するので、液状汚染物質の付着量ひいてはその回収量を改善することができる。
【0022】また、内管を液滴が伝う手段としてのみ構成してもよいが、前記内管を中空管として該中空管の一端に給気口を形成し所定の気体供給手段を接続するとともに、前記中空管の他端に吐出口を形成して前記吸引管の内部空間に連通させ、前記気体供給手段から供給された気体を前記中空管内を通って前記吐出口から吐出させ、さらに前記中空管と前記吸引管との隙間を通って前記吸引手段に吸引させるように構成したならば、通気通水孔を通って吸引管に流れ込む気体の量が少なくても、該吸引管内に十分な気体の流れを作り出すことが可能となる。
【0023】なお、この場合には、吸引管の内外における差圧と吸引管内の気体の流れという2つの条件が達成されるように、給気口から供給される流量と吸引手段によって吸引される流量とを適宜調整する。
【0024】ここで、上述の気体を加熱空気としたならば、該加熱空気が内管の内外を通過する際に吸引管を介して周囲の汚染土壌を暖めるので、液状の汚染物質であってもこれをガス化して回収しやすくするとともに、粘度が高くて吸引管内に流入させることができないような汚染物質であってもその流動性を高めて吸引管内に流入させることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る汚染物質の原位置浄化システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】(第1実施形態)図1は、本実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムの全体図である。同図でわかるように、本実施形態の原位置浄化システムは、通気通水孔1が形成された吸引管2を汚染物質3が分布する汚染土壌4内に埋設するとともに該吸引管の端部近傍に吸引手段としての真空ポンプ5を気液分離タンク6を介して接続するとともに、該真空ポンプの下流側に汚染物質除去手段としての活性炭槽7を接続し、一方、吸引管2の内部には内管8を配置してある。
【0027】また、図2でよくわかるように、内管8の外周面には該内管の材軸に沿った溝11を形成してある。
【0028】本実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムにおいては、汚染土壌4内に吸引管2を埋設した後、真空ポンプ5を作動させて吸引管2の内部を吸引する。すると、吸引管2内とその周辺地盤との間に差圧が生じて該周辺地盤に含まれるガス状や液状の汚染物質3が吸引管2の通気通水孔1を介して該吸引管の内部に吸引される。そして、ガス状の汚染物質については、真空ポンプ5が作り出す空気の流れに搬送されてそのまま吸引管2内を同図矢印に示すように上昇し、やがて気液分離タンク6で気液分離された後、真空ポンプ5に達する。そして、汚染物質除去手段である活性炭槽7で吸着除去された後、大気に放出される。
【0029】ガス状の汚染物質としては、例えば揮発性油、トリクロロエタンのような有機塩素系物質が該当する。
【0030】一方、液状の汚染物質については、通気通水孔1を介して吸引管2内に流入した後、図2に示したように、該吸引管の内部に配置された内管8の外周面に液滴12となって付着する。そして、かかる液滴は、真空ポンプ5が作り出す吸引管2内の空気の上昇流に押し上げられる格好で内管8の外周面を溝11に沿って伝いながら吸引管2内の上昇流の流れに沿って移動し、やがて気液分離タンク6で気液分離された後、真空ポンプ5に達する。気液分離タンク6に溜まった液状の汚染物質は、公知の方法によって分離除去し、しかる後に河川等に放流すればよい。液状の汚染物質としては、カドミウム等の重金属イオンやシアン等が溶けた溶液、油等が該当する。
【0031】以上説明したように、本実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムによれば、汚染土壌4内の汚染物質3は、まずは、真空ポンプ5の作用で生じている差圧によって吸引管2内に流入し、その後は、やはり真空ポンプ5の作用で生じている吸引管2内の上昇流にそのまま搬送される形で、あるいは内管8の外周面を溝11に沿って伝う形で真空ポンプ5まで導かれ、速やかに回収される。すなわち、従来のように汚染土壌を掘削除去せずとも、原位置のままで汚染物質だけを回収することが可能となる。
【0032】したがって、掘削の際に汚染土を攪乱して二次汚染を招くおそれがなくなるとともに、汚染土自体が発生しないので、搬出や運搬の手間が省けるのみならず、汚染土を処分するための廃棄物処分場を新たに確保する必要もなくなる。
【0033】特に、汚染物質が地下水位以上の領域に分布する場合、従来であれば、これを原位置で除去する手だてはなく、汚染土壌ごと掘削除去することを余儀なくされていたが、本実施形態によれば、このような分布範囲にあるときでも、また、汚染物質の揮発性の有無にかかわらず、該汚染物質を原位置でしかも効率よく回収することが可能となる。
