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【発明の名称】 超音波ホーン
【発明者】 【氏名】伊藤 正也

【氏名】堀田 信行

【氏名】田中 智雄

【要約】 【課題】耐摩耗性が高いだけでなく、使用中に破損等が生じにくく、耐久性に優れた超音波ホーンを提供すること。

【解決手段】超音波ホーンは、基体1の先端部2に嵌合面11が形成され、この嵌合面11に設けられた嵌合孔13に、硬質部材であるセラミックチップ3が圧入されている。そして、セラミックチップ3の側面のうち、基体1から突出している太い径の部分3fに対して、嵌合面11に沿って剪断応力を加える。つまり、超音波ホーンの基体1及びセラミックチップ3を水平に配置し、セラミックチップ3の側面に対して、嵌合面11に平行にプレート19を当てる。この状態で、プレート19に対して矢印A方向に荷重を加えて、セラミックチップ3が破断するまでの剪断強度を測定すると、剪断強度は175MPa以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属からなる基体の先端部の側面に、超音波による作業を行なう硬質部材を取り付けた超音波ホーンにおいて、前記基体と前記硬質部材との結合部分における基体表面に沿った剪断強度が、50MPa以上であることを特徴とする超音波ホーン。
【請求項2】 前記剪断強度が、100MPa以上であることを特徴とする前記請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項3】 前記基体に前記硬質部材をろう付け接合した超音波ホーンであって、その接合面における最長方向の寸法が、前記硬質部材の高さの寸法より大きいことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の超音波ホーン。
【請求項4】 前記基体の金属が、ロックウエル硬さ40以上であることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の超音波ホーン。
【請求項5】 前記硬質部材が、主として窒化珪素からなることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の超音波ホーン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波穿孔機、超音波圧搾機、超音波かしめ機、超音波半田付機、超音波切断機などの超音波加工機や、超音波洗浄機、超音波攪拌機などに用いられる超音波ホーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の超音波ホーンとしては、鋼製、チタン合金製、アルミニウム合金製のものが知られており、超音波加工用或は超音波洗浄用に用いる場合は、ホーンの先端部(実際に作業を行なう部分)は、耐摩耗性、耐エロージョン性を備えていることが要求される。そのため、鋼製のホーンでは、焼き入れ、硬化処理が施されており、またチタン合金製のものにおいても、窒化処理などの硬化処理が施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】更に、近年では、ホーンの先端部の耐摩耗性を向上させるために、ホーンの先端部に超硬合金からなる硬質部材を接合したもの(特表平2−504487号公報参照)が提案されているが、使用中に破損等が生じることがあり、必ずしも十分ではない。
【0004】本発明は上記の問題点を鑑みて提案されたもので、耐摩耗性が高いだけでなく、使用中に破損等が生じにくく、耐久性に優れた超音波ホーンを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための請求項1の発明は、金属からなる基体の先端部の側面に、超音波による作業を行なう硬質部材を取り付けた超音波ホーンにおいて、基体と硬質部材との結合部分における基体表面に沿った剪断強度が、50MPa以上であることを特徴とする超音波ホーンを要旨とする。
【0006】本発明では、基体と硬質部材との結合部分における基体表面に沿った剪断強度が、50MPa以上であるので、超音波による作業を行った場合に、硬質部材が破損しにくく、耐久性に優れている。
・ここで、超音波による作業を行なう硬質部材(例えばセラミックチップ)とは、超音波による作業を行なう固体や液体に対して直接的に(又は間接的に)作用して、超音波加工や攪拌などを行なう部材である。
