トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 金属板の塗装方法及び耐傷付き性に優れた塗装金属板
【発明者】 【氏名】田中 正一

【要約】 【課題】焼付け回数の増加なしに、耐傷付き性、密着性などの塗膜性能、塗膜外観に優れた2層の上塗塗膜層を、連続的に移動する金属板上に形成する。

【解決手段】連続的に移動する長尺の金属板上に、上塗着色ベース塗料及び上塗クリヤ塗料をウエットオンウエットで塗装し、焼付けて上塗着色ベース塗膜上に上塗クリヤ塗膜を形成する方法であって、該上塗クリヤ塗料は、皮膜形成性樹脂成分が、(C)ガラス転移温度−20〜80℃の水酸基含有有機樹脂55〜90重量部及び(D)メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤10〜45重量部からなり、該皮膜形成性樹脂成分100重量部に対して、(E)有機樹脂粉末を1〜20重量部含有するものであり、上塗クリヤ塗料から形成される硬化塗膜が架橋間分子量150〜700を有する金属板の塗装方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマー硬化塗膜を介して、又は介さずに、上塗着色ベース塗料及び上塗クリヤ塗料を塗装し、焼付けて上塗着色ベース塗膜上に上塗クリヤ塗膜を形成する方法であって、上塗クリヤ塗料塗膜は、上塗着色ベース塗料塗膜上にウエットオンウエットで形成され、かつ、該上塗着色ベース塗料の皮膜形成性樹脂成分が、(A)水酸基含有ポリエステル樹脂60〜95重量部及び(B)メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤5〜40重量部からなり、かつ該上塗クリヤ塗料の皮膜形成性樹脂成分が、(C)ガラス転移温度−20〜80℃の水酸基含有有機樹脂55〜90重量部及び(D)メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤10〜45重量部からなり、該上塗クリヤ塗料の皮膜形成性樹脂成分100重量部に対して、(E)平均粒子径5〜80μmの有機樹脂粒子及び平均直径2〜50μm、長さ30〜5000μm、直径/長さの比1/2〜1/100の有機樹脂繊維から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂粉末を1〜20重量部含有するものであり、上塗クリヤ塗料から形成される硬化塗膜が架橋間分子量150〜700を有するものであることを特徴とする金属板の塗装方法。
【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)が、数平均分子量1,000〜35,000、ガラス転移温度−10℃〜80℃、水酸基価3〜160mgKOH/gを有するポリエステル樹脂である請求項1記載の塗料組成物。
【請求項3】 上塗クリヤ塗料において、架橋剤(D)がメチルエーテル化又はメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂を80重量%以上含有するメラミン樹脂であり、かつ上塗クリヤ塗料が該上塗クリヤ塗料の塗膜形成性樹脂成分100重量部に対して、さらに(F)硬化触媒として、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物の中和物を該スルホン酸化合物の量に換算した値で0.1〜2.0重量部、及び(G)沸点30〜250℃の2級又は3級アミン化合物(硬化触媒がスルホン酸化合物のアミン中和物である場合には、硬化触媒中の2級又は3級アミン化合物も包含した量として)0.1〜10重量部を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装方法。
【請求項4】 上塗着色ベース塗料と上塗クリヤ塗料とをダイコータのダイから2層に重ねて押し出して塗装することを特徴とする請求項1又は2記載の塗装方法。
【請求項5】 連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマー硬化塗膜を介して、又は介さずに、塗装された未硬化の上塗着色ベース塗料層の上に、上塗クリヤ塗料をローラーカーテンによりカーテン状にして塗装することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装方法。
【請求項6】 請求項1記載の塗装方法によって塗装された塗装金属板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続的に移動する長尺の金属板に、耐傷付き性及び2層の上塗塗膜層間の密着性に優れた複層塗膜を形成できる金属板の塗装方法、及びこの方法によって塗装された塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、コイルコーティングなどの連続塗装によって塗装される器物加工用や建材用のプレコート塗装鋼板は、2コート2ベーク(下塗塗装−焼付−上塗塗装−焼付)方式(以下、「2C2B」と略称することがある)が主流であり、塗面外観の美粧性向上、塗膜性能向上を目的に3コート3ベーク(下塗塗装−焼付−中塗塗装又は上塗ベース塗装−焼付−上塗塗装又は上塗クリヤ塗装−焼付)方式(以下、「3C3B」と略称することがある)が一部で行われている。プレコート塗装鋼板の分野において、2コート1ベーク方式(以下、「2C1B」と略称することがある)や3コート2ベーク方式(以下、「3C2B」と略称することがある)は現在のところ実用化されていない。
