トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染地盤浄化システム
【発明者】 【氏名】久保 博
【氏名】川地 武
【課題】イオン性汚染物質を効率よく汚染地盤から回収する。

【解決手段】本発明の汚染地盤浄化システムは、陰イオン汚染物質を含む地盤1内に透水管2a、2bを埋設し、透水管2aの内部には電極3aを、透水管2bの内部には電極3bを挿入配置し、これらの電極3a、3bをそれぞれ直流電源4のマイナス側、プラス側に接続してある。透水管2a内には給水管5を配置するとともに該給水管を開閉弁11a及び給水ポンプ6を介して水槽7に接続してある。一方、透水管2b内には排水管8を配置するとともに該排水管を開閉弁11bを介して排水ポンプ9に接続してある。透水管2a、2bには、液面計12a、12bをそれぞれ配設してあり、制御部13は、液面計12aの計測データに応じて給水ポンプ6及び開閉弁11aを駆動制御するとともに、液面計12bの計測データに応じて排水ポンプ9及び開閉弁11bを駆動制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イオン性汚染物質を含む地盤内に埋設された透水管と、該透水管若しくはその近傍に配置された電極に接続された直流電源と、前記透水管内に給水を行う給水手段と、前記透水管内から排水を行う排水手段と、前記透水管内に配設された水位計測手段と、前記給水手段及び前記排水手段を駆動制御する制御手段とからなり、該制御手段は、前記水位計測手段からの計測データに応じて前記給水手段及び前記排水手段を駆動制御するようになっていることを特徴とする汚染地盤浄化システム。
【請求項2】 前記制御手段は、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御する請求項1記載の汚染地盤浄化システム。
【請求項3】 前記制御手段は、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御する請求項1記載の汚染地盤浄化システム。
【請求項4】 前記透水管のうち、陰極側の透水管内若しくはその近傍に酸性溶液を供給する供給手段を備えた請求項3記載の汚染地盤浄化システム。
【請求項5】 前記透水管内若しくはその近傍にpHを計測するpH計測手段を設置し、前記制御手段は、前記pH計測手段からの計測データに応じて前記供給手段を駆動制御するようになっている請求項4記載の汚染浄化システム。
【請求項6】 前記透水管を前記地盤内に多数埋設し、該透水管のそれぞれに前記給水手段の給水管若しくは前記排水手段の排水管とその開閉弁とを設置し、該開閉弁が前記透水管ごとに個別に駆動制御されるように前記制御手段を構成した請求項1記載の汚染地盤浄化システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム、砒素、シアンといった陰イオン汚染物質や鉛、カドミウム、銅などの陽イオン汚染物質で汚染された地盤を浄化するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】工場廃水、工場廃棄物、鉱山廃水などによって汚染された土壌には、カドミウム、鉛、銅、亜鉛、砒素、セレン、ニッケル、クロム等の汚染物質が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると、汚染物質が地下水や生物サイクルを介して環境に拡散する危険性がある。
【0003】そのため、汚染された土壌は、これを掘削除去して所定の処理を施し、しかる後に管理型あるいは遮断型の処分地に廃棄処分する一方、掘削された孔内には通常の土を客土して原状復帰するのが一般的である。
【0004】ところが、このような方法では、掘削の際に汚染土を攪乱して二次汚染のおそれがあるとともに、汚染土を大量に搬出、運搬しなければならないという問題や、既存建築物の近接部や直下では掘削除去自体が困難になるという問題が生じる。そのため、最近では、通電によってイオン性の汚染物質を回収する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、通電による方法は、汚染地盤に予め埋設された電極間に直流電圧を印加してイオン性の汚染物質を各電極に移動させ、次いで、該電極に集まった水を吸い上げることによって、汚染物質を汚染地盤から回収しようとするものであるが、本出願人が研究を重ねた結果、ただ単に地盤に散水して通電を行うといった単純な方法では、汚染地盤からイオン性汚染物質を効率よく回収することは困難であり、イオン性汚染物質の性状に応じて水位を設定したりpHを管理したりといった工夫が必要があることがわかってきた。
