トップ :: B 処理操作 運輸 :: B06 機械的振動の発生または伝達一般




【発明の名称】 超音波装置
【発明者】 【氏名】アラン ジェイ ロバーツ

【要約】 【課題】高い溶接パワーを与えることができる金属加工片溶接用の超音波溶接装置を提供する。

【解決手段】超音波周波数の範囲内の振動により金属を溶接するのに有用な超音波装置であって、ホーンを経て長手方向に伝播する所定の周波数の振動に対し全波共振器として共振する大きさに設定されたホーン86が使用される。使用可能なエネルギを増大させるべく、ホーンは一対の変換器84に連結され、変換器はホーンの半径方向の各端面に連結される。作動中には一方の変換器が長手方向の収縮モードにあるときに、他方の変換器が長手方向の膨張モードになければならない。このことを達成すべく、実質的に同一の二つの変換器が使用されるが、一方の変換器の圧電ディスク46の方向は他方の変換器の圧電ディスクの方向とは逆方向に設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ホーンを経て長手方向に伝播する超音波周波数範囲内の所定の周波数の振動に対し全波共振器として機械的に共振する大きさに設定された細長いホーンであって、共振状態にあるときには二つの半径方向の端面が前記振動の対応する節領域に位置し、前記二つの端面は長手方向に互いに同期して往復動するよう構成された細長いホーンと、一対の電気音響変換器であって、前記一対の変換器が前記周波数の交流電流にて付勢されることに応答して前記周波数の振動を前記ホーンへ伝達するよう前記端面に一つずつ連結され、前記変換器はそれらが互いに平行に且つ互いに同期して付勢されるとそれらの振動モードの位相が互いに他に対し実質的に180°ずれるよう作動する一対の電気音響変換器と、前記節領域の間の実質的に中間に位置する他の一つの節領域にて前記ホーンに設けられ、振動を加工片に伝達する加工片係合面と、を含む超音波装置。
【請求項2】各変換器は二つの錘とこれらの間にクランプされた少なくとも一つの圧電ディスクとよりなる組立体を含み、各圧電ディスクは交流電流にて付勢されると前記交流電流の2分の1サイクル中対応する組立体を長手方向に膨張させ、前記交流電流の次の2分の1サイクル中対応する組立体を長手方向に収縮させ、前記圧電ディスクはそれらが前記交流電流により付勢されることに応答して一方の組立体が収縮している際に他方の組立体を膨張させることを交互に行なう方向にて対応する錘の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】各組立体は複数個の圧電ディスクを含み、一方の組立体の圧電ディスクの半径方向の側面の極性は他方の組立体の前記圧電ディスクの側面の極性に対し逆方向であることを特徴とする請求項2に記載の超音波装置。
【請求項4】前記周波数の交流電流を供給する電源と、前記交流電流を前記変換器へ導く手段と、前記電源と各変換器との間の回路に直列に接続され、前記変換器の間に循環電流が流れることを実質的に阻止する電流バランス手段とを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の超音波装置。
【請求項5】各変換器と前記ホーンの対応する端面との間に連結された連結ホーンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の超音波装置。
【請求項6】ホーンを経て長手方向に伝播する超音波周波数範囲内の所定の周波数の振動に対し全波共振器として機械的に共振する大きさに設定された細長いホーンであって、共振状態にあるときには二つの半径方向の端面が前記振動の対応する節領域に位置するよう構成された細長いホーンと、各端面に一つずつ連結された一対の連結ホーンと、各連結ホーンに一つずつ連結された一対の圧電式変換器であって、交流電流により付勢されると前記所定の周波数の振動を前記連結ホーンを介して前記細長いホーンへ伝達することにより前記細長いホーンを共振状態にする一対の圧電式変換器と、各変換器は付勢されると交互に長手方向に膨張し収縮し、前記変換器は一方の変換器が収縮モードにあるときには他方の変換器が膨張モードにあることが交互に生じるよう構成されていることと、各変換器に連結され、前記変換器を前記所定の周波数にて互いに平行に且つ互いに同期して付勢する交流電源と、前記交流電源と前記変換器との間に直列に接続され、前記変換器の間に循環電流が流れることを実質的に阻止する電流バランス手段と、他の一つの節領域にて前記細長いホーンに設けられ、剪断波振動を加工片に伝達する加工片係合面と、を含む超音波装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波装置に係り、更に詳細には加工片の表面に平行な方向に与えられる振動(剪断波振動としても知られている)により金属を溶接するのに有用な超音波装置に係る。