トップ :: B 処理操作 運輸 :: B09 固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生

【発明の名称】 汚染土壌の処理方法
【発明者】 【氏名】鐙屋 三雄
【氏名】黒川 隆史
【氏名】泉川 千秋
【課題】重金属及び/又はシアン化合物で汚染されている土壌を安定且つ確実に浄化すると共に経済的にも安価に実施できる処理方法の提供を目的とする。

【解決手段】重金属及び/又はシアン化合物による汚染土壌に、安価に入手が可能な水溶性の塩化第1鉄等の鉄塩また硫酸銅等の銅塩を好ましくは水溶液状態で添加して混合する第1工程、次いで、該第1工程で処理した土壌を、好ましくは200℃以上の温度で、加熱処理に供する第2工程とからなり、上記重金属及び/又はシアン化合物を安定した不溶性のものとして固定する汚染土壌の浄化処理方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重金属及びシアン化合物のうち少なくとも一方により汚染された土壌に水溶性の鉄塩又は銅塩を添加混合する第1工程と、次いで、該第1工程で処理した土壌を加熱処理に供する第2工程からなることを特徴とする汚染土壌の処理方法。
【請求項2】 前記加熱処理における加熱温度を200℃以上とすることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属及び/又はシアン化合物(重金属及びシアン化合物のうち少なくとも一方)で汚染された土壌の浄化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業活動の活発化や都市開発の進展に伴い、新たな化学物質による環境汚染の懸念や急増する廃棄物の処理問題に関連して過去の蓄積した有害物質を含む土壌汚染の存在がクローズアップされて来ている。そしてこれらの汚染された土壌については国の定める「土壌環境基準」等に従って処理することが必要とされるようになっている。
【0003】鉛等重金属やシアン化合物に汚染された土壌を修復して浄化する手段としては、汚染土壌を洗浄して重金属やシアン化合物を水又は酸もしくはアルカリに溶解させ、固液分離してから水処理槽で化学的に浄化し除去する方法あるいは汚染土壌を高温度で焼却してシアン化合物を分解させる方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の処理法の場合、処理時に汚染土壌中の全ての重金属やシアン化合物が水又は酸もしくはアルカリで十分溶出されるとは限らず、また、汚染土壌を高温度で焼却してシアン化合物等を分解させる処理を行う場合、莫大な費用を要する他、土壌の強度が高熱処理により低下するので、処理土壌をそのまま再利用できるとは限らなかった。
【0005】本発明は、上記のような状況に鑑み、重金属及び/又はシアン化合物で汚染されている土壌を安定且つ確実に浄化すると共に経済的にも安価に実施できる処理方法の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するべく、重金属及び/又はシアン化合物により汚染された土壌に水溶性の鉄塩及び/又は銅塩を添加混合する第1工程と、次いで、該第1工程で処理した土壌を加熱処理に供する第2工程からなる汚染土壌の処理方法を、また、前記加熱処理の温度を200℃以上とする汚染土壌の処理方法を提供するものであり、添加された鉄塩及び/又は銅塩はこの加熱処理で不溶化される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の処理対象とする汚染土壌は、重金属及び/又はシアン化合物により汚染されている土壌であって、重金属としては、クロム、マンガン、カドミウム、鉛、ヒ素、アンチモン等一般の重金属であり、シアン化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属等のシアン化物であって、人の健康に係る水質環境において有害とされるものである。
【0008】本発明方法は、第1工程では、先ず最初に処理対象土壌に、水溶性の2価又は3価の鉄塩及び/又は2価の銅塩を添加混合する。添加する鉄塩としては、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第1鉄、塩化第2鉄さらに硝酸第1鉄、硝酸第2鉄等があり、また、銅塩としては、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅等があり、水溶性であればいずれでも使用可能である。また、このような鉄塩や銅塩は、比較的安価に入手可能なものであるが、産業廃棄物でもある鉄系または銅系のメッキ廃液やエッチング廃液等を利用することも可能であり、この場合、さらに処理原価の低減化が可能となる。
【0009】これら鉄塩や銅塩の土壌への添加は、固体塩のままの直接添加でも可能であるが、添加混合が容易な水溶液状態での添加が好ましい。
【0010】これら鉄塩や銅塩の添加量は、処理対象とする土壌の重金属及び/又はシアン化合物の含有量、溶出特性そして第2工程での加熱温度と加熱時間が重要な要因となり、一律には決定できないが、例えば、後記の実施例−1において示す土壌(含有量:CN=34.0ppm 、Pb=326ppm、pH約6の水に対する溶出量:CN=0.53mg/l、Pb=0.07mg/l)を、第2工程において 350℃で30分加熱処理する場合には、第1工程での鉄塩及び/又は銅塩の添加量は以下の通りとなる。すなわち、鉄塩又は銅塩を単味で添加する場合には、Fe又はCuとして100ppm、鉄塩と銅塩を混合添加する場合には(Fe+Cu)の合計で100ppmになるように配合添加すれば、その効果があらわれ、好ましくは250ppm以上となるように添加すれば、特に、シアン化合物が易溶性となる高アルカリ領域においても、水への溶出を完全に阻止することが可能となる。
【0011】第2工程では、第1工程終了後の処理土壌に対して加熱処理を行うが、加熱温度は高温度の必要はなく、比較的低温度で足りる。例えば、後記の実施例1に示すように、 200℃台で不溶化効果が確認できるが、 200℃以下においても既にその不溶化傾向が認められ、 300℃以上では完全に不溶化の達成が認められる。また、例えば、 500℃以上のような高温加熱は、エネルギーコストや設備費の点から無駄であり、さらに、処理土壌の変質等の点からも得策でないと考えられる。
【0012】また、この加熱処理は、処理土壌が多量であっても、例えば、汚泥の乾燥焼却や塵芥の乾燥等に使用されている回転焼却炉により好適に実施できる。
【0013】なお、本発明の処理方法において、鉄塩や銅塩の添加及び加熱処理により、重金属又はシアンの、あるいは同時的な重金属及びシアンの化学的不溶態化が行われると共に、さらなる安定化が行われるものであるが、そのメカニズムについては未だ明らかでない。
【0014】
【実施例1】金属表面処理工場の汚染土壌を対象に、本処理法効果の温度依存性を調査した。なお、溶出試験は、環境庁告示第46号(平成3年8月23日告示)に掲げる土壌環境基準に係る土壌中重金属の溶出量分析方法に準じて行った。
【0015】
(1) 風乾した処理対象汚染土壌の特性 汚染物含有量:CN=34.0ppm Pb=326ppm 溶出試験結果:CN=0.53mg/l Pb=0.07mg/l pH=9.12(2) 処理条件 Fe及びCu添加量(対土壌):Fe++ =100ppm Cu++ =250ppm 使用塩 :硫酸第1鉄 及び 硫酸銅 試料調製方法 :処理土壌重量の10%相当の純水(予め 塩酸によりpH=5.8 〜6.3 に調整)に 所定量の塩を溶解し、添加混練し、一昼 夜風乾に供する。
加熱処理温度 :200,250,300 及び 350℃ 加熱処理時間 :30分 土壌処理量 :100 g/回 処理炉 :反応石英管内蔵の割型炉 空気流量 :2 l/分 (片入れ片出し方式) (3) 処理土壌の溶出試験の結果を表1に示した。
【0016】
【表1】