【0006】しかしながら、通電によって汚染地盤を浄化する場合、通電期間がかなり長期に及ぶことがあり、その間、水位設定やpH管理のために作業員やオペレータを現地に常駐させたり頻繁に現地に出向いたりしなければならず、概して手間のかかる浄化工法であるという問題を生じていた。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、長期間にわたって手間をかけることなくしかも効率よくイオン性汚染物質を回収可能な汚染地盤浄化システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の汚染地盤浄化システムは請求項1に記載したように、イオン性汚染物質を含む地盤内に埋設された透水管と、該透水管若しくはその近傍に配置された電極に接続された直流電源と、前記透水管内に給水を行う給水手段と、前記透水管内から排水を行う排水手段と、前記透水管内に配設された水位計測手段と、前記給水手段及び前記排水手段を駆動制御する制御手段とからなり、該制御手段は、前記水位計測手段からの計測データに応じて前記給水手段及び前記排水手段を駆動制御するようになっているものである。
【0009】また、本発明の汚染地盤浄化システムは、前記制御手段を、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御するように構成したものである。
【0010】また、本発明の汚染地盤浄化システムは、前記制御手段を、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御するように構成したものである。
【0011】また、本発明の汚染地盤浄化システムは、前記透水管のうち、陰極側の透水管内若しくはその近傍に酸性溶液を供給する供給手段を備えたものである。
【0012】また、本発明の汚染地盤浄化システムは、前記透水管内若しくはその近傍にpHを計測するpH計測手段を設置し、前記制御手段を、前記pH計測手段からの計測データに応じて前記供給手段を駆動制御するように構成したものである。
【0013】また、本発明の汚染地盤浄化システムは、前記透水管を前記地盤内に多数埋設し、該透水管のそれぞれに前記給水手段の給水管若しくは前記排水手段の排水管とその開閉弁とを設置し、該開閉弁が前記透水管ごとに個別に駆動制御されるように前記制御手段を構成したものである。
【0014】本発明の汚染地盤浄化システムにおいては、直流電源を作動させて地盤内に通電を行うとともに、給水手段による透水管への給水並びに排水手段による透水管からの排水を適宜行うことによって、地盤内のイオン性汚染物質を回収するが、給排水を行うにあたっては、透水管内に配置された水位計測手段からの計測データに応じて給水手段及び排水手段を制御手段で駆動制御する。
【0015】このようにすると、透水管内の水位は、天候の変化や乾燥蒸発等に起因する通電期間中の水位変動があっても、所望の設定水位に自動的に維持される。
【0016】イオン性汚染物質としては、クロム、砒素、シアンなどの陰イオン汚染物質と、鉛、カドミウム、銅などの陽イオン汚染物質とが対象となる。
【0017】透水管としては、円筒形状の多孔管が一般的ではあるが、その構造や形状は任意であり、要は、地盤内に設けた孔を崩壊させることなく該孔内に給水を行ったり該孔内から排水を行うことができればよい。
【0018】直流電源は、導電性の透水管に接続してもよいし、透水管の近傍、特に透水管内部に配置された電極に接続してもよく、前者の場合には、透水管は電極を兼ねることとなり、後者の場合には、透水管内部に挿入された電極が専用の電極となる。
【0019】水位計測手段は、水位を計測することができるものであればどのような原理のものでもよく、水面に浮かべたフロートの上下動から液位を計測するフロート式液面計、超音波の反射を利用した超音波水位計などを用いることができる。
【0020】制御手段は、水位計測手段からの計測データに応じて給水手段及び排水手段を駆動制御できるものであればどのようなものでもよいが、例えばパーソナルコンピュータで構成することができる。
【0021】給水手段や排水手段を駆動制御するにあたっては、主としてポンプやそれらの配管に設置された開閉弁の開閉操作が制御の対象となるが、流量調整弁を設置してこれを制御し、給水速度や排水速度を変化させるようにしてもよい。
【0022】給排水は、連続して行ってもよいし、一定の期間をおいて間欠的に行ってもよい。
