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【発明の名称】 地下汚染物質の除去方法および除去装置
【発明者】 【氏名】三好 史洋
【氏名】向後 久
【氏名】吉本 嘉規
【氏名】上砂 正一
【氏名】佐藤 尚弘
【課題】構造物直下の地層または土壌の間隙中に含まれる汚染物質および地下水、地下空気に含まれる汚染物質の両者を効果的かつ迅速に除去可能な地下汚染物質の除去方法および除去装置の提供。

【解決手段】直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に設けた開口部の円相当直径D0 が2000mm以上の縦井戸を用いた地下汚染物質の除去方法、および、前記地中に縦井戸3を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管5から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸3に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置11に送給し、処理する工程とを含む地下汚染物質の除去方法、および、該地下汚染物質の除去に用いる除去装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上の縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸内に集水された地下水を汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法。
【請求項2】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上の縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を配設する工程と、該縦井戸に集水された地下水を汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法。
【請求項3】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法。
【請求項4】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管内に該開孔管の中心軸方向の任意の領域を減圧し、当該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を吸引可能な吸引領域可変な開孔管を挿入、配設する工程と、該吸引領域可変な開孔管にて前記開孔管の中心軸方向における吸引領域を変更しつつ、該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法。
【請求項5】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に、開孔管を複数本配設する工程と、少なくとも1本の前記開孔管内に加圧ガスを送気しつつ、少なくとも1本の他の前記開孔管によって、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を吸引し、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法。
【請求項6】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去装置であって、前記構造物の周辺部に穿設された縦井戸(3) と、該縦井戸(3) の側壁内横方向に配設された1本以上の開孔管(5) と、該開孔管(5) から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する減圧吸引装置(7) と、縦井戸に吸引、導入した地下水と地下空気とを分離する気液分離装置(10)と、分離した地下水を揚水する揚水装置(6) と、前記減圧吸引装置(7) および揚水装置(6)から供給される地下水および地下空気の各々に含まれる汚染物質を処理する汚染物質処理装置(11)とを有することを特徴とする地下汚染物質の除去装置。
【請求項7】 構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去装置であって、前記構造物の周辺部に穿設された縦井戸(3) と、該縦井戸(3) の側壁内横方向に配設された複数本の開孔管(5,5P)と、少なくとも1本の前記開孔管(5P)から地層または土壌の間隙中へ加圧ガスを送給する送気装置(60)と、少なくとも1本の他の前記開孔管(5) から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する減圧吸引装置(7) と、前記縦井戸に吸引、導入した地下水と地下空気とを分離する気液分離装置(10)と、分離した地下水を揚水する揚水装置(6) と、前記減圧吸引装置(7) および揚水装置(6) から供給された地下水および地下空気の各々に含まれる汚染物質を処理する汚染物質処理装置(11)とを有することを特徴とする地下汚染物質の除去装置。
【請求項8】 前記開孔管(5) から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する手段が、少なくとも1本の前記開孔管(5) 内に挿入、配設され、該開孔管(5) 中心軸方向の任意の領域から、該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入せしめることが可能な構成とした吸引領域可変な開孔管(40)であることを特徴とする請求項6または7記載の地下汚染物質の除去装置。
【請求項9】 前記吸引領域可変な開孔管(40)が、該開孔管(40)の中心軸方向の所定の領域に開孔部(41LH)を備えると共に、該開孔部(41LH)を備えた領域と非開孔部の領域を区画するシール部材を該管体外壁部に有し、該シール部材が開孔管(40)の径方向に拡縮自在であり、かつ、前記開孔管(5) 内を縦井戸の側壁内横方向に移動可能な開孔管であることを特徴とする請求項8記載の地下汚染物質の除去装置。
【請求項10】 前記吸引領域可変な開孔管(40)が、該開孔管(40)の中心軸方向の所定の領域に開孔部(41LH)を備えると共に、該開孔部(41LH)を備えた領域の片側外側の非開孔部あるいは両外側の非開孔部の管体外壁部に、ガス収納用の膨張・収縮自在な袋(42rあるいは42r,42l の両者) を有し、該袋(42rあるいは42r,42l の両者) にガス導入・排出管(43)が取付けられ、かつ、前記開孔管(5) 内を縦井戸の側壁内横方向に移動可能な開孔管であることを特徴とする請求項8記載の地下汚染物質の除去装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下汚染物質の除去方法および除去装置に関し、特に、地上に建物などの構造物が構築され、その地下に汚染物質が存在し除去装置の設置が困難な場所においても、構造物に制限を受けることなく前記した汚染物質を効果的に除去することが可能な地下汚染物質の除去方法および除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、従来の地下汚染物質の除去における問題点を、(1) 汚染物質の除去における共通的な問題点、および(2) 揮発性汚染物質の除去における特有な問題点に分けて述べる。
(1) 汚染物質の除去における共通的な問題点:従来、工場、廃棄物処理場、廃棄物埋め立て地などにおいて、使用する油、有機溶剤、重金属または廃棄物中の油、有機溶剤、重金属に起因する土壌、地下水の汚染が生じることがあり、地層、土壌、地下水の汚染対策が急務の課題となっている。
【0003】この場合、特に汚染物質の除去が困難な対象は工場における地下汚染物質である。これは、工場の場合、建物など構造物の直下に汚染源が存在することが多く、その場合、建物内に汚染物質除去用の縦井戸を穿設する場所が無いか、縦井戸を穿設した場合工場の操業に影響が生じるなど様々な課題があるためである。
【0004】このため、工場の建物など構造物の直下の汚染物質の効果的かつ迅速な除去方法の開発が急務の課題となっていた。
(2) 揮発性汚染物質の除去における特有な問題点:また、揮発性汚染物質である有機溶剤に関しては、有機塩素系溶剤として使用されてきたトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2 ジクロロエタン、1,1,1 トリクロロエタン、1,1,2 −トリクロロエタンなどは、揮発性有機溶剤とも呼ばれ、溶剤として優れた性質を有する反面、発ガン性などの有害な性質も有し、これらの揮発性有機溶剤が地層または土壌中に廃棄されたり、漏出した場合には、地層または土壌さらには地下水に深刻な汚染を生じさせる。
【0005】これらの有機溶剤は、■一般的に水に難溶解性である、■比重が水より大きい、■揮発性を有する、■液体状態においては、表面張力が小さく、動粘性係数が小さいため、微小な間隙をも通過可能であるという特性を有している。このため、これらの有機溶剤が地層または土壌中に廃棄されたり、漏出した場合には、これらの地層または土壌中の汚染物質は地中深部まで浸透すると共に、液状のまま、あるいは気化して地層または土壌中に有害物質として滞留し、さらに深部まで浸透した汚染物質は地下水面に至る。
【0006】また、一般に、これらの汚染物質が水より比重の大きいものである場合は、主に帯水層の底部すなわち難透水層の上部付近に滞留することが知られている。地下水は飲料水として用いられることも多く、上記有機溶剤など発ガン性を有する物質の地層または土壌中への混入は厳格に規制されなければならず、混入した場合は、地中の地層、土壌、地下水中の汚染物質を除去する必要がある。
【0007】従来、地層または土壌の間隙中または地下水中の汚染物質を抽出除去する方法としては、例えば、特開平4−225887号公報、特開平5−212366号公報、特開平5−231086号公報に開示されているように、汚染領域に井戸を穿設し、汚染土壌中に多数の開孔を有した汚染ガス抽出用の管を設置し、減圧吸引し、土壌中で蒸発気化した汚染物質を除去処理する方法が開示されており、また、地下水の汚染については揚水井戸を穿設し、ポンプで揚水して汚染物質の除去処理が行われている。
【0008】一方、地層または土壌中で気化した揮発性汚染物質と地下水に含まれる汚染物質の双方を抽出する技術が特開平3−202586号公報、特開平4−309626号公報、特開平7−284753号公報に開示されている。特開平3−202586号公報に開示されている方法は、汚染領域に井戸を穿設し、地下水面下に複数の開孔を有する汲み上げ用パイプを挿入すると共に、このパイプ内を減圧ポンプで吸引して地下水および土壌中に含まれるガスの両者を混合流体として吸引・抽出するものである。