【0003】3C3Bを行うに際しては、2C2Bに比べて塗装回数及び塗膜の焼付け回数がそれぞれ1回ずつ多く、設備面での負担が大きくなるという問題があった。また設備の占有面積が大幅に増大するといった問題がある。またプレコート塗装鋼板は、一般に、切断、成型加工されるため、加工性と耐傷付き性とを両立する必要がある。3C3Bで塗膜形成された塗装鋼板において、耐傷付き性を向上させるために塗料樹脂のガラス転移温度を高くしたり塗膜の架橋密度を上げたりすると、上塗ベース塗膜と上塗クリヤ塗膜との層間の密着性が低下するという問題がある。さらに、上塗クリヤ塗膜層においては一般的に傷が目立ちやすいといった問題がある。
【0004】本発明の目的は、上塗ベース塗膜と上塗クリヤ塗膜との層間の密着性が良好で、塗面の美粧性に優れ、加工性、耐傷付き性に優れた上塗2層塗膜を、設備面での負担が小さい方法にて得ることである。
【0005】本発明者らは、特定の上塗ベース塗料と有機樹脂粉末を含有する特定の上塗クリヤ塗料とを用い、上塗ベース塗料膜と上塗クリヤ塗料膜とをウエットオンウエットで塗重ねて焼付けることによって上記目的を達成することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマー硬化塗膜を介して、又は介さずに、上塗着色ベース塗料及び上塗クリヤ塗料を塗装し、焼付けて上塗着色ベース塗膜上に上塗クリヤ塗膜を形成する方法であって、上塗クリヤ塗料塗膜は、上塗着色ベース塗料塗膜上にウエットオンウエットで形成され、かつ、該上塗着色ベース塗料の皮膜形成性樹脂成分が、(A)水酸基含有ポリエステル樹脂60〜95重量部及び(B)メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤5〜40重量部からなり、かつ該上塗クリヤ塗料の皮膜形成性樹脂成分が、(C)ガラス転移温度−20〜80℃の水酸基含有有機樹脂55〜90重量部及び(D)メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤10〜45重量部からなり、該上塗クリヤ塗料の皮膜形成性樹脂成分100重量部に対して、(E)平均粒子径5〜80μmの有機樹脂粒子及び平均直径2〜50μm、長さ30〜5000μm、直径/長さの比1/2〜1/100の有機樹脂繊維から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂粉末を1〜20重量部含有するものであり、上塗クリヤ塗料から形成される硬化塗膜が架橋間分子量150〜700を有するものであることを特徴とする金属板の塗装方法を提供するものである。
【0007】また、本発明は、上記塗装方法によって塗装された塗装金属板を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法について詳細に説明する。
【0009】まず、本発明方法において使用する上塗着色ベース塗料について詳細に説明する。
【0010】上塗着色ベース塗料は、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)と架橋剤(B)からなる皮膜形成性樹脂成分と着色顔料とを含有する。
【0011】水酸基含有ポリエステル樹脂(A)水酸基含有ポリエステル樹脂(A)としては、水酸基を含有するポリエステル樹脂であって、例えば、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0012】上記オイルフリーポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものである。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が特に好ましい。
【0013】アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸をそれ自体既知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などを挙げることができる。アルキド樹脂の油長は30%以下、特に5〜20%程度のものが好ましい。
【0014】ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂の製造の際に用いられる酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが挙げられる。また、ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが包含される。ウレタン変性ポリエステル樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。上記のウレタン変性樹脂は、一般に、ウレタン変性樹脂を形成するポリイソシアネート化合物の量がウレタン変性樹脂に対して30重量%以下の量となる変性度合のものを好適に使用することができる。
【0015】エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との付加、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物を挙げることができる。かかるエポキシ変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、エポキシ樹脂の量がエポキシ変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜30重量%となる量であることが好適である。
【0016】以上に述べたポリエステル樹脂のうち、特に好適なものとしては、オイルフリーポリエステル樹脂が挙げられる。
【0017】また、ポリエステル樹脂(A)は得られる塗膜の加工性及び硬度のバランスの点から、数平均分子量が、1,000〜35,000であることが好ましく、さらに好ましくは7,000〜30,000であり、ガラス転移温度(Tg点)は、−10℃〜80℃であることが好ましく、さらに好ましくは−5℃〜30℃であり、水酸基価が、3〜160mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは5〜30mgKOH/gであるポリエステル樹脂が好適である。