【0023】水位の設定の仕方としては、透水係数等を含めた地盤の土質性状、電極間距離、地盤に含まれているイオン性汚染物質の性質等に応じて、該汚染物質の回収が最も効率よく行われるように行えばよいが、ここで、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御するように構成した場合には、陰極側透水管の水位が、陽極側透水管の水位よりも所定の水位差だけ高いレベルで維持される。そして、かかる水位差は、電気浸透によって土中水を陰極に流そうとする圧力を相殺することとなる。そのため、陰イオン汚染物質は、電気浸透による土中水の流れに妨げられることなく、電気泳動によって陽極側に移動する。
【0024】これとは逆に、前記透水管のうち、陰極側の透水管の水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように前記排水手段を駆動制御するとともに、前記透水管のうち、陽極側の透水管の水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように前記給水手段を駆動制御するように構成した場合には、陽極側透水管の水位が、陰極側透水管の水位よりも所定の水位差だけ高いレベルで維持される。そして、かかる水位差は、電気浸透による土中水の流れ及び電気泳動による力と相乗する形となり、陽イオン汚染物質は、効率よく陰極側に移動する。
【0025】なお、通電中は、電気分解によって陰極側がアルカリ性となるが、酸性溶液を陰極側の透水管若しくはその近傍に供給するようにすれば、陽イオン汚染物質が陰極近傍で水酸化物を形成して沈殿し、その結果、陰極側からの回収が不能となるといった事態を回避することができる。
【0026】ここで、酸性溶液を供給するにあたり、前記透水管内若しくはその近傍にpHを計測するpH計測手段を設置し、前記制御手段を、前記pH計測手段からの計測データに応じて前記供給手段を駆動制御するように構成すれば、酸性溶液の供給が自動化され、イオン性汚染物質を効率よく回収可能なpH状態が、長期にわたって維持される。
【0027】透水管の配置に関しては、少なくとも2本の透水管、すなわち給水を行うための透水管と排水を行うための透水管とを所定の間隔で地盤内に埋設すれば足りるが、多数の透水管を埋設する場合において、該透水管のそれぞれに前記給水手段の給水管若しくは前記排水手段の排水管とその開閉弁とを設置し、該開閉弁が前記透水管ごとに個別に駆動制御されるように前記制御手段を構成したならば、土質性状やイオン性汚染物質の分布状況あるいは水分の蒸発状況が場所によって異なり、そのために透水管ごとに給排水速度が異なるような場合であっても、各透水管内の水位は、所望の水位に個別に維持される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る汚染地盤浄化システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0029】(第1実施形態)図1は、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムを示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムは、イオン性汚染物質としての陰イオン汚染物質を含む地盤1内に透水管2a、2bを埋設するとともに、透水管2aの内部には電極3aを、透水管2bの内部には電極3bを挿入配置し、これらの電極3a、3bを電極3aが陰極、電極3bが陽極となるように、それぞれ直流電源4のマイナス側、プラス側に接続してある。
【0030】なお、電極3aでは還元反応が生じるので例えば鉄筋棒で構成することができるが、電極3bでは酸化反応が生じるので不活性の導電体、例えば炭素棒で構成するのがよい。
【0031】ここで、陰イオンとは、クロム、砒素、セレン、シアンなどを指し、それぞれCrO42-、Cr2O72-、AsO43-、AsO33-、SeO42-、SeO32-、CN-等の形で地盤1内に含まれている。
【0032】透水管2a、2bは、多数の孔を設けた直径20〜30cm程度のストレーナ管で構成してある。これらの透水管2a、2bは、図2の配置図に示すように所定の汚染物質除去範囲にわたって多数埋設するようにし、例えば1.5〜2m間隔で格子状に配列しておくのがよい。
【0033】図1でわかるように、透水管2a内には給水管5を配置するとともに該給水管を開閉弁11a及び給水ポンプ6を介して水槽7に接続してあり、該開閉弁を操作することによって、透水管2a内への給水を随時行うことができるようになっている。すなわち、これら給水管5、給水ポンプ6、水槽7及び開閉弁11aは透水管2aへの給水手段として作用する。ここで、開閉弁11aは、例えば電磁弁で構成することができる。
