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【発明の名称】 微生物環境解析方法および装置ならびに微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体
【発明者】 【氏名】仲沢 武志
【課題】微生物の活動に必要な物質の溶液を地盤に浸透させて微生物に供給する際、上記物質の地盤中における濃度分布を求める。

【解決手段】第1の解析手段32は、第1の入力手段30が取り込んだ地盤の透水係数テンソルなどのデータを用いて水頭圧に関する微分方程式を有限要素法により解き、地盤中の水頭圧を求める。第2の解析手段34はその結果より溶液の地盤中での流速ベクトルを算出する。その後、第3の解析手段38は、第2の入力手段36が取り込んだ地盤中の溶液拡散係数などと、第2の解析手段34が算出した流速ベクトルを用いて、地盤中の栄養塩の濃度に関する微分方程式を解く。出力手段40は第3の解析手段38による濃度の解析結果にもとづき、CRTモニタ14の画面に濃度分布を表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析方法であって、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析ステップと、前記浸透流解析ステップで求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析ステップとを含み、前記浸透流解析ステップは、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納する第1の入力ステップと、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析ステップと、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析ステップで求めた前記水頭圧hとを用いて、前記地盤中での前記溶液の流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析ステップとを含み、前記物質移行拡散解析ステップは、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納する第2の入力ステップと、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析ステップで求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析ステップと、前記第3の解析ステップで求めた前記濃度Cを出力する出力ステップとを含む、ことを特徴とする微生物環境解析方法。
【請求項2】 前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成ステップをさらに含み、前記メッシュ作成ステップは、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを入力して記憶手段に格納する第3の入力ステップと、前記第3の入力ステップで入力した前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして記憶手段に格納する要素データ生成ステップとを含み、前記第1および第3の解析ステップでは、前記要素データ生成ステップで生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解く請求項1記載の微生物環境解析方法。
【請求項3】 前記凹部は井戸、トレンチ、池のいずれかである請求項1記載の微生物環境解析方法。
【請求項4】 微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析装置であって、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析手段と、前記浸透流解析手段で求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析手段とを含み、前記浸透流解析手段は、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを取り込んで記憶手段に格納する第1の入力手段と、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析手段と、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析手段で求めた前記水頭圧hとを用いて、前記溶液の前記地盤中での流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析手段とを含み、前記物質移行拡散解析手段は、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを取り込んで記憶手段に格納する第2の入力手段と、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析手段で求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析手段と、前記第3の解析手段で求めた前記濃度Cを出力する出力手段とを含む、ことを特徴とする微生物環境解析装置。
