トップ :: B 処理操作 運輸 :: B02 破砕,または粉砕;製粉のための穀粒の前処理




【発明の名称】 粉砕装置及びこれを用いた固・液スラリー製造方法
【発明者】 【氏名】小野 哲夫

【要約】 【課題】流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した粒径分布となるように固体を安価に粉砕し、また固体を粉砕して流動性及び濃度の高い固・液スラリーを製造する。

【解決手段】固定部材2と、固定部材2に向き合って回転軸4を中心に回転する回転部材3と、回転部材3に形成されると共に回転軸4を中心とする同心円状の回転歯5と、固定部材2に形成されると共に回転歯5に僅かな間隔をあけて嵌合する回転軸4を中心とする同心円状の固定歯6とを備え、回転部材3の回転によって該回転部材3と固定部材2との間に挟んだ被粉砕物を円周方向並びに半径方向さらにはこれらに直角な回転軸方向へ移動させ、その移動及び方向転換時に粉砕する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定部材と、前記固定部材に向き合って回転軸を中心に回転する回転部材と、前記回転部材に形成されると共に前記回転軸を中心とする同心円状の回転歯と、前記固定部材に形成されると共に前記回転歯に僅かな間隔をあけて嵌合する前記回転軸を中心とする同心円状の固定歯とを備え、前記回転部材の回転によって該回転部材と前記固定部材との間に挟んだ被粉砕物を円周方向並びに半径方向さらにはこれらに直角な回転軸方向へ移動させ、その移動及び方向転換時に粉砕することを特徴とする粉砕装置。
【請求項2】 前記回転歯と前記固定歯との少なくとも一方は歯の一部を切り欠いた切り欠き部を有することを特徴とする請求項1記載の粉砕装置。
【請求項3】 前記固定部材または前記回転部材の前記固定歯または前記回転歯が形成された破砕面の中心部に開口する被粉砕物供給孔と、前記被粉砕物供給孔に被粉砕物を送り込む供給手段と、前記固定部材または前記回転部材のいずれか一方の前記破砕面の中央部に相手側の前記破砕面に向けて突出する円錐状のガイド部材とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の粉砕装置。
【請求項4】 前記ガイド部材の表面に液体を供給する液体供給手段を備えたことを特徴とする請求項1から3までのいずれか記載の粉砕装置。
【請求項5】 請求項4記載の粉砕装置によって前記被粉砕物を粉砕する際に、前記液体供給手段からスラリー化に必要な液体でかつ必要量を供給し、前記被粉砕物を粉砕するのと同時に粉砕粒子を前記液体と混練してスラリー化することを特徴とする固・液スラリー製造方法。
【請求項6】 前記液体は添加剤を添加したものであることを特徴とする請求項5記載の固・液スラリー製造方法。
【請求項7】 前記液体は保護コロイドを添加したものであることを特徴とする請求項5記載の固・液スラリー製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉砕装置及びこれを用いた固・液スラリー製造方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、粉砕装置の粉砕歯の改良並びに粉砕装置を用いた流動性及び濃度の高い固・液スラリーを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固・液スラリー(以下、スラリーと略称する)は、固体と液体とを混合して流動性を持たせたものである。そして、スラリーは、石炭を流動的に輸送してそのまま燃焼可能な高濃度石炭・水スラリー(以下、CWMと略称する)やセメントスラリーなど、産業界の各所で用いられている。
【0003】これらスラリーの利用にあっては、その流動性と濃度が重要な性質となる。中でも、流動性は粒子が液体を介して接する表面同士の潤滑効果に依存する。このため、スラリーの流動性を高めるには、粒子の間の空間を小さくしてより多くの点で粒子同士を接触させることが有効である。
【0004】粒子間の空間を小さくするには、粒子間の隙間をそれより小さい他の粒子で埋めることが望まれる。すなわち、大粒子間の隙間に中粒子を入れ、これによって生じる大粒子と中粒子の間の隙間に小粒子を入れて、さらにこれによって生じる大・中・小粒子間の隙間に超微粒子を入れる。これにより、粒子間の隙間は順次小さくなって行き、液体が隙間から追い出される。その一方、粒子の比表面積が増加するので表面間に存在する液体量が増加して潤滑がスムーズとなり、スラリーの流動性が向上すると共に、スラリーの高濃度化を図ることができる。
【0005】このような粒子の関係は固体粒子の粒径分布にほかならない。固体粒子の粒径は、一定の粒径だけの単一粒径といわれるものは特別であり、通常大型の例えば微粉炭機と呼ばれる竪型ミルにより、あるいはチューブミルと呼ばれる横型ミルにより、または各種中・小型ミル等により微粉砕した場合、ある粒径を中心にその前後に大小の粒子が分布している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、流動性があり尚かつ濃度の高いスラリーを製造するためには超微粒子と言われる粒径1μm前後以下の極細かいものを多量に含む粒径分布とする必要があるが、従来の粉砕装置では同粒径分布を効率よく安価に得ることができなかった。
【0007】例えば、瀝青炭を竪型ミルによって粉砕した場合の粒径分布は、図5に○印で示すように、100μm以下が約93%,10μm以下が約15%,1μm以下が1%未満であり、高濃度のCWMを得るためには10μm以下、特に1μm前後の超微粒子成分が不足してしまう。
【0008】また、低品位炭を加圧ローラ型ミルやチューブミル等により粉砕した場合の粒子は、図6に示すように不定形から成る角張ったほぼ多面体で比較的大きな粒子となる。そして、この低品位炭の粒径分布は、図8に実線で示すように、100μm以下が約90%,10μm以下が約30%,1μm以下が1%以下であり、高濃度のCWMを得るためには1μm以下の超微粒子が少なくなってしまう。そして、この粒径分布の低品位炭によるCWMの濃度は約64%と低くなってしまい、65%を越える高濃度CWMを得ることは困難であった。
【0009】そこで、従来の固・液スラリー製造方法において、スラリーを高濃度化させ、流動性を向上させるには、粉砕された粒子とは別に大量の超微粒子を用意し、これをスラリー中に混入して、比較的大きな粒子の隙間に介在させるようにしなければならない。
【0010】ところが、超微粒子を得るための粉砕は比較的困難であるため、大量の超微粒子を製造するためには、膨大な製造コストを必要としてしまう。また、褐炭等の低品位炭のように弾力性を有し粉砕力を吸収してしまう物質は、超微粒子にまで粉砕することが困難である。このため、流動性及び濃度が高いスラリーを安価に得ることができないので、不適な粒径分布の粒子によりスラリーを製造しなければならず、流動性及び濃度が低いスラリーを使用しなければならなかった。あるいは、膨大なコストを費やして超微粒子を製造して被粉砕物に加えた場合はスラリーが非常に高価なものとなっていた。
