| 【発明の名称】 |
塗布ノズルユニットおよび塗布装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】尾崎 一人
【氏名】奥野 英治
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| 【要約】 |
【課題】基板とノズル部材間に間隔差があっても均一な塗布膜厚を得、かつ塗布時のメニスカスカーブの上昇を抑える。
【解決手段】ノズル部材19を回動させることで基板2と前端面27との隙間30が上方ほど広がるようにするため、基板2とノズル部材19の間隔が小さいほど、塗布時にメニスカスカーブDが形成される前端面27の上昇液面位置におけるギャップ寸法は広がり、また、その間隔が大きいほどその上昇液面位置におけるギャップ寸法は狭くなるので、基板2と前端面27との間隔に差があっても、その上昇液面位置での基板2と前端面27とのギャップ寸法は同等となり、常に均一な塗布膜厚となる。また、前端面27が傾斜しているので、塗布時のメニスカスカーブの上昇もなく、塗布液によって濡れる前端面27の面積も狭くなって前端面27を高くする必要はなくなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布可能な塗布ノズルユニットにおいて、一端が前記塗布液槽に連通し、斜め上方に延びる塗布液流出路が前面壁部に配設され、この前面壁部の前端面に、前記塗布液流出路の他端が連通された外部流出口が配設され、毛管現象で塗布液流出路を介して汲み上げられた塗布液を前記外部流出口から供給して前記基板の被塗布面に塗布可能な塗布ノズルと、対向する前記塗布ノズルの前端面と前記基板の被塗布面との間隔が上方ほど広がるように前記塗布ノズルを回動させて前記前端面を前記基板の被塗布面に対して所定角度に傾斜させるノズル回動手段とを有することを特徴とする塗布ノズルユニット。 【請求項2】 基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布可能な塗布ノズルユニットにおいて、一端が前記塗布液槽に連通し、斜め上方に延びる塗布液流出路が前面壁部に配設され、この前面壁部の前端面に、前記塗布液流出路の他端が連通された外部流出口が配設され、毛管現象で塗布液流出路を介して汲み上げられた塗布液を前記外部流出口から供給して前記基板の被塗布面に塗布可能な塗布ノズルと、対向する前記塗布ノズルの前端面と前記基板の被塗布面との間隔が上方ほど広がるように前記塗布ノズルを回動させるノズル回動手段と、前記塗布液の粘度および塗布速度のうち少なくとも何れかに応じて、前記前端面を前記基板の被塗布面に対して所定角度に傾斜させるように前記塗布ノズル回動手段を制御するノズル回動制御手段とを有することを特徴とする塗布ノズルユニット。 【請求項3】 立設した基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布する塗布装置において、前記請求項1または2記載の塗布ノズルユニットと、前記塗布ノズルと基板を被塗布面に沿って相対移動させる移動手段と、前記塗布ノズルと基板の被塗布面を接近または離間するように移動させる間隔可変手段と、前記移動手段および間隔可変手段を駆動制御する駆動制御手段とを有することを特徴とする塗布装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示デバイス(LCD)、プラズマ表示デバイス(PDP)、半導体デバイスおよび各種電子部品などの製造プロセスにおいて、LCDまたはPDP用ガラス基板、半導体基板およびプリント基板などの基板表面に対して、フォトレジスト膜、カラーフィルタ材、平坦化材、層間絶縁膜、絶縁膜および導電膜などを形成するために各種塗布液を毛細管現象で汲み上げて塗布するための塗布ノズルユニットおよび塗布装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、基板表面に塗布液を塗布する方式としては、回転塗布方式、ブレード塗布方式、スプレイ塗布方式およびロールコート方式などがある。 【0003】近年、液晶表示デバイスや半導体デバイスなどの製造プロセスにおいて、基板を水平に保った状態で回転させ、その中央部に塗布液を供給して塗布液に遠心力を与えることで、基板表面上の中央部から外周部に均一に塗布液を塗布する回転塗布方式が広く利用されている。 【0004】ところが、この回転塗布方式では、基板の大型化や角形化の傾向とも相俟って、塗布液を遠心力で外方に飛ばすため、使用される塗布液の有効利用という点で無駄があり、塗布液の利用効率が悪かった。また、角形の基板を水平姿勢で回転させることで、基板の大型化にも伴って装置も大型化し、その設置スペースも増大せざるを得なかった。さらに、角形の基板を高速に回転させると、基板表面に気流の乱れが発生し易く、しかも、その基板が大型化すると、その回転時における基板表面上の線速度差が増大することにより、塗布むらや塗布膜厚の均一性などの塗布品質を確保することが難しくなっていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このような回転塗布方式の上記問題、つまり、塗布液の利用効率の低下、設置スペースの増大および塗布膜厚の不均一を解決すべく、基板を鉛直姿勢または傾斜した姿勢に立てて保持し、その基板の幅方向(左右方向)のノズルから基板表面に対して塗布液を吐出させつつ、そのノズルを基板上端から下端に移動させるようにして塗布液を塗布する方式の塗布装置が、特開平8−24740号公報「基板への塗布液塗布装置」で提案されているが、この塗布装置について、以下に説明する。 【0006】図11は、塗布装置の概略構成を示す正面図であり、図12は、図11の2布装置におけるAA線の断面図である。 【0007】図11および図12において、この塗布装置は、基板100を垂直方向に立てて保持するステージ101と、基板100の被塗布面に塗布液102を供給する塗布液槽を内部に有するノズル部材103と、このノズル部材103を基板100に沿って下方に直線移動させる移動手段(図示せず)とから構成されている。