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【発明の名称】 軽量厚膜形成用塗料の塗膜形成方法
【発明者】 【氏名】杉島 正見

【氏名】村木 克彦

【氏名】徳植 進

【氏名】安部 繁行

【要約】 【課題】軽量発泡体樹脂粒子を含有する塗料を用いて、断熱性、消音性等を有する軽量厚膜を塗りムラ等なく形成し得る軽量厚膜形成用塗料の塗膜形成方法を提供する。

【解決手段】基材面に、粒子径0.2〜8mmである樹脂発泡体粒子を含有する比重0.6〜0.9の軽量厚膜形成用塗料を粘度5〜100Pa・sに粘調して塗布した後、塗膜乾燥前に該塗布面を、塗料の付着してない特定のロ−ラ−を転がしながら塗面調整をして仕上げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材面に、粒子径0.2〜8mmである樹脂発泡体粒子を含有する比重0.6〜0.9の軽量厚膜形成用塗料を粘度5〜100Pa・s(BH型粘度計、20rpm:20℃にて)に粘調して塗布した後、塗膜乾燥前に該塗布面を、塗料の付着してないロ−ラ−を転がしながら塗面調整をして仕上げる方法であって、該ロ−ラ−が、ロ−ラ−パイルの繊維長が6mm以下であるロ−ラ−、多孔性樹脂よりなるロ−ラ−、及び円筒状のプラスチックよりなるヘッドカットロ−ラ−から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする軽量厚膜形成用塗料の塗膜形成方法。
【請求項2】 軽量厚膜形成用塗料が、水分散性樹脂をビヒクルの主成分とする請求項1記載の塗膜形成方法。
【請求項3】 ロ−ラ−を、水を湿潤剤として湿潤させて用いる請求項1又は2記載の塗膜形成方法。
【請求項4】 湿潤剤が、水溶性のアルコ−ル類及び/又はエステル類、又はこれらの水溶液である請求項3記載の塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量発泡体樹脂粒子を含有する塗料を用いて、断熱性、消音性等を有する軽量厚膜を塗りムラ等なく形成し得る軽量厚膜形成用塗料の塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】従来、建築物の内部の温度変化を制御するために、建物の壁の内外面にスチレン発泡体やガラスウ−ルなど断熱部材を面状に配置することが広く実施されている。一方、断熱性を付与する塗装材としても無機又は有機の微細発泡体又は微細中空発泡体を骨材として使用したものが知られている。このような断熱性を付与する塗装材としては、例えば、造膜温度が10℃以下の樹脂エマルジョン、水硬性セメント、及び樹脂発泡体粒子を含有する弾性皮膜形成用樹脂組成物(特開昭60−94470号公報)などが提案されている。該組成物によれば弾性を有する厚膜が形成できるが、セメント成分を含むために数時間で固まるため、2液貯蔵を要し必要量をその都度調合する必要があり、材料管理面でも非常に手間がかかるという問題があった。また、骨材として無機の骨材を使用した場合には、中空発泡体が破壊しやすく、そのため断熱性が低下しやすかった。
【0003】そこで本出願人は、特定性状を有する水分散性樹脂、発泡体樹脂粒子、及び顔料を含有する厚膜形弾性断熱塗料について先に出願した(特願平8−308567号)。該塗料によれば断熱性、消音性に優れた塗膜が形成可能であるが、該塗料を吹き付け、ロ−ラ−、コテ等によって広い面積を塗装すると、発泡体樹脂粒子に起因する塗りムラが発生しやすいため仕上げ不良になる場合があった。
【0004】またこのように形成される塗膜は、該塗膜の欠損部の補修においても塗りムラが発生しやすいために、その部分のみの補修塗装が困難でその部分を含む面全体の補修塗装が必要であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、発泡体樹脂粒子を含む塗料を塗装後、該塗面を直ちにロ−ラ−で転がして塗面調整を行なうことで、ムラのない厚膜が形成できることを見出し本発明に到達した。
【0006】即ち本発明は、基材面に、粒子径0.2〜8mmである樹脂発泡体粒子を含有する比重0.6〜0.9の軽量厚膜形成用塗料を粘度5〜100Pa・s(BH型粘度計、20rpm:20℃にて)に粘調して塗布した後、塗膜乾燥前に該塗布面を、塗料の付着してないロ−ラ−を転がしながら塗面調整をして仕上げる方法であって、該ロ−ラ−が、ロ−ラ−パイルの繊維長が6mm以下であるロ−ラ−、多孔性樹脂よりなるロ−ラ−、及び円筒状のプラスチックよりなるヘッドカットロ−ラ−から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする軽量厚膜形成用塗料の塗膜形成方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる軽量厚膜形成用塗料は、粒子径0.2〜8mm、好ましくは0.5〜5mmである樹脂発泡体粒子を含有する。