【0017】
【比較例1】実施例1と同じ土壌について、FeとCuの添加がない外は処理条件を同じとして溶出特性を調べた。処理土壌の溶出試験の結果を表2に示した。
【0018】
【表2】

【0019】以上の実施例1及び比較例1より、本発明方法によれば、200 ℃台で明らかに不溶化の効果が認められ、300 ℃以上では、CN及びPbも共に不溶化されることが理解される。
【0020】
【実施例2】本実施例では、特にCNの安定化状況を把握する目的で、同一試料を繰り返し5回溶出試験に供して、その水に対する溶出性を調べた。なお、溶出試験に供した試料は、実施例1に示した条件で処理したものである。試験結果を表3に示した。
【0021】
【表3】

【0022】
【比較例2】実施例2と同様であるが、試料として処理対象土壌を未処理状態で、繰り返し5回溶出試験に供した。試験結果を表4に示した。
【0023】
【表4】

【0024】すなわち、CNは安定した不溶状態で固定されていることがわかる。
【0025】
【実施例3】本処理方法におけるFe及び/又はCuの種々添加配合を変えた場合についてCN溶出特性を調べた。加熱処理条件は、各回一律に、温度 350 ℃、時間 30分とした。なお、本実施例では、環境庁告示第46号の掲げる溶出試験の他に、NaOH=40g/l (理論pH=14)の高濃度アルカリ水を用いた溶出試験(手順は環境庁告示第46号に掲げる方法に準ずる)も併せて行った。試験結果を表5に示した。
【0026】
【表5】

【0027】以上の結果から、Fe及び/又はCuの種々配合においてもCNの不溶化効果が確認され、さらに、Fe++=100ppmとCu++=250ppmを共に添加したロットは、CNが易溶性となる高アルカリ領域においても、0.01mg/l以下を示し、不溶化効果は完全なものであった。
【0028】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、処理対象土壌に入手が容易な水溶性の鉄塩及び/又は銅塩を微量添加し、好ましくは 200℃以上の温度で、加熱処理するだけで、例えば、重金属がPbであれば0.01mg/l以下に、また、シアン化合物であれば全CNとして0.01mg/l以下にまで水への溶出を低減できる等、重金属及び/又はシアン化合物の溶出を実質的に完全に阻止可能とする経済性に優れた汚染土壌の浄化処理方法を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000224798
【氏名又は名称】同和鉱業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 政彦
【公開番号】 特開平11−646
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−170935