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【発明の名称】 塗装前処理方法
【発明者】 【氏名】中川 完司

【氏名】代田 和宏

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 薬液を使用して処理物を薬液処理する薬液ゾーンと、薬液処理された処理物に付着残存する薬液を洗浄水を使用して洗浄除去する、一段又は、複数段の洗浄ゾーンより構成される金属の塗装前処理装置において、薬液ゾーン(21)と洗浄ゾーン(23)の中間位置にあるドレンゾーン(22)にて、洗浄水をバイパス管により分岐したノズル(26)より処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は薬液ゾーンへ送り、さらに、洗浄ゾーンと次段の洗浄ゾーン(25)の中間位置にあるドレンゾーン(24)にて、次段の洗浄水をバイパス管により分岐したノズル(27)より処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は洗浄ゾーンへ送る工程を繰り返すとともに、薬液を多段式の逆浸透膜装置に導入し、一段目のROモジュールより生成する濃縮液(12)は、薬液槽(2)へ送り、透過液(11)は次段のROモジュールへ送り、さらに、次段のROモジュールより生成する濃縮液(16)は、洗浄水槽(3)へ送り、透過液(15)は次段のROモジュールへ送る工程を繰り返し、最終段のROモジュールより生成する透過液(18)を最終洗浄工程の洗浄水(28)とすることを特徴とする塗装前処理方法。
【請求項2】 薬液を使用して処理物を薬液処理する薬液ゾーンと、薬液処理された処理物に付着残存する薬液を洗浄水を使用して洗浄除去する、一段又は、複数段の洗浄ゾーンより構成される金属の塗装前処理装置において、薬液ゾーン(49)と洗浄ゾーン(51)の中間位置にあるドレンゾーン(50)にて、洗浄水をバイパス管により分岐したノズル(54)より処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は薬液ゾーンへ送るとともに、薬液を逆浸透膜装置に導入し、ROモジュール(39)より生成する濃縮液(45)は薬液槽(30)へ送り、透過液(42)は洗浄水槽(31)へ送り、さらに、洗浄ゾーンと次段の洗浄ゾーン(53)の中間位置にあるドレンゾーン(52)にて、次段の洗浄水をバイパス管により分岐したノズル(55)より処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は洗浄ゾーンへ送るとともに、洗浄水を逆浸透膜装置に導入し、ROモジュール(40)より生成する濃縮液(46)は洗浄水槽へ送り、透過液(43)は次段の洗浄水槽(32)へ送る工程を繰り返し、最終洗浄水槽に設置された逆浸透膜装置のROモジュールより生成する透過液(44)を最終洗浄工程の洗浄水(56)とすることを特徴とする塗装前処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属処理物等の薬液処理と薬液処理後の薬液の洗浄を行なう塗装前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属等の塗装前処理装置は、薬液槽に貯めた薬液を使用して、処理物を薬液ゾーン内で薬液処理を行なった後、処理物に付着残存する薬液を洗浄水を使用して洗浄ゾーン内でいわゆるすすぎ洗浄する。
【0003】薬液処理及びすすぎ洗浄を連続して行うと、洗浄工程で洗浄除去された薬液は次第に洗浄水中に蓄積する。
【0004】処理物に付着残存する薬液の洗浄を確実に行なうためには、すすぎ洗浄に用いる洗浄水中の薬液混入量を常に一定量以下に抑える必要がある。
【0005】一般の塗装前処理装置では、最終洗浄工程で新鮮水を給水し、給水により最終洗浄水槽からオーバーフローする洗浄水を順次前段の洗浄水槽へ前送りして、最前段の洗浄水槽からオーバーフローする洗浄水を装置外に排出する方式、すなわち多段向流方式により、特に最終洗浄水の薬液混入量を一定量以下に維持管理している。
【0006】洗浄水の排出量は、多段向流方式で洗浄段数を増やせば低減可能であるが、洗浄段数が増加すると処理工程数が増え、装置が大型化する。
【0007】通常、すすぎ洗浄は2回から3回行い、最終洗浄水槽に新鮮水を供給し、薬液処理直後の洗浄水槽の洗浄水をオーバーフローさせるが、装置外に洗浄水を排出する場合、排出水には薬液成分が含まれているため廃水処理が必要となる。