特に本発明は、溶接が困難な金属加工片を良好に溶接し得るよう、或いは超音波溶接装置より高い振動エネルギが供給されることにより溶接時間を低減し得るよう、高い振動エネルギを供給することができる超音波溶接装置に係る。
【0002】
【発明の概要】本発明は、ホーンを経て長手方向に伝播する所定の周波数の振動に対し全波共振器として機能する大きさに設定された細長いホーン(ソリッドホーン、共振器、ソノトロード(sonotrode) 等としても知られている)を含む超音波溶接装置に係る。ホーンはその長手方向の振動運動の節領域に位置する二つの半径方向の端面に於いて対応する変換器に直接又は連結ホーン(ブースタホーンとしても知られている)を介して連結されている。変換器は適当な交流電源により所定の周波数にて互いに並列に且つ互いに同期して電気的に付勢される。ホーンの二つの端面が互いに同一の方向へ長手方向に往復動するよう、変換器は一方の変換器が収縮モードにあるときには他方の変換器が膨張モードになるよう作動される。二つの端面の実質的に中間に位置するホーンの第三の節領域に設けられた加工片係合面が振動を加工片に伝達するよう構成されており、振動は一つの変換器により達成される場合よりも高いピーク間振幅を有する。好ましい実施形態に於いては、二つの変換器には電気的エネルギを機械的振動運動に変換する圧電ディスクが使用され、一方の変換器の圧電ディスクが他方の変換器の圧電ディスクに対し逆向きに、即ち裏返し状態に配設される点を除き、二つの変換器は実質的に互いに同一の構造を有する。
【0003】従って本発明の一つの主要な目的は、金属加工片を溶接する改良された超音波溶接装置を提供することである。
【0004】本発明の他の一つの重要な目的は、金属加工片を溶接する超音波溶接装置であって、高い溶接パワーを与えることができる超音波溶接装置を提供することである。
【0005】本発明の更に他の一つの重要な目的は、作動状態にあるときには両端に於いて超音波振動にて付勢される全波ホーンを提供することである。
【0006】本発明の更に他の一つの重要な目的は、一対の変換器により共振状態にされる全波ホーンを含み、変換器はホーンの対応する端面に一つずつ連結され、一対の変換器は一つの電源により互いに平行に且つ互いに同期して電気的に付勢される超音波装置を提供することである。
【0007】本発明の他の重要な目的は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】添付の図面、特に図1及び図2には、1973年8月14日付にて発行された米国特許第3,752,380号公報に詳細に記載された従来の超音波溶接装置が図示されている。これらの図に於いて、符号10は電気音響変換器を示しており、電気音響変換器10は導電体14を介して所定の周波数の交流電気エネルギを受け、その所定の周波数にて半径方向の出力面12に於いて機械的振動を与えるようになっている。
【0009】二つの半径方向の端面18と20との間にてホーン内に長手方向に伝播する前記所定の周波数の振動に対し全波共振器として共振する大きさに設定された一つの細長いホーン16が、その端面18にて振動を受けるよう変換器10の出力面12に連結されている。ホーン16が共振状態にあるときには、半径方向の端面18及び20は長手方向の振動の節領域に位置し、これらの端面はホーン16が全波共振器として機能することにより互いに同期して機械的に往復動し、それらの振動方向は互いに同一の方向である。一般に15〜100kHz の範囲内の超音波周波数が選択され、一般的な市販の超音波装置は約20kHz の周波数又は40〜50kHz の周波数にて作動する。
【0010】互いに機械的に連結されたホーン16及び変換器10は一組の支持部材24及び26により静止ベース22より支持され、支持部材24及び26はそれらの下端に於いてねじ装置28によりベース22に固定されている。支持部材26はその上端に於いてねじ装置30によりホーン16の半径方向の端面20に固定されている。支持部材24及び26の構造、即ちこれらの支持部材が振動の方向には湾曲変形するが変動の方向に垂直な方向には剛固な性質を有するばねとして機能することが上述の米国特許第3,752,380号公報に記載されている。