このノズル部材103は、両端が閉塞され基板100の幅方向に延在する筒状をなしており、基板100の被塗布面と平行に対向する前面壁部104に槽内から外部に貫通したスリット状の塗布液流出路105をその幅方向に形成している。また、基板100の被塗布面と対向する前面壁部104の前端面106は、基板100の被塗布面に非接触でかつ近接するように配設され、その下端106aが塗布液流出路105の出口よりも下方で且つその反対側の入口よりも上方に位置し、その上端106bが、基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間107を上方へ無限に延長させたと仮定した場合に塗布液流出路105を通って隙間107内に流入した塗布液が少なくとも毛細管現象などによって上昇するときの到達高さ位置と塗布液流出路105の出口との間に位置するようになっている。 【0008】上記構成により、塗布液槽内に塗布液流出路105の入口と前端面106の下端106aとの間の高さまで塗布液を注入し、塗布液槽を大気開放とすると、塗布液槽内に供給された塗布液102は、毛管現象によって、塗布液流出路105を通って槽外に流出し、ステージ101によって鉛直姿勢に保持された基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間107内に流入する。 【0009】この隙間107内に流入した塗布液は、毛細管現象などによってその隙間107内を前端面106の下端106aまで下降するが、前端面106の下端106aから流下することはない。また、隙間107内に流入した塗布液の上方への流動は、毛細管現象などによってその隙間107内を前端面106の上端106bまで上昇するが、前端面106の上端106bで規制されてそれ以上には上昇しない。このようにして、基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間107内に、基板100の幅方向に延びる帯状の塗布液の液溜りが形成されることになる。 【0010】さらに、この塗布液の液溜りが形成された状態で、基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間107を保持したまま、基板100の縦方向(基板100の幅方向と直交する上下方向)aにノズル部材103と基板100とを相対的に直動させると、基板100の被塗布面に塗布液が塗布されることになる。このとき、基板100の被塗布面と前端面106の隙間107にある液溜りの塗布液は、基板100の被塗布面に塗布されていくに従って消費されるが、大気開放されたノズル部材103の塗布液槽の塗布液にかかる大気圧と毛細管現象などによって、その消費量とほぼ同等の塗布液が塗布液槽内から塗布液流出路105を通ってその隙間107内に供給される。そのため、塗布時の隙間107内の塗布液量は常にほぼ一定に保持されることになって、基板100に塗布液が連続して塗布されることになる。 【0011】このように、基板100の被塗布面とノズル部材103の前端面106との隙間107内にある液溜り量を一定に保持して塗布することにより、塗布膜厚を一定にすることができる。ところが、かかる構成では実際には、基板100とノズル部材103の前面との間隔によって塗布膜厚に差が生じ、例えば、基板100の左右両端部で厚さ寸法に差があって基板100の幅方向にテーパがあり、図13の基板100とノズル部材103との上面図のように基板100の左右両端部で間隔G1,G2が異なるような場合(ただしG1<G2)には、基板100の左右両端部において塗布膜厚に差が生じてしまい、基板幅方向の塗布膜厚の均一化は不可能であるという問題を有していた。 【0012】また、上記公報には、上記のノズル部材103のように塗布液の上方への流動を前端面106の上端106bまでに規制するもののほか、図14(a)に示すように、隙間107内に流入した塗布液が少なくとも毛細管現象などによって上昇する到達高さ位置よりも上方まで上端面106を延長したノズル部材103も記載されている。しかしかかるノズル部材103を用いて実際に塗布を行うと、塗布中において既に基板に塗布された塗布液が隙間107内の液溜りを引っ張る力が生じ、塗布液中に図14(b)のようにメニスカスカーブDが最上端106cに至るまで上昇してしまい、メニスカスカーブDが最上端106cで規制されることになるため、塗布の特性が変化してしまう。それを避けるためには、ノズル部材103の塗布液流出路105の流出口よりも上方部分を十分に大きくする必要があり、ノズル部材103が大型化してしまい、また、塗布液によって濡れて汚れる前端面106の面積も広く、複数の基板100に対して塗布する場合には、塗布液によって濡れて汚れた部分が乾くことによってパーティクルの発生原因になったり、メニスカスのカーブ形状に悪影響を与えて塗布膜厚が変化したりする虞があった。このため、塗布液によって濡れた前端面106の部分を定期的に洗浄しなければならず、作業者にとって作業工数が増加し手間であった。 【0013】本発明は、上記従来の問題を解決するもので、基板とノズル部材との間隔に差があっても均一な塗布膜厚を得ることができると共に、塗布時のメニスカスカーブの上昇を抑えることができる塗布ノズルユニットおよび塗布装置を提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の塗布ノズルユニットは、基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布可能な塗布ノズルユニットにおいて、一端が塗布液槽に連通し、斜め上方に延びる塗布液流出路が前面壁部に配設され、この前面壁部の前端面に、塗布液流出路の他端が連通された外部流出口が配設され、毛管現象で塗布液流出路を介して汲み上げられた塗布液を外部流出口から供給して基板の被塗布面に塗布可能な塗布ノズルと、対向する塗布ノズルの前端面と基板の被塗布面との間隔が上方ほど広がるように塗布ノズルを回動させて前端面を基板の被塗布面に対して所定角度に傾斜させるノズル回動手段とを有することを特徴とするものである。 