【請求項5】 前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成手段をさらに含み、前記メッシュ作成手段は、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを取り込んで記憶手段に格納する第3の入力手段と、前記第3の入力手段が取り込んだ前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして前記記憶手段に格納する要素データ生成手段とを含み、前記第1および第3の解析手段は、前記要素データ生成手段で生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解く請求項4記載の微生物環境解析装置。
【請求項6】 前記凹部は井戸、トレンチ、池のいずれかである請求項4記載の微生物環境解析装置。
【請求項7】 微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体であって、前記微生物環境解析プログラムは、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析ステップと、前記浸透流解析ステップで求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析ステップとを含み、前記浸透流解析ステップは、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納する第1の入力ステップと、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析ステップと、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析ステップで求めた前記水頭圧hとを用いて、前記溶液の前記地盤中での流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析ステップとを含み、前記物質移行拡散解析ステップは、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納する第2の入力ステップと、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析ステップで求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析ステップと、前記第3の解析ステップで求めた前記濃度Cを出力する出力ステップとを含む、ことを特徴とする微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体。
【請求項8】 前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成ステップをさらに含み、前記メッシュ作成ステップは、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを入力して記憶手段に格納する第3の入力ステップと、前記第3の入力ステップで入力した前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして記憶手段に格納する要素データ生成ステップとを含み、前記第1および第3の解析ステップでは、前記要素データ生成ステップで生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解く請求項7記載の微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体。
【請求項9】 前記凹部は井戸、トレンチ、池のいずれかである請求項7記載の微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の活動に必要な物質の溶液を地盤に浸透させて微生物に供給する際、上記物質の地盤中における濃度分布を求める方法および装置に関し、さらに同プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地盤中に埋没している汚染物質を浄化する1つの有効な方法として、地盤中の微生物を活性化させて微生物に汚染物質を分解させるいわゆるバイオレデメーションによる方法が知られている。この浄化方法を用いる場合、効率よく汚染物質を分解するためには、微生物の活性化が重要であり、したがって、微生物に対する空気(好気性微生物の場合)や栄養塩などの栄養を供給して微生物が活動するための環境を整えることが不可欠となる。
【0003】栄養塩を地盤中の微生物に供給する方法としては、汚染物質近傍の地盤に井戸を掘削して栄養塩の溶液を貯留させることで、地盤中に栄養塩の溶液を浸透させる方法が提案されている。この方法を実施する場合、微生物に効率良く、かつ的確に栄養塩を供給するためには、井戸の深さや位置、さらに井戸に貯留させる栄養塩溶液の量および濃度を適切に設定しなければならない。それには、これらのパラメータと地盤中の栄養塩の濃度分布との関係を把握する必要があるが、井戸から栄養塩溶液を浸透させた場合に地盤中の栄養塩の濃度分布がどうなるかを解析する方法は知られていない。
