| 【発明の名称】 |
感剤液塗布方法及び感剤液塗布装置並びに溶存酸素低減感剤液の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】青木 源久
【氏名】吉田 辰雄
|
| 【要約】 |
【課題】電子写真感光体用基材に感剤液を塗布する際に用いる感剤液塗布方法において、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止して、電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐことができるようにする。
【解決手段】電子写真感光体用基材8に感剤液を塗布するに際し、まず、酸素分圧の低い気体を感剤液と接触させることにより、感剤液中の溶存酸素を低減させておき、その後、このようにして溶存酸素を低減された感剤液を電子写真感光体用基材8に塗布するように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子写真感光体用基材に感剤液を塗布するに際し、まず、酸素分圧の低い気体を該感剤液と接触させることにより、該感剤液中の溶存酸素を低減させておき、その後、このようにして溶存酸素を低減された感剤液を該電子写真感光体用基材に塗布することを特徴とする、感剤液塗布方法。 【請求項2】 該感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、該感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気が包含されていることを特徴とする、請求項1記載の感剤液塗布方法。 【請求項3】 電子写真感光体用感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気を包含し且つ酸素分圧の低い気体を該感剤液と接触させることにより、該感剤液中の溶存酸素を低減させる溶存酸素低減手段と、該溶存酸素低減手段から供給される該溶存酸素を低減された感剤液を該電子写真感光体用基材に塗布する感剤液塗布手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、感剤液塗布装置。 【請求項4】 酸素分圧の低い気体を電子写真感光体用感剤液と接触させることにより、溶存酸素を低減させた感剤液を製造することを特徴とする、溶存酸素低減感剤液の製造方法。 【請求項5】 該感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、該感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気が包含されていることを特徴とする、請求項4記載の溶存酸素低減感剤液の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体用基材に感剤液を塗布する際に用いて好適な、感剤液塗布方法及び装置並びに溶存酸素低減感剤液の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、電子写真感光体用基材(基体)に感剤液(例えば電荷発生層用感剤液や電荷輸送層用感剤液)を塗布する方法としては、浸漬塗布,ブレード塗布,リング塗布,ノズル塗布,カーテン塗布等が知られている。これらの各塗布方法においては、塗布操作を行なった後の残存感剤液を循環して用いる場合は勿論のこと、残存感剤液を循環することなくほぼ全量を基材に塗布する場合であっても、意識的に温度を変化させない限り感剤液は空気飽和に近い状態となるため、感剤液中に酸素が溶存するのが通常である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、感剤液を構成する溶媒が不安定な場合には、感剤液中に溶存する酸素により当該溶媒が酸化され、過酸化物が生成されるという課題がある。そこで、感剤液には、通常、過酸化物の生成を防ぐために酸化防止剤が添加されているが、感剤液が繰返し空気と接触して感剤液中の溶存酸素量が飽和又はそれに近い状態になり、その状態が長期にわたると酸化防止剤が全て消費されてしまうため、その後はやはり感剤液中の溶存酸素により過酸化物が生成されるという課題がある。 【0004】また、過酸化物の生成速度を小さくすべく、意識的に温度を低下させた場合には、空気中の酸素も溶解しやすくなるため、過酸化物の生成速度は小さいものの、やはり感剤液中に溶存する酸素により過酸化物が生成されるという課題がある。ここで、過酸化物の作用は、詳細には不明であるが、例えば長期保存する間に過酸化物が生成した電荷発生層用感剤液では、調製後間もない感剤液と比較して、感剤液の粘度増加,顔料成分の凝集,電子写真用感光膜を形成した場合の特性低下が見られる。 【0005】一般に、強い酸化作用のある過酸化物ほど不安定であり、感剤液中の酸素を受容する物質と反応して、過酸化物自身は酸その他の物質に分解される。従って、感剤液中の過酸化物濃度は低下するが、このとき感剤液の受けるダメージは大きい。一方、酸化作用が弱い過酸化物は安定であり、感剤液中の酸素を受容する物質と反応しにくく、過酸化物自身の分解も少ない。