【0009】また、特開平4−309626号公報に開示されている方法は、汚染領域に穿設した井戸に、多数の開孔を有する立ち上がり管を設置し、この立ち上がり管内の地下水面付近またはそれ以下に吸引孔を有する真空抽出管を挿着して、地下水と土壌ガスとを混合流体として吸引・抽出するものである。また、特開平7−284753号公報に開示されている方法は、自然地下水面の上方から下方にかけて周面に開孔を有する多孔管を、井戸内に挿入して、多孔管内を減圧吸引して土壌ガスを吸引し、さらに、地下水面下に揚水ポンプを設置し、それぞれの汚染物質を処理するものである。
【0010】以上、従来技術の地下揮発性汚染物質の除去方法としては、■土壌中で蒸発気化した汚染物質を減圧吸引除去する方法、■地下水を揚水して汚染物質を除去する方法、■土壌ガスおよび地下水の両者を混合流体として吸引し、汚染物質を除去する方法、■土壌ガスおよび地下水の両者を別個に吸引、揚水し、汚染物質を除去する方法が提案されている。
【0011】しかし、上記した従来技術は、いずれも地平面(地表面)に開口部の直径が60〜300mm の垂直方向の井戸を多数穿設することにより浄化を行う方法である。この場合、垂直方向の井戸は、一本の井戸の影響範囲、すなわち、一本の井戸が有効に汚染物質を浄化可能な範囲が、一般的に、井戸を中心とした半径が数m〜十数mの円の範囲内であることから、汚染した地域に対して有効な浄化を行うためには例えば格子状の配列で数m間隔で井戸を穿設する必要がある。
【0012】このため、従来技術の方法は、地上または地表面に建物や機械類などの各種構造物がある場合には、工事が工場の休日に限定されたり、工場の操業を停止しなければならない、或いは井戸の穿設が困難で、有効な効果が得られる浄化方法とは言えない。すなわち、地上に建物などの構造物があり、垂直方向の井戸を複数穿設することが困難な場合、構造物を避けて穿設し易い場所に井戸を穿設せざるを得ないことから、従来の方法では、浄化に対して適切な井戸の配置ができず、問題を解決することはできない。
【0013】さらに、従来技術の地下空気吸引用の井戸の構造は、地層または土壌から一様に地下空気を吸引する構造となっている。このため、空気の通り易い地層または土壌の区間のみが浄化され、通りにくい区間は浄化されずに汚染物質が残留してしまうという問題点がある。また、従来の井戸の構造では、どの区間の地層、土壌が浄化されているのか、または浄化されずに汚染物質が残留しているのかが不明である。
【0014】これは、吸引出口(吐出口)で汚染物質の濃度を観測しているため、汚染濃度に無関係に、常に、空気の通り易い特定の地層または土壌の空気が優先的に吸引され、この結果吸引する地下空気中の汚染物質の濃度は経時的に低下し、あたかも井戸の中の側壁に対応する全ての層が浄化されたように観測されてしまうためである。
【0015】以上述べたように、従来技術の場合、直接汚染された地中に井戸を穿設する方式のため、休日工事となるか、或いは工場の操業を停止する必要があるなどの問題があった。また、土壌の複数の地層に汚染物質が存在する場合には、汚染地下水の抽出だけでは、土壌の浄化は完全にはできず、この場合、土壌ガスを減圧吸引することが必要となってくる。
【0016】しかし、従来技術の場合、地下水位が高い、すなわち、地下水面が地表面に近い場合、あるいは宙水が存在する場合には、地層または土壌から地下空気を吸引しようとしても、地下水を汲み上げてしまい、地下空気を吸引できないことがある。また、地下水の水位は日々変動するため、この変動によって垂直の井戸では、地下空気の吸引効率が大きく変化する。
【0017】すなわち、地下水位が高く、地下水面が地表面に近くなる程、地下の空気を吸引できる多孔管区間が短くなる。この結果、地中に対する吸引圧力が日々変化し、有効に浄化可能な範囲、すなわち前記した井戸の影響範囲も変化してしまい、安定した浄化効果が得られない。
【0018】また、上記した地下水の水位の変動により、地層または土壌中の空隙内の圧力を常時負圧に保つことまでも困難となる。これらのことから、地下空気を効果的に広範囲に渡って吸引するためには、地下水を下げた後、吸引することが必要になってくる。しかしながら、従来、効果的かつ迅速に地下水を下げ、地下空気を減圧吸引する方法は見出されていなかった。
【0019】一方、地下揮発性汚染物質の除去に際して重要となる土壌汚染観測方法に関しては、従来の方法によれば、地平面(地表面)に対し垂直な井戸を、汚染領域の全域に渡り多数設置する必要がある。この主な理由としては、■垂直の観測井は平面的にみれば点であること、■特に縁辺部の観測を密に行う必要があることが挙げられる。
【0020】このため、地上または地表面に機械類や建物などの構造物がある場合には、適切な位置に観測井を設置することが困難となり、従来の方法では、汚染状況の的確な観測結果および浄化効果の的確な判定結果を得ることができないという問題があった。以上述べたように、従来技術の場合、工場の建物など構造物の直下の汚染物質の効果的かつ迅速な除去が困難であり、また、地層または土壌中に含まれる揮発性汚染物質および地下水に含まれる揮発性汚染物質の両者を効果的かつ迅速に除去することができなかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、構造物直下の地層または土壌の間隙中に含まれる汚染物質、地下水、地下空気中に含まれる汚染物質を、効果的かつ迅速に除去することが可能な地下汚染物質の除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
【0022】また、本発明は、地層または土壌の間隙中に含まれる揮発性汚染物質および地下水に含まれる揮発性汚染物質の両者を効果的かつ迅速に除去することが可能な地下揮発性汚染物質の除去方法および除去装置を提供することを目的とする。また、本発明は、さらには、地表面の構造物や地下水に左右されずに、汚染浄化のための的確な装置設計条件を得ることができ、しかも安全で経済的に上記汚染物質、揮発性汚染物質の除去が可能な地下汚染物質の除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上の縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸内に集水された地下水を汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0024】なお、本発明における前記した縦井戸の開口部の水平断面における円相当直径D0 とは、縦井戸の開口部の水平断面における開口部の断面積と等しい面積を有する円の直径を示し、縦井戸の開口部の水平断面における開口部の周縁が円であるときは当該円の直径Dを示す。第2の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上の縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を配設する工程と、該縦井戸に集水された地下水を汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0025】第3の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0026】また、本第3の発明のより好適な態様は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を複数本配設する工程と、少なくとも1本の該開孔管から、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、前記汚染物質処理装置に送給、処理し、地下水面を下げるともに、少なくとも1本の他の前記開孔管から、地層または土壌の間隙中の地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、前記汚染物質処理装置に送給、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0027】なお、上記した第3の発明のより好適な態様においては、上記した地下水面の低下工程と地層または土壌の間隙中の地下空気の縦井戸への吸引、導入工程は同時に並行して行うか、または地下水面の低下工程開始後、地層または土壌の間隙中の地下空気の縦井戸への吸引、導入工程を行うことが好ましいが、当該工程順序は制限されるものではない。
【0028】第4の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管内に該開孔管の中心軸方向の任意の領域を減圧し、当該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を吸引可能な吸引領域可変な開孔管を挿入、配設する工程と、該吸引領域可変な開孔管にて前記開孔管の中心軸方向における吸引領域を変更しつつ、該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0029】また、本第4の発明のより好適な態様は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設する工程と、該開孔管内に該開孔管の中心軸方向の任意の領域を減圧し、当該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下空気を吸引可能な吸引領域可変なガス濃度測定用開孔管を挿入、配設する工程と、該吸引領域可変なガス濃度測定用開孔管にて前記開孔管の中心軸方向における吸引領域を変更しつつ、該領域毎に周囲の地層または土壌の間隙中の地下空気中の汚染物質濃度を測定する工程と、前記ガス濃度測定用開孔管に代えて、前記開孔管内に該開孔管の中心軸方向の任意の領域を減圧し、当該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下空気を吸引可能な吸引領域可変な開孔管を挿入、配設する工程と、該吸引領域可変な開孔管を用いて、前記測定結果に基づき、前記開孔管の中心軸方向の所定の領域を減圧し、該領域の地下空気を前記縦井戸に吸引、導入し、次いで、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0030】第5の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去方法であって、前記構造物の周辺部に縦井戸を穿設する工程と、該縦井戸の側壁内横方向に、開孔管を複数本配設する工程と、少なくとも1本の前記開孔管内に加圧ガスを送気しつつ、少なくとも1本の他の前記開孔管によって、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を吸引し、汚染物質処理装置に送給し、処理する工程とを含むことを特徴とする地下汚染物質の除去方法である。