【0018】本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DTA)によるものであり、また数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0019】架橋剤(B)(B)成分である架橋剤は、上記ポリエステル樹脂(A)と反応して樹脂(A)を硬化させることができるものであり、メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤である。
【0020】上記メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンツアルデヒド等のアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化メラミン樹脂が挙げられる。また、上記メチロール化メラミン樹脂を適当なアルコールによってエーテル化したものもメラミン樹脂として使用できる。エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
【0021】前記架橋剤として用いられるブロック化ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化してなる化合物である。
【0022】上記ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
【0023】イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどラクタム系;メタノール、エタノール、n−又はi−プロピルアルコール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好適に使用することができる。
【0024】上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
【0025】架橋剤(B)は、1種の架橋剤からなっていてもよいし、2種以上の架橋剤の混合物であってもよい。
【0026】上塗着色ベース塗料においては、皮膜形成性樹脂成分100重量部中、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)と架橋剤(B)との配合量は下記範囲内にあることが必要である。
ポリエステル樹脂(A):60〜95重量部、好ましくは65〜85重量部、架橋剤(B) :5〜40重量部、好ましくは15〜35重量部。
【0027】ポリエステル樹脂(A)の割合が60重量部未満となると[架橋剤(B)の割合が40重量部を超えると]、塗膜の加工性が低下し、一方、ポリエステル樹脂(A)の割合が95重量部を超えると[架橋剤(B)の割合が5重量部未満となると]、塗膜の硬化性が低下する。
【0028】本発明の上塗着色ベース塗料に、ポリエステル樹脂(A)、架橋剤(B)からなる皮膜形成性樹脂成分に加えて配合される着色顔料としては、塗料分野で通常使用されている着色顔料、例えば、チタン白、亜鉛華などの白色顔料;シアニンブルー、インダスレンブルーなどの青色顔料;シアニングリーン、緑青などの緑色顔料;アゾ系やキナクリドン系などの有機赤色顔料、ベンガラなどの赤色顔料;ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系及びキノフタロン系などの有機黄色顔料、チタンイエロー、黄鉛などの黄色顔料;カーボンブラック、黒鉛、松煙などの黒色顔料;アルミニウ粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどの光輝性顔料などが挙げられる。着色顔料の配合量は、特に限定されるものでなく良好な美粧性を発揮できる範囲であればよく、基体樹脂と架橋剤との合計の皮膜形成性樹脂成分100重量部に対して、通常、1〜120重量部の範囲で使用される。
【0029】本発明の上塗着色ベース塗料は、必要に応じて、さらに、硬化触媒、有機溶剤;タルク、クレー、シリカ、マイカ、アルミナなどの体質顔料;塗料用としてそれ自体既知の消泡剤、塗面調整剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0030】上記硬化触媒は、ポリエステル樹脂(A)と架橋剤(B)との硬化反応を促進するため必要に応じて配合されるものであり、架橋剤(B)の種類に応じて適宜選択して使用することができる。
【0031】架橋剤(B)がメラミン樹脂、特に低分子量の、メチルエーテル化またはメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂である場合には、硬化触媒としてスルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適に用いられる。スルホン酸化合物の代表例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などを挙げることができる。スルホン酸化合物のアミン中和物におけるアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであってもよい。これらのうち、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗膜の物性などの点から、p−トルエンスルホン酸のアミン中和物及び/又はドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和物が好適である。
【0032】架橋剤(B)がブロック化ポリイソシアネート化合物である場合には、架橋剤であるブロック化ポリイソシアネート化合物のブロック剤の解離を促進する硬化触媒が好適であり、好適な硬化触媒として、例えば、オクチル酸錫、、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを挙げることができる。