そして、感剤液を構成する溶媒と溶存酸素との反応により過酸化物の生成が続けば、感剤液中の過酸化物濃度は増加することもある。しかし、このとき感剤液の受けるダメージは小さい。 【0006】このように、感剤液の受けるダメージは、生成された過酸化物の質により決まるのであり、過酸化物濃度が高ければ感剤液のダメージが大きいというわけではない。また、溶存酸素量についても同様のことが言える。即ち、感剤液を構成する溶媒が不安定な場合には、酸化速度が大きいため、感剤液中の溶存酸素量は減少する。そして、空気中の酸素の溶媒への溶解速度がそれほど大きくない場合には、溶存酸素量はあまり増加しないので、感剤液中の溶存酸素量は小さくなる。しかしながら、溶存酸素による酸化反応の結果、前述のごとく過酸化物が生成されるため、感剤液の受けるダメージは大きくなることもある。 【0007】一方、感剤液を構成する溶媒が安定である場合には、酸化速度が小さいため、感剤液中の溶存酸素量は減少しにくく、その結果、酸素は飽和に近い溶解度を示すことになる。従って、過酸化物は生成されにくく、感剤液の受けるダメージは小さい。即ち、感剤液中の溶存酸素量や生成する過酸化物の濃度が大きければ感剤液のダメージが大きいとは一概には言えるものではない。 【0008】しかしながら、過酸化物の全生成量及び過酸化物の分解により酸化される物質の全量は、感剤液へ溶解する酸素量と密接な関係がある。即ち、感剤液へ溶解する酸素量が少なければ過酸化物の全生成量は少なく、過酸化物の分解により酸化される物質の全量も少なくなると考えられる。本発明は、上述したような課題に鑑み創案されたもので、感剤液へ溶解する酸素量を減少させることにより、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止して、電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐようにした、感剤液塗布方法及び装置を提供することを目的とするとともに、更には、溶存酸素低減感剤液の製造方法を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】このため、本発明の感剤液塗布方法は、電子写真感光体用基材に感剤液を塗布するに際し、まず、酸素分圧の低い気体を該感剤液と接触させることにより、該感剤液中の溶存酸素を低減させておき、その後、このようにして溶存酸素を低減された感剤液を該電子写真感光体用基材に塗布することを特徴としている(請求項1)。 【0010】このとき、該感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、該感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気を包含させてもよい(請求項2)。また、本発明の感剤液塗布装置は、電子写真感光体用感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気を包含し且つ酸素分圧の低い気体を該感剤液と接触させることにより、該感剤液中の溶存酸素を低減させる溶存酸素低減手段と、該溶存酸素低減手段から供給される該溶存酸素を低減された感剤液を該電子写真感光体用基材に塗布する感剤液塗布手段とをそなえて構成されたことを特徴としている(請求項3)。 【0011】さらに、本発明の溶存酸素低減感剤液の製造方法は、酸素分圧の低い気体を電子写真感光体用感剤液と接触させることにより、溶存酸素を低減させた感剤液を製造することを特徴としている(請求項4)。このときも、該感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、該感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気を包含させてもよい(請求項5)。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、発明の主旨を越えない限り、以下の説明に限定されるものではない。 (a)第1実施形態の説明図1は本発明の第1実施形態にかかる感剤液塗布装置の構成を示す模式図であり、この図1に示す感剤液塗布装置15は、電子写真感光体用基体(電子写真感光体用基材)8に感剤液(例えば電荷発生層用感剤液や電荷輸送層用感剤液)を塗布するために用いられるものである。 【0013】本発明の第1実施形態にかかる感剤液塗布装置15は、浸漬塗布方法が適用されるものであり、図1に示すように、感剤液塗布機構1,感剤液貯留槽2及び飽和気体生成槽9をそなえて構成されている。ここで、感剤液塗布機構1は、実際に基体8に感剤液を塗布する部位であり、感剤液を保持する浸漬槽10,浸漬槽10からオーバーフローした感剤液を受ける感剤液受け樋12により構成されている。 【0014】なお、浸漬槽10の底部には感剤液導入口11が形成され、感剤液受け樋12の底部には感剤液排出口13が形成されている。そして、感剤液排出口13は、配管3により感剤液貯留槽2と接続されている。