【0011】また、セメント混和材としての使用が考えられるフライアッシュにおいても、その粒子は図9に示すように大部分が球形粒子であるが、燃焼の仕方によってはその他に大きな不定形粒子や溶着粒子を含むことがある。この場合のフライアッシュの粒径分布は、図11に実線で示すように、50μm以下が約90%、10μm以下が約35%、1μm以下が約4%となってしまう。この粒径分布のフライアッシュでは、セメント混和材のJIS規格(JIS A 6201)を満たせずにセメントスラリーの流動性が不十分となるので、セメント混和材として使用することはできない。このことがフライアッシュのセメントスラリーへの活用を阻害する原因となっている。
【0012】そこで、本発明は、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した粒径分布となるように固体を安価に粉砕する粉砕装置を提供することを目的としている。また、この粉砕装置により固体を粉砕して流動性及び濃度の高い固・液スラリーを製造する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するため、本発明の請求項1の粉砕装置は、固定部材と、固定部材に向き合って回転軸を中心に回転する回転部材と、回転部材に形成されると共に回転軸を中心とする同心円状の回転歯と、固定部材に形成されると共に回転歯に僅かな間隔をあけて嵌合する回転軸を中心とする同心円状の固定歯とを備え、回転部材の回転によって該回転部材と固定部材との間に挟んだ被粉砕物を円周方向並びに半径方向さらにはこれらに直角な回転軸方向へ移動させ、その移動及び方向転換時に粉砕するようにしている。
【0014】したがって、固定歯と回転歯との間に被粉砕物を挟んだ状態で回転部材を回転させることにより、被粉砕物は回転部材との摩擦で円周方向に移動すると共に遠心力を与えられて半径方向の外側に移動する。さらに、回転歯と固定歯と同心円状で嵌合しているので、被粉砕物は半径方向への移動が制限されて回転軸方向に移動する。このため、被粉砕物は、円周方向と半径方向と軸方向との3方向に方向転換しながら3次元的に移動する。このとき、被粉砕物の粒子が回転歯及び固定歯や他の粒子に接触して摩擦・摩砕しあるいは潰され、または切断や剪断や裁断がなされる。これにより、被粉砕物の粒子が角取り球状化されて球状化を図ることができると共に、削られた部分が超微粒子となるので多量の超微粒子を生成することができる。また、本発明の粉砕装置は比較的簡易な構成であるので、多量の超微粒子を安価に生成することができる。
【0015】例えば、瀝青炭を本発明の粉砕装置により粉砕した場合の粒径分布は、図5に●印で示すように、100μm以下が約100%,10μm以下が約45%,1μm以下が約17%となり、多量の超微粒子を含むものとなった。したがって、この瀝青炭の粒径分布は、流動性の良い高濃度のCWMを実現できるものとなった。
【0016】また、石炭火力発電所で採取したフライアッシュを本発明の粉砕装置により粉砕した場合の粒径分布は、図11に破線で示すように50μm以下が約95%,10μm以下が約50%,1μm以下が約5%となった。そして、粉砕されたフライアッシュでは、大きな不定形粒子や溶着粒子が粉砕されて図10に示すように球形粒子または粒径の小さな粒子となった。したがって、セメント混和材のJIS規格(JIS A 6201)を満足するフライアッシュを得ることができた。
【0017】そして、請求項2の粉砕装置では、回転歯と固定歯との少なくとも一方は歯の一部を切り欠いた切り欠き部を有するようにしている。したがって、被粉砕物の粒子が回転歯または固定歯の切り欠き部に入り込むと回転歯と固定歯との相対的な回転により切断・剪断される。特に、回転歯と固定歯との両方に切り欠き部を形成して被粉砕物の粒子を回転歯の切り欠き部と固定歯の切り欠き部とに同時に跨らせて回転歯の回転により固定歯との間で切断・剪断することができる。このため、弾性を有する粒子や細長い粒子であっても粉砕することができる。さらに、回転歯と固定歯との間では粉砕できないような固くて大きな粒子を逃がすことができるので、目詰まりの発生を防止することができる。
【0018】例えば、低品位炭を本発明の粉砕装置により粉砕した場合の粒径分布は、図8に破線で示すように、100μm以下が約100%,10μm以下が約50%,1μm以下が約10%となり、多量の超微粒子を含むものとなった。また、この粉砕後の低品位炭の粒子は、図7に示すようにほとんどが球形粒子となった。このため、この粒径分布の低品位炭により製造したCWMの濃度は約70%で高濃度かつ流動性の良好なCWMとなった。
【0019】さらに、請求項3の粉砕装置では、固定部材または回転部材の固定歯または回転歯が形成された破砕面の中心部に開口する被粉砕物供給孔と、被粉砕物供給孔に被粉砕物を送り込む供給手段と、固定部材または回転部材のいずれか一方の破砕面の中央部に相手側の破砕面に向けて突出する円錐状のガイド部材とを備えるようにしている。したがって、供給手段により被粉砕物供給孔に送り込まれた被粉砕物は回転するガイド部材によって遠心力を与えられて円周方向に移動しながら半径方向の外側に案内される。そして、被粉砕物は回転歯及び固定歯の間に遠心力により送り込まれる。
【0020】また、請求項4の粉砕装置では、ガイド部材の表面に液体を供給する液体供給手段を備えるようにしている。したがって、液体供給手段により被粉砕物の粉砕時にガイド部材の表面上での潤滑剤としての役割を果たす液体を供給できるので、被粉砕物を供給手段により被粉砕物供給孔に送り込んでガイド部材の表面上を遠心力により移動させる際の移動抵抗を小さくし流動性を向上させることができる。
【0021】一方、請求項5の固・液スラリー製造方法は、請求項4記載の粉砕装置によって被粉砕物を粉砕する際に、液体供給手段からスラリー化に必要な液体でかつ必要量を供給し、被粉砕物を粉砕するのと同時に粉砕粒子を液体と混練してスラリー化するようにしている。したがって、粉砕前の比較的大きな被粉砕物の粒子が液体と混合されて、その後その粒子が粉砕される。このとき、粉砕後の粒子は空気に触れることなく微粒子同士が一次凝集または原子間結合力により凝集した状態で集合体となっており、この集合体の周囲を液体が覆っている。集合体の粒子の結合は外力により簡単に切れるので、集合体は容易に変形可能である。このため、製造されたスラリーは流動性の高いものとなる。しかも、各集合体は多量の超微粒子を含んでいるので、スラリーの高濃度化を図ることができる。さらに、集合体が外力により分散・解砕した場合は、集合体の粒子は空気に触れることなく集合体を覆っていた液体に覆われるので、微粉炭のように撥水性の強い被粉砕物であっても容易にスラリー化される。
【0022】また、請求項6の固・液スラリー製造方法では、液体は添加剤を添加したものとしている。ここで、本明細書中における「添加剤」とは、粒子の表面の濡れ性を向上させて粒子の分散を図り凝集を防止して長期安定化を図るためのもので、分散剤及び安定剤の役割を果たす薬剤を総称したものを意味している。この場合、石炭等の撥水性の有る粒子を水と混合してスラリー化する際に、粒子の表面の濡れ性を向上させてスラリーの粒子の分散を図り凝集を防止して長期安定化を図ることができる。