【0015】この構成により、塗布ノズルを所定角度に回動させることで、基板の被塗布面と前端面との間隔が上方ほど広がるようになるので、例えば基板と塗布ノズルとの間隔が狭ければ、両者の間隔における塗布液の到達高さは上昇し、かかる上昇位置でのギャップ寸法(すなわち塗布液の到達高さにおける基板と塗布ノズル前面との距離)は広くなり、逆に基板と塗布のズルとの間隔が広ければ、両者の隙間における塗布液の到達高さは下降し、かかる下降位置でのギャップ寸法は狭くなる。その結果として、基板のそりや厚みの不均一などのために基板と塗布ノズル前面との間隔が一定でなく差があるような場合にも、塗布時にメニスカスカーブが形成される前端面における上昇液面位置での基板と塗布ノズルのギャップ寸法は結果的に同等となって、基板に対して常に均一な塗布膜厚が得られることになる。また、塗布ノズルを所定角度に回動させて前端面を傾斜させるので、塗布液の粘度や塗布速度などの塗布特性条件を変更しても、その都度、傾斜角の異なる塗布ノズルへの交換をすることなく、その変更した塗布特性条件に最適の前端面の傾斜角度となるように設定することが可能となり、より均一な塗布膜厚が得られることになる。さらに、この前端面の傾斜で塗布時のメニスカスカーブの上昇が抑えられることから前端面を高くする必要はなく塗布ノズルのコンパクト化が可能で、また、塗布液によって濡れて汚れる前端面の面積も狭くなるので、洗浄が容易であると共にパーティクルの発生も抑えることが可能となる。 【0016】また、本発明の塗布ノズルユニットは、基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布可能な塗布ノズルユニットにおいて、一端が塗布液槽に連通し、斜め上方に延びる塗布液流出路が前面壁部に配設され、この前面壁部の前端面に、塗布液流出路の他端が連通された外部流出口が配設され、毛管現象で塗布液流出路を介して汲み上げられた塗布液を外部流出口から供給して基板の被塗布面に塗布可能な塗布ノズルと、対向する塗布ノズルの前端面と基板の被塗布面との間隔が上方ほど広がるように塗布ノズルを回動させるノズル回動手段と、塗布液の粘度および塗布速度のうち少なくとも何れかに応じて、前端面を基板の被塗布面に対して所定角度に傾斜させるように塗布ノズル回動手段を制御するノズル回動制御手段とを有することを特徴とするものである。 【0017】この構成により、上記作用に加えて、ノズル回動制御手段は、塗布液の粘度および塗布速度のうち少なくとも何れかに応じて、前端面を基板の被塗布面に対して所定角度に傾斜させるように塗布ノズル回動手段を制御するので、塗布液の粘度や塗布速度などの塗布特性条件を変更しても、その変更した塗布特性条件に最適の前端面の傾斜角度とすることが可能となる。したがって、その都度、傾斜角の異なる塗布ノズルへの交換は必要なくなると共に、より精密な傾斜角度の設定をすることが可能となって、より均一な塗布膜厚が得られることになる。 【0018】本発明の塗布装置は、立設した基板の被塗布面に対して、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を塗布する塗布装置において、請求項1または2記載の塗布ノズルユニットと、塗布ノズルと基板を被塗布面に沿って相対移動させる移動手段と、塗布ノズルと基板の被塗布面を接近または離間するように移動させる間隔可変手段と、移動手段および間隔可変手段を駆動制御する駆動制御手段とを有することを特徴とするものである。 【0019】この構成により、上記作用に加えて、従来の回転塗布方式のように基板を水平に支持せず基板を立設するために、その設置スペースの縮小が図られ、また、従来の回転塗布方式のように基板を回転させた遠心力で塗布液を周りに振りきりつつ塗布するのではなく、立設した基板に対して、基板の被塗布面に沿ってノズル部材を移動手段で移動させつつ、毛管現象で供給された塗布液を基板の被塗布面に塗布するので、塗布液の節約が図られることになる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る塗布装置の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではない。 【0021】図1は本発明の一実施形態における塗布装置の概略構成を示す斜視図である。 【0022】図1において、壁状に構成されて立設された架台1の表面側中央部に、ガラス基板などの基板2の被塗布面を外側に向けた状態で基板2を吸着して鉛直姿勢に保持する吸着ステージ3が配設されている。この吸着ステージ3は、用いるサイズの基板2毎の外周部に対応した適所に、吸引可能な吸着部材としての吸盤(図示せず)が出退自在に為されている細長い凹部3aが複数配設されており、基板2への吸盤(図示せず)による吸着後に吸盤(図示せず)を凹部3a内の所定位置に引き込んで収納することで基板2を保持するようになっている。また、吸着部材としての吸盤(図示せず)が基板2の中央部を保持しないのは、基板2の中央部は重要な回路などが配置される部分であり、吸盤(図示せず)による真空吸引と解除によって温度が下がったり上がったりすることで塗布むらとなるのを防止するためである。したがって、吸盤(図示せず)の形状も基板2の外周部だけを吸引すべく、細長い凹部3aと同様の細長い吸盤形状となっている。なお、ここでは、吸着ステージ3による基板2の保持は、吸盤(図示せず)による吸着の場合を示したが、基板2の上下左右を爪状の部材でひっかけて保持するような構成であってもよいことは言うまでもないことである。 【0023】また、この架台1の表面側および裏面側の幅方向両端部の上下位置の4角部にそれぞれ4個の各アイドルギヤ4が左右2組回転自在に各軸受部5でそれぞれ軸支されて配設されている。