【0004】地下水の挙動を把握するために従来より古典的な井戸理論が用いられているが、古典的井戸理論では、地下水(この場合には地盤に浸透させた栄養塩溶液)の自由水面の高さを把握することしかできず、しかも地形が単純である場合に限られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、微生物の活動に必要な物質の溶液を地盤に浸透させて微生物に供給する際、上記物質の地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析方法、微生物環境解析装置、ならびに微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析方法であって、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析ステップと、前記浸透流解析ステップで求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析ステップとを含み、前記浸透流解析ステップは、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納する第1の入力ステップと、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析ステップと、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析ステップで求めた前記水頭圧hとを用いて、前記地盤中での前記溶液の流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析ステップとを含み、前記物質移行拡散解析ステップは、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納する第2の入力ステップと、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析ステップで求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析ステップと、前記第3の解析ステップで求めた前記濃度Cを出力する出力ステップとを含むことを特徴とする。
【0007】本発明の微生物環境解析方法はまた、前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成ステップをさらに含み、前記メッシュ作成ステップは、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを入力して記憶手段に格納する第3の入力ステップと、前記第3の入力ステップで入力した前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして記憶手段に格納する要素データ生成ステップとを含み、前記第1および第3の解析ステップでは、前記要素データ生成ステップで生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解くことを特徴とする。本発明の微生物環境解析方法はまた、前記凹部が井戸、トレンチ、池のいずれかであることを特徴とする。
【0008】本発明はまた、微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析装置であって、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析手段と、前記浸透流解析手段で求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析手段とを含み、前記浸透流解析手段は、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを取り込んで記憶手段に格納する第1の入力手段と、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析手段と、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析手段で求めた前記水頭圧hとを用いて、前記溶液の前記地盤中での流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析手段と、を含み、前記物質移行拡散解析手段は、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを取り込んで記憶手段に格納する第2の入力手段と、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析手段で求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析手段と、前記第3の解析手段で求めた前記濃度Cを出力する出力手段とを含むことを特徴とする。
【0009】本発明の微生物環境解析装置はまた、前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成手段をさらに含み、前記メッシュ作成手段は、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを取り込んで記憶手段に格納する第3の入力手段と、前記第3の入力手段が取り込んだ前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして前記記憶手段に格納する要素データ生成手段とを含み、前記第1および第3の解析手段は、前記要素データ生成手段で生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解くことを特徴とする。本発明の微生物環境解析装置はまた、前記凹部が井戸、トレンチ、池のいずれかであることを特徴とする。