【0033】前記有機溶剤は、本発明組成物の塗装性の改善などのため必要に応じて配合されるものであり、ポリエステル樹脂(A)及び架橋剤(B)の各成分を溶解ないし分散できるものが使用でき、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素などの炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶剤などを挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0034】次に本発明方法において使用する上塗クリヤ塗料について詳細に説明する。
【0035】本発明方法において使用される上塗クリヤ塗料は、その塗料膜が上記上塗着色ベース塗料塗膜上にウエットオンウエットで形成される塗料であり、最上層クリヤ塗膜層を形成するものである。上塗クリヤ塗料は、水酸基含有有機樹脂(C)、架橋剤(D)及び有機樹脂粉末(E)を必須成分として含有する。
【0036】水酸基含有有機樹脂(C)水酸基含有有機樹脂(C)としては、水酸基を含有し、ガラス転移温度が−20〜80℃の有機樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、シリコンポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。上記基体樹脂のうち、なかでもポリエステル樹脂を好適に使用することができる。このポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度が−20〜80℃であるという条件を満たす限りにおいて前記上塗着色ベース塗料におけるポリエステル樹脂(A)と同様のものを挙げることができる。
【0037】上記ポリエステル樹脂のうち、加工性、硬化性などの点からなかでも、数平均分子量1,500〜25,000、好ましくは5,000〜20,000、ガラス転移温度−20〜80℃、好ましくは10℃〜60℃、水酸基価8〜100mgKOH/g、好ましくは15〜60mgKOH/gを有するオイルフリーポリエステル樹脂が好適である。
【0038】架橋剤(D)上塗クリヤ塗料に配合される架橋剤(D)としては、前記上塗着色ベース塗料に使用される架橋剤(B)として挙げた、メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤と同様のものを使用することができる。
【0039】上塗クリヤ塗料において、水酸基含有有機樹脂(C)と架橋剤(D)との配合比率は、両者の固形分重量合計100重量部に対する固形分重量で下記の範囲内である。
有機樹脂(C):55〜90重量部、好ましくは60〜85重量部、架橋剤(D) :10〜45重量部、好ましくは15〜40重量部。
【0040】上記有機樹脂(C)の配合量が55重量部未満では[架橋剤(D)の配合量が45重量部を超えると]、塗膜の加工性が低下し、有機樹脂(C)の配合量が90重量部を超えると[架橋剤(D)の配合量が10重量部未満となると]、塗膜の硬化性が低下し耐傷付き性も低下する。
【0041】さらに上塗クリヤ塗料は、該塗料を硬化して形成される硬化塗膜が、架橋間分子量150〜700、好ましくは200〜500を有することが好ましい。架橋間分子量が150未満となると架橋度が高すぎて塗膜の加工性の劣化が著しく、一方、700を超えると耐傷付き性が十分でなくなる。
【0042】本発明において、「架橋間分子量」とは、ブリキ板に乾燥塗膜が約20μmになるように塗装し、ブリキ板の最高到達温度が225℃となる条件で70秒間焼き付けた塗膜を剥離し、この塗膜を3枚重ねにして自動動的粘弾性測定器[東洋ボールドウイン社製、モデルレオバイブロンDDV−II−EA]を用いて塗膜の粘弾性を測定したときのT[弾性率最小のときの絶対温度(゜K)]及びEmin [高温域での最小弾性率(dyne/cm)]の値を、Flory等による下記のゴム粘弾性理論式に当てはめて求めた理論計算値である。
【0043】架橋間分子量Mc=3ρRT/Emin上記式において、R=8.13×107 (erg/kmol)、ρは試料塗膜の密度(g/cm)を意味する。
【0044】有機樹脂粉末(E)上塗クリヤ塗料に配合される有機樹脂粉末(E)は、塗膜形成時の焼付けによって完全には溶融しない有機樹脂粉末である。有機樹脂粉末(E)は、意匠性及び塗装作業性の点から、平均粒子径5〜80μm、好ましくは15〜60μmの粒子状又は平均直径2〜50μm、長さ30〜5000μm、直径/長さの比1/2〜1/100、好ましくは平均直径10〜30μm、長さ50〜2000μm、直径/長さの比1/3〜1/20の繊維状の形態を有する。
【0045】有機樹脂粉末(E)の樹脂種としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリプロピレン、及びナイロン11やナイロン12などのポリアミドなどを挙げることができ、なかでもポリプロピレン、ポリアミドが好適である。
【0046】上塗クリヤ塗料における有機樹脂粉末(E)の配合量は、上記水酸基含有有機樹脂(C)と架橋剤(D)との固形分重量合計100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部である。有機樹脂粉末(E)の配合量が1重量部未満では、塗膜の耐傷付き性が十分でなくなり、一方、20重量部を超えると塗装作業性が悪化したり、塗膜の加工性が低下する。