【0023】さらに、請求項7の固・液スラリー製造方法では、液体は保護コロイドを添加したものとしている。この場合、■保護コロイドによるゲル化及びゾル化、■電解質による微粒子の凝集とイオンの拮抗作用からの分散、■高分子物質による微粒子の凝集と界面活性剤の二分子層からの分散などによって、ゲル状固・液スラリーが製造される。そこで、このゲル状固・液スラリーのゾル化に必要な僅かの添加剤・分散剤を添加して混練するだけで良好な流動性を持つ固・液スラリーが得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0025】図1に本発明の粉砕装置の一実施形態を示す。この粉砕装置1は、固定部材2と、固定部材2に向き合って回転軸4を中心に回転する回転部材3と、回転部材3に形成されると共に回転軸4を中心とする同心円状の回転歯5と、固定部材2に形成されると共に回転歯5に僅かな間隔をあけて嵌合する回転軸4を中心とする同心円状の固定歯6とを備え、回転部材3の回転によって該回転部材3と固定部材2との間に挟んだ被粉砕物を円周方向並びに半径方向さらにはこれらに直角な回転軸4方向へ移動させ、その移動及び方向転換時に粉砕するようにしている。
【0026】固定部材2及び回転部材3は円盤形状で互いに向き合って配置されている。回転部材3の中央部には固定部材2と垂直に回転軸4が取り付けられている。この回転軸4の回転により回転部材3が固定部材2に対して一定の距離を維持しながら回転する。
【0027】回転部材3の固定部材2を向いた面には、図1及び図2に示すように回転歯5,5,5が形成されている。この回転歯5,5,5は回転軸4を中心とする同心円状の凸部から成る。また、固定部材2の回転部材3を向いた面には固定歯6,6,6,6が形成されている。この固定歯6,6,6,6は回転部材3の回転軸4を中心とする同心円状の凸部から成る。そして、回転歯5は固定歯6,6の間に入り込み、かつ固定歯6は回転歯5,5の間に入り込んだ状態となって、回転歯5と固定歯6とは互いに凹凸が噛み合って嵌合する。これら回転歯5と固定歯6とはいずれも回転軸4を中心とする同心円状なので、回転歯5と固定歯6とは噛み合いながら干渉することなく回転部材3を回転させることができる。そして、これら回転歯5と固定歯6とが噛み合う面を破砕面16としている。
【0028】ここで、回転歯5と固定歯6とは凹凸を噛み合わせて嵌合しているので、これら回転歯5と固定歯6とに挟まれた被粉砕物は回転部材3の回転により円周方向に移動すると共に遠心力によって半径方向に移動し、更に半径方向に移動した被粉砕物は回転歯5または固定歯6により進行が妨げられて軸方向に移動する。そして、この移動中に被粉砕物は回転歯5及び固定歯6との間に挟まれて摩擦・摩砕しあるいは潰され、また粒子同士が接触して互いに摩擦し合う。すなわち、被粉砕物は3方向に方向転換しながら3次元的に移動して摩擦・摩砕される。これにより、例えば不定形の粒子は角取り球状化されると共に削られた部分は超微粒子となる。
【0029】また、固定歯6と回転歯5とは歯面同士の間隔を極狭くして設置している。これにより、被粉砕物を極狭い間に挟み込んで細かく粉砕して多量の超微粒子を生成することができる。本実施形態では、複数の固定歯6及び回転歯5のうちいずれの歯面同士の間隔も極狭くしているが、これに限られず例えば内周側の歯面同士の間隔を広くして外周側の歯面同士の間隔を狭くすることができる。この場合、内周側の間隔が広いので粉砕前の比較的大きな被粉砕物の粒子であっても詰まることがない。そして、内周側で粉砕されて細かくなった粒子を外周側で更に細かく粉砕して多量の超微粒子を得ることができる。
【0030】固定部材2の中央部には破砕面の中心部に開口する被粉砕物供給孔7が形成されている。本実施形態の場合、被粉砕物供給孔7は固定部材2の中央で破砕面16側と反対側とを貫通するように形成されている。他方、破砕面の中央部には相手側の破砕面に向けて突出する円錐状のガイド部8が設けられている。例えば、回転部材3の被粉砕物供給孔7と向き合う部分に、固定部材2側を頂点とし回転部材3側を底面とする円錐形状のガイド部8が形成されている。このガイド部8は回転部材3と別体に成形されてから溶接等により回転部材3に取り付けられている。固定部材2の被粉砕物供給孔7の破砕面16に開口する部分は、ガイド部材8に向き合うすり鉢状のガイド面7aとされている。したがって、固定部材2の外部から被粉砕物供給孔7に押し込まれた被粉砕物は回転するガイド部材8の表面に接して半径に応じた遠心力を与えられる。そして、被粉砕物は遠心力により固定部材2のガイド面7aと回転部材3のガイド部材8との間を外周側に案内される。これにより、被粉砕物は回転歯5及び固定歯6の間に入り込むことができる。
【0031】本実施形態では被粉砕物供給孔7は固定部材2の中央部で破砕面16側と反対側とを貫通しているが、この中央部での貫通には限られず、少なくとも固定部材2の破砕面16側の中心部と破砕面16以外の部分とを連通していれば良い。例えば、固定部材2の破砕面16側の中心部と破砕面16の反対側の上部とを連通したものとすることができる。この場合、破砕面16以外の部分に露出した被粉砕物供給孔7に被粉砕物を押し込むことにより、被粉砕物は被粉砕物供給孔7に案内されて破砕面16の中心部に供給される。また、本実施形態ではガイド部材8を別部材として回転部材3に取り付けているが、これには限られずガイド部材8を回転部材3と一体形成することができる。
【0032】さらに、固定部材2の外部に露出した被粉砕物供給孔7には供給手段としてのフィーダ装置9が設置されている。フィーダ装置9には、被粉砕物供給孔7に接合された筒状のフィーダ10と該フィーダ10に取り付けられたホッパー11とフィーダ10内で回転可能なスクリュー12とスクリュー軸13に取り付けられた図示しないモータを備えている。したがって、ホッパー11に入れられた被粉砕物は自重によりフィーダ10内に入り込む。そして、モータの回転によりスクリュー12が回転しフィーダ10内の被粉砕物を被粉砕物供給孔7に送り込む。
【0033】また、被粉砕物供給孔7には液体供給手段としての液体供給管14がガイド部材8の表面に向けて設置されている。この液体供給管14には液体供給ポンプ(図示省略)が取り付けられ、液体供給ポンプから液体供給管14を通して被粉砕物の移動抵抗を軽減させる潤滑剤としての液体あるいはスラリー化に必要な液体例えば水や添加剤等がガイド部材8の表面に供給されるように設けられている。これにより、被粉砕物がガイド部材8の表面で円滑に移動するので、フィーダ装置9による被粉砕物供給孔7への被粉砕物の押し込みが円滑にできるようになる。また、粉砕される前の被粉砕物に液体を与えることにより、粉砕と同時に被粉砕物と液体とを混合してスラリーを製造することができる。さらに、供給する液体としては水あるいは油のほか、粉砕後の被粉砕物の使用目的に合わせたものとすることができる。例えば、粉砕した石炭(微粉炭)にメタノールを供給することにより、石炭メタノールスラリーを製造することができる。この場合、石炭メタノールスラリーを輸送後に石炭とメタノールとに分離して、石炭を固体(バルク)として使用する一方、メタノールを例えばガソリン代替として利用することができる。
