トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染土壌洗浄工法
【発明者】 【氏名】大木 孝
【氏名】田中 武
【課題】六価クロム・カドミゥムなどの重金属やトリクロロエチレン・テトロクロロエチレン等の発癌性物質による地盤並びに土壌の汚染は現在国民生活に与える深刻な問題となつっている。本工法はこのような汚染された土壌および地下水を現場において洗浄浄化し、復元する工法である。

【解決手段】本工法は土木工事などでよく用いられている機械・装置などを用いて、対象とする汚染された地盤中に、多量の水を送り込み、その際に粘土地盤などに対しては強制攪拌などによってその構造等を破壊し、地盤・土壌中に捕捉されている汚染地下水や汚染物質を解放し、協力な揚水ポンプによって地上に汲み上げて処理するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】揮発性有機塩素化合物などの汚染物質を含んだ土壌・地盤を洗浄、浄化するため、地盤を機械的またはジェット水流による高圧噴射により攪拌し、土の組織や構造を切削分断して、汚染物質が溶液またはガスの形で地盤中を流動し易くし、ポンプなどの揚排水機によって地上に排出させる工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】六價クロム・水銀・カドミゥムなど重金属類による土壌汚染についてはかなり以前から問題とされていたが、近年にいたりトリクロロエチレン・テトラクロロエチレンなどの、発癌性のある揮発性有機塩素化合物による汚染土壌事象がクローズアップされ、これら汚染土壌の浄化、除去処理作業は環境整備事業の内でも最も重要な課題の一つとなっている。本装置はこの課題を解決する目的で開発したもので、自然環境の保全、汚染防止上に大きな効果を発揮するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、こうした汚染土壌に対してとられた対策としては、コンクリートなどで固化して土中に封じ込めるとか、汚染部の土を掘り起こして焼却するなどの方法が用いられた。最近では揮発性有機塩素化合物による汚染土などに対して、真空抽出工法により汚染物質を分離抽出して処理する方法などが比較的多く用いられているが、この方法は対象地盤が砂質地盤の場合には一応有効であるが、粘性土地盤のような透気性も透水性も悪い地盤においてはその特有の団粒構造・蜂の巣構造あるいは綿毛構造によって捕捉されて、一部は溶液の状態で残部はガスのじょうたいで滞留し、容易に分離排出されないという欠点がある。
【0003】また最近では生石灰などを土中に送り込み、地盤中に含まれている汚染物質を気化してガス状にして抽出する方法も開発されているが、この工法によっても粘性土のような強固な構造を有する土においてはあまり有効ではなく、かえって生石灰が土と結合して生ずる固結土のために地盤中に、局部的に非透気性・不透水性部分を造成することになる。さらに、生石灰の主成分であるCa(OH)によって地盤がアルカリ性となることともあいまって、地下水や酸素などをはじめ、地中動物・微生物類の流通・運動を遮断するので、生態系に影響を与えることも考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本工法は揮発性有機塩素化合物だけを対象とするものではないが、現下の情勢において最も緊急を要すると思われるのは、トリクロロエチレンやテトロクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による汚染土壌の処理の問題であるから、以下主としてこれら揮発性有機塩素化合物を例にとって説明する。これらの物質は通常気体または液体で、土壌間に在るときには土の粒子間に浸透し、多くは帯水層の付近の砂層および粘性土層中に存在し、地下水を汚染する。ところが砂層においては粒子の径が概して大きく、粒子間の間隙もまた大きいため透水性が良いが、粘性土の場合には個々の粒子が小さい上に、それらの粒子が数多く集合して、蜂の巣状や綿毛状の構造を作っており、これらの構造の中に地下水や汚染物質が捕捉されているため、地下水を汲み出すこと(揚水、排水)も、汚染物質を抽出することも、砂質地盤のように容易ではない。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し、揮発性有機塩素化合物などによって汚染されている土壌からそれらの汚染物質を地下水とともに排出するための方法は、次のように2段階に分けて行なう。第1段階……地盤の切削によって土の粒子や構造を分断破壊し、その中に取り込まれている湾染物質および地下水を開放し、動き易くする。特に粘性土地盤においては強固な構造によって拘束されているため、この段階は重要である。第2段階……前段階によって動き易くなった汚染物質(液状またはガス状)を地下水と一緒に地上に排出する。