【0007】・また、硬質部材を基体の先端部に取り付ける方法としては、ろう材により、先端部の側面に硬質部材を接合するろう付けや、硬質部材を基体の先端部に設けた嵌合孔に嵌合させて応力によって結合する方法、例えば圧入、焼き嵌め、冷し嵌めなどを採用できる。従って、前記結合部分とは、ろう付の場合は接合部分であり、嵌合の場合は嵌合部分である。
【0008】・更に、超音波ホーン全体の形状としては、その基端部を太くし、先端部を細くしたものを採用できる。また、この形状とは別に、基端部と先端部との材質を違えることによって、所望の振動特性を得られるようにしてもよい。
・また、超音波ホーンの先端部の形状としては、円柱形、角柱形等を採用でき、先端部の側面に硬質部材を取り付けることができる形状であれば、特に限定はない。
【0009】請求項2の発明は、剪断強度が、100MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の超音波ホーンを要旨とする。本発明では、基体と硬質部材との結合部分における基体表面に沿った剪断強度が、前記請求項1より大きく、100MPa以上であるので、より破損しにくく、更に耐久性に優れている。
【0010】請求項3の発明は、基体に硬質部材をろう付け接合した超音波ホーンであって、その接合面における最長方向の寸法が、硬質部材の高さの寸法より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波ホーンを要旨とする。
【0011】本発明は、基体に硬質部材をろう付けしている。そして、その接合面における最長方向の寸法が、硬質部材の高さの寸法より大きいので、超音波による作業を行った場合に、硬質部材が破損しにくく、耐久性に優れている。ここで、接合面における最長方向の寸法とは、例えば硬質部材が円柱状である場合には直径であり、角柱状である場合には対角線の長さである。また、高さとは、接合面より基体の外側に向けて突出する硬質部材の寸法(即ちどれほど突出しているかを示す値)である。尚、基体の凹部に硬質部材が配置されてろう付けされている場合には、凹部以外の基体表面からの高さを硬質部材の高さとする。
【0012】請求項4の発明は、基体の金属が、ロックウエル硬さ40以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波ホーンを要旨とする。本発明では、基体の金属(例えば鋼)のロックウエル硬さが40以上であり、十分に硬いので、基体が振動した場合でも、振動損失が少なく、基体自身が発熱し難い。それにより、超音波振動子に対する熱の影響を低減できる。
【0013】請求項5の発明は、硬質部材が、主として窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超音波ホーンを要旨とする。この窒化珪素を主成分とする硬質部材は、優れた耐熱性、耐摩耗性、靱性を備えているので、好ましいものである。
【0014】尚、前記硬質部材の材料としては、前記窒化珪素(Si34)以外に、例えば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、炭化珪素(SiC)、サイアロン(Sialon)、又はこれらの複合部材、或は超硬、サーメット等の周知の硬質材料が使用可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の超音波ホーンの実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例1)本実施例の超音波ホーンは、ホーン本体(基体)の先端部の側面に、圧入によりセラミックチップを結合したものである。
【0016】a)まず、本実施例の超音波ホーンの構成について説明する。図1に示す様に、本実施例の超音波ホーンは、中間部分から先端に向かって細く形成された円柱状の基体1と、基体1の細い先端部2に取り付けられた硬質部材であるセラミックチップ3とから構成されている。
【0017】前記基体1は、JIS SNCM630の鋼からなり、セラミックチップ3は、窒化珪素を主成分とする材料からなる。尚、セラミックチップ3の材料は、主成分の窒化珪素90重量%に、Al23、Y23、TiNが適量添加された材料である。
【0018】このうち、基体1は、図示しない超音波振動子が取り付けられる断面円形の基端部(直径20mm×長さ30mm)4と、基端部4から徐々に径が小さくなる断面円形の中間部(直径20〜15mm×長さ20mm)6と、セラミックチップ3が取り付けられている先端部(直径12.5mm×長さ15mm)2とからなる。この基体1は、全体が焼き入れされて、その硬度は、ロックウエル硬度(HRC)48となっている。