【0034】ここで、被粉砕物を例えば微粉炭とした場合は、微粉炭は流動性が良くないので液体供給管14から適量の液体を供給して流動性を向上させガイド部材8の表面での微粉炭の移動抵抗を小さくすることが好ましい。これにより、ガイド部材8の表面での微粉炭の移動に潤滑効果が生ずるので、フィーダ装置9による被粉砕物供給孔7への微粉炭の押し込みが円滑にできるようになる。
【0035】また、粉砕物を例えばフライアッシュとした場合は、フライアッシュはセメント混和材として利用することを目的とするため湿気を嫌うことから、液体供給管14から潤滑のための液体の供給は行わない。但し、フライアッシュは球形粒子を多量に含んでいるので、流動性が悪くなって詰まることはない。なお、フライアッシュをセメント混和材として使用する場合には、セメント使用現場において、粉砕と同時に水を加えてスラリー化を行うこともできる。
【0036】上述した粉砕装置1により被粉砕物として微粉炭を粉砕する動作を以下に説明する。ここでは、微粉炭として瀝青炭を使用した場合について説明する。
【0037】例えば石炭ボイラ用の竪型ミルにより乾式粉砕して得た微粉炭をホッパー11に入れて、フィーダ装置9のモータを回転させる。微粉炭はフィーダ10の内部をスクリュー12により移動されて、固定部材2の被粉砕物供給孔7に送り込まれる。微粉炭は、回転するガイド部材8に接触して遠心力を与えられる。これにより、微粉炭はガイド部材8とガイド面7aとの間を外周方向に案内される。
【0038】ここで、この粉砕装置1により瀝青炭の微粉炭を粉砕する場合、スクリューフィーダなどの微粉炭を強制的に押し込む手段を用いずに微粉炭を供給して行う実験によると、回転部材3の回転数が1000rpmを超えるものとすると、回転歯5が微粉炭をはじいてしまい、その粒子は回転歯5と固定歯6の間に入らなくなって粉砕されない。一方、図12に示すように回転部材3の回転数を500rpm以下とすると、粉砕された粒子径は原粉の代表径よりも小さくなって微粉化の効果が認められた。しかし、時間が経過するにつれて、フィーダ9から供給される微粉炭が粉砕歯の間に入って行かずに詰まってしまい、ついには回転歯が止まってしまう事態が起きることがある。これは回転数が大きいと、強制的押し込み力が存在しない状況下では円周方向への移動速度が大きくなり、半径方向への移動が小さく粉砕歯の間に入って行き難くなるものと考えられる。これを防ぐためには、潤滑効果の生ずる液体の供給が効果的である。さらに、図12に示す場合では回転数100rpmで微粉化のピーク値を得た。そして、回転数が100rpmより小さくなると急激に粉砕されなくなり、70rpm以下では全く粉砕されなかった。これは、回転歯5の回転力が微粉炭の移動にのみ費やされ、粉砕力がほとんど生じないためと推測される。
【0039】ここで、粉砕装置1の回転部材・回転歯5の回転数を1000rpm以下、特に100〜200rpmの低速回転させると、回転歯5,6が被粉砕物をはじくことがなく破砕面16,16に確実に入り込んで粉砕される上に、粉砕装置としては極めて小さな駆動モータ等の設備と小動力で粉砕を実現できる。
【0040】また、粉砕装置1により中国炭を粉砕した場合は、瀝青炭の場合と同様に、スクリューフィーダなどを用いずに回転部材3の回転数を1000rpmを超えるものとすると、回転歯5が微粉炭をはじいてしまい、その粒子は回転歯5と固定歯6の間に入らなくなって粉砕されなくなる。さらに、図13に示すように回転部材3の回転数を500rpm以下とすると、粉砕された粒子径は原粉の代表径よりも徐々に小さくなって微粉化の効果が認められた。しかし、時間が経過するにつれて、フィーダ9から供給される微粉炭が粉砕歯の間に入って行かずに詰まってしまい、ついには回転歯が止まってしまう事態が起きることがある。これは回転数が大きいと、円周方向への移動速度が大きくなり、半径方向への移動が小さく粉砕歯の間に入って行き難くなるものと考えられる。これを防ぐためには、潤滑剤の供給が効果的である。また、回転数200rpmで微粉化のピーク値を得た。そして、回転数が100rpmより小さくなると急激に粉砕されなくなった。
【0041】したがって、石炭の種類や粉砕条件の相違等を考慮すると、スクリューフィーダなどの強制押し込み手段を備えない場合には、回転部材3の回転数は1000rpm以下であることが好ましく、特に上述した瀝青炭や中国炭の場合ではより好ましくは500rpm以下であり、最も好ましくは80〜200rpmである。但し、この好ましい回転数は被粉砕物の種類によって異なるものであり、例えば豪州炭では0rpm近くでも粉砕効果を得ることができた。
【0042】そして、微粉炭は回転歯5と固定歯6との間に遠心力により送り込まれる。ここで、微粉炭は回転歯5と固定歯6との相対運動により円周方向に移動する。これと同時に微粉炭は遠心力を受け半径方向の外側に移動する。さらに、微粉炭は回転歯5または固定歯6に当たって半径方向への移動が制限されるので軸方向に移動する。
【0043】すなわち、微粉炭は3方向の方向転換を繰り返して3次元的に移動しながら回転歯5と固定歯6との狭い隙間で摩擦・摩砕され、あるいは潰されて粉砕される。また、微粉炭の摩擦・摩砕は回転歯5及び固定歯6により直接潰されたり、微粉炭の粒子同士が接触することによりなされる。これに加え、回転歯5と固定歯6との相対運動により微粉炭が切断や剪断や裁断(以下、切断等という)されることによっても粉砕される。したがって、微粉炭は3次元的に複雑に方向転換しつつ移動しながら摩擦や切断等されるので、大きな粒子が角取り球状化されて削られた部分が超微粒子となり、超微粒子を多量に含んだ粒径分布の微粉炭を生成することができる。さらに、微粉炭は最終的には回転部材3及び固定部材2の外周から外部に排出される。
【0044】ここで、瀝青炭を粉砕装置1により粉砕した場合の粒径分布は、図5に●印で示すように、100μm以下が約100%,10μm以下が約45%,1μm以下が約17%となった。したがって、流動性の良い高濃度のCWMを実現できる粒径分布とすることができた。
【0045】本実施形態では微粉炭として剛性が大きい瀝青炭を粉砕しているので、粉砕装置1での粉砕は主として摩擦・摩砕によりなされている。これに対し例えば低品位炭を粉砕する場合は、低品位炭は弾性を有することから瀝青炭よりは摩擦され難い。しかし、粉砕装置1では被粉砕物を円周方向及び半径方向のみならず軸方向へも強制的に移動させているので、この方向転換時に低品位炭は一時圧縮され、この時に回転歯の切り欠き部と固定歯の切り欠き部とに同時に跨らせて回転歯の回転により固定歯との間で切断等されて細粒化され、また摩擦で超微粒子が大量に生成される。これにより、弾力性を有する低品位炭の図6に示すような大きな不定型でほぼ多面体の粒子であっても、図7に示すように粉砕されて多量の超微粒子が生成される。
【0046】ここで、低品位炭を粉砕装置1により粉砕した場合の粒径分布は、図8に破線で示すように、100μm以下が約100%,10μm以下が約50%,1μm以下が約10%となった。すなわち、流動性の良い高濃度のCWMを実現できる粒径分布とすることができた。