【0031】前記した第3の発明〜第5の発明においては、前記縦井戸に吸引、導入した地下水および地下空気を該縦井戸内で分離し、分離後の地下水を縦井戸内に貯留し、貯留した地下水を前記汚染物質処理装置に送給、処理することが好ましい。第6の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去装置であって、前記構造物の周辺部に穿設された縦井戸3と、該縦井戸3の側壁内横方向に配設された1本以上の開孔管5と、該開孔管5から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する減圧吸引装置7と、縦井戸に吸引、導入した地下水と地下空気とを分離する気液分離装置10と、分離した地下水を揚水する揚水装置6と、前記減圧吸引装置7および揚水装置6から供給される地下水および地下空気の各々に含まれる汚染物質を処理する汚染物質処理装置11とを有することを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0032】また、本第6の発明のより好適な態様は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去装置であって、前記構造物の周辺部に穿設された縦井戸3と、該縦井戸3の側壁内横方向に配設された複数本の開孔管4,5 と、少なくとも1本の前記開孔管5から地層または土壌の間隙中の地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する減圧吸引装置7と、少なくとも1本の他の前記開孔管4から前記縦井戸へ導入された地下水と地下空気とを分離する気液分離装置10と、分離した地下水を揚水する揚水装置6と、前記減圧吸引装置7および揚水装置6から供給される地下水および地下空気の各々に含まれる汚染物質を処理する汚染物質処理装置11とを有することを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0033】さらに、前記第6の発明のより好適な態様は、地下水に流れがある場合により好ましく適用され、その場合、前記開孔管4は、平面的に見て、該開孔管4の中心軸が、地下水の流れ方向において、最高汚染領域よりも上流側に配設され、前記開孔管5は、平面的に見て、該開孔管5の中心軸が、地下水の流れ方向において、前記開孔管4の中心軸よりも下流側に配設されることが好ましい。
【0034】第7の発明は、構造物の直下の地層または土壌の間隙中、地下水および地下空気中に汚染物質が存在する際の地下汚染物質の除去装置であって、前記構造物の周辺部に穿設された縦井戸3と、該縦井戸3の側壁内横方向に配設された複数本の開孔管5,5Pと、少なくとも1本の前記開孔管5Pから地層または土壌の間隙中へ加圧ガスを送給する送気装置60と、少なくとも1本の他の前記開孔管5から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する減圧吸引装置7と、前記縦井戸に吸引、導入した地下水と地下空気とを分離する気液分離装置10と、分離した地下水を揚水する揚水装置6と、前記減圧吸引装置7および揚水装置6から供給された地下水および地下空気の各々に含まれる汚染物質を処理する汚染物質処理装置11とを有することを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0035】第8の発明は、前記した第6の発明または第7の発明において、前記開孔管5から地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入する手段が、少なくとも1本の前記開孔管5内に挿入、配設され、該開孔管5中心軸方向の任意の領域から、該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入せしめることが可能な構成とした吸引領域可変な開孔管40であることを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0036】第9の発明は、前記した第8の発明において、前記吸引領域可変な開孔管40として、該開孔管40の中心軸方向の所定の領域に開孔部41LHを備えると共に、該開孔部41LHを備えた領域と非開孔部の領域を区画するシール部材を該管体外壁部に有し、該シール部材が開孔管40の径方向に拡縮自在であり、かつ、前記開孔管5内を縦井戸の側壁内横方向に移動可能な開孔管を配設したことを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0037】第10の発明は、前記した第8の発明において、前記吸引領域可変な開孔管40として、該開孔管40の中心軸方向の所定の領域に開孔部41LHを備えると共に、該開孔部41LHを備えた領域の片側外側の非開孔部あるいは両外側の非開孔部の管体外壁部に、ガス収納用の膨張・収縮自在な袋(42rあるいは42r,42l の両者) を有し、該袋(42rあるいは42r,42l の両者) にガス導入・排出管43が取付けられ、かつ、前記開孔管5内を縦井戸の側壁内横方向に移動可能な開孔管を配設したことを特徴とする地下汚染物質の除去装置である。
【0038】なお、前記した第3の発明〜第10の発明において、地下水および/または地下空気を前記縦井戸に吸引、導入するための開孔管を複数本配設するに際しては、少なくとも2本の開孔管において開孔管の中心軸の高さが相互に異なるように配設することが好ましい。これは、地下水位が上方の開孔管より下がった時点で、上方の開孔管による地下揮発性汚染物質の吸引、除去と下方の開孔管による地下水中の汚染物質の除去を同時に並行して行うことが可能なためである。
【0039】また、地下水に流れがある場合には、少なくとも1本の開孔管の中心軸は、平面的に見て、地下水の流れ方向において、最高汚染領域よりも上流側に配置し、少なくとも1本の他の開孔管の中心軸は、平面的に見て、地下水の流れ方向において、前記上流側に配置した開孔管の中心軸よりも下流側に配置することが好ましい。
【0040】これは、上流側に配設した開孔管により下流側の水位が低下し、下流側に配設した開孔管が地下水が実質的に存在しない状態で、地層または土壌の間隙中に存在する地下揮発性汚染物質の除去が可能なためである。地下水の移動が顕著でない場合は、平面的に見て、汚染濃度の高い領域を挟んで両側に開孔管を少なくとも2本配設すると共に、平面的に見て、これらの開孔管の間に少なくとも1本の他の開孔管を配設することが好ましい。
【0041】これは、前者の少なくとも2本の開孔管により、汚染濃度の高い領域の地下水面を下げる一方、後者の少なくとも1本の他の開孔管により地下水が実質的に存在しない状態で、地層または土壌の間隙中に存在する地下揮発性汚染物質の除去が可能なためである。すなわち、地下水の移動が顕著でない場合は、集水のための開孔管を汚染領域の両側に配設することにより、汚染領域の地下水面を下げることが容易となり、この結果、これらの開孔管の間に配設された開孔管により、汚染領域の地下空気の吸引が効果的に行われる。
【0042】さらに、前記した第2の発明〜第12の発明においては、前記した縦井戸の側壁内横方向に配設する前記開孔管は、地層の構成状況、地層の厚さ、地下水位などの条件に応じて、水平面に対して適切な角度で配設することが好ましい。前記した第2の発明〜第12の発明においては、前記開孔管は、通常は、垂直方向の角度として、前記開孔管の中心軸と水平面との成す角度θ1 が水平面に対して±45°の範囲内、より好ましくは前記角度θ1 が水平面に対して0°〜+5°の範囲内となるように配設することが好ましく、さらには水平方向に配設することがより好ましい。
【0043】なお、前記した本発明において、構造物とは、建物、建屋、機械、設備、配管、搬送設備、道路、ピットなど人工的に構築された構造物、構築物、造成物全てを含み、また、構造物の直下とは、構造物の下方を意味し、構造物の下方の距離は制限されるものではない。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明する。地下汚染物質の形態としては、■土粒子に付着ないし吸着している汚染物質、■地中水ないし地中の水滴に溶解している汚染物質、■地下空気中のガス状の汚染物質が挙げられる。
【0045】本発明者らは、地下汚染物質の除去方法および除去装置に関して鋭意検討した結果、下記本発明によって、上記した地下汚染物質のいずれをも、効果的かつ迅速に除去可能であることを見い出した。
(1) 第1の発明:本発明は、地下水を迅速に集めるために、想到したものであり、本発明によれば、直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上、より好ましくは3000mm以上である開口部断面積が大な縦井戸を穿設することにより、地下水を迅速に縦井戸内に集水する。
【0046】すなわち、縦井戸の側壁の面積を大きくすることによって、地下水の縦井戸内への流入流路断面積が増加し、その結果、広範囲の領域から地下水が迅速に縦井戸内に集水される。この結果、地下水中の汚染物質が迅速に地下水と共に縦井戸に流入し汚染物質の除去が広範囲の領域にわたって迅速に行われると共に、地層または土壌の間隙中の油、有機溶剤などの汚染物質が迅速に地下水に補集され、地下水に随伴して迅速に縦井戸に流入し、その結果汚染物質の除去を極めて効果的かつ迅速に行うことができる。
【0047】本発明によれば、縦井戸の集水効果が広範囲に及ぶため、地上の構造物の制約を受けずに地下汚染物質が除去可能となった。また、この結果、工場の設備の移動およびこれに伴う操業停止を伴うことなく、地下汚染物質が除去可能となった。なお、従来の縦井戸は、前記した特開平3−202586号公報に開示された直径4インチ(10cm)のPVC 製の汲上げパイプ、特開平7−284753号公報に開示された径が100 〜150mm 程度の塩化ビニール管に例示されるように、通常のボーリング孔である。
【0048】すなわち、従来の縦井戸の径は60〜300mm であり、開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上である本発明に係わる縦井戸の開口部の大きさに対して極めて小さく、縦井戸内への集水速度は本発明に対して極めて小さく、地下汚染物質の除去のためには、前記したように多数のボーリング孔を穿孔する必要があった。
【0049】(2) 第2の発明:直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を配設し、縦井戸内に集水する。本発明によれば、地中における地下水の通水抵抗が小さくなり、その結果、地下水が迅速に縦井戸内に集水され、地下水中の汚染物質および地層または土壌の間隙中の汚染物質の除去を効果的かつ迅速に行うことができる。
【0050】この結果、本発明によれば、地上の構造物の制約を受けずに地下汚染物質が効果的かつ迅速に除去可能となった。
(3) 第3の発明、第6の発明:直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、縦井戸の側壁内横方向に開孔管を配設し、開孔管内を減圧し、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を縦井戸内に吸引、導入する。