また、感剤液貯留槽2は、感剤液塗布機構1からオーバーフローした感剤液を保持するとともに、この感剤液中の溶存酸素を低減させる部位であり、濃度均一化槽2a,溶存酸素低減槽2b及び溶存酸素低減感剤液保持槽2cから構成されている。 【0015】なお、符号21a,21bは、ともに各槽を隔てる隔壁を示しているが、隔壁21bの下部には、図1に示すようにフィルタ21cが付着され、この隔壁21b及びフィルタ21cにより各槽を隔てるように構成されている。なお、フィルタ21cは、溶存酸素低減槽2bからの感剤液を透過させる一方、感剤液中の気泡の透過を防ぐものである。 【0016】ここで、濃度均一化槽2aは、感剤液塗布機構1の感剤液排出口13から配管3を介して流入した感剤液を保持し、攪拌装置7にて槽内を攪拌することにより、感剤液の濃度を均一化する部位である。また、溶存酸素低減槽2bは、濃度均一化槽2aからオーバーフローした感剤液を保持し、飽和気体生成槽9からの気体を吹き込むことにより、感剤液中の溶存酸素を低減させる部位である。 【0017】即ち、溶存酸素低減槽2bは、飽和気体生成槽9からの酸素成分の少ない気体を感剤液と接触させることにより、感剤液中の溶存酸素を低減させる溶存酸素低減手段として機能するものである。なお、溶存酸素を低減させる原理については、後述にて詳細に説明する。また、溶存酸素低減感剤液保持槽2cは、溶存酸素低減槽2bでの処理が施された後の感剤液がフィルタ21cを通じて流入すると、これを保持する部位である。 【0018】なお、溶存酸素低減感剤液保持槽2cの底部には感剤液排出口22が形成され、感剤液排出口22は、ポンプ4,配管5及びバルブ6を介して、感剤液塗布機構1の感剤液導入口11と接続されている。そして、溶存酸素低減感剤液保持槽2cからの感剤液が、感剤液塗布機構1の浸漬槽10に供給されるように構成されている。 【0019】従って、前述した感剤液塗布機構1は、溶存酸素低減手段としての溶存酸素低減槽2bから供給される溶存酸素を低減された感剤液を、基体8に塗布する感剤液塗布手段として機能するのである。ところで、飽和気体生成槽9は、酸素分圧の低い気体を感剤液を調製する際に使用する溶媒Aの蒸気で飽和させることにより、前述のごとく感剤液貯留槽2にて溶存酸素を低減させる際に用いる気体を生成するものである。 【0020】ここで、飽和気体生成槽9には、感剤液を調製する際に使用する溶媒であって、感剤液の構成成分である溶媒Aが保持され、この溶媒A中に配管27が挿入されている。また、配管27の先端には、多孔ノズル26が固着されており、配管27からの気体が、多孔ノズル26にて分散されて、溶媒Aに吹き込まれるように構成されている。 【0021】ここで、配管27からは、酸素分圧の低い気体、即ち、酸素を成分としてほとんど含んでいない気体が吹き込まれる。酸素分圧の低い気体としては、例えば窒素ガス,炭酸ガス,アルゴン等の不活性ガスが用いることができるが、第1実施形態では、酸素分圧の低い気体として、窒素ガスを用いた場合について説明する。なお、窒素ガスは、圧力調製されて図示しないタンクから配管27へ送出される。 【0022】そして、配管27から吹き込まれた気体は、溶媒Aの蒸気で飽和された後に、飽和気体生成槽9の上部に接続された配管24を通じて放出されるように構成されている。さらに、この配管24は、感剤液貯留槽2の溶存酸素低減槽2bに挿入されており、配管24の先端には、多孔ノズル23が固着されている。そして、配管24からの気体が、多孔ノズル23にて分散されて、感剤液に吹き込まれるように構成されている。 【0023】なお、感剤液塗布装置15を実際に使用する際には、感剤液塗布機構1の浸漬槽10に、感剤液をオーバーフロー直前まで注入しておく。また、感剤液貯留槽2の濃度均一化槽2aに感剤液を注入して満タンにした後、更に感剤液を注入してオーバーフローさせ、溶存酸素低減槽2bに感剤液を注入する。そして、溶存酸素低減槽2bに注入された感剤液をフィルタ21cを通じて溶存酸素低減槽2bの底部から流出させ、溶存酸素低減感剤液保持槽2cに感剤液が半分程度溜まるようにしておく。 【0024】さらに、飽和気体生成槽9には、感剤液の構成成分である溶媒Aを、飽和気体生成槽9の容積の50〜70%程度投入しておく。上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる感剤液塗布装置15においては、基体8に感剤液を塗布するに際し、まず、感剤液貯留槽2の溶存酸素低減槽2bにて、飽和気体生成槽9からの気体を感剤液と接触させることにより、感剤液中の溶存酸素が低減される。 【0025】その後、このようにして溶存酸素を低減された感剤液(溶存酸素低減感剤液)が感剤液塗布機構1の浸漬槽10に供給され、浸漬槽10では、この溶存酸素低減感剤液を用いて基体8の塗布が行なわれる。このときの感剤液塗布装置15における動作を、更に詳細に説明する。まず、ポンプ4を作動させると、溶存酸素低減感剤液保持槽2c内の溶存酸素が低減された感剤液は、配管5及びバルブ6を通じて、感剤液塗布機構1の浸漬槽10に注入される。 【0026】そして、浸漬槽10では、ポンプ4から吐出された感剤液により、浸漬槽10内の感剤液がオーバーフローし、オーバーフローした感剤液は、配管3を通じて感剤液貯留槽2の濃度均一化槽2aに流入する。