【0008】該樹脂発泡体粒子としては、例えば発泡ポリスチレン粒子、発泡ポリエチレン粒子、発泡ポリプロピレン粒子、発泡ポリウレタン粒子などの樹脂発泡体粒子、及びこれら樹脂発泡体粒子に種々公知の表面処理が施されたものを挙げることができる。これらは球形、破砕形のいずれの形状でもよい。該樹脂発泡体粒子の粒子径が8mmを越えると、吹付けなどの塗装作業に支障をきたすだけでなく、巣穴などの塗膜欠陥が発生し、一方0.2mm未満では樹脂発泡体粒子の表面積が増大するため塗料が増粘するので好ましくない。
【0009】上記軽量厚膜形成用塗料は、樹脂発泡体粒子が溶剤に解ける場合があることから、通常、水分散性樹脂をビヒクルの主成分とするのが適当である。
【0010】該水分散性樹脂としては、従来公知のものが特に制限なく使用可能であるが、得られる塗膜の耐久性等から、ガラス転移温度が30℃以下、好ましくは−20〜20℃で、造膜温度が25℃以下、好ましくは−10〜20℃である樹脂を水分散化してなる樹脂エマルションが好適である。
【0011】該樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン・ブタジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂(2液形も含む)などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。特に樹脂エマルションとして、非架橋系では(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、酢酸ビニル、不飽和酸等より選ばれた1種又は2種以上のビニルモノマ−を乳化重合してなる(共)重合体エマルションが好適であり、また架橋系ではカルボニル基含有アクリル(共)重合体及びヒドラジン化合物を含む架橋型エマルション(例えば、特開平4−249587号等)や、該エマルションと水性ポリウレタン樹脂との併用(例えば、特開平5−339542号等)が乾燥性等の点から最も好適である。
【0012】該樹脂のガラス転移温度が30℃を越えると、得られる断熱塗膜の弾性が乏しくなり、ワレ等の塗膜欠陥が生じるので好ましくない。また造膜温度が25℃を越えると、同様にワレ等の塗膜欠陥が生じ易くなるので好ましくない。
【0013】上記軽量厚膜形成用塗料では、水分散性樹脂/樹脂発泡体粒子の固形分体積比が100/50〜100/500、好ましくは100/100〜100/450となるよう含有するのが適当である。
【0014】上記軽量厚膜形成用塗料には、さらに必要に応じて、酸化チタン、カ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、酸化鉄などの着色顔料;クレ−、タルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料;パ−ライト、火山れき、バ−ミキュライト焼成物、シラスバル−ン、ガラスバル−ン、シリカバル−ンなどの骨材;造膜助剤、増粘タレ止め剤、消泡剤、分散剤、難燃化剤、繊維状物質などを添加することができる。
【0015】上記軽量厚膜形成用塗料は、塗料比重が0.6〜0.9、好ましくは0.7〜0.8を有するものである。該塗料比重が0.6未満では、樹脂発泡体粒子が塗料から遊離しやすく、塗装時に樹脂発泡体粒子が塗装表面から表出し、ロ−ラ−による塗面調整を行っても塗りムラの解消が困難となり、一方0.9を越えると樹脂発泡体粒子の含有量が少なくなり断熱性や消音性が低下するので好ましくない。
【0016】また上記軽量厚膜形成用塗料は、粘度5〜100Pa・s、好ましくは10〜50Pa・s(BH型粘度計、20rpm:20℃にて)に粘調して使用に供する。該塗料粘度が5Pa・s未満では、厚膜形成が困難であり、100Pa・sを越えると、塗装作業性が著しく低下し、塗膜の巣穴、ピンホ−ル、塗りムラが著しく発生し塗面調整を行っても塗りムラの解消が困難となるので好ましくない。
【0017】本発明方法が適用される基材としては、コンクリ−ト、モルタル、スレ−ト;陶磁器、タイル等のセラミック類;プラスチック、木材、石材、金属などの素材面や、これら素材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系などの旧塗膜面が挙げられ、これらはそれぞれ適宜素地調整を行っておくことが望ましい。
【0018】基材面に上記軽量厚膜形成用塗料を直接塗装することもできるが、付着性の面からシ−ラ−やプライマ−層を予め基材面に設けておいてもよい。これらは、必要に応じて基材に塗装されるものであり、基材と軽量厚膜塗膜との付着性向上や基材からのエフロ防止、多孔質基材による軽量厚膜塗膜の吸い込みムラ防止などを目的として用いられる。具体的には、例えばアクリル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、塩化ゴム系などから選ばれる1種又は2種以上組合せた樹脂成分を有するシ−ラ−やプライマ−が挙げられる。水回りなどの高度の耐水性が要求される場所では適宜塗り重ねてもよい。