【0051】本発明によれば、地中における地下水の通水抵抗の低下および減圧効果の両者により、地下水がさらに迅速に縦井戸内に集水され、地下水および地下空気中の汚染物質および地層または土壌の間隙中の汚染物質の除去を効果的かつ迅速に行うことができる。また、本発明によれば、地下水位を迅速に低下させることが可能となったため、地層または土壌の間隙中の揮発性汚染物質を効果的かつ迅速に吸引、除去可能となった。
【0052】さらには、上記した開孔管を2本以上配設することにより、地層または土壌の間隙中に含まれる揮発性汚染物質などの汚染物質および地下水および地下空気に含まれる揮発性汚染物質などの汚染物質の両者のいずれをも効果的かつ迅速に除去できる。この結果、本発明によれば、地上の構造物の制約を受けずに地下汚染物質が効果的かつ迅速に除去可能となった。
【0053】(4) 第4の発明、第8の発明、第9の発明および第10の発明:直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、縦井戸の側壁内横方向に開孔管を1本以上配設し、該開孔管内に、該開孔管の中心軸方向の任意の領域を減圧・吸引可能な開孔管を挿入し、減圧・吸引領域を変更し、各領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を縦井戸内に吸引、導入する。
【0054】本発明によれば、揮発性汚染物質など汚染物質の濃度が高い地中の領域について優先的に減圧、吸引し、汚染物質を除去することにより,汚染物質を効果的かつ迅速に除去できる。
(5) 第5の発明、第7の発明:直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、縦井戸の側壁内横方向に開孔管を複数本配設し、少なくとも1本の開孔管内に加圧ガスを送気しつつ、少なくとも1本の他の開孔管内を減圧し、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を縦井戸に吸引、導入する。
【0055】本発明によれば、汚染領域の地層または土壌の間隙中のガスの移動速度が速くなり、縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管との相乗効果により、地下揮発性汚染物質など汚染物質の除去速度が大きくなる。なお、前記第3の発明〜第10の発明において、前記開孔管としては、径方向の周面に開孔を有する開孔管が用いられ、例えば、径方向の周面に開孔されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管、または、径方向の周面に開孔されかつ軸方向にスリット状の開孔を有する開孔管などが例示され、その開孔状況は特に制限されるものではないが、開孔管の孔部の閉塞による開孔管内への地下水、地下空気の流入、吸引停止の防止など施工性の面から、前者の多孔管を用いることがより好ましい。
【0056】また、前記開孔管としては、管の全長にわたって開孔部を有する開孔管に限定されることはなく、管の長さ方向の一部に開孔部を有する開孔管を用いることも好ましい。さらに、前記第2の発明〜第10の発明においては、前記第1の発明と同様に、縦井戸の開口部の水平断面における円相当直径D0 が2000mm以上であることが好ましく、さらには3000mm以上であることがより好ましい。
【0057】これは、縦井戸の穿設工程において、縦井戸内において、人間の目視により縦井戸側壁の地下水の流出状況などの観測を正確に行うことが容易となり、適切な位置に横井戸、開孔管を穿孔、配設できるためであり、さらには、縦井戸の底部における地下水の貯留可能量が多くなり、揚水装置の故障時においても集水が継続的に行われるためである。
【0058】なお、従来のボーリングコアによる土質の調査の場合、縦井戸内側壁の地下水の流出状況などの正確な把握が困難であった。以下、本発明を、第1の発明〜第10の発明の順に説明する。
〔第1の発明:〕図1および図2に、第1の発明に係わる地下汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。
【0059】図1、図2は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図である。図1および図2において、1は建物、2は建物1の直下に存在する最高汚染領域、3は建物1の周辺部に穿設された縦井戸、3Wは縦井戸3内の側壁、3Bは縦井戸の底部、6は揚水ポンプなどの揚水装置、8は揚水管、12は水処理用の汚染物質処理装置、20は浄化前の地下水面、21は浄化中の地下水面、22は集水した地下水、23は表層、24はローム層、25は砂層、26は粘土層(難透水層)、D0 は縦井戸3の開口部の水平断面における円相当直径、f1は地下水の流れ方向を示す。
【0060】なお、上記した縦井戸3の開口部の水平断面における円相当直径(以下円相当直径と記す)D0 とは、前記したように、縦井戸3の開口部の水平断面における開口部の断面積と等しい面積を有する円の直径を示し、縦井戸の開口部の水平断面における開口部の周縁が円であるときは当該円の直径Dを示す。第1の発明においては、縦井戸の直径が60〜300mm である従来の縦井戸に対して、縦井戸の円相当直径D0 を2000mm以上とした。
【0061】本発明によれば、縦井戸側壁の面積、すなわち地下水の縦井戸内への流入流路断面積が増加し、その結果、広範囲の領域から地下水が迅速に縦井戸内に集水される。地下水中の汚染物質が迅速に地下水と共に縦井戸に流入し、汚染物質の除去が広範囲の領域にわたって迅速に行われるとともに、地層または土壌の間隙中の油、有機溶剤などの汚染物質が迅速に地下水に補集され、地下水に随伴して縦井戸に流入し、汚染物質の除去を迅速に行うことができる。
【0062】〔第2の発明:〕図3および図4に、第2の発明に係わる地下汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。図3、図4は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図である。
【0063】図3および図4において、4は減圧・送給用の開孔管、14は縦井戸の側壁に横方向に穿孔された井戸(:横井戸)を示し、その他の符号は図1、図2と同様の内容を示す。第2の発明においては、直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸3を穿設し、縦井戸の側壁内横方向に開孔管4を配設し、縦井戸に集水する。
【0064】本発明によれば、地中における地下水の通水抵抗が小さくなり、その結果地下水が迅速に縦井戸内に集水され、地下水中の汚染物質および地層または土壌の間隙中の汚染物質の除去を効果的かつ迅速に行うことができる。この結果、本発明によれば、地上の構造物の制約を受けずに地下汚染物質が、効果的かつ迅速に除去可能となった。
【0065】〔第3の発明、第6の発明:〕図5、図6および図7に、第3の発明および第6の発明に係わる地下揮発性汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。図5、図6は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図であり、図7は図5のA部、部分拡大断面図である。
【0066】図5、図6および図7において、1は建物、2は建物1の直下に存在する最高汚染領域、3は建物1の周辺部に穿設された縦井戸、3Wは縦井戸3内の側壁、3Bは縦井戸の底部、4a、4b、5は減圧・送給用の開孔管、6は揚水ポンプなどの揚水装置、7は減圧吸引装置、8は揚水管、9は地下空気吸引管、10は気液分離装置、11は汚染物質処理装置、12は水処理用の汚染物質処理装置、13は地下空気処理用の汚染物質処理装置、14a 、14b 、15は縦井戸の側壁に横方向に穿孔された井戸(:横井戸)、20は浄化前の地下水面、21は浄化中の地下水面、22は集水された地下水、23は表層、24はローム層、25は砂層、26は粘土層(難透水層)、f1は地下水の流れ方向、f2は地下空気の流れ方向を示す。
【0067】また、図7において、θ1 は横井戸14a 、14b 、15各々の中心軸Lc1と水平面L0 との成す角度を示し、θ2 は開孔管4a、4b、5各々の中心軸Lc2と水平面L0 との成す角度を示す。本発明例においては、減圧・送給用の開孔管4a、4bは、主として地下水の集水用に用いる開孔管であり、以下、地下水集水用の開孔管とも記し、また、減圧・送給用の開孔管5は、主として地層または土壌の間隙中の地下空気を吸引するために用いる開孔管であり、以下、地下空気吸引用の開孔管とも記す。
【0068】なお、前記したように、地下水の水位は日々変動し、また地下水の存在領域も変動することから、開孔管4a、4b、5それぞれの減圧・送給対象流体は上記したそれぞれの流体に特には限定はされず、施工中、開孔管4a、4b、5は、地下水、地下水と地下空気の混合流体および地下空気のいずれかの流体を汚染物質処理装置11に送給する。
【0069】汚染物質処理装置11は水処理用の汚染物質処理装置12および地下空気処理用の汚染物質処理装置13から構成されるが、その構成は特に制限されるものではない。また、汚染物質の処理方法としては、活性炭などによる吸着法が例示されるが、地下揮発性汚染物質など地下汚染物質の除去が可能な方法であれば、その処理方法は特に制限されるものではない。
【0070】図5〜図7に示されるように、本発明例においては、地盤に地平面に対して垂直方向に穿設した縦井戸3の側壁3W外側の土壌中かつ横方向に穿孔した3本の横井戸14a 、14b 、15のそれぞれに、径方向の周面に開孔されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である開孔管4a、4b、5を挿入、配設する。図5〜図7の本発明例においては、地下水集水用の開孔管4a、4bの中心軸が、地下空気吸引用の開孔管5の中心軸より下のレベルに配置されている。
【0071】また、平面的に見て、最高汚染領域2を挟んで両側に地下水集水用の開孔管4a、4bの中心軸が配置されると共に、地下空気吸引用の開孔管5の中心軸が、平面的に見て、前記地下水集水用の開孔管4a、4bの2本の中心軸の間に配置され、開孔管4a、4bにより最高汚染領域2の地下水面を下げる一方、開孔管5により地下空気を吸引する。
【0072】すなわち、図5に示される地下汚染物質の除去方法、装置によれば、先ず、砂層25中の地下水および地下空気の両者が開孔管5、4a、4bを経由して気液分離装置10に移動し、気液分離され、縦井戸の底部3Bに貯留された地下水22は、揚水装置6により揚水管8を経由して汚染物質処理装置12に送液され水処理が行われ、地下空気は、減圧吸引装置7により地下空気吸引管9を経由して汚染物質処理装置13に送気され無害化処理される。