さらに、濃度均一化槽2aでは、流入した感剤液により、濃度均一化槽2a内の感剤液がオーバーフローし、オーバーフローした感剤液は、溶存酸素低減槽2bに流入して、以下のようにして溶存酸素が低減される。 【0027】まず、飽和気体生成槽9では、圧力調製された窒素ガスが配管27から吹き込まれると、当該窒素ガスは、多孔ノズル26にて小さな気泡に分散された後に、溶媒Aに吹き込まれる。そして、多孔ノズル26にて分散された窒素ガスは、溶媒Aの蒸気で飽和され、溶媒飽和した窒素ガス(即ち、溶媒Aの蒸気を包含した窒素ガス)が、配管24を通じて感剤液貯留槽2の溶存酸素低減槽2bに送出される。 【0028】さらに、溶存酸素低減槽2bでは、配管24からの溶媒飽和した窒素ガスは、多孔ノズル23にて小さな気泡に分散された後に、溶存酸素低減槽2b中の感剤液に吹き込まれる。当該窒素ガスが感剤液に吹き込まれると、吹き込まれた窒素ガスは、感剤液中に溶存しているガス成分との間でガス交換し、酸素成分の少ない窒素ガスとの間でほぼ溶解平衡に達した後、溶存酸素低減槽2bから排出される。 【0029】即ち、酸素分圧の低い窒素ガスが感剤液に接触すると、溶解平衡により、感剤液中の溶存酸素が窒素ガス中に放出されるため、感剤液中の溶存酸素量が低減される。このとき、窒素ガスは溶媒飽和しているので、感剤液中の溶媒成分は窒素ガス中に放出されず、感剤液の濃度は変化しない。なお、溶存酸素低減槽2bから排出された気体(感剤液中から放出された溶存酸素を含む窒素ガス)は、感剤液貯留槽2の外部で排ガス捕集器で捕集され、排ガス処理塔を経て排気される(排ガス捕集器,排ガス処理塔は、ともに図示せず)。 【0030】また、溶存酸素低減槽2bにて脱酸素された感剤液は、フィルタ21cを通じて溶存酸素低減感剤液保持槽2cへ流入する。そして、上述の動作を繰り返すことにより、溶存酸素低減感剤液保持槽2c内の脱酸素された感剤液は、感剤液塗布装置15内を循環する。このような状況下において、感剤液塗布機構1では、基体8が、浸漬槽10に浸漬された後に引き上げられて、浸漬塗布が行なわれる。 【0031】ここで、基体8の浸漬塗布を行なう際や感剤液が浸漬槽10等からオーバーフローする際には、感剤液が空気と接触するため空気中の酸素が溶解するが、溶存酸素低減槽2bにおける脱酸素速度は空気中の酸素の溶解速度を上回っているため、感剤液塗布機構1にて塗布を行なう際に用いる感剤液中の溶存酸素濃度を低くすることができる。 【0032】このように本発明の第1実施形態にかかる感剤液塗布装置15によれば、酸素分圧の低い気体を感剤液と接触させて感剤液中の溶存酸素を低減させることにより、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止することができ、ひいては電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐことができる。 【0033】また、感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気が包含されていることにより、感剤液の濃度変化を防ぐことができる。 (b)第2実施形態の説明図2は本発明の第2実施形態にかかる感剤液塗布装置の構成を示す模式図であり、この図2に示す感剤液塗布装置30も、電子写真感光体用基体(電子写真感光体用基材)31に感剤液(例えば電荷発生層用感剤液や電荷輸送層用感剤液)を塗布するために用いられるものである。 【0034】本発明の第2実施形態にかかる感剤液塗布装置30は、ブレード塗布方法が適用されるものであり、図2に示すように、感剤液塗布機構46,感剤液貯留槽50及び飽和気体生成槽58をそなえて構成されている。感剤液塗布機構46は、実際に基体31に感剤液を塗布する部位であり、基体31を水平に支持して回転させる駆動機構46aと、基体31の軸方向に移動して基体31の表面に感剤液を供給する感剤液供給機構46bにより構成されている。 【0035】ここで、駆動機構46aは、所定間隔を隔てて左右に垂直に配置された一対の軸受付き支持プレート32,各支持プレート32の上部にそれぞれ設けられた軸受を介して水平に配置された回転軸33,一方の回転軸33に固設されたタイミングプーリー34,プーリー駆動モーター35,プーリー駆動モーター35の回転をプーリー34に伝達するタイミングベルト36から構成されている。 【0036】また、基体31には、その両端にフランジ37が装着されている。なお、フランジ37には、その中心部に回転軸33を嵌合固定するための嵌合孔が設けられ、その嵌合孔が基体31の軸芯に合うように装着される。そして、基体31は、両回転軸33の間に配置されて、各フランジ37の中心孔に回転軸33が嵌合固定され、プーリー駆動用モーター35を駆動させることにより回転するように構成されている。 【0037】また、感剤液供給機構46bは、所定間隔を隔てて左右に垂直に配置された一対の支持プレート38,一対の支持プレート38間に配置された2本の案内ロッド39,一対の支持プレート38間且つ案内ロッド39間に配置され一端が支持プレート38から突出するボールネジ40,ボールネジ40の支持プレート38から突出した端部に固設されたプーリー41,プーリー駆動用モーター42,プーリー駆動用モーター42の回転をプーリー41に伝達するタイミングベルト43,一対の支持プレート38間に配置された移動体44から構成されている。 