【0006】第1段階の具体的な方法としては、機械的な切削攪拌や、高圧噴射水流の衝撃エネルギーによる切削攪拌の方法によるものであり、これらの個々の技術は既に土木の地盤改良工の分野において広く用いられているものであるが、本工法においては地盤改良工の場合におけるようにセメント類やグラウト類の注入や噴射・圧入を行なわないため、施工周辺地域における生態系への影響を与えることはない。次に第2段階の方法としては揚水ポンプを用いるものである。本工法はこの2通りの技術を組み合わせたもので、個々の技術はいずれも十分に周知のもので多くの経験を積んだものである上に、地盤改良工の場合と異なり、セメント類やグラウト材などの異物の注・圧入がないため残土の発生や側方への変位・影響も生じることがない。
【0007】本工法の装置は、上記の第1段階の切削攪拌機能、および第2段階のポンプ揚水機能のそれぞれを有する装置を一体として備えるものである。その種類には下記に挙げるように各種のものがある。
(1)攪拌軸1軸でその周囲に固定攪拌翼を有する機械攪拌様式によるもの。
(2)攪拌軸2軸で各軸の周囲に固定攪拌翼を有する機械攪拌様式によるもの。
(3)回転式ケーシング1軸で水ジェット噴射攪拌様式によるもの。
(4)回転式ケーシング2軸で水ジェット噴射攪拌様式によるもの。
以下それぞれについて説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(1)攪拌軸1軸でその周囲に固定攪拌翼を有する機械攪拌様式によるもの。……本様式の装置は攪拌軸の下端部に攪拌翼を有し、軸の下端より1.0m程度上にポンプを内蔵し、ポンプの下部付近にはストレーナーを設ける。攪拌軸を回転させると、攪拌翼は水を噴射しながら回転して周辺地盤を機械的に攪拌する。これにより周辺の地盤の組織や構造を分断・切削して水分子を開放し、汚染物質を溶かした溶液も地下水と一緒にやや上部に設けられたポンプに吸い込まれて排水管を経て地上に排出される。
(2)攪拌軸2軸で各軸の周囲に固定攪拌翼を有する機械攪拌様式によるもの。……本様式の装置においては2本の攪拌軸はそれぞれその下端部に攪拌翼を有している。攪拌軸を回転させると攪拌翼は水を噴射しながら回転して周辺地盤を機械的に攪拌して、その組織や構造を分断・切削する。排水ポンプは2本の攪拌軸の中間に設けたケーシングのほぼ下端に、攪拌翼の位置より約1.0m上部の位置に設け、周辺地盤中の地下水および汚染物質溶液を排出する。
(3)回転式ケーシング1軸で水ジェット噴射攪拌様式によるもの。……本様式の装置では回転軸ケーシングの下端部に横向きに設けたノズルを、また下端部から約1.0m上にはポンプを内蔵する。軸を所定の深度まで掘削降下させ、回転させながら、下端部のノズルから高圧によって超高速水流を噴射させ、軸周辺の地盤を切削し、その組織や構造を分断破壊して水分子を開放し、汚染物質の溶液とともにポンプにより排水され排水管を経て地上に排出される。
(4)回転式ケーシング2軸で水ジェット噴射攪拌様式によるもの。……本様式の装置においては2本の回転軸ケーシングの下端部にそれぞれ横向きにノズルを設け、所定の深度まで掘削降下させ、回転させながらノズルから高圧によって超高速水流を噴射させ、軸周辺の地盤を切削しその組織および構造を分断破壊する。排水ポンプは2本の回転軸ケーシングの中間に設けた排水ケーシングのほぼ下端に、ノズル位置より約1.0m上部の位置に設け、周辺地盤中の地下水および汚染物質溶液を排出する。
【0009】
【発明の効果】本工法ならびに装置によって、汚染地盤中に含まれている揮発性有機塩素化合物類などの汚染物質は、溶液およびガスの形で地下水と一緒に汲み上げられ、汚染土壌は洗浄・浄化される。しかも使用する装置などは土木工事等において従来からよく用いられているもので信頼性も高いものである。その上地中に注入するのは水だけでセメントや石灰などの化学物質を含まないため、土の生態系保全の点においても無害である。
【出願人】 【識別番号】597101890
【氏名又は名称】大木 孝
【識別番号】597101904
【氏名又は名称】田中 武
【出願日】 平成9年(1997)6月13日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−647
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−191723