【0073】上記した処理が経過するに伴い、地下水面は浄化前の地下水面20から浄化中の地下水面21迄低下する。地下水面が、地下空気吸引用の開孔管5より下方に低下した段階で、地層または土壌粒子の間隙中に存在する水へ難溶解性の液状の汚染物質が、減圧吸引装置7により減圧、気化し、地下空気吸引管9を経由して汚染物質処理装置13に送気され無害化処理される。
【0074】すなわち、前記した有機塩素系溶剤などの揮発性汚染物質は、水へ難溶解性であるため、これらの汚染物質を除去するためには、■これらの汚染物質の一部が溶解した地下水、■ガス化して地層または土壌の間隙中に滞留している汚染物質および■地層または土壌粒子の間隙中に液状の状態で滞留している汚染物質の3者を処理する必要があるが、上記した本発明例によれば、地下水に溶解した汚染物質およびガス化して地層または土壌の間隙中に滞留している汚染物質を迅速に処理し、地下水の水位を下げると共に、地下水の存在しない状態で、地層または土壌粒子の間隙中に滞留している液状の汚染物質を減圧、気化、吸引、処理することにより、前記した■〜■の状態の揮発性汚染物質のいずれをも効果的に、迅速に除去できる。
【0075】次に、図8および図9に、第3の発明のより好適な態様および第6の発明のより好適な態様に係わる地下揮発性汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。本好適態様は、直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、該縦井戸の側壁内横方向に開孔管を複数本配設し、少なくとも1本の開孔管により地下水を集水し、地下水面を下げる一方、少なくとも1本の他の開孔管により地層または土壌の間隙中の地下空気を吸引し、地下水および地下空気中の汚染物質を除去する地下汚染物質の除去方法、除去装置である。
【0076】図8、図9は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図である。図8、図9において、4は主として地下水の集水に用いる減圧・送給用の開孔管(:地下水集水用の開孔管)、14は横方向に穿孔された井戸(:横井戸)、f3は地下水の水平面における流れ方向を示し、その他の符号は図1〜図7と同様の内容を示す。
【0077】なお、開孔管4、5は、図5〜図7に示す開孔管4a、4b、5と同様に、径方向の周面に開孔されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である。図8、図9に示される地下汚染物質の除去方法は、地下水に流れ方向f3の流れがある汚染箇所を対象とした地下汚染物質の除去方法であり、地下水面を下げるための集水用の開孔管4の中心軸は、平面的に見て、地下水の流れ方向f3において、最高汚染領域2よりも上流側に配置され、地下空気吸引用の開孔管5の中心軸は、平面的に見て、地下水の流れ方向f3において、集水用の開孔管4の中心軸よりも下流側に配置されている。
【0078】図8、図9に示される本発明例によれば、前記した図5〜図7と同様の過程を経て、汚染物質を含む地下水、ガス状汚染物質および地層または土壌粒子の間隙中に存在する水へ難溶解性の液状の汚染物質が無害化処理される。また、本発明例によれば、地下水面を下げるための地下水集水用の開孔管4を、上記したように最高汚染領域2よりも上流側に設置することにより、最高汚染領域2の地下水面が迅速に低下し、地下水が実質的に存在しない状態で、開孔管5により、地層または土壌粒子の間隙中に存在する水へ難溶解性の液状の汚染物質の減圧、気化、吸引、無害化処理を迅速に行うことができる。
【0079】この結果、前記した3種類の形態として存在する地下揮発性汚染物質のいずれをも効果的かつ迅速に除去でき、さらには、地層または土壌粒子の間隙中に存在する液状の汚染物質の地下水への溶解、地下水の流れ方向f3の下流側への流出を防止することができる。次に、図10、図11および図12に、第3の発明および第6の発明に係わる地下汚染物質の除去方法、除去装置における工法の他の一例を示す。
【0080】なお、本発明例は、前記発明例と同様に、地下水に流れがある場合の地下汚染物質の除去方法である。図10、図11は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図であり、図12は、図11におけるX1〜X2方向の地下水の水位を示すグラフである。
【0081】図10、図11および図12において、m1、m2、m3、m4は地下水の水位測定箇所を示し、その他の符号は図1〜図9と同様の内容を示す。図10、図11および図12に示す本発明例においては、主として地下水の集水に用いる減圧・送給用の開孔管(:地下水集水用の開孔管)4が図8、図9の方法と同様に最高汚染領域2の上流側に設置され、また、主として地層または土壌の間隙中の地下空気吸引に用いる減圧・送給用の開孔管(:地下空気吸引用の開孔管)5に対して垂直方向下方のレベルに設置されている。
【0082】なお、開孔管4、開孔管5は、図5〜図7に示す開孔管4a、4b、5と同様に、径方向の周面に開孔されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である。本発明例の場合、図12に示されるように、最高汚染領域2の上流側のm4において地下水の水位が高い状態でも、地下水集水用の開孔管4による集水により、下流側のm1、m2の地下水の水位が下がり、前記した本発明例と同様に、地下水が実質的に存在しない状態で、地層または土壌粒子の間隙中に存在する水へ難溶解性の液状の汚染物質を、地下空気吸引用の開孔管5、減圧吸引装置7および汚染物質処理装置13により、減圧、気化、吸引、無害化処理を迅速に行うことができる。
【0083】また、本発明例によれば、地下水集水用の開孔管4を挿入する横井戸14を、地下空気吸引用の開孔管5を挿入する横井戸15と同一のレベルに穿孔した場合においても、地層または土壌粒子の間隙中に存在する水へ難溶解性の液状の汚染物質の減圧、気化、吸引、無害化処理を迅速に行うことができ、縦井戸3の穿設深さをそれほど深くする必要がなくなり、工事が容易となる。
【0084】〔第5の発明、第7の発明:〕次に、図13および図14に、第5の発明および第7の発明に係わる地下汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。本発明例は、縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管に挿入した加圧用の開孔管内に地層または土壌の間隙を加圧するための加圧ガスを送気しつつ、前記縦井戸の側壁内横方向に配設した他の開孔管に挿入した減圧・送給用の開孔管内を減圧、吸引する地下汚染物質の除去方法、除去装置である。
【0085】図13、図14は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図である。図13、図14において、5Pは加圧ガス送給用の開孔管、15P は横方向に穿孔された井戸(:横井戸)、60はガス圧縮機など加圧ガスを送気する送気装置、Fは加圧ガスの流れ方向を示し、その他の符号は図1〜図12と同様の内容を示す。
【0086】本発明例の場合、横井戸15P に挿入された加圧ガス送給用の開孔管5P内に送気装置60から空気などの加圧ガスを送気しつつ、他の横井戸15に挿入された減圧・送給用の開孔管5内を減圧し、地層または土壌の間隙中の地下水および/または地下空気を縦井戸3に吸引、導入し、汚染物質処理装置11において処理する。本発明例によれば、汚染領域での地層または土壌の間隙中のガスの移動線速度が速くなり、縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管との相乗効果により、地下揮発性汚染物質など地下汚染物質の除去速度が大きくなるという効果が得られる。
【0087】〔第4の発明、第8の発明、第9の発明、第10の発明:〕次に、図15〜図19に、第4の発明、第8の発明、第9の発明および第10の発明に係わる地下汚染物質の除去方法における工法の一例を示す。本発明例は、前記した減圧・送給用の開孔管として、縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管内に、該開孔管の中心軸方向での減圧、吸引領域が任意に変更可能な開孔管を挿入、配設し、該吸引領域可変な開孔管を用いる地下汚染物質の除去方法、除去装置である。
【0088】さらに、本発明においては、縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管内に、該開孔管の中心軸方向での減圧、吸引領域が任意に変更可能なガス濃度測定用開孔管を挿入、配設し、該吸引領域可変なガス濃度測定用開孔管を用いて地下空気の成分を観測し、その観測結果に基づき、地下汚染物質の除去を行うことが、より好ましい。
【0089】また、本発明は、地下汚染物質が地下揮発性汚染物質である地下汚染物質の除去により好ましく適用される。図15、図16に、本発明に係わる、横井戸の中心軸方向の任意の領域から当該領域の周囲の地層または土壌の間隙中の地下空気を吸引可能な開孔管である減圧・吸引領域可変な開孔管(以下吸引領域可変な開孔管と記す)の一例を示す。
【0090】図15(a) は、吸引地下空気中の汚染物質の濃度を減圧、吸引領域別に測定する吸引領域可変な開孔管の横井戸内への取付け状況を示す側面図、図15(b) は、図15(a) のB−B部断面図であり、図16は上記測定結果に基づき地下汚染物質を除去する際に用いる吸引領域可変な開孔管を示す側面図である。図15、図16において、5は主として地層または土壌の間隙中の地下空気吸引に用いる減圧・送給用の開孔管(:地下空気吸引用の開孔管)、5Hは開孔管5の開孔(口)、15は横方向に穿孔された井戸(:横井戸)、30、40は吸引領域可変な開孔管、31、41は吸引領域可変な開孔管の開孔部31LH、41LH部の管、31H 、41Hは吸引領域可変な開孔管30、40の開孔(口)、32l 、32r 、42l 、42r はガス収納用の膨張・収縮自在な袋、33、43は袋32l 、32r 、42l 、42r へのガス導入・排出管、34、44は吸引領域可変な開孔管30、40の吸引管、f2は地下空気の流れ方向、f4は袋32l 、32r 、42l 、42r へのガス導入・排出方向、f5は吸引領域可変な開孔管30の移動方向、f6は袋32l 、32r 、42l 、42r の膨張、収縮方向を示し、その他の符号は図1〜図14と同様の内容を示す。
【0091】なお、吸引領域可変な開孔管30、40は、管31、41、袋32l 、32r 、42l 、42r、ガス導入・排出管33、43および吸引管34、44から構成され、図5〜図7に示す開孔管4a、4b、5と同様に、径方向の周面に開孔されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である。また、開孔管30、40は、図15(a) 、図16に示す31LH部、41LH部のみに開孔を有する多孔管である。