【0038】また、移動体44は、案内ロッド39用嵌合孔と当該嵌合孔の中央に設けられたボールネジ40を嵌合するボールネジ用軸受部とを通して、一対の支持プレート38間に配置されており、感剤液貯留槽50から供給される感剤液を吐出するノズル48をそなえている。なお、ノズル48は、ヘッダー49に固定されている。 【0039】さらに、ノズル48の基体31との接触側端部には、平滑化部材として機能するブレード(図示せず)が設けられ、ノズル48から吐出された感剤液がこのブレードにより均一にされて、一様な膜厚となるように構成されている。ところで、感剤液貯留槽50は、感剤液を保持するとともに、この感剤液中の溶存酸素を低減させる部位であり、溶存酸素低減槽50b及び溶存酸素低減感剤液保持槽50cから構成されている。なお、符号52は蓋部材を示す。 【0040】ここで、51aは各槽を隔てる隔壁であり、この隔壁51aの下部には、図2に示すようにフィルタ51bが付着され、この隔壁51a及びフィルタ51bにより各槽を隔てるように構成されている。なお、フィルタ51bは、溶存酸素低減槽50bからの感剤液を透過させる一方、感剤液中の気泡の透過を防ぐものである。 【0041】また、溶存酸素低減槽50bは、感剤液を保持するとともに、飽和気体生成槽58からの気体を吹き込むことにより、感剤液中の溶存酸素を低減させる部位である。即ち、溶存酸素低減槽50bは、飽和気体生成槽58からの気体を感剤液と接触させることにより、感剤液中の溶存酸素を低減させる溶存酸素低減手段として機能するものである。 【0042】さらに、溶存酸素低減感剤液保持槽50cは、溶存酸素低減槽50bでの処理が施された後の感剤液がフィルタ51bを通じて流入すると、これを保持する部位である。なお、溶存酸素低減感剤液保持槽50cの底部には感剤液排出口50dが形成され、感剤液排出口50dは、配管53を介してポンプ47と接続されている。 【0043】そして、溶存酸素低減感剤液保持槽50cからの感剤液が、ポンプ47及び配管45を通じて、感剤液塗布機構46の感剤液供給機構46bに供給されるように構成されている。従って、感剤液塗布機構46は、溶存酸素低減手段としての溶存酸素低減槽50bから供給される溶存酸素を低減された感剤液を、基体31に塗布する感剤液塗布手段として機能するのである。 【0044】なお、ポンプ47は、ノズル48が末端に達すると同時に停止されるが、必要であればポンプ47と同期してON−OFFする弁を、ヘッダー49の近傍に設けてもよい。また、飽和気体生成槽58は、酸素分圧の低い気体を感剤液を調製する際に使用する溶媒Aの蒸気で飽和させることにより、前述のごとく感剤液貯留槽50にて溶存酸素を低減させる際に用いる気体を生成するものであり、第1実施形態における飽和気体生成槽9と同様の構成を有するものである。 【0045】即ち、飽和気体生成槽58には、感剤液の構成成分である溶媒Aが保持され、この溶媒A中に配管57が挿入されている。また、配管57の先端には、多孔ノズル56が固着されており、配管57から吹き込まれた酸素分圧の低い気体(第2実施形態でも窒素ガスを用いた場合について説明する)が、多孔ノズル56にて分散されて、溶媒Aに吹き込まれるように構成されている。 【0046】そして、配管57から吹き込まれた気体は、溶媒Aの蒸気で飽和された後に、飽和気体生成槽58の上部に接続された配管55を通じて放出されるように構成されている。さらに、この配管55は、感剤液貯留槽50の溶存酸素低減槽50bに挿入されており、配管55の先端には、多孔ノズル54が固着されている。そして、配管55からの気体が、多孔ノズル54にて分散されて、感剤液に吹き込まれるように構成されている。 【0047】上述の構成により、本発明の第2実施形態にかかる感剤液塗布装置30においては、基体31に感剤液を塗布するに際し、まず、感剤液貯留槽50の溶存酸素低減槽50bにて、飽和気体生成槽58からの気体を感剤液と接触させることにより、感剤液中の溶存酸素が低減される。その後、このようにして溶存酸素を低減された感剤液(溶存酸素低減感剤液)が感剤液塗布機構46の感剤液供給機構46bに供給され、感剤液塗布機構46では、この溶存酸素低減感剤液を用いて基体31の塗布が行なわれる。 【0048】このときの感剤液塗布装置30における動作を、更に詳細に説明する。まず、飽和気体生成槽58では、圧力調製された窒素ガスが配管57から吹き込まれると、当該窒素ガスは、多孔ノズル56にて小さな気泡に分散された後に、溶媒Aに吹き込まれる。そして、多孔ノズル56にて分散された窒素ガスは、溶媒Aの蒸気で飽和され、溶媒飽和した窒素ガス(即ち、溶媒Aの蒸気を包含した窒素ガス)が、配管55を通じて感剤液貯留槽50の溶存酸素低減槽50bに送出される。 【0049】さらに、溶存酸素低減槽50bでは、配管55からの溶媒飽和した窒素ガスは、多孔ノズル54にて小さな気泡に分散された後に、溶存酸素低減槽50b中の感剤液に吹き込まれる。