トップ :: B 処理操作 運輸 :: B05 霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般




【発明の名称】 自動車塗装用乾燥炉
【発明者】 【氏名】田中 修

【氏名】風間 重徳

【氏名】久保田 加代

【要約】 【課題】自動車塗装用乾燥炉の被塗物搬入・搬出口からの熱放射が殆ど無く、また高速での熱風供給ができ、被塗物との熱交換率に優れ、通常の被塗物の焼付け温度より若干(10〜20℃)高い熱風の供給で足り、少ない熱量で焼付けが行え、エネルギー損失も少なく、塗装仕上がり品質に優れ、ゴミや高い熱風温度に起因する塗装不具合の発生を効果的に防止することのできる新規な構造を有する自動車塗装用乾燥炉を提供する。

【解決手段】被塗物を上下方向に搬送しつつ焼き付ける構造を有してなる自動車塗装用の乾燥炉である。なかでも、■乾燥炉の上下方向に被塗物高さよりも大きな区切りの水平方向のゾーンに分け、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構が設けられ、■乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造を有し、■連続回転する炉内搬送装置と、被塗物の乗せ換え行うステージと、該ステージにて該炉内搬送装置に同期して床面部に敷設された塗装搬送装置と該炉内搬送装置との間で被塗物を乗せ換える機構とを設けており、■台車を炉内の上下方向に流さない構造を有して乾燥炉が望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被塗物を上下方向に搬送しつつ焼き付ける構造を有してなる自動車塗装用の乾燥炉。
【請求項2】 乾燥炉の上下方向に被塗物高さよりも大きな区切りの水平方向のゾーンに分け、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構が設けれらていることを特徴とする請求項1に記載の自動車塗装用の乾燥炉。
【請求項3】 乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造を有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車塗装用の乾燥炉。
【請求項4】 連続回転する炉内搬送装置と、被塗物の乗せ換え行うステージと、該ステージにて該炉内搬送装置に同期して、床面部に敷設された塗装搬送装置と該炉内搬送装置との間で被塗物を乗せ換える機構と、を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車塗装用乾燥炉。
【請求項5】 台車を炉内の上下方向に流さない構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車塗装用乾燥炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な構造を有する自動車塗装用乾燥炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車塗装用の乾燥炉は、平型または山型と称される横長乾燥炉が一般に多く使われている。こうした横長乾燥炉では、炉内床面部に設置されたコンベア上の台車に乗せられて水平方向に搬送される被塗物(塗料塗布後の自動車車体)に、フィルターを通した熱風を送風し、下塗り工程では160〜170℃(車体温度)×20分、中塗り及び上塗り工程では140℃(車体温度)×20分を基準に乾燥を行っている。また、一般に暖められた空気(熱風)ほど単位容積あたりの比重が小さく重量が軽いため上昇するので、平型または山型の横長乾燥炉では、熱風を乾燥炉内に送る際は、熱風は上部に溜まることにより炉内の空気バランスが崩れるのを防止し、一様な温度バランスが保たれるように、炉内下部(床面部)より熱風を吹き出し、炉内上部(天井部)から吸い込む構造が一般的であるが、こうした場合、台車などの搬送装置に付着して炉内に同伴されるゴミを舞い上がらせるのを助長することになるため、乾燥炉床面部や台車などからのゴミの舞い上がりによる塗装不良防止を考慮して、かなり遅い風速(炉内吹き出し部の風速で1m/s程度)で送風しているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした平型または山型の横長乾燥炉の特徴として、乾燥炉の被塗物搬入・搬出口からの熱放射が多く、また低速での熱風供給のため被塗物との熱交換率も悪く多量の熱量が必要になり、通常の被塗物の焼付け温度より40〜50℃高い熱風を送っている。