これらの上部に位置する左右2組の各アイドルギヤ4にそれぞれ架けられた左右の各スチールベルト6の一方端にはそれぞれ、ベース部材7の両端上部がそれぞれ連結されており、また、左右の各スチールベルト6の他方端にはそれぞれ、バランスウェイト8の両端上部がそれぞれ連結されている。また、下部に位置する左右2組の各アイドルギヤ4にそれぞれ架けられた左右の各スチールベルト6の一方端にはそれぞれ、ベース部材7の両端下部がそれぞれ連結されており、また、その左右の各スチールベルト6の他方端にはそれぞれ、バランスウェイト8の両端下部がそれぞれ連結されて、ベース部材7が架台1の表面側で、バランスウェイト8が架台1の裏面側でそれぞれ水平に保持されかつ上下に移動可能な状態で、各スチールベルト6が、架台1の幅方向両端部の上下方向にそれぞれ左右2組の各アイドルギヤ4をそれぞれ介して巻回されている。このベース部材7上の中央部には、基板2の幅寸法のノズル口9を有し、そのノズル口9から塗布液を吐出可能なノズルユニット10が配設されている。これらのベース部材7およびノズルユニット10とバランスウェイト8とがそれぞれバランスが取れた静止状態で架台1の表と裏の幅方向両端部間に水平にそれぞれ保持されるようになっている。 【0024】また、架台1の表面側の両端部にはそれぞれ各上下方向に縦型の各リニアモータ11の固定子12が配設されており、これら左右の各リニアモータ11はその駆動によって、ノズルユニット10を載置したベース部材7の両端部を各固定子12に沿って上下に直線移動させる構成となっている。この移動手段としてのリニアモータ11は、各上下方向に配設された各スチールベルト6にそれぞれ沿ってベース部材7の両端部および各スチールベルト6の内側にそれぞれ配設されており、図2に示すように、幅方向両端部の各レール部13間にベース部14を有する固定子12と、ベース部材7の両端部裏側の各側壁にそれぞれ各固定子12とそれぞれ対向して配設され、各固定子12の上をスライド自在なスライダ部材15とを有している。このスライダ部材15は、その幅方向両側に各レール部13とそれぞれ嵌合して上下方向に案内される各リニアガイド部16と、各リニアガイド部16の間に配設されると共に、固定子12のベース部14に対向し、図示しない巻線による励磁によって磁力を発生させる磁気回路部17と、この磁気回路部17の巻線(図示せず)の両端に接続されたコネクタ18とを有しており、この磁気回路部17の励磁による磁力で、スライダ部材15は固定子12の各レール部13に各リニアガイド部16で案内されて上下に移動自在である。このスライダ部材15が、ノズルユニット10を載置したベース部材7の両端部裏側にそれぞれ固着されており、これらの各スライダ部材15の移動によってベース部材7が上下に移動自在になっている。 【0025】ここでは、ノズルユニット10を載置したベース部材7の両端部を各固定子12に沿って上下に移動させるように構成したが、ノズルユニット10と基板2とが被塗布面に沿って相対的に移動するように構成すればよく、ノズルユニット10を固定して基板2を吸着ステージ3と共に上下にリニアモータやボールねじなどの移動手段で移動するように構成することもできる。このように、吸着ステージ3を上下に移動させる方がノズルユニット10を移動させるよりも振動が少なく、その振動による塗布むら防止などの観点から吸着ステージ3を移動させる方がよいのであるが、吸着ステージ3を上下に移動させると、装置の高さが倍必要となり、クリーンルームの天井高さには制限があるので、非現実的なものとなってしまう。 【0026】さらに、ノズルユニット10は、図3に示すように、基板2の被塗布面に対向して開口した水平方向の細長いノズル口9から塗布液を吐出可能な塗布ノズルとしてのノズル部材19と、このノズル部材19のノズル口9を有する前端面27が傾斜位置となる一方位置Mと、前端面27が被塗布面と略平行であるか、または位置Mと比べより鉛直に近い傾斜位置となる他方位置N(2点鎖線で示す)との間で、ノズル部材19をその長手方向を回動軸として回動させるノズル部材回動機構部20と、ノズル部材19のノズル口9と基板2の被塗布面との水平方向の隙間(ギャップ)を可変させるべく、ノズル部材19を基板2に対して接近または離間自在に駆動するギャップ可変機構部21とを備えている。このノズルユニット10は、塗布処理される基板2のサイズに合った幅寸法のノズル部材19と付け変え可能に構成されている。 【0027】このノズル部材19は、図4に示すように、塗布液22を溜める塗布液槽23が内部後方に配設されており、この塗布液槽23は、両端が閉塞され基板2の幅方向に延在する水平方向に細長い筒状に構成されている。この塗布液槽23の中央部に塗布液22を供給する図1の供給チューブ24が連結されており、ベース部材7上に載置されたポンプ43によって供給チューブ24を介して外部から塗布液を塗布液槽23内に供給可能に構成している。また、基板2の被塗布面2aと対向する前面壁部25に塗布液槽23内から外部に斜め上向きに貫通した塗布液流出路としてスリット26がその幅方向に形成されている。このスリット26は、塗布液槽23の下部とノズル口9との間で直線状に左上向きに傾斜した状態で連結しており、スリット26の下方端が塗布液槽23内に開口し、その上方端が水平方向に細長いノズル口9となっている。前端面27の下端27aは、スリット26の出口であるノズル口9と、その反対側の塗布液槽23内への開口との間の高さに位置するよう形成されている。また、ノズル部材19の塗布液槽23には、その内部に貯留される塗布液の液面よりも上方部分において塗布液槽23内部と連通してその内部を加圧し、減圧し、または大気開放にするための圧力設定機構(図示せず)が接続されている。さらに、基板2の被塗布面2aと対向する前面壁部25の前端面27は、塗布液の液溜りが形成可能なように、基板2の被塗布面2aに非接触でかつ近接するように配置されている。 【0028】また、この前端面27の下端27aとスリット26の塗布液槽23内への開口上端との高さ範囲B内に塗布液槽23内の塗布液面が位置するように液面を設定している。