【0047】したがって、この粉砕装置1によれば、粉砕により削られた部分が超微粒子となり多量の超微粒子を生成することができるので、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した超微粒子を多量に含む粒径分布である被粉砕物を得ることができる。しかも、この粉砕装置1は回転部材3を固定部材2に向き合わせて回転させる比較的簡易な構成であるので、超微粒子を多量に含む粒径分布の被粉砕物を安価に得ることができる。この粉砕装置1によって得られる被粉砕物を水あるいは油などの所望の液体更には必要に応じて適宜添加剤を添加して混練することにより、高濃度で安定な所望の固・液スラリーを得ることができる。
【0048】次に、この粉砕装置1により微粉炭を粉砕すると共にスラリーを製造する場合について説明する。
【0049】液体供給管14から水や油等の液体を供給することにより、微粉炭は粉砕装置1で粉砕されながら液体と混練される。ここで、スラリー製造用の液体としては水スラリーを製造するための水、油スラリーを製造するための油、メタノールスラリーを製造するためのメタノール等とすることができる。また、液体の供給量を調整することによってスラリーの濃度を調整することができる。
【0050】そして、微粉炭にはガイド部材8の表面で液体が与えられるので、粉砕前の比較的大きな粒子の周囲を液体が覆った状態になる。この状態で粒子が破砕されると、破砕により形成された粒子同士が空気に触れることなく一次凝集または原子間結合力により凝集して集合体を形成し、その集合体の周囲を液体が覆った状態になる。集合体の粒子同士の結合は外力により簡単に切れるものであるので、集合体は容易に変形可能である。このような粒子群が多数発生するので、流動性の高いスラリーを製造することができる。また、各集合体には多数の超微粒子が含まれるので、高濃度のスラリーを製造することができる。なお、製造されたスラリーは、回転部材3及び固定部材2の間の外周から流れ落ちる。
【0051】さらに、集合体が外力により分散・解砕すると、集合体の粒子は空気に触れることなく集合体を覆っていた液体に覆われる。このため、CWMを製造する際は、微粉炭のように撥水性の強い被粉砕物であっても容易にスラリー化される。すなわち、乾式粉砕により形成した超微粒子に水を与えても馴染ませることは困難であるが、大きな粒子を予め水で覆わせておいてこれを粉砕して超微粒子を形成すれば容易に馴染ませることができる。したがって、流動性を維持しながら分散剤や保護コロイドの添加量を減少することができるので、安価に流動性の高いCWMを得ることができる。
【0052】また、微粉炭に水を混練してCWMを製造する場合は、この水に添加剤を加えておくことが好ましい。これにより、CWM中で微粉炭の分散を図り凝集を防止して長期安定化等を図ることができる。添加剤としては一般的な界面活性剤を使用することができる。この場合には、通常、CWMの水分に対して0.4〜0.5wt%程度の界面活性剤が添加される。これにより、良好な流動性を持つCWMを粉砕と同時に得ることができるので、CWMを安価に製造できるようになる。
【0053】また、スラリー化のための液体例えば水に保護コロイドを加えて液体供給管14から被粉砕物供給孔7に供給する場合もある。この場合には、保護コロイドが微粉炭粉砕と同時にその粒子と混合され、これにより微粉炭の粒子同士の二次結合や、微粉炭の粒子間引力による凝集や、高分子の橋かけ凝集が起こる。このため、微粉炭がゲル化するので、ゼリー状の微粉炭ゲルが生成される。
【0054】そこで、この微粉炭ゲルに添加剤を添加して例えば混練機などで十分に攪拌して混合すれば、ゾル化して流動性のある安定なCWMが得られる。この微粉炭ゲルをゾル化するのに必要とされる添加剤例えば界面活性剤は、それ単独で使用する場合よりも少ない量(1/3〜1/4程度)で同じ流動性・安定性を得ることができた。即ち、僅かな界面活性剤の添加により、微粉炭ゲルの粒子同士の二次結合が破壊されたり、微粉炭粒子にイオンの拮抗作用が起きたり、分散剤自体若しくは糸まり状高分子が微粉炭粒子の空いた部分を埋めたりすることにより、微粉炭がゾル化される。そして、微粉炭粒子は、ゾル化した状態で凝集することなく安定する。これにより、パイプラインで輸送するのに適した流動性を備えたCWMを得ることができる。
【0055】ここで、保護コロイドの添加量はゲル化作用を起こすのに十分な量であれば良く、多過ぎてはゲル化が進んでしまいゾル化するのに多くの分散剤を必要としてしまう。例えば、濃度70.6%のCWMにおいて分散剤たる界面活性剤の量を従来の1/2の0.2wt%にしたときには、保護コロイドの添加量をCWMの10ppmを超える量にすると流動性が悪くなることがある。この場合、分散剤を多く添加する必要が生じ、従来の添加量と変わらなくなってくる。また、保護コロイドの添加量の下限は微粉炭との相互凝結を生ずる量より多い量である。これよりも保護コロイドの添加量が少ないと、増感作用を起こす。例えば、濃度70.6%のCWMにおいて10-4ppt未満の量とすると流動性が悪くなることがあるので、10-3pptオーダーを超える量であることが好ましい。そこで、保護コロイドの添加量は、例えば70%濃度のCWMを得る場合には、好ましくはCWMに加えられる水に対して好ましくはppmオーダーからpptオーダー例えば1ppm〜10-3ppt、より好ましくはpptオーダーからppbオーダー例えば1pptから1ppbである。したがって、CWMの水分に対して1ppm以下10-3ppt以上、より好ましくは1ppt〜1ppbの範囲で保護コロイドを添加した液体を供給しながら粉砕装置1で微粉炭を粉砕すれば、所定の粒径分布からなる微粉炭粒子がゾル化された状態で得られる。尚、保護コロイドの好適な添加量は、CWMの濃度によっても若干異なるが、上述のpptオーダーからppbオーダーに設定しておけば、CWMの濃度にほとんど左右されることがない。
【0056】また、添加剤として極めて安価な界面活性効果の低いイオン中和剤を用いる場合には、保護コロイドを1wt%程度添加しても多量のイオン中和剤で安価にゾル化できる。しかし、分散剤として従来から一般的に使用される高価な界面活性効果の高い界面活性剤を使用する場合には、保護コロイドの添加量を100ppm以下とする。これにより、界面活性剤の使用量を大幅に削減できる上に、保護コロイド自体も100ppm以下なので、極めて添加量を少なくできる。
【0057】更に、保護コロイドとしては、表1〜3に例示するようなものが使用可能である。そして、代表的にはゼラチン・アラビアゴム・カゼイン・にかわ・トラガント・アルブミン・デキストリン・デンプン、ヒドロキシエチルセルロース・ポリビニールアルコール・メチルセルロース等の使用が好ましい。但しこれらに限らず、疎水コロイド粒子である湿り微粉炭に対して保護作用を示すものであれば、他の種類の保護コロイドでも構わない。さらに、添加する保護コロイドは単一の種類に限らず、複数の種類の保護コロイドを同時に添加しても構わない。