【0010】本発明はまた、微生物の活動に必要な物質の溶液を、地盤に形成した凹部に貯留させることで前記溶液を前記地盤に浸透させて前記微生物に供給する際の前記物質の前記地盤中における濃度分布を求める微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体であって、前記微生物環境解析プログラムは、前記溶液の前記地盤中での流速を求める浸透流解析ステップと、前記浸透流解析ステップで求めた前記溶液の前記流速にもとづいて、前記地盤中での前記物質の濃度を求める物質移行拡散解析ステップとを含み、前記浸透流解析ステップは、前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納する第1の入力ステップと、時間をt、位置座標をxi 、xj 、前記地盤中の水頭圧をh、前記地盤の体積含水率をθとして、第1の微分方程式∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiを、前記記憶手段に格納されている前記地盤の透水係数テンソルki j と、前記地盤中の水頭圧の初期値と、前記凹部内での前記溶液の水頭圧とを用いて、数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める第1の解析ステップと、前記記憶手段に格納されている透水係数テンソルki j と、前記第1の解析ステップで求めた前記水頭圧hとを用いて、前記溶液の前記地盤中での流速ベクトルvi を、vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出する第2の解析ステップと、を含み、前記物質移行拡散解析ステップは、前記地盤中の溶液拡散係数Di j と、前記凹部内の前記物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納する第2の入力ステップと、前記地盤中の前記物質の濃度をCとして、第2の微分方程式∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xiを、前記第2の解析ステップで求めた前記流速ベクトルvi と、前記記憶手段に格納されている前記溶液拡散係数Di j と、前記記憶手段に格納されている前記凹部内の前記物質の前記濃度分布とを用いて、数値解析の手法により解き、前記地盤中の前記物質の濃度Cを求める第3の解析ステップと、前記第3の解析ステップで求めた前記濃度Cを出力する出力ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】本発明の記録媒体に記録された微生物環境解析プログラムはまた、前記地盤を多数の有限要素の集合として表した場合の前記有限要素に関するメッシュデータを作成するメッシュ作成ステップをさらに含み、前記メッシュ作成ステップは、前記地盤の解析範囲のデータ、前記有限要素の寸法のデータ、ならびに前記凹部の位置と寸法のデータを入力して記憶手段に格納する第3の入力ステップと、前記第3の入力ステップで入力した前記データを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記データにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとして記憶手段に格納する要素データ生成ステップとを含み、前記第1および第3の解析ステップでは、前記要素データ生成ステップで生成した前記有限要素メッシュデータを前記記憶手段から読み出し、読み出した前記有限要素メッシュデータを用いて、有限要素法により前記第1および第2の微分方程式をそれぞれ解くことを特徴とする。本発明の記録媒体に記録された微生物環境解析プログラムにおいて、前記凹部は井戸、トレンチ、池のいずれかであることを特徴とする。
【0012】本発明の微生物環境解析方法および本発明の記録媒体に記録した微生物環境解析プログラムでは、第1の入力ステップにおいて、地盤の透水係数テンソルkij と、地盤中の水頭圧の初期値と、凹部内での溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納し、第1の解析ステップでは、記憶手段に格納したこれらのデータを用いて第1の微分方程式を数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める。そして、第2の解析ステップで、第1の解析ステップでの解析結果と、記憶手段に格納されているデータとを用いて、溶液の地盤中での流速ベクトルvi をvi =−ki j (∂h/∂xj )にもとづいて数値解析の手法により算出する。
【0013】その後、第2の入力ステップで、地盤中の溶液拡散係数Di j と、凹部内の物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納し、第3の解析ステップにおいて、第2の入力ステップで入力して記憶手段に格納した上記データと、第2の解析ステップで求めた流速ベクトルvi とを用いて、第2の微分方程式を数値解析の手法により解き、地盤中の物質の濃度Cを求める。そして、出力ステップでは、第3の解析ステップで求めた濃度Cを出力する。
【0014】また、本発明の微生物環境解析装置では、第1の入力手段が地盤の透水係数テンソルki j と、地盤中の水頭圧の初期値と、凹部内での溶液の水頭圧とを取り込んで記憶手段に格納し、第1の解析手段は、記憶手段に格納されたこれらのデータを用いて第1の微分方程式を数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める。そして、第2の解析手段は、第1の解析手段による解析結果と、記憶手段に格納されているデータとを用いて、溶液の地盤中での流速ベクトルvi をvi =−ki j (∂h/∂xj )にもとづいて数値解析の手法により算出する。