【0019】尚、基端部4の軸中心には、その端面側4aに開口する第1孔7aが設けられ、そ側面4bには、等間隔に第2孔〜第4孔7c〜eが設けられている。また、前記先端部2には、図1の上下方向の側面がカットされて、平面状とされた側面11,12が形成されている。このうち、一方の側面(嵌合面)11には、図2に基体1のみを示す様に、セラミックチップ3が嵌合される嵌合孔(直径4.98mm×深さ5mm)13が、基体1の軸と直交する様に設けられている。
【0020】一方、図1に示す様に、セラミックチップ3は、軸方向の長さが8.25mmの断面円形の部材であり、先端部2の嵌合面11からは、3.25mmの高さに突出している。このセラミックチップ3では、図3(a)に示す様に、嵌合孔13に嵌合される嵌合部3aの径(直径5mm)は、嵌合面11から突出する先端側の加工部3bの径(直径3.5mm)よりも大きくされている。また、セラミックチップ3の圧入側の底面3eの周囲には、1mmのR加工が施してある。
【0021】尚、本実施例では、嵌合孔13に対してセラミックチップ3の嵌合部3aを圧入するので、嵌合部3aの直径は、嵌合孔13の直径よりわずかに大きく、例えば0.01〜0.02mm大きく設定されている。また、セラミックチップ3の先端面3cには、図3(b),(c)に示す様に、ローレット加工が施してある。このローレット加工とは、複数の溝3dを直交させてメッシュ状にしたものであり、溝3dのピッチは0.2mm、深さは0.1mm、外側に開く角度は90度であって、溝3dの底部には半径0.15mmのR加工が施してある。尚、図3(a)に示す様に、先端面3cの周囲は面取りされている。
【0022】b)次に、本実施例の超音波ホーンの製造方法について説明する。まず、基体1となる鋼の棒材(図示せず)に対し、金属切削用のバイト及び旋盤を使用して、基端部4から先端部2までを切削加工した。それとともに、先端部2の両側面を平面状に切削して、嵌合面11及びその反対側の側面12を形成した。
【0023】次に、先端部2の平面状の嵌合面11に、ドリルで穴を開けて嵌合孔13などを形成した。これにより、前記図2に示す形状の基体1を完成した。また、これとは別のセラミックチップ3の製造工程にて、例えば粉末の窒化珪素等の材料を、成形した後に焼結して、セラミックチップ3を製造した。
【0024】そして、このセラミックチップ3に対して、その底面3eの周囲にR加工を施して、周囲を丸くした。また、セラミックチップ3の作業面3cの外周に面取りを施した。更に、作業面3cに対して、ダイヤモンド砥石により複数の溝3dを形成することによりローレット加工を施した。
【0025】次に、セラミックチップ3の外周部分及び基体1の嵌合孔13の内側に、滑剤としてステアリン酸のエマルジョンを塗布し、セラミックチップ3の嵌合部3aを基体1の嵌合孔13内に圧入する。その後、350℃に加熱して滑剤を飛ばした。
【0026】これにより、セラミックチップ材3は基体1と機械的な応力によって結合され、図1に示す超音波ホーンを完成した。
c)次に、本実施例に超音波ホーンの剪断強度の測定方法について説明する。図4に示す様に、セラミックチップ3の側面のうち、基体1から突出している太い径の部分3fに対して、嵌合面11に沿って剪断応力を加える。
【0027】具体的には、超音波ホーンの基体1及びセラミックチップ3を水平に配置し、セラミックチップ3の側面に対して、嵌合面11に平行に工具鋼製のプレート19を当てる。このプレート19の先端側は、セラミックチップ3の側面形状に合わせて湾曲している。
【0028】この状態で、プレート19に対して、荷重速度1mm/minで矢印A方向に荷重を加えて、セラミックチップ3が破断するまでの剪断強度を測定した。その結果、350kgの荷重でプレート19が斜めになり、セラミックチップ3のエッジが欠けたため試験を測定を終了した。尚、この測定により、プレート19の先端部も大きく変形した。
【0029】従って、この時の剪断強度は、9.8×350/(2.5×2.5×π)=175MPa以上と計算される。
d)次に、本実施例の効果を確認するために行った実験例について説明する。本実施例の超音波ホーンの完成品を、超音波溶接機に取り付け、厚さ0.5mm×幅10mm×長さ50mmの銅板同士を溶接した。
【0030】溶接条件は、先端の振幅を25μm、荷重100kg、荷重負荷時間1秒、超音波印加時間0.5秒、超音波周波数40kHzとした。この溶接により、銅板同士は強固に接合された。また、セラミックチップ3には異常は認められなかった。