そして、溶媒飽和した窒素ガスが感剤液に吹き込まれると、第1実施形態にて詳述したように、溶解平衡により感剤液中の溶存酸素が窒素ガス中に放出されるため、感剤液中の溶存酸素量が低減される。 【0050】さらに、溶存酸素低減槽50bにて脱酸素された感剤液は、フィルタ51bを通じて溶存酸素低減感剤液保持槽50cへ流入した後、感剤液塗布機構46の感剤液供給機構46bに供給される。そして、感剤液塗布機構46では、供給された感剤液が感剤液供給機構46bのノズル48の開口部から基体31の表面に吐出され、図示しないブレードにより均一にされ、一様な膜厚となってブレードから離脱することにより、ブレード塗布が行なわれる。 【0051】なお、基体31は、塗布された後しばらく回転され、自然乾燥(風乾)した後に、駆動機構46aから取り外される。ここで、第2実施形態にかかる感剤液塗布装置30においても、感剤液貯留槽50の溶存酸素低減槽50bにて感剤液中の溶存酸素を低減させているので、感剤液塗布機構46にて塗布を行なう際に用いる感剤液中の溶存酸素濃度を低くすることができる。 【0052】このように本発明の第2実施形態にかかる感剤液塗布装置30によっても、酸素分圧の低い気体を感剤液と接触させて感剤液中の溶存酸素を低減させることにより、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止して、電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐことができる。また、感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気が包含されていることにより、感剤液の濃度変化を防ぐこともできる。 【0053】(c)第3実施形態の説明図3は本発明の第3実施形態にかかる溶存酸素低減感剤液の製造装置の構成を示す模式図であり、この図3に示す製造装置70は、酸素分圧の低い気体を電子写真感光体用感剤液(例えば電荷発生層用感剤液や電荷輸送層用感剤液)と接触させることにより、溶存酸素を低減させた感剤液を製造するものであり、感剤液貯留槽60及び飽和気体生成槽64をそなえて構成されている。 【0054】ここで、感剤液貯留槽60は、感剤液を保持するものであり、例えば、感剤液保存用の石油缶などが用いられる。さらに、この感剤液貯留槽60は、飽和気体生成槽64からの気体が吹き込まれ、感剤液貯留槽60内にて感剤液中の溶存酸素が低減されるように構成されている。 【0055】また、飽和気体生成槽64は、酸素分圧の低い気体を感剤液を調製する際に使用する溶媒Aの蒸気で飽和させることにより、感剤液貯留槽60にて溶存酸素を低減させる際に用いる気体を生成するものであり、第1実施形態における飽和気体生成槽9と同様の構成を有するものである。即ち、飽和気体生成槽64には、感剤液の構成成分である溶媒Aが保持され、この溶媒A中に配管66が挿入されている。 【0056】また、配管66の先端には、多孔ノズル65が固着されており、配管66から吹き込まれた酸素分圧の低い気体(第3実施形態でも窒素ガスを用いた場合について説明する)が、多孔ノズル65にて分散されて、溶媒Aに吹き込まれるように構成されている。そして、配管66から吹き込まれた気体は、溶媒Aの蒸気で飽和された後に、飽和気体生成槽64の上部に接続された配管62を通じて放出されるように構成されている。 【0057】さらに、この配管62は、感剤液貯留槽60に挿入されており、配管62の先端には、多孔ノズル61が固着されている。そして、配管62からの気体が、多孔ノズル61にて分散されて、感剤液に吹き込まれるように構成されている。なお、多孔ノズル61は感剤液貯留槽60の開口部から取り出せるような形状を有している。 【0058】ここで、配管62及び多孔ノズル61は、図3に示すように、固定用蓋部材63と一体に形成され、感剤液貯留槽60への挿入/取り出しが容易となるように構成されている。なお、感剤液貯留槽60内の感剤液の溶存酸素量が低減した後(即ち、溶存酸素低減感剤液の製造が終了した後)は、感剤液貯留槽60から固定用蓋部材63が取り除かれ、ガスバリヤー性を有する内蓋と通気性を有し内蓋を固定するための外蓋とが嵌められ、感剤液が溶存酸素量が低い状態で保存されるようになっている。 【0059】ここで、ガスバリヤー性を有する内蓋は、通常の内蓋と同様の形状のものであるが、耐溶剤性を有するポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフィルムと、ガスバリヤー性を有するポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリフッ化ビニリデン等のフィルムとを積層させてなる50μm程度の膜厚のシートを、樹脂や金属等の板部材の表面に積層して、この板部材に加熱・打抜き処理を施すことにより作製される。 【0060】上述の構成により、本発明の第3実施形態にかかる溶存酸素低減感剤液の製造装置70においては、飽和気体生成槽64からの酸素分圧の低い気体を、感剤液貯留槽60内の感剤液と接触させることにより、溶存酸素を低減させた感剤液が製造される。