【0092】本発明例においては、図15、図16に示すように、吸引領域可変な開孔管30、40として、横井戸15内かつ当該横井戸15の中心軸方向に任意に移動可能な開孔管30、40を配設する。なお、この場合、図15に示すように、横井戸15に開口管5を挿入し、その内管として開孔管30、40を配設することがより好ましい。
【0093】吸引領域可変な開孔管30、40は、開孔管の開孔(口)部31LH、41LHの両外側の非開孔部に膨張・収縮自在な袋32l 、32r 、42l 、42r など解除可能なエアーパッカーなどによるシール部を有し、減圧、吸引領域を変更する場合には、エアーパッカー内のガスを抜き、吸引領域可変な開孔管30、40の位置を変更後、エアーパッカーにガスを注入して開孔管の開口(孔)部31LH、41LHの開孔管軸方向両外側部をシールする。
【0094】また、吸引領域可変な開孔管30、40は、基本的には同様の構成でよいが、吸引領域可変な開孔管30は、前記したように、吸引地下空気中の汚染物質の濃度を減圧・吸引領域別に測定するために用いる汚染物質濃度測定用の開孔管であり、開孔管の開孔(口)部31LHの開孔管軸方向の長さを短くし、横井戸15の中心軸方向における減圧・吸引領域別のガス濃度を測定可能とした。
【0095】一方、吸引領域可変な開孔管40は、前記したように、上記測定結果に基づき地下汚染物質を除去する際に用いる汚染物質除去用の開孔管であり、開孔管の開孔(口)部41LHの開孔管軸方向の長さは、汚染物質濃度測定用の開孔管である吸引領域可変な開孔管30よりも長くすることが好ましい。また、開孔管の開孔(口)部31LH、41LHの開孔管軸方向の長さは、シール部である袋32l 、32r 、42l 、42r を開孔管30、40の管体に対して取り外し自在な構成とすることにより調整することができ、また、当該長さを変えた複数本の吸引領域可変な開孔管30、40を用意することにより調整することもできる。
【0096】なお、地下揮発性汚染物質など地下汚染物質を除去する際に用いる汚染物質除去用の開孔管である吸引領域可変な開孔管40は、図16において開孔部41LHの両外側の非開孔部の管体外壁部にシール部材である袋42l 、42r を取り付けた構成としたが、例えば図16における袋42r のみを取付ける、すなわち、開孔部41LHの片側外側のみの非開孔部の管体外壁部にシール部材を取り付ける構成としても良い。
【0097】これは、図15の横井戸15の入り口から見て奥側全体または手前側全体を選択的に減圧・吸引する場合も生じるためである。次に、上記した吸引領域可変な開孔管30、40を用いた地下揮発性汚染物質など地下汚染物質の除去方法を図17、図18および図19により説明する。図17、図18は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置の一例を示す断面図および平面図であり、図19は図17のC部、部分拡大断面図である。
【0098】図17、図18および図19において、5a、5b、5c、5dは主として地下空気吸引に用いる減圧・送給用の開孔管(:地下空気吸引用の開孔管)、15a 、15b 、15c 、15d は横方向に穿孔された井戸(:横井戸)、42r1、42l1、42r2、42l2、52r1、52l1、52r2、52l2、62r1、62l1、62r2、62l2、72r1、72l1、72r2、72l2はシール部であるガス収納用の膨張・収縮自在な袋の配置箇所、27は液面計、28は自動弁、29は制御装置、29a は液面計27からの信号、29b は自動弁28への信号、Sはシール部を示し、その他の符号は図1〜図16と同様の内容を示す。
【0099】なお、横井戸15b 、15d は、横井戸14a 、14b の直上、すなわち平面的に見て横井戸14a 、14b と同一の箇所に穿孔した。図19において、θ1 は集水井戸の側壁かつ横方向に穿孔した横井戸14a 、14b、15a 、15b 、15c 、15d 各々の中心軸Lc1と水平面L0 との成す角度を示し、θ2 は開孔管4a、4b、5a、5b、5c、5d各々の中心軸Lc2と水平面L0 との成す角度を示す。
【0100】また、図17、図18および図19においては、地下汚染物質除去用の減圧・吸引領域可変な減圧・送給用の開孔管40および当該開孔管40と同一の目的、構成の開孔管50、60、70の横井戸内における配置状況は、図15に示す開孔管30の配置状況と同様であり、主として、開孔管40、50、60、70のガス収納用の膨張・収縮自在な袋の配置箇所のみを記載した。
【0101】図19に示されるように、本発明例においては、開孔管4a、4b、5a、5b、5c、5dから縦井戸3へ導入される地下水および地下空気の気液分離装置10としては、液面計27、自動弁28、制御装置29から構成される気液分離装置を使用し、図5〜図7に示した装置と同様に、自動的に気液分離が行われる。本地下汚染物質の除去方法においては、前記した図15に示す地下空気中汚染物質濃度測定用の4本の吸引領域可変な開孔管30を、地下空気吸引用の開孔管5a、5b、5c、5d各々の管内に挿入し、開孔管5a、5b、5c、5d内の地下空気を減圧、吸引し、開孔管5a、5b、5c、5d内の開孔管5a、5b、5c、5d中心軸方向位置別の汚染ガス濃度を測定する。
【0102】この場合、前記したように、開孔管30の開孔管5a、5b、5c、5d内での移動に際しては、ガス収納用の膨張・収縮自在な袋32l 、32r 内のガスを抜いた状態で移動し、所定の測定箇所に到達した段階で袋32l 、32r にガスを注入し、袋32l 、32r に対して開孔管30の中心軸方向の両外側部をシールした状態で開孔管5a、5b、5c、5d内のガスを吸引し、開孔管5a、5b、5c、5d内の中心軸方向領域別の汚染ガス濃度を測定する。
【0103】なお、本汚染ガス濃度の測定は、図17に示すように、浄化前の地下水面が20の位置にある場合は、地下水面が浄化中の地下水面21迄低下した時点で行うことが可能であり、浄化前の地下水面が横井戸15a 、15b 、15c 、15d の下部に存在する場合は、浄化に先立ち本汚染ガス濃度の測定を行うことが可能である。次に、上記した測定結果に基づき、地下空気中汚染物質濃度測定用の開孔管30に代えて、地下汚染物質除去用の4本の減圧・吸引領域可変な減圧・送給用の開孔管40、50、60、70を、地下空気吸引用の開孔管5a、5b、5c、5dの各々の管内に挿入し、開孔管5a、5b、5c、5d内の地下空気を減圧、吸引し、吸引した地下空気を汚染物質処理装置13に送気し無害化処理する。
【0104】この場合、上記した測定結果に基づき、地下汚染物質除去用の開孔管40、50、60、70の挿入深さ、当該開孔管40、50、60、70の開孔(口)部41LH、51LH、61LH、71LHの開孔管40、50、60、70中心軸方向の長さを前記した方法で調整することにより、地層または土壌の間隙中の揮発性汚染物質など汚染物質の効果的かつ効率的な除去を達成することができる。
【0105】なお、上記した本発明例を示す図15〜図19は、本第4の発明、第8の発明、第9の発明および第10の発明の方法、装置を限定するものではない。すなわち、例えば、図15、図16に示す管体外壁部のシール部材として、袋32l、32r 、42l 、42r に代えて、■開孔管の中心軸を中心として周縁の径が可変な傘に準じた構成を有するシール部材、■シール部材の周縁にガス収納用の膨張・収縮自在なリング状の袋を取り付けたシール部材など、横井戸の径方向(断面)における開孔管30、40、50、60、70の軸芯とシール部材外周全縁部との距離が可変なシール部材などを用いることも可能である。
【0106】また、本発明例における減圧・吸引領域可変な開孔管である移動可能な開孔管30、40、50、60、70としては、好ましくは、例えば、開孔管5a、5b、5c、5dの内管である吸引領域可変な開孔管30、40、50、60、70をフレキシブルホースで構成し、地上から当該ホースを遠隔操作で移動可能とした開孔管が例示されるが、その具体的構成は制限されるものではない。
【0107】以上、本発明に係わる地下揮発性汚染物質など地下汚染物質の観測方法、装置およびそれに基づく地下揮発性汚染物質など地下汚染物質の除去方法、装置について述べたが、従来のように垂直な観測井を複数設置し、土壌ガス濃度を測定する方法の場合、地上に建物などの構造物がある場合、土壌の汚染状況を的確に把握できなかったが、本発明の方法、装置によれば、縦井戸の側壁内横方向の井戸に減圧・吸引領域を変更可能な開孔管を挿入し、それぞれの領域で地下空気を吸引し、汚染ガス濃度を測定することによって、地上の構造物などにより制約を受ける垂直の観測井を複数設置しなくとも、地下の汚染濃度分布を的確に測定することができる。
【0108】また、本発明に係わる方法、装置によって得られた地下の汚染濃度分布測定結果により、効果的かつ効率的な土壌環境浄化の計画立案、実施が可能となる。さらに、土壌環境浄化時に、地下空気中の汚染物質濃度が低下した領域については吸引せず、地下空気中の汚染物質濃度が高い領域について優先的に減圧、吸引し、汚染物質を除去することにより、同じ吸引ガス量で汚染物質の除去量を多くすることが可能となり、効果的かつ効率的な土壌環境浄化が可能となる。
【0109】以上、本発明について述べたが、本発明によれば、下記の優れた効果が得られる。
(1) :直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、開口部の断面積が大な縦井戸を穿設し、縦井戸の側壁の面積を大きくすることによって、地中における地下水の流路断面積が拡大し、その結果、地下水が迅速に縦井戸内に集水される。
【0110】このため、地下水中の汚染物質のみならず、地層または土壌の間隙中の油、有機溶剤などの汚染物質が地下水に迅速に補集され、迅速に縦井戸に流入し、汚染物質の除去を効果的かつ迅速に行うことができる。この結果、本発明によれば、地上の構造物の制約を受けずに地中の汚染物質が効果的かつ迅速に除去可能となった。
【0111】(2) :直下の地中に汚染物質が存在する構造物の周辺部に、縦井戸を穿設し、縦井戸の側壁内横方向に開孔管を配設し、縦井戸に集水することによって、地中における地下水の通水抵抗を小さくし、その結果、地下水が迅速に縦井戸内に集水される。このため、地下水中の汚染物質および地層または土壌の間隙中の汚染物質の除去を効果的かつ迅速に行うことができる。
【0112】この結果、本発明によれば、地上の構造物の制約を受けずに地中の汚染物質が効果的かつ迅速に除去可能となった。
(3) :縦井戸または縦井戸と縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管の併用により、地下水位を人為的に浄化効果の高い位置に制御できる。
(4) :縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管による地下空気の吸引は、汚染領域に対して効果的に浄化が行える範囲、すなわち縦井戸の影響範囲を大きくすることができる。