【0047】上塗クリヤ塗料において、前記架橋剤(D)として、メチルエーテル化メラミン樹脂及びメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種のメラミン樹脂を合計で80重量%以上、好ましくは90重量%以上含有するメラミン樹脂架橋剤を使用し、さらに塗膜形成性樹脂成分100重量部に対して、(F)硬化触媒として、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物の中和物を該スルホン酸化合物の量に換算した値で0.1〜2.0重量部、及び(G)沸点30〜250℃の2級又は3級アミン化合物(硬化触媒がスルホン酸化合物のアミン中和物である場合には、硬化触媒中の2級又は3級アミン化合物も包含した量として)0.1〜10重量部を含有させることによって、塗膜表面に細かな縮みを発生させることができ、また塗膜の耐傷付き性を向上させることができる。
【0048】上記メチルエーテル化メラミン樹脂及びメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂の具体例としては、例えばサイメル300、同303、同325、同327、同350、同730、同736、同738[以上、いずれも三井サイテック(株)製]、メラン522、同523[以上、いずれも日立化成(株)製]、ニカラックMS001、同MX430、同MX650[以上、いずれも三和ケミカル(株)製]、スミマールM−55、同M−100、同M−40S[以上、いずれも住友化学(株)製]、レジミン740、同747[以上、いずれもモンサント社製]などのメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル232、同266、同XV−514、同1130[以上、いずれも三井サイテック(株)製]、ニカラックMX500、同MX600、同MS35、同MS95[以上、いずれも三和ケミカル(株)製]、レジミン753、同755[以上、いずれもモンサント社製]、スミマールM−66B[住友化学(株)製]などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0049】上記メラミン樹脂架橋剤中に、メチルエーテル化メラミン樹脂及びメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂以外に、20重量%以下、好ましくは10重量%以下の量配合できるメラミン樹脂としては、メチルエーテル化されていないメラミン樹脂が挙げられ、代表例として、ブチルエーテル化メラミン樹脂を挙げることができる。ブチルエーテル化メラミン樹脂の具体例としては、例えば、ユーバン20SE、同225[以上、いずれも三井東圧(株)製]、スーパーベッカミンJ820−60、同L−117−60、同L−109−65、同47−508−60、同L−118−60、同G821−60[以上、いずれも大日本インキ化学工業(株)製]などを挙げることができる。
【0050】上記硬化触媒(F)は、水酸基含有有機樹脂(C)とメラミン樹脂架橋剤との架橋反応を促進するために配合されるものであり、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物である。スルホン酸化合物としては、スルホン酸化合物の代表例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などを挙げることができる。スルホン酸化合物のアミン中和物におけるアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであってもよい。
【0051】この硬化触媒(F)の量は、上塗クリヤ塗料における塗膜形成性樹脂成分100重量部に対して、スルホン酸化合物のアミン中和物の場合には、スルホン酸化合物の量に換算した値で0.1〜2.0重量部、好ましくは0.2〜1.5重量部である。
【0052】前記沸点30〜250℃の2級又は3級アミン化合物(G)は、上塗クリヤ塗膜表面に縮みを発生させるために配合するものであり、沸点50〜200℃でああることが好ましい。アミン化合物(G)の代表例としては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジアリルアミン、ジアミルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブルアミン、ジsec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジn−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−,2,6−又は3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノールなどの第2級アミン;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジンなどの第3級アミン;N−メチルピペラジンなどの第2級及び第3級アミノ基を有するアミンなどの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ジアルキルアミン、特にジイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブルアミンなどが低臭であること及び美しい均一な縮みを形成できることから好適である。
【0053】アミン化合物(G)の配合量は、塗膜形成性樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。この量は、硬化触媒中の2級又は3級アミン化合物も包含した量である。なかでも硬化触媒中のスルホン酸量に対し、硬化触媒中のスルホン酸の中和に使用されている2級又は3級アミンと別添する2級又は3級アミン化合物との合計量が1.1〜30モルの範囲にあることが好適である。
【0054】上塗クリヤ塗料は、水酸基含有有機樹脂(C)、架橋剤(D)及び有機樹脂粉末(E)を必須成分として含有し、必要に応じて硬化触媒(F)及びアミン化合物(G)を含有するものであるが、さらに必要に応じて、溶媒、光輝性粉末、潤滑性付与剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、消泡剤、塗面調整剤、シリカ微粉末などの無機微粉末などを含有することができる。