【0058】また、添加剤としては界面活性剤が一般的であるが、これに限らず微粉炭粒子から溶出する主に金属イオンから成る多価イオンを取り込むキレート化剤や前述の多価イオンを中和させて保護コロイドとイオン結合するのを阻止するイオン中和剤等のように、一旦可逆的なゲル状となった微粉炭粒子を再びゾルに戻すいわゆるゾル化作用を示すもの(ゾル化剤)であれば他の分散安定化物質でも構わない。そして、キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等を用いることができる。また、分散剤として、微粉炭粒子同士のイオン結合を防止する遮蔽剤を用いても構わない。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】ところで、低品位炭(低炭化度炭)をスラリー化する場合は、液体供給管14から単なる水を供給することにより保護コロイドを添加しなくてもゲル状のCWMを得られることがある。これは、低品位炭には石炭の原物質である木材に含まれる植物粘質物やデンプン質や微生物による粘質物等に由来する保護コロイド物質が残存していたからと考えられる。そこで、このCWMに微量の分散剤を添加することにより、良好な流動性のCWMを得ることができる。したがって、この場合は、保護コロイドを別個に添加する必要が無くなるので、製造コストを更に低減することができる。
【0063】よって、この粉砕装置1によりCWMを製造することにより、通常見られる混気ジェットポンプのように微粉炭をその撥水性に反して湿り微粉炭にするために多大な時間と動力を要するようなことはなく、単に粉砕を行うのと同程度の時間と動力で流動性の高いスラリーを得ることができる。しかも、超微粒子が多数含まれているので、高濃度のスラリーを得ることができる。
【0064】一方、粉砕装置1で微粉炭を粉砕すると共に液体供給管14から油を供給することにより、高濃度石炭・油スラリー(COM)を製造することができる。ここで、石炭と油とは馴染みが良いので界面活性剤や保護コロイドの添加は必要ない。本粉砕装置1によりCOMを製造する場合も、微粉炭の超微粒子を多量に生成することができるので、流動性及び濃度の高いCOMを得ることができる。また、褐炭を微粉炭ミルなどで所定の粒径以下の微粉炭とした後に本粉砕装置1によって粉砕して超微粒子の大量生成を計ることによって、褐炭液化プラントにおけるCOMをその流動性を維持したまま高濃度化することが可能となる。これにより、液化油の収量を増加することができる。
【0065】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では被粉砕物として微粉炭を粉砕しているが、これに限られず例えばフライアッシュを粉砕することもできる。フライアッシュは、図9に示すように球形粒子と不定形粒子及び溶着粒子(以下、不定形粒子と略称する)を有している。このフライアッシュを粉砕装置1で粉砕すると、フライアッシュが回転歯5と固定歯6との間の僅かな隙間を移動するとき、球形粒子は球形であることにより摩擦・摩砕あるいは切断等の外力を逃れてそのまま通過する。その一方、不定形粒子は摩擦・摩砕あるいは切断等の力を受けて粉砕される。その結果、フライアッシュ中の不定形粒子のみが選択的に粉砕されて、図10に示すように全体として粒子の球状化を図ることができる。なお、フライアッシュでは球形粒子を含んでいるので、液体供給管14により液体を供給することなく比較的滑かに移動することができる。
【0066】ここで、粉砕装置1によりフライアッシュを粉砕した場合の粒径分布の変化の一例を図11に示す。石炭火力発電所で得たフライアッシュの粒径分布は図中実線で示すように50μm以下が約90%,10μm以下が約35%,1μm以下が約4%であったのに対し、本粉砕装置1により粉砕したフライアッシュの粒径分布は図中破線で示すように50μm以下が約95%,10μm以下が約50%,1μm以下が約5%であった。したがって、粒子が細かく砕かれて、セメント混和材のJIS規格を満足する粒径分布のフライアッシュを得ることができた。
【0067】また、図1及び図2に示す実施形態では回転歯5及び固定歯6を連続した円環形としているが、これに限られず図3に示すように回転歯5及び固定歯6の一部を切り欠く切欠部15を形成することもできる。切欠部15は回転歯5及び固定歯6の一部を半径方向に連通する形状としている。このため、被粉砕物の粒子が回転歯5または固定歯6の切欠部15に入り込むと回転歯5と固定歯6との相対的な回転により剪断される。特に、微粉炭やフライアッシュの粒子が回転歯5の切欠部15と固定歯6の切欠部15とに同時に跨った場合は、この粒子は回転歯5の回転により固定歯6との間で切断・剪断される。
【0068】これにより、例えば低炭化度炭等のように比較的弾力性に富んで摩擦や切断等の粉砕力を吸収して粉砕が困難なものを粉砕できるようになる。また、図9に示すようなフライアッシュの多数の球形粒子が溶着してくっついた大形粒子や細長い形状の粒子を粉砕できるようになる。さらに、回転歯5と固定歯6との間では粉砕できないような大きく固い粒子を切欠部15を通過させて逃がすことができる。これにより、このような粒子が回転歯5と固定歯6との間に詰まって他の粒子の流動を妨害したり回転歯5を止めてしまうことを防止できる。この場合も、粉砕により削られた部分が超微粒子となり多量の超微粒子を生成することができるので、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した超微粒子を多量に含む粒径分布である被粉砕物を得ることができる。
【0069】また、上述した図3に示す実施形態では切欠部15を回転歯5及び固定歯6の双方に形成しているが、これに限られず回転歯または固定歯6の一方のみに形成するようにしても構わない。この場合も被粉砕物の粒子が回転歯5または固定歯6の切り欠き部15に入り込むと回転歯5と固定歯6との相対的な回転により切断・剪断される。そして、この場合も粉砕により削られた部分が超微粒子となり多量の超微粒子を生成することができるので、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した超微粒子を多量に含む粒径分布である被粉砕物を得ることができる。
【0070】さらに、図1及び図2に示す実施形態では図1に示すように回転歯5及び固定歯6の軸方向断面の輪郭を矩形状としているが、これに限られず図4に示すように曲線状とすることができる。この場合、被粉砕物の半径方向及び軸方向への移動を滑らかに行うことができるので、回転歯5及び固定歯6の間で流動し難い被粉砕物であっても詰まることなく粉砕することができる。
【0071】また、上述した各実施形態では被粉砕物を微粉炭またはフライアッシュとしているが、これには限られない。すなわち、微粉炭またはフライアッシュはいずれも最大径500μm以下の比較的細かな粉体であるが、これには限られず例えば最大径が数mmあるいは十数mmの粒状のものや、さらにこれを越える大きな粒状物や、反対に最大径が500μmよりも遥かに小さい粉体を被粉砕物とすることができる。これらの場合、回転歯5と固定歯6との大きさや間隔や回転速度を必要に応じて設定することにより、適切な粉砕を行うことができる。