【0113】(5) :縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管は、地上の建物などの構造物に左右されずに、しかも、浄化効果の高い位置に任意に配置が可能であり、従来の方法では解決できなかった問題点を新たに解決でき、この結果、地下揮発性汚染物質など地下汚染物質を効果的かつ迅速に除去することができる。
(6) :短期間で地下水面を下げ、地下水が実質的に存在しない状態で地下空気を吸引することが可能なため、下記の効果が得られる。
【0114】■;揮発性汚染物質が、地層または土壌粒子の間隙中に液体として地下水面下に存在する場合は、通常、汚染物質が地下水に溶解した後、汚染物質を浄化することになるが、本発明によれば、液状汚染物質を容易に、直接、減圧、気化、除去できる。
■;縦井戸の側壁内横方向に配設した開孔管により集水し、地下水面を下げるため、該開孔管を前記したように適切な位置に配置することにより、縦井戸の側壁内横方向に配設した地下空気吸引用の他の開孔管においては、地下水の揚水による負荷がかからず、土壌間隙中の圧力を広範囲に渡って負圧に保つことができ、広範囲の地下空気を吸引できる。
【0115】この結果、地層または土壌の間隙中に含まれる揮発性汚染物質および地下水に含まれる揮発性汚染物質のいずれをも効果的に除去することができる。
(7) :広範囲に地下水面が低下し、地下水の流れが減少するため、地下水の流れによる汚染物質の拡散が防止できる。
(8) :縦井戸の構造上、その底部に地下水が貯留し、これを揚水装置で揚水することにより、地下の深度に関係なく地層または土壌の間隙中の地下水、地下空気の浄化処理に対応できる。
【0116】(9) :縦井戸内に汚染物質処理装置を設置することにより、土地の有効利用を計ることも可能となる。さらに、本発明に係わる地下汚染物質の観測方法、装置および本発明の除去方法、装置によって、(10):浄化方法と同様に、縦井戸の側壁内横方向に配設する開孔管は、地上の構造物の有無に関係無く目的とする観測地点への配設が可能であり、従来観測が不可能とされていた箇所の観測が可能となった。
【0117】(11):地下水の水位が迅速に低下することによって、地層または土壌の間隙中の地下空気の汚染物質の濃度の的確な観測ができる。
(12):縦井戸の側壁内横方向に配設する開孔管内における吸引地下空気中の汚染物質の濃度を、開孔管中心軸方向における吸引領域別に測定し、その測定結果に基づき、前記開孔管の中心軸方向の吸引箇所を所定の箇所に設定することにより、地下の汚染状況の的確な観測および地層または土壌の間隙中の揮発性汚染物質の効果的かつ効率的な除去を達成することができる。
【0118】(13):観測井、浄化処理用の井戸の必要数が少なく、穿設工事が少ないため、施工の安全性が高い。以上述べたように、本発明の新たな浄化方法、浄化装置および本発明に係わる新たな観測方法、観測装置によれば、地下揮発性汚染物質などの地下汚染物質の除去において、従来技術よりもさらに適切で安全かつ経済的な浄化設計、浄化工事を行うことが可能となった。
【0119】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例の具体的方法、装置に制限されるものではない。
(比較例)図20および図21に示す工法で、地下水を揚水して汚染物質を除去する試験を行った。
【0120】図20、図21は、それぞれ、地下汚染物質の除去装置を示す断面図および平面図である。図20、図21において、70は開口部の水平断面における直径Dが200mm の縦井戸、70B は縦井戸70の底部を示し、他の符号は図1、図2と同一の内容を示す。図20および図21に示すように、最高汚染領域2の上部に建物1があり、最高汚染領域2近辺には縦井戸は穿設できなかった。
【0121】汚染物質を除去するに際して、地表面下0.8 m地点の土壌間隙中の地下空気汚染物質濃度およびボーリングによる地層汚染物質濃度を測定し、地下の汚染状況を測定した。土壌の間隙中の汚染濃度分布の測定結果を平面図により図23に示す。なお、図23において、SP(×印)は測定箇所を示し、X1、X2、X3は各々曲線lで囲まれた領域、曲線mおよび曲線lで囲まれた領域、およびmの外側領域の地下空気中の汚染物質の濃度を示し、X1≧300ppm、300ppm>X2≧100ppm、100ppm>X3であった。
【0122】次に、最高汚染領域2より水平距離で約10mの位置に垂直方向の縦井戸70を穿設し、地下水を揚水した。その結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は0.03m3/hであり、一日当たりのトリクロロエチレンの地中からの回収量は約0.072gであった。
【0123】(実施例1)前記した図1および図2に示す工法で、地下水を揚水して汚染物質を除去する試験を行った。すなわち、最高汚染領域2より水平距離で約10mの位置に垂直方向に円形の縦井戸3を穿設し、地下水を揚水した。
【0124】図1、図2における縦井戸3の開口部の水平断面における直径Dすなわち縦井戸の円相当直径D0 は、3000mmとした。その結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は1.0 m3/hであり、一日当たりのトリクロロエチレンの地中からの回収量は約2gであった。
【0125】(実施例2)前記した図3および図4に示す工法で、地下水を揚水して汚染物質を除去する試験を行った。本実施例においては、先ず、比較例と同じ最高汚染領域2より水平距離で約10mの位置に、垂直方向に、開口部の水平断面における直径Dが3000mmの円形の縦井戸3を穿設した。
【0126】次に、縦井戸3の井戸内側壁に最高汚染領域2に向けて横井戸14を穿孔し、該横井戸14内に開孔管4を挿入、配設した。貯留した地下水22は、揚水ポンプである揚水装置6により揚水し、汚染物質処理装置12に送給し、水処理を行った。この結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は2m3/hであり、一日当たり、約4gのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。
【0127】(実施例3)前記した図5〜図7に示す工法で、地下水を揚水、水処理し汚染物質を除去すると共に土壌の間隙中に存在する地下空気を吸引、処理し汚染物質を除去する試験を行った。本実施例においては、先ず、比較例と同じ最高汚染領域2より水平距離で約10mの位置に、垂直方向に、開口部の水平断面における直径Dが3000mmの円形の縦井戸3を穿設した。
【0128】次に、最高汚染領域2を挟んで、地下水を抜き出すための2本の井戸を縦井戸3の側壁3W横方向に穿孔し、当該横井戸14a 、14b に、径方向の周面に開口されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である開孔管4a、4bを挿入することにより、減圧・送給用の開孔管4a、4bを設置した。また、地下空気を吸引するための井戸を縦井戸3の側壁3W横方向に穿孔し、当該横井戸15に、上記開孔管4a、4bと同じ形式の多孔管である開孔管5を挿入することにより、減圧・送給用の開孔管5を設置した。
【0129】なお、図7に示す横井戸14a 、14b 、15各々の中心軸Lc1と水平面L0 との成す角度θ1 、および、開孔管4a、4b、5各々の中心軸Lc2と水平面L0 との成す角度θ2 はいずれも2°とした。これは、開孔管4a、4b、5から縦井戸3への地下水の導入をより容易にするためである。
【0130】また、開孔管4a、4b、5は、ねじ込み式の開孔管を複数本、縦井戸3内で順次接続、施工することにより各横井戸14a 、14b 、15内に挿入、設置した。なお、一般的な縦井戸は、井戸の壁自体が透水性の良いライナープレートなどによって構築されることが多く、その構造自体で地下水位の低下が期待できる。しかし、本実施例の場合、地下水位が高く、縦井戸の穿孔が困難であったことから遮水構造とした。
【0131】このため、本実施例においては、図6の平面図における外側の2本の開孔管4a、4bを、主に地下水を抜き出し、地下水位を低下させるための配管(:地下水集水用の開孔管)とし、内側の開孔管5を主に地下空気を吸引するための地下空気吸引用の配管とした。次に、地下水を開孔管4a、4b、5より抜き出し、気液分離装置10で気液分離し、地下水を縦井戸3の底部3Bに貯留した。
【0132】貯留した地下水22は、揚水ポンプである揚水装置6により揚水し、汚染物質処理装置12により水処理を行った。この結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は2m3/hであった。一方、地下空気吸引用の開孔管5から、減圧吸引装置7によりトリクロロエチレンを含む土壌の間隙中の地下空気を吸引し、吸引した地下空気は汚染物質処理装置13で処理した。
【0133】減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量は3m3/min、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は600ppmであり、一日当たり、約14kgのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。
(実施例4)前記した図8、図9に示す工法で、地下水を揚水、水処理し汚染物質を除去すると共に土壌の間隙中に存在する地下空気を吸引、処理し汚染物質を除去する試験を行った。
【0134】本実施例は、地下水に流れがある汚染箇所を対象とし、先ず、最高汚染領域2より水平距離で約10mの位置に、垂直方向に、開口部の水平断面における直径Dが3000mmの円形の縦井戸3を穿設した。次に、当該縦井戸3の側壁3W横方向で、かつ、地下水の流れ方向f3において、最高汚染領域2の上流側および下流側に向けて、2本の横井戸14、15を穿孔し、当該横井戸14、15のそれぞれに開孔管4、5を挿入することにより、減圧・送給用の開孔管4、5を設置した。
【0135】なお、横井戸15は最高汚染領域2に近い位置に向けて穿孔した。また、開孔管4および開孔管5としては、実施例3と同様に、径方向の周面に開口されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である開孔管を用いた。次に、地下水を開孔管4、5より抜き出し、気液分離装置10で気液分離し、地下水を縦井戸3の底部3Bに貯留した。
【0136】貯留した地下水22は、揚水ポンプである揚水装置6により揚水し、汚染物質処理装置12により水処理を行った。この結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は1.5m3/h であった。一方、地下空気吸引用の開孔管5から、減圧吸引装置7によりトリクロロエチレンを含む土壌の間隙中の地下空気を吸引し、吸引した地下空気は汚染物質処理装置13で処理した。
