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有害物質の分離除去方法及び装置 - 特開平11−28446 | j-tokkyo
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【発明の名称】 有害物質の分離除去方法及び装置
【発明者】 【氏名】西林 清茂
【氏名】久保 博
【氏名】日笠山 徹巳
【課題】シアンや砒素といった有害物質を汚染土壌等から効率的に分離除去する。

【解決手段】本発明に係る有害物質の分離除去装置1は、有害物質であるシアンを含んだ対象物としての汚染土2が収容される気密性の収容体3と、該収容体内の気密空間に供給管17を介して連通接続され気化促進剤である酸性溶液が貯留された貯留タンク5と、収容体3に貫通配置された排気管4と、該排気管に気液分離タンク6を介して接続された真空ポンプ7と、該真空ポンプの下流側に接続された捕集機器8とからなり、真空ポンプ7は、酸性溶液の添加によって収容体3内でシアンから変化した(A)を、排気管4を介して該収容体内の気体を引き抜いて気圧を下げることにより、収容体3内の気圧低下に伴う沸点降下作用で青酸ガスとして揮発させ、さらに揮発した青酸ガスを収容体3の外部に排出するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有害物質を含んだ対象物を気密空間内に密封するとともに該対象物に所定の気化促進剤を添加し、次いで、前記気密空間内の気圧を下げて前記対象物内から前記有害物質を揮発させるとともに揮発した有害物質を前記気密空間の外部に排出することを特徴とする有害物質の分離除去方法。
【請求項2】 有害物質を含んだ対象物が収容される気密性の収容体と、該収容体内の気密空間に連通接続され所定の気化促進剤が貯留された貯留タンクと、前記収容体内の気密空間に連通された排気管と、該排気管を介して前記収容体内の気体を引き抜いて気圧を低下させる真空ポンプと、該真空ポンプの上流側若しくは下流側に接続され前記収容体から排出された有害物質を捕集する捕集機器とを備え、前記真空ポンプは、気圧低下によって前記気化促進剤が添加された前記対象物内から前記有害物質を揮発させるとともに揮発した有害物質を前記収容体の外部に排出するようになっていることを特徴とする有害物質の分離除去装置。
【請求項3】 前記収容体を剛体容器で構成した請求項2記載の分離除去装置。
【請求項4】 前記収容体をシートで構成し、該シートを前記対象物を収容した状態で袋状に密封自在に構成した請求項2記載の分離除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚染土壌、産業廃棄物等に含まれているシアンや砒素といったさまざまな有害物質を該汚染土壌等から分離除去する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工場跡地等で基礎工事を行う場合、シアンや砒素といった物質が掘削土に混じって搬出されることがある。かかる掘削土をそのまま放置すると、シアン等が地下水等を経由して環境に拡散し、生態系に大きな影響を及ぼすおそれがある。
【0003】そのため、かかる物質は、水銀、カドミウム、有機隣、鉛、六価クロム、PCBなどとともに、環境への拡散を厳重に監視すべき有害物質として扱われ、一般廃棄物とは区別して管理型若しくは遮断型の廃棄物処分場に処分する、所定の薬剤で不溶化処理を行う、通電によって回収するといったさまざまな措置を講じなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近では、環境保護の観点から廃棄物処分場の確保がかなり困難な状況になってきており、廃棄処分すべき処分場が見当たらないという問題を生じていた。
【0005】一方、不溶化処理は、処理された土が新たな産業廃棄物となる場合があり、その場合には上述したと同様、処分場確保の点で問題が生じるし、通電回収による方法では、一定の通電期間を要し、電気的に中性の有害物質であればそもそも回収が困難である。いずれにしろ、シアンや砒素といった有害物質を汚染土壌等から効率的に分離除去する方法はいまだ確立されていないのが現状である。