【0055】上記溶媒としては、基体樹脂、架橋剤などの塗料成分を溶解ないしは分散できるものを使用することができ、例えば、前記上塗着色ベース塗料において説明した溶媒を同様に使用することができる。
【0056】上記光輝性粉末としては、アルミニウ粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどを挙げることができる。光輝性粉末の配合量は、塗面外観に光輝感を与え、かつ上塗クリヤ塗膜を通して上塗着色ベース塗膜がみえてクリヤ塗膜が形成できる範囲内の量であればよく、配合する場合には、通常、上塗クリヤ塗料における塗膜形成性樹脂成分100重量部に対して、0.005〜30重量部の範囲内が好ましく、0.4〜10重量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0057】本発明塗装方法本発明塗装方法においては、前記連続的に移動する長尺の金属板に、プライマー硬化塗膜を介して、又は介さずに、前記上塗着色ベース塗料及び上塗クリヤ塗料を塗装し焼付けて、上塗着色ベース塗膜及び上塗クリヤ塗膜を形成する。
【0058】本発明方法においては、上塗着色ベース塗料膜と上塗クリヤ塗料膜とが、ウエットオンウエットで接するように塗装した後に焼付けを行う。上塗着色ベース塗料膜と上塗クリヤ塗料膜とが、ウエットオンウエットで接するように塗装できる方法としては、被塗物上にロールコータやローラーカーテンなどの塗装機によって形成された上塗着色ベース塗料膜の上に、ローラーカーテン塗装やスリット式カーテン塗装により上塗クリヤ塗料をカーテン状にして形成する塗装方法、上塗着色ベース塗料層と上塗クリヤ塗料層とを2層に重ね合せてダイから吐出して、被塗物上に上塗着色ベース塗料層と上塗クリヤ塗料層との2層を同時に形成するダイコート法による塗装方法を挙げることができる。
【0059】ここでローラーカーテン塗装による塗装方法は、回転するロール上に形成された塗料膜をドクターにて掻き取って、移動する被塗物上に塗料膜をカーテン状に落下させて塗装する方法である。ローラーカーテン塗装機としては、例えば特開平6−7724号公報、特開平6−134385号公報に記載された塗装機を使用することができる。
【0060】また、スリット式カーテン塗装による塗装方法は、細長いスリットから塗料を移動する被塗物上にカーテン状に落下させて塗装する方法である。
【0061】また、上記ダイコート法に使用しうるダイ塗装機としては、例えば特開昭4−100570号公報に記載されたダイ塗装機を挙げることができる。ダイ塗装機におけるダイの代表例の概念断面図を図1に示す。図1において、ダイ1は、上刃2、中刃3及び下刃4が重ね合わされた3枚の刃と、両側の側板(図示せず)とから構成されている。上刃2及び下刃4にはそれぞれ塗料保持部5及び6並びに該塗料保持部に塗料を供給するための塗料供給口7及び8が設けられている。上刃2と中刃3との間隙、及び下刃4と中刃3との間隙は、それぞれスロット9及び10を形成する。各スロットの上下の間隔は、該スロットを通過する塗料の膜厚を規定し、通常、5〜500μm、好ましくは10〜120μmの範囲内において、スロットでの塗料の圧損が大きくなりすぎず、かつスロットの全幅に亘って均一な流速で塗料が流れるように設定される。
【0062】スロット9と10との交差角aは、スロット9を流れる上層塗料とスロット10を流れる下層塗料とが滑らかに合流して重なった塗料層を形成するように鋭角、通常30度以下、特に5〜25度の範囲内とすることが好ましい。なお中刃3の先端はナイフエッジである必要はない。
【0063】スロット9と10とは、図1のようにダイの内部で合流して単一のスロット11を形成することが好ましいが、それぞれが独立して外部に開口するようにしてもよい。なお、ダイには、ダイ1を支持し且つダイのリップ12、13の位置を調節する機構やダイに塗料を定量供給する機構などが付設されているが、それらは図1には図示していない。
【0064】ダイコート法において、ダイから吐出された塗料は直接に被塗物上に塗布してもよく、またいったん回転ロールに受け、ついで回転ロールから被塗物に塗布してもよい。後記図2にダイから吐出された塗料を直接に被塗物上に塗布する場合の装置の一例を示すものであり、該装置においては、回転する支持ロール14に被塗物15が支持され、ダイのスリットが被塗物15に垂直に、すなわち支持ロール14の中心に向けて配置されている。
【0065】図2に示す装置を用いて塗装を行う場合、被塗物15を矢印の方向に走行させながら、下層塗料を塗料供給口8から、上層塗料を塗料供給口7から、それぞれ塗布量に応じて定量ポンプでダイに供給する。塗料は塗料保持部5、6に流入し、スロット9、10を流れ、スロット11で層状に合流して吐出される。2層となって吐出された塗料は、その成層状態を維持したまま被塗物15上に均一に付着し、所定の厚さの塗布膜を形成する。
【0066】本発明方法において、形成される上塗着色ベース塗料膜の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、乾燥塗膜厚で5〜25μmとなる範囲であることが好ましい。また形成される上塗クリヤ塗料膜の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、乾燥塗膜厚で5〜25μmとなる範囲であることが好ましい。
【0067】上記上塗着色ベース塗料膜の上に、上塗クリヤ塗料をカーテン状にして塗膜形成する塗装方法においては、粘度40〜150秒(フォードカップ#4、25℃での測定、粘度は以下同様の測定方法による)の上塗着色ベース塗料膜上に、粘度50〜250秒の上塗クリヤ塗料を塗装することが好ましい。
【0068】上記ダイコータによる塗装方法においては、粘度40〜250秒の上塗着色ベース塗料膜と粘度50〜250秒の上塗クリヤ塗料膜とを重ねてダイから吐出することが好ましい。