また、ノズル口9を有する前端面27は、塗布時には上方に開くように傾斜させている。つまり、基板2の被塗布面2aと前端面27との間の隙間30は上に行くほど広がるように、ノズル部材回動機構部20によってノズル部材19を回動した状態で固定しており、この状態で、塗布液22が毛細管現象などによってスリット26さらにノズル口9を介して隙間30内を上昇する液面到達高さ位置まで来るようになっている。 【0029】このように、前端面27を傾斜させることで、基板2の被塗布面2aと前端面27との間の隙間30は、上側に広がることになって、毛細管現象で上昇する塗布液は隙間30の広がりに伴って急激に上昇力を失い平衡状態になる。また、塗布時の基板2とノズル部材19の相対移動によって基板2側に付着した塗布液とノズル部材19の前端面27側に付着した塗布液とに、基板2とノズル部材19の相対移動速度に応じた張力が生じる。この張力は、メニスカスカーブDの上昇方向に働くことになり、従来のように前端面が傾斜せず基板2の被塗布面2aと前端面との間隔が一定で平行な場合には、その張力によってメニスカスカーブDは上昇を続けてしまうが、本実施形態では前端面27が基板2の被塗布面2aに対して傾斜しており、基板2の被塗布面2aと前端面27とのギャップが上側ほど広がっているので、メニスカスカーブDは、前端面27の若干上昇した高さ位置で、上記相対移動速度に応じた張力による上昇力が、重力とつり合うことで平衡状態となって上昇しなくなる。 【0030】このとき、図5(a)に示す前端面27の傾斜角θは、塗布液22の表面張力とノズル走行速度である上記相対移動速度(塗布速度)とに依存しており、適正値が存在する。例えば上記相対移動速度を5〜50mm/secとした場合の前端面27の基板2の被塗布面2aに対する傾斜角θの適正値について、実験の結果導かれた値を以下の(表1)に示している。この上記相対移動速度が早くなるほど、相対移動速度に応じた張力は大きくなるので、前端面27の傾斜角θは以下の(表1)に示す値よりも大きくなる方向に変えることがノズルの小型化の点で望ましい。 【0031】 【表1】
【0032】この(表1)から明らかなように、塗布液22の粘度が高いほど、前端面27の傾斜角θの適正値は大きくなる方向に移行するが、その粘度範囲が5cp〜30cpで適正傾斜角θの範囲は0.3°〜30°である。また、この場合の最適な傾斜角θの範囲としては1°〜15°前後となる。 【0033】一方、図3のノズル部材回動機構部20は、図示しない電磁弁で制御されて、ロッド先端部31を伸長位置と収縮位置との間を移動させるノズル回動手段としてのエアーシリンダ32が、矢印方向Cにシリンダ前方部のピン32aを回動中心として回動可能に軸支されている。このロッド先端部31は、アーム部材33の一方端部と回動可能にピン連結されてリンク機構を構成しており、アーム部材33の他方端部は駆動軸34にその長手方向に直交する方向から回動力を伝達可能に固定されている。この駆動軸34は、所定幅で水平方向に延びたベース部材35を下方から支持する支持部材35aを横方向から貫通して固定されている。このベース部材35の前方端縁上側にはノズル部材19がそのノズル口9を基板2の被塗布面2a側に向けた状態で、ノズル部材19の長手方向と駆動軸34の軸方向が一致する方向になるように取り付けられている。図3は、エアーシリンダ32のロッド先端部31が伸長した場合であり、このとき、ノズル部材19のノズル口9を有する前端面27は基板2の被塗布面2aに対して所定角度で傾斜した塗布可能な状態である。この場合、エアーシリンダ32のロッド先端部31が伸長する状態で、ノズル部材19を載置したベース部材35がP点で当接して停止されて固定状態となっている。これに対して、エアーシリンダ32のロッド先端部31が収縮した場合には、ノズル部材19のノズル口9を有する前端面27は基板2の被塗布面2aに対して、2点鎖線で示すように上記所定角度よりも小さい所定角度で傾斜した塗布可能な状態となる。このロッド収縮の途中で、ピン32aを回動中心としてエアーシリンダ32が矢印方向Cに揺動しつつロッド先端部31が収縮されることになる。この場合にも、エアーシリンダ32のロッド先端部31が収縮する状態で、ノズル部材19は、図示しない部分で当接して固定状態となっている。 【0034】また、ギャップ可変機構部21は、ステッピングモータやサーボモータなどの接離モータ36と、前後の軸受部37,38で軸支され、この接離モータ36の回転軸に連結部39を介して連結されたボールねじ40と、このボールねじ40に螺合した移動部材41と、移動部材41の上端が下面で固着されていると共にノズル部材回動機構部20を支持して基板2の被塗布面2aに対してノズル部材19の前端面27が接近または離間するようにスライド自在なスライド部材42とを備えており、接離モータ36によるボールねじ40の回転で、移動部材41が、ノズル部材19およびノズル部材回動機構部20を載置した状態で前後に移動自在に構成されている。 【0035】ここでは、ギャップ可変機構部21は中央部1個所として、基板2の厚さのばらつき範囲内でギャップ寸法を調整するようにしているが、さらに、基板2の厚さのばらつきだけではなく、基板2の幅方向にテーパがあって左右両端部での厚さ寸法に差があるような場合には、ギャップ可変機構部21をベース部材7の左右2個所配設することで左右独立にギャップ寸法を調整することができ、ノズルユニット10の左右に長いノズル部材19を、基板2の幅両端部で厚さが異なることによる幅方向テーパに合わせて平行に、左右位置で等ギャップ寸法として傾け得るように構成することもできる。 【0036】図6は、図1の塗布装置の概略制御構成を示すブロック図である。 【0037】図6において、操作部52としては、数字を入力するテンキー、電源のオン・オフを入力する電源キー、塗布スタートキー、リニアモータ11の駆動速度の基準値を任意に手動で設定する速度設定キーおよび、接離モータ36を駆動させて基板2の被塗布面2aとノズル口9との隙間28を調整する隙間設定キー、基板サイズ、基板厚さ、塗布液粘度および塗布膜厚などを設定する各種設定キーなどで構成されている。 