【0008】図3は、最終洗浄工程で新鮮水を給水し、各処理ゾーンの中間位置にあるドレンゾーンにて、次段の洗浄水をバイパス管により分岐したノズルより処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は前段の処理ゾーンへ送る方式を順次薬液ゾーンまで繰り返すとともに、薬液中の過剰な水分を蒸発させることにより、常時排水が発生しない塗装前処理方法である。
【0009】上記方法は、薬液ゾーン59で発生する薬液ミストと水蒸気を、気液分離装置62を通して薬液成分と水蒸気に分離し、薬液中の余剰水を水蒸気として屋外に排気する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように一般の塗装前処理方法では排水が発生するため、廃水処理を行なう設備と費用が必要となる。
【0011】また、薬液中の余剰水を水蒸気として蒸発させることにより常時排水が発生しない塗装前処理方法では、水分蒸発のための熱エネルギーが必要となる。
【0012】熱エネルギーを得る手段は、通常ガスや石油などの燃焼熱が利用されるが、ガスや石油の燃焼は地球温暖化の原因である二酸化炭素を放出する。
【0013】さらに塗装前処理用の薬剤は年々低温化の傾向があり、薬液の処理温度の低下は燃料の消費量を押さえ、二酸化炭素の排出量を低減する利点があるが、上記方式では、水蒸気発生のために薬液加温は必須で、燃料消費量と二酸化炭素の排出量を削減することは困難である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため、本発明は各工程ゾーンの中間位置にあるドレンゾーンにて、次段の洗浄水をバイパス管により分岐したノズルより処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は前段の処理ゾーンへ送り、さらに薬液または、薬液及び洗浄水を逆浸透膜装置に導入し、薬液または、薬液及び洗浄水より薬液混入量が低減した透過液を分離回収し、回収した透過液を洗浄水として繰り返し再利用するものである。
【0015】
【作用】本発明は各工程ゾーンの中間位置にあるドレンゾーンにて次段の洗浄水を処理物にスプレーし、スプレー後の水は前段へ送る方式により、通常の塗装前処理方法と比較して洗浄水の汚染が少なくなる。
【0016】逆浸透膜装置は、薬液を薬液成分量の多い濃縮液と少ない透過液に分離し、多段式のROモジュールは、透過液の薬液成分量をさらに低減させる。
【0017】同様に逆浸透膜装置は、洗浄水も薬液成分量の多い濃縮液と少ない透過液に分離し、最終的にはイオン交換装置を通した水に匹敵する不純物の少ない透過液が分離回収される。
【0018】逆浸透膜装置より分離回収された透過液は洗浄水として繰り返し再利用可能なため、塗装前処理装置より一切排水が発生しない。
【0019】また、最終ROモジュールより分離される透過液を最終洗浄工程の仕上げの洗浄水に使用することにより、装置外より給水する新鮮水は、処理物に付着して装置外に持ち出される量だけで済むため、新鮮水の供給量は極めて少なくなる。
【0020】さらに、逆浸透膜装置は薬液温度に左右されずに濃縮液と透過液の分離が可能であるため、低温の薬液が使用可能となる。
【0021】
【実施例】以下具体的な実施例と比較例により、本発明を詳細に説明する。
【0022】〔実施例1〕図1は、請求項1記載の発明に関わる装置である。
【0023】薬液槽2には、市販の燐酸鉄系皮膜化成剤、ケミコートNo.FF−71L、3%水溶液を入れ、何ら加温をせず、20℃から25℃となった。
【0024】処理物20を薬液ゾーン21を通過させて防錆皮膜を化成させ、その後23、25の洗浄ゾーンで洗浄した。
【0025】また、ドレンゾーン22、24では、ノズル26、27を利用して、次工程の洗浄水を処理物にスプレーし、スプレー後の水を前工程の槽へ送った。
【0026】この工程で1時間当たり100平方メートルの鉄板を処理し、6時間経過後、逆浸透膜装置から出る透過液と濃縮液の濃度を測定した。
【0027】薬液はスプレー用ポンプからフィルター5を通ってポンプ6で加圧され、ROモジュール7、8、9、10に並列に導入し、濃縮液12は薬液槽に戻した。
【0028】第1段目の透過液11は次段のROモジュール13、14に導かれ、第2段目の濃縮液と透過液に分離され、濃縮液16は洗浄水槽3に入れた。
【0029】さらに第2段目の透過液15は次段のROモジュール17へ導かれ、第3段目の濃縮液と透過液に分離され、濃縮液19は2段目の洗浄水槽4に入れた。
【0030】透過液は、28のノズルを通して、最終ミスト水として使用した後に、2段目の洗浄水槽4へ給水した。
【0031】6時間経過後の薬液、濃縮液と透過液の酸濃度、電気伝導度と流量は表1の通りであった。
【0032】
【表1】