【0004】この結果、エネルギー損失も多く、塗装仕上がり品質としても熱風温度が高いための不具合として黄変(特に白色塗装した車体)やワキ不良などの発生要因の一つとなっている。
【0005】そこで、本発明の目的は、従来の平型または山型構造の横長乾燥炉における構造上の多くの欠点をすべて解決してなる極めて新規な構造を有する自動車塗装用乾燥炉を提供するものである。
【0006】また、本発明の目的は、自動車塗装用乾燥炉の被塗物搬入・搬出口からの熱放射が殆ど無く、また高速での熱風供給ができ、被塗物との熱交換率に優れ、通常の被塗物の焼付け温度より若干(10〜20℃)高い熱風の供給で足り、少ない熱量で焼付けが行え、エネルギー損失も少なく、塗装仕上がり品質に優れ、ゴミや高い熱風温度に起因する塗装不具合の発生を効果的に防止することのできる新規な構造を有する自動車塗装用乾燥炉を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、各請求項毎に次のように構成される。
【0008】請求項1に記載の発明は、被塗物を上下方向に搬送しつつ焼き付ける構造を有してなる自動車塗装用の乾燥炉である。
【0009】請求項2に記載の発明は、乾燥炉の上下方向に被塗物高さよりも大きな区切りの水平方向のゾーンに分け、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構が設けれらていることを特徴とする請求項1に記載の自動車塗装用の乾燥炉である。
【0010】請求項3に記載の発明は、乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造を有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車塗装用の乾燥炉である。
【0011】請求項4に記載の発明は、連続回転する炉内搬送装置と、被塗物の乗せ換え行うステージと、該ステージにて該炉内搬送装置に同期して床面部に敷設された塗装搬送装置と該炉内搬送装置との間で被塗物を乗せ換える機構とを設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車塗装用乾燥炉である。
【0012】請求項5に記載の発明は、台車を炉内の上下方向に流さない構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車塗装用乾燥炉である。
【0013】
【発明の効果】以上のように構成された本発明によれば、各請求項毎に次のような効果を奏する。
【0014】請求項1に記載の発明にあっては、自動車塗装用の乾燥炉を、被塗物を上下方向に搬送しつつ焼き付ける構造とするため、炉内の床面部から自動車車体が十分に離れるため、ゴミの舞い上がりの心配がなくなり、高速で高風量の送風が可能となり、従来焼き付け時間と同じとすると、従来焼き付け温度より高温(約40〜50℃)で送っていた熱風温度を焼き付け必要温度の10〜20℃高い温度での焼付けで可能になる。この結果、自動車車体との熱交換率が高くなり省エネルギー化が図れると共に、高温での熱風送風が必要なくなり、高温での不具合であった黄変やワキ等の塗装不良発生が防止できる。