【0031】そして、この超音波ホーンの耐久性を調べるために、同様な溶接を200回繰り返した。その結果、200回同様な溶接を行なっても、セラミックチップ3に破損等の異常は見られなかった。この様に、本実施例の超音波ホーンでは、基体1の先端部2の側面に設けられた嵌合孔13に、セラミックチップ3が圧入されて結合されており、その剪断強度は175MPaと非常に大きなものである。
【0032】そのため、例えば溶接などの作業を好適に行なうことができるとともに、作業中にセラミックチップ3の破損などが生じにくく、耐久性に優れている。また、セラミックチップ3の嵌合面11における断面の直径は5mmであり、一方、嵌合面11から突出するセラミックチップ3の高さは3.25mmであり、その直径の方が高さより寸法が大きいので、この点からも破損が生じにくいという利点がある。
【0033】更に、基体の金属が、ロックウエル硬さ48と硬いので、振動損失が少なく、基体自身が発熱し難い。それにより、超音波振動子に対する熱の影響を低減できる。その上、セラミックチップ3が、主として窒化珪素からなるので、優れた耐熱性、耐摩耗性、靱性を備えている。
(実施例2)次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0034】本実施例の超音波ホーンは、前記実施例1とはセラミックチップの形状が多少異なる。
a)図5に示す様に、本実施例の超音波ホーンに使用されるセラミックチップ20は、嵌合部20aに、底部20bから3mmの位置から2mmの幅にて、径の小さなくびれ部分20cを有するものである。尚、他の寸法は前記実施例1と同様である。
【0035】そして、このセラミックチップ20を、前記実施例1と同様な基体(図示せず)に圧入して、超音波ホーンを製造する。
b)そして、この超音波ホーンの効果を確認するための実験を行った。ここでは、下記表1に示す様に、くびれ部分の直径を変更した実施例の試料No.1〜5を作成し、前記実施例1と同様にして剪断強度を測定した。尚、剪断強度の測定は、プレートの破損を考慮して、荷重が300kgを越えた時点で終了とした。
【0036】また、超音波ホーンによる溶接の状態を調べる溶接性の観察を行った。更に、チップのカケの状態を調べる耐久性を、良好な溶接が可能な溶接回数により調べた。尚、溶接性が良好とは、強固に接合しており人が力を加えても剥がれ等が生じない状態を示す。その結果を同じく下記表1に記す。
【0037】一方、比較例として、嵌合部のくびれ部分の大きなセラミックチップを作成し、これを基体に圧入して、比較例の超音波ホーン(試料No.5)を作成した。そして、この超音波ホーンに対して、前記実施例1と同様にして剪断強度を測定した。また、同様に溶接性及び耐久性を調べた。その結果を同じく下記表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】この表1から明かな様に、本実施例の超音波ホーン(試料No.1〜5)は、剪断強度が50MPa以上であるので、溶接性が良好であり、溶接回数も10回以上と多い。そのため、例えば溶接などの作業を好適に行なうことができるとともに、作業中にセラミックチップ20の破損などが生じにくく、耐久性に優れている。特に、剪断強度が100MPa以上のものは、溶接回数が200回以上でもセラミックチップ20に破損等が見られず、一層耐久性に優れている。
【0040】それに対して比較例のもの(試料No.6)は、剪断強度が40MPaであるので、溶接1回でセラミックチップが破損して溶接できず、好ましくない。
(実施例3)次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0041】本実施例の超音波ホーンは、基体の先端部の側面に、ろう付けによりセラミックチップを接合したものである。
a)まず、本実施例の超音波ホーンの構成について説明する。図6に示す様に、本実施例の超音波ホーンでは、基体21は、JIS SNCM630からなり、その構造及び寸法は、前記実施例1とほぼ同様である。
【0042】本実施例では、先端部22の側面には、セラミックチップ23をろう付けするために、平面状の基体側接合面24が形成されているが、この基体側接合面24には、嵌合孔が形成されていない。一方、セラミックチップ23は、前記実施例1と同じく、窒化珪素を主成分とするものであるが、その形状が多少異なる。
【0043】つまり、図7に示す様に、セラミックチップ23は、高さ3.25mmの断面円形の部材であり、その基台23aの底面、即ち基体側接合面24に接合されるチップ側接合面23bの径(直径5mm)は、セラミックチップ23の先端側の加工部23cの径(直径3.5mm)よりも大きくされている。