【0072】このような粒状の被粉砕物のスラリー化の例として、数mm以下に粉砕した微粉炭に10〜20%の水を加えてペースト状にして加圧ポンプによって加圧流動床など高圧のボイラ等に供給する燃料であるCWP(Coal Water Paste)が挙げられる。この場合、予め数mm程度の粒径以下に砕かれた粒状石炭を本粉砕装置1によって粉砕し、供給した微粉炭より非常に細かな超微粒子等の微細粒子を大量に生成する。これにより、CWMと同様に超微粒子の含有量を高めることによってCWPの流動性を向上することが期待できる。さらに、本粉砕装置1によって粉砕を行うことにより、微細粒子等の生成と同時にペースト化することができる。したがって、ペースト化のための別途の装置や動力や作業時間等を必要とせず、迅速かつ容易にCWPを得ることができる。
【0073】さらに、この粉砕装置1で微粉炭にメタノールを混練してスラリー化することにより、石炭のメタノールスラリーを製造することもできる。このメタノールスラリーは、CMWではその中にある30%の水分の蒸発の潜熱が石炭の熱量に対して損失となることや産炭地が砂漠地帯等でありCWM用の水の確保が困難であること等を考慮し、炭鉱で副生産されるメタンあるいは石炭をガス化して得られるメタンを用いて、これをアルコール合成して液体であるメタノールとし、このメタノールを用いて石炭をスラリー化するものである。この場合も、本実施形態の粉砕装置1によりCWM等の場合と同様に大量の超微粒子を生成することができるので、スラリーの濃度・流動性の向上を容易かつ安価に図ることができる。
【0074】上述したスラリーを製造する各実施形態では、スラリーの原料となる固体は微粉炭としているが、これには限られず例えば石灰や砕石等を用いることもできるのは勿論である。この場合も、粉砕により削られた部分が超微粒子となり多量の超微粒子を生成することができるので、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した超微粒子を多量に含む粒径分布である被粉砕物を得ることができる。
【0075】
【実施例】
[実施例1]図1に示す粉砕装置1により瀝青炭の粉砕とCWM製造を行った。石炭ボイラ用の堅型ミルで瀝青炭を乾式粉砕して所定の粒径以下の微粉炭を予め得た。この微粉炭を粉砕装置1のホッパー11に入れ、フィーダ装置9によって粉砕装置1の回転歯5および固定歯6の間に送り込んだ。このとき、液体供給管14からスラリー化に必要な量の水を供給した。回転歯5の回転数は約150rpmとした。そして、粉砕装置1により微粉炭を摩擦や切断等によって粉砕すると共に、粉砕された粒子と水との混練を行ってCWMを得た。
【0076】この粉砕による微粉炭の粒径分布を図5に●印で示す。この粒径分布は100μm以下が約100%,10μm以下が約45%,1μm以下が約17%となった。このため、超微粒子が多量に含まれているため、得られたCWMは流動性の良い高濃度ものとなった。
【0077】[実施例2]図1に示す粉砕装置1により低品位炭の粉砕とCWM製造を行った。低品位炭を石炭ボイラ用のチューブミルで乾式粉砕して所定の粒径以下の微粉炭を予め得た。ここで、この低品位炭の微粉炭はその内部に起源物質である木材に由来する細孔が残存していて図6に示すように多孔質であり、この細孔内に多くの水を含んでいて水分量50〜60%あるいは60%を越えるものもある。そこで、この実施例では、この微粉炭に対して、加圧脱水等により細孔内の水分を追い出すと共に細孔を押し潰して以後ここに水が入らないようにする等の改質を行った。そして、この微粉炭を粉砕装置1のホッパー11に入れて実施例1と同様にフィーダ装置9によって粉砕装置1の回転歯5および固定歯6の間に送り込んだ。このとき、液体供給管14から必要量の水を供給した。回転歯5の回転数は約150rpmとした。そして、粉砕装置1により微粉炭を摩擦や切断等によって粉砕すると共に、粉砕された粒子と水との混練を行ってCWMを得た。
【0078】この粉砕による微粉炭の粒径分布を図8に破線で示す。この粒径分布は100μm以下が約100%,10μm以下が約50%,1μm以下が約10%となった。このため、超微粒子が多量に含まれているため、得られたCWMは濃度70%の高濃度で流動性の良好なものとなった。
【0079】また、粉砕後の粒子の顕微鏡写真を図7に示す。この写真から明らかなように不定形で大きな粒子が摩擦や切断等により角取り球状化されて超微粒子となった。
【0080】[実施例3]図4に示す粉砕装置1によりフライアッシュの粉砕を行った。図9に示すように石炭火力発電所から得たフライアッシュを粉砕装置1のホッパー11に入れ、フィーダ装置9によって粉砕装置1の回転歯5および固定歯6の間に送り込んだ。ここで、このフライアッシュはセメント混和材として利用することを目的とするため湿気を嫌うことから、液体供給管14から潤滑のための液体の供給は行わず、乾燥状態のまま粉砕を行った。フライアッシュの移動はあまり円滑ではないが、図4に示すように回転歯5及び固定歯6の軸方向の断面の輪郭が曲線状であるので、フライアッシュが回転歯5及び固定歯6の間に詰まることなく粉砕が行われた。また、回転歯5の回転数は約150rpmとした。そして、粉砕装置1によりフライアッシュを摩擦や切断等によって粉砕した。
【0081】石炭火力発電所から得たフライアッシュの原粉の顕微鏡写真を図9に示し、このフライアッシュを粉砕装置1により粉砕した後の顕微鏡写真を図10に示す。これらの写真から明らかなように粉砕により大きな不定形粒子が破砕されてフライアッシュが球状化された。また、粉砕の前後の粒径分布を図11に示す。粉砕前の粒径分布は同図中に実線で示すように50μm以下が約90%、10μm以下が約35%、1μm以下が約4%となった。これに対し、粉砕後の粒径分布は同図中に破線で示すように50μm以下が約95%、10μm以下が約50%、1μm以下が約5%となった。したがって、大きな不定形粒子が細かく砕かれて、セメント混和材のJIS規格を満足するフライアッシュを得ることができた。
【0082】[実施例4]図1に示す粉砕装置1により瀝青炭(太平洋炭)を回転部材3の回転数を異ならせて粉砕した。そして、回転数と得られた微粉炭の代表径(50%径)との関係を求めた。その結果を図12に示す。同図に示すように、回転数が500rpm以下では、粉砕粒子の代表径が原粉の代表径よりも小さくなってある程度の粉砕効果が見られた。また、回転数が80〜150rpmで更に高い粉砕効果が得られた。さらに、回転数100rpm付近で最も粒子が細かく粉砕された。また、回転数が70rpm以下では全く粉砕されなかった。これは、回転歯5の回転力が微粉炭の移動にのみ費やされ、粉砕力がほとんど生じないためと推測される。
【0083】したがって、この実施例では、回転部材3の回転数としては好ましくは500rpm以下であり、より好ましくは80〜150rpmであり、最も好ましくは100rpmであった。
【0084】[実施例5]図1に示す粉砕装置1により中国炭を回転部材3の回転数を異ならせて粉砕した。そして、回転数と得られた微粉炭の代表径(50%径)との関係を求めた。その結果を図13に示す。同図に示すように、回転数が500rpm以下では、粉砕粒子の代表径が原粉の代表径よりも小さくなってある程度の粉砕効果が見られた。また、回転数が100〜300rpmで更に高い粉砕効果が得られた。さらに、回転数200rpm付近で最も粒子が細かく粉砕された。
【0085】したがって、この実施例では、回転部材3の回転数としては好ましくは500rpm以下であり、より好ましくは100〜300rpmであり、最も好ましくは200rpmであった。