また、被塗物を上下方向に搬送しつつ焼き付ける立体型構造の乾燥炉であるため、被塗物の搬入・搬出口のある炉内底部(床面部)から炉内上部(天井部)に向けて高温になるように温度勾配を持たせて熱風を送風することが可能となり、同様に、炉内の床面部から被塗物が離れるにつれて吹き出し風量を段階的に高め、炉内上部(天井部)に向けて高速で高風量の送風とすることも可能となるため、被塗物の搬入・搬出口よりの(特に高温の)熱風漏れによる排出熱損失が殆ど無くなり省エネルギーとなるほか、炉内の温度バランスも安定した温度勾配に保たれるので理想的な昇温速度を与えることができ、急激な温度変化による塗装不具合も防止でき、被塗物乾燥を行う上での理想とされる熱風温度、風速・風量を創出できるので、品質のそろった焼付け塗装を行うことができ、塗装仕上がり品質の優れた高品質・高品位な塗膜を得ることができる。さらに、上下方向に被塗物搬送を行い得る構造であるため、平型または山型構造の横長の炉内を搬送する現状タイプの乾燥炉に比して被塗物搬送ピッチを半分以下にすることが可能になり、炉内容積内での被塗物密度が高くなることにより効率よく熱風を使用できる。また、炉内搬送距離も従来の平型または山型構造の従来型乾燥炉の約1/2〜1/3程度でよくなり、イニシャルコストおよびランニングコストの低減が図れる。
【0015】請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明に特有の上記効果を奏するほか、さらに、乾燥炉の上下方向に被塗物高さよりも大きな区切りの水平方向のゾーンに分け、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構が設けれらていることを特徴とするため、炉内を上下方向に搬送される被塗物に対し、各ゾーン毎に設けた制御する機構、例えば、各ゾーン内を搬送されていく被塗物の数や大きさを感知し、当該搬送状況に応じて、熱風発生装置側をリアルタイム(時々刻々)に制御して熱風吹き出し温度、風量、風向、風速等を各個の給気口毎に最適化して送風することが可能となり、乾燥炉内全体を常に被塗物の乾燥に最適な炉内環境におくことができ、熱交換率が高くなり省エネルギー化が図れる。さらに、生産台数により、時間帯(日、週、月毎など)で炉内搬送される被塗物の数(すなわち、炉内搬送ピッチ)が増減するような場合には、乾燥に必要な熱量も増減するため、これに応じて各個の給気口毎に熱風吹き出し温度、風量、風向、風速等を変更するか、複数ある給気口ないし熱風発生装置側の給気経路の使用数を増減させることもでき、ランニングコストの低減を図ることもできる。また、塗装不具合の補修などのために搬送ラインから被塗物が除かれ、搬送されてくる台車全てには被塗物が乗っていない場合(すなわち、台車に空きがある場合)にも、同様に、制御機構の動作により、各ゾーンの炉内環境を個別に最適化することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0016】請求項3に記載の発明にあっては、請求項1〜2に記載の発明に特有の上記効果を奏するほか、乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造(例えば、被塗物搬出側に各ゾーン毎に水平方向に吹き出す熱風給気口を1個または複数個設け、各個の熱風給気口からの水平送風が維持できるように反対側(好ましくは各個の熱風給気口と対峙する位置)の被塗物搬入側に熱風排気口を適宜設けてなる構造、あるいは被塗物搬入・搬出口側の側面の一方に、上記と同様に熱風給気口を設け、他の一方の側面に熱風排気口を適宜設けてなる構造等)を有してなることにより、特にゾーン制御を採用している場合には、床面部からにゴミの舞い上がりを防止し、さらに搬入されたばかりの被塗物を急速加熱による塗装不良の発生を防止し、搬出される直前の被塗物をクーリング(徐冷)するために、炉内下部(床面部側)のゾーンでは、比較的低い温度で熱風吹き出しを行い、その後徐々に温度を高めて、最終的に炉内上部ゾーン(天井部側)では、最適の熱風温度(すなわち、焼き付け必要温度の10〜20℃高い温度)による高速で高風量の送風が可能となり十分に焼付けを行うことができるように調整することが可能となり、被塗物の焼付けに最も適した熱風の送風を行うことができ、その結果、熱交換率が高くなり省エネルギー化が図れると共に、高温での熱風送風が必要なくなり、高温での不具合であった黄変やワキ等の塗装不良発生が防止できるのである。