【0019】次いで上記軽量厚膜形成用塗料を基材に直接、又はシ−ラ−やプライマ−塗膜上に塗装する。該軽量厚膜形成用塗料の塗装は、例えば吹き付け、流し込み、コテ塗り、ロ−ラ−塗り、刷毛塗りなど従来公知の方法で行うことができ、特に広い面積を塗装する場合には吹き付け、コテ塗り、ロ−ラ−塗りが好適である。塗装膜厚は、乾燥膜厚で2〜15mm程度が好ましい。該塗料の塗り回数は、1回又は2回以上であっても差支えない。2回以上塗装する場合は塗装毎に塗料の付着していないロ−ラ−による塗面調整を行なうことが好ましいが最終塗装後のみ塗面調整を行なっても問題はない。
【0020】本発明では、上記軽量厚膜形成用塗料を塗布後、乾燥前に、該塗布面を塗料の付着してないロ−ラ−で、これを転がしながら塗面の塗りムラがなくなるよう調整する。
【0021】塗面調整に用いるロ−ラ−は、■ロ−ラ−パイルの繊維長が6mm以下であるロ−ラ−、■多孔性樹脂よりなるロ−ラ−、及び■円筒状のプラスチックよりなるヘッドカットロ−ラ−から選ばれる1種又は2種以上であり、これらは単独又は組合わせて用いられる。
【0022】■のロ−ラ−は、繊維長が短い方が好ましい。繊維長が6mmを越える中毛ロ−ラ−、長毛ロ−ラ−等ではロ−ラ−に上記塗料が絡みやすく塗装作業性が著しく低下するだけでなく塗装ムラをさらに悪化させるので好ましくない。
【0023】■のロ−ラ−には、砂骨材ロ−ラ−、マスチックロ−ラ−、パタ−ンロ−ラ−などがある。
【0024】塗面調整は上記塗料の塗布後、乾燥前に行なうが、特に塗布表面が乾燥する前に行なうのが良い。具体的には塗装環境の温度・湿度等にもよるが、塗布後約2時間以内、好ましくは1時間以内が好適である。ロ−ラ−による塗面調整は、塗料の付着してないロ−ラ−を軽く転がすように運行させ、その際、塗面の塗料がロ−ラ−にからみつかないようにすることが望ましい。該塗料のからみつきを防ぐため、また付着した塗料を洗浄するために、転がすロ−ラ−表面は水を湿潤剤として湿潤させておく、また水で洗浄することが好適である。
【0025】また湿潤剤として、水溶性のアルコ−ル類及び/又はエステル類、又はこれらの水溶液を用いてもよい。該水溶性のアルコ−ル類としては、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ルなどのアルコ−ルや、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、平均分子量700以下のポリエチレングリコ−ル、平均分子量1000以下のポリプロピレングリコ−ルなどのグリコ−ルが挙げられる。水溶性のエステル類としては、例えばブチルセロソルブ、セロソルブ、メチルセロソルブアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル等が挙げられる。
【0026】さらに上記湿潤剤として、水に界面活性剤及び/又は洗浄剤を含めて用いてもよい。該界面活性剤としては、例えば高級アルコ−ルのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノ−ルのエチレンオキサイド付加物、ポリカルボン酸塩などの界面活性剤が挙げられ、洗浄剤としては、例えばセッケン、高級アルコ−ルの硫酸エステル塩、α−オレフィンの硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、イゲポンT型洗剤などのアニオン系洗浄剤;アミノ酸型両性洗剤、ベタイン型両性洗剤、ウルトラボン型両性洗剤等が挙げられる。
【0027】本発明方法では、上記の通り塗りムラ等がない軽量厚膜が形成され、さらにこの上に上塗り塗料を塗装することができる。該軽量厚膜が例えば発泡ポリスチレン粒子のような耐溶剤性の非常に低い成分を含む場合には、該軽量厚膜上に直接塗られる塗料は水性塗料であることが好ましい。
【0028】上塗り塗料には、従来公知のものが適用でき、その塗装は、スプレ−、ロ−ラ−、刷毛などの方法で0.2〜3kg/m2 の塗布量で行なうことができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】軽量厚膜形成用塗料の製造表1に示す成分を配合し、ディスパ−にて攪拌混合して各軽量厚膜形成用塗料を得た。表1中における(注1)〜(注11)は下記の通りである。
【0031】(注1)A−1:ガラス転移温度9℃、造膜温度15℃のアクリル・スチレン共重合体の水性エマルション、固形分55%(注2)A−2:ガラス転移温度20℃、造膜温度15℃のカルボニル基含有アクリル共重合体水性エマルション及び架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジドを含む架橋型エマルション、固形分55%(注3)「アレスゴムテックス白」:関西ペイント社製、アクリルラテックスゴム系単層仕上げ材(注4)発泡ポリスチレン粒子A:三菱化学産資社製、球径0.5〜3mm、かさ密度0.04g/ccの球形粒子(注5)発泡ポリスチレン粒子B:三菱化学産資社製、粒子径0.2〜8mm、かさ密度0.04g/ccの破砕品(注6)酸化チタン:テイカ社製、比重4.0(注7)クレ−:白石カルシウム社製、比重2.65(注8)硫酸マグネシウム:宇部興産社製、繊維状、比重2.3(注9)増粘剤:「アデカノ−ルUH−420」、旭電化社製(注10)消泡剤:「SNデフォ−マ−A−63」、サンノプコ社製(注11)分散剤:「ノプコスパ−ス44C」、サンノプコ社製【0032】
【表1】