即ち、圧力調製された窒素ガスが配管66から吹き込まれると、飽和気体生成槽64では、当該窒素ガスは、多孔ノズル65にて小さな気泡に分散された後に、溶媒Aに吹き込まれる。 【0061】そして、多孔ノズル65にて分散された窒素ガスは、溶媒Aの蒸気で飽和され、溶媒飽和した窒素ガス(即ち、溶媒Aの蒸気を包含した窒素ガス)が、配管62を通じて感剤液貯留槽60に送出される。さらに、感剤液貯留槽60では、配管62からの窒素ガスは、多孔ノズル61にて小さな気泡に分散された後に、感剤液貯留槽60中の感剤液に吹き込まれる。 【0062】そして、溶媒飽和した窒素ガスが感剤液に吹き込まれると、第1実施形態にて詳述したように、溶解平衡により感剤液中の溶存酸素が窒素ガス中に放出されるため、感剤液中の溶存酸素量が低減され、その結果、溶存酸素を低減させた感剤液が製造される。このように本発明の第3実施形態にかかる溶存酸素低減感剤液の製造装置70によれば、酸素分圧の低い気体を感剤液と接触させて感剤液中の溶存酸素を低減させることにより、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止して、電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐことができる。 【0063】また、感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体に、感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気が包含されていることにより、感剤液の濃度変化を防ぐことができる。 【0064】 【実施例】さらに、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 (d)実施例1実施例1では、図3に示す溶存酸素低減感剤液の製造装置を用いた場合について説明する。 (1)電子写真感光体用感剤液の作製まず、下記の一般式(A)に示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部に対して、ジメトキシエタン(DME)200重量部を加え、サンドグラインドミルにて10時間粉砕・分散処理を行なった。 【0065】 【化1】
【0066】(式中、Xはハロゲン原子を表わし、nは0から1までの数を表わす)そして、これを、ポリビニルブチラール〔電気化学工業(株)製デンカブチラール#−6000C〕5重量部の10%ジメトキシエタン溶液と混合して、電子写真感光体用感剤液(電子写真感光体電荷発生層用分散液)を作製した。なお、作製直後の当該溶液の粘度は2.0cpであり、顔料成分の凝集は観察されなかった。 (2)電子写真感光体用感剤液の溶存酸素低減処理図3に示す飽和気体生成槽64として、直径100mmで高さ300mmのステンレス製蓋付きシリンダーを用い、このシリンダーに1.5リットルのジメトキシエタン(感剤液の構成成分である溶媒)を投入して、この溶液中に多孔ノズル65付き配管66を挿入した。 【0067】ここで、多孔ノズル65は、内径5mmφ(φは直径を意味する、以下同じ),外径10mmφのステンレスパイプを曲げて外径90mmφのリングを形成し、リングの上曲面部に1mmφの小穴を約15mm間隔で20個程度設けることにより構成される。また、配管66としては、多孔ノズル65と同じサイズのステンレスパイプを用い、多孔ノズル65と配管66とを溶接により固着した。 【0068】一方、感剤液貯留槽60に挿入される多孔ノズル61は、内径5mmφ,外径10mmφのステンレスパイプの一方の先端を閉じ、水平部の長さが約200mmになるようにRを付けて曲げ、水平部の上曲面部に1mmφの小穴を約10mm間隔で20個程度設けることにより構成される。また、配管62としては、前記ステンレス製蓋付きシリンダーのガス排出管を用い、上記多孔ノズル61と配管62とを結合するとともに、結合された配管62及び多孔ノズル61を固定用蓋部材63と一体化した(図3参照)。 【0069】さらに、感剤液貯留槽60として18リットル石油缶を用い、この石油缶に上述の(1)にて作製された感剤液15リットルを投入して、石油缶の開口部に上記一体化された固定用蓋部材63を取り付けた。このような状態において、飽和気体生成槽64に、多孔ノズル65付き配管66から、酸素濃度約2ppmの窒素ガスを30リットル(ノルマル)/分で吹き込んで、ジメトキシエタンの蒸気(感剤液の構成成分である溶媒の蒸気)で飽和した窒素ガスを発生させ、当該窒素ガスを感剤液貯留槽60に吹き込むことにより、感剤液貯留槽60における感剤液の溶存酸素低減処理を行なった。 【0070】感剤液の溶存酸素低減処理は約1時間行ない、その後、石油缶の開口部から上記固定用蓋部材63を取り外して、ガスバリヤー性を有する内蓋と内蓋を固定するための外蓋を嵌めて、室温で3ヵ月間保存した。なお、ガスバリヤー性を有する内蓋は、耐溶剤性を有するフィルムとガスバリヤー性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとを積層させてなる膜厚50μmのシートを、板厚1mmのポリエチレン板(板部材)の表面に積層して、加熱・打抜き処理を施すことにより作製した。 