【0038】また、この操作部52が接続される制御部53はROM54およびRAM55に接続されており、ROM54内に登録された各制御プログラムで用いる制御データを操作部52からRAM55内に書き込み可能である。また、これらの操作部52、ROM54およびRAM55が接続される制御部53は、リニアモータ駆動回路56を介してリニアモータ11に接続されており、ROM54内に登録されたリニアモータ駆動制御プログラムと、操作部52から入力され、リニアモータ駆動制御プログラムに対応した制御データに基づいて、制御部53は、その制御信号をリニアモータ駆動回路56に出力し、リニアモータ駆動回路56がリニアモータ11を駆動してベース部材7上のノズルユニット10を基板2の被塗布面2aに対する所定の上下位置に移動自在である。さらに、これらの操作部52、ROM54およびRAM55が接続される制御部53は、接離モータ駆動回路57を介して接離モータ36に接続されており、ROM54内に登録された接離モータ駆動制御プログラムと、操作部52から入力され、接離モータ駆動制御プログラムに対応した制御データに基づいて、制御部53は、その制御信号を接離モータ駆動回路57に出力し、接離モータ駆動回路57が接離モータ36を駆動してベース部材7上のノズルユニット10を基板2の被塗布面2aに対して接近または離間させて所定ギャップ位置に移動自在である。 【0039】さらに、操作部52が接続される制御部53はエアーシリンダ32に接続されており、ノズル部材19の前端面27の傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とを選択的に操作部52から入力可能であり、その傾斜角度θ1を操作部52で選択した場合には、制御部53は、図示しない電磁弁などを制御してエアーシリンダ32のロッドを収縮するように駆動させ、ノズル部材19をその長手方向を回転軸として回動させて前端面27を基板2の被塗布面2aに対して所定角度θ1に傾斜させるように制御する。また、その傾斜角度θ2を操作部52で選択した場合には、制御部53は、図示しない電磁弁などを制御してエアーシリンダ32のロッドを伸長するように駆動させ、ノズル部材19を回動させて前端面27を基板2の被塗布面2aに対して所定角度θ2に傾斜させるように制御する。このように、本実施形態では、塗布液22の粘度や塗布速度に応じて、操作者からの角度選択入力、または塗布液22の粘度や塗布速度などの塗布特性条件の操作部52からの入力で制御部53がRAM55内のデータを参照して角度選択をするようにしてもよく、これらの傾斜角度θ1,θ2(ただしθ1<θ2)を操作部52から選択可能に構成している。なお、本実施形態では2つの傾斜角度θ1,θ2を選択可能に構成したが、複数の傾斜角度を塗布液22の粘度や塗布速度などの塗布条件の操作部52からの入力に応じて選択可能に構成することもできる。この場合には、ノズル回動手段としてのエアーシリンダ32に代えて、ノズル回動手段としてのモータおよびボールねじや、ステッピングモータなどの回動駆動機構を用い、制御部53が上記回動駆動機構を介して駆動軸34を回転制御するようにして、多段階の傾斜角度θを得るようにしてもよい。 【0040】上記構成により、以下、その動作を説明する。 【0041】まず、所定の塗布液を塗布処理する基板2を搬送ロボット(図示せず)などによって搬送後に、基板2の外周部を吸着ステージ3の複数の吸盤に対応させた状態で所定の位置に位置決めして、基板2の被塗布面を外側に向けた状態で基板2を各吸盤で吸着する。さらに、各吸盤を吸着ステージ3の凹部3a内の所定位置に引き込んで収納することで基板2を保持する。 【0042】次に、ノズル部材19内の塗布液槽23に所定量の塗布液22を、図1のベース部材7上に載置されたポンプ43にて供給チューブ24を介して所定量供給する。この塗布液槽23への塗布液22の供給は、ノズルユニット10の停止中に行う方がよい。これは、塗布中に塗布液槽23に塗布液22の供給を行えば、塗布液槽23内の塗布液22の液面が揺れて、その高さが変化する液面に応じた波動がノズル口9を介して伝播して塗布むらとなる虞があるためである。 【0043】さらに、ノズル部材19の前端面27の傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とを選択的に操作部52から入力する。その傾斜角度θ1を操作部52で選択した場合には、制御部53は、図示しない電磁弁などを制御してエアーシリンダ32のロッドを収縮するように駆動させ、ノズル部材19をその長手方向を回転軸として回動させて前端面27を基板2の被塗布面2aに対して所定角度θ1に傾斜させる。または、傾斜角度θ2を操作部52で選択した場合には、制御部53は、図示しない電磁弁などを制御してエアーシリンダ32のロッドを伸長するように駆動させ、ノズル部材19を回動させて前端面27を基板2の被塗布面2aに対して所定角度θ2に傾斜させる。 【0044】さらに、制御部53は、基板2の被塗布面に対する原点位置にノズルユニット10におけるノズル部材19のノズル口9を上方向または下方向に移動するべく、ノズルユニット10と共にベース部材7をリニアモータ11によって移動させる。このとき、ROM54内に登録されたリニアモータ駆動制御プログラムとその制御データに基づいて、制御部53が、その制御信号をリニアモータ駆動回路56に出力することで、リニアモータ駆動回路56がリニアモータ11を駆動してベース部材7上のノズルユニット10におけるノズル部材19を、図7(a)に示すように基板2の被塗布面2aに対する所定の塗始め高さ位置に原点復帰させることができる。この場合の制御データは、基板2の保持位置が精密な場合には、登録された原点データであり、また、マニュアル的に操作部52から所定の高さ位置が入力されたデータであってもよい。