【0033】軽量厚膜の形成上記の通り製造した各塗料を、上水を用いて表2に示す塗料粘度に粘調した後、90×180cmのスレ−ト板に表2に示す塗装方法で未乾燥膜厚で7mmになるよう夫々塗装した。塗装後、塗面状態や塗りムラを確認し、約30分経過後に表2に示す塗料の付着していない各ロ−ラ−を用いて、これを必要により表2に示す湿潤剤で湿潤させながら転がして塗面調整を行ない各厚膜を形成した。表2では該当欄に*を記載し、採用した塗装方法、ロ−ラ−種、湿潤剤を示す。
【0034】得られた各厚膜の塗装直後の塗面状態及び塗面調整後の塗面状態を下記基準で目視評価した。結果を表2に示す。
【0035】(評価基準)
塗面状態◎:良好○:ほぼ良好であるが、所々に巣穴がある△:巣穴が目立つ×:巣穴やピンホ−ルが著しい塗りムラ◎:良好○:正面では見られないが斜角から見るとムラがわかる△:正面から見てムラがわかる×:塗りムラがかなり目立つ塗面調整の作業性◎:良好○:ほぼ良好。時折ロ−ラ−に塗料が付着する△:ロ−ラ−に塗料が付着しやすく湿潤剤で洗浄しないと運行できない×:ロ−ラ−に付着した塗料がからみ合って塗面が仕上らない【0036】
【発明の効果】本発明によれば、軽量発泡体樹脂粒子を含有する塗料を用いて、断熱性、消音性等を有する軽量厚膜を塗りムラ等なく良好に形成できる。
【0037】
【表2】

【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月23日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−123362
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−290680