【0034】一方、透水管2b内には排水管8を配置するとともに該排水管を開閉弁11bを介して排水ポンプ9に接続してあり、開閉弁11bを操作することによって、透水管2b内からの排水を随時行うことができるようになっている。すなわち、これら排水管8、排水ポンプ9及び開閉弁11bは透水管2bからの排水手段として作用する。また、排水ポンプ9にはその先に排水処理タンク10を接続してあり、汚染地盤1からの回収水から重金属を分離除去するようになっている。
【0035】排水処理タンク10は、電気分解作用で酸性となっている陽極からの回収水をそのまま処理可能なイオン交換樹脂で構成しておくのがよい。なお、陰イオンが除去された後の処理水については、廃棄若しくは河川に放流するか、給水用に再循環させる。また、給水用に再循環させる場合、酸性状態をそのまま維持した方が陰極側での溶解度が高くなるので、陰イオンの分離除去には都合がよい。
【0036】また、透水管2a、2bには、水位計測手段としての液面計12a、12bをそれぞれ配設してあり、かかる液面計12a、12bの計測データは制御手段としての制御部13に伝送されるようになっている。
【0037】なお、図1には便宜上、一組の透水管2a、2bだけが示されているが、実際には図2のように多数の透水管2a、2bが地盤1に交互に埋設されており、それらの透水管2aのそれぞれに給水管5、開閉弁11a及び液面計12aが設置されているとともに、透水管2bのそれぞれに排水管8、開閉弁11b及び液面計12bが設置されている。
【0038】制御部13は、例えばパーソナルコンピュータで構成することが可能であり、液面計12aの計測データに応じて給水ポンプ6及び開閉弁11aを駆動制御することにより、透水管2a内の下限水位を該透水管ごとに所望のレベルに維持することができるとともに、液面計12bの計測データに応じて排水ポンプ9及び開閉弁11bを駆動制御することにより、透水管2b内の上限水位を該透水管ごとに所望のレベルに維持することができるようになっている。
【0039】本実施形態の汚染地盤浄化システムにおいては、まず、図2のように陰イオンを除去しようとする範囲にわたって透水管2a、2bを地盤1内に埋設するとともに、かかる範囲を取り囲むようにして遮水壁21を構築する。遮水壁21は、除去範囲内の水位が下がることが無いよう、不透水層22まで到達させておく。
【0040】次に、直流電源4を作動させて地盤1内に通電を行うとともに、給水手段による透水管2aへの給水並びに排水手段による透水管2bからの排水を適宜行うことによって、地盤1内の陰イオンを回収する。直流電源4は、電流値、地温などを監視しながら最適な電圧、例えば60V程度に調整する。
【0041】ここで、給排水を行うにあたっては、陽極側の透水管2bの水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように、排水ポンプ9及び開閉弁11bを制御部13にて駆動制御するとともに、陰極側の透水管2aの水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように給水ポンプ6及び開閉弁11aを制御部13にて駆動制御する。
【0042】このようにすると、図3(a)に示すように、陰極側透水管2aの水位が、陽極側透水管2bの水位よりも水位差Δhだけ高いレベルで維持される。そして、かかる水位差Δhは、同図(b)に示すように、電気浸透によって土中水を陰極に流そうとする圧力を相殺することとなり、陰イオンは、電気浸透による土中水の流れに妨げられることなく、電気泳動によって陽極側に移動する。なお、Δhについては、電極間距離や地盤の透水係数等を考慮して適宜定める。
【0043】このように陰イオンを陽極側に移動させたならば、排水ポンプ9及び開閉弁11bを駆動して透水管2b内に溜まった水を排水し、排水処理タンク10にて陰イオンを分離除去した後、pH処理して下水に放流するか、上述したようにそのまま給水用として再循環させる。
【0044】以上説明したように、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムによれば、透水管2a、2bに液面計12a、12bを設置し、かかる液面計の計測データにしたがって給水手段である開閉弁11aや給水ポンプ6を駆動制御するとともに、排水手段である開閉弁11bや排水ポンプ9を駆動制御するようにしたので、透水管2a、2b内の水位を、地盤の土質性状や電極間距離に応じて、しかも作業員や作業時間を必要とすることなく所望のレベルに設定することができるとともに、長期間にわたって通電を行う際、天候の変化や蒸発等が原因で設定水位が変動するような場合であっても、現地に作業員やオペレータを常駐させることなく、透水管2a、2b内の水位を設計水位に維持して陰イオン汚染物質を確実に回収することが可能となる。