【0011】ホーン16は共振状態になるとその二つの端面に位置する節領域の間の実質的に中間に位置する第三の節領域を呈し、この第三の節領域には加工片係合面32が設けられている。溶接用のこの加工片係合面32は加工片W′の上面に押し付けられることによって係合され、加工片W′は例えば二枚のシート金属よりなる加工片W上に支持される。二つの加工片W′及びWに対する係合力はラム装置36に連結された上下方向に移動可能なアンビル34により与えられる。
【0012】ホーン16が共振状態にされると、加工片係合面32はホーンの長手方向軸線に沿って所定の周波数の振動を受け、加工片係合面32に沿う平面に於いてその振動を加工片へ伝達し、これにより溶接を行なう(1960年7月26日付にて発行された米国特許第2,946,119号公報参照)。また1982年4月27日付にて発行された米国特許第4,326,903号公報に記載されている如く、超音波装置は金属を溶接することに加えて熱可塑性材料を変形させるためにも使用可能である。
【0013】図2は共振状態にあるホーンの瞬時振動振幅とホーンに沿う位置との間の関係を示すグラフである。符号38及び40はホーンの半径方向の端面18及び20と実質的に同一の位置に位置する節領域を示しており、符号42は加工片係合面(ツール)32と実質的に同一の位置に位置する節領域を示している。更に符号44はこれらの節領域の間に位置するホーンの節領域を示している。
【0014】一つの変換器により得られる機械的パワー出力は制限される。加工片係合面32に於けるパワー出力を増大させるべく、本発明に於いては、変換器(コンバータユニットとも呼ばれる)がホーンの各端面に連結される(図5参照)。ホーンの端面はホーンが共振状態にあるときには互いに同期して同一の長手方向に移動するので、二つの変換器は互いに他に対し180°位相がずれた状態にて作動しなければならず、換言すれば一方の変換器が長手方向に収縮しているときには他方の変換器は長手方向に膨張しなければならない。
【0015】かかる作動条件は幾つかの方法により達成可能である。例えば交流電流の出力の位相が互いに他に対し正確に180°ずれた相互に独立の電源によって各変換器が作動されてもよい。しかしかかる作動モードを維持することは困難である。他の一つの方法は、一つの電源を使用し、互いに他に対し180°位相がずれた第一及び第二の出力電圧を発生するよう電源の出力側に180°の移相回路を使用することを含んでいる。この方法の場合にも電気回路が複雑になるという問題がある。
【0016】更に他の一つの方法は、一つ又はそれ以上の圧電ディスクを有する一対の圧電式変換器を使用し、一方の変換器に設けられた圧電ディスクが他方の変換器の圧電ディスクに対し逆向きになるよう変換器を組立てることによって達成される。この場合には一つの電源により二つの変換器を互いに平行に且つ互いに同期して付勢し、二つの変換器の出力面(図1参照)に互いに180°位相がずれた振動運動を得ることができる。
【0017】図3は一つの典型的な圧電ディスク(圧電ウエハ)46を示している。圧電ディスクは、製造業者より入手した段階に於いては、例えば正の電圧が半径方向の端面48に与えられ負の電圧が他方の端面50に与えられると、圧電ディスク46が半径方向に収縮してその厚さを増大し、これにより軸線方向に膨張する極性を有している。逆に負の電圧が端面48に与えられ正の電圧が端面50に与えられると、ディスクは半径方向に膨張してその厚さを低減し、これにより軸線方向に収縮する。説明の目的で、圧電ディスクの半径方向の側面には+及び−の記号が付されている。圧電ディスクの側面に交流電圧が印加されると、圧電ディスクはその厚さ方向に交互に膨張し収縮し、これによりホーンに振動を与える。
【0018】図4には二つの実質的に互いに同一の圧電式変換器組立体60及び62が幾分か解図的に図示されている。圧電式変換器(コンバータユニットとしても知られている)の構造は当技術分野に於いてよく知られており、これらの装置は本願出願人を含む幾つかの製造業者より入手可能である。各変換器組立体は四つの圧電ディスク46及び46′の積層体を含み、これらの圧電ディスクは図には示されていない中心ボルトにより対応する前側錘(前側駆動装置)64と後側錘(後側駆動装置)66との間にクランプされている。特に図4(B)の変換器組立体の圧電ディスク46′は図4(A)の変換器の圧電ディスク46の方向に対し逆方向に配向されている。かかる配向状態が図4に於いて+及び−の極性符号により示されている。