また、(床面部側)のゾーンでは、比較的低い温度で熱風吹き出しを行うことができるため、被塗物搬入・搬出口からの熱風漏れが殆どなくなり省エネルギー化が図れる。水平方向に熱風を送風する構造では、床面部に平行な風の流れであるため床面部に吹き付ける風の流れがなく、床面部からのゴミの舞い上がりも同時に防止することができる。特に被塗物搬搬出口から被塗物搬入口に向けた熱風の流れを生じさせる構造では、被塗物が、コンベア上の台車に乗せられて被塗物搬入口より搬送されくる際に台車などの搬送装置に付着して同伴されるゴミなどが炉外に吹き飛ばされやすく、ゴミによる不具合の発生をより確実に防ぐことができる。
【0017】請求項4に記載の発明にあっては、請求項1〜3に記載の発明に特有の上記効果を奏するほか、さらに、連続回転する炉内搬送装置と、被塗物の乗せ換え行うステージと、該ステージにて該炉内搬送装置に同期して床面部に敷設された塗装搬送装置と該炉内搬送装置との間で被塗物を乗せ換える機構とを設けてなるため、被塗物の乗せ換え毎にわざわざ各搬送装置を停止する場合には、乗せ換えの頻度により、炉内の搬送時間が異なる被塗物が生じるため、熱風温度や風速などの調整によりこれらの間でも安定した塗装仕上がりを確保する必要があるが、炉内搬送装置を連続回転する場合には、炉内の搬送時間を常に一定に保つことができるので、乗せ換えの頻度による炉内の搬送時間の相違も考慮した熱風温度や風速などの調整が不要となるため、熱風の制御システムが簡単になる。また、平型または山型構造の横長の炉内を台車に乗せたまま搬送する現状タイプの乾燥炉に比して、連続回転する炉内搬送装置に乗せ換えることにより、被塗物の炉内搬送ピッチを半分以下にすることが可能になり、炉内容積内での被塗物密度が高くなることにより効率よく熱風を使用できる。また、炉内搬送距離も従来の平型または山型構造の従来型乾燥炉の約1/2〜1/3程度でよくなり、イニシャルコストおよびランニングコストの低減が図れる。
【0018】請求項5に記載の発明にあっては、請求項1〜4に記載の発明に特有の上記効果を奏するほか、さらに、台車を炉内の上下方向に流さない構造を有していること(例えば、床面部に敷設された塗装搬送装置が、乾燥炉に外設された台車待避ゾーンを経由する分岐構造を有していること)により、平型または山型構造の横長の炉内を台車に乗せたまま搬送する現状タイプの乾燥炉に比して、不必要な台車の焼付けロスがなくなる。また、仮に台車にゴミが持ち込まれたとしても乾燥炉に外設された台車待避ゾーンに台車を速やかに取り出し、ここでエア送風により付着したゴミを取り除くことで、炉内へのゴミの舞い上がりを最小限に軽減でき、塗装不良に至るようなゴミの付着は回避できる。また、台車を炉内の上下方向に流さない、台車による送風進路の妨害もなく、安定して被塗物に向けた効率の良い送風が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施態様を図面を用いて具体的に説明する。
【0020】図1は、本発明に係る自動車塗装用乾燥炉の一実施態様を示す概略図である。
【0021】図1に示すように、本発明の乾燥炉は、被塗物である自動車車体Wを上下方向に搬送しつつ該被塗物に塗布された塗料を焼き付けることのできるように縦長の炉内構造を有してなる、いわば縦型の塗装用乾燥炉101である。
【0022】上記塗装用乾燥炉101の本体内部には、自動車車体Wを縦型炉内の上下方向に搬送するための炉内搬送装置として、連続して回転するコンベア103が内設けられている。そして該コンベア103には、等間隔で車体支持用の炉内搬送用デーブル105が、連続回転して搬送される間に炉内の被塗物同士がぶつかったり、接触したりしないように一定の間隔をあけて、コンベアチェーンに直接的あるいは間接的に複数個取り付けられている。
【0023】こうした連続回転する搬送装置を設けることにより、平型または山型構造の横長の炉内を台車に乗せたまま搬送する現状タイプの乾燥炉に比して、連続回転する炉内搬送装置を用いることにより、被塗物の炉内搬送ピッチを半分以下にすることが可能になり、炉内容積内での被塗物密度が高くなることにより効率よく熱風を使用できる。また、炉内搬送距離も従来の平型または山型構造の従来型乾燥炉の約1/2〜1/3程度でよくなり、イニシャルコストおよびランニングコストの低減が図れる。