【0137】減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量は2m3/min、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は700ppmであり、一日当たり、約11kgのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。
(実施例5)前記した図13、図14に示す工法で、地下水を揚水、水処理し汚染物質を除去すると共に土壌の間隙中に存在する地下空気を吸引、処理し汚染物質を除去する試験を行った。
【0138】本実施例においては、実施例4において、さらに、最高汚染領域2を挟んで横井戸15と対向する側に横井戸15P を穿孔し、当該横井戸に加圧ガス送給用の開孔管5Pを挿入した。なお、開孔管5Pとしては、開孔管4、5と同じ多孔管を用いた。次に、地下水を開孔管4、5、5Pより抜き出し、気液分離装置10で気液分離し、地下水を縦井戸3の底部3Bに貯留した。
【0139】貯留した地下水22は、揚水ポンプである揚水装置6により揚水し、汚染物質処理装置12により水処理を行った。この結果、地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は0.1mg/l 、揚水量は2.0m3/h であった。一方、地下水面が地下水面21のレベル迄低下した時点で、開孔管5P内に送気装置60から加圧空気を土壌中に送気しつつ、地下空気吸引用の開孔管5から、減圧吸引装置7によりトリクロロエチレンを含む土壌の間隙中の地下空気を吸引し、吸引した地下空気は汚染物質処理装置13で処理した。
【0140】減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量は3m3/min、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は600ppmであり、一日当たり、約14kgのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。
(実施例6)前記した図17、図18および図19に示す工法で、地下水を揚水、水処理し汚染物質を除去すると共に、土壌間隙中に存在する地下空気を吸引、処理し汚染物質を除去する試験を行った。
【0141】なお、本実施例は、実施例3で設置した既設の地下汚染物質の除去装置を、下記に示すようにさらに改良して試験を行った。すなわち、本実施例においては、前記した実施例3の図5〜図7において、既設の横井戸14a 、14b 、15に加えて、地下空気を吸引するための井戸を縦井戸3の側壁3W横方向に新たに3本穿孔し、当該横井戸のそれぞれに、径方向の周面に開口されかつ軸方向に複数個の開孔を有する多孔管である開孔管を挿入することにより、減圧・送給用の開孔管を3本追加設置した。
【0142】また、追加設置した減圧・送給用の開孔管3本の内2本は既設の開孔管4a、4bの直上、すなわち平面的に見て同一の箇所に設置した。なお、図17、図18および図19に示すように、図5〜図7における既設の横井戸15を15a 、新たに穿孔した横井戸を15b 、15c 、15d 、図5〜図7における既設の開孔管5を5a、追加設置した開孔管を5b、5c、5dと記す。
【0143】また、図19における横井戸15b 、15c 、15d 各々の中心軸Lc1と水平面L0 との成す角度θ1 および開孔管5b、5c、5d各々の中心軸Lc2と水平面L0 との成す角度θ2 は、いずれも、既設の横井戸14a 、14b 、15a 、開孔管4a、4b、5aと同じく2°とした。また、本実施例においては、図5〜図7の気液分離装置10に代えて、液面計27、自動弁28、制御装置29から構成される気液分離装置10を使用した。
【0144】なお、本実施例においては、実施例3と同様の理由で、図18の平面図における外側の2本の開孔管4a、4bを、主に地下水を抜き出し、地下水位を低下させるための配管(:地下水集水用の開孔管)とし、外側および内側の4本の開孔管5a、5b、5c、5dを、主に地下空気を吸引するための地下空気吸引用の配管とした。次に、地下水を開孔管4a、4b、5a、5b、5c、5dより抜き出し、気液分離し、地下水を縦井戸3の底部3Bに貯留した。
【0145】貯留した地下水は、揚水ポンプである揚水装置6を用いて揚水し、汚染物質処理装置12により水処理を行った。地下水中のトリクロロエチレンの平均濃度は、0.1mg/l 、揚水量は2m3/hであった。次に、地下水位が図17に示す水位20から21迄低下した時点で、開孔管5a、5b、5c、5dの各々に、図15に示す地下空気中汚染物質濃度測定用の吸引領域可変な開孔管30を挿入し、当該開孔管30の開孔管5a、5b、5c、5d内中心軸方向における位置を変更し、それぞれの位置において、土壌の間隙中から吸引した地下空気中の汚染物質の濃度を測定した。
【0146】土壌の間隙中の汚染濃度分布の測定結果を平面図により図22に示す。図22において、SP(×印)は測定箇所を示し、X1、X2、X3、X4は各々曲線lで囲まれた領域、曲線mおよび曲線lで囲まれた領域、曲線nおよび曲線mで囲まれた領域、および曲線nの外側領域の地下空気中の汚染物質の濃度を示し、X1≧1000ppm 、1000ppm >X2≧500ppm、500ppm>X3≧200ppm、200ppm>X4であった。
【0147】次に、本測定結果に基づき、汚染物質を除去する試験を行った。すなわち、土壌の間隙中の地下空気中の汚染物質の濃度分布測定後、開孔管5a、5b、5c、5dから汚染物質濃度測定用の減圧・吸引領域可変な開孔管30を抜き出し、開口管5a、5b、5c、5dの各々の管内に、図16に示す汚染物質除去用の吸引領域可変な開孔管40および当該開孔管40と同一の目的、構成の開孔管50、60、70を挿入した。
【0148】なお、図17、図18および図19においては、開孔管40、50、60、70の横井戸内における配置状況は、図15に示す開孔管30の配置状況と同様であるため、主として、開孔管40、50、60、70のガス収納用の膨張・収縮自在な袋の配置箇所のみを記載した。次に、開孔管40、50、60、70によりトリクロロエチレンを含む土壌の間隙中の地下空気を吸引し、吸引した地下空気は汚染物質処理装置13で処理した。
【0149】なお、本処理時は、開孔管40、50、60、70のシール部であるガス収納用の膨張・収縮自在な袋を図17、図18に示す位置42r1、42l1、52r1、52l1、62r1、62l1、72r1、72l1に配置し、これらの袋にガスを注入し、シールし、開孔管5a内の42r1〜42l1間、開孔管5b内の52r1〜52l1間、開孔管5c内の62r1〜62l1間および開孔管5d内の72r1〜72l1間の地下空気を吸引した。
【0150】減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量は4m3/min、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は600ppmであり、一日当たり、約18kgのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。90日後、減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量が4m3/minに対して、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は100ppmに低下し、一日当たりのトリクロロエチレンの地中からの回収量は3kgに低下した。
【0151】このため、汚染物質除去用の吸引領域可変な開孔管40、50、60、70として、前記した袋42r 〜42l 間、袋52r 〜52l 間、袋62r 〜62l 間および袋72r 〜72l 間の間隔の長い開孔管40、50、60、70に代えて、それらの間隔が1/2の開孔管40、50、60、70を、地下空気吸引用の開孔管5a、5b、5c、5dの管内に挿入し、開孔管40、50、60、70によりトリクロロエチレンを含む土壌の間隙中の地下空気を吸引し、吸引した地下空気は汚染物質処理装置13で処理した。
【0152】すなわち、本処理時は、汚染物質除去用の減圧・吸引領域可変な開孔管40、50、60、70のシール部であるガス収納用の膨張・収縮自在な袋を図17、図18に示す位置42r2、42l2、52r2、52l2、62r2、62l2、72r2、72l2に配置し、これらの袋にガスを注入し、シールし、開孔管5a内の42r2〜42l2間、および、開孔管5b内の52r2〜52l2間、開孔管5c内の62r2〜62l2間および開孔管5d内の72r2〜72l2間の地下空気を吸引した。
【0153】この結果、減圧吸引装置7で吸引した地下空気の流量4m3/minに対して、吸引した地下空気中のトリクロロエチレンの平均濃度は300ppmに改善され、一日当たり約9kgのトリクロロエチレンの地中からの回収が可能であった。なお、前記した比較例の土壌の間隙中の汚染濃度分布の測定結果と本実施例の前記測定結果を比較すると、本実施例の場合の方が汚染濃度が高くまた汚染範囲が広いことが分かった。
【0154】これは、比較例の場合、建物1の領域内での調査点数が少なく、また汚染領域から上昇してくる汚染物質の蒸発量が少ないため、的確な測定ができなかったと考えられる。これに対して、本発明によれば、上記した実施例に示すように、地層または土壌の間隙中の汚染濃度分布を的確に把握でき、より適切な浄化計画が立案でき、この結果、効果的かつ効率的な浄化が可能となった。
【0155】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、地下水に含まれる地下揮発性汚染物質など地下汚染物質を、迅速に縦井戸に集水することが可能となり、集水した地下水を揚水、処理することにより、効果的かつ迅速に地下汚染物質を除去することが可能となった。
【0156】また、地下水面を下げた状態で地下水面より上層の地層または土壌の間隙中に含まれる揮発性汚染物質を減圧、吸引、処理することにより、地層または土壌の間隙中に含まれるガス状、液状の地下揮発性汚染物質および地下水に含まれる地下揮発性汚染物質のいずれをも効果的かつ効率的に除去することが可能となった。
【0157】また、地下水面を下げることにより、汚染地下水の拡散を防止することが可能となった。さらに、本発明によれば、地下の汚染状況の的確な観測およびその測定結果に基づく地層または土壌の間隙中の揮発性汚染物質の効果的かつ効率的な除去を、安全で経済的に達成することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【識別番号】396009171
【氏名又は名称】明治コンサルタント株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
【公開番号】 特開平11−10130
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−163747