【0034】また、本実施形態に係る原位置浄化システムによれば、従来の真空吸引工法のように大気圧を利用して汚染物質3を上昇させるのではなく、上述したような吸引管の差圧による吸い込みとその内部での上昇流によって汚染物質を地上まで上昇させて回収するという原理に基づくため、従来のようにその回収深さに限度はなく、真空ポンプ5の規模に応じた深さまで汚染物質3を回収除去することが可能となる。
【0035】また、本実施形態によれば、内管8の外周面に該内管の材軸に沿った溝11を形成したので、液滴12となった液状の汚染物質がその溝11内に入り込んで落下しにくくなる。そのため、該液滴に空気の上昇流を作用させれば、その溝11をガイドとして液滴12をスムーズに真空ポンプ5まで搬送することができる。
【0036】本実施形態では、吸引管2の内部に単一の内管8を配置したが、これに代えて図3に示すように、複数の内管8a、8b、8cを配置するようにしてもよい。かかる構成によれば、内管8a、8b、8cの表面積が全体として増加するので、液状汚染物質の付着量ひいてはその回収量を改善することができる。なお、各内管8a、8b、8cの外周面には、リブ状突起に挟まれた溝21を形成してあるので、該溝21内に液滴として入り込んだ液状の汚染物質が該溝21に案内されながら、空気の上昇流によってスムーズに真空ポンプ5まで搬送される。
【0037】また、本実施形態では、内管8の外周面にのみ溝11を設けたが、かかる溝を吸引管2の内面に形成してもよい。
【0038】(第2実施形態)次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】図4は、第2実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムの全体図である。同図でわかるように、本実施形態の原位置浄化システムも第1実施形態と同様、吸引管2を汚染土壌4内に埋設するとともに該吸引管の端部近傍に吸引手段としての真空ポンプ5を気液分離タンク6を介して接続するとともに、該真空ポンプの下流側に汚染物質除去手段としての活性炭槽7を接続し、吸引管2の内部には内管31を配置してあるが、第2実施形態の内管31は、図5でよくわかるように中空管として構成してあり、該中空管の上端に給気口33を形成して気体供給手段としての送気ファン32を接続するとともに、中空管31の下端に吐出口35を形成して吸引管2の内部空間に連通させ、送気ファン32から供給された気体である空気を図4破線矢印に示すように中空管31内を通って吐出口35から吐出させ、さらに中空管31と吸引管2との隙間を上昇させて真空ポンプ5に吸引させるように構てある。
【0040】また、図5でよくわかるように、内管31の外周面には該内管の材軸に沿った溝11を形成してある。
【0041】本実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムにおいては、第1実施形態と同様、汚染土壌4内に吸引管2を埋設した後、真空ポンプ5を作動させて吸引管2の内部を吸引するとともに、送気ファン32から適当な流量の空気を中空管31内に送り込む。
【0042】なお、かかる場合、吸引管2の内外における差圧と該吸引管内の気体の流れという2つの条件が達成されるように、給気口33から供給される流量と真空ポンプ5によって吸引される流量とを適宜調整する。
【0043】このようにすると、通気通水孔1から流入する空気の量が少なくて吸引管2内に十分な上昇流を発生させることができないような場合でも、中空管31の吐出口35から吐出された空気が該中空管と吸引管2との隙間を流れ、空気の上昇流が発生する。
【0044】そのため、吸引管2内とその周辺地盤との間に生じた差圧によって該吸引管内に流れ込んだガス状や液状の汚染物質3は、ガス状の汚染物質については、中空管31から吐出された空気による上昇流に搬送されてそのまま吸引管2内を図4の矢印に示すように上昇する。
【0045】また、液状の汚染物質については、通気通水孔1を介して吸引管2内に流入した後、図5に示したように、該吸引管の内部に配置された中空管31の外周面に液滴12となって付着し、中空管31の吐出口35から吐出された空気による上昇流に押し上げられる格好で中空管31の外周面を溝11に沿って伝いながら吸引管2内の上昇流の流れに沿って移動する。
【0046】吸引管2内を上昇したガス状汚染物質や中空管31の外周面を伝いながら移動した液状汚染物質のその後の処理については、第1実施形態で述べた内容とほぼ同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0047】以上説明したように、本実施形態に係る汚染物質の原位置浄化システムによれば、汚染土壌4内の汚染物質3は、まずは、真空ポンプ5の作用で生じている差圧によって吸引管2内に流入し、その後は、真空ポンプ5及び送気ファン32の作用で生じている吸引管2内の上昇流にそのまま搬送される形で、あるいは内管31の外周面を溝11に沿って伝う形で真空ポンプ5まで導かれ、速やかに回収される。すなわち、従来のように汚染土壌を掘削除去せずとも、原位置のままで汚染物質だけを回収することが可能となる。
【0048】したがって、掘削の際に汚染土を攪乱して二次汚染を招くおそれがなくなるとともに、汚染土自体が発生しないので、搬出や運搬の手間が省けるのみならず、汚染土を処分するための廃棄物処分場を新たに確保する必要もなくなる。