【0069】上記上塗着色ベース塗料層と上塗クリヤ塗料層との2層の塗料層の硬化条件は、2層の塗料が硬化する焼付条件の中から適宜選択することができるが、通常、素材到達最高温度(PMT)160〜250℃で15〜180秒の範囲内、特にPMT180〜230℃で20〜120秒の範囲内の条件が好適である。
【0070】本発明塗装方法によって、金属板上に耐傷付き性に優れた塗膜を形成することができる。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0072】上塗着色ベース塗料の製造製造例1バイロンKS−1460V(東洋紡績(株)製のポリエステル樹脂、数平均分子量15,000、ガラス転移温度7℃、水酸基価11mgKOH/g)75部をシクロヘキサノン/ソルベッソ150(「ソルベッソ150」は、エッソ石油(株)製、芳香族石油系高沸点溶剤)=40/60(重量比)の混合溶剤112.5部に溶解し、固形分40%の樹脂溶液aを得た。固形分40%の樹脂溶液aの75部に、タイペークCR−95(石原産業(株)製、チタン白顔料)75部、カーボンブラック顔料3部及び上記混合溶剤25部を混合し、顔料分散を行い顔料ペーストを得た。
【0073】得られた顔料ペースト178部に、固形分40%の樹脂溶液aを112.5部、サイメル303(三井サイテック(株)製、商品名、低分子量メチルエーテル化メラミン樹脂、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミンの含有量が60重量%以上)25部、ネイキュア5225(米国 キング インダストリイズ社製の、硬化触媒、商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸の2級アミン中和物溶液、有効成分25%)2部及び塗料粘度調整用に上記混合溶剤を均一に混合して塗料粘度90秒(フォードカップ#4、25℃)の上塗着色ベース塗料B−1を得た。
【0074】製造例2バイロンKS−1640V(東洋紡績(株)製のポリエステル樹脂、数平均分子量11,000、ガラス転移温度20℃、水酸基価10mgKOH/g)80部をシクロヘキサノン/ソルベッソ150(「ソルベッソ150」は、エッソ石油(株)製、芳香族石油系高沸点溶剤)=40/60(重量比)の混合溶剤120部に溶解し、固形分40%の樹脂溶液bを得た。固形分40%の樹脂溶液bの75部に、タイペークCR−95(石原産業(株)製、チタン白顔料)75部、カーボンブラック顔料3部及び上記混合溶剤25部を混合し、顔料分散を行い顔料ペーストを得た。
【0075】得られた顔料ペースト178部に、固形分40%の樹脂溶液bを125部、デスモデュールBL−3175(住友バイエルウレタン(株)製、商品名、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分約75%)26.7部及びフォーメートTK−1(武田薬品工業(株)製の有機錫溶液である硬化触媒、商品名、ブロック化ポリイソシアネート化合物の解離触媒、固形分約10%)2.0部及び塗料粘度調整用に上記混合溶剤を均一に混合して、塗料粘度90秒(フォードカップ#4、25℃)の上塗着色ベース塗料B−2を得た。
【0076】上塗クリヤ塗料の製造製造例3〜15後記表1に示す組成配合にて塗料化を行い、各上塗クリヤ塗料を得た。
【0077】表1における水酸基含有有機樹脂及び架橋剤の量は固形分重量による表示であり、硬化触媒の量は、スルホン酸系硬化触媒についてはスルホン酸化合物の量に換算した量を重量表示し、錫系触媒については固形分重量にて表示した。シクロヘキサノン/ソルベッソ150=40/60(重量比)の混合溶剤を塗料粘度調整などのために使用し、上塗クリヤ塗料の粘度を110秒(フォードカップ#4、25℃)に調整した。
【0078】
【表1】

【0079】表1中の(註)は、それぞれ下記のとおりの意味を有する。
【0080】(*1)バイロンKS−1610V:東洋紡績(株)製のポリエステル樹脂、数平均分子量3,700、ガラス転移温度34℃、水酸基価58mgKOH/g。
(*2)アクリル樹脂A:モノマー組成が、n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=79.5/18/2.5(固形分重量比)であり、数平均分子量約10000、ガラス転移温度28℃、水酸基価78mgKOH/gであるアクリル樹脂。
【0081】(*3)オルガソール2002ES−3:仏国、アト・シミー社製、商品名、ナイロン12の樹脂微粒子、平均粒子径約30μm。
(*4)オルガソール2002ES−4:仏国、アト・シミー社製、商品名、ナイロン12の樹脂微粒子、平均粒子径約40μm。
(*5)オルガソール2002EX−D:仏国、アト・シミー社製、商品名、ナイロン12の樹脂微粒子、平均粒子径約10μm。
【0082】(*6)ベルパールR−800:鐘紡(株)製、商品名、フェノール樹脂微粒子、平均粒子径約20μm。
(*7)TEXTURE−ULTRAFINE:テクスチュア−ウルトラファイン、シャムロック ケミカル社製、商品名、ポリプロピレン樹脂微粒子、平均粒子径約18μm。
(*8)タフチックFR−14:東洋紡績(株)製、商品名、ポリアクリロニトリル樹脂繊維、平均直径約14μm、平均長さ約500μm。
【0083】(*9)トスパール2000B:東芝シリコーン(株)製、商品名、シリコン樹脂微粒子、平均粒子径約6μm。
【0084】(*10)架橋間分子量:ブリキ板に各上塗クリヤ塗料を乾燥塗膜が約20μmになるように塗装し、ブリキ板の最高到達温度が225℃となる条件で70秒間焼き付けた塗膜を剥離し、この塗膜を3枚重ねにして自動動的粘弾性測定器[東洋ボールドウイン社製、モデルレオバイブロンDDV−II−EA]を用いて粘弾性を測定した。測定値を、前記したFlory等による下記のゴム粘弾性理論式に当てはめて架橋間分子量を計算した。