【0015】その後、第2の入力手段は地盤中の溶液拡散係数Di j と、凹部内の物質の濃度分布とを取り込んで記憶手段に格納し、第3の解析手段は、第2の入力手段が記憶手段格納した上記データと、第2の解析手段が求めた流速ベクトルvi とを用いて、第2の微分方程式を数値解析の手法により解き、地盤中の物質の濃度Cを求める。そして、出力手段は第3の解析手段で求めた濃度Cを出力する。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1は本発明による微生物環境解析装置の一例を示すブロック図、図2は実施例の微生物環境解析装置を具体的に構成するコンピュータを示す構成図、図3は実施例の微生物環境解析装置の動作を示すフローチャート、図4は地盤中の汚染源周辺を示す概略断面図、図5は実施例の微生物環境解析装置による濃度に関する解析結果の一例を示す濃度分布図、図6は実施例の微生物環境解析装置による水頭圧に関する解析結果の一例を示す水頭圧分布図、図7は実施例の微生物環境解析装置による流速に関する解析結果の一例を示す流速分布図である。以下ではこれらの図面を参照して、本発明の微生物環境解析装置の一例について説明し、同時に本発明の微生物環境解析方法および微生物環境解析プログラムを記録した記録媒体の実施例についても説明する。
【0017】図4は、微生物により分解すべき地盤42中の汚染源44の周辺を示しており、本実施例では、この汚染源44を挟んで2本の井戸46、48を掘削し、井戸46に栄養塩の溶液を注入する一方、もう1つの井戸48より栄養塩を含む地下水を汲み上げて回収するものとする。なお、一般に、地下水の汲み上げを行う前の地下水面は点線50で示したように水平であり、井戸48より地下水の汲み上げを行うことで、地下水面は一般に実線52で示したように傾斜したものとなる。
【0018】本実施例の微生物環境解析装置は、具体的には図2に示したコンピュータ2(例えばワークステーションやパーソナルコンピュータ)により構成されている。このコンピュータ2は、CPU4、メインメモリ6、ハードディスク装置8、フロッピーディスク装置10、CRTモニタ14、キーボード16などを備え、後に詳しく説明する図1に示した各部の機能は、本発明による微生物環境解析プログラムを記録したフロッピーディスク(記録媒体)をフロッピーディスク装置10にセットし、フロッピーディスク装置10から上記微生物環境解析プログラムを読み出してメインメモリ6にロードし、CPU4をそのプログラムにもとづいて動作させることで実現されている。
【0019】図1に示したように、本実施例の微生物環境解析装置18は、地盤を多数の有限要素(三角形)の集合、すなわち有限要素メッシュにより表した場合の有限要素に関するデータを作成するメッシュ作成手段20と、溶液の地盤中での流速を求める浸透流解析手段22と、浸透流解析手段22で求めた溶液の流速にもとづいて、地盤中での物質の濃度を求める物質移行拡散解析手段24とを含んでいる。
【0020】メッシュ作成手段20は、第3の入力手段26と、要素データ生成手段28とを含み、第3の入力手段26は、キーボード16(図2)を操作して入力された地盤の解析範囲のデータ、有限要素の寸法のデータ、ならびに井戸の位置と寸法のデータを取り込んで本発明に係わる記憶手段としてのハードディスク装置8(図2)に格納する。一方、要素データ生成手段28は、第3の入力手段26が取り込んでハードディスク装置8に格納したデータをハードディスク装置8から読み出し、読み出したデータにもとづいて、各有限要素の節点番号(三角形の各頂点に位置する番号)およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号(連続する三角形状の各有限要素がどの節点番号で構成するかを表わす節点番号)を生成し、有限要素メッシュデータとしてハードディスク装置8に格納する。
【0021】上記浸透流解析手段22は、第1の入力手段30、第1の解析手段32、ならびに第2の解析手段34から成り、一方、物質移行拡散解析手段24は、第2の入力手段36、第3の解析手段38、ならびに出力手段40から成る。まず、浸透流解析手段22の第1の入力手段30は、キーボード16を操作して入力された地盤の透水係数テンソルki j と、地盤中の水頭圧の初期値と、井戸46、48(図4)内での溶液の水頭圧とを取り込んでハードディスク装置8に格納する。第1の解析手段32は、第1の入力手段30がハードディスク装置8に格納した地盤の透水係数テンソルki j と、地盤中の水頭圧の初期値と、井戸46、48内での溶液の水頭圧とをハードディスク装置8から読み出し、さらに要素データ生成手段28がハードディスク装置8に格納した有限要素に関するデータをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて、次の第1の微分方程式を有限要素法により解いて水頭圧hを求め、結果をハードディスク装置8に格納する。
【0022】
【数1】
∂θ/∂t=−∂{ki j (∂h/∂xj )}/∂xiここで、tは時間、xi 、xj は位置座標、hは地盤中の水頭圧、θは地盤の体積含水率をそれぞれ表す。第2の解析手段34は、第1の入力手段30がハードディスク装置8に格納した透水係数テンソルki j と、第1の解析手段32が求め、ハードディスク装置8に格納した水頭圧hとをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて、溶液の地盤中での流速ベクトルvi を、【0023】
【数2】vi =−ki j (∂h/∂xj
にもとづいて数値解析の手法により算出し、結果をハードディスク装置8に格納する。一方、物質移行拡散解析手段24の第2の入力手段36は、キーボード16を操作して入力された地盤中の溶液拡散係数Di j と、井戸46、48内の栄養塩の濃度分布とを取り込みハードディスク装置8に格納する。また、第3の解析手段38は、第2の解析手段34が算出してハードディスク装置8に格納した流速ベクトルvi と、第2の入力手段36がハードディスク装置8に格納した溶液拡散係数Di j および井戸46、48内の栄養塩の濃度分布とをハードディスク装置8から読み出し、さらに、要素データ生成手段28がハードディスク装置8に格納した有限要素に関するデータをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて次の第2の微分方程式(移行拡散方程式)を有限要素法により解き、地盤中の栄養塩の濃度Cを求め、ハードディスク装置8に格納する。
