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【発明の名称】 土壌からの重金属類の回収方法
【発明者】 【氏名】泉川 千秋
【氏名】松田 義勝
【氏名】佐藤 政賢
【氏名】桐越 郁夫
【課題】重金属類で汚染された土壌から重金属類を分離・回収してリサイクルすると共に、浄化された土壌を得ることを目的とした汚染土壌の処理方法を提案する。

【解決手段】鉛等の重金属類で汚染された土壌をそのまま又は必要に応じて土壌粒子径を100μm以下に粉砕し、水を加えてスラリー化し、硫化剤を添加するか、あるいはそのままのスラリーに捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種または2種以上を添加して条件付与した後、浮遊選鉱処理して重金属類を分離・回収すると共に浄化された土壌を得ることを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉛等の重金属類で汚染された土壌に水を加えてスラリー化し、捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加し条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項2】 鉛等の重金属類で汚染された土壌粒子の粒径を100μm以下に粉砕した後に水を加えてスラリー化し、捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加し条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項3】 鉛等の重金属類で汚染された土壌に水を加えてスラリー化し、硫化剤を添加又は吹き込み、続いて捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加して条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項4】 鉛等の重金属類で汚染された土壌粒子の粒径を100μm以下に粉砕した後に水を加えてスラリー化し、硫化剤を添加又は吹き込み、続いて捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加して条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項5】 前記土壌粒子を100μm以下に粉砕する粉砕機がロッドミル及び又はボールミルである請求項2又は4記載の土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項6】 前記捕収剤がジアルキルジチオカルバミン酸塩、キサンドゲン酸塩、ジアルキルジチオリン酸塩のうち少なくとも1種を含有する薬剤である請求項1〜4記載の土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項7】 前記条件剤が酸又はアルカリである請求項1〜4記載の土壌からの重金属類の回収方法。
【請求項8】 前記硫化剤が硫化ソーダ、水硫化ソーダまたは硫化水素である請求項3又は4記載の土壌からの重金属類の回収方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属類に汚染された土壌から重金属類を分離・回収すると共に、土壌を浄化する方法に関し、更に詳しくは、浮遊選鉱によって重金属類を浮鉱として土壌から分離回収してリサイクルすると共に土壌を浄化する土壌からの重金属類の回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、産業界における汚染物質の除去、公害防止活動の活発化等に伴い、新たな化学物質による環境汚染の懸念や、急増する廃棄物の処理問題に関連して、過去に蓄積された有害物質を含む土壌汚染の問題がクローズアップされ、汚染土は「土壌環境基準」に従って有害物質を除去して浄化する対策が必要となって来た。
【0003】重金属類に汚染された土壌を修復する手段としては、化学処理を行った後に封じ込めする方法やコンクリートで固化する方法、物理的な対策としては表層土壌をある深さにわたって排土し、排土された表面に汚染されていない土壌を客土する処理方法等が知られている。
【0004】しかしながら、従来の化学処理及び物理的対策では薬剤費や土壌の運搬コストが高い等の問題があった。
【0005】一方、実際に重金属類に汚染された土壌から重金属類を分離するために種々の方法が提案され公知であるが、公知の重金属分離法、例えば錯塩化による分離またはイオン交換による分離、あるいは鉱酸で重金属類を溶解して水酸化物として分離する除去法等はいずれも満足すべきものではなく、これらは薬品または装置のコストが高すぎるか又は分離過程が充分に効果のあるものではない等の問題がある。
【0006】上述のように、重金属に汚染されている土壌から重金属を回収してリサイクルする技術は確立されておらず、従って経済的にも安価で有効な処理法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来技術の諸問題を解決し、重金属類に汚染されている土壌を浄化・修復するに際し、有害物質の重金属類を濃縮分離し・回収してリサイクルするために、該汚染物を含む土壌を浮遊選鉱処理して経済的に高効率で重金属類を分離回収すると共に土壌を浄化する方法を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる課題を解決するために鋭意研究した結果、重金属類に汚染されている土壌から重金属類を回収してリサイクルし、汚染土壌を浄化する方法として、安価な物理的処理法を開発することができた。