【0024】尚、連続回転する搬送装置(コンベア)としては、特に制限されるものではなく、従来既知の連続回転する塗装搬送装置に関する技術の多くを適宜利用することができるものであり、図示するように炉内の床面部よりも低い下部側に車幅以上間隔をあけて水平方向に平行に設けられた2つのスプロケット107a、107bと、両スプロケット107a、105bの位置の直上の炉内上部側にも同様の2つのスプロケット107c、107dを設け、これら4つのスプロケット107a〜107d(屈曲点とする)にエンドレス型チェーン109をかけ、少なくとも1つの駆動スプロケット107には炉外に設置された駆動部(図示せず)が連結する。該駆動部は、主に可変速モーターと、これに繋がる変速機との組み合わせからなり、変速機の先端部(軸)に駆動スプロケット107が取り付けられている(尚、2つ以上の駆動スプロケットを使用する場合には、各個の可変速モーターに同期機構を備えたものを使用する)。そして、駆動部を稼動させて駆動スプロケットを回転させ、チェーン109を図1に示す矢印eのように被塗物搬送側では上方向に、被塗物搬出側では下方向に走行させるとする手段などが挙げられる。これにより、生産条件などの変更により炉内に搬送される単位時間当たりの数量を増減するような場合に、該回転速度を駆動装置を用いて調整することもできる。また、搬送装置の回転方向は、被塗物搬送側では上方向に、被塗物搬出側では下方向に走行させるものであれば、上方向に移動する被塗物と、下方向に移動する被塗物がぶつからないように、縦方向にずれて回転するもの(被塗物搬送口と被塗物搬出口とが一直線上に位置するように縦方向にスライドして回転する場合(図1のケースに相当する))から、横方向にずれて回転するもの(被塗物搬送口と被塗物搬出口とが斜め向かいに位置するように横方向に回転する場合(いわば、立体駐車場のような回転形態に相当する))までいかようにずらせてもよい。さらに、炉内搬送用デーブル105に水平方向に自在に回転する回転機構を持たせたターンテーブルとすることにより、例えば、図1において、上部側の2つのスプロケット107cから107d迄の間で被塗物を水平方向に、例えば、180℃回転させることで、被塗物搬出口側から被塗物搬送口側に向けて熱風を送風するような場合には、上方向に移動し上部での水平移動の途中まで(塗装前半部)は被塗物には車体前方より送風され、上部での水平移動の途中から下方向に移動している間(塗装後半部)は被塗物に逆向きとなっているため、車体後方より送風が行われることとなり、車体全体にわたってより均一な焼付けを行うことができる。
【0025】なお、連続回転する搬送装置(コンベア)に関しては、特に制限されるものではなく、上記以外にも従来公知の各種の搬送装置(塗装用に限らない)に関する既存技術の多くを適用に利用することができることは言うまでもない。例えば、被塗物をリフトでつり上げて搬送するような場合には、上記とは全く異なる方式の搬送装置により連続回転させる必要がある。
【0026】ただし、本発明では、上下方向に搬送しながら焼付けができれば良いので、炉内搬送装置を別途設けなくとも従来のように塗装ブースからそのまま炉内を通過して次工程に至るまでを、1つの搬送装置により行うこともできる。例えば、被塗物をリフトやハンガなどで吊りあげて、走行レールに沿って搬送する場合には、従来既知の搬送技術の多くを利用できるものであり、特に有効であり、こうした場合には、連続回転する炉内専用の搬送装置を設ける必要はない。この場合には搬送行程全体で何らかの搬送装置を停止する必要性が生じた場合などには、直ちに炉内搬送時間に影響を与えるため、こうした要因を考慮して、炉内環境を制御できる機構を設けるなどして、こうした緊急停止時にも、これに対応できるように、細かいエリア(ないしゾーン)毎に時間経過に応じて温度、風速、風量等を変えながら熱風を吹き付けて稼働時と変わらない焼付けができるような条件設定を制御機構にプログラムしておくのがよい。