【0045】特に、透水管2a、2bごとに液面計12a、12b及び開閉弁11a、11bを設置するようにしたので、土質性状や水分の蒸発状況が場所によって異なり、そのために透水管ごとに給排水速度が異なるような場合であっても、各透水管内の水位を所望の水位に個別に維持することが可能となる。
【0046】また、本実施形態の汚染地盤浄化システムによれば、陽極側の透水管2bの水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように、排水ポンプ9及び開閉弁11bを制御部13にて駆動制御するとともに、陰極側の透水管2aの水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように給水ポンプ6及び開閉弁11aを制御部13にて駆動制御するようにしたので、陰極側透水管2aの水位は、陽極側透水管2bの水位よりも水位差Δhだけ高いレベルで維持される。
【0047】したがって、電気浸透によって土中水を陰極に流そうとする圧力は、水位差Δhで相殺されることとなり、かくして、陰イオンを電気浸透による圧力に妨げられることなく、電気泳動によってスムーズに陽極側に移動させることができる。
【0048】本実施形態では、電極3a、3bを透水管2a、2bとは別体としたが、透水管2a、2bを導電性材料で形成して電極を兼ねるようにしてもよい。また、透水管2a、2bをストレーナ管で構成したが、これに代えて、例えばネット状の樹脂パイプで構成してもよい。
【0049】また、本実施形態では、給排水操作を制御する弁として開閉弁を使用したが、これに代えて流量調整弁を設置し、給水速度や排水速度を変化させるようにしてもよい。
【0050】また、本実施形態では、酸性環境のまま水処理を行う方法として、イオン交換樹脂を用いた方法を採用したが、かかる方法に代えて、例えば砒素やセレンを鉄化合物に吸着させて除去を図る方法や、六価クロムを還元物で三価クロムに還元し、石灰などを加えて水酸化物として沈殿させて除去を図る方法を採用してもよい。
【0051】また、本実施形態では、排水された水を酸性環境のまま水処理するようにしたが、必ずしも酸性のままで処理する必要はなく、いったんアルカリ性にしてから陰イオン汚染物の分離除去水処理を行うようにしてもよいし、かかる場合、処理水を給水用にリサイクルしなくてもよい。
【0052】(第2実施形態)次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】図4は、第2実施形態に係る汚染地盤浄化システムを示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムは、イオン性汚染物質としての陽イオン汚染物質を含む地盤1内に透水管2a、2bを埋設するとともに、透水管2aの内部には電極3aを、透水管2bの内部には電極3bを挿入配置し、これらの電極3a、3bを電極3aが陽極、電極3bが陰極となるように、それぞれ直流電源4のプラス側、マイナス側に接続してある。
【0054】ここで、陽イオンとは、鉛、カドミウム、銅などなどを指す。また、透水管2a、2bについても、第1実施形態と同様、所定の汚染物質除去範囲にわたって多数埋設しておく。なお、電極3bでは還元反応が生じるので例えば鉄筋棒で構成することができるが、電極3aでは酸化反応が生じるので不活性の導電体、例えば炭素棒で構成するのがよい。
【0055】透水管2a内には、第1実施形態と同様、給水管5を配置するとともに該給水管を給水ポンプ6を介して水槽7に接続してあり、給水管5に設置された開閉弁11aを操作することによって、透水管2a内への給水を随時行うことができるようになっている。すなわち、これら給水管5、給水ポンプ6、水槽7及び開閉弁11aは透水管2aへの給水手段として作用する。
【0056】また、透水管2b内には、やはり第1実施形態と同様、排水管8を配置するとともに該排水管を排水ポンプ9に接続してあり、排水管8に設置された開閉弁11bを操作することによって、透水管2b内からの排水を随時行うことができるようになっている。すなわち、これら排水管8、排水ポンプ9及び開閉弁11bは透水管2bからの排水手段として作用する。なお、排水ポンプ9にはその先に排水処理タンク36を接続してあり、汚染地盤1からの回収水から重金属を分離除去するようになっている。