【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、シアンや砒素いった有害物質を汚染土壌等から効率的に分離除去することが可能な有害物質の分離除去方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る有害物質の分離除去方法は請求項1に記載したように、有害物質を含んだ対象物を気密空間内に密封するとともに該対象物に所定の気化促進剤を添加し、次いで、前記気密空間内の気圧を下げて前記対象物内から前記有害物質を揮発させるとともに揮発した有害物質を前記気密空間の外部に排出するものである。
【0008】また、本発明に係る有害物質の分離除去装置は請求項2に記載したように、有害物質を含んだ対象物が収容される気密性の収容体と、該収容体内の気密空間に連通接続され所定の気化促進剤が貯留された貯留タンクと、前記収容体内の気密空間に連通された排気管と、該排気管を介して前記収容体内の気体を引き抜いて気圧を低下させる真空ポンプと、該真空ポンプの上流側若しくは下流側に接続され前記収容体から排出された有害物質を捕集する捕集機器とを備え、前記真空ポンプは、気圧低下によって前記気化促進剤が添加された前記対象物内から前記有害物質を揮発させるとともに揮発した有害物質を前記収容体の外部に排出するようになっているものである。
【0009】また、本発明に係る有害物質の分離除去装置は、前記収容体を剛体容器で構成したものである。
【0010】また、本発明に係る有害物質の分離除去装置は、前記収容体をシートで構成し、該シートを前記対象物を収容した状態で袋状に密封自在に構成したものである。
【0011】本発明に係る有害物質の分離除去方法においては、有害物質を含んだ対象物を気密空間内に密封するとともに該対象物に気化促進剤を添加し、しかる後に気密空間内の空気を抜いて空気圧を下げる。このようにすると、気密空間内では、気化促進剤の作用によって有害物質が気化しやすい状態となるとともに空気圧低下に伴う有害物質の沸点降下が生じるので、対象物内からは有害物質が揮発する。したがって、これを気密空間の外部に排出することにより、対象物内に含まれる有害物質が分離除去される。なお、空気が抜かれた後についても、気密空間内の気体、すなわち揮発した有害物質を抜いて減圧状態を維持することにより、対象物内の有害物質を引き続き揮発させる。
【0012】有害物質が含まれている対象物としては、主として汚染土であるが、これ以外にもスラグ、焼却灰、汚泥、コンクリート廃材、プラスチック廃材、廃棄木材等も含まれる。
【0013】有害物質としては、主として、減圧しても常温では気化しないが気化促進剤を加えることによって、減圧下、特に数mmHg以下のほぼ真空といえる状態で気化が促進される物質が対象となる。具体的には、酸性溶液を加えることによって青酸ガスとして揮発するシアン、同じく酸性溶液を加えるとともに酸化剤を加えて酸化還元電位を高くすることによってアルシンガスとして揮発する砒素、塩酸を加えることによって非常に気化しやすくなる水銀などが含まれ、シアンの場合、酸性溶液が気化促進剤となり、砒素の場合、酸性溶液及び酸化剤が気化促進剤となり、水銀の場合、塩酸が気化促進剤となる。
【0014】なお、気化促進剤を使用せずとも減圧下で揮発させることができるものであっても、本発明を適用して気化促進剤を添加することにより、有害物質の除去効率を著しく高めることが可能となる。このような有害物質としては、油類や、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、PCBなどの有機塩素化合物、あるいはベンゼン、トルエン、ナフタレン、フェノールなどの芳香族炭化水素のほか、減圧下、特に数mmHg以下のほぼ真空といえる状態で沸点が常温以下に下がるすべての物質が包摂される。
【0015】気密空間をどのように形成するかは任意であり、例えば気密性収容体の内部空間を気密空間とし、該気密性収容体の内部に掘削土砂等の対象物を投入するようにしてもよいし、実際に汚染された地盤を対象物とするならば、その汚染領域を取り囲むようにして地中壁を形成するとともに、その上部を気密シートで覆って気密空間を形成してもよい。