【0027】また、上記塗装用乾燥炉101(201)には、図1、2に示すように、上述した連続回転する炉内コンベア103(203)に加え、被塗物である自動車車体Wの乗せ換え行う搬入側ステージ111(211)、搬出側ステージ113(213)と、該ステージ111(211)、113(213)にて該炉内コンベア103(203)に同期して、床面部に敷設された塗装搬送装置としてのコンベア115(215)と該炉内コンベア103(203)との間で車体Wを乗せ換える機構である搬入側テーブルリフター117、搬出側テーブルリフター119とが設けられている。
【0028】尚、ステージ111(211)、113(213)にて炉内コンベア103(203)に同期して、床面部に敷設された塗装搬送装置としてのコンベア115(215)と該炉内コンベア103(203)との間で車体Wを乗せ換える機構としては、特に制限されるものではなく、従来既知の積載物の乗せ換え機構(塗装用に限らない)に関する技術の多くを適宜利用することができる。
【0029】その1例としては、図示するように、例えば、炉内コンベア103(203)の炉内搬送用テーブル105(205)の昇降に同期して、コンベア115(215)上の台車121に乗せられて搬送されてきた乾燥前の車体Wが前工程の塗装ブースより炉内搬入口より炉内に搬入され、炉内搬入側の搬入側ステージ111(211)のセッティング位置に来ると台車121から車体Wが離れるまでコンベア115(215)が一旦停止される。コンベア115(215)が停止すると同時に搬入側テーブルリフター117が、台車121と車体Wの間に車体搬送用テーブル105(205)で支持される側とは反対側の車体側面部より車体Wの中央部手前まで差し入れられ(こうすることで、車体Wは搬入側テーブルリフター117だけでも支持可能な状態におけれることになる)と同時に、車体Wを台車121(221)から搬入側テーブルリフター117で支持しながら持ち上げ、上昇してくる車体搬送用テーブル105(205)に車体Wが支持される位置まで前方の移動し、上昇してきた車体搬送用テーブル105(205)に車体Wが支持されると同時に、該炉内コンベア103(203)に同期して上方に移動しながら後方に移動して車体Wから離れ、その後元の位置まで降下するとした一連の乗せ換え操作を行うものである。
【0030】尚、本発明の乾燥炉201(101)は、台車221(121)を炉内の上下方向に流さない構造を有しており、例えば、図2(図1)に具体的に示すように、車体Wが離れた時点でコンベア215(115)により、次の搬出側ステージ213(113)まで搬送されるか、あるいはコンベア215(115)の分岐点を切り替えて、塗装乾燥炉201(101)に外設された台車待避ゾーン217へ分岐されたコンベア215(115)に搬送されるストックされる。その後、搬出側ステージ113(213)の乗せ換え操作を行うのに搬入側ステージ213(113)からの台車の搬送を待っていたのでは間に合わない場合に、台車待避ゾーン217内にストックされている台車221(121)が、この時点で台車待避ゾーン217内のコンベア215(115)を始動させると共にその先の合流点を切り替えてもとのコンベア115(215)に合流された後、搬出側ステージ213(113)に搬送されていく。これらも全て炉内コンベア203(103)の炉内搬送用テーブル205(105)の昇降に同期して、行われるものであることは言うまでもない。
【0031】また、搬出側ステージ113(213)でも、搬入側ステージ111(211)での一連の乗せ換え操作と同様に、炉内コンベア103(203)の炉内搬送用デーブル105(205)の昇降に同期して、コンベア115(215)上の台車121(221)が、搬入側ステージ111(211)から直接あるいは台車待避ゾーン217を経由して炉内搬出側の搬出側ステージ113(213)のセッティング位置までくると台車121(221)に車体Wが乗せ換えられ、搬出側テーブルリフター119が離れるまでコンベア115(215)が一旦停止される。