【0057】また、透水管2a、2bには、水位計測手段としての液面計12a、12bをそれぞれ配設してあり、かかる液面計12a、12bの計測データは制御手段としての制御部13に伝送されるようになっている。
【0058】制御部13は、例えばパーソナルコンピュータで構成することが可能であり、液面計12aの計測データに応じて給水ポンプ6及び開閉弁11aを駆動制御するとともに、液面計12bの計測データに応じて排水ポンプ9及び開閉弁11bを駆動制御するようになっている。
【0059】ここで、第1実施形態とは異なり、陰極側の透水管2bの各近傍には、多数の孔が形成された中空の供給管31を埋設してあり、該供給管は、開閉弁35及び供給ポンプ32を介して酸性溶液が貯留された酸性溶液タンク33に接続してある。そして、これら供給管31、開閉弁35、供給ポンプ32及び酸性溶液タンク33は、透水管2b近傍に酸性溶液を供給する供給手段として機能する。
【0060】ここで、酸性溶液としては、たとえばpH1〜2若しくはもっと高濃度の塩酸、硫酸等が使用可能である。
【0061】また、透水管2b近傍には、pHを計測するpH計測手段としてのpH計測器34を設置してあり、pH計測器34の計測データに応じて供給ポンプ32及び開閉弁35を駆動制御するようになっている。
【0062】本実施形態の汚染地盤浄化システムにおいては、まず、第1実施形態と同様、図2のように陽イオンを除去しようとする範囲にわたって透水管2a、2bを地盤1内に埋設するとともに、かかる範囲を取り囲むようにして遮水壁21を構築する。
【0063】次に、第1実施形態と同様、直流電源4を作動させて地盤1内に通電を行うとともに、給水手段による透水管2aへの給水並びに排水手段による透水管2bからの排水を適宜行うことによって、地盤1内の陽イオンを回収するが、給排水を行うにあたっては、陰極側の透水管2bの水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように、排水ポンプ9及び開閉弁11bを制御部13にて駆動制御するとともに、陽極側の透水管2aの水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように給水ポンプ6及び開閉弁11aを制御部13にて駆動制御する。
【0064】このようにすると、図5(a)に示すように、陽極側透水管2aの水位が、陰極側透水管2bの水位よりも水位差Δhだけ高いレベルで維持される。そして、かかる水位差Δhは、同図(b)に示すように、電気浸透によって土中水を陰極に流そうとする圧力及び電気泳動による圧力と相まって、陽イオンをスムーズに陰極側に移動させる。
【0065】また、このような給排水操作とは別に、pH計測器34の計測値が一定のアルカリ度を検出したならば、供給ポンプ32及び開閉弁35を制御部13にて駆動制御し、陰極側透水管2b近傍に酸性溶液を供給する。
【0066】このようにすると、陽イオンは、アルカリ環境下で水酸化物となって沈殿することなく、土中水に溶解したままの状態で陰極側に接近し、透水管2bの内部に到達することができる。
【0067】このように陽イオンを陰極側透水管2bに集めたならば、排水ポンプ9及び開閉弁11bを駆動して透水管2b内に溜まった水を排水し、排水処理タンク36にて陽イオンを分離除去した後、pH処理して下水に放流するか、若しくは給水用に再循環させる。
【0068】以上説明したように、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムによれば、透水管2a、2bに液面計12a、12bを設置し、かかる液面計の計測データにしたがって給水手段である開閉弁11aや給水ポンプ6を駆動制御するとともに、排水手段である開閉弁11bや排水ポンプ9を駆動制御するようにしたので、透水管2a、2b内の水位を、地盤の土質性状や電極間距離に応じて、しかも作業員や作業時間を必要とすることなく所望のレベルに設定することができるとともに、長期間にわたって通電を行う際、天候の変化や蒸発等が原因で設定水位が変動するような場合であっても、現地に作業員やオペレータを常駐させることなく、透水管2a、2b内の水位を設計水位に維持して陰イオン汚染物質を確実に回収することが可能となる。
【0069】特に、透水管2a、2bごとに液面計12a、12b及び開閉弁11a、11bを設置するようにしたので、土質性状や水分の蒸発状況が場所によって異なり、そのために透水管ごとに給排水速度が異なるような場合であっても、各透水管内の水位を所望の水位に個別に維持することが可能となる。