【0019】従って端子70に対し正の電圧が端子68に印加されると、図4(A)の変換器組立体は長手方向に膨張するが、端子74に対し正の電圧が端子72に印加されると、図(B)の変換器組立体は収縮する。電圧の極性が逆転されると逆の状態が発生する。従って変換器60及び62はホーンを共振状態にし得るよう全波ホーンの両端面に連結され、かかる状況に於いてはホーンの二つの端面は互いに同一の方向へ同期して移動するが、二つの変換器組立体の振動モードは互いに他に対し180°位相がずれた状態になり、一方の変換器組立体が収縮モードにあるときには他方の変換器組立体は膨張モードにある。
【0020】図5は本発明の好ましい実施形態、即ち振動エネルギにより金属加工片を接合したり熱可塑性加工片を変形させたりするのに有用な超音波装置を示しており、この超音波装置は高い振動エネルギを発生することを特徴としている。図5より解る如く、変換器80が連結ホーン84を介して全波ホーン86の図にて左側の端面に連結されており、第二の変換器82が実質的に同一の連結ホーン84を介してホーン86の図にて右側の端面に連結されている。図4との関連で上述した如く、一方の変換器に於いて前側錘と後側錘との間にクランプされた圧電ディスクの極性の方向が他方の変換器の圧電ディスクの方向とは逆であり、これにより二つの変換器が交流電源88により互いに平行に且つ互いに同期して付勢されることに応答して一方の変換器が収縮状態にあるときには他方の変換器が膨張状態になるよう構成されている点を除き、二つの変換器は実質的に互いに同一の構造を有している。発電機としても知られている電源88は、ホーン86、連結ホーン84及び変換器80、82が共振状態になる周波数の電圧を出力する。適当な導電体90が電源88を互いに平行に且つ互いに同期して付勢される二つの変換器80及び82に接続している。
【0021】循環電流の流れが低減されるよう、バランス変圧装置92が交流電源88と変換器80及び82との間の電気回路に直列に接続されている。変換器80及び82は容量性の装置であるので、対応する電気的容量及び電圧の公差により、二つの変換器の間に循環電流が流される。
【0022】符号94はホーン86の第三の節領域に設けられた加工片係合面(ツール)を示しており、この加工片係合面はホーンが共振状態にあるときには互い重ねて配置された加工片W′及びWの表面に対し実質的に平行な振動を与える。この振動により上述の如く溶接が行われる。加工片は可動のアンビル構造体100によりホーン86の加工片係合面94に接触するよう押し付けられる。一対の支持部材102が図1との関連で上述した要領にてホーン86を固定されたベース(図示せず)より支持している。
【0023】連結ホーンは使用されなくてもよいが、連結ホーンはホーンの機械的ゲインを増大させるのに有用である。同様に、前述の米国特許第3,752,380号公報に記載されている如く、ホーンには機械的ゲインを増大させる目的で断面積が低減された部分が設けられてよい。機械的ゲインが増大されることにより加工片係合面94の振動変位量が大きくなる。
【0024】上述の変換器の構造によれば、ホーンの両端に連結された変換器を使用することにより、移相装置を有することなく一つの電源を使用して非常に単純に且つ経済的に全波ホーンを駆動するという課題が達成される。
【0025】以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【出願人】 【識別番号】591011166
【氏名又は名称】エマーソン・エレクトリック・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】EMERSON ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成10年(1998)7月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
【公開番号】 特開平11−90329
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平10−205999