さらに、塗布液22の塗始め位置に原点センサ(図示せず)を設けて、その原点センサ(図示せず)がベース部材7を検知する所定の塗始め位置で、制御部53がベース部材7を停止するようにリニアモータ駆動回路56を介してリニアモータ11を駆動制御してもよい。 【0045】さらに、基板2の被塗布面とノズル部材19のノズル口9との所定のギャップ寸法に移動するべく、接離モータ36の駆動によるボールねじ40および移動部材41によりノズル部材19のノズル口9を基板2の被塗布面に対して接近または離間するように移動させる。このとき、ROM54内に登録された接離モータ駆動制御プログラムとその制御データに基づいて、制御部53が、その出力制御信号を接離モータ駆動回路57に出力し、接離モータ駆動回路57が接離モータ36を駆動してベース部材7上のノズルユニット10におけるノズル部材19を、図7(b)に示すように基板2の被塗布面2aに対する所定のギャップ位置(ディスペンス位置)に移動させる。この場合の制御データは、塗布液22の粘度や必要塗布膜厚、塗布速度、塗布液槽23内の液面高さなどの各種塗布条件に応じて設定され登録されたギャップデータであってもよく、また、これらの各種塗布条件に応じた実験データを参照してマニュアル的に操作部52から入力されたギャップデータであってもよい。この所定のギャップ位置にノズル部材19を移動させたとき(図7(b))、前記圧力設定機構を動作させて塗布液槽23内の圧力を大気圧とするかまたは一時的に高めるなどにより、基板2の被塗布面2aとノズル部材19の前端面27との間の隙間30には、塗布液22が毛管現象で塗布液槽23内からスリット26を介して汲み上げられて液溜りが形成される。 【0046】さらに、基板2の被塗布面2aに所定の塗布膜厚で塗布するべく、前記圧力設定機構を動作させて塗布液槽23内の圧力を大気開放とし、操作部52のスタートキーを操作すると、ROM54内に登録されたリニアモータ駆動制御プログラムとその制御データとに基づいて、制御部53は、その出力制御信号をリニアモータ駆動回路56に出力し、リニアモータ駆動回路56がリニアモータ11を駆動してベース部材7をノズルユニット10と共に基板2の被塗布面2aに対して下方向に移動し始め、その移動開始後にノズル走行速度が一定になって、上記相対移動速度に応じた張力によるメニスカスカーブDの上昇力が、広くなるギャップにおけるメニスカスカーブDの毛細管下降力とつり合うように平衡状態となって、図7(c)に示すようにメニスカスカーブDはそれ以上は上昇せず、その後は図7(d)に示すように安定した塗布状態となって、図7(d)のメニスカスカーブDと同形状の図7(e)に示すメニスカスカーブDで安定に塗布処理が為される。 【0047】以上のように、本実施形態によれば、ノズル部材19は吸着ステージ3と平行で且つそのノズル口9が水平向きとなるように取り付けられているが、基板2の被塗布面2aと、細長いノズル口9を有する前端面27との隙間30において、例えば基板2が反っていたりノズル部材19の取付けが傾いていたり、また、基板2の左右両端部で厚さ寸法に差があって基板2の幅方向にテーパがある場合、具体的には図8の基板2とノズル部材19との上面図のように基板2の左右両端部で間隔G11,G12が異なるような場合(G11<G12)や、塗始めの位置と塗終わりの高さ位置で間隔差があるような場合に、例えば基板2の左右端部および上下端部などにおいて従来では塗布膜厚に差が生じていたが、本実施形態では隙間30が上方ほど広がっているので、基板とノズル部材19との間隔が、図9(a)に示す隙間30の間隔G11のように小さくなるほど、隙間30を上昇する塗布液22の液面到達高さ位置も上昇することになり、前端面27の傾斜面で液面が上になるほどその液面位置におけるギャップ寸法も増えることになる。また同様に、図9(b)に示す隙間30の間隔G12のように大きくなるほど、隙間30を上昇する塗布液22の液面到達高さ位置はあまり上がらず、前端面27の傾斜面で液面が上がらないほどその液面位置におけるギャップ寸法は減少することになる。したがって、例えば左右方向に細長いノズル口9を有する前端面27の両端部における間隔G11,G12に差があっても、液面到達高さ位置におけるギャップ寸法はギャップ寸法G13として同等になって、間隔G11,G12の差は吸収されることになる。つまり、前端面27における間隔G11,G12の差が、ノズル部材19の取付けや基板寸法のばらつきなどを含む範囲内において、間隔G11となる液面到達高さ位置におけるギャップ寸法と、間隔G12となる液面到達高さ位置におけるギャップ寸法とが、同等(塗布膜厚に影響しない程度の寸法範囲内)のギャップ寸法G13となるように、上記(表1)に示すような前端面27の適正傾斜角度θを実験的に求めている。このように、メニスカスカーブDが形成される上昇液面位置におけるギャップ寸法が塗布膜厚に影響しているため、図5の隙間28の寸法が小さくなるほど、上昇液面位置におけるギャップ寸法は広がることで相殺されて塗布膜厚差は生じにくくなる。よって、基板2の被塗布面2aに対して常に均一な塗布膜厚を得ることができる。また、ノズル部材19を所定角度に回動させて前端面27を傾斜させるため、塗布液22の粘度や塗布速度などの塗布特性条件を変更しても、その変更した塗布特性条件に最適な前端面27の傾斜角度となるように設定することができ、その都度、傾斜角の異なる塗布ノズルへの交換をすることなく、より均一な塗布膜厚を得ることができる。さらに、ノズル部材19を回動させることで隙間30が上方ほど広がるようにしているため、前端面27に傾斜加工を施すことなく平な状態で、前端面27を傾斜させることができてその製造が容易である。 【0048】また、以上のように、前端面27に適正傾斜角度θを設けるようにノズル部材19を回動させたことにより隙間30が上方ほど広がっているので、塗布中に、基板2の被塗布面に塗布済の塗布液で基板2側に引っ張る弱い力によってノズル部材19における前端面27をメニスカスカーブDが上昇するのを抑えることができる。