【0085】架橋間分子量Mc=3ρRT/Emin架橋間分子量が小さいほど架橋度が高いことを意味する。
【0086】実施例1〜22及び比較例1〜8試験塗板の作成試験塗板の作成方法(1):実施例1〜11及び比較例1〜4クロメート処理を施した厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板上に、関西ペイント(株)製、KPカラー8630プライマ(プレコート鋼板用エポキシ変性ポリエステル系プライマ、塗膜のTg点は52℃)を乾燥膜厚が約4μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が220℃となるように30秒間焼付け、プライマ塗装鋼板を得た。このプライマ塗装鋼板上に、後記表2に示す上塗着色ベース塗料と上塗クリヤ塗料との組合せにて、各上塗着色ベース塗料を乾燥膜厚が約14μmとなるように塗装し、これらの上塗着色ベース塗料の未硬化塗膜の上に、前記製造例3〜15で得た上塗クリヤ塗料をローラーカーテン塗装法により乾燥膜厚が約10μmとなるように塗装した。ついで素材到達最高温度が225℃となるように70秒間焼付けて各上塗塗装鋼板を得た。上塗クリヤ塗料を塗装する直前の上塗着色ベース塗料層の粘度(フォードカップ#4にて、測定温度25℃で測定、粘度の測定は以下同様の方法による)は、100秒であり、上塗クリヤ塗料の粘度は、110秒であった。
【0087】実施例5は、プライマ塗装鋼板のかわりにプライマを塗装していない上記溶融亜鉛メッキ鋼板を使用して塗装を行ったものである。実施例6は、ローラーカーテン塗装法のかわりにスリット式カーテン塗装法により上塗クリヤ塗料の塗装を行なったものである。
【0088】試験塗板の作成方法(2):実施例12〜22及び比較例5〜8上記試験塗板の作成方法(1)で使用したと同様のプライマ塗装鋼板上に、前記製造例1及び2で得た各上塗着色ベース塗料と前記製造例3〜15で得た各上塗クリヤ塗料を下記表3に示す組合せにて、ダイコート塗装法により2層に重ねてダイから押出し、プライマ塗膜に上塗着色ベース塗料膜が面するように塗装した。
【0089】各塗料の塗装膜厚は、上塗着色ベース塗料層が乾燥膜厚約14μm、上塗クリヤ塗料層が乾燥膜厚約7μmとした。またダイから押出す塗料の粘度は、上塗着色ベース塗料が90秒、上塗クリヤ塗料が110秒とした。塗装後、素材到達最高温度が225℃となるように70秒間焼付けて各上塗塗装鋼板を得た。
【0090】得られた塗装鋼板について各種試験を行った。これらの試験結果を下記表2及び表3に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】表2及び表3中における試験は下記試験方法に従って行った。
【0094】試験方法塗面外観:試験塗板の塗膜の外観を目視にて評価した。塗膜に異常がなく良好なものを○、塗膜に異常が認められるものを×とした。
【0095】密着性:JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目−テ−プ法に準じて、試験板の塗膜表面にカッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作成した。その表面にセロハン粘着テ−プを密着させ、テ−プを急激に剥離した際のマス目の剥れ程度を観察し下記基準で評価した。
◎:塗膜の剥離が全く認められない○:塗膜がわずかに剥離したが、マス目は90個以上残存△:塗膜が剥離し、マス目の残存数は50個以上で90個未満。
【0096】
×:塗膜が剥離し、マス目の残存数は50個未満。
【0097】折曲げ加工性:20℃の室内において、塗面を外側にして試験板を180°折り曲げて、折曲げ部分にワレが発生しなくなるT数を目視にて評価し表示した。T数とは、折り曲げ部分の内側に何もはさまずに180°折り曲げを行った場合を0T、試験板と同じ厚さの板を1枚はさんで折り曲げた場合を1T、2枚の場合を2T、3枚の場合を3Tとした。
【0098】耐溶剤性:20℃の室内において、メチルエチルケトンをしみ込ませたガーゼにて塗面に約1kg/cm2 の荷重をかけて、約5cmの長さの間を往復させ、プライマ塗膜が見えるまでの往復回数を記録した。50回の往復でプライマ塗膜が見えないものは50<と表示した。回数の大きいほど塗膜の硬化性が良好である。
【0099】鉛筆硬度:試験塗板の塗膜について、JIS K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験を行い塗膜の傷による評価を行った。
【0100】耐傷付き性:サンドペーパー#1000のやすり面を試験塗板の塗膜表面に押し当て、約70g/cm2 の力で長さ約8cmの距離を20回往復させた後の塗面状態を塗面から20cmの距離で目視判定した。評価は下記基準にしたがって行った。
◎:塗膜に傷が全く認められない○:塗膜にわずかに傷がわずかに認められる△:塗膜にかなりの傷が認められる×:塗膜に著しい傷が認められる。
【0101】
【発明の効果】本発明塗装方法は、連続的に移動する長尺の被塗物上に、上塗着色ベース塗料膜と上塗クリヤ塗料膜とをウエットオンウエットで形成した後、両塗料膜を同時に焼付け硬化させるため、焼付け回数が増加することなく設備面での負担を大きくせずに塗膜層を一層多く形成することができる。本発明塗装方法においては、上塗着色ベース塗料膜と上塗クリヤ塗料膜とがウエットオンウエットで塗装されているため両層間の層間密着性に優れており、また上塗クリヤ塗料膜が架橋度が高く、かつ有機樹脂粉末を含有しており耐傷付き性に優れた最上層塗膜を形成できる。さらに、得られる総合塗膜は、硬度、硬化性などの塗膜性能及び塗膜外観に優れたものとできる。
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−90322
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−252563