【0016】気密空間内の気圧は、気化促進剤を添加した状態での該空間内の温度における有害物質の蒸気圧以下となるように設定するのが望ましい。この程度まで気圧を下げれば、対象物内に含まれる有害物質は気化促進剤の作用と相まって直ちに揮発する。なお、必ずしも上述した有害物質の蒸気圧を下回る必要はなく、若干効率は落ちるものの、該蒸気圧に近い気圧であればかなりの揮発作用を期待できる。
【0017】本発明に係る有害物質の分離除去装置においては、まず、気密性の収容体内に有害物質を含んだ対象物を投入して密封するとともに、貯留タンクに貯留された気化促進剤を収容体内に送り込んで対象物内に添加する。次に、排気管を介して収容体内の空気を真空ポンプで抜き、空気圧を下げる。
【0018】このようにすると、気密空間内では、気化促進剤の作用によって有害物質が気化しやすい状態となるとともに空気圧低下に伴う有害物質の沸点降下が生じるので、対象物内からは有害物質が揮発する。したがって、これを気密空間の外部に排出し、さらに捕集機器で捕集する。なお、空気が抜かれた後についても、気密空間内の気体、すなわち揮発した有害物質を抜いて減圧状態を維持することにより、対象物内の有害物質を引き続き揮発させる。
【0019】有害物質、それが含まれている対象物並びに気圧に関する説明については、上述したとほぼ同様であるのでここでは省略する。
【0020】気密性の収容体としては、内部の真空状態を実質的に維持できるものであれば、外部からの大気圧に耐える構造にするかどうかは任意であるが、対象物に大気圧が作用すると該対象物からの有害物質の揮発が妨げられることが懸念される場合には、前記収容体を剛体容器で構成しておくと、対象物に大気圧が作用しないので、有害物質は、対象物内からスムーズに揮発する。
【0021】一方、対象物に大気圧が作用しても有害物質の揮発が妨げられるおそれがない場合、例えば、対象物が礫や砂利を多く含んだ汚染土である場合には、前記収容体をシートで構成し、該シートを前記対象物を収容した状態で袋状に密封自在に構成しておくと、本発明による揮発作用に加圧作用が加わり、より効率的な分離除去が可能となる。また、収容体がシートであるため、保管や運搬の際にたたんでおくことができるという作用効果も得られる。
【0022】なお、気密性シートの使用の際にはこれを拡げて対象物を載せた後、対象物を包み込むようにして袋状に密封し、しかる後に収容体内の空気を上述したように引き抜いて有害物質を揮発除去すればよい。気密性シートとしては、ナイロン、ビニロン、ポリエステルターポリンなどの材料から任意に選択することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有害物質の分離除去方法及び装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】図1は、本実施形態に係る有害物質の分離除去装置を示した全体斜視図である。同図でわかるように、本実施形態に係る有害物質の分離除去装置1は、有害物質であるシアンを含んだ対象物としての汚染土2が収容される気密性の収容体3と、該収容体内の気密空間に供給管17を介して連通接続され気化促進剤である酸性溶液が貯留された貯留タンク5と、収容体3に貫通配置された排気管4と、該排気管に気液分離タンク6を介して接続された真空ポンプ7と、該真空ポンプの下流側に接続された捕集機器8とからなり、真空ポンプ7は、酸性溶液の添加によって収容体3内でシアンから変化したシアン化水素酸を、排気管4を介して該収容体内の気体を引き抜いて気圧を下げることにより、収容体3内の気圧低下に伴う沸点降下作用で青酸ガスとして揮発させ、さらに揮発した青酸ガスを収容体3の外部に排出するようになっている。
【0025】気密性の収容体3は、ナイロン、ビニロン、ポリエステルターポリンなどの材料で形成された気密性シート11を、後述するように汚染土2を収容した状態で袋状に包み込んだ後、接着、溶着等の方法で密封して構成するのがよい。