【0070】また、本実施形態の汚染地盤浄化システムによれば、陰極側の透水管2bの水位が所定の上限水位を上回ったとき該透水管内が排水されるように、排水ポンプ9及び開閉弁11bを制御部13にて駆動制御するとともに、陽極側の透水管2aの水位が前記上限水位よりも高い位置に設定された下限水位を下回ったとき該透水管内に給水されるように給水ポンプ6及び開閉弁11aを制御部13にて駆動制御するようにしたので、陽極側透水管2aの水位は、陰極側透水管2bの水位よりも水位差Δhだけ高いレベルで維持される。
【0071】したがって、陽イオンは、電気浸透による圧力及び電気泳動による圧力に加えて、このような水位差による圧力により、スムーズに陽極側に移動させることができる。
【0072】また、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムによれば、酸性溶液を陰極側の透水管2bの近傍に供給するようにしたので、陽イオンが陰極近傍で水酸化物を形成して沈殿し、その結果、陰極側からの回収が不能となるといった事態を回避することができる。
【0073】また、本実施形態に係る汚染地盤浄化システムによれば、陰極側透水管2bの近傍にpH計測器34を設置し、該pH計測器からの計測データに応じて供給ポンプ32及び開閉弁35を駆動制御するようにしたので、酸性溶液の供給が自動化され、陽イオンを効率よく回収可能なpH状態を長期にわたって簡単かつ確実に維持することが可能となる。
【0074】本実施形態では、酸性溶液を供給する供給管を陰極側透水管2bの近傍に埋設するようにしたが、これに代えて該透水管内に挿入配置するようにしてもよい。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、透水管内の水位を、地盤の土質性状や電極間距離に応じて、しかも作業員や作業時間を必要とすることなく所望のレベルに設定することができるとともに、長期間にわたって通電を行う際、天候の変化や蒸発等が原因で設定水位が変動するような場合であっても、現地に作業員やオペレータを常駐させることなく、透水管内の水位を設計水位に維持してイオン性汚染物質を確実に回収することが可能となる。
【0076】また、請求項2に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、請求項1の効果に加えて、陰極側透水管の水位が、陽極側透水管の水位よりも一定の水位差だけ高く維持されるので、電気浸透によって土中水を陰極に流そうとする圧力は、かかる水位差で相殺されることとなり、かくして、陰イオンを電気浸透による圧力に妨げられることなく、電気泳動によってスムーズに陽極側に移動させることができるという効果も奏する。
【0077】また、請求項3に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、請求項1の効果に加えて、陽極側透水管の水位が、陰極側透水管の水位よりも一定の水位差だけ高く維持されるので、陽イオン汚染物質は、電気浸透による圧力及び電気泳動による圧力と相まって、陽イオンをスムーズに陰極側に移動させることができるという効果も奏する。
【0078】また、請求項4に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、請求項3の効果に加えて、陽イオンが陰極近傍で水酸化物を形成して沈殿し、その結果、陰極側からの回収が不能となるといった事態を回避することができるという別の効果も奏する。
【0079】また、請求項5に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、請求項4の効果に加えて、酸性溶液の供給が自動化され、陽イオンを効率よく回収可能なpH状態を長期にわたって簡単かつ確実に維持することが可能となるという効果も奏する。
【0080】また、請求項6に係る本発明の汚染地盤浄化システムによれば、請求項1の効果に加えて、土質性状や水分の蒸発状況が場所によって異なり、そのために透水管ごとに給排水速度が異なるような場合であっても、各透水管内の水位を所望の水位に個別に維持することが可能となるという効果も奏する。
【0081】
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成9年(1997)6月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
【公開番号】 特開平11−5077
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−175313