【0009】即ち、第1の発明は、鉛等の重金属類で汚染された土壌に水を加えてスラリー化し、捕収剤、起泡剤、条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加し条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法であり、【0010】第2の発明は、鉛等の重金属類で汚染された土壌粒子の粒径を100μm以下に粉砕した後に水を加えてスラリー化し、捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加して条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法であり、【0011】第3の発明は、鉛等の重金属類で汚染された土壌に水を加えてスラリー化し、硫化剤を添加又は吹き込み、続いて捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加して条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法であり、【0012】第4の発明は、鉛等の重金属類で汚染された土壌粒子の粒径を100μm以下に粉砕した後に水を加えてスラリー化し、硫化剤を添加又は吹き込み、続いて捕収剤,起泡剤,条件剤のうちから選ばれる1種又は2種以上を添加して条件付与した後、該スラリーを浮遊選鉱することにより、重金属類を土壌から分離して重金属類を回収すると共に土壌を浄化することを特徴とする土壌からの重金属類の回収方法を提供するものである。
【0013】上記本発明において、前記土壌粒子を100μm以下に粉砕する粉砕機はロッドミル及び/又はボールミルであることが好ましく、また使用する捕収剤はジアルキルジチオカルバミン酸塩,キサントゲン酸塩,ジアルキルジチオリン酸塩のいずれかを含有する薬剤であること、また前記条件剤が酸あるいはアルカリであること、更に前記硫化剤が硫化ソーダ,水硫化ソーダまたは硫化水素のいずれかであることが好ましいのである。次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】重金属類による土壌汚染において、汚染物質は細かい沈殿物等として土壌粒子間隙間中に存在したり、土壌粒子の一部あるいはカチオン交換能力の高い粘土分に吸着されたりして存在したり、重金属類がメタル粉の状態で混在していることもある。従って、本発明では重金属類で汚染されている土壌を浮選機で処理して、浮鉱に重金属類を濃縮分離する点に特徴がある。
【0015】本発明では、処理対象とする汚染土壌には、好ましくは分級等によって重金属類を濃縮してから浮選を行うのがよいが、これは浮選処理対象物の減量を図る点に特徴がある。
【0016】以下、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるのものではない。
【0017】実施例1A地区の重金属汚染土壌を粉砕機で−35メッシュ(0.417mm)に粉砕した試料500gをポットミルに入れ、水を750cc入れて40分間磨鉱粉砕し、土壌粒子の平均粒径を100μm以下とした。このパルプを京大式浮遊選鉱機(1800cc、12500rpm)に投入し、捕収剤としてジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム150g/tと起泡剤として日本香料(株)製「日香#125」(商品名)を200g/t添加し、10分間条件付けを行った後15分間粗選浮選を行った。浮鉱は更に5分間精選浮選(pH10.6)を行って、Pb精鉱を採取した。その分離成績の結果は図1の如くである。
【0018】実施例2実施例1と同様の試料を用い、浮選の際に水硫化ナトリウムで硫化した後、添加する捕収剤をアミルザンセート50g/tに変更した他は実施例1と同様の操作によって分離した。その分離成績の結果は図2の如くである。
【0019】実施例3図3は、A地区の汚染土壌を選鉱工場で処理したときのフローシートを示すものであり、図4はこのときのマテリアルバランスを示すもので、これらを参照して以下説明する。
【0020】ビン1から抜き出された汚染土壌はロードセル2で計量され、9t/hの速度でベルトコンベア3で運ばれ、ロッドミル(8′×13′)4に送られる。ロッドミル4で磨鉱粉砕された土壌(粉砕後の土壌の平均粒子径100μm以下)はポンプ5で1次サイクロン(MD6×3)6に送られ分級される。
【0021】分級されたアンダーはロッドミル4へ繰り返される。サイクロンオーバーはポンプ7で2次サイクロン8に送られ、ここで分級されたオーバーは粗選浮選コンディショナー(1,5mφ)10に送られる。2次サイクロンアンダーはボールミル(5′×10′)9に繰り返される。粗選浮選コンディショナーには捕収剤としてジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、起泡剤として「日香#125」(商品名)を添加して5分間条件付けを行った。
【0022】本発明において、捕収剤は特に限定されるものではないが、土壌中に含まれる重金属類はメタルや酸化物が多く、通常の硫化鉱物浮選は適用できない。従って、硫化剤で硫化してからキサントゲン酸塩やジチオカルバミン酸塩などで処理することが好ましい。
【0023】粗選コンディショナー10で条件付けされたパルプは、#24FW浮選機(セル数:8区)に送られて粗選浮選が行われる。粗選沈鉱はポンプ13で廃滓シックナーに送られる。一方、粗選浮鉱は精選コンディショナー14,15を通って#18FW(4区)16に送られて精選浮選を行い、精選浮鉱は脱水タンク19に送られて脱水後精鉱として回収される。一方、精選沈鉱はポンプ17で粗選コンディショナー10に繰り返される。
【0024】この結果、図4に示すように本発明法によって重金属類に汚染された土壌から15.6%の鉛精鉱を回収することができた。
【0025】なお、前記実施例では、重金属類としてPbを主として説明したが、Cd、As、Hg等についても本発明法が適用されることは勿論のことであり、実施例3における供試土壌、浮選沈鉱、Pb精鉱中の分析値も図4に例示した。また、重金属類を回収した後の土壌は表1に示す環境庁水質保全局開示の「重金属に係わる土壌汚染調査・対策指針」の含有量参考値以下であることが判明した。
【0026】
【表1】

【0027】
【発明の効果】上述した通り、本発明法は従来ほとんど顧みられなかった汚染土壌から高品位の重金属類を回収すると共に土壌の浄化をも可能ならしめるもので、二次公害防止ならびに資源再利用上きわめて有用である。
【出願人】 【識別番号】000224798
【氏名又は名称】同和鉱業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
【公開番号】 特開平11−10131
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−200703