【0024】
【数3】∂C/∂t+Vi (∂C/∂xi )=∂{Di j (∂C/∂xj )}/∂xi出力手段40は、第3の解析手段38がハードディスク装置8に格納した濃度Cをハードディスク装置8から読み出し、CRTの画面に濃度分布図を表示する。出力手段40はまた、キーボード16における出力画面の選択操作にしたがって、第1および第2の解析手段32、34がそれぞれハードディスク装置8に格納した水頭圧hおよび流速ベクトルVi をハードディスク装置8から読み出し、水頭圧分布図および流速分布図を切り換えてCRTの画面に表示する。
【0025】次に、このように構成された微生物環境解析装置18の動作について図3のフローチャートを参照しつつ説明する。図3のフローチャートに示したように、まず、メッシュ作成手段20の第3の入力手段26は、キーボード16を操作して入力された地盤42(図4)の解析範囲のデータ、有限要素の寸法のデータ、ならびに井戸46、48の位置と寸法のデータを取り込んでハードディスク装置8に格納する。そして、要素データ生成手段28は、第3の入力手段26が取り込んでハードディスク装置8に格納したデータをハードディスク装置8から読み出し、読み出したデータにもとづいて、各有限要素の節点番号およびその節点座標、ならびに有限要素メッシュの各有限要素を構成する節点番号を生成し、有限要素メッシュデータとしてハードディスク装置8に格納する(ステップS1)。なお、図5などに示したように、本実施例では各有限要素54の形状は三角形であるとする。
【0026】次に、第1の入力手段30は、キーボード16を操作して入力された地盤42の透水係数テンソルki j と、地盤42中の水頭圧の初期値と、井戸46、48内での溶液の水頭圧とを取り込んでハードディスク装置8に格納する(ステップS2)。
【0027】そして、第1の解析手段32は、第1の入力手段30がハードディスク装置8に格納した地盤42の透水係数テンソルki j と、地盤42中の水頭圧の初期値と、井戸46、48内での溶液の水頭圧とをハードディスク装置8から読み出し、さらに要素データ生成手段28がハードディスク装置8に格納した有限要素に関するデータをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて、[数1]の第1の微分方程式を有限要素法により解いて無限時間経過後の定常状態における水頭圧hを求め、結果をハードディスク装置8に格納する(ステップS3)。
【0028】つづいて、第2の解析手段34は、第1の入力手段30がハードディスク装置8に格納した透水係数テンソルki j と、第1の解析手段32が求め、ハードディスク装置8に格納した水頭圧hとをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて、地盤42中での溶液の流速ベクトルvi を[数2]にもとづいて数値解析の手法により算出し、結果をハードディスク装置8に格納する(ステップS4)。
【0029】その後、第2の入力手段36は、キーボード16を操作して入力された地盤42中の溶液拡散係数Di j と、井戸46、48内の栄養塩の濃度分布とを取り込みハードディスク装置8に格納する(ステップS5)。そして、第3の解析手段38は、第1の解析手段32が算出してハードディスク装置8に格納した流速ベクトルvi と、第2の入力手段36がハードディスク装置8に格納した溶液拡散係数Di j および井戸46、48内の栄養塩の濃度分布とをハードディスク装置8から読み出し、さらに、メッシュ作成手段20の要素データ生成手段28がハードディスク装置8に格納した有限要素に関するデータをハードディスク装置8から読み出し、それらのデータを用いて[数3]の第2の微分方程式を有限要素法により解き、無限時間経過後の定常状態における地盤42中の栄養塩の濃度Cを求め、ハードディスク装置8に格納する。
【0030】その後、出力手段40は、第3の解析手段38がハードディスク装置8に格納した濃度Cをハードディスク装置8から読み出し、図5に示したようにCRTの画面に、濃度によりグレーレベルを変えることで濃度分布を表示する。図中、右端部に表示されていグレースケールバー56は、各グレーレベルが表す栄養塩の濃度を示し、グレースケールバー56の右側に表示されている数値が各グレーレベルの濃度値を表している。単位は、この例ではppmである。図5において、井戸46から井戸48に至る範囲でグレーレベルが段階的に変化しており、井戸46から離れるにしたがって栄養塩の濃度が除々に低下していることが分る。曲線58は、所要濃度(8ppm)の境界を表し、この曲線58の左側では微生物にとって栄養塩の濃度に関して良好な環境が得られ、曲線58の右側ではかならずしも良好な環境が得られていないことを表している。
【0031】この例では、曲線58は汚染源44を横断しているので、曲線58の右側の汚染源44の箇所では、微生物にとってかならずしも良好な環境が実現されていない。したがって、この解析結果より、微生物を十分に活性化させるためには、井戸46に注入する栄養塩の溶液濃度を高くしたり、井戸46の位置を汚染源44に近付けるといった対策が必要であることが分り、このような対策を施すことで微生物を活性化させて効率よく汚染物質を分解し、地盤42を浄化することが可能となる。