【0049】特に、汚染物質が地下水位以上の領域に分布する場合、従来であれば、これを原位置で除去する手だてはなく、汚染土壌ごと掘削除去することを余儀なくされていたが、本実施形態によれば、このような分布範囲にあるときでも、また、汚染物質の揮発性の有無にかかわらず、該汚染物質を原位置でしかも効率よく回収することが可能となる。
【0050】また、本実施形態によれば、通気通水孔1から流入する空気の量が少なくて吸引管2内に十分な上昇流を発生させることができないような場合でも、中空管31の吐出口35から吐出された空気が該中空管と吸引管2との隙間を流れて上昇流を形成するので、吸引管2内に流入したガス状あるいは液状の汚染物質を、かかる上昇流に乗せてスムーズに上昇させることができる。
【0051】なお、回収可能な深さや溝11による作用効果については、上述した実施形態とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0052】本実施形態では特に言及しなかったが、送気ファン32から供給される空気を加熱空気としてもよい。かかる構成によれば、該加熱空気が内管31の内外を通過する際に吸引管2を介して周囲の汚染土壌4を暖めるので、液状の汚染物質であってもこれをガス化して回収しやすくするとともに、粘度が高くて吸引管2内に流入させることができないような汚染物質であってもその流動性を高めて吸引管2内に流入させることが可能となる。
【0053】また、第1及び第2の実施形態では特に言及しなかったが、吸引管及びその中に配置する内管の配置方向は鉛直に限られるわけではなく、作業用立坑から水平方向に削孔した孔にこれらを挿入して水平配置してもよい。
【0054】かかる構成においては、既存建築物の下方領域であっても、汚染物質の回収を行うことが可能となる。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る本発明の汚染物質の原位置浄化システムによれば、汚染土壌内の汚染物質は、まずは、吸引手段の作用で生じている差圧によって吸引管内に流入し、その後は、やはり吸引手段の作用で生じている吸引管内の上昇流にそのまま搬送される形で、あるいは内管の外周面を伝う形で吸引手段まで導かれ、速やかに回収される。
【0056】したがって、従来のように汚染土壌を掘削除去せずとも、原位置のままで汚染物質だけを回収することが可能となり、掘削の際に汚染土を攪乱して二次汚染を招くおそれがなくなるとともに、汚染土自体が発生しないので、搬出や運搬の手間が省けるのみならず、汚染土を処分するための廃棄物処分場を新たに確保する必要もなくなる。
【0057】特に、汚染物質が地下水位以上の領域に分布する場合、従来であれば、これを原位置で除去する手だてはなく、汚染土壌ごと掘削除去することを余儀なくされていたが、本発明によれば、このような分布範囲にあるときでも、また、汚染物質の揮発性の有無にかかわらず、該汚染物質を原位置でしかも効率よく回収することが可能となる。
【0058】また、従来のようにその回収深さに限度はなく、吸引手段の規模に応じた深さまで汚染物質を回収除去することが可能となる。
【0059】また、請求項2に係る本発明の汚染物質の原位置浄化システムによれば、液滴となった液状の汚染物質が溝内に入り込み落下しにくくなるので、かかる状態で該液滴に気体の上昇流を作用させれば、液状の汚染物質を、溝をガイドとしてスムーズに吸引手段まで搬送することができるという効果も奏する。
【0060】また、請求項3に係る本発明の汚染物質の原位置浄化システムによれば、内管の表面積が全体として増加するので、液状汚染物質の付着量ひいてはその回収量を改善することができるという効果も奏する。
【0061】また、請求項4に係る本発明の汚染物質の原位置浄化システムによれば、通気通水孔から流入する空気の量が少なくて吸引管内に十分な上昇流を発生させることができないような場合でも、中空管の吐出口から吐出された空気が該中空管と吸引管との隙間を流れて上昇流を形成するので、吸引管内に流入したガス状あるいは液状の汚染物質を、かかる上昇流に乗せてスムーズに上昇させることができるという効果も奏する。
【0062】また、請求項5に係る本発明の汚染物質の原位置浄化システムによれば、加熱空気が内管の内外を通過する際に吸引管を介して周囲の汚染土壌を暖めるので、液状の汚染物質であってもこれをガス化して回収しやすくするとともに、粘度が高くて吸引管内に流入させることができないような液状の汚染物質であってもその流動性を高めて吸引管内に流入させることが可能となるという効果も奏する。
【0063】
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成9年(1997)9月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
【公開番号】 特開平11−90409
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−269384