【0032】これと相前後して、乾燥後の車体Wを乗せた車体搬送用テーブル105が所定の位置まで降下してくると、搬出側テーブルリフター117が上昇しながら、車体搬送用テーブル105(205)で支持している側とは反対側の車体側面部側の中央部手前まで前方に移動して、さらに車体搬送用テーブル105(205)上に降下し車体Wが接地するまで待機する。車体Wが搬出側テーブルリフター117に接地すると同時に、搬出側テーブルリフター117も炉内搬送用デーブル105(205)の搬送速度と同期して下方に移動していき搬出側テーブルリフター117だけで車体Wが安定して支持されるようになると同時に後方に移動して、降下していく車体搬送用テーブル105(205)から車体Wを離す。車体搬送用テーブル105(205)の方が搬出側テーブルリフター117よりも下側になっている位置関係を保ちながら、車体Wを支持した搬出側テーブルリフター117を徐々に減速しながら降下させ、搬出側テーブルリフター117上の車体Wが台車121(221)側に接地すると同時に、搬出側テーブルリフター117は一時停止する。その後さらに、搬出側テーブルリフター117は、車体Wと台車121(221)の隙間に位置するまで僅かだけ降下し、その後直ちに後方に移動してもとの位置まで戻るとした一連の乗せ換え操作を行うものである。尚、車体Wを乗せた台車121(221)は、搬出側テーブルリフター119が離れて元に戻った後、炉内搬出側の搬出側ステージ113(213)のセッティング位置からコンベア115(215)により搬送されていき、炉内搬出口より炉外に搬出され、さらに次工程のブースまで運ばれていく。
【0033】なお、これら搬入側ステージ111(211)の乗せ換え操作および搬出側ステージ113(213)の乗せ換え操作のいずれもが、全て炉内コンベア103(203)の炉内搬送用デーブル105(105)の昇降に同期して行われるものであることは言うまでもない。
【0034】こうした炉内搬送装置に同期して、床面部に敷設された塗装搬送装置と該炉内搬送装置との間で被塗物を乗せ換える機構を設けることにより、被塗物を乗せ換える際に、炉内搬送装置を停止(ないし減速)することなく定速で連続稼動を行うことができるので、被塗物の乗せ換え毎にわざわざ各搬送装置を停止する場合のように、乗せ換えの頻度により、炉内の搬送時間(すなわち、乾燥時間)が異なることもないため、炉内の搬送時間を常に一定に保つことができ、乗せ換えの頻度による炉内の搬送時間の相違も考慮した熱風温度や風速などの調整が不要となるため、熱風の制御システムが簡単になる。
【0035】また、上記塗装用乾燥炉101には、車体W表面上に塗布された塗膜を焼き付ける手段として、熱熱風発生装置131が乾燥炉101本体に外設されている。こうした、塗膜焼き付け手段(加熱手段)としては、特に制限されるものではなく、従来既知の塗膜焼き付け手段(加熱手段)を用いることができることは言うまでもないが、好ましくは、乾燥炉の上下方向に被塗物高さよりも大きな区切りの水平方向のゾーンに分け、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構が塗膜焼き付け手段(加熱手段)によって同時に構築されていることが望ましく、さらに。乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造を有してなるものがより望ましい。こうした各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構および乾燥炉の水平方向に熱風を送風する構造が塗膜焼き付け手段(加熱手段)によって同時に構築されているものしては、例えば、図1、2に示すように、熱風発生装置としては、液体燃料や気体燃料を燃焼する燃焼室133、該燃焼室133から発生した熱源である燃焼ガスを配管を通じて送風ファン135に送り、該送風ファン135により燃焼ガスに一定の温度、風速等を与え、さらに該燃焼ガスを配管を通じてフィルター室137に送り、該フィルター室137を通して燃焼ガスに含まれる固形分を除去した後の燃焼ガスを配管を通じて分配室139に送り、該分配