【0033】表中の酸濃度とは、薬液又は洗浄水を10ミリリットル採取し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1モルの苛性ソーダ水溶液で滴定した場合の中和に要した苛性ソーダ水溶液の消費量を表した数値で、0.1モルの苛性ソーダ水溶液1ミリリットルを1ptと表示した。
【0034】〔実施例2〕図2は請求項2記載の発明に関わる装置である。
【0035】薬液槽30には、市販の燐酸鉄系皮膜化成剤、ケミコートNo.FF−71L、3%水溶液を入れ、何ら加温をせず、20℃から25℃となった。
【0036】処理物48を薬液ゾーン49を通過させて防錆皮膜を化成させ、その後51、53の洗浄ゾーンで洗浄した。
【0037】この工程で1時間当たり100平方メートルの鉄板を処理し、6時間経過後、逆浸透膜装置から出る透過液と濃縮液の濃度を測定した。
【0038】薬液はスプレー用ポンプからフィルター33を通ってROモジュール39に導入し、濃縮液45は薬液槽に戻し、透過液42は洗浄水槽31に導いた。
【0039】洗浄水槽31の洗浄水は、フィルター34を経てROモジュール40を通り、濃縮液と透過液に分離され、濃縮液は洗浄水槽31に戻され、透過液47は2段目の洗浄水槽32へ導いた。
【0040】洗浄水槽31と同様、2段目の洗浄水槽32の洗浄水はフィルター35を経てROモジュール41を通り、透過液と濃縮液に分離され、濃縮液47は2段目の洗浄水槽32に戻され、透過液44は処理物の最終水洗のミスト水洗水としてノズル56よりスプレーした。
【0041】また、ドレンゾーン50、52では、ノズル54、55を利用して、次工程の洗浄水を処理物にスプレーし、スプレー後の水を前工程の槽へ送った。
【0042】6時間経過後の薬液、濃縮液と透過液の酸濃度、電気伝導度と流量は表2の通りであった。
【0043】
【表2】

【0044】
【比較例】図3は、薬液中の過剰な水分を蒸発させることにより、常時排水が発生しない塗装前処理方法である。
【0045】63は排気ファンで、1分間に100立方メートルの排気能力があるものを使用した。
【0046】薬液ブース59で噴霧された薬液はダクト61を通じて、気液分離装置62に導入され、水蒸気のみが排気ファン63によって屋外へ放出される。
【0047】薬液は実施例1,実施例2と同様にケミコートNo.FF−71L、3%水溶液を使用し、蒸発量を得るため45℃に加温して使用した。
【0048】薬液ゾーンと洗浄ゾーン間及び各洗浄ゾーン間のドレンゾーンでは、実施例1、実施例2同様に、次工程の洗浄水をバイパス管により分岐したノズルより処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は前工程へ送る操作を行った。
【0049】2段目の洗浄水槽には、前送りされて不足した洗浄水に相当する分の脱イオン水をノズル60より補給した。
【0050】補給した脱イオン水の電気伝導度は0.002ミリジーメンスであった。
【0051】6時間経過後の薬液、一段目の洗浄水と二段目の洗浄水の酸濃度、電気伝導度と給水量は表3の通りであった。
【0052】
【表3】

【0053】このとき薬液加温に消費された燃料は灯油で1時間あたり40リットルであった。
【0054】
【発明の効果】本発明は各工程間のドレンゾーンにて次段の洗浄水を処理物にスプレーし、かつスプレー後の水は前段へ送る方式による洗浄水の節水化と、逆浸透膜装置を使用した洗浄水のリサイクルの組み合わせにより、排水を一切出さない塗装前処理方法が可能となった。
【0055】さらに、逆浸透膜装置による水のリサイクルには薬液の処理温度が影響しないため、低温処理の薬品が使用可能で、燃料消費量と二酸化炭素の排出量を削減することも可能となる。
【0056】また、本発明は実験上スプレー形式を例として説明しているが、処理方式に限定は無く、浸漬処理においても同様の効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】591069891
【氏名又は名称】株式会社ケミコート
【出願日】 平成10年(1998)5月29日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−342370
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−188043