【0026】排気管4は、例えば硬質塩化ビニルで形成することが可能であり、多数の孔16が形成されたその先端部分を収容体3の底部に設置されたサンドマット9内に埋設してある。そして、該マット内を通過してきた収容体3内の空気や汚染土2内からの青酸ガスを孔16から吸入するようになっている。
【0027】すなわち、サンドマット9は、孔16を汚染土2で目詰まりさせることなく空気や青酸ガスをスムーズに排出させるためのいわば通気体としての役目を果たすとともに、汚染土2の重量や該土に含まれる礫等の突起物によって気密性シート11が破れたりしないようにする保護層としての役目も果たす。
【0028】気液分離タンク6には気圧計10を取り付けてあり、連通する収容体3内の気圧を計測できるようになっているとともに、該タンクの底面近傍にはドレインコック12を設けてあり、バルブ13を閉じた状態で該コックを開くことにより、汚染土2内から蒸発して気液分離タンク6に溜まった水を抜くことができるようになっている。なお、かかる水に汚染土2から揮発した青酸ガスが溶けている場合には、気密状態を維持しながら引き抜いて処理する。
【0029】捕集機器8は、真空ポンプ7から排出された気体から有害物質である青酸ガスを捕集回収するための機器であり、その内部には、青酸ガスを吸着するための活性炭を充填してある。なお、微量の青酸ガスが捕集機器8内で吸着されずに排気口から大気に放出される事態が考えられるが、かかる場合には、捕集機器8の排気口を加熱燃焼炉に接続し、該燃焼炉にて青酸ガスを燃焼させて窒素、二酸化炭素及び水に分解し、無毒化を図るようにするのがよい。
【0030】本実施形態に係る有害物質の分離除去装置1を現場にて製造するには、まず、図2(a)に示すように気密性のシート11を地面上に拡げ、その上にサンドマット9を敷き均すとともに該マット内に排気管4の先端部分を埋設する。
【0031】次に、同図(b)に示すようにサンドマット9の上に汚染土2を盛るとともに、該汚染土内に供給管17の先端を埋設する。
【0032】次に、気密性のシート11の縁部を持ち上げてサンドマット9及び汚染土2を袋状に包み込む。そして、それらの縁部を重ね合わせて溶着、接着等の方法によって接合密封し、同図(c)に示すような、内部に気密空間が形成された収容体3とする。
【0033】最後に、供給管17に貯留タンク5を接続するとともに、排気管4に気液分離タンク6、真空ポンプ7及び捕集機器8を図1に示したように順次接続する。
【0034】このようにして組み立てられた分離除去装置1を用いて汚染土2内からシアンを分離除去するには、まず、貯留タンク5内の酸性溶液を収容体3内に送り込み、汚染土2のpHを低下させる。このようにすると、汚染土2内のシアンは、酸性環境下でシアン化水素酸に変化し、青酸ガスとして気化しやすくなる。
【0035】かかる状態で、真空ポンプ7を作動させて収容体3内の空気を抜き、該収容体内の空気圧を下げる。空気圧を下げる程度としては、収容体3内の空気圧が該収容体内の温度におけるシアン化水素酸の蒸気圧以下となるように真空ポンプ7を作動させるのが望ましい。ここで、シアン化水素酸の蒸気圧曲線が概ね図3のようになるとするならば、気温が10゜Cのときには、収容体内の気圧を例えば100mmHg程度以下に下げればよい。また、さらに数mmHgまで下げてやれば、土粒子内部や土粒子間の細かい空隙に存在して離脱しにくい状態のものも、これを短時間に効率よく揮発させることができる。なお、同図には、参考までに灯油、水、エチルアルコールの蒸気圧曲線も併せて示した。
【0036】このように収容体3内の空気圧を下げると、該収容体内では、空気圧低下に伴うシアン化水素酸の沸点降下が生じて汚染土2内のシアン化水素酸が直ちに青酸ガスとして揮発するので、これを真空ポンプ7で収容体3から吸引して捕集機器8に送り、該捕集機器にて青酸ガスを吸着させて回収する。
【0037】なお、空気が抜かれた後についても、気密空間内の気体、すなわち揮発した青酸ガスを抜いて減圧状態を維持することにより、汚染土2内のシアンを引き続き揮発させる。