室139から縦型炉101本体の被塗物搬出側の炉内壁面部140に適当な間隔をあけて設置されている給気口141、143、145毎に各配管を通じて送る際に分配室139内の分配制御システム(図示せず)により最適化された熱風に調整し、最終的に各給気口141、143、145より最適な風量、風速等に調整された燃焼ガスを熱風(図中の矢印fとして熱風の吹き出し方向を示す)として吹き出し、上下方向に搬送される車体Wを焼き付け、ここで熱交換された熱風を反対側の被塗物搬入側の炉内壁面部150に給気口141、143、145に対峙して設けられた排気口151、153、155より吸い込むことで、縦型炉101の炉内の熱風の流れを縦型炉101の高さ方向に対し水平な流れを形成することができ、これにより炉内を乾燥炉101の上下方向に車体Wの高さよりも大きな区切りの水平方向の3つのゾーン(炉内床面部ゾーン、炉内中央部ゾーン、炉内天井部ゾーン)に分けることができる(尚、炉内に各ゾーンの区切りとなる境界域を図中に破線でわかりやすく示した)。さらに、各ゾーンの炉内環境を個別に制御する機構としては、熱風発生装置131の分配室139内部に設けられた各給気口141、143、145への分配システム(図示せず)とその先端部に位置する給気口141、143、145と、炉内に設けた感知センサ(図示せず)で行うことができるものであり、これにより、炉内を上下方向に搬送される車体Wに対し、各ゾーン毎に設けた感知センサにより、各ゾーン内を搬送されていく車体Wの数や大きさを感知し、当該搬送状況に応じて、分配制御システムや個別の給気口の制御系(例えば、高温で送られてきた燃焼ガスを最適な温度にするための排気戻りや外気との熱交換系による温度制御部、燃焼ガス圧縮機構による風速(風量)制御部や吸気口の開閉機構による風量(風速)制御部、可動式の吸気口による風向制御部と感知センサ部とを管理する制御系)を状況変化に応じて制御して熱風吹き出し温度、風量、風向、風速等を各個の給気口毎に最適化して送風することが可能となるものである。
【0036】図1では、給気口141、143、145のうち、炉内床面部に近い炉内床面部ゾーンを構成するために給気口141からの熱風吹き出しを低風量(毎分ゾーン容積の3倍程度)として、黄変やワキ等の塗装不良発生を防止するようにし、炉内中央部ゾーンと炉内天井部ゾーンを構成するために給気口145と143からの熱風吹き出しを、炉内の床面部から離れる(炉長30mに対して、炉内床面部ゾーンの高さ方向のゾーン幅は、ほぼ10m程度ある)ため、ゴミの舞い上がりの心配がなくなるので、炉内中央部ゾーンの給気口143からの熱風吹き出しは、高速(15m/s程度)で高風量(毎分ゾーン容積の10倍程度)の送風とし、さらに熱風温度を焼き付け必要温度の10〜20℃高い温度(例えば、中塗り、上塗りで150℃×10分)の送風とし、炉内天井部ゾーンの給気口145からの熱風吹き出しに関しても、より高速(20m/s程度)でより高風量(毎分ゾーン容積の20倍程度)の送風とし、さらに熱風温度を焼き付け必要温度の10〜20℃高い温度(例えば、中塗り、上塗りで160℃×10分)の送風とすることにより、車体Wとの熱交換率が高くなり省エネルギー化が図れると共に、従来型の乾燥路に比して高温での熱風吹きだしが必要でなくなり、高温での不具合であった黄変やワキ等の塗装不良発生が防止できる。一方、排気口151、153、155より吸い込まれた熱風の多くは、配管を通じて排気集配室157に集められたのち、配管を通じて燃焼室133に送り込まれ、循環使用される。排気口151、153、155より吸い込まれた熱風の一部は、炉内の内圧を一定に保ち安定した送風の流れを形成することができるように、排気ファン159を通じて系外に排出されたり、エアカーテン用のエアとして有効に活用するために、エアカーテン用ファン161を通じて系外に配送されるものである。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−285660
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−91871