【0071】3ヵ月間保存後の感剤液を石油缶から取り出して粘度を測定したところ、作製直後の感剤液の粘度とほとんど同じであった。また、感剤液の分散状態を観察したが、作製直後の感剤液の場合と同様に顔料成分の凝集は観察されなかった。 (3)比較例1上述の(1)にて作製した感剤液を石油缶に投入し、(2)における溶存酸素低減処理を施すことなく、そのままガスバリヤー性を有しない通常の内蓋及び内蓋を固定するための外蓋を嵌めて、室温で3ヵ月間保存した。 【0072】3ヵ月保存後の感剤液を石油缶から取り出して粘度を測定したところ、3cpであり、溶存酸素低減処理を施したものより粘度が大きくなっていた。また、感剤液の分散状態を観察したところ、溶存酸素低減処理を施したものに比して幾分凝集があるように思われた。 (e)実施例2実施例2では、図1に示す感剤液塗布装置を用いた場合について説明する。 【0073】図1に示す浸漬槽10として、直径100mmで高さ400mmの浸漬塗布バスを用い、溶存酸素低減処理が施された感剤液(溶存酸素低減感剤液)を満タンになるまで注入した。なお、当該感剤液としては、上述した実施例1の(2)にて説明した溶存酸素低減処理を約1時間行なった後、15日間保存したものを用いた。 【0074】また、感剤液貯留槽2の濃度均一化槽2a,溶存酸素低減槽2b,溶存酸素低減感剤液保持槽2cは、それぞれ容積を4リットル,2リットル,2リットルとし、当該感剤液を、濃度均一化槽2aには4リットル、溶存酸素低減槽2b及び溶存酸素低減感剤液保持槽2cにはそれぞれ1.2リットル注入した。また、溶存酸素低減槽2bに、多孔ノズル23付き配管24を挿入した。なお、多孔ノズル23付き配管24としては、上述した実施例1の(2)における多孔ノズル65付き配管66(図3参照)と同様のものを用いた。 【0075】さらに、飽和気体生成槽9として、上述した実施例1の(2)における飽和気体生成槽64(図3参照)と同様のものを用いた。そして、感剤液塗布装置15の各槽に導入された感剤液を、流速1.8リットル/分で循環させた。このような状態において、感剤液塗布装置15の感剤液塗布機構1においては、直径80mmで高さ360mmの基体8を浸漬槽10に浸漬して、300mm/分の速さで引き上げることにより、浸漬塗布を行なった。 【0076】これと同時に、飽和気体生成槽9に、多孔ノズル26付き配管27から、窒素ガスを吹き込んで、溶媒蒸気で飽和した窒素ガスを発生させ、当該窒素ガスを感剤液貯留槽2の溶存酸素低減槽2bに吹き込むことにより、溶存酸素低減槽2bにおける感剤液の溶存酸素低減処理を行なった〔上述した実施例1の(2)参照〕。 【0077】基体8の浸漬塗布を50本分行なった後、感剤液塗布装置15内で循環して使用された感剤液を、図示しない抜きバルブから石油缶に抜き取り、ガスバリヤー性を有する内蓋と内蓋を固定するための外蓋を嵌めて、室温で1.5カ月間保存した。なお、石油缶,ガスバリヤー性を有する内蓋及び内蓋を固定するための外蓋は、上述した実施例1の(2)におけるものと同様のものを用いた。 【0078】1.5ヵ月間保存後の感剤液を石油缶から取り出して粘度を測定したところ、2.1cpであり、作製直後の感剤液の粘度とほぼ同じであった。また、感剤液の分散状態を観察したが、作製直後の感剤液の場合と同様に顔料成分の凝集は観察されなかった。さらに、塗布後の基体に欠陥は発生しなかった。 (1)比較例2上述した実施例2と異なるのは、浸漬塗布を行なう際に、溶媒蒸気で飽和した窒素ガスを溶存酸素低減槽2bに吹き込まず、溶存酸素低減槽2bにおける感剤液の溶存酸素低減処理を行なわなかった点のみである。 【0079】同様の塗布操作終了後、同様に石油缶に抜き取って、ガスバリヤー性を有する内蓋と内蓋を固定するための外蓋を嵌めて、室温で1.5ヵ月間保存した。1.5ヵ月間保存後の感剤液を石油缶から取り出して粘度を測定したところ、2.8cpであり、溶存酸素低減処理を施したものより粘度が大きくなっていた。また、感剤液の分散状態を観察したところ、いくらか顔料成分の凝集も観察された。 【0080】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5記載の本発明によれば、酸素分圧の低い気体を感剤液と接触させて、感剤液中の溶存酸素を低減させることにより、過酸化物の生成及び過酸化物による感剤液の変質を防止することができ、ひいては電子写真感光体用感光膜を形成した場合の特性の変化を防ぐことができる利点がある。 【0081】また、請求項2,3,5記載の本発明によれば、感剤液中の溶存酸素を低減させる際に使用する気体が、感剤液を調製する際に使用する溶媒の蒸気を包含しているため、感剤液の濃度変化を防ぐことができる利点がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005968 【氏名又は名称】三菱化学株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】真田 有
|
| 【公開番号】 |
特開平11−90312 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−258796 |
|