したがって、ノズル部材19の前端面27を必要以上に上側に高くして大型化する必要はなくなり、また、塗布液によって濡れて汚れる前端面27の面積も狭くなって、複数の基板2に対して塗布する場合にも、塗布液によって濡れた部分が乾くことによるパーティクルの発生原因や、メニスカスカーブDの形状に悪影響を与えることも抑制されて、塗布品質が良好となると共に塗布膜厚の変化が抑えられることになる。また、塗布液によって濡れて汚れた前端面の洗浄範囲も小さく、洗浄がより容易なものとなる。 【0049】以上のように、本実施形態によれば、基板2とノズル部材19との間のギャップ寸法が図10に示す間隔G11,G12のように変化しても、メニスカスカーブDが形成される位置でのギャップ寸法は例えばギャップ寸法G13として同等になるため、常に一定の塗布膜厚を得ることができる。また、前端面27の傾斜で塗布時のメニスカスカーブDの上昇がないことから、前端面27を高くする必要はなくコンパクト化が可能で、また、塗布液によって濡れる前端面27の面積も狭くなるので、パーティクルの発生やメニスカスカーブへの悪影響も抑えることができる。さらに、従来の回転塗布方式のように基板2を水平に支持せず基板2を立設するために、その設置スペースの縮小を図ることができ、また、従来の回転塗布方式のように基板2を回転させた遠心力で塗布液を周りに振りきりつつ塗布するのではなく、立設した基板2に対して、基板2の被塗布面に沿ってノズル部材19をリニアモータ11で移動させつつ、毛管現象で供給された塗布液を基板2の被塗布面に塗布するため、塗布液の節約を図ることができる。 【0050】なお、上記実施形態では、塗布移動機構としてリニアモータ11を用いたが、その他に、ボールねじによる塗布移動機構、ピニオンとラックによる塗布移動機構、ワイヤーとプーリおよびモータによる塗布移動機構などであってもよい。 【0051】また、上記実施形態では、吸着ステージ3によって基板2を鉛直姿勢に立設保持し、ノズル部材19の前端面27が、被塗布面との間隔が略平行状態から、上方側が広くなるように回転するように構成したが、基板の姿勢は必ずしも鉛直姿勢である必要はなく、若干傾斜を有する立設姿勢であってもよく、例えば基板2が吸着ステージ3の上側に載るように若干傾斜した立設姿勢でもよい。かかる場合でも、ノズル部材19が、前端面と基板2の被塗布面とのギャップ寸法が上方ほど拡がるように回転するように構成されていればよい。 【0052】なお、以上説明した実施形態のノズル部材19では、ノズル部材19を回転させる範囲は、ノズル部材19の前端面27の下端27aなどが基板2に対して衝突せずにノズル部材19と基板2との間隔が保てる範囲にする必要があり、そのため、被塗布面に対するノズル部材19の前端面27の傾斜の角度を大きくできる範囲に制約がある。かかる傾斜の角度を十分に大きくするために望ましい実施形態として、図5(b)に示すものがあげられる。図5(b)に示すノズル部材19では、前端面27の下部に対して前端面上部29が角度θ3だけ傾いた傾斜面とされている。そして、かかるノズル部材19をさらに回動させることにより、鉛直姿勢に立設されている基板2の被塗布面と前端面上部29とのなす角度θ4を容易に大きな値に設定できる。この場合も、被塗布面に対する前端面上部29の傾斜の角度の望ましい値は表1とほぼ同様と考えてよい。 【0053】なお、ノズル部材19を回動させる角度(図5(b)ではθ4−θ3)の範囲をあまり大きくすると、かかる回動に対応してノズル口9に対する塗布液22の液面高さに変動が生じ、塗布膜厚の不所望な変動などを生じるおそれがあるが、この実施形態では、前端面上部29の傾斜角度θ3が所望の傾斜角度であるノズル部材19を用いれば、ノズル部材19の回動の範囲を、例えば傾斜角度θ3を若干増加または減少させる調整程度の比較的小さな範囲にとどめてもよく、液面高さの変動を抑制できる。 【0054】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、塗布ノズルを回動させることで基板と前端面との隙間が上方ほど広がるようになっているため、基板とノズル部材との間の間隔が変化しても、メニスカスカーブDが形成される位置でのギャップ寸法は同等になって、常に均一な塗布膜厚を得ることができる。 【0055】また、塗布液の粘度や塗布速度などの塗布特性条件に応じて、塗布ノズルを所定角度に回動させるため、前端面の傾斜を自由に設定することができて、塗布液の粘度や塗布速度などの塗布特性条件を変更しても、その変更した塗布特性条件に最適の前端面の傾斜角度とすることができ、その都度、傾斜角の異なる塗布ノズルへの交換をすることなく、より均一な塗布膜厚を得ることができる。 【0056】さらに、基板と前端面との隙間が上方ほど広がっているため、メニスカスカーブの上昇が抑えられることでノズル高さ方向のコンパクト化が可能で、また、塗布液によって濡れる前端面の面積も狭くなるため、パーティクルの発生やメニスカスカーブへの悪影響も抑えることができると共に、その洗浄作業も容易である。 【0057】さらに、従来の回転塗布方式のように基板を水平に支持せず基板を立設するため、その設置スペースを縮小することができ、また、従来の回転塗布方式のように基板を回転させた遠心力で塗布液を周りに振りきりつつ塗布するのではなく、立設した基板に対して、基板の被塗布面に沿ってノズル部材を移動手段で移動させつつ、毛管現象で供給された塗布液を基板の被塗布面に塗布するため、塗布液を節約することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000207551 【氏名又は名称】大日本スクリーン製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−42458 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−201890 |
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