【0038】真空ポンプ7を作動させる時間については、どの程度までシアンを除去したいかによって適宜調節する。また、いったん所定の空気圧まで下げた後においては、真空ポンプ7を断続運転あるいは出力を弱めて運転し、収容体3内で揮発した青酸ガスによる圧力上昇の分だけ圧力が下がるようにすれば足りる。
【0039】汚染土2内のシアンが所望の程度まで分離除去されたならば、真空ポンプ7を停止して気密性シート11を開き、該シート内から処理された土を取り出す。処理済みの土は、例えば盛土材料として使用すればよい。
【0040】以上説明したように、本実施形態に係る有害物質の分離除去方法及び装置によれば、酸性溶液の添加によってシアンをシアン化水素酸に変化させて気化しやすくし、かかる状態で気圧を下げてシアン化水素酸の沸点を降下させることにより、シアンを青酸ガスとして汚染土2内から直ちに揮発させて収容体3の外側に排出することができる。
【0041】そのため、きわめて毒性の強いシアンを汚染土から効率的に分離除去することが可能となり、汚染土を処分するための廃棄物処分場を設置する必要がなくなる。また、処理した後に脱水が必要となる水洗浄とは異なり、処理された土をすぐに再利用することができる。
【0042】また、収容体3内の気圧が該収容体内の温度におけるシアン化水素酸の蒸気圧以下となるように真空ポンプ7を作動させるようにしたので、汚染土2内に含まれるシアンは、青酸ガスの形で直ちに揮発し、短時間に汚染土内のシアン含有量を低下させることができる。
【0043】また、収容体3を気密性シート11で構成したので、該シートを介して大気圧が汚染土2に作用する。そのため、汚染土2に含まれているシアンは、気化促進剤及び減圧による揮発作用に大気圧による加圧作用が加わり、収容体3外部への排出が促進され、より効率的な分離除去が可能となる。また、収容体3がシート11であるため、保管や運搬の際にたたんでおくことができるという作用効果も得られる。
【0044】また、収容体3の底部に保護層としてのサンドマット9を設けたので、汚染土2の重量が大きかったり該汚染土に突起物が含まれていたとしても、それが原因で収容体3が損傷を受けることはない。そのため、収容体3の転用が可能となる。
【0045】また、サンドマット9内に排気管4を埋設するようにしたので、該管に形成された孔16が汚染土2で塞がれて空気やシアンの排出が妨げられるおそれがなくなるとともに、汚染土2の広い範囲からシアンを揮発させることも可能となる。
【0046】本実施形態では、有害物質を分離除去する対象物を汚染土としたが、本発明の対象物はかかる汚染土に限定されるものではなく、汚染土以外にも、スラグ、焼却灰、汚泥、コンクリート廃材、プラスチック廃材、廃棄木材等を対象物としてもよい。
【0047】また、本実施形態では、有害物質をシアンとしたが、本発明でいうところの有害物質はかかる物質に限定されるものではなく、例えば砒素に対しても適用することができる。かかる構成においては、砒素が含まれている汚染土等の対象物に酸性溶液及び酸化剤を気化促進剤として添加すれば、砒素がアルシンガスの形で気化しやすい状態となるので、上述の実施形態と同様にして気密空間内の気圧を下げれば、対象物から砒素を揮発させて分離除去することが可能である。また、水銀が含まれている汚染土に対しては、塩酸を加えることで該水銀を気化しやすくすることができる。
【0048】また、本実施形態では、収容体内に気化促進剤を送り込むようにしたが、収容体内に密封する前に予め汚染土に添加混合するようにしてもよい。
【0049】また、本実施形態では、減圧しても常温では気化しないが気化促進剤を加えることによって気化が促進される物質を対象としたが、気化促進剤を使用せずとも減圧下で揮発させることができる有害物質に対しても本発明を適用することができる。かかる構成によれば、有害物質の気化が速まるため、分離除去効率が著しく改善される。
【0050】また、本実施形態では、気密性のシート11を用いて収容体3を構成したが、かかる構成に代えて図4(a)に示すように、剛性の高い、例えば鋼製の容器21を収容体とし、かかる容器21の内部を汚染土2を収容するための気密空間とするとともに、該容器21に排気管22を介して図1と同様の気液分離タンク6、真空ポンプ7及び捕集機器8を順次接続するようにしてもよい。