【0032】出力手段40はまた、キーボード16における出力画面の選択操作にしたがって、第1および第2の解析手段32、34がそれぞれハードディスク装置8に格納した水頭圧hおよび流速ベクトルVi をハードディスク装置8から読み出し、水頭圧分布図および流速分布図を切り換えてCRTの画面に表示する。図6は水頭圧の分布を表示した場合の一例であり、濃度分布の場合と同様、グレーレベルにより水頭圧の大きさを表している。図の右端部に表示されているグレースケールバー60は各グレーレベルと水頭圧との対応関係を示し、グレースケールバー60に沿って表示されている数値は水頭圧の値を表してる。単位はtonf/m2 である。
【0033】図中、曲線62は自由水面の位置を表している。この曲線62より上側では地盤42は若干空気を含んだ不飽和状態にあり、一方、曲線62より下側では地盤42は十分に水分を気を含んだ飽和状態にある。したがって、曲線62より上の地盤42は好気性微生物に適した環境であり、曲線62より下の地盤42は嫌気性微生物に適した環境となっていることが分る。一方、図7は流速の分布を表示した場合の一例であり、各有限要素54内の矢印64が流速の大きさおよび方向を表している。
【0034】以上、本発明について実施例をもとに説明したが、これはあくまでも一例であり、本発明はこの例に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、第1の入力手段30が、地盤42の透水係数テンソルki j と、地盤42中の水頭圧の初期値と、井戸46、48内での溶液の水頭圧とを取り込み、これとは別に第2の入力手段36が地盤42中の溶液拡散係数Di j と、井戸46、48内の栄養塩の濃度分布とを取り込むとしたが、第1および第2の入力手段30、36を一体化して、各データを1時に取り込む構成とすることも可能である。さらに、第3の入力手段26についても、第1および第2の入力手段30、36のいずれか一方または両方と一体化した構成とすることも可能である。また、本実施例では本発明に係わる凹部が井戸である場合を例に説明したが、凹部としては井戸に限らず、汚染源44の近傍に構築したトレンチや池などであっても、本発明を適用して地盤42中の栄養塩などの濃度分布を求めることができる。さらに、本実施例では、第1および第3の解析手段32、38が無限時間経過後の水頭圧や濃度を求めるとしたが、任意時間経過後の水頭圧や濃度も基本的に同一の手順で求めることが可能である。また、本実施例では、有限要素法を用いて第1および第2の微分方程式を解いたが、有限要素法以外にも、差分法や境界要素法など種々の数値解析の手法を用いることが可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の微生物環境解析方法および本発明の記録媒体に記録した微生物環境解析プログラムでは、第1の入力ステップにおいて、地盤の透水係数テンソルki j と、地盤中の水頭圧の初期値と、凹部内での溶液の水頭圧とを入力して記憶手段に格納し、第1の解析ステップでは、記憶手段に格納したこれらのデータを用いて第1の微分方程式を数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める。そして、第2の解析ステップで、第1の解析ステップでの解析結果と、記憶手段に格納されているデータとを用いて、溶液の地盤中での流速ベクトルvi をvi =−ki j (∂h/∂xj )にもとづいて数値解析の手法により算出する。その後、第2の入力ステップで、地盤中の溶液拡散係数Di j と、凹部内の物質の濃度分布とを入力して記憶手段に格納し、第3の解析ステップにおいて、第2の入力ステップで入力して記憶手段に格納した上記データと、第2の解析ステップで求めた流速ベクトルvi とを用いて、第2の微分方程式を数値解析の手法により解き、地盤中の物質の濃度Cを求める。そして、出力ステップでは、第3の解析ステップで求めた濃度Cを出力する。
【0036】また、本発明の微生物環境解析装置では、第1の入力手段が地盤の透水係数テンソルki j と、地盤中の水頭圧の初期値と、凹部内での溶液の水頭圧とを取り込んで記憶手段に格納し、第1の解析手段は、記憶手段に格納されたこれらのデータを用いて第1の微分方程式を数値解析の手法により解き、水頭圧hを求める。そして、第2の解析手段は、第1の解析手段による解析結果と、記憶手段に格納されているデータとを用いて、溶液の地盤中での流速ベクトルvi をvi =−ki j (∂h/∂xj )にもとづいて数値解析の手法により算出する。その後、第2の入力手段は地盤中の溶液拡散係数Di j と、凹部内の物質の濃度分布とを取り込んで記憶手段に格納し、第3の解析手段は、第2の入力手段が記憶手段格納した上記データと、第2の解析手段が求めた流速ベクトルvi とを用いて、第2の微分方程式を数値解析の手法により解き、地盤中の物質の濃度Cを求める。そして、出力手段は第3の解析手段で求めた濃度Cを出力する。したがって、本発明により、微生物の活動に必要な物質の溶液を地盤に浸透させて微生物に供給する際、上記物質の地盤中における濃度分布を求めることが可能となる。これにより、例えば設計段階で、微生物を十分に活性化させるための環境が得られるか否かを判定でき、その判定結果にもとづいて必要なら、例えば、凹部に注入する溶液濃度を高くしたり、凹部の位置を汚染源に近付けるといった対策を的確に実施し、微生物を活性化させて効率よく汚染物質を分解し、地盤を浄化することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000112668
【氏名又は名称】株式会社フジタ
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
【公開番号】 特開平11−19634
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−187506