【0044】尚、セラミックチップ23の先端面23dには、前記実施例1と同様なローレット加工及び面取りが施されている。
b)次に、本実施例の超音波ホーンの製造方法について説明するが、ここでは、ろう付け方法について説明する。
【0045】セラミックチップ23のチップ側接合面23bに、真空蒸着により、セラミック側から順に、厚さ0.2μmのチタン、厚さ0.2μmのモリブデン、厚さ2μmの銅の膜を形成した。次に、下記表1に示す実施例の寸法で、Ag72重量%、Cu28重量%からなるろう材を準備し、基体側接合面24とチップ側接合面23bとの間にろう材を挟み、アルゴン中で830℃に加熱して、ろう付けを行った。
【0046】その他の製造手順は、前記実施例1とほぼ同様にして、本実施例の超音波ホーンを完成した。
c)次に、本実施例の効果を確認するために行った実験例について説明する。本実施例の超音波ホーン(試料No.7〜9)に対する剪断強度の測定は、前記実施例1と同様にして行った。その結果を下記表2に記す。尚、剪断強度の測定は、プレートの破損を考慮して、荷重が300kgを越えた時点で終了とした。
【0047】更に、前記実施例1と同様にして、溶接を行ない、その溶接の状態を調べる溶接性の観察を行うとともに、チップのカケの状態を調べる耐久性を溶接回数により調べた。その結果を同じく下記表2に記す。また、ろう材の寸法を違えて作成した比較例の超音波ホーン(試料No.10,11)に対しても、同様な実験を行ない、その結果を同じく表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】但し、試料No.7,8は、荷重300kgで終了。試料No.11は、ローレット加工時に接合部分で破損。この表2から明かな様に、本実施例の超音波ホーン(試料No.7〜9)は、基体21の先端部22の側面に設けられた基体側接合面24にて、セラミックチップ3が強固にろう付けされており、その剪断強度は135MPa以上と大きなものである。
【0050】そのため、例えば溶接などの作業を好適に行なうことができるとともに、作業中にセラミックチップ23の破損などが生じにくく、耐久性に優れている。また、本実施例においても、セラミックチップ23のチップ側接合面23bの直径は5mmであり、一方、セラミックチップ3の高さは3.25mmであり、その直径の方が高さより寸法が大きいので、この点からも破損が生じにくいという利点がある。それ以外にも、前記実施例1と同様な効果を奏する。
【0051】尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の態様で実施できるのは勿論である。
(1)例えば前記実施例1〜3では、同じ金属で基体を作成したが、必要な機能を発揮する限りでは、異なる金属を結合(又は接合)させて基体を作成してもよい。
【0052】(2)また、セラミックチップの形状に関しては、他の形状であっても、超音波による作業が可能で、接合面(又は嵌合面における断面)の最長の長さがその高さより長いものであれば好適である。例えば図8に示す様に、長方形の基台31の一端から上方に突出する形状のセラミックチップ32を用いることができる。この場合は、基台31の対角線の長さが、セラミックチップ32の高さより高く設定されている。
【0053】
【発明の効果】以上詳述した様に、請求項1の発明では、基体とセラミックチップとの結合部分における基体表面に沿った剪断強度が、50MPa以上であるので、超音波による作業を行った場合に、セラミックチップが破損しにくく、耐久性に優れている。
【0054】請求項2の発明では、剪断強度が100MPa以上であるので、より破損しにくく、更に耐久性に優れている。請求項3の発明では、ろう付けされる接合面における最長方向の寸法が、セラミックチップの高さの寸法より大きいので、超音波による作業を行った場合に、セラミックチップが破損しにくく、耐久性に優れている。
【0055】請求項4の発明では、基体の金属が、ロックウエル硬さ40以上であるので、振動損失が少なく、基体自身が発熱し難い。それにより、超音波振動子に対する熱の影響を低減できる。請求項5の発明は、セラミックチップが、主として窒化珪素からなるので、優れた耐熱性、耐摩耗性、靱性を備えている。
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【公開番号】 特開平11−123364
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−288596