【0051】かかる構成によれば、対象物である汚染土2に大気圧が作用すると有害物質の揮発が妨げられることが懸念される場合において、有害物質を対象物内からスムーズに揮発させることが可能となる。なお、この場合、同図(b)に示すように有孔の排気管23を用いてもよい。
【0052】また、本実施形態では、収容体3を用いて気密空間を形成するようにしたが、実際に汚染された地盤を対象物とするならば、図5に示すように、地盤31内の汚染領域32を取り囲むようにして地中壁33を形成しその上部を気密シート若しくは剛性板34で覆って気密空間を形成するとともに、地中壁33に排気管35を貫通させて、気液分離タンク6、真空ポンプ7及び捕集機器8を順次接続するようにしてもよい。なお、地中壁33の下端については、必要に応じて適宜気密処理を行う。
【0053】また、本実施形態では、気液分離タンク6、真空ポンプ7、捕集機器8の順で収容体3に接続したが、まず、気液分離タンクは、真空ポンプがいわゆるドライタイプのものであればこれを省略してもよいし、真空ポンプと捕集機器との順序を入れ替えてもよい。
【0054】また、本実施形態では、保護層としてサンドマットを採用したが、これに代えて、合板を気密性シートの上に載せて保護層としてもよいし、アスファルトやコンクリートで構成してもよい。一方、気密性シート自体に強度を持たせるようにすれば、あるいは対象物の重量等による破損のおそれがないのであれば、かかる保護層を省略してもよい。
【0055】また、本実施形態では、通気体としてサンドマット9を採用したが、かかる通気体は、一定の上載圧が作用しても内部に空気や青酸ガスの通路が確保されるのであればどのようなものでもよく、例えば、砂や砂利を敷き均す代わりに、高分子系材料で形成された立体網目状マットを使用してもよい。また、敷き均された砂や砂利内に硬質塩化ビニル等で形成した有孔管を埋設して通気性をさらに向上させるようにしてもよい。
【0056】なお、かかる通気体は、例えば、排気管の先端を分岐することによって対象物の広い範囲からシアンを排出することができるのであれば、あるいは、汚染土2が礫、砂利等を多く含んだ通気性の高いものであれば、これを省略してもよい。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る本発明の有害物質の分離除去方法によれば、シアン等の有害物質を対象物から効率的に分離除去することが可能となり、該対象物を処分するための廃棄物処分場を設置する必要がなくなるとともに、水洗浄等の方法とは異なり、処理された土をすぐに再利用することも可能となる。
【0058】また、請求項2に係る本発明の有害物質の分離除去装置によれば、シアン等の有害物質を対象物から効率的に分離除去することが可能となり、該対象物を処分するための廃棄物処分場を設置する必要がなくなるとともに、水洗浄等の方法とは異なり、処理された土をすぐに再利用することも可能となる。
【0059】また、請求項3に係る本発明の有害物質の分離除去装置によれば、請求項2の効果に加えて、対象物に大気圧が作用すると有害物質の揮発が妨げられることが懸念される場合において、有害物質を対象物内からスムーズに揮発させることが可能となるという効果も奏する。
【0060】また、請求項4に係る本発明の有害物質の分離除去装置によれば、請求項2の効果に加えて、有害物質は、気化促進剤による気化作用及び減圧による揮発作用に加えて大気圧の加圧作用によって収容体外部への排出が促進され、より効率的な分離除去が可能となる。また、保管や運搬の際に収容体をたたんでおくことができるという作用効果も得られる。
【0061】
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成9年(1997)7月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
【公開番号】 特開平11−28446
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−203777