【0086】[比較例1]従来の竪型ミルにより瀝青炭の粉砕を行った。この粉砕による微粉炭の粒径分布を図5に○印で示す。この粒径分布は100μm以下が約93%,10μm以下が約15%,1μm以下が1%未満であった。このため、高濃度のCWMを得るためには10μm以下、特に1μm前後の超微粒子成分が不足した。
【0087】したがって、図5に●印で示す実施例1の粉砕装置1での粉砕による粒径分布は従来の竪型ミルでの粉砕による粒径分布よりも超微粒子が多量に含まれていることが明らかとなった。
【0088】[比較例2]低品位炭をチューブミルにより粉砕した。この粉砕による微粉炭の粒径分布を図8に実線で示す。この粒径分布は100μm以下が約90%,10μm以下が約30%,1μm以下が1%以下であった。1μm以下の超微粒子が少なかったのは、低炭化度炭はそれ自身が多孔質で弾力性に富むことから粉砕時に粉砕力を吸収して粉砕されないからと推測される。そして、この微粒子によるCWMの濃度は約64%と低く、65%を越える高濃度CWMを得ることは困難であった。
【0089】したがって、図8に破線で示す実施例2の粉砕装置1での粉砕による粒径分布は従来の方法での粉砕による粒径分布よりも超微粒子が多量に含まれていることが明らかとなった。また、実施例2で得られたCWMは比較例2で得られたCWMよりも高濃度かつ高い流動性とすることができた。
【0090】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項1の粉砕装置は、固定部材と、固定部材に向き合って回転軸を中心に回転する回転部材と、回転部材に形成されると共に回転軸を中心とする同心円状の回転歯と、固定部材に形成されると共に回転歯に僅かな間隔をあけて嵌合する回転軸を中心とする同心円状の固定歯とを備え、回転部材の回転によって該回転部材と固定部材との間に挟んだ被粉砕物を円周方向並びに半径方向さらにはこれらに直角な回転軸方向へ移動させ、その移動及び方向転換時に粉砕するようにしているので、固定歯と回転歯との間に被粉砕物を挟んだ状態で回転部材を回転させることにより、被粉砕物は回転部材との摩擦で円周方向に移動すると共に遠心力を与えられて半径方向の外側に移動する。
【0091】このため、被粉砕物は、円周方向と半径方向と軸方向との3方向に方向転換しながら3次元的に移動する。このとき、被粉砕物の粒子が回転歯及び固定歯や他の粒子に接触して摩擦・摩砕しあるいは潰され、または切断や剪断や載断がなされる。これにより、被粉砕物の粒子が角取り球状化されて球状化を図ることができると共に、削られた部分が超微粒子となるので多量の超微粒子を生成することができる。よって、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した超微粒子を多量に含む粒径分布である被粉砕物を得ることができる。しかも、本発明の粉砕装置は比較的簡易な構成であるので、流動性及び濃度の高いスラリーを製造するのに適した粒径分布の被粉砕物を安価に得ることができる。
【0092】また、請求項2の粉砕装置では、回転歯と固定歯との少なくとも一方は歯の一部を切り欠いた切り欠き部を有するようにしているので、被粉砕物の粒子が回転歯または固定歯の切り欠き部に入り込むと回転歯と固定歯との相対的な回転により切断・剪断される。特に、回転歯と固定歯との両方に切り欠き部を形成して被粉砕物の粒子を回転歯の切り欠き部と固定歯の切り欠き部とに同時に跨らせて回転歯の回転により固定歯との間で切断・剪断することができる。このため、弾性を有する粒子や細長い粒子であっても粉砕することができる。さらに、回転歯と固定歯との間では粉砕できないような固くて大きな粒子を逃がすことができるので、目詰まりの発生を防止することができる。
【0093】さらに、請求項3の粉砕装置では、固定部材または回転部材の固定歯または回転歯が形成された破砕面の中心部に開口する被粉砕物供給孔と、被粉砕物供給孔に被粉砕物を送り込む供給手段と、固定部材または回転部材のいずれか一方の破砕面の中央部に相手側の破砕面に向けて突出する円錐状のガイド部材とを備えるようにしているので、供給手段により被粉砕物供給孔に送り込まれた被粉砕物は回転するガイド部材によって遠心力を与えられて円周方向に移動しながら半径方向の外側に案内される。そして、被粉砕物は回転歯及び固定歯の間に遠心力により送り込まれる。したがって、回転歯及び固定歯への被粉砕物の供給を円滑に行うことができ、スムーズに粉砕を行うことができる。
【0094】また、請求項4の粉砕装置では、ガイド部材の表面に液体を供給する液体供給手段を備えるようにしているので、液体供給手段により被粉砕物の粉砕時にガイド部材の表面上での潤滑剤としての役割を果たす液体を供給でき、被粉砕物を供給手段により被粉砕物供給孔に送り込んでガイド部材の表面上を遠心力により移動させる際の移動抵抗を小さくし流動性を向上させることができる。これにより、更に円滑に粉砕を行うことができる。
【0095】一方、請求項5の固・液スラリー製造方法は、請求項4記載の粉砕装置によって被粉砕物を粉砕する際に、液体供給手段からスラリー化に必要な液体でかつ必要量を供給し、被粉砕物を粉砕するのと同時に粉砕粒子を液体と混練してスラリー化するようにしているので、粉砕前の比較的大きな被粉砕物の粒子が液体と混合されて、その後その粒子が粉砕される。このとき、粉砕後の粒子は空気に触れることなく微粒子同士が一次凝集または原子間結合力により凝集した状態で集合体となっており、この集合体の周囲を液体が覆っている。集合体の粒子の結合は外力により簡単に切れるので、集合体は容易に変形可能である。このため、製造されたスラリーは流動性の高いものとなる。しかも、各集合体は多量の超微粒子を含んでいるので、スラリーの高濃度化を図ることができる。
【0096】さらに、集合体が外力により分散・解砕した場合は、集合体の粒子は空気に触れることなく集合体を覆っていた液体に覆われるので、微粉炭のように撥水性の強い被粉砕物であっても容易にスラリー化される。このため、CWMを製造する際に微粉炭の濡れ性を向上させるための分散剤や保護コロイド等の添加量を減少することができ、流動性及び濃度の高いCWMを安価に製造できるようになる。
【0097】また、請求項6の固・液スラリー製造方法では、液体は添加剤を添加したものとしているので、石炭等の撥水性の有る粒子を水と混合してスラリー化する際に、粒子の表面の濡れ性を向上させてスラリーの粒子の分散を図り凝集を防止して長期安定化を図ることができる。
【0098】さらに、請求項7の固・液スラリー製造方法では、液体は保護コロイドを添加したものとしているので、スラリーの流動性を維持しながら分散剤の使用量を減少させることができ、流動性の高いスラリーを安価に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000173809
【氏名又は名称】財団法人電力中央研究所
【出願日】 平成9年(1997)7月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
【公開番号】 特開平11−28375
【公開日】 平成11年(1999)2月2日
【出願番号】 特願平9−196402